JP2773212B2 - 自由曲面加工データ作成方法 - Google Patents

自由曲面加工データ作成方法

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JP2773212B2 JP8308289A JP8308289A JP2773212B2 JP 2773212 B2 JP2773212 B2 JP 2773212B2 JP 8308289 A JP8308289 A JP 8308289A JP 8308289 A JP8308289 A JP 8308289A JP 2773212 B2 JP2773212 B2 JP 2773212B2
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Description

【発明の詳細な説明】 以下の順序で本発明を説明する。
A産業上の利用分野 B発明の概要 C従来の技術(第7図及び第8図) D発明が解決しようとする問題点(第7図〜第10図) E問題点を解決するための手段(第1図〜第6図) F作用(第1図〜第6図) G実施例(第1図〜第6図) H発明の効果 A産業上の利用分野 本発明は自由曲面加工データ作成方法に関し、例えば
CAD/CAM(computer aided design/computer aided manu
facturing)において生成された自由曲面を表すデータ
を用いて当該自由曲面をもつた外形形状の製品を切削加
工する場合に適用して好適なものである。
B発明の概要 本発明は、エンドミルでなる工具が取り付けられたチ
ヤツクの移動経路を表す自由曲面加工データを生成する
自由曲面加工データ作成方法において、自由曲面を表す
パツチに応じてチヤツクの切削面端部の移動経路を表す
自由曲面加工データを生成するようにしたことにより、
自由曲面を表すパツチに対するチヤツクの移動限界を検
出できる。
C従来の技術 例えばCADの手法を用いて自由曲面をもつた物体の形
状をデサインする場合(geometric modeling)、一般に
デザイナは、曲面が通るべき3次元空間における複数の
点(これを節点と呼ぶ)を指定し、当該指定された複数
の節点を結ぶ境界曲線網を所望のベクトル関数を用いて
コンピユータに演算させることにより、いわゆるワイヤ
ーフレームで表現された曲面を形成する。
かくして、境界曲線によつて囲まれた多数の枠組み空
間を形成することができる(このような処理を枠組み処
理と呼ぶ)。
かかる枠組み処理によつて形成された境界曲線網は、
それ自体デザイナがデザインしようとする大まかな外形
形状を表しており、各枠組み空間を囲む境界曲線を用い
て、パラメトリツクなベクトル関数によつて表現できる
曲面を補間演算することができれば、全体としてデザイ
ナがデザインした自由曲面(2次関数で規定できないも
のをいう)を生成することができる。
ここで各枠組み空間に張られた曲面は全体の曲面を構
成する基本要素を形成し、これをパツチと呼ぶ。
ところで生成した自由曲面全体としてより自然な外形
形状を持たせるためには、境界曲線を挟んで隣接する枠
組み空間に、当該境界曲線において接平面連続の条件を
満足するようなパツチを張るように、境界曲線周りの制
御辺ベクトルを設定し直すようにした自由曲面作成方法
が提案されている(特願昭60−277488号)。
この自由曲面作成方法は、例えば第7図に示すように
2つのパツチ を滑らかに接続するために、枠組み処理によって与えら
れた節点 に基づいて、隣接するパツチ の境界曲線COM12において接平面連続の条件が成り立つ
ような制御辺ベクトル を設定し、これらの制御辺ベクトルによつて内部制御点 を設定し直すことを原理としている。
このような手法をパツチ を囲む他の境界曲線についても適用すれば、結局パツチ は隣接するパツチと接平面連続の条件の下に滑らかに接
続される。
この明細書において、接平面とは境界曲線の各点にお
けるu方向及びv方向の接線ベクトルによつて形成され
る平面を意味し、例えば第7図の境界曲線COM12上の各
点について、パツチ の接平面が同一のとき接平面連続の条件が成り立つ。
ここで、境界曲線COM12上の点(0、v)についての
接平面連続の条件は、第8図に示すようにして決められ
る。すなわちパツチ について、境界曲線COM12を横断する方向(すなわちu
方向)の接線ベクトル 及び境界曲線COM12に沿う方向(すなわちv方向)の接
