JP3563359B2 - 動作範囲を考慮したユニバーサルジョイントの最適設計方法 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、要求仕様の動作範囲を満たし、部材の加工切削量を最小に抑えるユニバーサルジョイントの設計方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ユニバーサルジョイント(不等速形自在軸継手とも呼ばれる)の設計においては、必要な動作範囲の確保と部材強度の保障が求められる。両者はトレードオフの関係にあるため、必要動作範囲を満たし部材の切削量を最小に抑えた最適設計の指針が求められている。
動作範囲を広く取れるユニバーサルジョイントの設計技術に、例えば、特開平8−177345号公報、特開平11−210740号公報がある。これらの技術は、ユニバーサルジョイントの構造や形状に工夫を凝らしたものであり、従来からのオーソドックスな型のユニバーサルジョイントには適用できない特殊なものである。
【0003】
また、ユニバーサルジョイントのクロスピンとフォークアームの剛性を最適にバランス設計する技術に、特開2000−74088号公報がある。しかし、この技術はFEM(有限要素法)解析による局所的な剛性保障を目的とした設計方法であり、ユニバーサルジョイント全体の寸法値を決定してくれるものではない。
このように、「動作範囲の確保と部材強度の保障」というすべてのユニバーサルジョイントに共通する課題を解決した例は過去にも見当たらない。したがって、現状では「設計者が強度を十分に保障する寸法値を与え、試作機による実証試験、または3D(三次元)CAD上での仮想試験により、必要な動作範囲で部材の干渉が起きていないかを確認する」という後ろ向きな設計のプロセスを踏んでいる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記の諸点に鑑みなされたもので、本発明の目的は、汎用な型のユニバーサルジョイントに対して、要求仕様の動作範囲を満たし加工切削量を最小に抑えた加工寸法を与える設計指針とすることにより、動作範囲の確保と部材強度の保障を効果的にトレードオフすることができるユニバーサルジョイントの最適設計方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明の動作範囲を考慮したユニバーサルジョイントの最適設計方法は、ユニバーサルジョイントの設計において、ユニバーサルジョイントに起こり得る部材干渉を必要動作範囲内で回避するための干渉回避条件を導出し、この干渉回避条件を満足し部材の加工切削量を最小に抑えた加工寸法を最適寸法とする設計指針により、与えられた部材寸法と要求される動作範囲の条件に対して、動作範囲の確保と部材強度の保障を効果的にトレードオフする最適設計を行うように構成されている。
【0006】
上記のユニバーサルジョイントの設計方法においては、ユニバーサルジョイントの部材干渉を数学式により評価して干渉解析を行い、必要動作範囲内での干渉回避条件式を導出し、干渉回避条件式に対して最小の部材切削量となる条件を与えて解析を行い、この結果を最適設計の指針とすることができる。
【0007】
また、本発明の設計方法を実施するプログラムが格納されたソフトウエアを統合化して構築したCADシステムにより、動作範囲の確保と部材強度の保障を効果的にトレードオフする最適設計を行うことができる。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について説明するが、本発明は下記の実施の形態に何ら限定されるものではなく、適宜変更して実施することが可能なものである。互いに直交する2つの回転自由度を有するユニバーサルジョイントには、様々な形態で部材干渉が起こる。それらの代表的なものを図1に描き、それぞれW干渉、K干渉、Z干渉、S干渉と名付けた。W干渉とK干渉は一方の自由度が中心位置に固定されたときは実現できない。そこで、W干渉とK干渉を複軸変角干渉と、それに対してZ干渉とS干渉を単軸変角干渉と名付け区分する。
【0009】
ユニバーサルジョイントの設計においては、これらすべての部材干渉を回避して必要な機能を果たせるように、加工寸法を決定する必要がある。この場合、部材パイプの内半径ri、外半径ro、必要最大変角量αを既定パラメータとして、ri、ro、αが与えられたときに、図2に示した3つの加工寸法(ψ,s,b)、すなわち、横切削角ψ、ヨーク突出半径s、縦切削長bを決定することが本発明におけるユニバーサルジョイントの設計問題である。
【0010】
