JP2002260361A - 記録媒体ケースのシャッタ用アルミニウム合金板 - Google Patents

記録媒体ケースのシャッタ用アルミニウム合金板

Info

Publication number
JP2002260361A
JP2002260361A JP2001058943A JP2001058943A JP2002260361A JP 2002260361 A JP2002260361 A JP 2002260361A JP 2001058943 A JP2001058943 A JP 2001058943A JP 2001058943 A JP2001058943 A JP 2001058943A JP 2002260361 A JP2002260361 A JP 2002260361A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
shutter
aluminum alloy
film
weight
synthetic resin
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2001058943A
Other languages
English (en)
Inventor
Kenichi Kamiya
憲一 神谷
Masanobu Fukui
正信 福井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kobe Steel Ltd
Original Assignee
Kobe Steel Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kobe Steel Ltd filed Critical Kobe Steel Ltd
Priority to JP2001058943A priority Critical patent/JP2002260361A/ja
Priority to TW91103834A priority patent/TW554048B/zh
Priority to CN 02106723 priority patent/CN1245529C/zh
Publication of JP2002260361A publication Critical patent/JP2002260361A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Abstract

(57)【要約】 【課題】 シャッタ用アルミニウム合金板として求めら
れる軽量性、剛性、耐疵付き性、打ち抜き加工性、曲げ
加工性、耐溶剤溶解性、及びUVインク印刷性の全ての
特性を満足する記録媒体ケースのシャッタ用アルミニウ
ム合金板を提供する。 【解決手段】 アルミニウム合金基板のシャッタ外面側
となる表面上に、第1層として設けられクロム付着量換
算で5乃至50mg/mのクロメート皮膜と、前記シ
ャッタ外面側となる表面上に第2層として設けられた合
成樹脂皮膜と、を設ける。この合成樹脂皮膜は、アクリ
レート変性ポリエステルウレタン系樹脂と、平均粒子径
10μm以下であってアクリレート変性ポリエステルウ
レタン系樹脂100重量部に対して5乃至20重量部の
無機微粒子と、アクリレート変性ポリエステルウレタン
系樹脂100重量部に対して0.5乃至3重量部の酸化
ポリエチレン系潤滑剤とを有し、前記合成樹脂皮膜は
0.5乃至3μmの膜厚で形成されている。また、前記
記録媒体ケースのシャッタ外面側となる表面の鉛筆硬度
が5H以上である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、フレキシブル(フ
ロッピー(登録商標))ディスク等の磁気ディスク並び
にMOディスク及びミニディスク等の光ディスク等の記
録媒体を収納するケースに設けられるシャッタ用の材料
として好適なアルミニウム合金板に関し、特に打ち抜き
加工性、曲げ加工性、耐疵付き性及び印刷性等が優れた
記録媒体ケースのシャッタ用アルミニウム合金板に関す
る。
【0002】
【従来の技術】フレキシブル(フロッピー)ディスク等
の磁気ディスク、MOディスク及びミニディスク等の光
ディスク等においては、図1にフレキシブルディスクの
例を示すように、合成樹脂製のケース2内に情報を記録
する磁気ディスク又は光ディスク(記録用ディスク)等
の記録媒体3が収納されている。そして、情報の書き込
み又は読み出しの際には、このケース2内の記録媒体3
に磁気ヘッド又は光ヘッドを近接させて、前記磁気ディ
スク又は光ディスク媒体3に対する読み書きを行う。従
って、これらのケース2には、磁気ヘッド又は光ヘッド
を記録媒体3に近接配置するための窓口として開口部
(窓部)が設けられており、この開口部を開閉するため
にシャッタ1が設けられている。
【0003】このシャッタ1は、図2の斜視図及び図3
の横断面図に示すように、断面形状がコの字状をなす板
材であり、その1対の面でケース2を挟持した状態で、
ケース2に設けられたガイド溝により案内されてスライ
ドすることにより、ケース2の窓部と、シャッタ1の窓
部4とが整合した位置で窓を開け、常時は、ケース2の
窓部を閉にしている。
【0004】而して、このシャッタに要求される機能
は、必要な時に開閉し、磁性面を保護することである。
また、シャッタはケース上で案内されてスライド移動す
るため、軽量であると共に、剛性が高いことが必要であ
る。シャッタ用の材料としては、従来ステンレス鋼製又
はポリスチレン若しくはABS(アクリロニトリル−ブ
タジエン−スチレン共重合体)等の合成樹脂製のものが
使用されていた。しかし、ステンレス鋼製シャッタは、
比較的重量が重く、また表面を手で触れた場合に指紋が
付きやすく、外観が劣化しやすい。また、ポリスチレン
及びABS製シャッタは、剛性が低く、帯電しやすく、
埃及び塵が付着しやすいので、磁性面にとって有害であ
る。更に、シャッタの印刷に用いられるUV硬化型イン
クが密着しやすく、この密着性を改善するために、コロ
ナ放電等の改質処理が必要であり、製造コストが高くな
る。
【0005】従って、近年では、シャッタ用材料とし
て、これらのステンレス鋼及び合成樹脂に代えて、軽量
で且つ剛性があるアルミニウム合金板が使用されるよう
になってきている。
【0006】このシャッタ用アルミニウム合金として
