JP2002265812A - 着色剤およびその使用 - Google Patents

着色剤およびその使用

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JP2002265812A
JP2002265812A JP2001066771A JP2001066771A JP2002265812A JP 2002265812 A JP2002265812 A JP 2002265812A JP 2001066771 A JP2001066771 A JP 2001066771A JP 2001066771 A JP2001066771 A JP 2001066771A JP 2002265812 A JP2002265812 A JP 2002265812A
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fluoflavin
resin
colorant
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Hitoshi Maki
均 牧
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Toyo Ink Mfg Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】顔料の要求特性のうち、特にその品質に影響を
及ぼす色彩的特性とりわけ着色力、鮮明性に優れ、且
つ、耐熱性に優れた新規のフルオフラビン顔料を用い、
高温での変退色の少ない耐熱性の優れた着色剤の提供に
ある。 【解決手段】下記一般式(1)示され比表面積が10〜
50m2/gである顔料と熱可塑性樹脂とからなること
を特徴とする着色剤。 一般式(1) 【化1】 (式中、R1〜R4は、それぞれ独立に、水素原子、ハロ
ゲン原子、水酸基、カルボン酸基もしくはハロゲン原子
で置換されていてもよいC1〜C3アルキル基、ハロゲン
原子で置換されていてもよいC1〜C3アルコキシ基、ま
たはハロゲン原子で置換されていてもよいフェニル基を
表す。)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は新規なフルオフラビ
ン系顔料を使用した着色剤およびその使用に関する。
【0002】
【従来の技術】有機顔料の中でも縮合多環系顔料と呼ば
れる一群の顔料は、耐熱性、耐光性、耐溶剤性等の諸耐
性に優れていることから高級顔料とも呼ばれ、これまで
に種々の顔料が開発されている。比較的早期に開発され
た代表的な顔料としてはアントラキノン、ペリレン、ペ
リノン等であり、次いでジオキサジン、キナクリドン、
イソインドリノン等が開発され、近年ではキノフタロ
ン、メチン系顔料等の開発が行われてきた。
【0003】これらの顔料のうちで、イソインドリノン
及びキノフタロンは特に黄色ないし橙色系の顔料として
開発されたものであり、イソインドリノン系顔料は1941
年に最初の報告例があり(J.Chem.Soc.,1941,625)、BP
833,548公報、Paint Technol.Official Digest,37,1071
等に見られる様に1960年代に顔料として使用される様に
なった。特に耐候性、耐溶剤性及び耐熱性において優れ
ていることから、樹脂、繊維の着色、塗料等に幅広く使
用されている。更に、近年では重金属系無機顔料の代替
としての需要も多い。キノフタロンはキナルジンと無水
フタル酸との縮合により合成される鮮明な黄色化合物で
ある。この化合物は顔料適性として、特に耐光性と耐溶
剤性を向上させる為の研究が行われ、例えば特公昭47-3
476号公報に見られる様に1970年代から顔料として使用
される様になった。
【0004】縮合多環系の顔料としては他にもフルオル
ビン、エピンドリジオン、フルオフラビン等の顔料が知
られている。フルオルビンは1903年に初めて合成された
化合物で(Ber.,36,4048)、顔料としては、例えば特公
昭38-17831号公報に見られる様に耐光性、耐溶剤性に優
れている。また、キナクリドンは1935年に初めて合成さ
れ(Ann.Chem.,518,245)、USP2,884,484公報、USP2,88
4,485公報に見られる様に1958年に新しい赤色顔料とし
て印刷インキ、塗料業界で広く用いられる様になった。
これをきっかけとして、キナクリドンに類似した構造の
化合物の探索研究が行われたが、フルオフラビンはその
時期に研究対象とされた化合物の一つである。フルオフ
ラビンは両側がベンゼン環に結合したアジン系化合物の
化学構造である。この化合物は、J.Polym.Sci.,Polym.C
hem.Ed.1966,4(11),2831に報告されている様に縮合多環
重合体のモノマーユニットとして最初に合成された。顔
料としての特許はUSP4,132,561がある。
【0005】一般に、顔料に要求される性質としては、
着色力、隠蔽力、鮮明性、透明性、色相等の色彩的特
性、耐光性、耐候性、耐熱性、耐酸性、耐アルカリ性、
耐溶剤性等の耐久性及び分散性、流動性等の使用適性が
挙げられる。これらの要求特性のうち色彩的特性及び耐
久性は顔料の品質に直接影響する性質であり、特に重要
である。また、顔料をプラスチック着色剤として用いる
場合には、ほとんどの場合200℃以上の温度での溶融状
態を経由し、この時に顔料が、顔料分散剤として用いら
れるワックス類、金属石鹸と相互作用することにより色
相変化を示すことがある。従って顔料に対してはこの様
な観点からの耐熱性や安定性も要求される。これまでに
