JP2002262736A - 魚釣用リール - Google Patents

魚釣用リール

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JP2002262736A
JP2002262736A JP2001066826A JP2001066826A JP2002262736A JP 2002262736 A JP2002262736 A JP 2002262736A JP 2001066826 A JP2001066826 A JP 2001066826A JP 2001066826 A JP2001066826 A JP 2001066826A JP 2002262736 A JP2002262736 A JP 2002262736A
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fishing line
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backlash
fishing
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JP2001066826A
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Hideki Horiuchi
秀樹 堀内
Masayoshi Tanaka
正吉 田中
Masamitsu Miyajima
正光 宮島
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Japan Radio Co Ltd
Original Assignee
Japan Radio Co Ltd
Daiwa Seiko Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 スプールに巻回された釣糸表面に超音波を送
信し反射波を受信する超音波センサーを備え、常時には
制動力をかけることなく、バックラッシュの発生を初期
の段階で検出できる魚釣リールを提供すること。 【解決手段】 超音波センサー3でスプール2に巻かれ
た釣糸8の表面に超音波パルスを送信し、釣糸表面から
の反射波を受信する。演算処理を行う処理部11は、超
音波センサー3で受信した反射波を受信信号として受信
するとともに、受信信号の波形振幅分布を認識し、その
波形振幅分布の変化に基づいて、スプール2上の釣糸8
のたるみを検出する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、釣糸繰り出し時の
バックラッシュ検出手段を備えた魚釣用リールに関す
る。
【0002】
【従来の技術】魚釣用リールは通常、リール本体にスプ
ールが回転可能に支持され、このスプールを釣糸巻き取
り状態(クラッチオン)とスプールフリー状態(クラッ
チオフ)とに切り換えるクラッチが装着されており、ク
ラッチをオフ操作してキャスティングすると、釣糸がス
プールから繰り出され、逆にクラッチをオン操作して巻
き取り操作すると釣糸がスプールに巻き取られるように
構成されている。
【0003】このような魚釣用リールにおいてはキャス
ティング時に糸繰り出し速度よりもスプール回転が早く
なる、所謂バックラッシュが発生することがある。この
バックラッシュが発生すると、まず、スプールに巻かれ
た糸にテンションがかからなくなり、スプールに巻かれ
た糸がたるみ(バックラッシュ初期状態)、引き続いて
このバックラッシュ状態が継続すると、その結果釣糸が
解れて絡み合ったり、あるいはリール枠体内に釣糸が食
い込んでしまう。
【0004】このようなバックラッシュを防止するため
に、磁力漏れ現象を利用して渦電流を発生させてスプー
ルに制動力をかける渦流ブレーキや、遠心力を利用した
遠心ブレーキ等が用いられている。
【0005】また、スプールに巻回された釣糸表面に超
音波を送受信し、その伝搬時間から測定した糸巻き径
と、スプールの回転数とから、糸長を計測するようにし
た魚釣用リールにおいて、その糸長計測手段を利用し
て、すなわち回転センサーにより検出された回転値と超
音波によるスプール径の測定値によって計算される糸巻
き計測値が基準値に対してある幅内に収まっていない場
合にはバックラッシュが発生しているとして、検出し、
制動することが提案されている(特開平10−1553