は、高い剛性を得ることを目的として、例えば特許29
25891号公報及び特許2925954号公報におい
て、Mg:3.0乃至6.0質量%を含み、残部がアル
ミニウム及び不可避不純物からなるアルミニウム合金が
提案されている。Mgは強度を得るために重要な元素で
あるが、この場合、Mg添加量が過多のため、強度が高
すぎることによって、シャッタを成形する際の打ち抜き
加工時に、加工工具(切刃)の刃先端の摩耗を促進して
しまい、連続成形後に刃先端が摩耗によりダレが発生す
る(Rが増加する)ため、打ち抜き加工されたシャッタ
端面にバリが生じやすいという問題がある。そして、打
ち抜き加工されたシャッタ端面にバリが発生すると、そ
の後の組み立て工程中にバリが他のシャッタ表面を疵付
け、外観を損なうという問題も生じてくる。
【0007】また、アルミニウム合金板をシャッタに使
用する場合、シャッタの表面にアルミニウム合金板がむ
き出しになっていると、表面の潤滑性が低く、表面硬度
が低いために、耐磨耗性が不足し、シャッタへの加工、
加工品の輸送、ケースへの組み立て、磁気ディスク及び
光ディスク製品の最終検査など、各製造工程において、
アルミニウム合金板表面に疵が付き易く、磁性面にとっ
て有害な摩耗紛が出やすくなる。また、疵の発生によ
り、シャッタ外観を著しく損なう。そして、この問題
は、製造工程だけでなく、持ち運びにおけるシャッタ同
士の接触、更には使用中のワープロ及びパソコン等の読
み書き装置への挿入着脱時の機械部品との接触によって
も生じる。更には、金属面がむき出しになったアルミニ
ウム合金板の表面は、シャッタの印刷に用いられるUV
硬化型インクの密着性が低く、印刷したインクが容易に
剥離してしまうという問題も生じる。
【0008】このため、シャッタ用アルミニウム合金板
の疵付きを防止する技術及びUV硬化型インクの密着性
を向上させる技術が種々提案されている。例えば、特開
平3−73479号公報及び特開平6−346178号
公報では、アルミニウム合金板の表面に、アクリル系、
アクリルエステル系、エポキシ系及びウレタン系からな
る群から選択された合成樹脂をコーティングすることが
提案されている。また、耐磨耗性の向上のため、アルミ
ニウム合金板表面に表面硬化コーティングを設けること
も提案されている(特開平6−68638号公報)。更
にまた、アルミニウム合金板表面に陽極酸化皮膜を設け
たものも提案されている(特開平6−111516号公
報及び特開平6−162710号公報)。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記シ
ャッタ用アルミニウム合金板の疵付き性を防止する技術
及びUV硬化型インクの密着性を向上させる技術には、
夫々以下に示す問題がある。即ち、特開平3−7347
9号公報及び特開平6−346178号公報のようなア
ルミニウム合金板表面に合成樹脂をコーティングする方
法では、疵付き性を防止するため、合成樹脂を硬化し、
皮膜の表面硬度を高くした場合、合成樹脂中の官能基は
その硬化反応によって殆ど失われ、UV硬化型インクが
結合する官能基がなくなってしまうため、UV硬化型イ
ンクの密着性が低くなり、印刷したインクが容易に剥離
してしまうという問題を生じる。また逆に、UV硬化型
インクとの密着性を向上させるために、皮膜の形成過程
で合成樹脂中の官能基を多く残した場合は、合成樹脂の
硬化が不十分となり、表面硬度が低く疵付きが防止され
ないばかりでなく、アルミニウム合金板をコイルからシ
ャッタ形状の大きさにプレス加工する際に使用するプレ
ス油及びプレス加工時に発生する金属摩耗紛を除去する
目的で施される1,1,1−トリクロロエチレン等の有
機溶剤を使用し、且つ超音波を使用した溶剤洗浄工程に
て、コーティングした合成樹脂皮膜が溶出するという問
題が生じる。
【0010】更に、アルミニウム合金板表面に表面硬化
コーティングを設ける特開平6−68638号公報の方
法では、耐磨耗性が優れており、疵付きは防止されるも
のの、アルミニウム合金板を90°曲げ加工して、図3
に示すように断面形状がコの字形状をなすシャッタに加
工する際に、90°曲げ内隅部5で皮膜にクラックが入
り、且つ皮膜が剥離することにより、磁性面にとって有
害な埃及び塵が生じやすくなる。更には、表面硬化コー
ティング皮膜にはUV硬化型インクが結合する官能基の
数が不十分のため、UV硬化型インクの密着性が低くな
り、印刷したインクが容易に剥離してしまうという問題
を生じる。
【0011】また、アルミニウム合金板表面に陽極酸化
皮膜を設ける特開平6−111516号公報及び特開平
6−162710号公報の方法では、耐磨耗性が優れて
おり、疵付きが防止され、更には、皮膜表面に存在する
孔のアンカー効果によりUV硬化型インクの密着性は向
上するものの、前述の90°曲げ内隅部5で皮膜にクラ
ックが入り、且つ皮膜が剥離することにより、磁性面に
とって有害な埃及び塵が生じ易くなる。また、陽極酸化
皮膜表面は干渉色が生じやすく、外観上の問題もある。
更に、安定した電力と処理時間が必要な陽極酸化皮膜処
理を施すため、製造コストが高くなるという問題もあ
る。
【0012】これらに対し、本願出願人は、アルミニウ
ム合金板表面にアクリル系、アクリルエポキシ系、ウレ
タン系等、他の樹脂に比して硬度が高く、耐磨耗性が優
れたポリエステル樹脂をコーティングすると共に、下層
にクロメート皮膜を設けてポリエステル樹脂の密着性を
向上させたシャッタ用アルミニウム合金板を提案してい
る(特願平8−220228号)。また、アルミニウム
合金板表面の樹脂皮膜の潤滑性を向上させるために、鉛
筆硬度5H以上の樹脂皮膜中に高分子PE(ポリエチレ
ン)ワックス、PTEFワックス及びフッ素系ワックス
等の潤滑剤を含ませたシャッタ用アルミニウム合金板を
提案した(特願平9−36569号)。
【0013】更にまた、アルミニウム合金板表面の樹脂
皮膜の耐溶剤溶解性及び硬度を向上させるために、特定
の高分子ビニル化合物に金属キレート化合物を含有させ
たシャッタ用アルミニウム合金板を提案した(特願平9
−232335号)。
【0014】更にまた、疵付きを防止するために、アル
ミニウム合金板表面に特定の平均粒子径の無機微粒子と
潤滑剤を含む熱硬化性樹脂皮膜を設けたシャッタ用アル
ミニウム合金板を提案した(特願平9−305381
号)。
【0015】更にまた、UV硬化型インクの密着性を向