述べた縮合多環系の高級顔料に関しても、以上述べた要
求特性の何れも満足する顔料は非常に限られているのが
現状であり、より優れた性質を有する新規顔料の出現が
期待されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、顔料
の要求特性のうち、特にその品質に影響を及ぼす色彩的
特性とりわけ着色力、鮮明性に優れ、且つ、耐熱性に優
れた新規のフルオフラビン顔料を用い、高温での変退色
の少ない耐熱性の優れた着色剤の提供にある。
【0007】さらに本発明は、本発明の着色剤を用いる
事で得られる優れた機械的特性の着色樹脂成形品、ある
いは優れた塗料適性を示す塗料組成物、あるいは優れた
記録適性を持つ情報記録用組成物を提供することを目的
とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者等は上記の課題
を解決するために、顔料に関して鋭意研究を行ってき
た。その結果、下記一般式(1)で表されるフルオフラ
ビン化合物を、顔料として使用可能な粒子径に整粒した
上で、熱可塑性樹脂の組成物とともに使用する事によっ
て、その色彩的特性及び耐久性において課題を解決する
ものであることを見出し、本発明を完成した。
【0009】すなわち本発明は、下記一般式(1)で示
され、比表面積が10〜50m2/gである顔料と熱可
塑性樹脂とからなることを特徴とする着色剤に関する。 一般式(1)
【0010】
【化2】
【0011】(式中、R1〜R4は、それぞれ独立に、水
素原子、ハロゲン原子、水酸基、カルボン酸基もしくは
ハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C3アルキル
基、ハロゲン原子で置換されていてもよいC1〜C3アル
コキシ基、またはハロゲン原子で置換されていてもよい
フェニル基を表す。) 更に本発明は、顔料20〜80重量%と熱可塑性樹脂2
0〜80重量%とからなる上記着色剤に関する。
【0012】更に本発明は、上記着色剤を配合するプラ
スチック成型物の製造方法に関する。
【0013】更に本発明は、上記着色剤を配合する情報
記録用組成物の製造方法に関する。
【0014】更に本発明は、上記着色剤を配合する被覆
組成物の製造方法に関する。
【0015】
【発明の実施の形態】本発明で用いるフルオフラビン化
合物の製造法は、その化学構造が対称形あるいは非対称
形であるかによって異なるが、既知の方法、例えばJ.Po
lym.Sci.,Polym.Chem.Ed.1966,4(11),2831に報告されて
いる方法によって製造することが出来る。製造方法によ
って純度に差があるため、必要に応じて非プロトン性極
性溶媒などで不純物の抽出精製や再結晶精製を行うのが
好ましい。
【0016】本発明で用いる一般式(1)で示されるフ
ルオフラビン化合物をさらに詳しく説明すると、一般式
(1)のR1〜R4は対称形に置換基が導入されている化
学構造の方が結晶学的にはより強固な結晶を作り上げる
ことが可能であるが、合成過程の特性上非対称形の化合
物も容易に製造することが出来る。さらに詳しくは以下
に示す化合物を例示できるが、本発明で利用できる化合
物はこの例示化合物のみに拘束はされない。
【0017】
【化3】
【0018】合成した状態のフルオフラビン化合物はそ
のままでは色相や着色力の点で顔料として利用すること
が出来ない。そこで、本発明ではソルトミリング、アシ
ッドペースティング、ドライミリングなどの方法によっ
て微細化を施すことによって、顔料としての諸適性が向
上するのみでなく耐候性、耐熱性が向上することを発見
するに至った。
【0019】ソルトミリングとは、合成したフルオフラ
ビン化合物と、フルオフラビン化合物に対して2〜20
重量倍の水溶性の無機塩と、フルオフラビン化合物に対
して0.5〜3重量倍の水溶性の溶剤とを加え、ニーダ
ー等で強く機械的に混練摩砕してフルオフラビン化合物
を微小化したのち、水溶性の無機塩および水溶性の溶剤
を除去する顔料化方法である。
【0020】水溶性の無機塩としては、塩化ナトリウ
ム、塩化カリウム、硫酸ナトリウムなどが用いられる。
水溶性の溶剤は、フルオフラビン化合物と磨砕助剤とし
て用いられる水溶性の無機塩とを適度な粘土状態をつく
り、充分な磨砕を効率よく行うためのバインダーとして
用いられ、水に溶解する溶剤であれば特に限定されない
が、混練時に温度が上昇して溶剤が蒸発し易い状態にな
るため、安全性の点から沸点120〜250℃の高沸点
の溶剤が好ましい。このような水溶性溶剤の具体的化合
物としては、2−メトキシエタノール、2−ブトキシエ
タノール、2−(イソペンチルオキシ)エタノール、2
−(ヘキシルオキシ)エタノール、ジエチレングリコー
ル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチ
レングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコ
ールモノブチルエーテル、トリエチレングリコール、ト
リエチレングリコールモノメチルエーテル、液体ポリエ
チレングリコール、1−メトキシ−2−プロパノール、
1−エトキシ−2−プロパノール、ジプロピレングリコ
ール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジ
プロピレングリコールモノエチルエーテル、低分子量ポ
リプロピレングリコール等が挙げられる。アシッドペー
スティングは、濃硫酸、トリフルオロ酢酸、クロロスル
ホン酸、ポリ燐酸等の強酸中にフルオフラビン化合物を
