JP2002265799A - 難燃性樹脂の製造方法、難燃性樹脂組成物及び成形品 - Google Patents

難燃性樹脂の製造方法、難燃性樹脂組成物及び成形品

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JP2002265799A
JP2002265799A JP2001066831A JP2001066831A JP2002265799A JP 2002265799 A JP2002265799 A JP 2002265799A JP 2001066831 A JP2001066831 A JP 2001066831A JP 2001066831 A JP2001066831 A JP 2001066831A JP 2002265799 A JP2002265799 A JP 2002265799A
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resin
heat
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retardant
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JP2001066831A
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Takashi Kai
丘 甲斐
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Canon Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 難燃剤を多量に含まずとも難燃性に優れ、溶
融樹脂の滴下防止効果に卓越した効果を示し、燃焼時の
滴下による延焼を防止し、表面外観に優れ、流動性にも
優れた、特に射出成形用に好適な難燃性樹脂組成物、難
燃性樹脂の製造方法、及び成形品を提供する 【解決手段】 熱可塑性樹脂100質量部に対し、フィ
ブリル状の耐熱性樹脂0.01〜5質量部および難燃剤
0.1〜30質量部を含有することを特徴とする難燃性
樹脂組成物。熱可塑性樹脂100質量部に対し、フィブ
リル状の耐熱性樹脂0.01〜5質量部と、難燃剤0.
1〜30質量部とを配合することを特徴とする難燃性樹
脂の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、OA機器や自動車
等の部品に用いられる難燃性樹脂に関し、耐熱性樹脂を
含有する熱可塑性樹脂、更に詳しくは、耐熱性樹脂を含
有した溶融樹脂滴下防止型難燃性樹脂、その製造方法、
難燃性樹脂組成物、及び成形品に関する。
【0002】
【従来の技術】難燃化規制の強化に伴い、樹脂の難燃化
技術は各分野で重要な技術となってきており、特に、複
写機等のOA機器、コンピュータやワープロ機器分野等
で重要な課題となっている。米国アンダーライターラボ
ラトリーズ(Underwriter Laborat
ories)規制によるUL燃焼試験(UL94)にお
いて樹脂が高い難燃レベルにランク付けされるには、試
験片がUL燃焼試験の過程で滴下しないことが重要であ
り、実際の火災時における延焼を防ぐためにも、樹脂の
滴下防止は重要な課題である。
【0003】樹脂の難燃化方法としては、ハロゲン系、
リン系、無機系の難燃剤を添加することが知られてい
る。更に、燃焼時に火種が滴下し、他の部品に延焼する
ことを防止するために多量の難燃剤を添加することが知
られているが、高価な難燃剤を多量に用いることは、経
済的でないだけでなく、樹脂の機械的性質を低下させる
ため、好ましくない。
【0004】また、燃焼時における樹脂の滴下を防ぐ目
的で、従来技術として、例えば、特開平10−2798
14号公報ではポリテトラフルオロエチレン樹脂(フッ
ソ樹脂)粉末を滴下防止剤として添加している。しか
し、ポリテトラフルオロエチレン樹脂はハロゲンである
フッ素を含有するため、燃焼時に腐食性ガスを発生させ
る可能性があり、また通常の樹脂との相溶性が悪いた
め、樹脂中に分散しにくく、溶融押し出しが困難となっ
たり、外観、流動性が低下するという問題点がある。
【0005】更に、ポリテトラフルオロエチレン樹脂と
ともに、難燃助材としてポリアミド繊維を添加すること
が、特開平11−100513号公報に記載されてい
