JP2002261121A - ボンディングツール、ならびに超音波フリップチップボンディング装置 - Google Patents

ボンディングツール、ならびに超音波フリップチップボンディング装置

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 安定して稼動可能な超音波フリップチップ
ボンディング装置を提供すること。 【解決手段】長さ8mmほどの超硬合金製の角筒体からな
るツール本体部4aと、このツール本体部の一端から延
接される長さ10mmほどの取り付け部4bとから構成され
ている横断面積3.7mm2のボンディングツールを用いると
ともに、超音波発振系の発振周波数を60kHzに設定
してフリップチップボンディングを行う。このとき、超
音波発振系の全長は70mmである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、バンプ付き電子部
品を、基板などの被接合面にフリップチップボンディン
グする、電子部品のボンディングツールおよびボンディ
ング装置に関する。
【0002】
【従来の技術】超音波フリップチップボンダは、ボンデ
ィングツールの一端を所定の荷重で電気部品に押し当て
て、このボンディングツールの他端に設けられた超音波
ホーンが有する電歪素子からの振動を電気部品に対して
伝えることにより、電気部品同士を接合するための部材
であるバンプに対して荷重と超音波振動を作用させ、バ
ンプと電気部品の電極との間で固相拡散を生じさせるこ
とで、電気部品のフリップチップボンディングを行う装
置である。従来のボンディングツールは、超音波ホーン
から伝達される振動によって効率よく曲げ振動を起こす
よう、超音波ホーンに取り付けられた状態での曲げ振動
の共振周波数と、ボンディングツールに加えられる振動
の周波数とが、一致するよう設計されていた。特に片持
ち形状の超音波ホーンに取り付けて用いるボンディング
ツールの場合は、低周波側から数えて二番目のツール曲
げ共振周波数と、超音波発振系の発振周波数を一致させ
るよう、設計されていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】超音波発振系の特性を
示す要素の一つとして、振動子の電歪素子部に流れる電
流が受けるインピーダンスがある。このインピーダンス
は、ボンディング時に荷重が印加され、超音波発振系に
対する機械的抵抗が増すことに伴って上昇することがあ
った。特に、従来のボンディング装置では、荷重印加を
伴う発振時にインピーダンスの値が、振動子を駆動する
発振装置の制限を超える値にまで急激に上昇し、発振さ
せる周波数のフェイズロック制御が不能になり非常停止
することがあった。発振器は、振動子を駆動する電力を
一定に保つよう制御しているが、電源装置の電圧容量に
制限があるため、インピーダンスが急激に増加すると出
力電圧が上限に達して電力を一定に保てなくなり、振動
子を駆動する電力が低下した。その結果、ボンディング
ツールの振幅が、電子部品の接合に必要な量以下にまで
減少し、電子部品を正常に接合出来ない場合があった。
そこで、本発明は、ボンディング時に荷重が印加され、
ボンディングツール先端の機械的抵抗が増加しかつ先端
の振動が拘束された場合においても、発振器におけるイ
ンピーダンス増加量が少ない状態にできるボンディング
ツール、または超音波フリップチップボンディング装置
を提供すること目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記した目的を達成する
ために本発明は、被接合部材に荷重と超音波振動を作用
させることにより、被接合面に前記被接合部材を固着さ
せる超音波フリップチップボンディング装置に取り付け
られるボンディングツールであって、最も低周波側の曲
げ共振周波数と入力される超音波振動の発振周波数との
差、および低周波側から数えて二番目の曲げ共振周波数
との前記入力される超音波振動の発振周波数との差の比
が、3:2〜2:3の範囲となるよう形成されたボンデ
ィングツールを提供する。また本発明は、被接合部材に
荷重と超音波振動を作用させることにより、被接合面に
前記被接合部材を固着させる超音波フリップチップボン
ディング装置に取り付けられるボンディングツールであ
って、前記ボンディングツールは、柱状あるいは筒状に
形成された本体部と、この本体部から延設され前記フリ
ップチップボンディング装置に対して前記本体部を組み
