JP2014055895A - 放射性物質の吸着材、その再生方法、及び放射性汚染物質の浄化方法 - Google Patents

放射性物質の吸着材、その再生方法、及び放射性汚染物質の浄化方法 Download PDF

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Abstract

【課題】放射性物質汚染水、汚染土壌又は汚染焼却灰を効果的に除染し、浄化することを可能とする、低コストの吸着材、その再生方法、及び放射性汚染物質の浄化方法を提供すること。
【解決手段】MFe(Mは、Fe、Mn、Co、Ni、Cu、及びZnからなる群から選ばれた少なくとも1種である)のスピネル型結晶構造を有する磁性フェライトを含有することを特徴とする放射性物質の吸着材。この吸着材と放射性物質汚染水とを混合し、磁力を用いて、混合液を吸着材と水とに分離することにより、放射性物質汚染水が浄化される。
【選択図】図1

Description

本発明は、放射性物質汚染水や放射性物質汚染土壌、放射性物質汚染焼却灰等の放射性汚染物質から放射性物質を除去するための吸着材、その再生方法、及び放射性汚染物質の浄化方法に関する。
東日本大震災に伴う原発事故においては、大量の放射性物質が漏洩して周辺に放出され、家屋、道路、土壌を汚染しており、その除染が緊急かつ重大な問題となっている。放出された放射性物質は、主としてヨウ素131、セシウム134、及びセシウム137であるが、ヨウ素131の半減期は8日と短いため、半減期が約2年のセシウム134、約30年のセシウム137が除染の対象となっている。
これらの放射性物質の除染は、家屋及び道路については、水で洗浄することにより行っているが、その際に大量の汚染水が発生する。また、土壌は、放射性セシウムの濃度の高い表土を除去することにより行っているが、この場合も大量の汚染土壌が発生する。これらの汚染水及び汚染土壌は、無害化することは出来ないため、汚染土壌や汚染水を浄化して放射性物質を回収することが必要である。
このような放射性物質による汚染土壌や汚染水を浄化する方法として、放射性物質を吸着材に吸着させることにより処理する方法が提案されている。例えば、四価金属の含水亜鉄酸塩と四価金属の水不溶性リン酸塩とを含有する吸着材を用いる方法(例えば、特許文献1参照)、廃液中に含まれる放射性物質をキチン又はキトサンに吸着させる方法(例えば、特許文献2参照)、セシウムを含む廃液をセシウム蓄積菌で処理してセシウムを除去する方法(例えば、特許文献3参照)が知られている。
しかし、これらの方法はいずれも放射性物質の除去効果がそれほど高くなく、また使用される吸着材等のコストが高いため、大量の汚染土壌や汚染水を浄化するのには適していない。
なお、最近、吸着材としてゼオライトやフェロシアン化物を用いることが検討されており、所定の効果が得られることが報告されているが、いずれも吸着材のコストが高いという問題がある。また、これらの技術は凝集剤を用いて吸着材を固液沈降分離するものであり、かつ吸着材の再生使用は困難であることから、コスト高となり、やはり大量の汚染土壌や汚染焼却灰や汚染水を浄化するのには適していない。
特開平5−146673号公報 特開平8−68893号公報 特開2007−271306号公報
本発明は、以上の事情の下になされ、放射性物質汚染水、汚染土壌又は汚染焼却灰を効果的に除染し、浄化することを可能とする、低コストの吸着材、その再生方法、及び放射性汚染物質の浄化方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明の第1の態様は、MFe(Mは、Fe、Mn、Co、Ni、Cu、及びZnからなる群から選ばれた少なくとも1種である)のスピネル型結晶構造を有する磁性フェライトを含有することを特徴とする放射性物質の吸着材を提供する。
本発明の第2の態様は、本発明の第1の態様に係る吸着材と放射性物質汚染水とを混合する工程、及び磁力を用いて、混合液を吸着材と水とに分離する工程を具備することを特徴とする放射性物質汚染水の浄化方法を提供する。
本発明の第3の態様は、本発明の第1の態様に係る吸着材と、放射性物質汚染土壌と、水とを混合する工程、及び磁力を用いて、混合液を、吸着材と、土壌及び水とに分離する工程を具備することを特徴とする放射性物質汚染土壌の浄化方法を提供する。