る。しかし、この技術においてもポリテトラフルオロエ
チレンを使用しているために腐食性ガス発生の可能性が
あり、ここで述べてるポリアミド繊維は難燃助剤の1つ
であり、難燃助剤はトリアジン骨格含有化合物、含金属
化合物、シリコーン樹脂、シリコーンオイル、シリカ、
アラミド繊維、ポリアクリロニトリル繊維が引用されて
おり、液体、固体、繊維状物であり滴下防止効果が十分
とは言えない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、難燃剤を多
量に含まずとも難燃性に優れ、溶融樹脂の滴下防止効果
に卓越した効果を示し、燃焼時の滴下による延焼を防止
し、表面外観に優れ、流動性にも優れた、特に射出成形
用に好適な難燃性樹脂とその製造方法、難燃性樹脂材料
組成物、及び成形品を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記の課題
を解決するために鋭意検討の結果、フィブリル状の耐熱
性樹脂を熱可塑性樹脂に添加し、溶融混練することで、
特定の形態の耐熱性樹脂を熱可塑性樹脂中に分散するこ
とにより、滴下防止性能が大幅に改良され、難燃性と、
表面外観に優れることを見出し、本発明をなすに至っ
た。
【0008】すなわち本発明は、熱可塑性樹脂100質
量部に対し、フィブリル状の耐熱性樹脂0.01〜5質
量部および難燃剤0.1〜30質量部を含有することを
特徴とする難燃性樹脂組成物である。
【0009】本発明の樹脂組成物において、前記フィブ
リル状の耐熱性樹脂が、直径0.001μm以上10μ
m以下であり、分岐構造を有することが好ましい。
【0010】また、前記フィブリル状の耐熱性樹脂が、
直径0.001μm以上10μm以下であり、絡み合い
構造を有することも好ましい。
【0011】さらに、前記耐熱性樹脂が、芳香族ポリア
ミド、芳香族ポリイミドおよび/またはポリベンゾイミ
ダゾールからなることが好ましい。
【0012】また、本発明は、熱可塑性樹脂100質量
部に対し、フィブリル状の耐熱性樹脂0.01〜5質量
部と、難燃剤0.1〜30質量部とを配合することを特
徴とする難燃性樹脂の製造方法である。
【0013】本発明の方法において、前記フィブリル状
の耐熱性樹脂として、耐熱性樹脂を溶媒に溶解させ、こ
れを凝固浴中に高速ジェット噴射させることにより得ら
れたフィブリル状の耐熱性樹脂を用いることが好まし
い。
【0014】また、前記フィブリル状の耐熱性樹脂とし
て、耐熱性樹脂を機械的に粉砕もしくは叩解することに
より得られたフィブリル状の耐熱性樹脂を用いることも
好ましい。
【0015】さらに、前記耐熱性樹脂として、芳香族ポ
リアミド、芳香族ポリイミドおよび/またはポリベンゾ
イミダゾールを用いることも好ましい。
【0016】さらにまた本発明は、上記難燃性樹脂組成
物からなることを特徴とする成形品である。
【0017】
【発明の実施の形態】本発明に用いられる熱可塑性樹脂
としては、公知の熱可塑性樹脂を用いることができ、ポ
リスチレン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂や、ポリアミ
ド系樹脂、ポリオキシメチレン系樹脂、ポリフェニレン
エーテル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエステ
ル系樹脂、ポリメチルメタクリレート系樹脂等が挙げら
れ、これらを単独で使用しても、2種類以上の混合系の
形態でもよい。また、これらのうち、ポリスチレン系樹
脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂が好
ましい。
【0018】ポリスチレン系樹脂としては、ゴム変性ス
チレン系樹脂が好ましい。ゴム変性ポリスチレン系樹脂
は、ビニル芳香族系重合体よりなるマトリックス中にゴ
ム状重合体が粒子状に分散してなる重合体をいい、ゴム
状重合体の存在下に芳香族ビニル単量体、及び、必要に
応じ、これと共重合可能なビニル単量体を加えた単量体
混合物を、公知の方法で塊状重合、塊状けん濁重合、溶
液重合、または、乳化重合する事により得られる。
【0019】ゴム変性スチレン系樹脂に使用される単量
体としては例えば、芳香族ビニル化合物の他に、ブタジ
エン、シアン化ビニル単量体、マレイミド系単量体、グ
リシジル基含有単量体が挙げられるが、好ましくは、芳
香族ビニル化合物の他に、ブタジエン、アルキル(メ