上させるために、アルミニウム合金板表面にアクリレー
ト基を官能基として有するポリエステルウレタン系樹脂
皮膜を設けたシャッタ用アルミニウム合金板を提案した
(特願平10−197412号)。
【0016】しかし、これらの本願出願人が提案した先
願発明においても、シャッタ用アルミニウム合金板とし
て求められる軽量性及び剛性等の特性は勿論のこと、耐
疵付き性、打ち抜き加工及び曲げ加工等の加工性、耐溶
剤溶解性、並びにUVインク印刷性等の全ての特性を満
足したものとはいえず、各特性のより一層の向上が望ま
れている。
【0017】本発明はかかる問題点に鑑みてなされたも
のであって、シャッタ用アルミニウム合金板として求め
られる軽量性、剛性、耐疵付き性、打ち抜き加工性、曲
げ加工性、耐溶剤溶解性、及びUVインク印刷性の全て
の特性を満足する記録媒体ケースのシャッタ用アルミニ
ウム合金板を提供することを目的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】本発明に係る記録媒体ケ
ースのシャッタ用アルミニウム合金板は、アルミニウム
合金基板と、このアルミニウム合金基板の少なくとも記
録媒体ケースのシャッタ外面側となる表面上に第1層と
して設けられクロム付着量換算で5乃至50mg/m
のクロメート皮膜と、前記シャッタ外面側となる表面上
に第2層として設けられた合成樹脂皮膜と、を有し、こ
の合成樹脂皮膜は、アクリレート変性ポリエステルウレ
タン系樹脂と、平均粒子径10μm以下であってアクリ
レート変性ポリエステルウレタン系樹脂100重量部に
対して5乃至20重量部の無機微粒子と、アクリレート
変性ポリエステルウレタン系樹脂100重量部に対して
0.5乃至3重量部の酸化ポリエチレン系潤滑剤とを有
し、前記合成樹脂皮膜は0.5乃至3μmの膜厚で形成
されており、前記記録媒体ケースのシャッタ外面側とな
る表面の鉛筆硬度が5H以上であることを特徴とする。
【0019】なお、前記アルミニウム合金基板は、特に
制限されるものではないが、例えば、Mg:2.2乃至
2.8質量%、Mn:0.35乃至0.55質量%、F
e:0.1乃至0.4質量%を含有し、残部がアルミニ
ウム及び不可避的不純物からなる組成を有するものであ
る。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。本発明の記録媒体ケースのシャッタ用アルミニウ
ム合金板は、アルミニウム合金基板と、このアルミニウ
ム合金基板の少なくとも記録媒体ケースのシャッタ外面
側となる表面上に、第1層としてクロメート皮膜が形成
され、このクロメート皮膜上に第2層として合成樹脂皮
膜が形成されている。
【0021】先ず、アルミニウム合金基板の表面に、第
1層としてクロム付着量換算で5乃至50mg/m
クロメート皮膜を設け、第2層として下記組成の合成樹
脂皮膜を設ける。この合成樹脂皮膜は、アクリレート変
性ポリエステルウレタン系樹脂を有し、このアクリレー
ト変性ポリエステルウレタン系樹脂100重量部に対し
て、平均粒子径10μm以下の無機微粒子を5乃至20
重量部と、酸化ポリエチレン系潤滑剤を0.5乃至3重
量部とを有するものである。そして、この合成樹脂皮膜
を0.5乃至3μmの膜厚で設けることにより、打ち抜
き加工性、曲げ加工性、耐疵付き性、印刷性及び耐溶剤
溶解性に優れた特性が得られる。
【0022】アルミニウム合金板表面に、第1層として
クロム付着量換算で5乃至50mg/mのクロメート
皮膜を設けることにより、アルミニウム合金板と第2層
として設ける合成樹脂皮膜との層間密着性を向上させる
効果があり、曲げ加工時の皮膜の割れによる剥離を生じ
にくくするとともに、材料表面に疵を生じにくくする。
【0023】次に、第2層として設ける合成樹脂皮膜の
各成分について説明する。
【0024】アクリレート変性ポリエステルウレタン系
樹脂 ポリエステルウレタン系樹脂はポリエステル部が分子中
に脂肪族成分の割合が多く、更にエステル結合が二次元
的であるため、線状の高分子量樹脂となるため高い伸び
特性を示す。その効果により曲げ加工時の曲げ加工部で
の皮膜の割れ及び剥離を抑制する。更には、ウレタン結
合が他の樹脂結合と比べ比較的強く、且つウレタン結合
間の分子間相互作用により高い強度を示す。その効果に
より、皮膜硬度が高くなり、材料表面に疵を生じにくく
するとともに、溶剤洗浄工程においてコーティングした
合成樹脂皮膜を溶出しにくくする。
【0025】また、このように高い伸び特性及び強度を
示すポリエステルウレタン系樹脂をアクリレート変性す
ることにより、材料表面とUV硬化型インクとの密着性
が向上し、印刷性が向上する。以下、印刷性が向上する
メカニズムについて説明する。
【0026】シャッタ表面に記録媒体のメーカー名及び
品種等を表示するための印刷に使用されるUV硬化型イ
ンクは、ウレタンアクリレート系及びエポキシアクリレ
ート系等のアクリレート基を有するオリゴマー、光重合
開始剤及び顔料から構成されている。インクの硬化には
紫外線(UV)照射による光エネルギー(hν)が必要
であり、下記に示すように、UV硬化型インクに光エネ
ルギー(hν)が加えられると、光重合開始剤の触媒作
用によりアクリレート基を有するオリゴマーのアクリレ
ート基がラジカルを生成し、そのラジカル同士が結合す
ることにより硬化していく。
【0027】本発明におけるアクリレート変性したポリ
エステルウレタン系樹脂を用いた合成樹脂皮膜は、皮膜
中に紫外線等の光エネルギーが加えられても、アクリレ
ート同士が結合することはない。皮膜上にUV硬化型イ
ンクが積層され、紫外線(UV)が照射された場合、U
V硬化型インク中の光重合開始剤の触媒作用により、U
V硬化型インク中のアクリレート基と皮膜中のアクリレ
ート基がともにラジカルとなり、ラジカルとなったUV
硬化型インク中のアクリレート基と皮膜中のアクリレー
ト基が強固な結合を生じる。従って、UV硬化型インク
の密着性が良好となり、印刷性が向上する。
【0028】無機微粒子 無機微粒子としてはコロイダルシリカ、タルク、及びマ
イカ等から選択された1種以上のものを使用することが
できるが、これらの物質は相対的に硬度が高く、これら
の物質を合成樹脂皮膜に含有させることにより、材料の
表面硬度は更に高くなり、疵が生じにくくなる。
【0029】酸化ポリエチレン系潤滑剤 合成樹脂皮膜中に潤滑剤を添加することにより、材料表
