JP2002263640A - 水中のホウ素除去方法 - Google Patents

水中のホウ素除去方法

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JP2002263640A JP2001064839A JP2001064839A JP2002263640A JP 2002263640 A JP2002263640 A JP 2002263640A JP 2001064839 A JP2001064839 A JP 2001064839A JP 2001064839 A JP2001064839 A JP 2001064839A JP 2002263640 A JP2002263640 A JP 2002263640A
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water
volcanic ash
tank
adsorption
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Nobuie Ayusawa
信家 鮎澤
Mikito Kamijo
幹人 上條
Naoko Ariizumi
直子 有泉
Yukari Mitsui
由香里 三井
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Yamanashi Prefecture
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ニッケルめっき廃水等のホウ素を含有する廃
水から、簡単で経済的な方法で、ホウ素を除去する。 【解決手段】 被処理水をpH9〜11に調整した後、
Si:18〜24重量%、Al:23〜29重量%、F
e:1〜5重量%の化学組成を有し、アロフェンを主成
分とする火山灰土壌および高分子凝集剤と接触させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、水、例えば排水中
のホウ素、特に微量なホウ素の除去方法に関するもので
ある。さらに詳しくは本発明は、現存のめっき排水処理
施設に新たな設備の創設をすることなく、簡単な設備で
排水中のホウ素、特に微量なホウ素の除去方法に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】ホウ素は自然界において様々な化合物の
形で存在し、動物・植物にとって必須の元素であるが、
過剰の摂取は植物、動物ともに害を及ぼす。人は野菜、
果物から10〜20mg/日のホウ素を摂取するが、過
度の体内への導入は中枢神経障害を起こす。中毒症状と
しては、循環器機能の低下、嘔吐、下痢、等からのショ
ックや昏睡症状、体温変化、猩紅熱型の発疹がある。こ
のような有害性から、ホウ素を含む薬剤を扱う工場にお
いては、その廃水処理に多くの努力をしているところで
あるが、設備投資や使用薬品の経費等で改良されるべき
課題が多く残っているのが現状である。従来の方法とし
ては、アルミニウム、カルシウム化合物による凝集沈殿
法があるが、この場合、除去ホウ素1kg当たりアルミ
ニウムとして20〜40kgが必要であり、同様にカル
シウム化合物も多量に必要であって薬品コストが高い。
また、イオン交換樹脂法も提案されているが、例えばめ
っき排水のような多種で複雑な化合物を含む場合、樹脂
の閉塞、有機物による汚染の懸念が大であり、イオン交
換塔に直接排水を通ずることができない。ために、例え
ば活性炭による濾過装置等の前処理装置が必要となり、
新たな設備設置の経費が増加する。さらにイオン交換樹
脂も高価であり、ランニングコストが高い。さらに、最
近提案されている蒸発法(蒸発濃縮塔、加熱装置、加熱
用エネルギーが必要)、あるいはホウ素固定処理におけ
るジルコニウム法(例えば、塩化ジルコニウム2500
円/25g)などでも同様に施設設備費、薬品代等経費
が増大する。
【0003】本発明者等は、先に排水中のリンの除去方
法として山梨県産火山灰を利用することを見出し、特開
平6−154594号、特開平7−291617号、特
開2000−42538号等により提案したところであ
るが、ホウ素の除去については、未だ効果的な方法を見
出せずにいた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】したがって、本発明が
解決しようとする課題は、過大な設備投資をすることな
く、既存の設備を使用し、かつ火山灰土壌を吸着剤とし
て使用することにより、効果的でかつ経済的な、ホウ素
の除去を提供しようとするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】すなわち本発明は、S
i:18〜24重量%、Al:23〜29重量%、F
e:1〜5重量%の化学組成を有し、アロフェンを主成
分とする火山灰土壌を用いて水中のホウ素を除去する方
法において、被処理水をpH9〜11で該火山灰土壌お
よび高分子凝集剤と接触させることを特徴とする水中の
ホウ素除去方法を提供するものである。さらにまた本発
明は、ホウ素を含有する被処理液をpH調整槽において
pH9〜11に調整し、これを吸着・凝集槽に移し、こ
こで火山灰土壌及び高分子凝集剤と共に所定の対流時間