本発明の第4の態様は、本発明の第1の態様に係る吸着材と、放射性物質汚染焼却灰と、水とを混合する工程、及び磁力を用いて、混合液を、吸着材と、焼却灰及び水とに分離する工程を具備することを特徴とする放射性物質汚染焼却灰の浄化方法を提供する。
本発明の第5の態様は、放射性物質を吸着した吸着材をpH2〜5の酸性水と接触させることにより、放射性物質を吸着材から脱着させて、酸性水に移行させる工程を具備することを特徴とする吸着材の再生方法を提供する。
本発明によると、放射性物質汚染水、汚染土壌又は汚染焼却灰を効果的に除染し、浄化することを可能とする、低コストの吸着材、その再生方法、及び放射性汚染物質の浄化方法が提供される。
第2の実施形態に係る放射性物質汚染水の浄化方法のシステムフロー図である。 第2の実施形態に係る放射性物質汚染水の浄化方法に用いられる浄化装置を示す図である。 第3の実施形態に係る放射性物質汚染土壌又は焼却灰の浄化方法のシステムフロー図である。 実施例に用いたフェライトの代表的なXRDプロファイルを示す図である。 実施例におけるフェライトのセシウム吸着能の試験結果を示す図である。 実施例におけるフェライト及び土壌のベクレル分析装置により得られた137Csのγ線スペクトルを示す図である。
以下、本発明の実施形態について説明する。
本発明の第1の実施形態に係る放射性物質の吸着材は、MFe(Mは、Fe、Mn、Co、Ni、Cu、及びZnからなる群から選ばれた少なくとも1種である)のスピネル型結晶構造を有する磁性フェライトを含有することを特徴とする。
磁性フェライトとして、MFeのMが異なる2種以上の混合物を用いることが出来る。このような混合物としては、例えば、MnFeとFe3、ZnFeとFe3の混合物が挙げられる。なお、MがFeのみの場合には、磁性フェライトは、Feとなる。
本実施形態に係る吸着材は、上記磁性フェライトを主成分とするものであり、磁性フェライトが50重量%以上含むものであることが好ましく、より好ましくは75重量%以上含むものであるのがよい。なお、磁性フェライト以外に吸着材に含まれる成分として、例えば、Mn,Zn,Ca,Si,Sを含む化合物を挙げることが出来る。
磁性フェライトの粒径は特に限定されないが、1次粒子径が0.01μm〜10μmであり、これら粒子が凝集し擬似粒子を形成している。この擬似粒子粒径は1μm〜100μmであるが、増粒して0.1〜5mmのペレット状にしたものを用いても良い。大きすぎる場合には、単位容積あたりの吸着性能が低くなり、小さすぎる場合には、取扱いが困難となり、好ましくない。
本実施形態に係る吸着材は、吸着する対象である放射性物質として、セシウムを効果的に吸着することが出来る。放射性セシウムは、セシウム134及びセシウム137である。
フェライトによる放射性物質の吸着は、放射性物質イオン特にセシウムイオンとフェライトとの間の静電結合によるものが支配的であると考えられる。フェライトの等電点は弱酸性であり、それよりアルカリ性側ではマイナスの電位を帯びる、一方、セシウムイオンはプラスの電荷を持っているため、アルカリ性の下ではフェライトの吸着能が増大する。逆にpHを下げ、酸性にすることで静電結合していたセシウムはフェライト表面より脱離する。
本実施形態に係る吸着材に用いられる磁性フェライトは、従来、放射性物質汚染水、汚染土壌又は汚染焼却灰の浄化に使用されていた吸着材に匹敵する浄化性能を示すとともに、それら吸着材に比べ非常に安価であるため、大量の放射性物質汚染水、汚染土壌又は汚染焼却灰を浄化するための吸着材として実用上、非常に優れている。
また、吸着材に用いられる磁性フェライトは、大容積の汚染水、汚染土壌又は汚染焼却灰から放射性物質を吸着して濃縮した形で小容積となり、また磁選回収され、汚染水、汚染土壌又は汚染焼却灰から分離することにより、その後の処理が容易となる。また、後述するように、汚染水、汚染土壌又は汚染焼却灰の処理に用いられた磁性フェライトは、繰り返しリサイクル使用することができるとともに、汚染物質を脱着することにより、再生使用することが可能である。
本発明の第2の実施形態に係る放射性物質汚染水の浄化方法は、上述した吸着材と放射性物質汚染水とを混合する工程、及び磁力を用いて、混合液を吸着材と水とに分離する工程を具備することを特徴とする。