付けるために設けられる取り付け部とからなり、この取
り付け部を介して入力される超音波振動の発振周波数が
ほぼ60kHzである場合には、前記本体部の長さが8〜10mm
であり、かつ前記本体部の長さ方向に対する横断面の断
面積が4〜5mm2であるよう形成されたボンディングツ
ールを提供する。
【0005】また本発明は上記いずれかのボンディング
ツールを具備する超音波フリップチップボンディング装
置を提供する。
【0006】
【発明の実施の形態】本発明の実施形態について、図面
を参照しながら説明する。図1に、本発明の実施形態に
係るボンディングツールを備えたボンディング装置の構
成をあらわす模式図を示す。ボンディング装置は、フリ
ップチップ接合に供される被接合部品である半導体装置
Sを搬送する移送ステージOと、図示しない移送装置に
よって搬送された配線基板WBが載置されるボンディン
グステージPと、移送ステージXから半導体装置Sを吸
着保持してボンディングステージB上に配置された配線
基板WBの表面に配設される配線パターンの電極パッド
に対して、半導体装置Sが有する接合用のバンプBが電
気的に接続されるように位置決めするとともに、バンプ
Bに対して所定の荷重と超音波振動とを付与することに
よって、バンプBと電極パッドとの間に金属の固相拡散
接合を生じさせ、フリップチップ接合を行うボンディン
グヘッド部Qを具備する。
【0007】片持ち方式の超音波振動系によって構成さ
れるボンディングヘッド部Qは、発振周波数として60kH
z近傍に設定された超音波振動を発生させるための電力
を供給する発振装置1と、この発振装置と電気的に接続
され、電力が供給されることによって超音波振動を生じ
る円環状の電歪素子を有する振動子2と、この振動子2
が振動子の振動方向と長手方向とが同軸となる一端に設
けられ、振動子2の振動を増幅して他端に伝達させる、
切頭円錐形状でステンレス鋼製の超音波ホーン3と、こ
の超音波ホーン3の他端に形成された取り付け用の切欠
に嵌入されるように配置される角筒体であるボンディン
グツール4と、超音波ホーン3を保持するとともに、ボ
ンディングツール4がボンディングステージPに対して
接離方向に駆動されるように設けられるZステージ5
と、ボンディングツール4が移送ステージOとボンディ
ングステージPとを往復駆動可能なように、かつボンデ
ィング時の位置合わせが可能なようにZステージ5を2
軸方向に駆動するXYステージ6と、を備えている。
【0008】図1におけるボンディングヘッド部Qの超
音波振動系は超音波ホーン3と振動子2とから構成され
ており、超音波ホーン3の取り付け用の切欠近傍の端部
から、振動子2の開放端までの全長となり、ほぼ70mmほ
どになる。
【0009】図2には、(a)にボンディングツール4の
側面を、(b)に被接合部品を保持する吸着面を、それぞ
れあらわす模式図を示す。図2(a)に示されるボンディ
ングツール4は、長さ8mmほどの超硬合金製の角筒体か
らなるツール本体部4aと、このツール本体部の一端か
ら延接される長さ10mmほどの取り付け部4bとから構成
されている。取り付け部4bは、ツール本体部4aに比
して細径となるよう構成されており、超音波ホーン3の
切欠に対してツール本体部4aが突き当たるまで挿入さ
れ、この切欠がねじ締めされることにより、超音波ホー
ンに対して静摩擦で拘束され、固定されることとなる。
なお、従来のツール本体部4aの全長は13.5mmであっ
た。
【0010】図2(b)に示されるように、ツール本体部
4aの下端面は、被接合部品を吸着保持する吸着面4c
となっている。吸着面4cは、ボンディングプロセスに
おける超音波振動の付与を効率よく行うため、主たる被
接合部品の被吸着面の表面粗さに合わせて同程度に粗面
化処理が施されている。吸着面4cは、一辺が2.2mmあ
まりの正方形で構成されており、その中心位置には直径
0.6mmを有する円形の開口を臨ませる中空部4dが形成
されている。このとき、ボンディングツール4の長手方
向に関する横断面の断面積は、中空部における開口を差
し引き、ほぼ3.7mm2となる。中空部4dは、取り付け部
4bの端部に設けられる図示しない吸引機と連通接続さ
れており、吸引動作時に被接合部品の吸着に寄与する。
【0011】上記した構成のボンディング装置により、
以下のようにフリップチップボンディングによる半導体
装置の製造が行われる。図示せぬストッカから取り出さ
れた被接合部品である半導体装置Sが、移送ステージO
によって、ボンディングステージP近傍まで移送され