98号公報参照)。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、渦流ブ
レーキや、遠心ブレーキ等の装着により、バックラッシ
ュの発生は防止できるものの、キャスティング初期時か
らわずかながら制動力がかかっている状態のため、飛距
離が低下してしまう。
【0007】また、超音波測定値によるスプール糸巻き
径の分布によりバックラッシュ発生を検出するもので
は、インパルス状のノイズ等が混入した場合には誤って
バックラッシュと判断してしまう虞があるし、糸巻き径
計測値が基準値から所定の幅値以上異なるのを待って検
出することになるから、その検出に時間がかかってしま
い、バックラッシュを初期の段階で検出、抑制すること
が困難である。
【0008】本発明は上述のような問題点に鑑みて、ス
プールに巻回された釣糸表面に超音波を送信し反射波を
受信する超音波センサーを備え、常時には制動力をかけ
ることなく、バックラッシュの発生を初期の段階で検出
できる魚釣用リールを提供することを目的とする。
【0009】また、初期の段階でバックラッシュを解消
するとともに、糸長の計測を継続して行うことができる
魚釣用リールを提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】請求項1の魚釣用リール
は、リール本体1と、このリール本体1に回転可能に支
持されたスプール2と、このスプール2に巻かれた釣糸
8の表面に超音波パルスを送信し、釣糸表面からの反射
波を受信する超音波センサー3と、前記超音波センサー
3に送信するパルスを供給し、前記超音波センサー3で
受信した反射波を受信信号として受信するとともに、演
算処理を行う処理部11とを備え、前記処理部11にお
いて、受信信号の波形振幅分布を認識し、その波形振幅
分布の変化に基づいて、前記スプール2上の釣糸8のた
るみを検出することを特徴とする。
【0011】請求項1の魚釣用リールによれば、ターゲ
ットであるスプール糸巻き表面からの超音波反射信号の
振幅分布の拡がりなど変化により、スプール2上の釣糸
8のたるみを検出するから、バックラッシュをその初期
段階である糸たるみが発生した早い時点で、かつノイズ
などに影響されることなく確実に検知することができ
る。
【0012】請求項2の魚釣用リールは、請求項1記載
の魚釣用リールにおいて、スプール2に制動力を付与す
るブレーキ装置7を備え、前記処理部11から前記スプ
ール2上の釣糸8のたるみ検出に応じて前記ブレーキ装
置7を作動させることを特徴とする。
【0013】請求項2の魚釣用リールによれば、スプー
ル2上の釣糸8のたるみ検出に応じてブレーキ装置7が
作動され、スプール2に制動力が与えられるから、バッ
クラッシュを初期状態でくい止め、それ以上のバックラ
ッシュの進展を阻止することができる。
【0014】請求項3の魚釣用リールは、リール本体1
と、このリール本体1に回転可能に支持されたスプール
2と、このスプール2の回転を検出する回転センサー6
と、前記スプール2に巻かれた釣糸8の表面に超音波パ
ルスを送信し、釣糸表面からの反射波を受信する超音波
センサー3と、スプール2に制動力を付与するブレーキ
装置7と、前記超音波センサー3に送信するパルスを供
給し、前記超音波センサー3で受信した反射波を受信信
号として受信するとともに、演算処理を行う処理部11
とを備え、前記処理部11において、超音波パルスの送
受信により測定したスプール2の糸巻き径r(r,r
)と前記回転センサーの回転数Nとにより釣糸8の繰
り出し量及び巻き取り量を算出するとともに、受信信号
の波形振幅分布を認識し、その波形振幅分布の変化に基
づいて、前記スプール2上の釣糸8のたるみを検出し、
このたるみ検出に応じて前記ブレーキ装置7を作動させ
ることを特徴とする。
【0015】請求項3の魚釣用リールによれば、ターゲ
ットであるスプール糸巻き表面からの超音波反射信号の
振幅分布の拡がりなど変化により、スプール2上の釣糸
のたるみを検出するから、バックラッシュをその初期段
階である糸たるみが発生した早い時点で、かつノイズな
どに影響されることなく確実に検知することができる。
【0016】また、スプール2上の釣糸8のたるみ検出
に応じてブレーキ装置7が作動され、スプール2に制動
力が与えられるから、バックラッシュは初期状態でくい
止められ、それ以上のバックラッシュの進展を阻止する
ことができる。したがって、糸長計測の精度が向上し、