この放射性物質汚染水の浄化方法では、上述したように、分離された吸着材を、再度、放射性物質汚染水と混合し、吸着材を所定回数繰り返し使用することが出来る。吸着材を1回使用するごとに廃棄するか、又は後述する方法により再生するのでは、コストが高くなり、従来の他の浄化方法に比べ低コストであるという本発明の利点を生かすことができない。
吸着材を繰り返し使用する回数は、放射性物質汚染水の処理量及び使用する吸着材の量により変化するが、通常、3〜20回である。3回未満では、処理コストが高くなり、20回を超えると、吸着効率が低下する。所定回数、処理に使用した吸着材は、後述する方法により放射性物質を脱着することにより再生することが出来る。
吸着効率を高めるために、吸着材と放射性物質汚染水の混合液をpH9〜12に調整することが望ましい。上述したように、吸着材を構成するフェライトは、混合液のpHが高くなり、アルカリ性になるほど、セシウム等の放射性物質を吸着する能力が高くなるからである。
pHの調整は、汚染水及び吸着材が収容されている吸着反応槽に、水酸化カリウム(KOH)、水酸化ナトリウム(NaOH)や水酸化アンモニウム(NHOH)等のアルカリ水溶液を導入することにより行うことが出来る。
図1は、本実施形態に係る放射性物質汚染水の浄化方法のシステムフロー図であり、図2は、それに対応する浄化装置を示す図である。
図1及び図2において、吸着反応槽1中に汚染水2、及び吸着材としてのフェライト3が導入される。吸着反応槽1は、攪拌機4を備えており、汚染水2とフェライト3の混合液が撹拌され、汚染水2中の放射性物質がフェライト3に吸着される。
また、吸着反応槽1内の混合液中にはpH電極5が配置されており、pH電極5に接続されたpH制御装置6により測定されたpHの値に応じて、汚染水2とフェライト3の混合液のpH調整が行われる。即ち、混合液のpHが7未満、即ち酸性の場合には、放射性物質のフェライト3への吸着が効果的に行われず、また一旦吸着しても、脱着してしまうため、pH制御装置6は、薬剤タンク7から吸着反応槽1内にアルカリ水溶液を導入して混合液のpHをアルカリ性にするように動作する。アルカリ水溶液としては、上述した水酸化カリウム(KOH)、水酸化ナトリウム(NaOH)や水酸化アンモニウム(NHOH)等を用いることができる。
なお、混合液のpHが7以上、即ちアルカリ性であっても、pHが9未満の場合には、同様にアルカリ水溶液を導入して、pHを9〜12にすることにより、優れた吸着効果を得ることが出来る。なお、pHが11〜12のときに、特に優れた吸着効果を得ることが出来る。
吸着反応槽1内で所定時間撹拌され、放射性物質がフェライト3へ吸着された混合液は、次いで、湿式磁選機8に送られ、そこで磁力によりフェライト3が混合液から分離される。湿式磁選機8としては、通常、回転トレイ電磁石を備え、常磁性体異物を分離するために用いられる一般的な装置や、レアアースによる高磁力磁選機、超伝導磁選機などを用いることが出来る。
湿式磁選機8で分離されたフェライト3は、回収され、吸着反応槽1に回収フェライト9としてリサイクルされ、再び放射性物質の吸着に供される。
放射性物質を吸着したフェライト3を分離された浄化水は、次いで、pH調整槽10に送られる。放射性物質が除去されても強いアルカリ性を有する場合には、浄化水をそのまま放流することは出来ないので、pH制御装置11により、例えばCOガスを吹き込むことにより、浄化水が中性にされる。pH調整はCOガスに限定されるものではなく、硫酸、塩酸、硝酸などの鉱酸、クエン酸などの有機酸などでも構わない。図2に示す装置では、COガスは、多孔板12を通すことにより小さい気泡の形でpH調整槽10内の浄化水中に均一に吹き込まれる。
本実施形態では、放射線量が数100〜2000Bq/Lの汚染水を100Bq/L以下にまで低減することが可能であり、放射線量が100Bq/L以下に低減した浄化水を最終浄化水として放流することができる。
図2に示す浄化装置は、主要な構成ユニットとして、吸着反応槽1、磁選機8、pH調整槽10を備えるのみという、簡単な構成であって、低コスト、省スペースでありながら高処理能力を有する。また、シンプルでコンパクトな装置構成であるため、車載式のモバイル浄化装置としての適用が可能であり、それによって狭窮な地域での汚染水の浄化が可能である。
本発明の第3の実施形態に係る放射性物質汚染土壌の浄化方法は、上述した吸着材と、放射性物質汚染土壌と、水とを混合する工程、及び磁力を用いて、混合液を、吸着材と、土壌及び水とに分離する工程を具備することを特徴とする。
