JP4482364B2 - 電子機器用アルミニウム板およびこれを用いた電子機器用成形品 - Google Patents

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Description

本発明は、電子機器用アルミニウム板およびこれを用いた電子機器用成形品に係り、特に、アルミニウム素板の表面に耐食性皮膜および樹脂皮膜を形成したことにより、電子機器の筐体製造に求められる、優れた連続成形性や耐疵付き性、導電性、耐指紋性を確保する電子機器用アルミニウム板およびこれを用いた電子機器用成形品に関する。
近年、ノートブックタイプのパーソナルコンピュータ(以下、「ノートパソコン」)に代表される携帯型OA機器の部材、例えば、CD−ROMやDVD、FDDなどドライブ装置のカバーや液晶バックライト背面板に、アルミニウム素板の表面に耐食性皮膜や樹脂皮膜を形成したプレコートアルミニウム材(以下、「電子機器用アルミニウム板」という)を採用することが多くなっている。
携帯型OA機器に使用される電子機器用アルミニウム板には、その用途から下記の特性を満足することが要求されている。すなわち、(1)プレス油を洗浄する工程を省略して製造コストを下げることを目的に、洗浄の不要な速乾性プレス油だけでの連続成形を可能とする潤滑性、(2)外観品質を向上するための耐疵付き性および耐指紋性、(3)帯電防止やアースをとるための導電性、(4)ネジ穴を高強度化するため、および、デント防止のための適正な強度、(5)薄肉軽量化を実現するための適正な板厚、(6)異形状成形による後加工を省略するための高成形性、である。
本発明者らは前記の要求のうち、主として(3)の導電性を向上させた電子機器用アルミニウム板を提供することを目的として研究を行った結果、特許文献1に記載の発明を完成するに至った。すなわち、当該特許文献1に記載の発明は、所定の中心線平均粗さRaを有するアルミニウム板の少なくとも一面に、所定の耐食性皮膜と所定の樹脂皮膜とを形成し、その表面抵抗値を規定することで導電性を向上させつつ、その他の要求も満足した電子機器用アルミニウム板に関するものである。
なお、本発明者らは、かかる成果について、「アルミニウム板の導電性、加工疵に及ぼすプレコート皮膜の影響」と題して耐疵付き性と導電性に及ぼす皮膜塗布量並びに導電性微粒子添加量の影響を明らかにし、これを非特許文献1に報告している。
また、本発明者らはより優れた電子機器用アルミニウム板を開発するため研究を行った結果、薄膜プレコート材(本願の電子機器用アルミニウム板に該当)の耐疵付き性向上に及ぼす潤滑剤の種類の影響と最適添加量を明らかにし、かかる成果を「アルミニウム板の疵付き防止性に及ぼすプレコート皮膜中への添加剤の影響」と題して非特許文献2に報告している。
特開2003−313684号公報(請求項1、段落0021〜0050、図1) 服部ら、軽金属学会第103回秋期大会講演概要、2002年、189−190頁 塚越ら、軽金属学会第104回春期大会講演概要、2003年、137−138頁
特許文献1に係る電子機器用アルミニウム板では、成形加工初期から生じる疵を防止するために当該電子機器用アルミニウム板の中心線平均粗さRaや樹脂皮膜、潤滑剤といったパラメータを規定し、かかる問題を解決している。
しかしながら、特許文献1に記載の電子機器用アルミニウム板を用いた場合であっても、連続成形を行うと連続成形の進行にともない成形品に疵が発生することが確認された。
本発明者らは、成形開始直後の疵と連続成形が進んだ状況での疵の発生メカニズムの違いを解明したところ、連続成形の進行にともない発生する疵は摩擦面間に連続成形にともなって発生するアルミニウムの摩耗粉が介在する場合に生ずる微小な切削作用によるアブレシブ摩耗をメカニズムとする疵であり、かかる疵には潤滑剤による摩擦抵抗の低減は効果がないことを、後記する実施例によって明らかにすることができた。
なお、特許文献1に記載の電子機器用アルミニウム板において発生していた疵は、摩擦面の間に摩耗粉が介在しない状況での、プレスの金型とアルミニウム板の表面との微視的な凝着や破壊に起因する凝着摩耗をメカニズムとする疵であった。かかる疵の発生は、前記の特許文献1や非特許文献2に記載するように、潤滑剤等を添加して摩擦抵抗を低減することで防止することができたが、このような疵付きの挙動が生じるのは、電子機器の筐体などが実際に製造される連続成形の中では、摩耗粉の清掃などプレスの金型をメンテナンスした直後の一時的な状況だけであり、連続成形での疵発生をモデル化したとは言い難いことが分かった。
また、最近では、より高強度の製品を提供するために、従来用いられてきたアルミニウム素板(JIS H4000に規定する合金番号5052のアルミニウム合金板)よりも硬質のアルミニウム素板(JIS H4000に規定する合金番号5182のアルミニウム合金板など)が使用されてきており、その結果連続成形にて発生するアルミニウムの摩耗粉の硬さも硬くなってきていることも、アブレシブ摩耗による疵の発生が顕在化している原因の一つと考えられる。
さらに、従来製品よりも導電性を向上させるために樹脂皮膜を薄くすることも求められており、樹脂皮膜による電子機器用アルミニウム板の表面の保護が十分に図れないことも前記のような疵が発生し易い要因となっていると考えられる。