面の潤滑性が向上する。材料表面の潤滑性の向上は、材
料表面に疵が生じにくくなる効果とともに、打ち抜き加
工時の切断工具刃先への負担が低減するため、切断工具
刃先の摩耗が抑制され、連続成形後の刃先端のダレによ
り打ち抜き加工されたシャッタ端面にバリが発生するこ
とが抑制されるという効果がある。
【0030】潤滑剤としては、酸化ポリエチレン系、マ
イクロクリスタイン系、ポリ四フッ化エチレン系及びフ
ッ素系等の合成化合物潤滑剤、並びにラノリン及びカル
ナウバロウ等の油脂系潤滑剤等があるが、材料表面に疵
が生じにくくするという観点より、分子構造が直鎖構造
となっていることから潤滑性に優れ且つ高い強度を有す
る酸化ポリエチレン系潤滑剤を使用する。
【0031】以下に第1層として設けるクロメート皮膜
及び第2層として設ける合成樹脂皮膜の数値限定理由に
ついて述べる。
【0032】クロメート皮膜のクロム付着量:5乃至5
0mg/m アルミニウム合金基板表面に第1層としてクロメート皮
膜を設けることにより、アルミニウム合金板と第2層と
して設ける合成樹脂皮膜との層間密着性を向上させ、曲
げ加工時の皮膜の割れによる剥離を生じにくくするとと
もに、材料表面に疵を生じにくくする効果があるが、ク
ロム付着量が5mg/m未満の場合、その効果は殆ど
認められない。一方、クロム付着量が50mg/m
り多い場合は、曲げ加工時にクロメート皮膜自身に割れ
が生じ、そこを起点として合成樹脂皮膜にも割れが生
じ、更に割れが生じた部位で剥離が生じるという問題が
ある。したがって、クロメート皮膜のクロム付着量は5
乃至50mg/mの範囲とする。
【0033】無機微粒子の平均粒子径:10μm以下 合成樹脂皮膜中への無機微粒子の添加は、材料表面の硬
度を高くし疵を生じにくくするのに効果があるが、その
平均粒子径が10μmより大きくなった場合、無機微粒
子の合成樹脂皮膜中による固定が不十分となり、曲げ加
工時の曲げ加工部において無機微粒子が欠落しやすくな
る。無機微粒子が欠落した場合、金型に堆積することに
より加工時に材料表面に疵を付ける。また、無機微粒子
が磁性面に付着し読み書き性能の障害を生じるなどの問
題を生じる。したがって、無機微粒子の平均粒子径は1
0μm以下とする。
【0034】アクリレート変性ポリエステル系樹脂10
0重量部に対する無機微粒子の含有量:5乃至20重量
合成樹脂皮膜中への無機微粒子の添加は、材料表面の硬
度を高くし疵を生じにくくするのに効果があるが、アク
リレート変性ポリエステルウレタン系樹脂100重量部
に対する無機微粒子の含有量が5重量部未満の場合、そ
の効果が十分に発揮されない。一方、20重量部よりも
多くなった場合、過剰な無機微粒子の合成樹脂皮膜によ
る固定が不十分となり、曲げ加工時の曲げ加工部におい
て無機微粒子が欠落するという問題を生じる。従って、
アクリレート変性ポリエステルウレタン系樹脂100重
量部に対する無機微粒子の含有量は5乃至20重量部の
範囲とする。
【0035】アクリレート変性ポリエステル系樹脂10
0重量部に対する酸化ポリエチレン系潤滑剤の含有量:
0.5乃至3重量部 合成樹脂皮膜中への酸化ポリエチレン系潤滑剤の添加
は、材料表面の潤滑性を向上させ、材料表面に疵が生じ
にくくなる、打ち抜き加工されたシャッタ端面のバリの
発生が抑制されるという効果があるが、その含有量が
0.5重量部未満の場合、その効果は十分に発現されな
い。一方、酸化ポリエチレン系潤滑剤の含有量が3重量
部よりも多い場合、過剰な酸化ポリエチレン系潤滑剤が
合成樹脂皮膜表面に偏析し、UV硬化型インク中のアク
リレート基とアクリレート変性ポリエステルウレタン系
樹脂中のアクリレート基の結合を妨害するため、UV硬
化型インクの密着性を低下させるという問題を生じる。
従って、アクリレート変性ポリエステルウレタン系樹脂
100重量部に対する酸化ポリエチレン系潤滑剤の含有
量は0.5乃至3重量部の範囲とする。
【0036】合成樹脂皮膜の膜厚:0.5乃至3μm アルミニウム合金板に上述した合成樹脂皮膜を設けるこ
とにより、材料表面に疵を生じにくくする効果が得られ
るが、合成樹脂皮膜の膜厚が0.5μm未満である場合
は、この効果が発現されにくくなる。一方、合成樹脂皮
膜の膜厚が3μmより厚い場合、形成される皮膜の内部
応力が高くなりすぎ、皮膜の密着性が低下する。そし
て、この皮膜の密着性が低下すると、曲げ加工部におい
て皮膜が剥離しやすくなるという問題を生じる。従っ
て、合成樹脂皮膜の膜厚は0.5乃至3μmの範囲とす
る。
【0037】記録媒体ケースのシャッタ外面側となる表
面の鉛筆硬度:5H以上 また、このようにして形成されたアルミニウム合金板の
記録媒体ケースのシャッタ外面側となる表面の鉛筆硬度
は、疵を生じにくくするという観点から、5H以上とす
る。
【0038】アルミニウム合金板の引張強さ:300乃
至350MPa 更に、このようにして形成されたアルミニウム合金板全
体の引張強さは300乃至350MPaの範囲であるこ
とが好ましい。引張強さが300MPa未満であれば、
シャッタの剛性が低下し、シャッタの成形加工時、記録
媒体ケースの組立て工程時及び記録媒体ケースとしての
使用時にシャッタが変形するという問題が生じる可能性
がある。一方、引張り強さが350MPaよりも高い場
合は、強度が高すぎることによって、シャッタを成形す
る際の打ち抜き加工時に、加工工具(切刃)の刃先端の
摩耗を促進する傾向にある。従って、アルミニウム合金
板の引張強さは300乃至350MPaの範囲が好まし
い。
【0039】なお、アルミニウム合金基板自体は、種々
のものを使用できるが、以下に示す組成のアルミニウム
合金基板を使用することにより、本発明の効果が更に優
れたものとなる。以下、このアルミニウム合金基板の成
分添加理由及び組成限定理由について説明する。
【0040】アルミニウム合金基板のMg含有量:2.
2乃至2.8質量% Mgはアルミニウム合金基板を冷間圧延する際の加工硬
化を促進し、材料強度を向上させる効果を有するため、
本発明では必須成分とするものである。しかしながら、
Mgの含有量が2.2質量%未満では、十分な強度向上
効果が得られず、シャッタの剛性が不十分となり、例え
ば記録媒体ケースを落下させた場合にシャッタが変形し
容易に外れるという不具合を生じる。一方、Mgを過多
に添加すると強度が高すぎることによって、シャッタを