タ)アクリレート類、シアン化ビニル単量体、マレイミ
ド系単量体であり、さらに好ましくは、スチレン、ブタ
ジエン、N−フェニルマレイミド、アクリロニトリル、
ブチルアクリレートである。これらのビニル化合物は単
独あるいは2種以上を組み合わせて用いることができ
る。
【0020】このような樹脂の例としては、耐衝撃性ポ
リスチレン、ABS樹脂(アクリロニトリル−ブタジエ
ン−スチレン共重合体)、AAS樹脂(アクリロニトリ
ル−アクリルゴム−スチレン共重合体)、AES樹脂
(アクリロニトリル−エチレンプロピレンゴム−スチレ
ン共重合体)等が挙げられる。
【0021】上記ゴム状重合体としては、ガラス転移温
度が0℃以下の重合体であれば用いることができる。
【0022】本発明に用いられるポリカーボネート系樹
脂は、2価フェノールとホスゲン、または、炭酸ジエス
テルの反応により製造できる。2価フェノールとして
は、ビスフェノール類が好ましく、特に、2,2−ビス
(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(以下、ビスフェ
ノールAと記す)が好ましい。また、ビスフェノールA
の一部または、全部を他の2価フェノール化合物で置換
してもよい。ビスフェノールA以外の2価フェノール化
合物は、例えば、ハイドロキノン、4,4ジヒドロキシ
ジフェニル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィ
ド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフォン、ビス
(4−ヒドロキシフェニル)ケトンなどの化合物であ
る。これらの2価フェノールのホモポリマー、または、
2種以上のコポリマーあるいは、これらのブレンド品で
あってもよい。
【0023】本発明において使用される耐熱性樹脂は、
JIS K 7206:99で測定されるビカット軟化
温度が300℃以上、もしくはJIS K 7120で
測定される、熱重量測定で測定される熱分解開始温度が
300℃以上のものであり、芳香族ポリアミド、ポリイ
ミド、ポリベンゾイミダゾール樹脂などの耐熱性樹脂、
特に、芳香族ポリアミド樹脂が好ましい。
【0024】耐熱性樹脂はフィブリル状の形態をなす。
フィブリルは微細繊維であり、本発明においてはフィブ
リルが主に直径10μm以下の太さであることが好まし
い。特には、1μm以下の太さのものが主に存在するこ
とが好ましい。10μm以上の太さのフィブリルの存在
も可能であるが、10μm以上の太さの場合、滴下防止
の効果が低下するという点で不利である。またフィブリ
ルは0.001μm以上であることが好ましい。特に、
滴下防止の効果の観点から、0.01〜1μmのフィブ
リルが、フィブリル全体量のうち70質量部以上、より
好ましくは80質量部以上占めることが好ましい。
【0025】フィブリル状の耐熱性樹脂の一例を図1を
用いて説明する。フィブリル状の耐熱性樹脂は、耐熱性
樹脂から形成される、フィブリル構造、径0.001〜
10μmの葉脈状の枝分かれした微細繊維状形態を有し
ている物質もしくは枝分かれから分離独立したものであ
る。フィブリルが絡み合い構造、及び/または、分岐構
造状で存在することが好ましい。図1において、太線は
もとの(叩解前の)繊維が砕かれて細くなった形態を示
し、Aはフィブリルの枝分かれ構造を示す箇所、Bは絡
み合い構造を示す箇所、Cは一本のフィブリルの形態を
示す。太線、A、B、Cともフィブリル状の形態を示す
ものである。
【0026】本発明において、分岐構造とは、図1のA
の部分で示すように、1点より2本以上のフィブリルが
枝分かれした部分をいう、絡み合い構造とは、図1のB
の部分で示すように、2本以上のフィブリルが重なって
観察される部分、ないし、フィブリルが相互に連結(絡
み合った)した系をいう。また、絡み合い構造、分岐構
造とも3次元の広がりを持つ。
【0027】本発明において、フィブリル化した耐熱性
樹脂の形態は具体的には電子顕微鏡で観察される。
【0028】フィブリル化した耐熱性樹脂の配合量は、
熱可塑性樹脂100質量部に対し、0.01〜5質量部
が好ましい。0.01部未満の場合、滴下防止の効果が
十分でなく、5質量部を越える場合、樹脂の機械的強度
および加工流動性が低下する。より好ましくは0.02
〜2質量部で、特に好ましくは0.1〜1質量部であ
