JP2002266887A - 動作範囲を考慮したユニバーサルジョイントの最適設計方法 - Google Patents

動作範囲を考慮したユニバーサルジョイントの最適設計方法

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JP2002266887A JP2001063158A JP2001063158A JP2002266887A JP 2002266887 A JP2002266887 A JP 2002266887A JP 2001063158 A JP2001063158 A JP 2001063158A JP 2001063158 A JP2001063158 A JP 2001063158A JP 2002266887 A JP2002266887 A JP 2002266887A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ユニバーサルジョイントの設計において、動
作範囲の確保と部材強度の保障を効果的にトレードオフ
する。 【解決手段】 ユニバーサルジョイントに起こり得る部
材干渉を必要動作範囲内で回避するための干渉回避条件
を導出し、この干渉回避条件を満足し部材の加工切削量
を最小に抑えた加工寸法を最適寸法とする設計指針によ
り、与えられた部材寸法と要求される動作範囲の条件に
対して、動作範囲の確保と部材強度の保障を効果的にト
レードオフする最適設計を行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、要求仕様の動作範
囲を満たし、部材の加工切削量を最小に抑えるユニバー
サルジョイントの設計方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ユニバーサルジョイント(不等速形自在
軸継手とも呼ばれる)の設計においては、必要な動作範
囲の確保と部材強度の保障が求められる。両者はトレー
ドオフの関係にあるため、必要動作範囲を満たし部材の
切削量を最小に抑えた最適設計の指針が求められてい
る。動作範囲を広く取れるユニバーサルジョイントの設
計技術に、例えば、特開平8−177345号公報、特
開平11−210740号公報がある。これらの技術
は、ユニバーサルジョイントの構造や形状に工夫を凝ら
したものであり、従来からのオーソドックスな型のユニ
バーサルジョイントには適用できない特殊なものであ
る。
【0003】また、ユニバーサルジョイントのクロスピ
ンとフォークアームの剛性を最適にバランス設計する技
術に、特開2000−74088号公報がある。しか
し、この技術はFEM(有限要素法)解析による局所的
な剛性保障を目的とした設計方法であり、ユニバーサル
ジョイント全体の寸法値を決定してくれるものではな
い。このように、「動作範囲の確保と部材強度の保障」
というすべてのユニバーサルジョイントに共通する課題
を解決した例は過去にも見当たらない。したがって、現
状では「設計者が強度を十分に保障する寸法値を与え、
試作機による実証試験、または3D(三次元)CAD上
での仮想試験により、必要な動作範囲で部材の干渉が起
きていないかを確認する」という後ろ向きな設計のプロ
セスを踏んでいる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記の諸点に
鑑みなされたもので、本発明の目的は、汎用な型のユニ
バーサルジョイントに対して、要求仕様の動作範囲を満
たし加工切削量を最小に抑えた加工寸法を与える設計指
針とすることにより、動作範囲の確保と部材強度の保障
を効果的にトレードオフすることができるユニバーサル
ジョイントの最適設計方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、本発明の動作範囲を考慮したユニバーサルジョイ
ントの最適設計方法は、ユニバーサルジョイントの設計
において、ユニバーサルジョイントに起こり得る部材干
渉を必要動作範囲内で回避するための干渉回避条件を導
出し、この干渉回避条件を満足し部材の加工切削量を最
小に抑えた加工寸法を最適寸法とする設計指針により、
与えられた部材寸法と要求される動作範囲の条件に対し
て、動作範囲の確保と部材強度の保障を効果的にトレー
ドオフする最適設計を行うように構成されている。
【0006】上記のユニバーサルジョイントの設計方法
においては、ユニバーサルジョイントの部材干渉を数学
式により評価して干渉解析を行い、必要動作範囲内での
干渉回避条件式を導出し、干渉回避条件式に対して最小
の部材切削量となる条件を与えて解析を行い、この結果
を最適設計の指針とすることができる。
【0007】また、本発明の設計方法を実施するプログ