る。一方、図示せぬ他のストッカから搬送されてきた被
接合部品である配線基板WBが、フリップチップ接合の
加工点に設けられるボンディングステージPに載置され
る。ボンディングヘッド部Qが、XYテーブル6により
前進駆動され、さらにZテーブルが下降動作することに
より、移送ステージO上の半導体装置Sの背面にボンデ
ィングツール4の吸着面4cが当接される。同時に図示
せぬ吸引機により中空部4cに負圧が生じ、半導体装置
Sは、ボンディングツール4によって吸着保持される。
Zテーブル5を上昇駆動させ、移送ステージOから半導
体装置Sを離脱させると共に、XYステージ6を後退駆
動させることにより、吸着保持された半導体装置Sは、
ボンディングステージP上の配線基板WBと対向配置さ
れる。このとき、さらに、図示せぬカメラなどを用い
て、相対位置の補正を行い、Zステージ5の下降動作を
行う。
【0012】半導体装置Sに設けられたAuボール製の
バンプBが、配線基板WB上に配設された配線パターン
の電極に当接したことを感知すると、Zテーブル5は荷
重動作に入り、半導体装置Sに対して10[N]の荷重を
加えるよう動作する。また同時に、発振装置1により60
kHZの電力が振動子2に対して印加され、超音波振動が
始まる。振動子2において生じた超音波振動は、超音波
ホーン3が有する錘形状の作用により見かけの出力が増
幅されてボンディングツール4に伝達し、ボンディング
ツール4に対して曲げ振動を生じさせる。この曲げ振動
の振幅は、接合面と平行な方向であるから、バンプBと
配線基板WBとの間に摩擦が生じ、各々の材料の固相拡
散が発生する。またこの曲げ振動は、理想的には超音波
ホーン3に対する突き当て位置を相対的な固定点とする
振動となるが、実際には取り付け部の構造などにより変
動する。所定時間の振動の印加により固相拡散され接合
状態となった半導体装置Sに対する吸引動作を、停止さ
せる。Zステージ5を上昇駆動することにより、フリッ
プチップ接合プロセスが完了する。フリップチップ接合
がなされた配線基板WBは図示せぬ搬送系により取り出
され、これによりひとつのプロセスが終了する。
【0013】図3に、本実施形態のフリップチップ接合
プロセスにおける振動子のインピーダンス変化をあらわ
すグラフを示す。上記したフリップチップ接合プロセス
において、荷重印加時近傍の時間帯における振動子2の
インピーダンス値の変化を測定し、プロットした。ツー
ル本体部4aの全長が8mmのボンディング装置において
は、全長13.5mmのツール本体部に比して、Zテーブル5
による荷重印加の際のインピーダンス変化が極めて少な
く、電力特性上、良好なプロファイルを有することがわ
かる。
【0014】図4(a)に、ボンディングツールの長さ
と、超音波ホーンに取り付けられた状態におけるボンデ
ィングツールの曲げの共振周波数との関係をあらわすグ
ラフを示す。特性が良好であった長さ8mm〜10mmツール
の場合、最も低い周波数の曲げの共振周波数と超音波発
振系により入力される発振周波数との差と、低周波側か
ら数えて二番目の曲げの共振周波数と超音波発振系によ
り入力される発振周波数との差の比が、3:2〜2:3
となっている。図4(b)に示す表は、ボンディングツー
ル本体部の長さを変えた場合のボンディング装置の稼動
安定性について評価した結果を示すものである。6.0mm
〜13.5mmのツールについて評価した結果、8mm〜10mmの
ツールの場合に、良好なインピーダンス特性を示した。
これは、図4(a)における最適な共振周波数の範囲と一
致する長さとなっている。なお、良否判定の基準は、ボ
ンディングツールの0〜30Nまでの無負荷および負荷
状態において超音波振動をさせた場合の振動子のインピ
ーダンス変化において、40[Ω]を超える点の有無、と
した。
【0015】以上説明したように、本発明のフリップチ
ップボンディング装置によれば、ボンディングツールを
適切な長さに設定したので、荷重を印加した際の、イン
ピーダンス上昇が抑制されており、これによって、装置
の安定稼動を実現すると共に、接合に必要なボンディン
グツールの振幅が得られ、電子部品を正常に接合でき
る。ボンディング装置の安定稼動のためには、最適な範
囲として、超音波ホーンに組みつけられた状態における
ボンディングツールの曲げ共振周波数と、超音波発振系
における発振周波数との比が3:2〜2:3となるよう
なツールとすることが好ましい。これをボンディングツ
ール本体部の長さに換算すると、ボンディングツール本