設計変数(ψ,s,b)のユニバーサルジョイントが、必要最大動作領域内で複軸変角干渉、すなわち、W干渉とK干渉を回避する条件を以下に示す。W干渉の回避条件は数1に示す式であり、K干渉の回避条件は数2に示す式である。なお、数2におけるstは数3に示す式で表される。stはヨーク前面(ヘッド)の円弧面とヨーク側面(フランク)の平面との境界位置である。
【0011】
【数1】
【0012】
【数2】
【0013】
【数3】
【0014】
つぎに、単軸変角干渉の回避条件を説明する。必要最大動作領域内でZ干渉を回避する条件は、▲1▼Z干渉が必要動作領域外で起きる条件(数4)、または、▲2▼いかなる姿勢でもZ干渉は起きない条件(数5)である。この場合、c3、qzはそれぞれ数6、数7のようになる。
【0015】
【数4】
【0016】
【数5】
【0017】
【数6】
【0018】
【数7】
【0019】
また、必要最大動作領域内でS干渉を回避するための条件は数8である。この場合、qeは数9のようになる。
【0020】
【数8】
【0021】
【数9】
【0022】
W干渉の回避条件はψ、K干渉の回避条件はψとs、Z干渉とS干渉の回避条件はsとbに依存している。そこで、設計変数の決定手順としては、W干渉の回避条件によりψを決定し、K干渉の回避条件によりsを決定し、Z干渉とS干渉の回避条件によりbを決定していく。
W干渉を回避するためには、ヨークの横切削角ψを大きくとる必要がある。しかし、ヨークに十分な強度を保障するためには、ψはできるだけ小さい方が望ましい。そこで、必要最大動作領域でW干渉を回避する最小の横切削角を最適横切削角ψoptとして定義する。最適横切削角ψoptは数1に示す式の等号により求められる(数10)。
【0023】
【数10】
【0024】
横切削角をψoptで選んだとき、数2の式を満たすstの条件は以下の数11となる。
【0025】
【数11】
【0026】
K干渉を回避するためには、ヨーク前面(ヘッド)とヨーク側面(フランク)の境界位置stを小さくする必要がある。また、縦切削長bをできるだけ短くするためにも、stは小さい方が望ましい。そこで、数11に示す式を満たす最小の境界位置st=0を最適境界位置と定義する。したがって、st=0を数3の式に代入すれば、最適突出半径soptが求められる(数12)。
【0027】
【数12】
【0028】
Z干渉やS干渉を回避するためには、縦切削長bを大きくする必要がある。しかし、bが大きくなるとヨークは長細化し強度が劣化するので、bはできるだけ小さい方が望ましい。そこで、必要最大動作領域内でこれらの干渉を回避する最小の縦切削長を最適縦切削長boptとして定義する。Z干渉回避条件である数4、数5、数6、数7の式にs=soptを代入して、bの条件式を得る(数13)。また、S干渉回避条件である数5、数8、数9の式にs=soptを代入して以下の数14を得る。なお、nr1、nr2、bz、be、bsは数15に示す通りであ
る。
【0029】
【数13】
【0030】
【数14】
【0031】
【数15】
【0032】
よって、既定寸法値ro、riの値に応じて、boptの定義式は変化し、干渉のタイプも異なる。
【0033】
ここまでの結果を、市販されている汎用のユニバーサルジョイントの設計指針として、以下にまとめる。すなわち、本発明は、市販されている汎用のユニバーサルジョイント(一例として、こま形自在軸継手、カルダン型自在軸継手など)の最適設計指針を与えるものである。
外径ro、内径riのパイプ材が与えられ、最大変角量の要求仕様がαで定められたユニバーサルジョイントにおいては、以下の手順で一部材の加工を行う。
【0034】
ステップ0:
パイプ材に、長手方向をX軸、断面中心をYZ平面原点とする座標系Σ0を設定する。
ステップ1:
断面{(y,z)|sopt<y<ro,−ro<z<ro}を、x=∞からx=−boptまで切削する。断面{(y,z)|−ro<y<−sopt,−ro<z<ro}においても、同様に切削する。
ステップ2:
断面{(y,z)|−sopt<y<sopt,−ro<z<ro}を、x=∞からx=(sopt 2−ψ2)1/2まで切削する。
ステップ3:
XY平面原点にクロスピン挿入孔を空ける。
【0035】
ただし、数16に示す条件が適用される。δeはZ干渉を避けるための0でない微小値である。
【0036】
【数16】
【0037】
図3に加工手順の概念図を示す。図3において、斜線部が加工面、X−Y平面の原点がクロスピン挿入孔中心、Y−Z平面の原点はクロスピン交差点である。なお、上記の加工手順で製造した部材を2つ用意して向かい合わせ、X軸回りに90度位相をずらせて、クロスピンを介して組み合わせれば、ユニバーサルジョイントを完成させることができる。