る。
【0029】本発明の好ましい形態においては、フィブ
リル状の耐熱性樹脂が、絡まりあったりして樹脂の中に
分散し、溶融樹脂の適下防止効果が多いにある。フィブ
リルの樹脂内部の分散状態は、難燃性樹脂を液体チッソ
中で凍結破断後、破断面を走査型電子顕微鏡(SEM)
観察から評価できる。視野、4×5μm角内に少なくと
も5本以上の、径0.001〜10μmのフィブリル状
フィブリルが観察されることが好ましく、このとき一本
のフィブリルから3本分岐したものは、4本として数え
る。このような分散状態であることで、良好な滴下防止
効果や材料強度を得ることができる。
【0030】フィブリル状の耐熱性樹脂のアスペクト比
(長さ/径)は10以上10,000,000以下が好
ましい。10未満であると溶融樹脂の滴下防止効果が低
下する傾向があるという点で不利であり、10,00
0,000を超えると溶融分散時、樹脂の粘度が高くな
り、成形加工が難しくなる傾向があるという点で不利で
ある。
【0031】フィブリル化した耐熱性樹脂の、3次元化
したフィブリル形態の存在により、燃焼時に、効果的な
溶融した熱可塑性樹脂の滴下防止が、達成されると推定
される。
【0032】このようなフィブリルは、これらの耐熱性
樹脂のフィブリルを単独で用いてもよいし、2種以上の
混合物の形態で用いても構わない。
【0033】本発明においては、公知の難燃剤を使用す
ることができ、リン系化合物やハロゲン系有機化合物の
他、メラミン等の窒素含有有機化合物、水酸化マグネシ
ウム、水酸化アルミニウム等の無機化合物、酸化銅、酸
化アンチモン、酸化ビスマス、酸化亜鉛、酸化スズなど
の金属酸化物、赤リン、ホスフィン、次亜リン酸、亜リ
ン酸、メタリン酸、ピロリン酸、無水リン酸などの無機
系リン化合物、カーボンファイバー、グラスファイバ
ー、などの繊維、膨張黒鉛、シリカ、シリカ系ガラス溶
融物などが用いられるが、好ましくはリン系化合物、ハ
ロゲン系有機化合物、である。
【0034】ハロゲン系有機化合物としては、ハロゲン
系難燃剤として用いられる化合物および含ハロゲンリン
酸エステルが挙げられる。例えば、ハロゲン系有機化合
物としては、ヘキサクロロペンタジエン、ヘキサブロモ
ジフェニル、オクタブロモジフェニルオキシド、トリブ
ロモフェノキシメタン、デカブロモジフェニル、デカブ
ロモジフェニルオキシド、オクタブロモジフェニルオキ
シド、テトラブロモビスフェノールA、テトラブロモフ
タルイミド、ヘキサブロモブテン、ヘキサブロモシクロ
ドデカン等がある。含ハロゲンリン酸エステルとして
は、トリス・クロロエチルホスフェート、トリス・ジク
ロロプロピルホスフェート、トリス・β−クロロプロピ
ルホスフェート、トリス(トリブロモフェニル)ホスフ
ェート、トリス(ジブロモフェニル)ホスフェート、ト
リス(トリブロモネオペンチルホスフェート)およびこ
れらの縮合リン酸エステル等がある。これらのハロゲン
系有機化合物は1種類でも、2種類以上組み合わせて用
いることもできる。
【0035】リン系化合物としてはリン酸エステル化合
物、縮合リン酸エステル化合物等が挙げられる。リン酸
エステル化合物としては公知のものを使用でき、例え
ば、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェー
ト、トリブチルホスフェート、トリオクチルホスフェー
ト、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェ
ート、トリキシリルホスフェート、クレジルジフェニル
ホスフェート、キシリルジフェニルホスフェート、トリ
ルジキシリルホスフェート、トリス(ノニルフェニル)
ホスフェート、トリス(2,6ジメチル、フェニル)ホ
スフェート)(2−エチルヘキシル)ジフェニルホスフ
ェート、レゾルシノールジフェニルホスフェート、ハイ
ドロキノンジフェニルホスフェート等を挙げることがで
きる。
【0036】縮合リン酸エステル化合物としても、公知
のものを使用でき、例えば、レゾルシノールビス(ジフ
ェニルホスフェート)、ハイドロキノンビス(ジフェニ
ルホスフェート)、ビスフェノール−Aビス(ジフェニ
ルホスフェート)、ビスフェノール−Sビス(ジフェニ
ルホスフェート)、レゾルシノールビス(ジキシリルホ
スフェート)、ハイドロキノンビス(ジキシリルホスフ
ェート)、ビスフェノール−Aビス(ジトリルホスフェ
