JP2013213685A - 放射能汚染物の浄化方法 - Google Patents

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隆太郎 和田
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良明 田中
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忠正 藤村
Kazuko Matsumoto
和子 松本
Seiichi Akita
政一 秋田
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Abstract

【課題】凝集沈殿に長い時間を要さず、またろ過に長い時間を要さず、放射性物質を含む大量の汚染物を速やかに浄化することができ、さらに、二次廃棄物量を低減することができる放射能汚染物の浄化方法を提供する。
【解決手段】放射性物質を含む汚染濁水21に対して、放射性物質を吸着する吸着剤12と、吸着剤12を捕集する活性な官能基を表面に保持する官能基保持体13とを投入して沈殿処理を施し、放射性の粒子を主成分とする二次沈殿物14と、汚染濁水21よりも放射能レベルが低い清浄処理水15とを得る沈殿処理工程を含む。
【選択図】図1

Description

本発明は放射性物質を含む放射能汚染物の浄化方法に関し,特に、汚染土壌の水洗浄および分級により発生する放射性セシウム等の水溶性の放射性物質を含む汚染濁水を、短時間で凝集沈殿およびろ過するための技術に関する。
現在、放射性セシウム(主にCs134、Cs135、Cs137)等の放射性物質を含む大量の土壌について水洗浄処理や分級等による除染作業が進められている。
セシウム化合物は多くが水溶性であるため、放射性セシウムを含むセシウム化合物が体内に入ると体中に分配され、ベータ線による内部被ばくを起こす。従って放射性セシウムは健康へ及ぼす影響が大きいので、放射性セシウムを含む汚染物は出来るだけ速やかに浄化する必要がある。
セシウム化合物は、水中においてイオンの状態で存在するので、セシウムイオン(Cs)をゼオライト等の吸着剤に吸着保持させることができる。例えば、放射性セシウムを含む水溶液状廃液の処理方法が特許文献1に開示されている。特許文献1の処理方法は、フェロシアン化金属化合物を付着したゼオライトを吸着剤として用いるものである。特許文献1の処理方法によれば、極めて効率的に放射性セシウムを除去することができると記載されているが、この処理方法には二次廃棄物が多量に発生する等の欠点がある(特許文献2の段落0006)。また例えば、放射性物質を含有する塩共存放射性廃液の処理方法が特許文献2に開示されている。特許文献2の処理方法は、高濃度塩共存放射性廃液中にフェロシアン化塩と硫酸塩との混合溶液を添加し、苛性ソーダを添加してpHを約10に調整し、静置して放射性核種を共沈分離するものである(段落0008、0013)。特許文献2の処理方法によれば、後の蒸発濃縮工程で発生する濃縮廃液量が著しく少なくなる等と記載されているが(段落0011)、この処理方法には凝集沈殿に長い時間を要するという欠点がある。
一方、処理排水に層状ケイ酸塩からなる粘土鉱物が共存する場合には、層状ケイ酸塩の層間にセシウムイオンが強固に保持されるという特性がある。層状ケイ酸塩は、薄いシート状の層が積み重なったような構造を備えており、層と層の間に負電荷を持っている。そして層状ケイ酸塩の層間の負電荷がある場所が、セシウムイオン(Cs)を閉じ込めるのにちょうどいい大きさになっている。この場所はCsだけでなく、カリウムイオン(K)やアンモニウムイオン(NH )を閉じ込めるのにちょうどいい大きさなので、通常は存在量が最も多いKがこの場所を埋めている。しかしながら、この場所との結合力は、K、NH 、Csの順に大きくなるため、CsはKを追い出してこの場所を埋めることができる。したがって,土壌に飛散した放射性セシウムは土壌の粘土鉱物に強固に保持された状態になっていることがある。