溶解し、均一な溶液とした後に、大量の水ないしは氷水
中に徐々に注入してフルオラビン顔料を析出させ、場合
によっては析出液を加熱することで粒子径制御を行った
後、大量の水で洗浄する顔料化方法である。
【0021】ドライミリングは、フルオフラビン化合物
を、アトライター、ボールミル、振動ミルなどの粉砕装
置により液状物質を添加することなくフルオフラビン化
合物を粉砕する顔料化方法である。
【0022】さらに、本発明の微細化の処理中及び/又
は微細化処理終了後にロジン、樹脂、脂肪酸、界面活性
剤及び分散剤等による表面処理を行って、所望の用途適
性を付与して用いることもできる。
【0023】本発明のフルオフラビン化合物は、顔料と
しての色彩的特性を発揮するために比表面積を10〜5
0m2/gに制御することが好ましい。比表面積が10m2/g
より小さいと合成したフルオフラビン化合物と殆ど同じ
性能しか発揮できず、すなわち色彩的特性は低着色力で
鮮明性が低い。一方、50m2/gを越えて細かい粒子にす
ると色彩的特性としては十分着色力があり高い鮮明性を
発揮するものの耐候性と耐熱性が極端に劣ることが判っ
た。
【0024】通常の有機顔料では、一般的に粒子を細か
くするほど色彩的特性は向上するが諸耐性は劣っていく
傾向が見られる。ところが、フルオフラビン化合物の場
合には合成したばかりのクルードの状態や弱い微細化で
得られる大きい粒子の諸耐性は顔料として使用に耐えう
る範囲にはないが、10〜50m2/gに比表面積を制御し
た場合には粒子が細かいほど諸耐性が向上する傾向が見
られた。色彩的特性は通常の顔料と同様に粒子が細かい
ほど向上することは変わりない。ところが、50m2/gを
越えて粒子を細かく制御すると従来の有機顔料と同様、
あるいは通常の有機顔料以上急速に粒子が細かいほど耐
熱性や耐候性が劣っていく傾向があることを確認した。
勿論粒子が細かくなるほど分散性が劣る傾向は、通常の
有機顔料と同様に確認できた。
【0025】さらに、本発明のフルオフラビン顔料は有
機溶媒に対して極めて難溶であるという性質を有してい
る。この性質は分子構造中のアミノ基の水素と他の分子
構造中のアミノ基の水素原子との間の水素結合に起因す
る強い分子間結合によるものであると推定できる。
【0026】本発明で使用する熱可塑性樹脂とは、常温
で固体の水不溶性樹脂で、従来、顔料の分散剤として用
いられている樹脂、マスターバッチあるいは着色ペレッ
トの担体樹脂として使用されている樹脂等を挙げること
が出来る。代表例として、ポリエチレン、ポリプロピレ
ン、ポリスチレン、ポリメチルペンテン、AS(スチレ
ン−アクリロニトリル)樹脂、ABS(アクリロニトリ
ル−ブタジエン−スチレン)樹脂、AES(アクリロニ
トリル−EPDM−スチレン)樹脂、メタクリル樹脂、
アクリルポリアミド、EVOH(エチレンビニールアル
コール)樹脂、ポリカーボネート、ポリエステル樹脂、
ポリブチレンテレフタレート、ポリアセタール、ポリ塩
化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリフェニレンオキサ
イド、ポリフェニレンサルファイド、ポリアリレート、
ポリアリルサルホン、フッ素樹脂、液晶ポリマー、及び
ポリスチレン系、ポリオレフィン系、ポリウレタン系の
熱可塑性エラストマー、及び上記樹脂類を主成分とする
天然及び合成ワックス等を挙げることが出来る。これら
の樹脂の分子量は、特に限定される物ではないが、重量
平均分子量として400〜80000の物が着色性の観
点から好ましい。
【0027】本発明で使用する熱可塑性樹脂の融点は、
本発明の着色剤の用途に依存すものであって特に限定さ
れる物ではないが、好ましくは60〜200℃の物を選
択して使用するのが適当である。ここで、樹脂の融点
は、DSC ASTMD−3418の方法により測定し
たものである。
【0028】本発明の着色剤を製造するに当たって、本
発明の効果を阻害しない範囲内で必要に応じて少量の酸
化防止剤、紫外線吸収剤等の安定化剤、分散剤、帯電防
止剤、電荷調整剤等の機能性付与添加剤、無機フィラ
ー、ガラス繊維、有機繊維等の構造強化材を併用しても
良い。
【0029】本発明の着色剤の製造に当たっては、フル
オフラビン顔料は含水ペーストあるいは乾燥粉末のいず
れでの形態のものでも使用可能である。
【0030】本発明の着色剤の製造方法は、フルオフラ
ビン顔料の形態によって異なる。水性ペーストの状態の
フルオフラビン顔料から着色剤を製造する場合には、そ
の製造は二工程からなり、第一工程は熱可塑性樹脂と顔
料ケーキと分散剤、電荷調整剤、帯電防止剤、酸化防止
剤、紫外線吸収剤、無機フィラー、ガラス繊維、有機繊
維等の添加剤との混合及び顔料を樹脂中に移行させ、水
を顔料から分離せしめる工程であり、第二工程は第一工
程の混合物を加熱して、残存する水を完全に除去すると
共に加熱混練する工程からなる。フルオフラビン顔料の
含水ペーストの顔料含有量は15重量%〜80重量%、
好ましくは20重量%〜70重量%のものが良い。
【0031】第一工程で使用する加工機械としては、バ
ッチ式のフラッシャー、スーパーミキサー、ヘンシェル
ミキサー等や連続式の単軸ないしは複軸式押出混練機を
用いる。連続式の混練機を用いる場合には、あらかじめ
フルオフラビン顔料と各種添加剤と熱可塑性樹脂をあら
かじめ非加熱状態で混合しておき、作成した混合物を連
続式混練機に適用することも可能である。これらのバッ
チ式あるいは連続式混練機に於いては、混練の開始と同
時に摩擦によって発熱するが、顔料をペースト中の水分
から熱可塑性樹脂相への移行を達成させることを目的と
するため、初期には熱可塑性樹脂の種類に関わらず、概