安定した糸長計測が可能になる。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
に基づいて詳細に説明する。
【0018】本発明では、超音波パルスを、回転可能に
支持されたスプール上の釣糸表面に送受信してスプール
糸巻き径を計測し、回転センサーにより回転数を検出し
て釣糸の繰り出し量及び巻き取り量を算出するととも
に、さらに、釣糸表面からの超音波反射波(エコー)の
受信波形の振幅分布を認識し、その波形振幅分布の拡が
りなど変化に基づいて、スプール上の釣糸のたるみを検
出し、バックラッシュを初期の段階で検知する。また、
このたるみ検出に応じてブレーキ装置を作動させスプー
ルに制動力を与えることにより、バックラッシュの進展
を防止し、安定した糸長計測を行うものである。
【0019】図1は本発明の魚釣用リールの全体構造
図、図2は要部構成を示す図、図3は処理部のブロック
構成図、及び図4〜図6はバックラッシュの状態を説明
する図で、図4は通常状態、図5はバックラッシュ初期
状態、図6はバックラッシュ末期状態をそれぞれ示す図
である。
【0020】図1,図2において、魚釣用リール本体1
は側板1a、1bを対向配置してなり、スプール2がこ
の側板1a,1bの間に回転可能な状態で配置されてい
る。このスプール2には釣糸8が巻かれている。
【0021】このスプール2には回転センサー用素子6
bが内蔵されており、側板1bには対向して回転検出セ
ンサー6aが設けられており、回転センサー6を構成し
ている。また、側板1aには、スプール2の回転を阻止
(抑制)する電磁ブレーキなどのブレーキ装置7(図示
せず)が設けられている。
【0022】超音波センサー3が側板1bに配置されて
おり、リール本体1の上面パネル部1c内には、表示器
5や、超音波パルスの送受信手段、送受信により測定し
たスプール2の糸巻き径と回転センサー6の回転数とに
より釣糸の繰り出し量及び巻き取り量を算出するととも
に、受信信号の波形振幅分布を認識し、その波形振幅分
布の拡がりに基づいて、スプール上の釣糸のたるみを検
出し、このたるみ検出に応じてブレーキ装置を作動させ
るための演算処理手段などを含む処理部及び電池(図示
していない)が防水加工をされて内蔵されている。
【0023】また、凹曲面反射板4が側板1a,1b間
の支柱もしくはリール本体1に配置されている。なお、
9は回転ハンドル部である。
【0024】さて、凹曲面反射板4は、金属または硬い
樹脂製の平板で形成され、超音波センサー3から送信さ
れる超音波エネルギーを、できる限り釣糸8を巻いたス
プール2に収束させ反射するように、超音波伝搬経路中
に超音波の入射角に対して約45度の角度をもって、ス
プール2の中心軸2aから既知の距離cに固定配置され
る。
【0025】図2を参照して、本実施の形態に係る魚釣
用リールの作用を説明する。超音波センサー3は、処理
部11で増幅された駆動信号によって励振され、凹曲面
反射板4を介してスプール2上に巻回されている釣糸8
に向け超音波パルスが送信される。釣糸8の表面で反射
した超音波を超音波センサー3にて受信すると、処理部
11にて回転センサー6により得られるスプール2の回
転状況及び回転方向と合わせて信号処理され、釣糸8の
繰出し量及び巻取り量の算出、表示、バックラッシュ発
生検出、制動などの処理が行われる。
【0026】つぎに、処理部11で行われる信号処理、
釣糸の繰り出し量・巻き取り量の処理、及びバックラッ
シュの検出・抑制等について、図3〜図6を参照して説
明する。
【0027】処理部11のブロック構成を示す図3にお
いて、中央演算処理回路(以下、CPU)19は、発振
器20の基準発振信号(例えば、40MHz)に基づき
動作する。CPU19は、前記基準発振信号である40
MHzを1/2分周した基準信号及び、ある所定繰り返
し周期T0のコントロール信号を送信トリガとして、送
信回路22の駆動信号発生回路18に出力する。駆動信
号発生回路18は、カウンタを内蔵しており、前記送信
トリガを受取るとある一定時間Twの間、基準信号を分
周し本実施形態では800KHzの信号を生成し、電力
増幅回路17で増幅する。この周波数が超音波センサー
3から放射されるキャリア周波数になる。
【0028】この結果、送信回路22は、キャリア周波
数800KHz,送信パルス幅Tw,送信繰返し周期T
0の駆動信号31を生成する。この駆動信号31は、送