成形する際の打ち抜き加工時に、加工工具(切刃)の刃
先端の摩耗を促進してしまい、連続成形後に刃先端が摩
耗によりダレが発生する(Rが増加する)ため、打ち抜
き加工されたシャッタ端面にバリが生じやすいという問
題がある。従って、Mgの添加量は2.2乃至2.8質
量%の範囲とするのが好ましい。
【0041】アルミニウム合金基板のMn含有量:0.
35乃至0.55質量% Mnの添加は打ち抜き加工時の切断性を向上させるAl
−Fe−Mn系晶出物の生成及びアルミニウム合金基板
の材料強度向上に効果を有するため、本発明において
は、Mnを必須成分として含有する。Al−Fe−Mn
系晶出物の生成によりアルミニウム合金板の切断性が向
上し、打ち抜き加工時の切断工具刃先への負担が低減す
るため、切断工具刃先の摩耗が抑制され、連続成形後の
刃先端のダレにより打ち抜き加工されたシャッタ端面に
バリが発生することが抑制される。この切断性向上の効
果が現われるには、少なくともMnを0.35質量%以
上添加する必要がある。しかし、Mnを0.55質量%
よりも過多に添加すると、巨大晶出物の生成及び晶出物
の生成の数が多くなり、成形性が低下し、シャッタをコ
の字形状に曲げ加工する際に曲げ加工部で割れが発生す
るという問題が生じる場合がある。従って、Mnの添加
量は0.35乃至0.55質量%の範囲とするのが好ま
しい。
【0042】アルミニウム合金基板のFe含有量:0.
1乃至0.4質量% Feの添加は打ち抜き加工時の切断性を向上させるAl
−Fe−Mn系晶出物の生成及びアルミニウム合金基板
の成形性を向上させる結晶粒微細化に大きな効果を有す
る。Feの添加量が多いほど結晶粒は微細化される。し
かし、Feの添加量が0.1質量%未満ではその効果が
認められず、また0.4質量%を超えて添加すると、巨
大晶出物の生成及び晶出物の生成の数が多くなり、成形
性の低下を招く場合がある。従って、Feの添加量は
0.1乃至0.4質量%の範囲とするのが好ましい。
【0043】次に、上述のごとく構成されるアルミニウ
ム合金板の製造方法について説明する。先ず、例えば、
上述した組成(Mg:2.2乃至2.8質量%、Mn:
0.35乃至0.55質量%、Fe:0.1乃至0.4
質量%を含有し、残部がアルミニウム及び不可避不純物
からなる組成)となるようにアルミニウム合金を溶解
し、連続鋳造して鋳塊とする。そして、例えば500℃
の温度で4時間の均質化処理をする。次に、均質化処理
した鋳塊に対し、熱間圧延又は熱間圧延及び冷間圧延を
実施して、所定の板厚に圧延する。その後、この圧延板
を350℃以上の温度で中間焼鈍して、最終圧延率が2
0乃至90%となるように冷間圧延する。
【0044】その後、必要に応じて、安定化処理及び歪
矯正等を行う。次いで、塗装前処理として、アルカリ脱
脂及び酸処理等により、アルミニウム合金板の表面の油
分及び酸化皮膜を除去する。
【0045】得られたアルミニウム合金板を特許請求の
範囲でいうアルミニウム合金基板として、このアルミニ
ウム合金基板の表面に、第1層としてクロム付着量換算
で5乃至50mg/mのクロメート皮膜を設ける。そ
の後、第2層として、アクリレート変性ポリエステルウ
レタン系樹脂と、平均粒子径が10μm以下の無機微粒
子(アクリレート変性ポリエステルウレタン系樹脂10
0重量部に対して、5乃至20重量部)と、酸化ポリエ
チレン系潤滑剤(アクリレート変性ポリエステルウレタ
ン系樹脂100重量部に対して、0.5乃至3重量部)
とを含有させた塗料を、例えば、ロールコーティング法
によりアルミニウム合金板表面に乾燥後の膜厚が0.5
乃至3μmとなるように塗布し、例えば250℃以下で
5乃至30秒間加熱乾燥することにより、合成樹脂皮膜
をクロメート皮膜上に形成する。
【0046】
【実施例】次に、本発明の実施例の特性について、本発
明の範囲から外れる比較例と比較して説明する。
【0047】Mg:2.75質量%、Mn:0.4質量
%、Fe:0.19質量%、Si:0.11質量%、C
u:0.02質量%、Cr:0.04質量%、Ti:
0.02質量%、残部Alからなるアルミニウム合金
(合金1)、及びMg:4.85質量%、Mn:0.4
5質量%、Fe:0.23質量%、Si:0.16質量
%、Cu:0.09質量%、Cr:0.03質量%、T
i:0.02質量%、残部Alからなるアルミニウム合
金(合金2)を常法により溶解し、連続鋳造により鋳塊
とした。次に、この鋳塊に510℃の温度で4時間の均
質化処理を行った後、熱間圧延して板厚が2.8mmの
板材とした。次に、冷間圧延により板厚が1mmまで圧
延した後、420°の温度で中間焼鈍を行った。その
後、板厚0.18mmまで最終冷間圧延を行った。
【0048】この板材をアルカリ脱脂し、その後、表1
乃至表4に示すように第1層を設け、次に、第2層とし
て表1乃至表4に示す成分の塗料をロールコーティング
法により乾燥後の膜厚が所定の膜厚となるように塗装
し、200℃の温度で加熱乾燥することにより、合成樹
脂皮膜を塗装した試験材を得た。なお、下記表1及び表
2に示す実施例1乃至13は合金1を使用し、実施例1
4は合金2を使用した。また、比較のために、合成樹脂
皮膜の替わりに陽極酸化皮膜を設けたものも作製した。
【0049】
【表1】
【0050】
【表2】
【0051】
【表3】
【0052】
【表4】
【0053】得られた試験材については、材料特性を評
価するため以下の測定を行った。その測定結果及び評価
結果を下記表5乃至表8に示す。
【0054】
【表5】
【0055】
【表6】
【0056】
【表7】
【0057】
【表8】
【0058】材料表面の鉛筆硬度については、JISK
5400の鉛筆引っかき試験にて測定した。
【0059】材料表面の潤滑性については、バウデン付
着滑り試験機を使用して、試験材表面に直径が4.23
mmの鋼球を接触させ、加重200gにて位置を変えな
がら4mm/秒の速度で摺動を3往復繰り返し、その場
合の平均摺動加重より摩擦係数を求めた。
【0060】また、材料表面の耐疵付き性については、
バウデン付着滑り試験機を使用して、試験材表面に直径
が4.23mmの鋼球を接触させ、加重200gにて同
位置を4mm/秒の速度で摺動を繰り返し、試験材表面
に疵が発生する摺動回数を測定した。その摺動回数が2
0回を超え、耐疵付き性が極めて良好なものには◎を、
摺動回数が10回を超え、対疵付き性が良好なものには