本発明は前記課題に鑑みてなされたものであり、従来まったく報告されていない連続成形加工時の加工疵の発生を防止することのできる、耐疵付き性に優れた電子機器用アルミニウム板を提供することを目的とする。すなわち、凝着摩耗に起因する疵だけではなく摩耗粉によるアブレシブ摩耗に起因する疵の発生を効果的に防止することができる、耐疵付き性に優れた電子機器用アルミニウム板を提供することを目的とする。
本発明者らは前記課題を解決するため鋭意研究を行った結果、アルミニウム素板の表面に形成する樹脂皮膜のガラス転移温度を30℃よりも高いものに限定することにより皮膜の硬度が高くなり、その結果、アブレシブ摩耗に起因する疵の発生を防止することが可能であるという知見を得、本発明を完成するに至った。
すなわち、請求項1に記載の発明は、中心線平均粗さRaが0.2〜0.6μmであるアルミニウム素板の少なくとも片面に、このアルミニウム素板側から順に耐食性皮膜と樹脂皮膜(但し、ポリエチレンテレフタレートを用いた樹脂皮膜を除く)とを積層して形成された潤滑表面を有し、かつ、前記アルミニウム素板、または前記耐食性皮膜が形成された表面の微細な凸部が前記樹脂皮膜の表面に露出しており、摩耗粉によるアブレシブ摩耗に起因する疵の発生を防止することのできる電子機器用アルミニウム板であって、前記耐食性皮膜は、CrまたはZrを含有し、かつ前記アルミニウム板への付着量がCrまたはZr換算値で10〜50mg/m2であり、前記樹脂皮膜は、平均膜厚を0.05〜0.9μm、かつ、全樹脂皮膜量に対して1〜25質量%の潤滑剤を含有し、前記潤滑表面の動摩擦係数を0.2以下とし、前記樹脂皮膜のガラス転移温度を30℃よりも高くするとともに前記潤滑表面の鉛筆硬度を3H以上としたことを特徴とする電子機器用アルミニウム板である。
このように、アルミニウム素板表面の中心線平均粗さRaと、当該素板の表面に形成する耐食性皮膜および樹脂皮膜の膜厚を適切な範囲に規定しているので、アルミニウム素板の凸部または耐食性皮膜の微細な凸部が樹脂皮膜の表面に露出するようになり、高い導電性を損なわずに耐指紋性を良好に保つことができる。また、潤滑表面を形成する樹脂皮膜は適切な量の潤滑剤を含有しているので、動摩擦力(動摩擦係数)を低くすることができる。特に、この樹脂皮膜のガラス転移温度や鉛筆硬度を適切に規定したことで、アブレシブ摩耗による疵の発生を効果的に防止することができ、連続成形を行っても耐疵付き性に優れた電子機器用アルミニウム板を具現することができる。
また、請求項2に記載の発明は、前記樹脂皮膜が、ポリエステル系樹脂(但し、ポリエチレンテレフタレートを除く)よりなることを特徴とする請求項1に記載の電子機器用アルミニウム板である。
請求項3に記載の発明は、前記潤滑表面に、先端が半径10mmの金属製球状端子を、0.4Nの荷重で押付けたときの前記球状端子と前記アルミニウム素板との間の表面抵抗値が100Ω以下であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電子機器用アルミニウム板である。
このように、潤滑表面における表面抵抗値を適切に規定しているので、電子機器用アルミニウム板に所望の導電性を備えることができる。
請求項4に記載の発明は、前記潤滑剤が、ポリアルキレン系ワックスおよびフッ素系ワックスのうち少なくとも一種を含むことを特徴とする請求項1から請求項3に記載の電子機器用アルミニウム板である。
このような潤滑剤を用いれば、樹脂皮膜に適度な潤滑性を与えることができるので、摩耗粉が発生していない連続成形開始直後の様な凝着摩耗に起因する疵の発生を効果的に抑制することができる。また、プレス加工の際における金型との摺動によって樹脂皮膜が剥がれることがなく、優れた耐疵付き性を維持することができる。
そして、請求項5に記載の発明は、請求項1から請求項4のうちいずれか一項に記載の電子機器用アルミニウム板を用いて成形したことを特徴とする電子機器用成形品である。
このように、請求項1から請求項4のうちいずれか一項に記載の電子機器用アルミニウム板を用いるので、指紋や加工疵、スクラッチ疵のない電子機器成形品を成形することができる。
請求項1から請求項に記載の発明によれば、成形加工時の加工疵の発生を防止することのできる、耐疵付き性に優れた電子機器用アルミニウム板を提供することができる。特に、高いガラス転移温度を有する樹脂皮膜を用いることで従来成し得なかった連続成形にともない発生する摩耗粉が影響するアブレシブ摩耗に起因する疵の発生を効果的に防止することができる。
請求項に記載の発明によれば、加工疵のない電子機器用成形品を提供することができる。
以下、適宜図面を参照して本発明に係る電子機器用アルミニウム板および電子機器用成形品を実施するための最良の形態について具体的に説明する。
参照する図面において図1は、本発明に係る電子機器用アルミニウム板の構成を模式的に示す断面図である。図1に示すように、本発明に係る電子機器用アルミニウム板1は、表面粗さ(中心線平均粗さRa)が本発明で規制する範囲内に調整されたアルミニウム素板2の表面に、耐食性を充分に確保するための耐食性皮膜3が被覆され、この耐食性皮膜3の上に潤滑剤を含む樹脂皮膜(但し、ポリエチレンテレフタレートを用いた樹脂皮膜を除く)4が形成されている。以下、本発明に係る電子機器用アルミニウム板1を構成する各要素で数値限定した理由について説明する。