【0038】
本発明の最適設計方法に従って、ユニバーサルジョイントの設計を行うことにより、必要動作範囲内で部材干渉をぎりぎり回避し、ヨークの切削量を最小に抑えた加工形状とすることができ、本発明の方法が、動作範囲の確保と部材強度の保障を効果的にトレードオフするユニバーサルジョイントの設計指針であることがわかる。
また、本発明の機能をソフト化して統合化したCADシステムとすれば、部材寸法と動作範囲の条件を与えるだけで、干渉回避条件を満足し部材の切削量を最小に抑えた加工寸法を瞬時に決定することができる。
【0039】
【発明の効果】
本発明は上記のように構成されているので、つぎのような効果を奏する。
(1) ユニバーサルジョイントの設計において、必要動作範囲を満たし部材の切削量を最小に抑えた最適設計が可能となる。
(2) 汎用な型のユニバーサルジョイントに対する設計法なので、様々な用途に適用できる。
(3) 加工寸法の決定が解析式に基づいているので、面倒な繰り返し計算を必要とせず、瞬時に加工寸法の決定が行える。
【図面の簡単な説明】
【図1】ユニバーサルジョイントの部材干渉の形態を示す斜視図である。
【図2】ユニバーサルジョイントの設計パラメータを示す概略構成説明図である。
【図3】本発明のユニバーサルジョイントの最適設計方法による加工手順を説明する概略構成説明図である。
【発明の属する技術分野】
本発明は、要求仕様の動作範囲を満たし、部材の加工切削量を最小に抑えるユニバーサルジョイントの設計方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ユニバーサルジョイント(不等速形自在軸継手とも呼ばれる)の設計においては、必要な動作範囲の確保と部材強度の保障が求められる。両者はトレードオフの関係にあるため、必要動作範囲を満たし部材の切削量を最小に抑えた最適設計の指針が求められている。
動作範囲を広く取れるユニバーサルジョイントの設計技術に、例えば、特開平8−177345号公報、特開平11−210740号公報がある。これらの技術は、ユニバーサルジョイントの構造や形状に工夫を凝らしたものであり、従来からのオーソドックスな型のユニバーサルジョイントには適用できない特殊なものである。
【0003】
また、ユニバーサルジョイントのクロスピンとフォークアームの剛性を最適にバランス設計する技術に、特開2000−74088号公報がある。しかし、この技術はFEM(有限要素法)解析による局所的な剛性保障を目的とした設計方法であり、ユニバーサルジョイント全体の寸法値を決定してくれるものではない。
このように、「動作範囲の確保と部材強度の保障」というすべてのユニバーサルジョイントに共通する課題を解決した例は過去にも見当たらない。したがって、現状では「設計者が強度を十分に保障する寸法値を与え、試作機による実証試験、または3D(三次元)CAD上での仮想試験により、必要な動作範囲で部材の干渉が起きていないかを確認する」という後ろ向きな設計のプロセスを踏んでいる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記の諸点に鑑みなされたもので、本発明の目的は、汎用な型のユニバーサルジョイントに対して、要求仕様の動作範囲を満たし加工切削量を最小に抑えた加工寸法を与える設計指針とすることにより、動作範囲の確保と部材強度の保障を効果的にトレードオフすることができるユニバーサルジョイントの最適設計方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明の動作範囲を考慮したユニバーサルジョイントの最適設計方法は、ユニバーサルジョイントの設計において、ユニバーサルジョイントに起こり得る部材干渉を必要動作範囲内で回避するための干渉回避条件を導出し、この干渉回避条件を満足し部材の加工切削量を最小に抑えた加工寸法を最適寸法とする設計指針により、与えられた部材寸法と要求される動作範囲の条件に対して、動作範囲の確保と部材強度の保障を効果的にトレードオフする最適設計を行うように構成されている。
【0006】
上記のユニバーサルジョイントの設計方法においては、ユニバーサルジョイントの部材干渉を数学式により評価して干渉解析を行い、必要動作範囲内での干渉回避条件式を導出し、干渉回避条件式に対して最小の部材切削量となる条件を与えて解析を行い、この結果を最適設計の指針とすることができる。
【0007】