○を、摺動回数が2乃至10回のものは△を、摺動回数
が1回以下のものは×として評価した。
【0061】打ち抜き加工性については、図4に示す条
件にて連続切断加工試験を実施し、切刃先端形状(R)
の変化及びカエリ量を測定した。連続切断加工試験にお
いては、プレス油として低粘度の揮発性プレス油AF−
2A(出光興産(株)製)を使用し、塗油量は1g/m
とした。また、切断工具(切刃)材質としてはSKD
11(JIS)を使用し、切刃のクリアランスを20μ
mに設定した。更に、加工速度としては300cm/分
とし、ストローク長を3mm、切断長さを30mmとし
た。切刃先端形状(R)は形状測定装置(SED36
D:(株)小坂研究所製;触針R=2μm)にて測定し
た。また、カエリ量は図4の切断部断面形状模式図に示
す凸部からバリ先端部までの寸法を測定した。なお、連
続切断加工数は20万ショットとし、初期及び20万シ
ョット後の切刃先端形状(R)並びにカエリ量を測定し
た。
【0062】曲げ加工性については、試験材の板厚を曲
げ半径とする90°−0R曲げ試験を行い、曲げ部を5
0乃至200倍にした実体顕微鏡で観察して、曲げ部の
割れの状態から評価した。評価としては、皮膜に割れの
発生がなく、皮膜及び無機微粒子の剥離のないものを
◎、皮膜に軽微な割れがあるものの皮膜及び無機微粒子
の剥離のないものを○、若干の皮膜及び無機微粒子の剥
離があるものを△、皮膜及び無機微粒子の剥離の程度が
激しいものを×として評価した。
【0063】耐溶剤溶解性については、試験材を沸騰さ
せた1,1,1−トリクロロエチレン中に浸漬し、超音
波をかけながら6分間浸漬した後の皮膜重量減少量を測
定することにより行った。
【0064】印刷性については、試験材表面に下記表9
に示す条件でUV印刷を施し、24時間室温に放置した
後、UV印刷表面を碁盤目テープ剥離試験(JISH4
001)によって評価した。
【0065】
【表9】
【0066】これらの表5乃至表8からわかるように、
実施例1乃至14は本発明範囲であるので、鉛筆硬度が
5H以上となり、耐疵付き性において良好な特性を示
す。また、打ち抜き加工性に関しても、切刃先端形状
(R)及びカエリ量の増加はほとんど認められず、良好
な特性を示す。また、曲げ加工性、耐溶剤溶解性及び印
刷性に関しても良好な特性を示す。
【0067】比較例7は、第1層及び第2層を設けてい
ない無処理材であるため、耐疵付き性、印刷性が不十分
である。また、打ち抜き加工性も不十分で連続切断加工
においてバリの増加が認められる。比較例8は、第1層
としてクロメート皮膜を設けていないため、合成樹脂皮
膜の密着性が不十分となり、曲げ加工部において皮膜の
剥離が認められる。比較例9は、クロメート皮膜のクロ
ム付着量が1mg/m と不十分なため、合成樹脂皮膜
の密着性が不十分となり、曲げ加工部において皮膜の剥
離が認められる。比較例10は、クロメート皮膜のクロ
ム付着量が100mg/mと過多なため、曲げ加工時
にクロメート皮膜自身に割れが生じ、そこを起点として
合成樹脂皮膜にも割れが生じ、更に割れが生じた部位で
剥離が認められる。比較例11は、ポリエステルウレタ
ン樹脂がアクリレート変性されていないため、印刷性が
不十分となる。比較例12は、合成樹脂としてアクリル
系樹脂を用いているため、耐疵付き性、耐溶剤溶解性、
印刷性が不十分となる。比較例13は、合成樹脂として
アクリルエポキシ系樹脂を用いているため、耐疵付き
性、耐溶剤溶解性、印刷性が不十分となる。比較例14
は、合成樹脂として高分子ビニル系樹脂を用いており、
耐疵付き性、印刷性が不十分となる。比較例15は、合
成樹脂皮膜中に無機微粒子を含まないため、耐疵付き性
が不十分となる。比較例16は、無機微粒子の平均粒子
径が20μmであり、無機微粒子の合成樹脂皮膜中によ
る固定が不十分となり、曲げ加工時の曲げ加工部におい
て無機微粒子が欠落しやすくなる。比較例17は、無機
微粒子の含有量が少なすぎるため、耐疵付き性が不十分
となる。比較例18は、無機微粒子の含有量が過多なた
め、過剰な無機微粒子の合成樹脂皮膜による固定が不十
分となり、曲げ加工時の曲げ加工部において無機微粒子
が欠落するという問題を生じる。比較例19は、合成樹
脂皮膜中に酸化ポリエチレン系潤滑剤を含まないため、
耐疵付き性が不十分となるとともに、打ち抜き加工性が
低下し、連続切断加工バリの増加が認められる。比較例
20は、合成樹脂皮膜中に酸化ポリエチレン系潤滑剤の
含有量が少ないため、耐疵付き性が不十分となるととも
に、打ち抜き加工性が低下し、連続切断加工においてバ
リの増加が認められる。比較例21は、合成樹脂皮膜中
に酸化ポリエチレン系潤滑剤の含有量が過多なため、印
刷性が不十分となる。比較例22、23及び24は、合
成樹脂皮膜中の潤滑剤として酸化ポリエチレン系潤滑剤
以外のものを使用しているため、耐疵付き性が不十分と
なり、また印刷性も不十分となる。比較例25は、合成
樹脂皮膜の膜厚が薄いため、耐疵付き性が不十分とな
る。比較例26は、合成樹脂皮膜の膜厚が過多なため、
形成される皮膜の内部応力が高くなりすぎ、皮膜の密着
性が低下し、曲げ加工部において皮膜が剥離しやすくな
る。比較例27は、陽極酸化皮膜を設けているため、曲
げ加工部で皮膜が割れ、更には剥離したものが、磁性面
にとって有害となる。
【0068】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明によれば、
耐疵付き性、打ち抜き加工性、曲げ加工性、耐溶剤溶解
性及び印刷性がいずれも優れたシャッタ用アルミニウム
合金板を得ることができる。このため、このアルミニウ
ム合金板は、記録媒体ケースのシャッタに成形する際
に、打ち抜き加工性及び曲げ加工性が優れており、また
耐疵付き性、耐溶剤溶解性及び印刷性が優れているた
め、記録媒体ケースのシャッタに好適な樹脂被覆アルミ
ニウム合金板を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】記録媒体として、フレキシブルディスクを示す
正面図である。
【図2】このフレキシブルディスクのケースに使用され
るシャッタを示す斜視図である。
【図3】このシャッタの断面図である。
【図4】本発明の実施例の試験条件を説明する図であ
る。
【符号の説明】
1:シャッタ 2:ケース 3:記録媒体 4:窓部 5:内隅部