この放射性物質汚染土壌の浄化方法において、分離された吸着材を、再度、放射性物質汚染土壌及び水と混合し、吸着材を所定回数繰り返し使用することが出来ることは、上述した放射性物質汚染水の浄化方法と同様である。
図3は、本実施形態に係る放射性物質汚染土壌の浄化方法のシステムフロー図である。図3に示すように、最初に、水洗槽中に汚染土壌、吸着材としてのフェライト、及び水が導入される。水洗槽は、攪拌機を備えており、汚染土壌、フェライト、及び水の混合液が撹拌され、汚染土壌中の放射性物質がフェライトに吸着される。
水洗槽内では、汚染土壌が水洗され、まず、放射性物質が土壌から水中に溶解する。溶解した放射性物質は、次いでフェライトに吸着される。なお、汚染土壌、特に微粒の粘土鉱物に吸着された放射性物質、例えばセシウムは、溶出しにくく、水洗しても水への抽出率は低い。また、水に抽出されても再度土粒子に再吸着され、汚染土壌を効果的に浄化することは困難となる場合がある。
この場合、汚染土壌、フェライト及び水の混合液をアルカリ性とすることにより、土粒子から水への抽出性と、フェライトへの吸着性が向上し、土粒子への再吸着が防止され、汚染土壌の浄化効率が格段に向上する。
即ち、水洗槽内の混合液中にはpH電極が配置されており、それにより測定されたpHの値に応じて、pH電極に接続されたpH制御装置による混合液のpH調整が行われ、混合液がアルカリ性とされる。pH制御装置によるpH調整の手順は、上述した第2の実施形態においてしたのと同様に行うことが出来る。
水洗槽内で放射性物質がフェライトへ吸着された混合液は、次いで、分級に供され、粗粒土が分離される。粗粒土が分離された、細粒土を含む混合液は、更に水洗された後、湿式磁選機に送られ、そこで磁力によりフェライトが混合液から分離される。湿式磁選機は、上述した第2の実施形態において用いたのと同様のものを用いることが出来る。
湿式磁選機で分離されたフェライトは、回収され、水洗槽にリサイクルされて、再び放射性物質の吸着に供される。なお、図3に示すように、細粒土を含む混合液の水洗に対してもリサイクル使用することが出来る。
放射性物質を吸着したフェライトを分離された浄化液は、次いで、分級され、浄化土壌と浄化水とに分離される。浄化土壌は、廃棄されるか、埋め立て等に供され、浄化水の一部はそのまま水洗槽にリサイクルされ、残りの浄化水は、pH調整槽において中性にされた後、放流される。pH調整槽におけるpH調整は、上述した第2の実施形態における方法と同様に行うことが出来る。なお、pHが調整された浄化水は、もともと汚染されているものではないため、第2の実施形態におけるように、モニター槽に導入し、そこで放射線量をモニターし、所定の値以下の放射線量であることをチェックした後に、放流するという手順をとる必要はない。
本発明の第4の実施形態に係る放射性物質汚染焼却灰の浄化方法は、上述した吸着材と、放射性物質汚染焼却灰と、水とを混合する工程、及び磁力を用いて、混合液を、吸着材と、焼却灰及び水とに分離する工程を具備することを特徴とする。
ここで焼却灰とは飛灰と主灰のいずれか、または両方の灰のことである。
この放射性物質汚染焼却灰の浄化方法において、分離された吸着材を、再度、放射性物質汚染焼却灰及び水と混合し、吸着材を所定回数繰り返し使用することが出来ることは、上述した放射性物質汚染水又は汚染土壌の浄化方法と同様である。
本実施形態に係る放射性物質汚染焼却灰の浄化方法のシステムフロー図は、図3に示す通り放射性物質汚染土壌の処理フローと同様である。
水洗槽内では、汚染焼却灰が水洗され、まず、放射性物質が焼却灰から水中に溶解する。焼却灰、特に焼却飛灰中の放射性セシウムは塩化セシウムの形態で存在する比率が高く、土壌に比べると水への溶解率が極めて高くなる。通常60〜95%の放射性セシウムは水へ移行する。また、焼却灰は水と接触するとpHは10〜12のアルカリ性になるため、フェライトへの吸着には好適である。また、洗浄水のpHを調整する必要も無い。
水洗槽内で放射性物質がフェライトへ吸着された混合液は、次いで、分級に供され、粗粒焼却灰が分離される。なお、焼却飛灰など粗粒分は存在しない場合はこの分級工程は省略できる。粗粒焼却灰が分離された、細粒焼却灰を含む混合液は、更に水洗された後、湿式磁選機に送られ、そこで磁力によりフェライトが混合液から分離される。湿式磁選機は、上述した第2の実施形態において用いたのと同様のものを用いることが出来る。