ラムが格納されたソフトウエアを統合化して構築したC
ADシステムにより、動作範囲の確保と部材強度の保障
を効果的にトレードオフする最適設計を行うことができ
る。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て説明するが、本発明は下記の実施の形態に何ら限定さ
れるものではなく、適宜変更して実施することが可能な
ものである。互いに直交する2つの回転自由度を有する
ユニバーサルジョイントには、様々な形態で部材干渉が
起こる。それらの代表的なものを図1に描き、それぞれ
W干渉、K干渉、Z干渉、S干渉と名付けた。W干渉と
K干渉は一方の自由度が中心位置に固定されたときは実
現できない。そこで、W干渉とK干渉を複軸変角干渉
と、それに対してZ干渉とS干渉を単軸変角干渉と名付
け区分する。
【0009】ユニバーサルジョイントの設計において
は、これらすべての部材干渉を回避して必要な機能を果
たせるように、加工寸法を決定する必要がある。この場
合、部材パイプの内半径ri、外半径ro、必要最大変角
量αを既定パラメータとして、ri、ro、αが与えられ
たときに、図2に示した3つの加工寸法(ψ,s,
b)、すなわち、横切削角ψ、ヨーク突出半径s、縦切
削長bを決定することが本発明におけるユニバーサルジ
ョイントの設計問題である。
【0010】設計変数(ψ,s,b)のユニバーサルジ
ョイントが、必要最大動作領域内で複軸変角干渉、すな
わち、W干渉とK干渉を回避する条件を以下に示す。W
干渉の回避条件は数1に示す式であり、K干渉の回避条
件は数2に示す式である。なお、数2におけるstは数
3に示す式で表される。stはヨーク前面(ヘッド)の
円弧面とヨーク側面(フランク)の平面との境界位置で
ある。
【0011】
【数1】
【0012】
【数2】
【0013】
【数3】
【0014】つぎに、単軸変角干渉の回避条件を説明す
る。必要最大動作領域内でZ干渉を回避する条件は、
Z干渉が必要動作領域外で起きる条件(数4)、また
は、いかなる姿勢でもZ干渉は起きない条件(数5)
である。この場合、c3、qzはそれぞれ数6、数7のよ
うになる。
【0015】
【数4】
【0016】
【数5】
【0017】
【数6】
【0018】
【数7】
【0019】また、必要最大動作領域内でS干渉を回避
するための条件は数8である。この場合、qeは数9の
ようになる。
【0020】
【数8】
【0021】
【数9】
【0022】W干渉の回避条件はψ、K干渉の回避条件
はψとs、Z干渉とS干渉の回避条件はsとbに依存し
ている。そこで、設計変数の決定手順としては、W干渉
の回避条件によりψを決定し、K干渉の回避条件により
sを決定し、Z干渉とS干渉の回避条件によりbを決定
していく。W干渉を回避するためには、ヨークの横切削
角ψを大きくとる必要がある。しかし、ヨークに十分な
強度を保障するためには、ψはできるだけ小さい方が望
ましい。そこで、必要最大動作領域でW干渉を回避する
最小の横切削角を最適横切削角ψoptとして定義する。
最適横切削角ψoptは数1に示す式の等号により求めら
れる(数10)。
【0023】
【数10】
【0024】横切削角をψoptで選んだとき、数2の式
を満たすstの条件は以下の数11となる。
【0025】
【数11】
【0026】K干渉を回避するためには、ヨーク前面
(ヘッド)とヨーク側面(フランク)の境界位置st
小さくする必要がある。また、縦切削長bをできるだけ
短くするためにも、stは小さい方が望ましい。そこ
で、数11に示す式を満たす最小の境界位置st=0を
最適境界位置と定義する。したがって、st=0を数3
の式に代入すれば、最適突出半径soptが求められる
(数12)。
【0027】
【数12】
【0028】Z干渉やS干渉を回避するためには、縦切
削長bを大きくする必要がある。しかし、bが大きくな
るとヨークは長細化し強度が劣化するので、bはできる
だけ小さい方が望ましい。そこで、必要最大動作領域内
でこれらの干渉を回避する最小の縦切削長を最適縦切削
長boptとして定義する。Z干渉回避条件である数4、
数5、数6、数7の式にs=soptを代入して、bの条
件式を得る(数13)。また、S干渉回避条件である数
5、数8、数9の式にs=soptを代入して以下の数1
4を得る。なお、nr1、nr2、bz、be、bsは数15
に示す通りである。
【0029】
【数13】
【0030】
【数14】
【0031】
【数15】
【0032】よって、既定寸法値ro、riの値に応じ
て、boptの定義式は変化し、干渉のタイプも異なる。
【0033】ここまでの結果を、市販されている汎用の
ユニバーサルジョイントの設計指針として、以下にまと
める。すなわち、本発明は、市販されている汎用のユニ