線ベクトル の法線ベクトル は、次式 で表され、またパツチ について、境界曲線COM12を横断する方向の接線ベクト
及び境界曲線COM12に沿う方向の接線ベクトル の法線ベクトル は、次式 で表される。
このような条件の下に、接平面連続というためには、
接線ベクトル が同一平面に存在しなければならず、その結果法線ベク
トル は同一方向を向くことになる。
これを実現するためには、次式 が成り立つように、内部制御点 を設定すれば良い。ここでλ(v)、μ(v)、ν
(v)はスカラ量である。
またパツチ は、次式 のように、3次のベジエ式でなるパラメトリツクなベク
トル関数 を用いて表現される。なおu及びvは、それぞれu方向
及びv方向のパラメータ、E及びFはシフト演算子であ
る。
D発明が解決しようとする問題点 このようにして生成されたパツチ で表される外形形状の製品を、例えばCAD/CAMシステム
としての3軸制御型NCフライス盤を用いて切削加工しよ
うとする場合、次式、 のように、切削目標となるパツチ の表面を表す位置データをオフセツトベクトル だけ移動した面でなるオフセツト曲面 を生成し、当該オフセツト曲面 の表面を表す位置データに基づいて、NCフライス盤の工
具を移動制御すれば良いと考えられる(特願昭61−2085
51号)。
ここでオフセツトベクトル は、第9図に示すように、パツチ の法線ベクトル を変数とし、かつ工具刃先の形状によつて決まる関数
で、パツチ 上の点を始点とし、かつ工具内に定めた基準点を終点と
するベクトルでなり、工具の基準点がオフセツト曲面 上を移動したとき、刃先が加工目標であるパツチ の表面に沿つて移動し得るような関数に予め決められて
いる。
実際上3軸制御型NCフライス盤は工具をその刃先を下
方(Z軸方向)に向けるような構成のものが用いられて
いる。例えばこのように自由曲面の形状を切削加工する
に適した工具としては、一般に刃先が所定半径RBM(=
軸半径)を有する半球状のボールエンドミルBMが利用さ
れており、当該ボールエンドミルBMを使用した場合、オ
フセツトベクトル は、第10図に示すように、次式 と表し得、パツチ 上における刃先の接触点COから法線 の方向に、刃先の半径RBMだけ離れた位置に存在する中
心点Oが基準点に選定される。
このようにして、(5)式及び(6)式で表されるオ
フセツト曲面 の曲面データに基づいて、ボールエンドミルBMの工具経
路を表す工具経路データを作成し、当該工具経路データ
をNCフライス盤及びその制御装置でなるNCミーリングマ
シンに入力すれば、ボールエンドミルBMをその基準点O
がオフセツト曲面 によつて表される曲面上を移動するように制御すること
ができ、かくして当該ボールエンドミルBMがパツチ を表す自由曲面を切削加工して行くようになされてい
る。
ところで実際上、工具としてボールエンドミルBMは、
ボールエンドミルBMの軸半径RBMより大きな半径でなる
チヤツクに装着されて回転制御されており、このため、
切削対象となるパツチ が、ほぼZ軸方向に植立したような形状を有する際に
は、ボールエンドミルBMの刃先より先にチヤツクが切削
対象に接触する場合があり、この結果チヤツク及びボー
ルエンドミルを含む工具を破損するおそれを回避し得な
い問題があつた。
このような場合、自由曲面のパツチ に基づいて、チヤツクの移動経路を表す自由曲面加工デ
ータを生成し、これにより、この自由曲面加工データに
基づいて、チヤツクの移動経路を検出できれば、CAD/CA
Mシステム全体として、有用性を格段的に向上し得ると
考えられる。
本発明は以上の点を考慮してなされたもので、自由曲
面のパツチを用いてエンドミルが装着されたチヤツクの
移動経路を表す自由曲面加工データを生成し得る自由曲
面加工データ作成方法を提案しようとするものである。
E問題点を解決するための手段 かかる問題点を解決するため本発明においては、複数
のパツチ によつて形成された自由曲面を切削目標として、チヤツ
クCKに装着されたエンドミルBM(FM、RM)を用いて切削
加工する際に、チヤツクCKの移動経路を表す自由曲面加
工データ を生成する自由曲面加工データ作成方法において、自由
曲面を表すパツチ の法線方向の単位ベクトル 及びエンドミルBM(FM、RM)の切刃形状に基づいて、パ
ツチに対するオフセツトベクトル を算出し、そのオフセツトベクトル の先端から、エンドミルBM(FM、RM)の中心軸O