特許文献1および特許文献2の処理方法は、原子力発電所等から発生する放射性廃液中にイオンの状態で存在する放射性セシウムを吸着剤に吸着保持させるものであるため、上記のように放射性セシウムが土壌の粘土鉱物に強固に保持された状態になっている土壌の浄化に適用したとしても、十分な効果を期待することはできない。
そこで層状ケイ酸塩からなる粘土鉱物の特性を利用して、放射性セシウムを含む汚染濁水に凝集剤を投入して沈殿させた後、上澄み液を目が細かいフィルタ(例えばフィルタ径1μm以下)等を用いてろ過して微細粒を分離することにより、清浄水を得る方法が考えられる。
特公昭62−043519号公報 特開平4−361198号公報
しかしながら、森林や田畑の汚染土壌には微細粒の粘土が多く含まれているため、このような微細粒の粘土を多く含む汚染土壌の浄化を、上記粘土鉱物の特性を利用する方法を用いて行おうとしても、一般的な凝集沈殿法において用いられる凝集剤を投入しただけでは沈殿速度が遅く、さらに、フィルタ径が非常に小さいためろ過に長い時間を要するので実用的ではない。
本発明は以上のような従来の課題を考慮してなされたものであり、凝集沈殿に長い時間を要さず、またろ過に長い時間を要さず、放射性物質を含む大量の汚染物を速やかに浄化することができ、さらに、二次廃棄物量を低減することができる放射能汚染物の浄化方法を提供するものである。
本発明は、放射能汚染物の浄化方法であって、放射性物質を含む汚染濁水に対して、前記放射性物質を吸着する吸着剤と、前記吸着剤を捕集する活性な官能基を表面に保持する官能基保持体とを投入して沈殿処理を施し、放射性の粒子を主成分とする沈殿物と、前記汚染濁水よりも放射能レベルが低い清浄処理水とを得る沈殿処理工程を含む。
本発明の放射能汚染物の浄化方法の前記沈殿処理工程において、さらに、前記汚染濁水に対して、凝集沈殿法において用いられる凝集剤を投入することができる。
本発明の放射能汚染物の浄化方法において、前記沈殿処理工程は、前記汚染濁水に対して、前記凝集剤と前記吸着剤とを投入して沈殿処理を施し、放射性の比較的大粒径の粒子を主成分とする一次沈殿物と、放射性の比較的小粒径の粒子を含む中間汚染濁水とに分離する補助沈殿工程と、前記中間汚染濁水に対して、別途、前記吸着剤と前記官能基保持体とを投入して沈殿処理を施し、放射性の比較的小粒径の粒子を主成分とする二次沈殿物と、前記清浄処理水とを得る主沈殿工程とを含む構成にすることができる。
本発明の放射能汚染物の浄化方法において、前記補助沈殿工程は、前段のシックナーに前記汚染濁水を供給し、前記一次沈殿物を泥漿として取り出し、前記中間汚染濁水を上澄み液として取り出し、前記主沈殿工程は、後段のシックナーに前記中間汚染濁水を供給し、前記二次沈殿物を泥漿として取り出し、前記清浄処理水を上澄み液として取り出す構成にすることができる。
本発明の放射能汚染物の浄化方法において、前記凝集剤は、ポリアクリルアミド系を主体としたノニオン、アニオン系混合凝集剤であることが好ましい。
本発明の放射能汚染物の浄化方法において、前記官能基保持体は、中心部に不活性で硬い核を備え、表面に活性な官能基を保持し、平均粒径が100nm以下の超分散ダイヤモンドであることが好ましい。
本発明の放射能汚染物の浄化方法において、前記吸着剤は、フェロシアン化合物であることが好ましい。
本発明の放射能汚染物の浄化方法において、前記沈殿処理工程において、前記汚染濁水に対して、ゼオライト吸着剤を投入しないことが好ましい。
本発明の放射能汚染物の浄化方法において、前記沈殿処理工程において得られる、前記放射性の粒子を主成分とする沈殿物は、放射性セシウムを含む粒子を主成分とする沈殿物であることが好ましい。