バーサルジョイント(一例として、こま形自在軸継手、
カルダン型自在軸継手など)の最適設計指針を与えるも
のである。外径ro、内径riのパイプ材が与えられ、最
大変角量の要求仕様がαで定められたユニバーサルジョ
イントにおいては、以下の手順で一部材の加工を行う。
【0034】ステップ0:パイプ材に、長手方向をX
軸、断面中心をYZ平面原点とする座標系Σ0を設定す
る。 ステップ1:断面{(y,z)|sopt<y<ro,−r
o<z<ro}を、x=∞からx=−boptまで切削す
る。断面{(y,z)|−ro<y<−sopt,−ro
z<ro}においても、同様に切削する。 ステップ2:断面{(y,z)|−sopt<y<sopt
−ro<z<ro}を、x=∞からx=(sopt 2−ψ2
1/2まで切削する。 ステップ3:XY平面原点にクロスピン挿入孔を空け
る。
【0035】ただし、数16に示す条件が適用される。
δeはZ干渉を避けるための0でない微小値である。
【0036】
【数16】
【0037】図3に加工手順の概念図を示す。図3にお
いて、斜線部が加工面、X−Y平面の原点がクロスピン
挿入孔中心、Y−Z平面の原点はクロスピン交差点であ
る。なお、上記の加工手順で製造した部材を2つ用意し
て向かい合わせ、X軸回りに90度位相をずらせて、ク
ロスピンを介して組み合わせれば、ユニバーサルジョイ
ントを完成させることができる。
【0038】本発明の最適設計方法に従って、ユニバー
サルジョイントの設計を行うことにより、必要動作範囲
内で部材干渉をぎりぎり回避し、ヨークの切削量を最小
に抑えた加工形状とすることができ、本発明の方法が、
動作範囲の確保と部材強度の保障を効果的にトレードオ
フするユニバーサルジョイントの設計指針であることが
わかる。また、本発明の機能をソフト化して統合化した
CADシステムとすれば、部材寸法と動作範囲の条件を
与えるだけで、干渉回避条件を満足し部材の切削量を最
小に抑えた加工寸法を瞬時に決定することができる。
【0039】
【発明の効果】本発明は上記のように構成されているの
で、つぎのような効果を奏する。 (1) ユニバーサルジョイントの設計において、必要
動作範囲を満たし部材の切削量を最小に抑えた最適設計
が可能となる。 (2) 汎用な型のユニバーサルジョイントに対する設
計法なので、様々な用途に適用できる。 (3) 加工寸法の決定が解析式に基づいているので、
面倒な繰り返し計算を必要とせず、瞬時に加工寸法の決
定が行える。
【図面の簡単な説明】
【図1】ユニバーサルジョイントの部材干渉の形態を示
す斜視図である。
【図2】ユニバーサルジョイントの設計パラメータを示
す概略構成説明図である。
【図3】本発明のユニバーサルジョイントの最適設計方
法による加工手順を説明する概略構成説明図である。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ユニバーサルジョイントの設計におい
    て、ユニバーサルジョイントに起こり得る部材干渉を必
    要動作範囲内で回避するための干渉回避条件を導出し、
    この干渉回避条件を満足し部材の加工切削量を最小に抑
    えた加工寸法を最適寸法とする設計指針により、与えら
    れた部材寸法と要求される動作範囲の条件に対して、動
    作範囲の確保と部材強度の保障を効果的にトレードオフ
    する最適設計を行うことを特徴とする動作範囲を考慮し
    たユニバーサルジョイントの最適設計方法。
  2. 【請求項2】 ユニバーサルジョイントの部材干渉を数
    学式により評価して干渉解析を行い、必要動作範囲内で
    の干渉回避条件式を導出し、干渉回避条件式に対して最
    小の部材切削量となる条件を与えて解析を行い、この結
    果を最適設計の指針とする請求項1記載の動作範囲を考
    慮したユニバーサルジョイントの最適設計方法。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2記載の方法を実施するプ
    ログラムが格納されたソフトウエアを統合化して構築し
    たCADシステムにより、動作範囲の確保と部材強度の
    保障を効果的にトレードオフする最適設計を行うことを
    特徴とする動作範囲を考慮したユニバーサルジョイント
    の最適設計方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2007333189A (ja) * 2006-06-19 2007-12-27 Jtekt Corp 自在継手用ヨークおよび自在継手
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