攪拌し、これを沈殿槽に溢流させ、沈殿槽で凝集物を静
置分離した後、上澄み液を放流水とすることを特徴とす
る、水中のホウ素除去方法を提供するものである。
【0006】
【発明の実施の形態】(吸着用火山灰土壌)本発明方法
に使用する吸着用火山灰土壌は、Si:18〜24重量
%、Al:23〜29重量%、Fe:1〜5重量%の化
学組成を有し、アロフェンを主成分とする火山灰土壌で
あり、関東地方や八ヶ岳山麓などの火山灰中に広く存在
する物質である。アロフェンは土壌改良等の効果をもつ
ため、アロフェンを含んだ火山灰土壌は鹿沼土などの名
称で園芸用土壌として市販されている。しかしながら、
火山灰土壌は極めて脆く、水中にいれた場合、徐々に崩
壊していくため、このままではカラムなどには使用でき
ない。
【0007】本発明においては、吸着・凝集槽の被処理
水に高分子凝集剤とともに装入して撹拌するものである
ので、上記のような粒子の崩壊性は問題とならないの
で、造粒などの手段を講ずる必要はない。
【0008】アロフェンを含む火山灰土壌には、石英、
長石、雲母、角閃石、浮石等の夾雑物が含まれている。
本発明方法に使用する吸着用火山灰土壌物は、これらの
夾雑物を含んでいるものでも良いし、ホウ素除去能力を
もつアロフェンを分離精製したものであっても良い。ア
ロフェンの粒子は他の夾雑物に比べて粒径が小さいた
め、気流分級あるいは水簸法によって分離できる。しか
し、水簸法を用いると、ホウ素除去に寄与していると思
われるAl−(OH)3が水中に溶出し、ホウ素除去能を
低下させるため、気流分級による方法の方が好ましい。
気流分級による方法では、例えば採掘した火山灰土壌を
乾燥して含水率を下げた後、夾雑物を壊さない程度に粉
砕して気流中に分散させ、サイクロンなどで粗粉とアロ
フェン微粉に分離することができる。
【0009】吸着用火山灰土壌の使用量は、特に限定さ
れないが、被処理水量に対して2.5〜75g/リット
ル、好ましくは10〜35g/リットルである。2.5
gより少ないと吸着効果が期待できず、75gより多い
と撹拌や沈降分離に支障をきたすおそれがある。
【0010】(高分子凝集剤)本発明に使用する高分子
凝集剤は、吸着用火山灰土壌と相俟って微小固形粒子を
凝集させて沈降性とすると同時に、ホウ素の吸着効果を
高める作用をするもので、カチオン型、アニオン型、ノ
ニオン型のいずれも使用することができる。とくに弱ア
ニオン型、中アニオン型、強アニオン型が好適に使用す
ることができる。カチオン型としては、例えばカヤフロ
ック(株)製のC−577−AL(ポリビニルホルムア
ミド系)、弱アニオン型としては、同A−195(ポリ
アクリルアミド系)、中アニオン型としては、同A−2
30(ポリアクリルアミド系)、強アニオン型として
は、同A−230H(ポリアクリルアミド系)、ノニオ
ン型としては同N−200(ポリアクリルアミド系)等
が市場で入手することができる。
【0011】高分子凝集剤の使用量はとくに限定される
ものではないが、コストと最適効果を考慮すると、被処
理水に対して3〜30mg/リットル、好ましくは5〜
20mg/リットルである。3mg/リットルより少な
いと固形分の沈降速度が遅くなり、30mg/リットル
より多いと廃水処理に要するランニングコストが高くな
る。
【0012】(装置・操作)本発明のホウ素除去方法に
おいては、従来の廃水処理方法に使用されている装置に
何らの新たな装置を付加する必要のないことが、特徴で
ある。すなわち、これを例示的に添付の図3に基づいて
説明すると、被処理水はまず貯槽(1)に集められ、次
いでpH調整槽(2)にて苛性ソーダ等により所定のp
Hに調整され、吸着・凝集槽(3)に移送される。この
吸着・凝集槽(3)においては、所定量の吸着用火山灰
土壌と高分子凝集剤とを添加して撹拌を行う。この吸着
・凝集槽(3)においては、所定の滞留時間を確保する
ような流量調節を行って、次の沈殿槽(4)に移送す
る。この移送は、ポンプで行っても良いが、最も簡単に
は凝集槽からのオーバーフローにより沈殿槽に流入させ
ることもできる。沈殿槽においてはそのまま静置して、
凝集物と上澄みを分離し、上澄みをオーバーフローさせ
て、放流槽(5)に移す。放流槽の処理液は、環境に無
害なpHにまで中和させた後、放流される。以上のよう
な処理をする限り、なんら特別な装置を必要とするもの
ではなく、従来の廃水処理設備を使用することができ、
処理のコストも低減できる。
【0013】本発明の方法に使用する装置は、上記のほ
か種々の改変した装置で行うことができる。たとえば処
理をバッチ方式にしたり、凝集物の沈殿分離を濾過や遠
心分離にしたりすることなど、本発明の精神を逸脱しな
い範囲で変更することは可能である。
【0014】(pH)本発明のホウ素除去方法では、吸
着・凝集槽での被処理液のpHが重要である。後記する
実施例1からも判るように、吸着時のpHは、アルカリ
性であるのが好ましく、より好ましくはpH9〜10の
範囲である。このpH範囲においては、ホウ素のほか、
通常めっき廃水中に存在するニッケルも殆ど完全に吸着
され、廃水処理としては極めて望ましいものである。
【0015】
【実施例】以下、本発明を実施例により具体的に説明す
るが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではな
いことを理解されたい。 (実施例 1)ニッケルめっき浴(ワット浴:NiSO
4・6H2O=240mg/L、NiCl2=60mg/
L、H3BO3=40mg/L)の原液から3.5mLず
つを200mLの三角フラスコに採取し、これらに蒸留
水と0.1モル濃度の苛性ソーダ溶液を添加すること
で、それぞれ200mLのpH5、pH7、pH9、p
H10、pH11、pH12の試験液(それぞれ、ホウ
素として50mg/L、ニッケルとして700mg/L
を含む)を調製した。三角フラスコ中のこれらの試験液
に、乾燥した火山灰土壌を0.5gずつ加えて、撹拌し
ながら3時間処理した。次に、上澄み液を濾過して高周
波プラズマ発光分析装置により分析して、ホウ素、なら
びにニッケルの除去量を求めた。結果を表1に示し、さ
らに図1にこれをプロットして示す。
【0016】
【表1】
【0017】表1から見られるように、pH9〜11の
範囲で最高の吸着効率が得られることが判る。
【0018】(実施例 2)A社におけるニッケルめっ
き廃水を図3に示す装置により処理した。廃水中のホウ
素、ニッケルの濃度はそれぞれ74.8mg/L、71
7.7mg/Lであった。この廃水を貯槽(1)から中
和槽(2)に移してNaOH水溶液によりpH10に調
整し、2,700mL/時の流量で容積2.4Lの吸着
・凝集槽(3)に送給した(平均滞留時間は約53分と
計算される)。この吸着・凝集槽においては、流入量
1,000mLまでは吸着用火山灰土壌を30g/L、
高分子凝集剤を5g/L添加し、以降2.000mLま
では吸着用火山灰土壌を20g/L、高分子凝集剤を5
g/L添加した。吸着・凝集後に処理液は吸着・凝集槽
(3)から沈殿槽(4)にオーバーフローし、ここで凝
集物を沈降分離し、上澄み液は放流槽(5)にオーバー
フローさせた。このオーバーフローした上澄み液を、市
販のホウ素、及びニッケル標準液を用いて、ICP
((株)堀場製作所ULTIMA)により検量線法によ
り分析し、ホウ素、及びニッケルの濃度を求めた。結果
を図2に示す。なお、ここで使用した吸着用火山灰土壌
は山梨県八ヶ岳系の火山灰土壌を風乾した後、夾雑物を
破壊しない程度に粉砕して気流中に分散させて夾雑物と
アロフェン粉末とに分離したものである。 分析結果:Si=23.3%、Al:=22.7%、F
e=3.3%
【0019】
【発明の効果】表2から見られるとおり、本発明により
火山灰土壌と高分子凝集剤を使用して、特定pHでホウ
素含有廃水を処理した場合、ホウ素除去量は、火山灰土
壌の添加量30g/Lのとき約70%、20g/Lのと
き約60%であり、火山灰土壌のホウ素吸着効果は明ら
かである。また、これにより従来の廃水処理設備に何等
特別の装置を付加する必要もなく、経済的でかつ効率的
な廃水処理を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1による各pHでの試験結果を示す図で
ある。
【図2】実施例2による各流出量での試験結果を示す図
である。
【図3】実施例2に使用した試験装置の概念図である。
【符号の説明】
1 貯槽 2 pH調整槽 3 吸着・凝集槽 4 沈殿槽 5 放流槽
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 有泉 直子 山梨県甲府市大津町2094 山梨県工業技術 センター内 (72)発明者 三井 由香里 山梨県甲府市大津町2094 山梨県工業技術 センター内 Fターム(参考) 4D015 BA19 BA21 BB05 CA20 DA34 DA39 DB03 DC08 EA15 EA16 EA32 4D024 AA04 AB14 BA05 BB01 BC04 DB12 DB21 4G066 AA78B CA11 DA08

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Si:18〜24重量%、Al:23〜
    29重量%、Fe:1〜5重量%の化学組成を有し、ア
    ロフェンを主成分とする火山灰土壌を用いて水中のホウ
    素を除去する方法において、被処理水をpH9〜11で
    該火山灰土壌および高分子凝集剤と接触させることを特
    徴とする水中のホウ素除去方法。
  2. 【請求項2】 火山灰土壌が実質上アロフェンからな
    る、請求項1に記載の水中のホウ素除去方法。
  3. 【請求項3】 高分子凝集剤が、アニオン系凝集剤であ
    り、その濃度が5〜20mg/Lである請求項1または
    2記載の水中のホウ素除去方法。
  4. 【請求項4】 アニオン系凝集剤が、弱アニオン型、中
    アニオン型、強アニオン型高分子凝集剤からなる群から
    選択された1種または2種以上である、請求項3記載の
    水中のホウ素除去方法。
  5. 【請求項5】 ホウ素を含有する被処理液をpH調整槽
    においてpH9〜11に調整し、これを吸着・凝集槽に
    移し、ここで火山灰土壌及び高分子凝集剤と共に所定の
    滞留時間だけ攪拌し、これを沈殿槽に溢流させ、沈殿槽
    で凝集物を静置分離した後、上澄み液を放流水とするこ
    とを特徴とする、水中のホウ素除去方法。
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