また、本発明の設計方法を実施するプログラムが格納されたソフトウエアを統合化して構築したCADシステムにより、動作範囲の確保と部材強度の保障を効果的にトレードオフする最適設計を行うことができる。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について説明するが、本発明は下記の実施の形態に何ら限定されるものではなく、適宜変更して実施することが可能なものである。互いに直交する2つの回転自由度を有するユニバーサルジョイントには、様々な形態で部材干渉が起こる。それらの代表的なものを図1に描き、それぞれW干渉、K干渉、Z干渉、S干渉と名付けた。W干渉とK干渉は一方の自由度が中心位置に固定されたときは実現できない。そこで、W干渉とK干渉を複軸変角干渉と、それに対してZ干渉とS干渉を単軸変角干渉と名付け区分する。
【0009】
ユニバーサルジョイントの設計においては、これらすべての部材干渉を回避して必要な機能を果たせるように、加工寸法を決定する必要がある。この場合、部材パイプの内半径ri、外半径ro、必要最大変角量αを既定パラメータとして、ri、ro、αが与えられたときに、図2に示した3つの加工寸法(ψ,s,b)、すなわち、横切削角ψ、ヨーク突出半径s、縦切削長bを決定することが本発明におけるユニバーサルジョイントの設計問題である。
【0010】
設計変数(ψ,s,b)のユニバーサルジョイントが、必要最大動作領域内で複軸変角干渉、すなわち、W干渉とK干渉を回避する条件を以下に示す。W干渉の回避条件は数1に示す式であり、K干渉の回避条件は数2に示す式である。なお、数2におけるstは数3に示す式で表される。stはヨーク前面(ヘッド)の円弧面とヨーク側面(フランク)の平面との境界位置である。
【0011】
【数1】
【0012】
【数2】
【0013】
【数3】
【0014】
つぎに、単軸変角干渉の回避条件を説明する。必要最大動作領域内でZ干渉を回避する条件は、▲1▼Z干渉が必要動作領域外で起きる条件(数4)、または、▲2▼いかなる姿勢でもZ干渉は起きない条件(数5)である。この場合、c3、qzはそれぞれ数6、数7のようになる。
【0015】
【数4】
【0016】
【数5】
【0017】
【数6】
【0018】
【数7】
【0019】
また、必要最大動作領域内でS干渉を回避するための条件は数8である。この場合、qeは数9のようになる。
【0020】
【数8】
【0021】
【数9】
【0022】
W干渉の回避条件はψ、K干渉の回避条件はψとs、Z干渉とS干渉の回避条件はsとbに依存している。そこで、設計変数の決定手順としては、W干渉の回避条件によりψを決定し、K干渉の回避条件によりsを決定し、Z干渉とS干渉の回避条件によりbを決定していく。
W干渉を回避するためには、ヨークの横切削角ψを大きくとる必要がある。しかし、ヨークに十分な強度を保障するためには、ψはできるだけ小さい方が望ましい。そこで、必要最大動作領域でW干渉を回避する最小の横切削角を最適横切削角ψoptとして定義する。最適横切削角ψoptは数1に示す式の等号により求められる(数10)。
【0023】
【数10】
【0024】
横切削角をψoptで選んだとき、数2の式を満たすstの条件は以下の数11となる。
【0025】
【数11】
【0026】
K干渉を回避するためには、ヨーク前面(ヘッド)とヨーク側面(フランク)の境界位置stを小さくする必要がある。また、縦切削長bをできるだけ短くするためにも、stは小さい方が望ましい。そこで、数11に示す式を満たす最小の境界位置st=0を最適境界位置と定義する。したがって、st=0を数3の式に代入すれば、最適突出半径soptが求められる(数12)。
【0027】
【数12】
【0028】
Z干渉やS干渉を回避するためには、縦切削長bを大きくする必要がある。しかし、bが大きくなるとヨークは長細化し強度が劣化するので、bはできるだけ小さい方が望ましい。そこで、必要最大動作領域内でこれらの干渉を回避する最小の縦切削長を最適縦切削長boptとして定義する。Z干渉回避条件である数4、数5、数6、数7の式にs=soptを代入して、bの条件式を得る(数13)。また、S干渉回避条件である数5、数8、数9の式にs=soptを代入して以下の数14を得る。なお、nr1、nr2、bz、be、bsは数15に示す通りであ
る。
【0029】
【数13】
【0030】
【数14】
【0031】
【数15】
【0032】
よって、既定寸法値ro、riの値に応じて、boptの定義式は変化し、干渉のタイプも異なる。
【0033】