BM(OFM、ORM)に対して垂直に向かう第1の直線ベクト
を算出し、その第1の直線ベクトル の先端からエンドミルBM(FM、RM)の中心軸OBM(OFM
ORM)方向にチヤツクCKに向かう第2の直線ベクトル を算出すると共に、その第2の直線ベクトル の先端からチヤツクCKの切削面端部CP0(CP1、CP2)に
向かう第3の直線ベクトル を算出し、オフセツトベクトル 第1、第2及び第3の直線ベクトル を用いて、パツチ に応じてチヤツクCKの切削面端部CP0(CP1、CP2)の移
動経路を表す自由曲面加工データ を生成するようにした。
F作用 自由曲面を表すパツチ に応じてチヤツクCKの切削面端部CP0(CP1、CP2)の移
動経路を表す自由曲面加工データ を生成すれば、自由曲面を表すパツチ に対するチヤツクCKの移動限界を検出でき、かくして、
チヤツクCK及びエンドミルBM(FM、RM)を含む工具の破
損を未然に防止し得る。
G実施例 以下図面について、本発明の一実施例を詳述する。
第1図において、1は全体としてCAD/CAMシステムを
示し、それぞれ中央処理装置(CPU)を含んでなる自由
曲面作成装置2、自由曲面切削用工具経路作成装置3及
びNCミーリングマシン(マシニングセンタ)4で構成さ
れている。
自由曲面作成装置2は、上述したCADの手法を用いて
製品の外形形状を表す自由曲面のパツチ を生成する。
また自由曲面切削用工具経路作成装置3は、自由曲面
作成装置2によつて作成されたパツチ でなる自由曲面データDTSが入力され、当該自由曲面デ
ータDTSに基づいて、工具として例えばボールエンドミ
ルBMについてのオフセツト曲面 を作成し、これによりセグメントハイト法等の手法によ
つて工具経路データDTCLを作成する。
さらにNCミーリングマシン4においては、フロツピイ
デイスク5を介して入力された工具経路データDTCLに基
づいて、ボールエンドミルBMを移動制御することによ
り、自由曲面の外形形状を有する製品の切削加工を実行
し得るようになされている。
なお自由曲面切削用工具経路作成装置3は、デイスプ
レイでなる表示装置6及び例えばキーボードやマウス等
でなる入力装置7を備え、デザイナが表示装置6に表示
されたメニユー画面を目視しながら入力装置7を操作す
れば、CPUは第2図に示す切削限界面データ作成処理手
順SP1を実行する。
すなわち、自由曲面切削用工具経路作成装置3のCPU
は、入力装置7の操作によつてデザイナから自由曲面切
削加工時の切削限界面データの作成を指示されると、切
削限界面データ作成処理手順SP1から入つて、続くステ
ツプSP2において、切削対象の製品の外形形状を表す自
由曲面のパツチ でなる自由曲面データDTSを、自由曲面作成装置2から
読み込む。
ここでCPUは、この自由曲面データDTSを内部のメモリ
に格納すると共に、表示データDTDSPとして表示装置6
に送出し、この結果切削対象の製品の外形形状を表す自
由曲面のパツチ が、画面上に表示される。
続いてCPUはステツプSP3に移つて、ボールエンドミル
BMが装着されたチヤツクCKの諸元の指定入力を待つ。
なお工具としてのボールエンドミルBMは、例えば第3
図(A)に示すように、所定の軸半径RBMでなる円柱形
状を有し、その先端部分に所定の切刃半径rBM(=軸半
径RBM)の刃先CL0を有すると共に、先端から所定長分の
円周部分に刃先CL0を備える。
また、このボールエンドミルBMが装着されたチヤツク
CKは、ボールエンドミルBMの軸半径RBMより大きい半径R
CKを有する円柱形状でなり、このチヤツクCKの中心軸に
対して、ボールエンドミルBMの中心軸OBMが一致するよ
うに装着されている。
この実施例の場合、CPUはボールエンドミルBM用のチ
ヤツクCKの諸元として、ボールエンドミルBMの切刃半径
rBM、チヤツクCKの半径RCK及びチヤツクCKの自由曲面側
の面(これを切削面とよぶ)からボールエンドミルBMの
先端までの距離でなる工具長lCK0を要求する。
ここでデザイナが、入力装置7のキーボードを用い
て、ボールエンドミルBMの切刃半径rBM、チヤツクCKの
半径RCK及びボールエンドミルBMの工具長lCK0を数値入
力すれば、CPUはこの入力データDTINを内部レジスタに
取り込み、次のステツプSP4に移る。
このステツプSP4においてCPUは、切削加工後の製品の
外形形状に対して、このボールエンドミルBMで切削する