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 記録媒体を収納するケースに設けた記録
    ヘッド用窓部を開閉するシャッタに使用される記録媒体
    ケースのシャッタ用アルミニウム合金板において、アル
    ミニウム合金基板と、このアルミニウム合金基板の少な
    くとも記録媒体ケースのシャッタ外面側となる表面上に
    第1層として設けられクロム付着量換算で5乃至50m
    g/mのクロメート皮膜と、前記シャッタ外面側とな
    る表面上に第2層として設けられた合成樹脂皮膜と、を
    有し、この合成樹脂皮膜は、アクリレート変性ポリエス
    テルウレタン系樹脂と、平均粒子径10μm以下であっ
    てアクリレート変性ポリエステルウレタン系樹脂100
    重量部に対して5乃至20重量部の無機微粒子と、アク
    リレート変性ポリエステルウレタン系樹脂100重量部
    に対して0.5乃至3重量部の酸化ポリエチレン系潤滑
    剤とを有し、前記合成樹脂皮膜は0.5乃至3μmの膜
    厚で形成されており、前記記録媒体ケースのシャッタ外
    面側となる表面の鉛筆硬度が5H以上であることを特徴
    とする記録媒体ケースのシャッタ用アルミニウム合金
    板。
JP2001058943A 2001-03-02 2001-03-02 記録媒体ケースのシャッタ用アルミニウム合金板 Pending JP2002260361A (ja)