ね90℃位になるよう制御するのが良い。充分に水が分
離した時点で第一の工程は終了する。
【0032】顔料ペーストから水分が分離した時点で水
分を系外へ除去の所作を施し、第二工程として開始す
る。具体的には減圧下での蒸留操作が適当である。第二
工程は、第一工程に引き続いて実施するのが良く、従っ
て、減圧蒸留は90℃から開始して最終的に用いている
熱可塑性樹脂の軟化点以上の温度まで加熱混練すること
で目的とする顔料の濃度が高く、分散性に優れ、鮮明
性、透明性にも優れた顔料分散体を製造できる着色剤が
得られる。
【0033】フルオフラビン顔料が乾燥粉末である場合
も上記水性ペーストの場合と同様に、バッチ式のフラッ
シャー、スーパーミキサー、ヘンシェルミキサー等や連
続式の単軸ないしは複軸式押出混練機を用いることが出
来る。また、連続式の機械を適用する場合にあっては、
上記同様にあらかじめフルオフラビン系顔料と各種添加
剤と熱可塑性樹脂をあらかじめ非加熱状態で混合してお
き、作成した混合物を連続式混練機に適用することも可
能である。
【0034】乾燥顔料を用いる場合には上記水性ペース
トで説明した二工程の内、後工程の部分のみで本発明を
達成できる。具体的には、顔料及び熱可塑性樹脂と必要
に応じて使用する添加剤を混練機に投入し、混練下で加
熱を行い、最終的に使用する熱可塑性樹脂の軟化点以上
に加熱することで、目的とする顔料の濃度が高く、分散
性に優れ、鮮明性、透明性にも優れた顔料分散体を製造
できる着色剤が得られる。
【0035】本発明に係る着色剤は、フルオフラビン顔
料を高濃度に含有して成形時に被着色樹脂で希釈される
マスターバッチとして使用することができ、フルオロフ
ラビン顔料は20〜80重量%含有することが好まし
い。上記数値未満では、目的の色相や着色力を得るため
に大量の着色剤を用いなければならず経済的に好ましく
ないことに加え、機械物性に悪影響を及ぼすおそれがあ
る。また、上記数値を越えると着色剤の製造自体が困難
となり、顔料分散性に悪影響を及ぼすおそれがある。
【0036】本発明により得られる着色剤は、合成繊
維、プラスチックフィルム等のプラスチック成形物、複
写機用トナー、インクジェットプリンター用インキ等の
情報記録用組成物、グラビアインキ、塗料等の被覆組成
物の着色に広範に用いることができる。
【0037】本発明の着色剤が使用されるプラスチック
としては、ポリオレフィン、ポリメチルペンテン、AS
(スチレン−アクリロニトリル)樹脂、ABS(アクリ
ロニトリル−ブタジエン−スチレン)樹脂、AES(ア
クリロニトリル−EPDM−スチレン)樹脂、メタクリ
ル樹脂、アクリルポリアミド、EVOH(エチレンビニ
ールアルコール)樹脂、ポリカーボネート、ポリエステ
ル樹脂、ポリブチレンテレフタレート、ポリアセター
ル、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリフェニ
レンオキサイド、ポリフェニレンサルファイド、ポリア
リレート、ポリアリルサルホン、フッ素樹脂、液晶ポリ
マー、及びポリスチレン系、ポリオレフィン系、ポリウ
レタン系の熱可塑性エラストマー等がある。
【0038】本発明の着色剤を複写機用トナーに使用す
るには、本発明の着色剤と、ポリオレフィン系樹脂、ポ
リメチルペンテン、AS(スチレン−アクリロニトリ
ル)樹脂、ABS(アクリロニトリル−ブタジエン−ス
チレン)樹脂、AES(アクリロニトリル−EPDM−
スチレン)樹脂、メタクリル樹脂、アクリルポリアミ
ド、EVOH(エチレンビニールアルコール)樹脂、ポ
リカーボネート、ポリエステル樹脂、ポリブチレンテレ
フタレート、ポリアセタール、ポリ塩化ビニル、ポリ塩
化ビニリデン、ポリフェニレンオキサイド、ポリフェニ
レンサルファイド、ポリアリレート、ポリアリルサルホ
ン、フッ素樹脂、液晶ポリマー、及びポリスチレン系、
ポリオレフィン系、ポリウレタン系の熱可塑性エラスト
マー等の熱可塑性樹脂やワックス類と電荷調整剤、耐摩
擦剤等を添加して混練し、粉砕分級することで優れた着
色特性と画像形成性、耐候性、耐熱性の黄色複写機用ト
ナーを得ることが出来る。
【0039】本発明の着色剤は、天然あるいは合成ワッ
クス、高級アルコール系界面活性剤、有機溶剤等と少量
の熱可塑性樹脂等と熱可塑性樹脂の溶融温度以上に加熱
して混練することで優れた着色特性と耐候性、耐熱性の
黄色インクジェットインキを得ることが出来る。
【0040】本発明の着色剤は、高級アルコール系界面
活性剤、有機溶剤等とビヒクル用樹脂等と熱可塑性樹脂
の溶融温度以上に加熱して混練することで優れた着色特
性と混色安定性、耐候性、耐熱性の黄色グラビアインキ
組成物あるいは塗料組成物を得ることが出来る。
【0041】グラビアインキ用ビヒクルとしては、例え
ば、ガムロジン、ウッドロジン、トール油ロジン、石灰化
ロジン、ライムロジン、ロジンエステル、マレイン酸樹脂、
ギルソナイト、ダンマル、セラック、ポリアミド樹脂、
ビニル樹脂、ニトロセルロース、環化ゴム、塩化ゴム、
エチルセルロース、酢酸セルロース、エチレン−酢酸ビ
ニル共重合体樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ア
ルキッド樹脂等の樹脂混合物と、n−ヘキサン、トルエ
ン、メタノール、エタノール、アセトン、酢酸エチル、乳酸
エチル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレ
ングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコール
モノブチルエーテル、イソプロピルアルコール、クロルベ
ンゾール、エチルエーテル、メチルエチルケトン、アセ
ト酢酸エチル等の溶剤から成るものであって、それらの
配合割合は、重量比で、樹脂混合物:溶剤=10〜50
部:30〜80部の範囲が好ましい。本発明のジスアゾ
顔料を配合したグラビアインキ用ビヒクルは、必要に応
じて、例えば硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシ
ウム、石膏、アルミナホワイト、クレー、シリカ、シリカ
ホワイト、タルク、珪酸カルシウム、沈降性炭酸マグネシ
ウム等の体質顔料の他、補助剤として、可塑剤、紫外線防
止剤、酸化防止剤、帯電防止剤等の公知の添加剤を適宜配
合して印刷インキとすることができる。
【0042】塗料用ビヒクルとしては、ニトロセルロー
スラッカー、アミノアルキド樹脂、アクリルラッカー、
アミノアクリル樹脂、ウレタン樹脂、ポリビニルアセタ
ール樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、塩化ビニ
ル樹脂、フッ化ビニリデン樹脂、フッ化ビニル樹脂、ポ
リエーテルスルホン樹脂等と脂肪族炭化水素系、芳香族
炭化水素系、ハロゲン化炭化水素系、アルコール系、ケ
トン系、エステル系、エーテル系、エーテル・アルコー
ル系、エーテル・エステル系、水等の溶媒との組み合わ
せを主成分とするビヒクルがある。
【0043】
【実施例】以下に、実施例により本発明をさらに詳しく
説明するが、本発明の技術思想を逸脱しない限り、本発
明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、以
下、「重量部」は単に「部」、「重量%」は単に「%」と
記載する。
【0044】1.フルオフラビン化合物の製造 <製造例1> 無置換フルオフラビン化合物の製造 500mlフラスコにo−フェニレンジアミン60部と
シュウ酸2水和物77.2部を入れ、さらに35%塩酸
140部と水120部を入れて撹拌しながら加熱を始め
る。内温が50℃付近になると内容物が一旦全て溶解
し、さらに加熱を続けて内温が70℃を越えたところで
白い生成物が一斉に析出してくる。さらに加熱を続けて
内温を105℃で維持し90分間この状態を続けた。そ
の後、70℃まで内温を下げて濾過、水洗、乾燥して8
8.9部の生成物(ジヒドロキシキノキサリン)を得
た。得られたジヒドロキノキサリン85部と塩化チオニ
ル413部を500mlのセパラブルフラスコに入れた
のち、ジメチルフォルムアミド15部を少量ずつフラス
コに添加し、加熱を始める。加熱開始からしばらくは内
温が45℃以上には上がらない。この状態で2時間加熱
撹拌を維持すると、内容物が徐々に溶解し始めると同時
に内温が上昇を始める。内温が上昇し始めてから2時間
後に90℃に達する。この時点で蒸気を系外で冷却して
塩化チオニルを回収するように切り替え、内温が110
℃に達した時点で加熱及び塩化チオニルの回収を止め、
内容物を5℃まで冷却する。内容物は冷水に取り出した
のち、良く水洗し乾燥して101.9部の生成物(ジク
ロロキノキサリン)を得た。得られたジクロロキノキサ
リン100部とo−フェニレンジアミン114部をエチ
レングリコール300部と共に500mlのフラスコに
入れ、140℃まで加熱撹拌する。内温が140℃に達
した時点で加熱のみを止めるが、内温は反応の進捗によ
って、180℃まで上昇する。内温が一旦上昇した後1
40℃まで下がったら加熱を再開して1時間加熱撹拌を
続ける。その後内容物を80℃まで冷却して濾過、洗
浄、乾燥して生成物(フルオフラビン化合物)108.
4部を得た。
【0045】<製造例2> テトラメチルフルオフラビ
ン化合物の製造 500mlフラスコに4,5−ジメチル−1,2−フェ
ニレンジアミン76部とシュウ酸2水和物77.2部を
入れ、さらに35%塩酸140部と水120部を入れて
撹拌しながら加熱を始める。内温が50℃付近になると
内容物が一旦全て溶解し、さらに加熱を続けて内温が7
0℃を越えたところで白い生成物が一斉に析出してく
る。さらに加熱を続けて内温を105℃で維持し90分
間この状態を続けた。その後、70℃まで内温を下げて
濾過、水洗、乾燥して104.8部の生成物(ジメチル
ジヒドロキシキノキサリン)を得た。得られたジメチル
ジヒドロキノキサリン100部と塩化チオニル413部
を500mlのセパラブルフラスコに入れたのち、ジメ
チルフォルムアミド15部を少量ずつフラスコに添加
し、加熱を始める。加熱開始からしばらくは内温が45
℃以上には上がらない。この状態で2時間加熱撹拌を維
持すると、内容物が徐々に溶解し始めると同時に内温が
上昇を始める。内温が上昇し始めてから2時間後に90
℃に達する。この時点で蒸気を系外で冷却して塩化チオ
ニルを回収するように切り替え、内温が110℃に達し
た時点で加熱及び塩化チオニルの回収を止め、内容物を
5℃まで冷却する。内容物は冷水に取り出したのち、良
く水洗し乾燥して102.8部の生成物(ジメチルジク
ロロキノキサリン)を得た。得られたジメチルジクロロ
キノキサリン100部と4,5−ジメチル−1,2−フ
ェニレンジアミン131.7部をエチレングリコール3
00部と共に500mlのフラスコに入れ、140℃ま
で加熱撹拌する。内温が140℃に達した時点で加熱の
みを止めるが、内温は反応の進捗によって、180℃ま
で上昇する。内温が一旦上昇した後140℃まで下がっ
たら加熱を再開して1時間加熱撹拌を続ける。その後内
容物を80℃まで冷却して濾過、洗浄、乾燥して生成物
(テトラメチルフルオフラビン化合物)112.5部を
得た。