際の仕上代δの指定入力を待ち、この状態で、上述のス
テツプSP3と同様に、デザイナが入力装置7のキーボー
ドを用いて、所望の仕上代δの値を数値入力すれば、CP
Uはこの入力データDTINを内部レジスタに取り込む。
続いてCPUは、第4図に示すように、上述のようにし
て内部レジスタに取り込んだボールエンドミルBM用のチ
ヤツクCKの諸元及び仕上代δを用いて、次のステツプSP
5において、次式 に基づいて、ボールエンドミルBM用のチヤツクCKの切削
面端部を基準点CP0として、当該基準点CP0が移動すべき
曲面を算出することにより、切削限界面データ を生成する。
この(8)式の右辺第1項から第3項は、製品の外形
形状を表す自由曲面のパツチ に対して、その法線ベクトル 方向に仕上代δ及びボールエンドミルBMの切刃半径rBM
分だけオフセツトしたオフセツトベクトル を表す。
またこれに加えて、(8)式の右辺第4項は、Z軸方
向の単位ベクトルを とおいて、オフセツトベクトル の先端から、当該ボールエンドミルBMの中心軸OBM方向
にチヤツクCKの切削面に向かう第2の直線ベクトル を表す。
さらに、(8)式の右辺第4項は、次式 で表されるX軸及びY軸に平行でなる水平方向の単位ベ
クトル に対して、チヤツクCKの半径RCKを乗算することによ
り、第2の直線ベクトル の先端から、チヤツクCKの切削面端部でなる基準点CP0
に向かう第3の直線ベクトル を表す。
このようにして(8)式の右辺は全体として、3次元
空間中における基準点CP0の位置ベクトルを表し、かく
して、ボールエンドミルBM用のチヤツクCKの切削面端部
でなる基準点CP0が移動すべき曲面を算出することによ
り、切削限界面データ を生成することができる。
なお、このボールエンドミルBM0用のチヤツクCKが、
水平平面でなる自由曲面のパツチ 上を通過する際には、パツチ の法線ベクトル がZ軸方向の単位ベクトル と平行になるため外積が0となり、(9)式の水平方向
の単位ベクトル は0となる。
これにより、(8)式について上述した、ボールエン
ドミルBM0用のチヤツクCKの切削限界面データ は、次式 で表されるように、自由曲面のパツチ 上に、仕上代δ及びボールエンドミルBMの工具長lCK0
けオフセツトした曲面形状で表されることがわかる。
なおCPUは、このステツプSP5において、ボールエンド
ミルBM用のチヤツクCKの切削限界面データ を生成した後、これを表示データDTDSPとして表示装置
6に送出した後、次のステツプSP6に移つて、当該切削
限界面データ作成処理手順SP1を終了する。
これにより、表示装置6の画面上には、切削対象の製
品の外形形状を表す自由曲面のパツチ に重ねて、切削限界面データ作成処理手順SP1において
生成された切削限界面データ が表示される。
かくしてデザイナは、表示装置6の画面を目視して、
自由曲面のパツチ 及び切削限界面データ の接触部分の有無を確認することにより、ボールエンド
ミルBM用のチヤツクCKを用いた際の、自由曲面を表すパ
ツチ に対するチヤツクCKの移動限界を検出でき、当該検出結
果に応じて、工具経路データDTCLを変更するようにすれ
ば、切削加工時のチヤツクCK及びボールエンドミルBMを
含む工具の破損を未然に防止し得る。
以上の方法によれば、自由曲面のパツチ を用いて、ボールエンドミルBM用のチヤツクCKを用いた
際の、チヤツクCKの切削限界面を表す切削限界面データ を容易に生成し得る自由曲面加工データ作成方法を実現
できる。
なお上述の実施例においては、チヤツクCKにボールエ
ンドミルBMを装着した際の、チヤツクCKの切削限界面を
表す切削限界面データ を生成した場合について述べたが、本発明はこれに限ら
ず、チヤツクCKにフラツトエンドミルやラジアスエンド
ミル等の他のエンドミルを装着した際の、チヤツクCKの
切削限界面を表す切削限界面データを生成する場合にも
適用し得る。
因に、第3図(B)に示すように、先端が平坦でなる
円柱形状を有し、その先端の平坦部分及び先端から所定
長分の円周部分に刃先CL1を備えるフラツトエンドミルF
MをチヤツクCKに装着した場合、CPUは、まず上述の切削
限界面データ作成処理手順SP1のステツプSP3において、
フラツトエンドミルFM用のチヤツクCKの諸元として、チ
ヤツクCKの半径RCK及びフラツトエンドミルFMの工具長l
CK1に加えて、フラツトエンドミルFMの軸半径RFMの数値