[アルミニウム素板]
本発明で用いられるアルミニウム素板2は、JIS H4000に規定する合金番号5182のアルミニウム合金板や、JIS H4000に規定する合金番号5052のアルミニウム合金板を好適に用いることができるが、これらに限定されるものではなく、必要に応じて各種の成分および調質を行ったアルミニウム板またはアルミニウム合金板を用いることができる。なお、アルミニウム素板の板厚は、例えば、0.3〜0.8mmとするのがよいが、目的に応じて種々の板厚とすることができる。
(アルミニウム素板の中心線平均粗さRa:0.2〜0.6μm)
本発明に含まれるアルミニウム素板2の中心線平均粗さRaは、後記の耐食性皮膜3および樹脂皮膜4の平均膜厚とともに、電子機器用アルミニウム板1として要求される耐疵付き性、導電性、成形性および耐指紋性の各特性の発現に寄与する重要なパラメータである。なお、本発明でいう中心線平均粗さRaは、JIS B 0601−1994に規定される算術平均粗さRaに相当するものである。
すなわち、アルミニウム素板2の中心線平均粗さRaが0.2μm未満であると、その電子機器用アルミニウム板1の表面の光沢度が過剰に大きくなって、表面に付着した指紋および表面に生じた微細な疵が目立ち易くなり、耐疵付き性および耐指紋性に劣ったものとなる。また、この場合には、微細な凹凸を有するアルミニウム素板2の凸部、または、この上に微細な凹凸に沿って形成された耐食性皮膜3の凸部が樹脂皮膜4の表面に露出し難くなるため、所望の導電性を確保することが困難となる。
一方、アルミニウム素板2の中心線平均粗さRaが0.6μmを超えると、このアルミニウム素板2に曲げ加工を施した際に、このアルミニウム素板2で割れが生じ易くなるため、曲げ加工(成形加工)が施された部分の樹脂皮膜4でスジ模様が目立つようになったり、樹脂皮膜4が剥離し易くなる。したがって、本発明では、アルミニウム素板2の中心線平均粗さRaを0.2〜0.6μm、より望ましくは0.3〜0.5μmの範囲に規制することによって、耐疵付き性、導電性、成形性および耐指紋性が高められた電子機器用アルミニウム板1を得ることができる。
なお、アルミニウム素板2の中心線平均粗さRaを本発明で規制する範囲内に調整する方法として、例えば、アルミニウム素板2の圧延工程で、表面粗さが適宜設定された圧延ロール(不図示)を用いて仕上げ圧延を行う方法や、圧延後のアルミニウム素板2の表面に適宜条件でエッチング処理を施す方法が挙げられる。
本発明では、このようにして中心線平均粗さRaが調整されて微細な凹凸が形成されたアルミニウム素板2の上に耐食性皮膜3と樹脂皮膜4とが順次積層して形成された潤滑表面を有するが、これらの耐食性皮膜3および樹脂皮膜4の膜厚を本発明で規制する所定の膜厚に設定することにより、アルミニウム素板2の凸部または耐食性皮膜3の微細な凸部が樹脂皮膜4の表面に露出するようになり、優れた耐疵付き性と、所望する導電性、成形性および耐指紋性を備えた電子機器用アルミニウム板1を得ることができる。なお、本発明においては耐食性皮膜3によってアルミニウム素板2の表面が全て覆われていることが望ましいが、その一部においてアルミニウム素板2の凸部が耐食性皮膜3や樹脂皮膜4から露出していても構わない。
[耐食性皮膜]
本発明に含まれる耐食性皮膜3は、アルミニウム素板2に所要の耐食性を付与するために設けられるものである。本発明では、耐食性皮膜3として、CrまたはZrを含有する従来公知の耐食性皮膜である、リン酸クロメート皮膜、クロム酸クロメート皮膜、リン酸ジルコニウム皮膜、塗布型クロメート皮膜、あるいは塗布型ジルコニウム皮膜等を適宜使用することができる。なお、近年、環境対応の流れから六価クロムを嫌う傾向があり、六価クロムを含まないリン酸クロメート皮膜や、リン酸ジルコニウム皮膜、塗布型ジルコニウム皮膜などを使用するのが望ましい。なお、本発明では膜厚として、CrまたはZrのアルミニウム素板2への付着量(CrまたはZr換算値)を、例えば、従来公知の蛍光X線法を用いて比較的簡便かつ定量的に測定することができるため、生産性を阻害することなく電子機器用アルミニウム板1の品質管理を行うことできる。
(耐食性皮膜の付着量:10〜50mg/m2
本発明に含まれる耐食性皮膜3の付着量が、CrまたはZr換算値で10mg/m2より少なくなると、アルミニウム素板2の全面を均一に被覆することができず、耐食性の確保が難しくなって電子機器用アルミニウム板1として長期間の使用に耐えられなくなる。なお、この耐食性皮膜3の主成分たるCrまたはZrは金属元素であるので、これらの耐食性皮膜3がアルミニウム素板2を覆うことによる導電性低下は無い。したがって耐食性皮膜3が本発明に含まれる樹脂皮膜4の表面に露出するようにすれば、本発明に係る電子機器用アルミニウム板1の導電性を高い状態で確保できる。
また、50mg/m2を超えると、導電性は確保されるものの、プレスによる成形加工等において耐食性皮膜3自体に割れ(剥離)が生じ、長期間に渡って高い耐食性を維持することが難しくなるという問題が生じる。このため、本発明では、耐食性皮膜3の付着量を、CrあるいはZr換算値で10〜50mg/m2、より望ましくは15〜30mg/m2の範囲に規制する。