本発明の放射能汚染物の浄化方法において、該浄化方法は、さらに、前記沈殿処理工程の前に、放射性物質を含む汚染土壌に対して、湿式分級を施すことにより、前記汚染土壌よりも放射能レベルが低い浄化土と、前記汚染濁水とに分別する湿式分級工程を含む構成にすることができる。
本発明の放射能汚染物の浄化方法は、汚染濁水に対して、放射性物質を吸着する吸着剤と、表面に活性な官能基を保持する官能基保持体とを投入して沈殿処理することにより、凝集物の径が大きくなるので、沈殿速度が速くなり凝集沈殿にかかる時間を短くすることができ、フィルタが不要になったり、フィルタ径を大きくできることからフィルタ交換などのメンテナンスが不要または容易になる。よって本発明の放射能汚染物の浄化方法によれば、放射性物質を含む汚染濁水の浄化を効率的に行うことができ,その経済的な効果は非常に大きい。
さらに、本発明の浄化方法によれば、汚染濁水に対して、凝集沈殿法において用いられる凝集剤を投入することにより、沈殿物を大径化してさらに沈殿速度を向上させることができる。
さらに、本発明の浄化方法によれば、汚染濁水に対して、凝集剤と吸着剤とを投入して補助沈殿工程を行い、補助沈殿工程において得られた中間汚染濁水に対して、吸着剤と官能基保持体とを投入して主沈殿工程を行うことにより、補助沈殿工程では比較的安価な凝集剤を用いて放射性物質を凝集沈殿させ、主沈殿工程への放射性物質の移行量を減少させ主沈殿工程の負荷を軽減することができる。
さらに、本発明の浄化方法によれば、補助沈殿工程で前段のシックナーから一次沈殿物を泥漿として取り出し、中間汚染濁水を上澄み液として取り出し、主沈殿工程で後段のシックナーから二次沈殿物を泥漿として取り出し、清浄処理水を上澄み液として取り出すことにより、汚染濁水を連続的に一次沈殿物、二次沈殿物、および清浄処理水に分離することができる。
さらに、本発明の浄化方法によれば、汚染濁水に対して、凝集剤としてポリアクリルアミド系を主体としたノニオン、アニオン系混合凝集剤物を投入することにより、比較的安価な凝集剤を用いて、比較的高価な吸着剤や官能基保持体の使用量を減らすことができる。
さらに、本発明の浄化方法によれば、汚染濁水に対して、官能基保持体として超分散ダイヤモンドを投入することにより、放射性物質を吸着している吸着剤を吸着することができる。また超分散ダイヤモンドを投入することにより、フェロシアン化合物の使用量を低減することができる。例えば超分散ダイヤモンドを投入しない場合に比べて超分散ダイヤモンドを投入するとフェロシアン化合物を1/10程度に低減することができる。
さらに、本発明の浄化方法によれば、汚染濁水に対して、吸着剤としてフェロシアン化合物を投入することにより、放射性セシウムを保持している微粒子を吸着することができる。ここでフェロシアン化合物がセシウムを保持している微粒子を吸着し、これが超分散ダイヤモンド等の官能基保持体の修飾基に捕獲される。
さらに、本発明の浄化方法によれば、ゼオライト吸着剤を投入しないので、ゼオライト吸着剤を投入していた従来の浄化方法と較べて、脱水ケーキの量を大幅に低減することができる。
さらに、本発明の浄化方法によれば、放射性セシウムを含む粒子を主成分とする沈殿物が得られるので、放射性セシウムを分離することができる。
さらに、本発明の浄化方法によれば、汚染土壌を湿式分級して放射能レベルが低い浄化土と汚染濁水とに分別することにより、汚染土壌を浄化することができる。
本発明に係る浄化装置の概要を示す図である。
<浄化装置の概要>
以下、図面に示した実施の形態に基づいて本発明を詳細に説明する。
図1は、本発明に係る浄化装置1の概要を示す図である。
図1において、浄化装置1は、特に放射性セシウムに汚染された放射能汚染物を浄化するCsフリー化単位操作システムであり、主沈殿工程を実施するメインシックナー10、補助沈殿工程を実施するサブシックナー20、および湿式分級工程を実施する湿式分級機30を備える。