Priority Applications (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001058943A JP2002260361A (ja) 2001-03-02 2001-03-02 記録媒体ケースのシャッタ用アルミニウム合金板
TW91103834A TW554048B (en) 2001-03-02 2002-03-01 Aluminum alloy sheet for recording medium case shutter
CN 02106723 CN1245529C (zh) 2001-03-02 2002-03-04 记录媒体壳体的铝合金板制开闭器

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001058943A JP2002260361A (ja) 2001-03-02 2001-03-02 記録媒体ケースのシャッタ用アルミニウム合金板

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2002260361A true JP2002260361A (ja) 2002-09-13

Family

ID=18918587

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001058943A Pending JP2002260361A (ja) 2001-03-02 2001-03-02 記録媒体ケースのシャッタ用アルミニウム合金板

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2002260361A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US20110192279A1 (en) * 2010-02-09 2011-08-11 Honda Motor Co., Ltd. Multilayer lubrication coating film and internal combustion engine piston using the coating film
CN112647068A (zh) * 2019-10-09 2021-04-13 株式会社神户制钢所 润滑皮膜被覆铝板

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US20110192279A1 (en) * 2010-02-09 2011-08-11 Honda Motor Co., Ltd. Multilayer lubrication coating film and internal combustion engine piston using the coating film
US8960072B2 (en) * 2010-02-09 2015-02-24 Honda Motor Co., Ltd Multilayer lubrication coating film and internal combustion engine piston using the coating film
CN112647068A (zh) * 2019-10-09 2021-04-13 株式会社神户制钢所 润滑皮膜被覆铝板

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR102174803B1 (ko) 피복 금형 및 그 제조 방법
KR100473517B1 (ko) 피막을 갖는 알루미늄판 및 이를 사용한 전자 기기 부재
JP5279952B2 (ja) クロメートフリー塗装金属板
JP2925891B2 (ja) 記録媒体カセットのシャッター用アルミニウム合金材料並びにその製造方法及びそれを使用したアルミニウム合金シャッター
JP4134237B2 (ja) プレコート金属板
JP2006312243A (ja) 放熱性、耐傷付き性及び導電性に優れたプレコートアルミニウム合金板
JP2002260361A (ja) 記録媒体ケースのシャッタ用アルミニウム合金板
JP3133719B2 (ja) 樹脂被覆アルミニウム合金板材
JP4108284B2 (ja) 記録媒体ケースのシャッタ用アルミニウム合金板
KR101009869B1 (ko) 프리코팅 금속판
JP3067353B2 (ja) カートリッジ用シャッター材
JP3499733B2 (ja) ディスクシャッタ用アルミニウム材
JP2925954B2 (ja) 記録媒体カセットのシャッター用Al合金材料並びにその製造方法及びそれを使用したAl合金製シャッター
JP3476364B2 (ja) ディスクシャッタ用アルミニウム材
JPH10233074A (ja) ディスクシャッタ用アルミニウム又はアルミニウム合金板
JP3298608B2 (ja) 摺動性に優れた記録媒体カセットシャッター用アルミニウム合金塗装板および該アルミニウム合金塗装板からなる記録媒体カセットシャッター
KR101387128B1 (ko) 내스크래치성이 우수한 프리코트 금속판 및 그 제조 방법
JP4482364B2 (ja) 電子機器用アルミニウム板およびこれを用いた電子機器用成形品
JP2001184845A (ja) 記録媒体ドライブケース用塗膜被覆アルミニウム合金材
TW554048B (en) Aluminum alloy sheet for recording medium case shutter
KR101657818B1 (ko) 흑색수지 코팅 조성물 및 흑색수지 강판
JP2001162223A (ja) 記憶媒体ドライブケース用樹脂被覆アルミニウム合金材
JP2003205576A (ja) 樹脂複合型ステンレス制振鋼板およびこれを用いたプレス成形体ならびにハードディスクドライブ用ケースカバー
JPH1173749A (ja) ディスクシャッタ用アルミニウム又はアルミニウム合金板材及びその製造方法
JP2003105593A (ja) マグネシウム合金基材の防錆被膜構造

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20040401

A977 Report on retrieval

Effective date: 20050502

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20060905

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20061106

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20080401