入力を要求する。
続いてCPUは、フラツトエンドミルFM用のチヤツクCK
の諸元及び仕上代δを用いて、次のステツプSP5におい
て、次式 に基づいて、フラツトエンドミルFM用のチヤツクCKの切
削面端部を基準点CP1として、当該基準点CP1が移動すべ
き曲面を算出することにより、切削限界面データ を生成する。
この(11)式の右辺第1項から第3項は、製品の外形
形状を表す自由曲面のパツチ に対して、その法線ベクトル 方向に仕上代δ及びフラツトエンドミルFMの軸半径RFM
分だけオフセツトしたオフセツトベクトル を表す。
またこれに加えて、(11)式の右辺第4項は、水平方
向の単位ベクトル に対して、法線ベクトル のZ軸に対する傾き角θを用いて、次式 RFM−RFM・sinθ ……(12) で表されるオフセツトベクトル の先端からフラツトエンドミルFMの軸OFMまでの距離を
乗算することにより、オフセツトベクトル の先端からフラツトエンドミルFMの軸OFMに向かう第1
の直線ベクトル を表す。
さらに(11)式の右辺第5項は、次式 lCK1−RFM・cosθ ……(13) で表される第1の直線ベクトル の先端からチヤツクCKの切削面までの距離を、Z軸方向
の単位ベクトル と乗算することにより、第1の直線ベクトル の先端からフラツトエンドミルFMの中心軸OFM方向にチ
ヤツクCKの切削面に向かう第2の直線ベクトル を算出する。
さらに(11)式の右辺第6項は、水平方向の単位ベク
トル に対して、チヤツクCKの半径RCKを乗算することによ
り、第2の直線ベクトル の先端から、チヤツクCKの切削面端部でなる基準点CP1
に向かう第3の直線ベクトル を表し、このようにして(11)式の右辺は全体として、
3次元空間中における基準点CP1の位置ベクトルを表
し、かくして、フラツトエンドミルFM用のチヤツクCKの
切削面端部でなる基準点CP1が移動すべき曲面を算出す
ることにより、フラツトエンドミルFM用のチヤツクCKの
切削限界面データ を算出することができる。
またこれに代え、第3図(C)に示すように、先端が
平坦でなる所定半径RRM(いわゆるメジヤーラジアス)
の円柱形状を有し、その先端の円周部分に所定半径rRM
(いわゆるマイナーラジアス)の刃先CL2を備えるラジ
アスエンドミルRMをチヤツクCKに装着した場合、CPU
は、まず上述と同様に切削限界面データ作成処理手順SP
1のステツプSP3において、ラジアスエンドミルRM用のチ
ヤツクCKの諸元として、チヤツクCKの半径RCK及びラジ
アスエンドミルRMの工具長lCK2、メジヤーラジアスRRM
及びマイナーラジアスrRMの数値入力を要求する。
続いてCPUは、指定入力されたラジアスエンドミルRM
用のチヤツクCKの諸元及び仕上代δを用いて、次のステ
ツプSP5において、次式 に基づいて、ラジアスエンドミルRM用のチヤツクCKの切
削面端部を基準点CP2として、当該基準点CP2が移動すべ
き曲面を算出することにより、切削限界面データ を生成する。
この(14)式の右辺第1項から第3項は、製品の外形
形状を表す自由曲面のパツチ に対して、その法線ベクトル 方向に仕上代δ及びラジアスエンドミルRMのマイナーラ
ジアスrRM分だけオフセツトしたオフセツトベクトル を表す。
またこれに加えて、(14)式の右辺第4項は、水平方
向の単位ベクトル に対して、ラジアスエンドミルRMのメジヤーラジアスR
RM及びマイナーラジアスrRMの差分を乗算することによ
り、オフセツトベクトル の先端からラジアスエンドミルRMの軸ORMに向かう第1
の直線ベクトル を表す。
さらに、(14)式の右辺第5項は、第4項で算出した
第1の直線ベクトル の先端から、チヤツクCKの切削面までの距離を、Z軸方
向の単位ベクトル と乗算することにより、第1の直線ベクトル の先端からラジアスエンドミルRMの中心軸ORM方向にチ
ヤツクCKの切削面に向かう第2の直線ベクトル を算出する。
さらに(14)式の右辺第6項は、水平方向の単位ベク
トル に対して、チヤツクCKの半径RCKを乗算することによ
り、第2の直線ベクトル の先端から、チヤツクCKの切削面端部でなる基準点CP2
に向かう第3の直線ベクトル を表し、このようにして(14)式の右辺は全体として、
3次元空間中における基準点CP2の位置ベクトルを表
し、かくして、ラジアスエンドミルRM用のチヤツクCKの
切削面端部でなる基準点CP2が移動すべき曲面を算出す