[樹脂皮膜]
本発明に含まれる樹脂皮膜4は、電子機器用アルミニウム板1に優れた耐疵付き性、および耐指紋性等の諸特性を付与するために設けられるものである。そして、本発明では、優れた耐疵付き性、および耐指紋性と同時に高い導電性を具備させるべく、樹脂皮膜4の平均膜厚を所定の範囲に規制している。
(樹脂皮膜の平均膜厚:0.05〜0.9μm)
すなわち、樹脂皮膜4の平均膜厚が0.05μm未満では、耐疵付き性、耐指紋性に劣り、また、潤滑性も充分でないため、成形加工が難しくなる。そして、樹脂皮膜4の平均膜厚が0.9μmを超えると、アルミニウム素板2の表面粗さが粗い場合でも、樹脂皮膜4がアルミニウム素板2の素地または耐食性皮膜3をほとんど全て覆い隠すため、後記する表面抵抗値が非常に高くなって導電性が適切に確保されなくなる。このため、本発明では、樹脂皮膜4の平均膜厚を0.05〜0.9μmの範囲に規定する。
また、樹脂皮膜4は、成形性の観点からアルミニウム素板2の変形に比較的追従し易く、かつ、高いガラス転移温度(30℃よりも高い温度)を有する樹脂である。かかる樹脂としては、ポリエステル系樹脂(但し、ポリエチレンテレフタレートを除く)を用いるのが最も好ましいが、ウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂およびビニル系樹脂を用いることも可能である。なお、これらの樹脂を適宜混合して用いることも可能である。
(ガラス転移温度:30℃よりも高い温度)
ガラス転移温度が高くなるほど樹脂の硬度が高くなり、摩耗粉による切削作用を受け難くすることができることから、アブレシブ摩耗に起因する疵の発生防止を図ることができる。したがって、本発明ではガラス転移温度を30℃よりも高い温度であることを必要とし、より望ましくは35℃以上、さらに望ましくは40℃以上とする。
(樹脂皮膜の形成方法)
また、樹脂皮膜4の形成方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、生産性の観点からコイル状のアルミニウム素板2の上に連続的に耐食性皮膜3を形成し、その上に液体状の樹脂を塗布することができるロールコート法を用いるのが望ましい。この場合、ロールコーターによって塗布された液体状の樹脂は、連続式のオーブン内部を通過する際に焼付けが行われて樹脂皮膜4となる。
このとき、樹脂皮膜4は、耐食性皮膜3の上に塗布された当初は液体状であるため、まず、アルミニウム素板2の表面粗さをある程度反映している耐食性皮膜3の表面の凹部に優先的に充填され、引き続き行われる焼付け処理によって、より硬質な皮膜に形成される。
そして、ロールコート法では、予め耐疵付き性、導電性等の諸特性と、樹脂皮膜4の平均膜厚、アルミニウム素板2の表面粗さ(中心線平均粗さRa)並びに耐食性皮膜3の付着量(CrまたはZr換算値)の関係を求めておけば、これらの関係に基づいて、所望の諸特性等が得られるように、樹脂皮膜4の膜厚や耐食性皮膜3の付着量を適宜コントロールすることができる。また、本発明では、樹脂皮膜4の平均膜厚は、この樹脂皮膜4が形成された部分の面積およびその樹脂量と樹脂の比重から比較的容易に求めることができる。
(全樹脂皮膜量に対する潤滑剤の含有量:1〜25質量%)
本発明に含まれる潤滑剤は、電子機器用アルミニウム板1の成形性を向上させ、結果的に耐疵付き性を向上させる作用を有する。潤滑剤の量が、全樹脂皮膜4の量に対して1質量%未満であると充分な潤滑性が得られなくなり、プレスによる成形加工を施した際に成形品の一部が局部的に変形して、樹脂皮膜4にくびれや割れ(剥離)が発生する原因となり、延いては耐疵付き性が劣ることになる。
また、潤滑剤の量が、全樹脂皮膜量に対して25質量%を超えると潤滑性向上の効果は飽和する一方、樹脂皮膜4の造膜性が低下して耐疵付き性を低下させる原因となったり、プレスによる成形加工の際に一部で剥離した樹脂皮膜4の剥離物(かす)がプレスの金型の内部に堆積して電子機器用アルミニウム板1の成形加工時に悪影響を及ぼすこととなる。したがって、本発明では、全樹脂皮膜量に対する潤滑剤の含有量を1〜25質量%、より好ましくは1〜15質量%の範囲に規定する。
潤滑剤としては、成形性の向上と経済性とを適度に調和させる観点から、フッ素系ワックスやポリアルキレン系ワックスを用いることが望ましい。フッ素系ワックスとしては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を好適に例示することができ、ポリアルキレン系ワックスとしては、ポリエチレンワックスを好適に例示することができる。しかし、本発明で用いることのできる潤滑剤はこれに限定されることはなく、マイクロクリスタリンワックス、ラノリンワックス、カルナウバワックス、パラフィンワックス、グラファイト等を用いることも可能であり、さらに、これらの潤滑剤を適宜混合して用いることも可能である。
なお、潤滑剤を添加したときのアルミニウム素板2との接着強度が、当該潤滑剤を添加しないときの接着強度の80%以上であるのが好ましい。潤滑剤を添加したときの接着強度を適切に規定すれば、プレス加工の際に金型と摺動しても樹脂皮膜4が剥がれることがない。また、凝着摩耗に起因する疵の発生を効果的に抑制することができる。したがって、優れた耐疵付き性を維持することができるほか、成形品とした後もその表面は樹脂皮膜4でコーティングされているため、高い耐指紋性を有することが可能である。