【0046】<製造例3> 塩素化フルオフラビン化合
物の製造 500mlフラスコに4−クロロ−1,2−フェニレン
ジアミン80部とシュウ酸2水和物77.2部を入れ、
さらに35%塩酸140部と水120部を入れて撹拌し
ながら加熱を始める。内温が50℃付近になると内容物
が一旦全て溶解し、さらに加熱を続けて内温が70℃を
越えたところで白い生成物が一斉に析出してくる。さら
に加熱を続けて内温を105℃で維持し90分間この状
態を続けた。その後、70℃まで内温を下げて濾過、水
洗、乾燥して108.6部の生成物(塩素化ジヒドロキ
シキノキサリン)を得た。得られた塩素化ジヒドロキノ
キサリン104部と塩化チオニル413部を500ml
のセパラブルフラスコに入れたのち、ジメチルフォルム
アミド15部を少量ずつフラスコに添加し、加熱を始め
る。加熱開始からしばらくは内温が45℃以上には上が
らない。この状態で2時間加熱撹拌を維持すると、内容
物が徐々に溶解し始めると同時に内温が上昇を始める。
内温が上昇し始めてから2時間後に90℃に達する。こ
の時点で蒸気を系外で冷却して塩化チオニルを回収する
ように切り替え、内温が110℃に達した時点で加熱及
び塩化チオニルの回収を止め、内容物を5℃まで冷却す
る。内容物は冷水に取り出したのち、良く水洗し乾燥し
て105.6部の生成物(塩素化ジクロロキノキサリ
ン)を得た。得られた塩素化ジクロロキノキサリン10
4部と4,5−ジクロロ−1,2−フェニレンジアミン
175部をエチレングリコール300部と共に500m
lのフラスコに入れ、140℃まで加熱撹拌する。内温
が140℃に達した時点で加熱のみを止めるが、内温は
反応の進捗によって、180℃まで上昇する。内温が一
旦上昇した後140℃まで下がったら加熱を再開して1
時間加熱撹拌を続ける。その後内容物を80℃まで冷却
して濾過、洗浄、乾燥して生成物(トリクロロフルオフ
ラビン化合物)129.9部を得た。
【0047】2.フルオフラビン化合物の顔料化 <実施例1>製造例1で製造したフルオフラビン化合物
の1−メチル−2−ピロリドンによる精製物100部を
900部の98%硫酸に10℃以上に温度が上がらない
よう徐々に加える。全てのフルオフラビン化合物を硫酸
に溶解してから5℃で1時間撹拌する。その後氷水中に
温度が45℃以上にならないよう制御しながらフルオフ
ラビンの硫酸溶解液を滴下し、濾過、水洗してフルオフ
ラビン顔料を得た。得られた顔料ペーストを乾燥したも
のの比表面積は15.2m2/gであった。
【0048】<実施例2>製造例1で製造したフルオフ
ラビン化合物の1−メチル−2−ピロリドンによる精製
物100部を1000部の塩及び160部のエチレング
リコールと共に3リットルのニーダーに投入し、内温が
80℃になるよう加温しながら6時間混練した。取り出
した混練物を10リットルの湯に投入して塩とエチレン
グリコールを溶解し、濾別、水洗してフルオフラビン顔
料を得た。得られた顔料ペーストを乾燥したものの比表
面積は22.9m2/gであった。
【0049】<実施例3>製造例1で製造したフルオフ
ラビン化合物の1−メチル−2−ピロリドンによる精製
物80部を1リットルのアトライター(三井金属鉱山
製)に仕込み、直径3/8インチの硬球2.3kgを入
れて周速0.3m/s、外温100℃で1時間磨砕し
た。取り出した磨砕物30部を500mlのフラスコに
投入し、200部の水と10部の苛性ソーダと50部の
酢酸エチルを投入し、80℃で加熱撹拌1時間処理して
そのまま濾過、水洗してフルオフラビン顔料を得た。得
られた顔料ペーストを乾燥したものの比表面積は30.
7m2/gであった。
【0050】<実施例4>実施例1で得られたフルオフ
ラビン顔料の乾燥前ペーストの固形分換算で30部を5
00mlのフラスコに投入し、200部の水と10部の
苛性ソーダと50部の酢酸エチルを投入し、80℃で加
熱撹拌1時間処理してそのまま濾過、水洗してフルオフ
ラビン顔料を得た。得られた顔料ペーストを乾燥したも
のの比表面積は35.8m2/gであった。
【0051】<実施例5>実施例1で得られたフルオフ
ラビン顔料の乾燥物100部を1000部の塩及び16
0部のエチレングリコールと共に3リットルのニーダー
に投入し、内温が80℃になるよう加温しながら6時間
混練した。取り出した混練物を10リットルの湯に投入
して塩とエチレングリコールを溶解し、濾別、水洗して
フルオフラビン顔料を得た。得られた顔料ペーストを乾
燥したものの比表面積は44.8m 2/gであった。
【0052】<比較例1>製造例1で製造したフルオフ
ラビン化合物の1−メチル−2−ピロリドンによる精製
物100部と700部の塩及び140部のエチレングリ
コールと共に3リットルのニーダーに投入し、内温が9
0℃になるよう加温しながら2時間混練した。取り出し
た混練物を10リットルの湯に投入して塩とエチレング
リコールを溶解し、濾別、水洗してフルオフラビン顔料
を得た。得られた顔料ペーストを乾燥したものの比表面
積は8.5m2/gであった。
【0053】<比較例2>製造例1で製造したフルオフ
ラビン化合物の1−メチル−2−ピロリドンによる精製
物100部と1000部の塩及び160部のエチレング
リコールと共に3ットルのニーダーに投入し、内温が5
0℃になるよう加温しながら12時間混練した。取り出
した混練物を10リットルの湯に投入して塩とエチレン
グリコールを溶解し、濾別、水洗してフルオフラビン顔
料を得た。得られた顔料ペーストを乾燥したものの比表
面積は65.5m2/gであった。
【0054】<比較例3>製造例1で製造したフルオフ
ラビン化合物の1−メチル−2−ピロリドンによる精製