体部の長さにおいて8mm以上10mm以下であればよい。こ
の条件は、比較的軽度な荷重が適用されるフリップチッ
プボンディングプロセス、特に図3から理解されるよう
に10〜20[N]程度の荷重を加えた状態で超音波発振
を与える場合に特に有効である。
【0016】なお、上記実施形態では、ツール長さを変
更することにより、インピーダンス値の上昇が少ないツ
ールを求めたが、ツールの材質を超硬合金からステンレ
ス鋼や樹脂などに変更してもよい。また、断面形状を正
方形断面から、その他の多角形または円形などと適宜変
更可能である。
【0017】また、振動子と超音波ホーンによって構成
される超音波振動系によってボンディングツールに入力
される超音波振動の振動数は、超音波振動系の形状や組
み付け精度などにより、発振装置における発振周波数、
あるいは振動子における振動数などと異なる場合がある
が、これらとの差が数KHz程度の差しかないようであれ
ば誤差範囲として見込むことが出来、ボンディングツー
ルに入力される振動数は、振動子における振動数、ある
いは発振装置における発振周波数などと同じ振動数とし
て取り扱うことが出来る。これにともない、ボンディン
グツールの横断面積についても、誤差範囲が認められ、
上記実施形態のボンディングツールの横断面について
は、3.5〜4.0mm2程度の幅を見込むことが出来る。
【0018】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明のフリップ
チップボンディング装置においては、発振器におけるイ
ンピーダンス増加量が少ないボンディングプロセスを提
供できるようになるので、電気製品を生産性良く製造す
ることを可能とする。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施形態に係る超音波フリップチッ
プボンディング装置の模式図。
【図2】 本発明の実施形態に係るボンディングツール
と超音波ホーンの模式図。
【図3】 本実施形態のフリップチップ接合プロセスに
おける振動子のインピーダンス変化をあらわすグラフ。
【図4】 (a)は、ボンディングツールの長さと超音波
ホーンに取り付けられた状態における曲げの共振周波数
との関係をあらわすグラフ、(b)はボンディングツール
の長さを変えたときの、インピーダンス特性の良否を示
す表。
【符号の説明】
1…発振装置、2…振動子、3…超音波ホーン、4…ボ
ンディングツール、5…Zステージ、6…XYステー
ジ、S…半導体装置、WB…基板、B…バンプ、O…移
送ステージ、P…ボンディングステージ、Q…ボンディ
ングヘッド部、4a…ツール本体部、4b…取り付け
部、4c…吸着面、4d…開口

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】被接合部材に荷重と超音波振動を作用させ
    ることにより、被接合面に前記被接合部材を固着させる
    超音波フリップチップボンディング装置に取り付けられ
    るボンディングツールであって、最も低周波側の曲げ共
    振周波数と入力される超音波振動の発振周波数との差、
    および低周波側から数えて二番目の曲げ共振周波数との
    前記入力される超音波振動の発振周波数との差の比が、
    3:2〜2:3の範囲となるよう形成されたことを特徴
    とするボンディングツール。
  2. 【請求項2】被接合部材に10〜20Nの荷重と超音波
    振動を作用させることにより、被接合面に前記被接合部
    材を固着させる超音波フリップチップボンディング装置
    に取り付けられるボンディングツールであって、 前記ボンディングツールは、柱状あるいは筒状に形成さ
    れた本体部と、この本体部から延設され前記フリップチ
    ップボンディング装置に対して前記本体部を組み付ける
    ために設けられる取り付け部とからなり、この取り付け
    部を介して入力される超音波振動の発振周波数がほぼ60
    kHzである場合には、前記本体部の長さが8〜10mmであ
    り、かつ前記本体部の長さ方向に対する横断面の断面積
    が3.5〜4.0mm2であるよう形成されたことを特徴とする
    ボンディングツール。
  3. 【請求項3】請求項1または2記載のボンディングツー
    ルを具備することを特徴とする超音波フリップチップボ
    ンディング装置。
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