(アルミニウム素板の凸部または耐食性皮膜の凸部の樹脂皮膜表面への露出)
本発明に係る電子機器用アルミニウム板1では、電子機器の部材に適用する際に、この電子機器用アルミニウム板1とアースとの接点における導電性を適切に確保すべく、微細な凹凸を有するアルミニウム素板2の凸部または耐食性皮膜3の凸部を樹脂皮膜4の表面に露出させることを必要とする。そして、アルミニウム素板2の凸部または耐食性皮膜3の微細な凸部を樹脂皮膜4の表面に露出させる度合い(分散度)は、基本的には、アルミニウム素板2の中心線平均粗さRaと、樹脂皮膜4の平均膜厚との関係を適宜調整することによって行われる。
そして、このようにアルミニウム素板の凸部または耐食性皮膜の凸部の樹脂皮膜表面への露出を適切に行うと、本発明に係る電子機器用アルミニウム板1は、後記する表面抵抗値を適切に規制することができる。後記するように、表面抵抗値は、100Ω以下とするのが好ましく、10Ω以下とするのがより好ましく、1Ω以下とするのが最も好ましい。ただし、使用される部位によっては導電性は必ずしも必要でない場合もあるため、これに限定されることはなく、表面抵抗値が100Ωを超えた場合であっても電子機器用アルミニウム板1として用いることができることはいうまでもない。
[樹脂皮膜が形成された側の表面の動摩擦係数:0.2以下]
本発明に係る電子機器用アルミニウム板1では、樹脂皮膜4が形成された側の表面の動摩擦係数を0.2以下とすることが必要である。動摩擦係数が0.2を超えると、プレスの金型と電子機器用アルミニウム板1との間に働く摩擦力が強くなるので、プレスによる成形加工の際に、摺動時に金型と樹脂皮膜4との凝着が起き易くなり、耐疵付き性が劣化する。
なお、かかる動摩擦係数は、例えば、バウデン試験法によって測定するのが好ましい。バウデン試験法は、図2の説明図に示すバウデン試験機6を用いて動摩擦係数を測定する。本試験法では測定環境温度や荷重などの条件を自由に変更することが出来るが、これらの条件が変わると摩擦係数の数字が変化する。したがってここでは、当該試験を行うにあたって測定環境温度は、25±5℃、好ましくは25±3℃とする。そして、十分に脱脂された直径4.8mm(3/16インチ)鋼球61を用いて2N(200gf)の垂直荷重を加え、200mm/分の速度で移動させたときの動摩擦係数を測定する。また測定時に潤滑油やワックスなどは塗布しない。
かかる試験条件の下、動摩擦係数が0.2以下であると、本発明で所望する潤滑性を有する電子機器用アルミニウム板1とすることができる。したがって、本発明では、樹脂皮膜4が形成された側の表面の動摩擦係数を0.2以下、より望ましくは0.15以下とする。
[鉛筆硬度:3H以上]
本発明に係る電子機器用アルミニウム板1では、樹脂皮膜4が形成された側の表面の鉛筆硬度を3H以上とすることが必要である。鉛筆硬度が3H未満であると、樹脂皮膜4の硬度が十分ではなく、連続成形の際に摩耗粉によるアブレシブ摩耗を受けて、耐疵付き性が低下する。
鉛筆硬度の測定は、JIS K5600−5−4:1999に規定される塗料一般試験方法−第5部:塗料の機械的性質−第4節:引っかき硬度(鉛筆法)に準じて行うのが好ましい(JIS K5400:1990に準拠してもよい)。なお、当該試験を行うにあたって測定環境温度は、25±2℃、好ましくは25℃とする。また、測定荷重により結果が変わるので、本発明では、1000gとする。
かかる試験条件の下、その鉛筆硬度が3H以上であると、本発明で所望する硬度を有する樹脂皮膜4とすることができ、延いては耐疵付き性に優れた電子機器用アルミニウム板1とすることができる。したがって、本発明では、鉛筆硬度を3H以上、より望ましくは4H以上とする。
[表面抵抗値:100Ω以下]
さらに、本発明に係る電子機器用アルミニウム板1では、後記するような方法で測定される表面抵抗値を100Ω以下とすることが好ましい。すなわち、表面抵抗値が100Ωを超える電子機器用アルミニウム板1を電子機器に適用した場合には、電磁波等に起因するノイズを完全に除去することが困難となる。特に、電子機器がCD−ROM等の光ドライブ装置である場合には、書き込みまたは再生エラーなどの誤動作が誘発され易くなり、また、電子機器が液晶ディスプレーである場合には、画像ノイズなどの誤動作が発生し易くなる。このため、本発明では、表面抵抗値を100Ω以下、より望ましくは10Ω以下、さらに望ましくは1Ω以下に規定することが好ましい。
本発明で表面抵抗値を100Ω以下とするには、本発明で規定するアルミニウム素板2の中心線平均粗さRaの範囲内(0.2〜0.6μm)および樹脂皮膜4の平均膜厚の範囲内(0.05〜0.9μm)で、アルミニウム素板2の中心線平均粗さRaおよび樹脂皮膜4の平均膜厚を適宜調整すればよい。さらに、本発明に係る電子機器用アルミニウム板1では、中心線平均粗さRaを有するアルミニウム素板2に対して、樹脂皮膜4を適宜な均一性で形成することにより、このアルミニウム素板2の微細な凹凸に沿って形成された耐食性皮膜3の凸部が、所望の度合い(分散度)で樹脂皮膜4の表面に露出するので、100Ω以下の表面抵抗値とすることができる。