ることにより、ラジアスエンドミルRM用のチヤツクCKの
切削限界面データ を算出することができる。
なお上述の実施例においては、チヤツクの切削限界面
データを作成する際に、エンドミルが装着されたチヤツ
クの諸元に加えて仕上代δを、デザイナが指定入力する
ようにしたが、本発明はこれに限らず、仕上代δは予め
設定された値を用いるようにしても良く、さらに仕上代
δを用いないようにしても、上述の実施例と同様の効果
を実現できる。
また上述の実施例においては、チヤツクに装着された
エンドミルの刃先が、Z軸方向の下方に向くようになさ
れた3軸制御型NCフライス盤を用いた場合について述べ
たが、エンドミルの刃先方向はこれに限らず、例えば任
意に変更し得るような構成のNCフライス盤を用いても上
述の実施例と同様の効果を実現できる。
H発明の効果 上述のように本発明によれば、自由曲面を表すパツチ
に応じてチヤツクの切削面端部の移動経路を表す自由曲
面加工データを容易に生成し得る自由曲面加工データ作
成方法を実現でき、かくして、自由曲面を表すパツチに
対するチヤツクの移動限界を検出できることにより、チ
ヤツク及びエンドミルを含む工具の破損を未然に防止し
得る。
かくするにつき、CAD/CAMシステムとしての有用性を
格段的に向上し得る。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の一実施例による自由曲面加工データ作
成方法を適用したCAD/CAMシステムの全体構成を示すブ
ロツク図、第2図は本発明の自由曲面加工データ作成方
法による切削限界面データ作成処理手順を示すフローチ
ヤート、第3図はエンドミルとチヤツクの説明に供する
略線図、第4図はボールエンドミルを用いた自由曲面加
工データ作成方法の原理を示す略線図、第5図はフラツ
トエンドミルを用いた自由曲面加工データ作成方法の原
理を示す略線図、第6図はラジアスエンドミルを用いた
自由曲面加工データ作成方法の原理を示す略線図、第7
図は自由曲面の説明に供する略線図、第8図は接平面連
続の条件を示す略線図、第9図はオフセツトベクトルの
説明に供する略線図、第10図はボールエンドミルによる
自由曲面の切削加工を示す略線図である。 1……CAD/CAMシステム、2……自由曲面作成装置、3
……自由曲面切削用工具経路作成装置、4……NCミーリ
ングマシン、5……フロツピイデイスク、6……表示装
置、7……入力装置、BM……ボールエンドミル、FM……
フラツトエンドミル、RM……ラジアスエンドミル、
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭63−64109(JP,A) 特開 昭63−165906(JP,A) 特開 昭63−64105(JP,A) 特開 昭61−272805(JP,A) 特開 昭63−24305(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) G05B 19/4093

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】複数のパツチによつて形成された自由曲面
    を切削目標として、チヤツクに装着されたエンドミルを
    用いて切削加工する際に、上記チヤツクの移動経路を表
    す自由曲面加工データを生成する自由曲面加工データ作
    成方法において、 上記自由曲面を表す上記パツチの法線方向の単位ベクト
    ル及び上記エンドミルの切刃形状に基づいて、上記パツ
    チに対するオフセツトベクトルを算出し、 当該オフセツトベクトルの先端から、上記エンドミルの
    中心軸に対して垂直に向かう第1の直線ベクトルを算出
    し、 当該第1の直線ベクトルの先端から上記エンドミルの中
    心軸方向に上記チヤツクに向かう第2の直線ベクトルを
    算出すると共に、当該第2の直線ベクトルの先端から上
    記チヤツクの切削面端部に向かう第3の直線ベクトルを
    算出し、 上記オフセツトベクトル、上記第1、第2及び第3の直
    線ベクトルを用いて、上記パツチに応じて上記チヤツク
    の切削面端部の移動径路を表す自由曲面加工データを生
    成するようにした ことを特徴とする自由曲面加工データ作成方法。
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