ート)、ビスフェノール−Aビス(ジキシリルホスフェ
ート)、ビスフェノール−Sビス(ジキシリルホスフェ
ート)等の縮合リン酸エステル化合物等を挙げることが
できる。また、トリトリルホスフィンオキシド、トリフ
ェニルホスフェート、レゾルシノールビス(ジフェニル
ホスフェート)、レゾルシノールビス(ジキシリルホス
フェート)、トリフェニルホスフィンオキシド等のホス
フィンオキシド化合物等も好適に用いることができる。
【0037】これらのリン系有機化合物は1種類でも、
2種類以上組み合わせて用いることもできる。
【0038】これらのリン系化合物やハロゲン系有機化
合物、メラミン等の窒素含有有機化合物、水酸化マグネ
シウム、水酸化アルミニウム等の無機化合物、酸化アン
チモン、酸化ビスマス、酸化亜鉛、酸化スズなどの金属
酸化物、赤リン、ホスフィン、次亜リン酸、亜リン酸、
メタリン酸、ピロリン酸、無水リン酸などの無機系リン
化合物、カーボンファイバー、グラスファイバー、など
の繊維、膨張黒鉛、シリカ、シリカ系ガラス溶融物など
の難燃剤は単独にまたは2種以上併用して用いることが
できる。
【0039】難燃剤の配合量は、必要な難燃性のレベル
に応じて決められるが、熱可塑性樹脂100質量部に対
して、0.1〜30質量部であることが必要である。
0.1質量部未満では必要な難燃効果が発揮されない。
30質量部を超えると樹脂の機械的強度を低下させる。
好ましくは1〜25質量部の範囲であり、特に好ましい
範囲としては3〜22質量部である。
【0040】難燃剤としてハロゲン系化合物を用いる場
合、難燃効果を高める為に難燃助剤を用いることが出来
る。難燃助剤としては好ましくは、元素周期律表におけ
る第15族に属する元素を含む化合物で、具体的には、
窒素含有化合物、リン含有化合物、酸化アンチモン、酸
化ビスマス等であり、また、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化ス
ズなどの金属酸化物も効果的である。この中でも特に好
ましくは、酸化アンチモンであり、具体的には三酸化ア
ンチモン、五酸化アンチモンが挙げられる。これらの難
燃助剤は樹脂中への分散を改善する目的および/または
樹脂の熱的安定性を改善する目的で表面処理を施されて
いるものを用いてもよい。
【0041】難燃助剤の添加量は、熱可塑性樹脂100
質量部に対して、0.5〜20質量部が好ましい。0.
5部未満の場合、難燃助剤の効果が十分でなく、20質
量部を越える場合、樹脂の機械的強度および加工流動性
が低下する傾向がある。より好ましくは1〜15質量部
で、特に好ましくは1〜10質量部である。
【0042】次に、耐熱性樹脂を、前述した形態となる
ように、フィブリル化させる方法について詳細に説明す
る。
【0043】例えば、耐熱性樹脂を有機溶剤に溶解さ
せ、これを非溶剤を用いた凝固浴中に高速ジェット噴射
することにより、微細にフィブリル化された耐熱性樹脂
が得られる。ここで非溶剤とは使用する耐熱性樹脂を溶
解しない液体を意味する。この方法によってフィブリル
化した市販の芳香族ポリアミド樹脂としては、例えばD
upont社製、商品名「Fibrit」がある。
【0044】例えば、ノズル径0.08〜0.2mm、
ノズルピッチ0.4〜2mmで、一列又は二列以上に配
列したノズルプレートから、ジメチルアセトアミドなど
の有機極性溶剤に溶解したメタ系芳香族ポリアミドの溶
液を、圧力50〜250kg/cm2(5〜25MP
a)で、メタ系芳香族ポリアミドには非溶剤であり、有
機極性溶剤とは自由に混ざりあう水中に噴出する。水中
でメタ系芳香族ポリアミドは、高速せん断力により、径
0.001〜10μmのフィブリル状に凝固する。この
フィブリル状のメタ系芳香族ポリアミドを水からロ別、
洗浄、乾燥してフィブリル化された耐熱性樹脂を得るこ
とができる。
【0045】繊維からフィブリル化した耐熱性樹脂を得
る場合、叩解法によって繊維を微細に粉砕することがで
きる。粉砕機の種類としては、例えば、ヘンシェルミキ
サー、ボールミル、エッジランナー、ロールクラッシャ
ー、ローラーミル、ディスククラッシャー、石臼、乳鉢
等があり、好ましくは、ヘンシェルミキサーを高速回転
させるミキサー等である。必要に応じて、水などの分散
媒、界面活性剤などの分散剤を加え、繊維を粉砕しても
よい。
【0046】例えば、有機溶剤に不溶なポリアミド繊維
などは、長繊維の繊維束をポリビニルアルコールなどの