なお、表面抵抗値に影響を及ぼす要因としては、アルミニウム素板2の中心線平均粗さRaおよび樹脂皮膜4の平均膜厚の他にも、樹脂の種類、潤滑剤の種類や量等が挙げられる。そのため、アルミニウム素板2の中心線平均粗さRa、樹脂皮膜4の平均膜厚と合わせて、これらの要因を適宜調製することで所望の表面抵抗値に微調整することが可能である。
(表面抵抗値の測定)
本発明に係る電子機器用アルミニウム板1を特定する表面抵抗値は、次のような方法によって測定することができる。図3は、表面抵抗値の測定方法の一例を模式的に示す図である。この表面抵抗値の測定方法は、テスター11の端子の一方を、電子機器用アルミニウム板1の表裏面あるいは端面で、サンドペーパー等を用いた研磨によって耐食性皮膜3および樹脂皮膜4が除去されたアルミニウム素板2に接続し(図3では電子機器用アルミニウム板1の裏面に接続している)、テスター11の端子の他方を、先端部が半径10mmの略球形状に形成された球状端子を有する金属製の測定棒12を介して、電子機器用アルミニウム板1の樹脂皮膜4の測定箇所に接続して行うことができる。なお、この金属製の測定棒12は、導電性に優れる真鍮や銅、アルミニウム等で構成することができるが、表面に自然酸化膜を生じる金属を測定に用いる場合は、表面抵抗値の測定ばらつきを抑えるため、測定前に金属製の測定棒12の表面を予めサンドペーパー等で研磨して、この自然酸化膜を充分に除去しておくことが望ましい。なお測定棒の先端部を球状にしているのは、樹脂皮膜4に穴があいて、測定棒12がアルミニウム素板2に直接接触してしまうのを防ぐ目的である。
そして、金属製の棒12の先端部に備えられた球状端子を、一定荷重で圧力を加えることにより抵抗値の測定が可能である。ただし荷重が変わると抵抗値が変わるため、本発明では0.4N(40gf)の荷重で、電子機器用アルミニウム板1の樹脂皮膜4の測定箇所に押し付け、この状態で電子機器用アルミニウム板1の表面抵抗値を測定する。
なお、本発明で規制する範囲の表面粗さを有するアルミニウム素板2に、本発明で規制する範囲の付着量を有する耐食性皮膜3および本発明で規制する範囲の膜厚を有する樹脂皮膜4を形成した際に、導体であるアルミニウム素板2の素地または耐食性皮膜3が、樹脂皮膜4の表面に適度に露出するように構成することが可能なため、低い表面抵抗値を得ることができる。このとき、表面抵抗値が100Ω以下であれば、アルミニウム素板2に耐食性皮膜3および樹脂皮膜4が順次形成された電子機器用アルミニウム板1にアースを設ける際に、このアース用接触端子と電子機器用アルミニウム板1との接点で適切に導電性を確保することができる。
しかし、アルミニウム素板2の表面粗さ、すなわちその中心線平均粗さRaが本発明で規制する範囲よりも小さく、樹脂皮膜4の平均膜厚が本発明で規制する範囲よりも厚い場合、つまり、樹脂皮膜4がアルミニウム素板2を略完全に被覆するように構成された条件の下では、表面抵抗値は非常に高くなり、本発明を電子機器に適用したときに、外部で発生した電磁波ノイズを充分に除去することが困難となるため、例えばドライブ装置においては、書き込みや再生エラーなどの不具合が誘発され易くなり、あるいは、液晶ディスプレーにおいては、画像ノイズ等の不具合が発生し易くなる。
[電子機器用成形品]
そして、前記した本発明に係る電子機器用アルミニウム板を用いた電子機器用成形品としては、例えば、図4(a)の斜視図に示すような、ノートパソコンに搭載されるスリム型CD−ROMドライブに用いられるカバーとする他、液晶バックライト背面板とすることなどを挙げることが出来る。これら電子機器用成形品を成形するには、まず、本発明に係る電子機器用アルミニウム板を所定の形状を有するプレス機用の金型にセットし、プレス機によって所定圧力でプレス加工すればよい。なお、本発明に係る電子機器用成形品としてはこれらに限定されるものではなく、種々の電子機器に用いる成形品に適用できることは言うまでもない。また部品によっては導電性は必ずしも必要ではない。
次に、本発明に係る電子機器用アルミニウム板1を完成するために行った種々の実験例を元に、当該電子機器用アルミニウム板1の効果を説明する。
本発明に係る電子機器用アルミニウム板1の検討にあたり、試験材として使用したアルミニウム板は、合金番号A5182−H34の板厚0.4mm材を使用し、耐食性皮膜の形成としてリン酸クロメート処理を施した。リン酸クロメート処理の条件はクロム付着量で20mg/m2とした。また、使用したアルミニウム板の機械的性質は引張強さ330MPa、耐力240MPa、伸び12%であった。
このアルミニウム板に、表1に記載する、樹脂系、樹脂の主剤の分子量、ガラス転移温度が既知である5種類の樹脂(例えば、日本ペイント製フレキコートシリーズ)を塗装することにより、下記表1に記載する試験材1〜試験材5を作製した。また、樹脂には潤滑剤として、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE;例えば、喜多村社製KD600)を1質量%含有した。樹脂の塗装はロールコート法により行い、塗布量で0.8g/m2(厚さ約0.8μm)とした。塗装の焼付けは、素材到達温度230℃で30秒間処理することで行った。
Figure 0004482364