受切替器12を介して超音波センサー3を駆動する。超
音波センサー3は増幅された駆動信号31により励振さ
れ、凹曲面反射板4に向け超音波が放射される。
【0029】一方、釣糸8表面で反射した超音波エコー
は、超音波センサー3に入射され、受信信号に変換され
る。超音波センサー3からの受信信号は、送受切替器1
2を介して受信回路21のバンドパスフィルター13、
そして増幅回路14に送られる。
【0030】増幅回路14で増幅された超音波エコー信
号32は、検波回路15で振幅検波34され、A/D変
換回路16でサンプルホールド(S/H)されディジタ
ル信号35に変換される。このA/D変換回路16での
S/Hのサンプリングは受信したエコー信号の受信波形
を分析するために、高速度例えば1MHz(周期1μ
s)で行われ、また、A/D変換のディジタル出力は例
えば8ビットとされる。これにより、CPU19には、
超音波エコー信号が高速度でサンプリングされ、ディジ
タル信号に変換されて、入力される
【0031】CPU19では、ディジタル信号に変換さ
れた超音波エコー信号35と、回転センサー6からの回
転信号に基づいて、釣糸8の繰出し量及び巻取り量の算
出、表示、バックラッシュ発生検出、制動などの処理が
行われる。
【0032】まず、処理部11で行われるスプール2か
らの繰り出し及び巻き取り量の計算はつぎのように行わ
れる。
【0033】図4に示されるように、スプールに巻かれ
た釣糸8は通常時には、テンションがかかっており、釣
糸8はスプール2に緊密にかつ均一に巻回されているか
ら、糸巻き半径rはスプールの総糸巻き回転数Nと次の
式(1)のように1次式の比例関係にある。 r=r0+kN [m] (1) ここに、r0はスプール軸の半径、kは巻かれている糸
の太さで決まる比例係数、である。
【0034】そこで、総糸巻き回転数Naまでにスプー
ルに巻かれる糸長Lは、次式で与えられる。
【0035】
【数式1】
【0036】式(2)から、一度、比例定数kが分かれ
ば、糸長Lはスプールの回転数Naのみから算出でき
る。
【0037】比例定数kは、2点の異なる総糸巻き回転
数Na1,Na2の時のそれぞれの糸巻き半径r1,r2
使って算出し、2点のスプール回転数の差分△N=Na
1−Na2、を求めて、次式より求めることができる。 k=(r1−r2)/△N [m/回転] (3)
【0038】この糸巻き半径r(r1,r2)は、図4
(b)も参照して、つぎのように求められる。超音波セ
ンサー3から超音波パルスが送信され、釣糸8の表面で
反射された超音波エコーが受信されるまでの時間を処理
部11のCPU19で測定する。このとき、超音波エコ
ーの受信の判定は、ノイズなどに影響されないように所
定の閾値を設定し、受信信号のレベルがその所定の閾値
を超えたか否かにより判定する。この所要時間とそのと
きの音速から、超音波センサー3と釣糸表面との距離
(a+b)を演算により求める。超音波センサー3と凹
曲面反射鏡4との距離a、凹曲面反射鏡4とスプール2
の回転中心との距離c、すなわち凹曲面反射鏡4と釣糸
表面との距離bと糸巻き半径rとの和(b+r)は、固
定で既知であるから、糸巻き半径r(r1,r2)が求め
られる。この糸巻き半径r1,r2は、釣糸の巻きはじめ
時と巻き終わり時の値を選定することができる。
【0039】これを整理して纏めると、次のようにな
る。 L=π(d0+kNa)Na、但しk=(d1−d2)/
{2×(N1−N2)} なお、Lは糸長、d0はスプール軸の直径、Naはスプ
ール回転数、d1はスプール回転数N1時の糸巻き径、d
2はスプール回転数N2時の糸巻き径、である。
【0040】この手法では、糸長Lを常時は回転数Na
のみの比例計算で算出するからCPU19の計算処理の
負担が小さくできる。また、その比例定数kに使用する
糸巻き径算出値r1,r2は、環境変化等を考慮して適宜
に更新する。
【0041】つぎに、バックラッシュの検出、抑制の処
理について、説明する。バックラッシュの発生していな
い通常状態においては、図4(a)のように、釣糸8に
はテンションがかかっているから、スプール2上に緊密
にかつ均一に巻かれている。この状態でのターゲット
(スプール上の釣糸)からの超音波反射エコーは、図4
(b)の振幅−時間特性にみられるように、超音波セン
サー3と糸巻き径との往復の距離2(a+b)の時点
に、所定の超音波ビーム幅θ及び送信パルス幅Twに応