物100部と1300部の塩及び200部のエチレング
リコールと共に3リットルのニーダーに投入し、内温が
50℃になるよう加温しながら18時間混練した。取り
出した混練物を10リットルの湯に投入して塩とエチレ
ングリコールを溶解し、濾別、水洗してフルオフラビン
顔料を得た。得られた顔料ペーストを乾燥したものの比
表面積は82.8m2/gであった。
【0055】<実施例6>製造例2で製造したテトラメ
チルフルオフラビン化合物の1−メチル−2−ピロリド
ンによる精製物100部を900部の98%硫酸に10
℃以上に温度が上がらないよう徐々に加える。全てのフ
ルオフラビン化合物を硫酸に溶解してから5℃で1時間
撹拌する。その後氷水中に温度が45℃以上にならない
よう制御しながらフルオフラビンの硫酸溶解液を滴下
し、濾過、水洗してフルオフラビン顔料を得た。得られ
た顔料ペーストを乾燥したものの比表面積は14.8m
2/gであった。
【0056】<実施例7>製造例2で製造したトリメチ
ルフルオフラビン化合物の1−メチル−2−ピロリドン
による精製物100部を1000部の塩及び160部の
エチレングリコールと共に3リットルのニーダーに投入
し、内温が80℃になるよう加温しながら6時間混練し
た。取り出した混練物を10リットルの湯に投入して塩
とエチレングリコールを溶解し、濾別、水洗してフルオ
フラビン顔料を得た。得られた顔料ペーストを乾燥した
ものの比表面積は28.7m2/gであった。
【0057】<実施例8>製造例3で製造したトリクロ
ロフルオフラビン化合物の1−メチル−2−ピロリドン
による精製物100部を900部の98%硫酸に10℃
以上に温度が上がらないよう徐々に加える。全てのフル
オフラビン化合物を硫酸に溶解してから5℃で1時間撹
拌する。その後氷水中に温度が45℃以上にならないよ
う制御しながらフルオフラビンの硫酸溶解液を滴下し、
濾過、水洗してフルオフラビン顔料を得た。得られた顔
料ペーストを乾燥したものの比表面積は15.0m2
gであった。
【0058】<実施例9>製造例3で製造したトリクロ
ロフルオフラビン化合物の1−メチル−2−ピロリドン
による精製物100部を1000部の塩及び160部の
エチレングリコールと共に3リットルのニーダーに投入
し、内温が80℃になるよう加温しながら6時間混練し
た。取り出した混練物を10リットルの湯に投入して塩
とエチレングリコールを溶解し、濾別、水洗してフルオ
フラビン顔料を得た。得られた顔料ペーストを乾燥した
ものの比表面積は27.7m2/gであった。
【0059】3.着色剤の作成 実施例1〜9および比較例1〜3のフルオフラビン顔料
について、以下に示す方法でそれぞれ本発明の着色剤に
加工した。
【0060】<実施例10〜18>実施例1〜9で得ら
れたフルオフラビン顔料の水性ペーストの固形分換算で
50部と軟化点100℃の低密度ポリエチレン(密度
0.92g/cm3、溶融粘度指数《=メルトインデッ
クス、以下MIと記す。》3)49.5部、及び分散剤
としてステアリン酸マグネシウム0.5部をスーパーミ
キサー(カワタ社製)に投入して5分間混合した。この
混合物をスクリュー式定量フィーダーで連続的に減圧脱
気機構の設けてある連続式回転円盤スクリュー式混練機
(KCK社製)に供給して、混練部90℃、ヘッド部1
10℃で混練することによって着色剤を得た。
【0061】<比較例4〜6>比較例1〜3で得られた
フルオフラビン系顔料の水ペーストを上記実施例10〜
18と同様に操作して着色剤を得た。
【0062】<実施例19〜27>実施例1〜9で得ら
れたフルオフラビン系顔料の乾燥粉50部とポリエチレ
ン樹脂を熱分解して得られたポリエチレンワックス50
部を3本ロールで混練し、得られた混練物50部に対し
てMI=55の低密度ポリエチレン樹脂50部を加えて
L/D=25の二軸押出機で混練部140℃で混練して
着色剤を得た。
【0063】<比較例7〜9>比較例1〜3で得られた
フルオフラビン顔料の乾燥粉を上記実施例19〜27と
同様に操作して着色剤を得た。
【0064】<実施例28〜90>実施例1〜9で得ら
れたフルオフラビン系顔料の水性ペーストの固形分換算
で50部と、表1に示す熱可塑性樹脂50部をあらかじ
めスーパーミキサーで5分間混合し、その混合物をL/
D=25の減圧脱気機構の設けてある二軸押出機で混練
部90℃、脱気部110℃、ヘッド部140℃で操作す
ることで着色剤を得た。
【0065】<比較例10〜30>比較例1〜3で得ら
れたフルオフラビン系顔料の水ペーストを実施例28〜
90と同様に操作して着色剤を得た。
【0066】
【表1】
【0067】4.着色剤の評価 上記実施例10〜90及び比較例4〜30で得られた着
色剤は、以下の各項目についてそれぞれ評価を行った。 [プラスチック成形物用着色剤としての評価] (1)分散性 ヘッド部分に1000メッシュのステンレス金網を装着
した単軸押出機で着色樹剤を顔料分換算で500g分を
押出通過させ、金網部での圧力上昇を測定した。
【0068】(2)着色力 得られた着色剤を単軸押出機を用いて顔料分0.1%、
顔料/二酸化チタン=1/14になるよう希釈し、その
着色力を比較例4を100%として測定した。
【0069】(3)耐熱性 得られた着色剤をメルトインデックス測定機(東洋精機
社製)で250℃に加熱し、加熱開始1分後に取り出し
たサンプルと、加熱後10分後に取り出したサンプルを
それぞれ厚さ2mmのプレート状に成形し、その色相差
(ΔE*)を測定した。
【0070】(4)フィルム分散性(グリッド個数測
定) 得られた着色剤をポリプロピレン樹脂中に顔料分が0.