メインシックナー10は、後段の沈降濃縮装置であり主沈殿工程を実施する機器である。主沈殿工程は、前段の沈降濃縮装置であるサブシックナー20から上澄み液として取り出される放射性の比較的小粒径の粒子を含む中間汚染濁水11を受け取って、当該中間汚染濁水11に対して、吸着剤12と官能基保持体13とを投入して沈殿処理を施し、放射性の比較的小粒径の粒子を主成分とする二次沈殿物14と、中間汚染濁水11よりも放射能レベルが低い清浄処理水15とを得る。ここで主沈殿工程は、メインシックナー10から二次沈殿物14を泥漿として取り出し、清浄処理水15を上澄み液として取り出す。
ここで吸着剤12とは、放射性セシウム等の放射性物質を吸着する薬剤であり、例えばフェロシアン化合物である。また官能基保持体13とは、吸着剤12を捕集する活性な官能基(カルボキシル基、エステル基、アミノ基等)を表面に保持する粒子であり、表面の官能基によって水相で分散する特性を有し、平均粒径が100nm以下であることが望ましい。官能基保持体13は、例えば超分散ダイヤモンド(Ultra Dispersed Diamond:以下、「UDD」と記す。)等のダイヤモンドを含有するクラスターカーボンである。UDDは炭素80〜90%、水素1〜2%、窒素1〜3%、酸素8〜15%からなる化学的に安定した物質であり、中心部に不活性で非常に硬いダイヤモンド核(SP構造)を備え、その周囲には非結晶カーボン(SP構造)と様々な官能基(カルボキシル基、エステル基、アミノ基等)を保持する。また単一UDDの代表的な形状は、粒径約4〜6nmの球形で、比表面積が250〜350m/gである。
中間汚染濁水11や清浄処理水15の放射能レベルは、処理される汚染濁水21や汚染土壌31の放射能レベル等によって変動する。なお中間汚染濁水11の放射能レベルが放出基準以下の場合には主沈殿工程自体が不要となるので、本実施の形態では中間汚染濁水11の放射能レベルが放出基準を超える場合のみを考慮する。また清浄処理水15の放射能レベルは放出基準以下となることが望ましいが、放出基準以下とならない場合には、放出基準以下となるように、さらに主沈殿工程の後段にろ過装置40(図1中点線枠)を設けるとよい。ここで放出基準とは、例えば平成24年1月1日に施行された放射性物質汚染対処特措法で示された基準値であり、具体的に放出基準以下とは、セシウムの場合ではCs134で60Bq/L以下、Cs137で90Bq/L 以下、両方ある場合はその分数和が1以下である。
なお、サブシックナー20や湿式分級機30は必ずしも必要な構成ではなく、メインシックナー10のみの構成であっても本発明は実施可能である。メインシックナー10のみの構成の場合には、主沈殿工程は中間汚染濁水11の代わりに外部や湿式分級機30等から放射性物質を含む汚染濁水21を受け取り、二次沈殿物14の代わりに放射性の粒子を主成分とする沈殿物(一次沈殿物24+二次沈殿物14に相当)を得、汚染濁水21よりも放射能レベルが低い清浄処理水15を得る。
また、主沈殿工程に、さらに一般的な凝集沈殿法において用いられる凝集剤16(図1中点線枠)を投入してもよい。ここで凝集剤16は、例えばポリアクリルアミド系を主体としたノニオン、アニオン系混合凝集剤である。
サブシックナー20は、前段の沈降濃縮装置であり補助沈殿工程を実施する機器である。補助沈殿工程は、湿式分級機30により分別される放射性物質を含む汚染濁水21を受け取って、当該汚染濁水21に対して、凝集剤22(凝集剤16と同等)と吸着剤23(吸着剤12と同等)とを投入して沈殿処理を施し、放射性の比較的大粒径の粒子を主成分とする一次沈殿物24と、放射性の比較的小粒径の粒子を含む中間汚染濁水11とを得る。ここで補助沈殿工程は、サブシックナー20から一次沈殿物24を泥漿として取り出し、中間汚染濁水11を上澄み液として取り出す。