じた幅を持つ単一のパルス状に現れ、その前後には殆ど
エコーは発生しない。
【0042】この図4(b)の超音波エコーの波形(検
波回路15での振幅検波によりこのエコー波形得られ
る)が、A/D変換回路16で高速度にディジタル信号
35に変換され、CPU19に入力される。CPU19
では、入力された超音波エコーの波形の振幅分布を正常
な振幅分布と認識する。例えば、この振幅分布を、標準
波形振幅分布とする。
【0043】さて、バックラッシュが発生すると、スプ
ール2からの釣糸8の繰り出し速度よりも、スプール2
の回転速度の方が早くなる。バックラッシュの初期段階
では、スプール2に巻かれた釣糸8にテンションがかか
らなくなり、スプール2に巻かれている釣糸8の一部に
たるみが発生する。この状態が、図5(a)にバックラ
ッシュ初期状態として、示されている。
【0044】超音波センサー3から送信される超音波パ
ルスは、あるビーム幅θ及びパルス幅Twを持っている
から、その伝搬距離(a+b)に応じた拡がりを持って
スプール2上の釣糸8に入射される。図5(a)のバッ
クラッシュの初期段階では、巻回された釣糸8の一部が
たるんでいる状態であるから、入射された超音波パルス
は、たるんでいる釣糸部分や、たるんでいない釣糸部分
により反射され、あるいは再反射(二重反射など)され
る。したがって、図5(b)に示されるように、糸巻き
半径r(つまり2(a+b))の位置での少しレベルの
低くなったパルス状のエコーと、その前後にレベルの低
いエコーが発生する。
【0045】この図5(b)のバックラッシュ初期段階
における超音波エコーの波形振幅分布は、標準波形振幅
分布に比較して、その分布形状が明らかに変化してお
り、その変化はエコー波形の振幅分布の拡がりとなって
現れていることが分かる。
【0046】バックラッシュの初期段階を過ぎると、糸
巻き半径rの位置でのパルス状のエコーのレベルが低下
するとともに、その前後のエコーレベルがだんだんと大
きくなってくる。
【0047】バックラッシュが進展し、末期の段階にな
ると、図6(a)に示されるように、スプール2上の釣
糸8は全体的にゆるゆるの状態になり、その超音波エコ
ーは図6(b)に示されるように、幅広になり、本来の
糸巻き半径からのエコーは観測不能になる。このバック
ラッシュ末期の状態に至れば、釣糸が解れて絡み合った
り、あるいはリール枠体内に釣糸が食い込んでしまうな
ど、不具合な状態が発生することになる。
【0048】本発明では、スプール2の回転中に常に超
音波センサー3からスプール上の釣糸8に向かって、超
音波パルスの送信を行い、スプール2上の釣糸からの超
音波反射エコーを、超音波センサー3で受信し、そのエ
コー信号を増幅14し、検波15し、高速A/D変換1
6して、CPU19に入力している。CPU19では、
各送信パルスに対応する反射波エコー信号毎にその波形
振幅分布を認識し、標準波形振幅分布と比較し、所定の
変化が生じたときに、バックラッシュ発生を検出する。
【0049】具体的な変化検出の手法としては、CPU
19において、入力されるエコー信号に対して所定の低
レベルの閾値Vbを設定し、標準波形振幅分布において
閾値Vbをエコー信号がオーバーする時間幅Wsに対
し、入力されるエコー信号の波形振幅分布において閾値
Vbをオーバーする時間幅Wbを監視する。この時間幅
Wbが標準波形振幅分布における時間幅Wsをある所定
以上越えた場合に、バックラッシュが発生したと判定す
る。この場合に、時間幅Wbは、入力されたディジタル
信号値が閾値Vbを越えている間のサンプリング時間幅
を積算することにより得る。したがって、1つのエコー
信号の波形振幅分布中に閾値Vbを下回る部分があった
としてもこの部分を除いて、時間幅Wbを得るから、閾
値Vbを十分に低いレベルに設定することができ、エコ
ー信号の波形振幅分布の変化を精度良く観測することが
できる。また、例え閾値Vbを越えるノイズが発生して
たとしても、積算した時間幅で判断しているから、誤っ
てバックラッシュと判定することはない。
【0050】また、バックラッシュ発生時には、本来の
糸巻き半径rからのエコーの前に、釣糸のゆるみによる
低レベルのエコーが現れるから、エコーのピーク値の前
方の幅を判断の対象とすることができる。
【0051】また、時間幅を特定の値に設定することに
代えて、エコー信号毎の時間幅の変化や、その変化の時
間経過など、エコー信号の変化によりバックラッシュ発
生を検出することができる。