1%に希釈して厚さ30μmのインフレーションフィル
ムに成形し、1m2あたりの各フィルム中の1μm以上
50μm以下の顔料の粒子数(グリッド個数)を、画像
処理機 「Luzex450」(東洋インキ製造社製)
で測定し、以下のスコアを与えた。
【0071】5:1.0×102個/m2以下 4:1.0×102〜7.0×102個/m2以下 3:7.0×102〜2.7×103個/m2以下 2:2.7×103〜7.0×103個/m2以下 1:7.0×103個/m2以上 上記スコアで、ランク5ないし4であれば実用上問題な
く使用可能である。測定する。評価は以下の5段階で表
す。以上4項目の評価結果を以下の表2に示す。
【0072】
【表2】
【0073】[塗料組成物用着色剤としての評価] (5)塗料の着色力 実施例10〜18及び比較例4〜6で得られた着色剤の
顔料分換算で10部相当に対して下記配合比の塗料用ビ
ヒクル90部及び2mmφジルコニアビーズ300部を
225mlガラス製ポットに投入し、ペイントコンディ
ショナーで1時間分散して塗料組成物を作成した。作成
した塗料組成物と二酸化チタンを使用した白塗料と顔料
比でフルオフラビン:白=1:5になるよう混合し、濡
れ膜厚100μmでアート紙に展色した展色物を作成
し、比較例4のサンプルを100%として各サンプルの
着色力を測定した。
【0074】(塗料用ビヒクルの組成) アルキド樹脂ワニス (不揮発分60%) 52部 メラミン樹脂ワニス (不揮発分50%) 23部 キシレン 15部 (6)塗料光沢 (5)で作成した濃色塗料を濡れ膜厚100μmでアー
ト紙に展色した展色物の光沢(60度グロス)を測定し
た。
【0075】[グラビアインキ組成物用着色剤としての
評価] (7)グラビアインキ着色力 実施例10〜18及び比較例4〜6で得られた着色剤の
顔料分換算で10部相当に対して下記配合比のグラビア
インキ用ビヒクル90部及び2mmφジルコニアビーズ
300部を225mlガラス製ポットに投入し、ペイン
トコンディショナーで1時間分散してグラビアインキ組
成物を作成した。作成したグラビアインキ組成物と二酸
化チタンを使用した白インキと顔料比でフルオフラビ
ン:白=1:10になるよう混合し、濡れ膜厚21μm
でフィルムに展色した展色物を作成し、比較例4のサン
プルを100%として各サンプルの着色力を測定した。
【0076】 (グラビアインキ用ビヒクルの組成) ロジンカルシウム/ロジン亜鉛樹脂ワニス (不揮発分70%) 80部 トルエン 10部 (8)グラビアインキ光沢 (7)で作成した濃色インキを濡れ膜厚21μmでフィ
ルムに展色した展色物の光沢(60度グロス)を測定し
た。以上の塗料及びグラビアインキの評価結果を以下の
表3に示す。
【0077】
【表3】
【0078】[インクジェットインキ用着色剤としての
評価] (9)インキの高温安定性 実施例19〜27及び比較例7〜9で得られた着色剤1
0部に対し、高級アルコール系ワックス70部とパラフ
ィン系ワックス10部を溶融混練して作成したインキ組
成物を130℃で3日間放置し、その安定性を以下のよ
うに評価した。
【0079】 分離無し : ○ 僅かに分離: △ 完全に分離: × [複写機用トナー用着色剤としての評価] (10)トナー定着性 実施例19〜27及び比較例7〜9で得られた着色剤1
0部と非線状ポリエステル樹脂90部をヘンシェルミキ
サーで混合した後、エクストルーダーで溶融混練し、粉
砕、分級してイエロートナー粒子を得た。得られたイエ
ロートナー粒子の体積平均粒径をコールターカウンター
(TA−II)で求めたところ8.5μmであった。上記
イエロートナー粒子に対して疎水化処理したアナターゼ
型酸化チタン微粒子を0.6%添加し、イエロートナー
とした。得られた各イエロートナー4部と、平均粒径5
0μmのフェライト粒子をシリコーンコートしたキャリ
ア96部を混合して現像剤とし、市販のデジタルカラー
複写機(150℃で加熱定着)を用い、各イエロートナ
ー0.8mg/cm2 をデジタルカラー複写機で紙上に
連続して1000枚複写する際の画像定着性を評価し
た。評価方法は以下の通りである。
【0080】 ◎: 殆どかすれ無し。 ○: 1000枚中10枚以下でかすれ有り。 △: 1000枚中10枚以上20枚かすれ有り。 ×: 1000枚中20枚以上かすれ有り。 以上の情報記録用組成物の評価結果を以下の表4に示
す。
【0081】
【表4】
【0082】
【発明の効果】本発明のフルオフラビン系顔料を用いた
着色剤は、合成繊維、プラスチックフィルム等のプラス
チック成形物等の着色剤、複写機用トナー、インクジェ
ットインキ等の情報記録用着色剤、グラビアインキ組成
物、塗料組成物等の被覆組成物用着色剤として優れた性
能を発揮することが判った。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C09D 201/00 C09D 201/00 Fターム(参考) 4H056 DD07 EA13 FA01 4J002 BB031 BB121 BB171 BC031 BC061 BD041 BD101 BD121 BE021 BE031 BG051 BG101 BN061 BN151 CB001 CF001 CF071 CF171 CG001 CK021 CL001 CN011 CN031 EU136 FD096 GS00 4J038 EA011 JB33 KA08

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式(1)示され比表面積が10
    〜50m2/gである顔料と熱可塑性樹脂とからなるこ
    とを特徴とする着色剤。 一般式(1) 【化1】 (式中、R1〜R4は、それぞれ独立に、水素原子、ハロ
    ゲン原子、水酸基、カルボン酸基もしくはハロゲン原子
    で置換されていてもよいC1〜C3アルキル基、ハロゲン
    原子で置換されていてもよいC1〜C3アルコキシ基、ま
    たはハロゲン原子で置換されていてもよいフェニル基を
    表す。)
  2. 【請求項2】 顔料20〜80重量%と熱可塑性樹脂2
    0〜80重量%とからなる請求項1記載の着色剤。
  3. 【請求項3】 請求項1または2記載の着色剤を配合す
    るプラスチック成型物の製造方法。
  4. 【請求項4】 請求項1または2記載の着色剤を配合す
    る情報記録用組成物の製造方法。
  5. 【請求項5】 請求項1または2記載の着色剤を配合す
    る被覆組成物の製造方法。
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