なお、補助沈殿工程において放射性の比較的大粒径の粒子を除去するので、補助沈殿工程があることによって主沈殿工程の負担が減り、補助沈殿工程がない場合よりも、短時間で放射能レベルがより低い清浄処理水15を得ることができるとともに、主沈殿工程において使用する比較的高価な薬剤の使用量を減らすことができる。
なお、湿式分級機30は必ずしも必要な構成ではなく、湿式分級機30を除いたメインシックナー10とサブシックナー20とからなる構成であっても本発明は実施可能である。
湿式分級機30は、補助沈殿工程の前に、汚染土壌31に対して、湿式分級を施すことにより、汚染土壌31よりも放射能レベルが低い浄化土32と、上記汚染濁水21とに分別する。
ここで汚染土壌31とは、放射性セシウムによって放出基準を超える高い放射能レベルを示す故に、出来るだけ速やかに浄化する必要があると認められる汚染された土壌であり、本実施の形態では微細粒の粘土が多く含まれているものを想定している。また浄化土32とは、放射能レベルが放出基準以下になるように浄化された土壌である。また汚染濁水21とは、浄化土を得る過程で生じる汚染された濁水であり、通常、放出基準を超える高い放射能レベルを示す。
以上のように、本発明の放射能汚染物の浄化方法によれば、放射能汚染物の浄化を効率的に短時間で行うことができ、その経済的な効果は非常に大きい。
<凝集沈殿予備試験の概要>
官能基保持体(UDD)、吸着剤(フェロシアン化合物:FC)、一般の凝集剤(ポリアクリルアミド系を主体としたノニオン、アニオン系混合凝集剤)をパラメータとした凝集沈殿の予備実験を行った。予備実験の結果を踏まえて、これらの薬剤を適宜組み合わせて使用することにより、高い沈降速度や優れたセシウム除去性能を得ることができる。
以下に本予備実験の条件および結果等についての詳細を記す。
(1)除染特別地域において採取した多量の放射性セシウムを含有する土壌について、土壌16ccに蒸留水を添加して500ccとし、汚染濁水を作製した。
(2)比較例1:(1)の汚染濁水を十分にかき混ぜて懸濁させ,沈殿時間を測定するとともに、上澄み液の放射性セシウムの濃度をゲルマニウム半導体検出器(以下、「Ge検出器」)により測定した。結果は、720分放置しても沈殿せず、放射性セシウムの濃度は、Cs134が116Bq/L、Cs137が84.6Bq/L、であった。
(3)比較例2:(2)の上澄み液をフィルタ径1μmのフィルタを用いてろ過し、放射性セシウムの濃度を測定した。放射性セシウムの濃度は、Ge検出器の検出下限以下であった。
(4)比較例3:(1)の汚染濁水を十分にかき混ぜて懸濁させ,凝集剤を2.5mg/lの割合で混合し、沈殿時間を測定した。結果は、720分放置しても沈殿しなかった。
(5)比較例4:(1)の汚染濁水を十分にかき混ぜて懸濁させ,UDDを2.5mg/lの割合で混合し、沈殿時間を測定した。結果は、720分放置しても沈殿しなかった。
(6)比較例5:(1)の汚染濁水を十分にかき混ぜて懸濁させ,凝集剤を2.5mg/l、UDDを2.5mg/lの割合で混合し、沈殿時間を測定した。結果は、720分放置しても沈殿しなかった。
(7)比較例6:(1)の汚染濁水を十分にかき混ぜて懸濁させ,凝集剤を2.5mg/l、UDDを2.5mg/l、フェロシアン化合物を105.6mg/lの割合で混合し、沈殿時間を測定するとともに、上澄み液の放射性セシウムの濃度をGe検出器により測定した。沈殿時間は30分程度であり、放射性セシウムの濃度は、Cs134が7.1Bq/kg、Cs137が5.5Bq/kg、であった。
(8)比較例7:(7)の上澄み液をフィルタ径1μmのフィルタを用いてろ過し、放射性セシウムの濃度を測定した。放射性セシウムの濃度は、Ge検出器の検出下限以下であった。