【0052】さらに、ターゲットからのエコー信号の波
形振幅分布(エコーパターン)を、標準波形振幅分布
(標準パターン)と比較するなど、エコーパターン自体
に基づいて、バックラッシュ発生を検出することができ
る。
【0053】なお、リールに設けられている回転センサ
ー6によりスプール2の回転方向(釣糸の送り出し方
向、あるいは巻き取り方向)及び回転数は、糸長計測の
ために常に監視されている。そして、バックラッシュ
は、スプール2から釣糸8を送り出している場合に発生
するものであるから、反射波エコー信号毎の波形振幅分
布の認識結果に加えて、スプール2の回転方向が釣糸8
の送り出し方向であることを、条件として付け加えて、
バックラッシュの発生を検知するように構成することが
できる。この場合には、バックラッシュの発生検知がよ
り確実に行われる。
【0054】このようにバックラッシュの検出手法とし
てはいろいろな手法があるが、いずれの手法を採用して
も、釣糸8のたるみ(ゆるみ)により生じる低レベルの
エコーを検出して判断するから、バックラッシュの発生
を初期段階で検知することができる。
【0055】そして、バックラッシュの発生をその初期
段階で検出すると、処理部11で、ブレーキ装置7に作
動指令が与えられ、スプール2に制動力が加えられる。
ブレーキ装置7としては、種々の電磁ブレーキが使用で
きるし、電動モーターを有する場合にはこれをブレーキ
装置として用いることができる。いずれのブレーキ手段
においても、スプール2の空回転を阻止できる程度の微
弱な制動力を有するものでよい。
【0056】ブレーキ装置7の制動力によりスプール2
の回転が阻止されると、釣糸の繰り出しに伴ってスプー
ル2上の釣糸のたるみが解消される。これにより、ター
ゲットからのエコー信号の波形振幅分布(エコーパター
ン)は図4(b)のような通常状態の波形振幅分布に復
帰するから、CPU19はバックラッシュ状態の解消を
検知して、ブレーキ装置7への制動力を解除する。
【0057】以上のように、バックラッシュの発生をそ
の初期段階で検出し、ブレーキ装置7に作動指令を与え
てスプール2の空回転を阻止して、スプール2上の釣糸
8のたるみが解消される。その時点でバックラッシュ状
態は終了し、ブレーキ装置7の制動力を解除し、通常の
状態に回復する。
【0058】また、釣糸8の繰り出し量及び巻き取り量
を、超音波パルスの送受信により測定したスプール2の
糸巻き径rと回転センサー6a,6bの回転数・回転方
向とにより、常に、算出している。この繰り出し量及び
巻き取り量の算出は、バックラッシュが発生している場
合にも継続して行われるが、バックラッシュの発生検知
及び制動が初期段階で行われ、バックラッシュは早期に
終了し通常状態に回復するから、バックラッシュの初期
段階の最中にのみその算出値に若干の誤差が含まれるも
のの、この若干の誤差も直ちに吸収される。したがっ
て、バックラッシュの発生があったとしても、糸長計測
の精度が向上し、安定した糸長計測が可能になる。
【0059】また、バックラッシュはスプール2から釣
糸を送り出している場合に発生するものであるから、遠
投時にスプール2をフリー状態にするクラッチレバーを
オフにしている間のみ、超音波センサー3からの送信を
行いスプールに巻かれた釣糸の状態を監視するように
し、遠投終了後リールを巻き始めるとクラッチレバーは
自動的にオンになるため超音波の送信を停止させ、低消
費電力化をはかることができる。なお、超音波の送信あ
るいは停止を、回転センサー6からの回転方向の信号に
より切り換えるようにしても良い。これにより、超音波
の送信されている期間が短くできるから、外部からの電
源供給のない、電池駆動のリールにおいても、バックラ
ッシュ検出を実現可能にすることができる。
【0060】
【発明の効果】請求項1記載の魚釣用リールによれば、
ターゲットであるスプール糸巻き表面からの超音波反射
信号の振幅分布の拡がりなど変化により、スプール上の
釣糸のたるみを検出するから、バックラッシュをその初
期段階である糸たるみが発生した早い時点で、かつノイ
ズなどに影響されることなく確実に検知することができ
る。
【0061】請求項2記載の魚釣用リールによれば、ス
プール上の釣糸のたるみ検出に応じてブレーキ装置が作
動され、スプールに制動力が与えられるから、バックラ
ッシュを初期状態でくい止め、それ以上のバックラッシ
ュの進展を阻止することができる。