集束剤で固定し、回転刃で1〜10mmに切断する。こ
れを水との濡れをよくするため、約0.1%の界面活性
剤の入った水中で、ヘンシェルミキサーを用い2000
〜5000rpmで高速攪拌する。径10ミクロンだっ
たポリアミド繊維はヘンシェルミキサーの攪拌羽の先端
で径0.001〜10ミクロン以下の枝分かれしたフィ
ブリル状の形態にせん断される。繊維は高度に延伸され
たものであり、繊維軸に沿って分子が配向しているの
で、繊維軸に沿ってフィブリル状にせん断される。
【0047】熱可塑性樹脂、フィブリル状の耐熱性樹
脂、難燃剤を含む原料の配合は、公知の方法で行うこと
が出来、特に限定されない。例えば、各成分をヘンシェ
ルミキサー、スーパーミキサー、ターンブルミキサー、
リボンブレンダー等で均一に混合した後、単軸押出機や
二軸押出機、バンバリーミキサー等で溶融混練する方法
等がある。また、その際、本発明の趣旨を妨げない範囲
で、公知の酸化防止剤、紫外線吸収剤、滑剤、離型剤、
帯電防止剤、着色剤等の添加剤を加えることは任意であ
る。
【0048】燃焼時の有毒ガス発生抑制の観点からは、
熱可塑性樹脂、フィブリル状の耐熱性樹脂、難燃剤のい
ずれかがハロゲンを含まないことが好ましく、さらには
これら全てがハロゲンを含まないことが好ましい。
【0049】このようにして得られた難燃性樹脂組成物
からなる成形品の成型方法は、押し出し成形、圧縮成
型、射出成形、ガスアシスト成形等があり、特に限定さ
れない。成形品の例としては、OA機器筐体、OA機器
シャーシ、ホイールキャップ、スポイラー、自動車のイ
ンパネ等が挙げられる。
【0050】
【実施例】以下に本発明の実施例、比較例を挙げる。
【0051】(実施例1)ABS樹脂(中華民国、奇実
実業製、商品名:ポリラック、PA−747(アクリロ
ニトリル22%、スチレン57%、ブタジエン21%、
平均ゴム粒径0.31μm))100質量部と難燃剤で
ある芳香族縮合系リン酸エステル(大八化学製、商品
名:PX200)15質量部と、有機溶剤溶液を非溶剤
中に高速ジェット噴射させることによって得られるフィ
ブリル化したポリアミド樹脂フィブリル(フィブリル化
ポリアミド繊維(帝人(株)製、商品名:コーネックス
パルプ))1質量部とを、ターンブルミキサーを用い
て、乾式混合後、これを、シリンダ温度が230℃に設
定された二軸押出機(ベルストルフ製、ZE40A型)
で溶融混合、造粒し、フィブリル化したポリアミド樹脂
を含有するABS樹脂材料ペレットを得た。これを射出
成形機(ファナック(株)製、商品名:ROBOSHO
T α−150)を用い、シリンダ温度250℃、金型
温度50℃で射出成形し、1/16インチ(1.6m
m)厚の板状の試験片を得た。ついで、火種の落下延焼
性を評価するため、UL−94に準拠したVB(Ver
tical Burning)法により評価し、溶融樹
脂材料の滴下状態を観察した。外観は、成形した板状の
試験片を目視により観察することにより評価した。
【0052】(実施例2)ポリアミドミルド繊維(Du
pont東レKevlar製、商品名:ケブラーパル
プ)30質量部に水70質量部、少量の界面活性剤を加
え、ボールミルで6時間攪拌混合し、その後、水洗、濾
別乾燥して、叩解したフィブリル化繊維を得た。電子顕
微鏡観察(倍率10000倍)では、繊維は、図1にみ
られるような、一部枝別れ構造や絡み合い構造をとり、
電子顕微鏡ではフィブリルの径が0.01〜5μm、ア
スペクト比が100〜1000,000のものが90質
量部以上であった。
【0053】コーネックスパルプに替えて、上記で得ら
れたフィブリル化ポリアミド繊維を用いた以外は実施例
1と同様に処理し、試験片を得、評価した。
【0054】(実施例3)熱可塑性樹脂としてポリカー
ボネート樹脂(帝人化成製、商品名:パンライトL−1
225)を用いた以外は実施例1と同様に処理し、試験
片を得、評価した。
【0055】(比較例1)ポリアミド樹脂(ポリアミド
ミルド繊維(Dupont東レKevlar製、商品
名:ケブラーパルプ))をフィブリル化させずにそのま
ま用いたこと以外は実施例2と同様の試験を行った。
【0056】(比較例2)コーネックスパルプの添加量
を6質量部とした以外は、実施例1と同様の試験を行っ
た。
【0057】
【表1】
【0058】以上の実施例および比較例より、実施例の
樹脂組成物は、いずれも難燃性、表面外観に優れている