(9)比較例8:(1)の汚染濁水を十分にかき混ぜて懸濁させ,フェロシアン化合物を105.6mg/lの割合で混合し、沈殿時間を測定するとともに、上澄み液をフィルタ径1μmのフィルタを用いてろ過し、放射性セシウムの濃度をGe検出器により測定した。沈殿時間は30分程度であり、放射性セシウムの濃度は、Ge検出器の検出下限以下であった。
(10)実施例1:(1)の汚染濁水を十分にかき混ぜて懸濁させ,フェロシアン化合物を105.6mg/l、UDDを2.5mg/lの割合で混合し、沈殿時間を測定するとともに、上澄み液をフィルタ径1μmのフィルタを用いてろ過し、放射性セシウムの濃度をGe検出器により測定した。沈殿時間は5分程度であり、放射性セシウムの濃度は、Ge検出器の検出下限以下であった。
(11)実施例2:(1)の汚染濁水を十分にかき混ぜて懸濁させ,フェロシアン化合物を105.6mg/l、凝集剤を2.5mg/lの割合で混合し、沈殿時間を測定するとともに、上澄み液をフィルタ径1μmのフィルタを用いてろ過し、放射性セシウムの濃度をGe検出器により測定した。沈殿時間は10分程度であり、放射性セシウムの濃度は、Ge検出器の検出下限以下であった。
(12)考察
以上の結果から、比較例1〜5では、720分放置しても沈殿しなかったためこれらの薬剤の組み合わせは使えないことがわかる。
また、比較例6〜8では、沈殿時間が30分程度なので、使用可能である。
実施例1では、沈殿時間は5分程度であり、本予備実験において最短時間である。
以上のようにフェロシアン化合物とUDDとを同時に使用すると沈殿時間が最短となることがわかったので、本願においてこの薬剤の組み合わせをメインシックナー10における主沈殿工程において採用することにより、沈殿時間を短くすることが可能となった。
一方実施例2では、沈殿時間は10分程度であり、本予備実験において2番目に短い時間である。ここで特出すべきは、実施例2ではフェロシアン化合物と凝集剤とを同時に使用しており、実施例1のように比較的高価なUDDを使用していない点である。また比較例6ではフェロシアン化合物とUDDと凝集剤とを同時に使用しているが、沈殿時間をみると、フェロシアン化合物とUDDとを同時に使用する場合(実施例1)や、フェロシアン化合物と凝集剤とを同時に使用する場合(実施例2)よりもかえって遅くなっており、かつフェロシアン化合物を単独で使用する場合(比較例8)と同じである。このような結果から、沈殿時間に限ってみると、UDDと凝集剤とを同時に使用すると、フェロシアン化合物との相乗効果が無くなってしまうものと推測される。ただし放射性セシウムの除去性能に関しては、フェロシアン化合物とUDDと凝集剤とを同時に使用した場合に最も優位性がある可能性がある。
以上のようにフェロシアン化合物と凝集剤とを同時に使用すると、沈殿時間が短くかつ比較的高価なUDDを使用しないことがわかったので、本願においてこの薬剤の組み合わせをサブシックナー20における予備沈殿工程において採用することにより、沈殿時間を短くしつつ、後段のメインシックナー10における比較的高価なUDDの使用量を削減し、かつ、放射性セシウムの除去性能を高めることが可能となった。
10 メインシックナー
11 中間汚染濁水
12 吸着剤
13 官能基保持体
14 二次沈殿物
15 清浄処理水
16 凝集剤
20 サブシックナー
21 汚染濁水
22 凝集剤
23 吸着剤
24 一次沈殿物
30 湿式分級機
31 汚染土壌
32 浄化土
40 ろ過装置

Claims (10)

  1. 放射性物質を含む汚染濁水に対して、前記放射性物質を吸着する吸着剤と、前記吸着剤を捕集する活性な官能基を表面に保持する官能基保持体とを投入して沈殿処理を施し、放射性の粒子を主成分とする沈殿物と、前記汚染濁水よりも放射能レベルが低い清浄処理水とを得る沈殿処理工程を含むことを特徴とする放射能汚染物の浄化方法。