湿式磁選機で分離されたフェライトは、回収され、水洗槽にリサイクルされて、再び放射性物質の吸着に供される。なお、図3に示すように、細粒焼却灰を含む混合液の水洗に対してもリサイクル使用することが出来る。
放射性物質を吸着したフェライトを分離された浄化液は、次いで、分級され、浄化焼却灰と浄化水とに分離される。浄化焼却灰は、廃棄されるか、埋め立て等に供され、浄化水の一部はそのまま水洗槽にリサイクルされ、残りの浄化水は、pH調整槽において中性にされた後、放流される。pH調整槽におけるpH調整は、上述した第2の実施形態における方法と同様に行うことが出来る。なお、pHが調整された浄化水は、もともと汚染されているものではないため、第2の実施形態におけるように、モニター槽に導入し、そこで放射線量をモニターし、所定の値以下の放射線量であることをチェックした後に、放流するという手順をとる必要はない。
本発明の第5の実施形態に係る吸着材の再生方法は、放射性物質を吸着した吸着材をpH2〜5の酸性水と接触させることにより、放射性物質を吸着材から脱着させて、酸性水に移行させる工程を具備することを特徴とする。
上述したように、吸着材を含む混合液のpHが7未満、即ち酸性の場合には、フェライトに吸着した放射性物質が脱着してしまう。本実施形態では、この現象を利用して、放射性物質を吸着した吸着材をpH2〜5の酸性水と接触させることにより、放射性物質を吸着材から脱着させ、吸着材を再生するものである。
なお、酸性水のpHが5を超えると、脱着効果が低下し、一方、pHが2未満では、吸着材であるフェライトが溶解してしまい、好ましくない。
pH2〜5の酸性水としては、例えば、塩酸、硫酸、硝酸、クエン酸などを用いることが出来る。
本実施形態によると、放射性物質を吸着した吸着材を単に酸性水と接触させるだけで、放射性物質を吸着材から効果的に脱着し、吸着材を再生することができるので、吸着材による汚染物質の浄化のコストを更に下げることが可能であり、その実用上の価値は非常に高い。
以下、本発明の実施例を示し、本発明の効果をより具体的に説明する。
本実施例では、安定同位体を用いた吸着試験と、実際に放射性セシウムにより汚染された土壌を用いた吸着試験とを行った。
1.安定同位体を用いた吸着試験
放射性セシウム吸着用のフェライトとして、石原産業(株)製の「MT−V0」を使用した。このフェライトの代表的なXRDプロファイル、及び成分を、それぞれ図4及び下記表1に示す。
Figure 2014055895
図4、及び上記表1より、使用したフェライトは、Feで表されるスピネル型マグネタイトが大半を占めるものであり、若干のMnFeやZnFeが混合している可能性がある。
最初に、安定同位体である133Csを含む試薬である塩化セシウムを純水に溶解して2mg/LのCsを含有する水溶液を調製した。この溶液に1%−HClまたは3%−KOHを加えて、溶液のpHを5、7、9、10、11、12にし、純水で希釈して1mg/LのCsを含む水溶液を調製した。
各々の水溶液と軽粉砕したフェライト「MT−V0」をポリエチレン容器内に所定重量比で収容し、密栓した後、200rpmでレシプロ振とうした。試験水準を下記表2に示す。
Figure 2014055895
所定時間が経過した後、容器の底部に1500ガウスの板状フェライト磁石を敷き、フェライトを磁石で固定し、容器を傾けながら上澄み溶液を回収した。
上澄み溶液について、そのpHを測定した後、原子吸光分析装置によりセシウム濃度を測定した。別途、フェライトを混合していない溶液のセシウム濃度を測定して、フェライトのセシウム吸着能を求めた。その試験結果を下記表3、図5に示す。
Figure 2014055895
上記表3及び図5より、フェライトはセシウムを吸着するが、pHがアルカリ性になるほど吸着能が高く、pH11以上では150μg/g以上の高い吸着能を示すことがわかる。
2.実際に放射性セシウムで汚染された土壌を用いた吸着試験
福島県内より採取した土壌を2mmの篩いにかけ、通過分をサンプル土壌とした。このサンプル土壌300gに水600mL及びフェライト15gをステンレス製1200mL容器に収容し、攪拌羽根を用いて400rpmの回転速度で30分間攪拌した。
別途、水の代わりに、水にKOHを加えてpH11.5に調整したアルカリ水を用い、同様の操作を行った。これらのスラリー溶液を3000rpmで遠心分離を行い、上澄み液とフェライト混合土壌を得た。