事が判明した。
【0059】
【発明の効果】本発明の難燃性樹脂組成物は、フィブリ
ル化した耐熱性樹脂が、熱可塑性樹脂組成物中で絡み合
い構造、及び/または、分岐状で存在することによっ
て、耐熱性樹脂の少量配合で、高い難燃性を得ることが
出来る共に滴下防止効果に優れ、また、優れた表面外観
の成形品を得ることが出来る。このような組成物の製造
方法も提供された。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に用いるフィブリル状の耐熱性樹脂の模
式図である。
【符号の説明】
A:枝分かれ構造 B:絡み合い構造 C:フィブリル
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) //(C08L 101/00 (C08L 101/00 77:00) 77:00) (C08L 101/00 (C08L 101/00 79:08) 79:08) Z (C08L 101/00 (C08L 101/00 79:04) 79:04) A B29K 101:12 B29K 101:12 105:12 105:12 277:00 277:00 279:00 279:00 Fターム(参考) 4F072 AA02 AA08 AB02 AB06 AB07 AB15 AD05 AD41 AE07 AF19 AG05 AK15 AL02 AL16 4F201 AA30 AA40 AA49 AB05 AB25 BA01 BA02 BC01 BC02 BC12 BC37 BK02 BK13 BK27 BL42 BL44 4J002 AA011 BN151 CG001 CL002 CL062 CM022 CM042 DA016 DA056 DE076 DE096 DE146 DH026 DL006 EB026 EB046 EB096 EB136 ED076 EU026 EU186 EW016 EW046 EW056 EW146 FA042 FA046 FD136 GN00 GQ00

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱可塑性樹脂100質量部に対し、フィ
    ブリル状の耐熱性樹脂0.01〜5質量部および難燃剤
    0.1〜30質量部を含有することを特徴とする難燃性
    樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 前記フィブリル状の耐熱性樹脂が、直径
    0.001μm以上10μm以下であり、分岐構造を有
    する請求項1記載の難燃性樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 前記フィブリル状の耐熱性樹脂が、直径
    0.001μm以上10μm以下であり、絡み合い構造
    を有する請求項1または2に記載の難燃性樹脂組成物。
  4. 【請求項4】 前記耐熱性樹脂が、芳香族ポリアミド、
    芳香族ポリイミドおよび/またはポリベンゾイミダゾー
    ルからなる請求項1〜3いずれか一項記載の難燃性樹脂
    組成物。
  5. 【請求項5】 熱可塑性樹脂100質量部に対し、フィ
    ブリル状の耐熱性樹脂0.01〜5質量部と、難燃剤
    0.1〜30質量部とを配合することを特徴とする難燃
    性樹脂の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記フィブリル状の耐熱性樹脂として、
    耐熱性樹脂を溶媒に溶解させ、これを凝固浴中に高速ジ
    ェット噴射させることにより得られたフィブリル状の耐
    熱性樹脂を用いる請求項5記載の方法。
  7. 【請求項7】 前記フィブリル状の耐熱性樹脂として、
    耐熱性樹脂を機械的に粉砕もしくは叩解することにより
    得られたフィブリル状の耐熱性樹脂を用いる請求項5記
    載の方法。
  8. 【請求項8】 前記耐熱性樹脂として、芳香族ポリアミ
    ド、ポリイミドおよび/またはポリベンゾイミダゾール
    を用いる請求項5〜7いずれか一項記載の方法。
  9. 【請求項9】 請求項1〜4いずれか一項記載の難燃性
    樹脂組成物からなることを特徴とする成形品。
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