【0062】請求項3記載の魚釣用リールによれば、タ
ーゲットであるスプール糸巻き表面からの超音波反射信
号の振幅分布の拡がりなど変化により、スプール上の釣
糸のたるみを検出するから、バックラッシュをその初期
段階である糸たるみが発生した早い時点で、かつノイズ
などに影響されることなく確実に検知することができ
る。
【0063】また、スプール上の釣糸のたるみ検出に応
じてブレーキ装置が作動され、スプールに制動力が与え
られるから、バックラッシュは初期状態でくい止めら
れ、それ以上のバックラッシュの進展を阻止することが
できる。したがって、糸長計測の精度が向上し、安定し
た糸長計測が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の魚釣用リールの一実施形態の全体構造
図。
【図2】本発明の魚釣用リールの一実施形態の要部構成
を示す図。
【図3】本発明の魚釣用リールの一実施形態の処理部の
ブロック構成を示す図。
【図4】通常状態のスプール上の釣糸状態及び超音波エ
コーの振幅分布を示す図。
【図5】バックラッシュ初期状態のスプール上の釣糸状
態及び超音波エコーの振幅分布を示す図。
【図6】バックラッシュ末期状態のスプール上の釣糸状
態及び超音波エコーの振幅分布を示す図。
【符号の説明】
1 リール本体 1a、1b 側板 1c パネル部 2 スプール 3 超音波センサー 4 曲面形状反射板 5 表示器 6a 回転検出センサー 6b 回転センサー用素子 7 ブレーキ装置 8 釣糸 9 ハンドル部 11 処理部 12 送受切換器 13 バンドパスフィルタ 14 増幅回路 15 検波回路 16 A/D変換回路 17 電力増幅回路 18 駆動信号発生回路 19 CPU 20 発振器 21 受信回路 22 送信回路
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 田中 正吉 東京都三鷹市下連雀5丁目1番1号 日本 無線株式会社内 (72)発明者 宮島 正光 東京都東久留米市前沢3丁目14番16号 ダ イワ精工株式会社内 Fターム(参考) 2B108 EA01 EA11 EA14 HE38

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 リール本体と、このリール本体に回転可
    能に支持されたスプールと、このスプールに巻かれた釣
    糸の表面に超音波パルスを送信し、釣糸表面からの反射
    波を受信する超音波センサーと、前記超音波センサーに
    送信するパルスを供給し、前記超音波センサーで受信し
    た反射波を受信信号として受信するとともに、演算処理
    を行う処理部とを備え、 前記処理部において、受信信号の波形振幅分布を認識
    し、その波形振幅分布の変化に基づいて、前記スプール
    上の釣糸のたるみを検出することを特徴とする魚釣用リ
    ール。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の魚釣用リールにおいて、
    スプールに制動力を付与するブレーキ装置を備え、前記
    処理部から前記スプール上の釣糸のたるみ検出に応じて
    前記ブレーキ装置を作動させることを特徴とする魚釣用
    リール。
  3. 【請求項3】 リール本体と、このリール本体に回転可
    能に支持されたスプールと、このスプールの回転を検出
    する回転センサーと、前記スプールに巻かれた釣糸の表
    面に超音波パルスを送信し、釣糸表面からの反射波を受
    信する超音波センサーと、スプールに制動力を付与する
    ブレーキ装置と、前記超音波センサーに送信するパルス
    を供給し、前記超音波センサーで受信した反射波を受信
    信号として受信するとともに、演算処理を行う処理部と
    を備え、 前記処理部において、超音波パルスの送受信により測定
    したスプールの糸巻き径と前記回転センサーの回転数と
    により釣糸の繰り出し量及び巻き取り量を算出するとと
    もに、受信信号の波形振幅分布を認識し、その波形振幅
    分布の変化に基づいて、前記スプール上の釣糸のたるみ
    を検出し、このたるみ検出に応じて前記ブレーキ装置を
    作動させることを特徴とする魚釣用リール。
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