  2. 前記沈殿処理工程において、さらに、
    前記汚染濁水に対して、凝集沈殿法において用いられる凝集剤を投入することを特徴とする請求項1に記載の放射能汚染物の浄化方法。
  3. 前記沈殿処理工程は、
    前記汚染濁水に対して、前記凝集剤と前記吸着剤とを投入して沈殿処理を施し、放射性の比較的大粒径の粒子を主成分とする一次沈殿物と、放射性の比較的小粒径の粒子を含む中間汚染濁水とに分離する補助沈殿工程と、前記中間汚染濁水に対して、別途、前記吸着剤と前記官能基保持体とを投入して沈殿処理を施し、放射性の比較的小粒径の粒子を主成分とする二次沈殿物と、前記清浄処理水とを得る主沈殿工程とを含むことを特徴とする請求項2に記載の放射能汚染物の浄化方法。
  4. 前記補助沈殿工程は、前段のシックナーに前記汚染濁水を供給し、前記一次沈殿物を泥漿として取り出し、前記中間汚染濁水を上澄み液として取り出し、
    前記主沈殿工程は、後段のシックナーに前記中間汚染濁水を供給し、前記二次沈殿物を泥漿として取り出し、前記清浄処理水を上澄み液として取り出すことを特徴とする請求項3に記載の放射能汚染物の浄化方法。
  5. 前記凝集剤は、
    ポリアクリルアミド系を主体としたノニオン、アニオン系混合凝集剤であることを特徴とする請求項2〜4のいずれか1項に記載の放射能汚染物の浄化方法。
  6. 前記官能基保持体は、中心部に不活性で硬い核を備え、表面に活性な官能基を保持し、平均粒径が100nm以下の超分散ダイヤモンドであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の放射能汚染物の浄化方法。
  7. 前記吸着剤は、フェロシアン化合物であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の放射能汚染物の浄化方法。
  8. 前記沈殿処理工程において、前記汚染濁水に対して、ゼオライト吸着剤を投入しないことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の放射能汚染物の浄化方法。
  9. 前記沈殿処理工程において得られる、前記放射性の粒子を主成分とする沈殿物は、放射性セシウムを含む粒子を主成分とする沈殿物であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の放射能汚染物の浄化方法。
  10. 該浄化方法は、さらに、
    前記沈殿処理工程の前に、放射性物質を含む汚染土壌に対して、湿式分級を施すことにより、前記汚染土壌よりも放射能レベルが低い浄化土と、前記汚染濁水とに分別する湿式分級工程を含むことを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の放射能汚染物の浄化方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2013250253A (ja) * 2012-05-01 2013-12-12 Asahi Kasei Engineering Kk 放射性セシウム汚染土壌の洗浄方法
JP2014182069A (ja) * 2013-03-21 2014-09-29 Kictec Inc 無機微粒子を含んだ汚染物からの無機微粒子の除去方法及び除去装置
JP2016061784A (ja) * 2014-09-16 2016-04-25 コリア アトミック エナジー リサーチ インスティテュートKorea Atomic Energy Research Institute 原発の重大事故時に発生する放射性廃液の処理方法

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