上澄み液はポリ容器に回収した。フェライト混合土壌は風乾した後、1500ガウスの棒状フェライト磁石で土壌とフェライトとを分離回収した。上澄み液、洗浄前後の土壌、処理前後のフェライトについてベクレル分析装置により、137Csの線量を測定し、放射線Cs量をBq/kgで算出した。
ベクレル分析装置によるγ線スペクトルの例を図6に、放射線量測定結果を下記表4に示す。
Figure 2014055895
上記表4から、以下のことがわかる。
1)の水洗浄の結果から、水洗浄により土壌の放射線量が低減し、フェライトの放射線量が増大し、洗浄水の放射線量は非常に低いレベルであることより、放射性セシウムが土壌から水に溶解し、溶解したセシウムがフェライトにより吸着されていることがわかる。
2)のアルカリ洗浄の結果から、pHを11.5にすることにより、洗浄土壌の放射線量が水洗浄の場合よりも低減し、フェライトへの放射線量が増加していることがわかる。このことは、アルカリ水による土壌洗浄によってセシウムのフェライトへの吸着量を増大させることが出来、フェライトを含むアルカリ水による土壌洗浄が有効であることを示している。
1…吸着反応槽、2…汚染水、3…フェライト、4…攪拌機、5…pH電極、6…pH制御装置、7…薬剤タンク、8…湿式磁選機、9…回収フェライト、10…pH調整槽、11…pH制御装置、12…多孔板。

Claims (12)

  1. MFe(Mは、Fe、Mn、Co、Ni、Cu、及びZnからなる群から選ばれた少なくとも1種である)のスピネル型結晶構造を有する磁性フェライトを含有することを特徴とする放射性物質の吸着材。
  2. 前記磁性フェライトは、MFeのMが異なる2種以上の混合物であることを特徴とする請求項1に記載の放射性物質の吸着材。
  3. 前記磁性フェライトが50重量%以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載の放射性物質の吸着材。
  4. 前記放射性物質がセシウムであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の放射性物質の吸着材。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の吸着材と放射性物質汚染水とを混合する工程、及び
    磁力を用いて、混合液を吸着材と水とに分離する工程
    を具備することを特徴とする放射性物質汚染水の浄化方法。
  6. 前記分離された吸着材を、再度、放射性物質汚染水と混合し、吸着材を所定回数繰り返し使用することを特徴とする請求項5に記載の放射性物質汚染水の浄化方法。
  7. 前記吸着材と放射性物質汚染水の混合液をpH9〜12に調整することを特徴とする請求項5又は6に記載の放射性物質汚染水の浄化方法。
  8. 請求項1〜4のいずれかに記載の吸着材と、放射性物質汚染土壌と、水とを混合する工程、及び
    磁力を用いて、混合液を、吸着材と、土壌及び水とに分離する工程
    を具備することを特徴とする放射性物質汚染土壌の浄化方法。
  9. 前記分離された吸着材を、再度、放射性物質汚染土壌及び水と混合し、吸着材を所定回数繰り返し使用することを特徴とする請求項8に記載の放射性物質汚染土壌の浄化方法。
  10. 請求項1〜4のいずれかに記載の吸着材と、放射性物質汚染焼却灰と、水とを混合する工程、及び
    磁力を用いて、混合液を、吸着材と、焼却灰及び水とに分離する工程
    を具備することを特徴とする放射性物質汚染焼却灰の浄化方法。
  11. 前記分離された吸着材を、再度、放射性物質汚染焼却灰及び水と混合し、吸着材を所定回数繰り返し使用することを特徴とする請求項10に記載の放射性物質汚染焼却灰の浄化方法。
  12. 放射性物質を吸着した吸着材をpH2〜5の酸性水と接触させることにより、放射性物質を吸着材から脱着させて、酸性水に移行させる工程
    を具備することを特徴とする吸着材の再生方法。
JP2012201740A 2012-09-13 2012-09-13 放射性物質の吸着材、その再生方法、及び放射性汚染物質の浄化方法 Pending JP2014055895A (ja)

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