このようにして作製した5種類の試験材1〜試験材5を使用して、まず、後記する曲げ加工疵に対する耐疵付き性の評価、および、スクラッチ疵に対する耐疵付き性の評価を行った。なお、本実施例では耐疵付き性とガラス転移温度との関係を明確にするため、樹脂系をポリエステル系に固定し、ガラス転移温度の異なる樹脂を用いることとした。なお他の樹脂系の場合であっても同様の結果が得られることを確認している。
実施例について具体的に説明する前に、図4を参照して、プレスによる成形加工時に発生する加工疵についての説明をする。図4(a)は、ノートパソコンに搭載されるスリム型CD−ROMドライブの成形品5の斜視図、および、(b)は、(a)の矢印Aで示す方向から当該成形品5の側壁部51を観察した拡大写真であって、加工初期の加工疵の様子を示す。また、図4(c)は、(a)の矢印Aで示す方向から当該成形品5の側壁部51を観察した拡大写真であって、連続成形後の加工疵の様子を示す(倍率は図4(b)と同じである)。
図4(b)に示す加工初期の加工疵と、図4(c)に示す連続加工後の加工疵とでは、疵の状態が変化していることが分かる。そこで、かかる加工疵の状態の変化について検討するため、以下の評価を行った。
[1.曲げ加工疵に対する耐疵付き性の評価]
曲げ加工疵に対する耐疵付き性の評価は、剪断曲げ試験法により評価した。剪断曲げ試験法は、図5の説明図に示すように、挟持具K1,K2により各試験材(試験材1〜試験材5)を挟持し、それぞれの試験材に対しポンチPを摺動して曲げ加工を行うことで、プレスによる成形加工時に発生する加工疵の再現を試みた。すなわち、ポンチPによる曲げ加工は、各試験材について1往復摺動して曲げ加工したものと、各試験材を100枚ずつ用意して、それらをポンチPによって連続的に曲げ加工したものを用意した。なお、挟持具K2とポンチPとの間に生じる間隔(金型間隔)は、用いた試験材の板厚(0.4mm)に10%のクリアランスを加算した間隔とした。
そして、1往復摺動して曲げ加工を行った試験材1〜試験材5と、100枚を連続的に曲げ加工を行った試験材1〜試験材5の摺動面Sを目視観察し(図5のB方向から観察)、図5の写真に示す耐疵付き性評価基準を参考にして、各試験材に対する曲げ加工疵の度合いによって0点(劣)〜5点(優)の点数を付けて数値化し、耐疵付き性の評価を行った。同じ実験を5回行い、その平均値が1点以上の点数のついたものを合格とした。1点未満であると、疵が酷過ぎるために製品に適用することができないからである。結果および考察については後記する。
[2.スクラッチ疵に対する耐疵付き性の評価]
スクラッチ疵に対する耐疵付き性の評価は、バウデン試験法によって動摩擦係数を求めるとともに、その疵付き性について評価することとした。スクラッチ疵の疵付き性は、図2に示すバウデン試験機6(駆動摩擦摩耗試験機)を用いて、25℃の測定温度条件下、十分に脱脂された直径4.8mm(3/16インチ)の鋼球61を、2N(200gf)の垂直荷重を加えつつ試験材1〜試験材5の表面に押し当て、200mm/分の速度で所定回数(1往復または10往復)摺動させた。このように所定回数摺動することで、スクラッチ疵についても曲げ加工疵の場合と同様に連続摺動が加わった場合の耐疵付き性の再現を試みた。
そして、1往復摺動した試験材1〜試験材5と、10往復摺動した試験材1〜試験材5のスクラッチ疵について目視観察を行い、図2の写真に示すスクラッチ疵評価基準を参考にして、各試験材に対するスクラッチ疵の度合いによって0点(劣)〜3点(優)の点数を付けて数値化し、耐疵付き性の評価を行った。同じ実験を5回行い、その平均値が1点以上の点数のついたものを合格とした。結果および考察については後記する。
[結果および考察]
前記の曲げ加工疵に対する耐疵付き性の評価、および、スクラッチ疵に対する耐疵付き性の評価をするにあたって、それぞれの評価において1往復摺動することで耐疵付き性を評価したものを「1往復摺動」と総称する。また、曲げ加工疵に対する耐疵付き性の評価において100枚を連続的に曲げ加工行ったものと、スクラッチ疵に対する耐疵付き性の評価において10往復摺動したものを「連続摺動」と総称する。
前記の曲げ加工疵に対する耐疵付き性の評価、および、スクラッチ疵に対する耐疵付き性の評価で数値化された試験材1〜試験材5の耐疵付き性に対するグラフを図6および図7に示す。図6は、樹脂のガラス転移温度に対する耐疵付き性をプロットしたグラフであって、(a)は、連続摺動における耐疵付き性を表すグラフであり、(b)は、1往復摺動における耐疵付き性を表すグラフである。
なお、黒いプロット(●)は、曲げ加工疵に対するプロットを示し、白いプロット(○)は、スクラッチ疵に対するプロットを示す。また、各プロットの中の数字は試験材の番号を表す。
図6(a)に示す連続摺動に関するグラフから、ガラス転移温度が30℃よりも高い本発明例である試験材2、試験材4および試験材5は、耐疵付き性の評価平均点が1点を超えており、合格という評価を得た。一方、ガラス転移温度が30℃以下となる比較例である試験材1(ガラス転移温度:0℃)と試験材3(ガラス転移温度:30℃)では、耐疵付き性の評価平均点が1点未満となり、不合格となった。また、このグラフからは樹脂のガラス転移温度が高くなるに連れて曲げ加工疵およびスクラッチ疵に対しても耐疵付き性が向上していることを確認することができる。すなわち、曲げ加工疵或いはスクラッチ疵を問わず、連続摺動の場合の耐疵付き性とガラス転移温度との間には相関関係があることが認められた。