ここまでの結果を、市販されている汎用のユニバーサルジョイントの設計指針として、以下にまとめる。すなわち、本発明は、市販されている汎用のユニバーサルジョイント(一例として、こま形自在軸継手、カルダン型自在軸継手など)の最適設計指針を与えるものである。
外径ro、内径riのパイプ材が与えられ、最大変角量の要求仕様がαで定められたユニバーサルジョイントにおいては、以下の手順で一部材の加工を行う。
【0034】
ステップ0:
パイプ材に、長手方向をX軸、断面中心をYZ平面原点とする座標系Σ0を設定する。
ステップ1:
断面{(y,z)|sopt<y<ro,−ro<z<ro}を、x=∞からx=−boptまで切削する。断面{(y,z)|−ro<y<−sopt,−ro<z<ro}においても、同様に切削する。
ステップ2:
断面{(y,z)|−sopt<y<sopt,−ro<z<ro}を、x=∞からx=(sopt 2−ψ2)1/2まで切削する。
ステップ3:
XY平面原点にクロスピン挿入孔を空ける。
【0035】
ただし、数16に示す条件が適用される。δeはZ干渉を避けるための0でない微小値である。
【0036】
【数16】
【0037】
図3に加工手順の概念図を示す。図3において、斜線部が加工面、X−Y平面の原点がクロスピン挿入孔中心、Y−Z平面の原点はクロスピン交差点である。なお、上記の加工手順で製造した部材を2つ用意して向かい合わせ、X軸回りに90度位相をずらせて、クロスピンを介して組み合わせれば、ユニバーサルジョイントを完成させることができる。
【0038】
本発明の最適設計方法に従って、ユニバーサルジョイントの設計を行うことにより、必要動作範囲内で部材干渉をぎりぎり回避し、ヨークの切削量を最小に抑えた加工形状とすることができ、本発明の方法が、動作範囲の確保と部材強度の保障を効果的にトレードオフするユニバーサルジョイントの設計指針であることがわかる。
また、本発明の機能をソフト化して統合化したCADシステムとすれば、部材寸法と動作範囲の条件を与えるだけで、干渉回避条件を満足し部材の切削量を最小に抑えた加工寸法を瞬時に決定することができる。
【0039】
【発明の効果】
本発明は上記のように構成されているので、つぎのような効果を奏する。
(1) ユニバーサルジョイントの設計において、必要動作範囲を満たし部材の切削量を最小に抑えた最適設計が可能となる。
(2) 汎用な型のユニバーサルジョイントに対する設計法なので、様々な用途に適用できる。
(3) 加工寸法の決定が解析式に基づいているので、面倒な繰り返し計算を必要とせず、瞬時に加工寸法の決定が行える。
【図面の簡単な説明】
【図1】ユニバーサルジョイントの部材干渉の形態を示す斜視図である。
【図2】ユニバーサルジョイントの設計パラメータを示す概略構成説明図である。
【図3】本発明のユニバーサルジョイントの最適設計方法による加工手順を説明する概略構成説明図である。
Claims (2)
- 十字ピンを有するユニバーサルジョイントであって、かつ、2つの継手部材が双方ともパイプ材から製造されるユニバーサルジョイントの設計において、ユニバーサルジョイントに起こり得る部材干渉を必要動作範囲内で回避するための干渉回避条件を導出し、この干渉回避条件を満足し部材の加工切削量を最小に抑えた加工寸法を最適寸法とする設計指針により、与えられた部材寸法と要求される動作範囲の条件に対して、動作範囲の確保と部材強度の保障を効果的にトレードオフする最適設計を行い、この際、ユニバーサルジョイントの部材干渉を数学式により評価して干渉解析を行い、必要動作範囲内での干渉回避条件式を導出し、干渉回避条件式に対して最小の部材切削量となる条件を与えて解析を行い、この結果を最適設計の指針とすることを特徴とする動作範囲を考慮したユニバーサルジョイントの最適設計方法。
- 請求項1記載の方法を実施するプログラムが格納されたソフトウエアを統合化して構築したCADシステムにより、動作範囲の確保と部材強度の保障を効果的にトレードオフする最適設計を行うことを特徴とする動作範囲を考慮したユニバーサルジョイントの最適設計方法。
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JP2002266887A JP2002266887A (ja) | 2002-09-18 |
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2001
- 2001-03-07 JP JP2001063158A patent/JP3563359B2/ja not_active Expired - Fee Related
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