一方、同図(b)に示す1往復摺動に関するグラフにおいては、試験材1〜試験材5のいずれもが評価平均点が1点以上となり、合格となった。樹脂のガラス転移温度と曲げ加工疵およびスクラッチ疵に対する耐疵付き性の間に明確な関係は認められなかった。
以上、曲げ加工疵に対する耐疵付き性の評価、および、スクラッチ疵に対する耐疵付き性の評価から、耐疵付き性を高めるためには疵の程度が軽い1往復摺動の(即ち加工初期の)耐疵付き性を向上するよりも、疵の程度が重い連続摺動の耐疵付き性を向上することの方が本来の目的にっていると言える。また、この連続摺動においては、樹脂のガラス転移温度が高いほど耐疵付き性が向上していることから、本発明の目的のためには樹脂のガラス転移温度を高くすることが重要になる。
次に、連続摺動と1往復摺動で挙動が異なる理由、連続摺動でガラス転移温度が高いほど耐疵付き性に優れる理由、および、1往復摺動で耐疵付き性に及ぼす因子を解明すべく、以下の考察と試験を行った。
[連続摺動と1往復摺動の加工疵の状態]
連続摺動と1往復摺動の加工疵の状態を比較した様子を図7に示す。図7は、連続摺動と1往復摺動の加工疵の状態を、顕微鏡写真とWYCO像とで表したものである。同図から、連続摺動の加工疵には、1往復摺動の加工疵では確認することのできない切削状の疵痕Cが存在していることが分かる。同時に今回実施した剪断曲げ試験法は、実際にCD−ROMなどの電子機器のカバーを連続成形したときに得られる、加工初期の疵および連続成形後の疵を良く再現していることも確認できた。なお、顕微鏡写真は、日本電子社製JSM−6340Fを使用して撮影した。また、WYCO像は、Veeco社製NT3300を使用して撮影した。
このことから、連続摺動の加工疵は、摩耗粉のような硬い微粒子が関与することで微小な切削作用が働いて起こるアブレシブ摩耗が原因であると判断することができる。一方、1往復摺動の加工疵は、摩耗粉のような硬い微粒子が関与せず、微視的な凝着や破壊に起因する凝着摩耗が原因であると判断することができる。
なお、アブレシブ摩耗と凝着摩耗とでは、加工疵の状態以外にも潤滑性に対する挙動が異なることが知られている。
[潤滑性に対する耐疵付き性の評価]
そこで、潤滑性に対する耐疵付き性の評価について、前記のバウデン試験法によって求めた動摩擦係数を元に評価し直した。図8に結果を示す。図8は、樹脂の摩擦係数に対する耐疵付き性をプロットしたグラフであって、(a)は、連続摺動における耐疵付き性を表すグラフであり、(b)は、1往復摺動における耐疵付き性を表すグラフである。図8の(a)に示す連続摺動に関するグラフからは、樹脂の動摩擦係数が低くなっても曲げ加工疵およびスクラッチ疵に対する耐疵付き性の向上は認められなかった。
一方、同図(b)に示す1往復摺動に関するグラフからは、樹脂の動摩擦係数が低くなる(すなわち、潤滑性が高くなる)ほど曲げ加工疵およびスクラッチ疵に対する耐疵付き性が向上することが認められた。
一般に、凝着摩耗は潤滑剤などによる潤滑性向上により低減させることができると言われているのに対し、アブレシブ摩耗は潤滑剤などによる潤滑性向上の影響を受けないと言われている。今回の結果はこの一般的な見解に沿う結果となっていることから、連続成形初期の耐疵付き性と連続成形が進んだ状況での耐疵付き性はそれぞれメカニズムが異なり、前者は凝着摩耗、後者がアブレシブ摩耗に起因する挙動であるという説明がさらに説得力のあるものであることが分かった。
[ガラス転移温度と耐疵付き性の評価]
連続摺動においてガラス転移温度が高いほど耐疵付き性に優れる理由としては、以下のように考察することができる。すなわち、アブレシブ摩耗では摩擦面の間に硬い固形粒子(例えば、摩耗粉)が介在するほど生じ易くなることから、電子機器用アルミニウム板の表面を十分に硬くすることで摩耗粉による切削を低減することができ、加工疵の発生を防止することができる。
そこで、確認のため試験材1〜試験材5における樹脂の硬度を鉛筆硬度で測定し、その測定結果と樹脂のガラス転移温度の関係を評価した。
鉛筆硬度は、JIS K5600−5−4:1999に規定される塗料一般試験方法−第5部:塗料の機械的性質−第4節:引っかき硬度(鉛筆法)に準じて行った(JIS K5400:1990に準拠してもよい)。なお、測定環境温度は25℃、測定荷重は、1000gとした。結果を図9に示す。図9は、ガラス転移温度(℃)に対する鉛筆硬度をプロットしたグラフである。
図9に示すグラフから、樹脂のガラス転移温度が高くなるにつれて鉛筆硬度も高くなることが確認できる。
[潤滑剤の含有量の検討]
次に、樹脂に含有する潤滑剤の量について検討を行った。潤滑剤としては、前記と同様、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE;喜多村社製KD600)を用いた。このPTFEを0〜30質量%含有させた樹脂皮膜を作製し、先に説明した1往復摺動による耐疵付き性に対する評価を行った。また、かかる検討にあたって使用した樹脂としては、ガラス転移温度が40℃である樹脂(日本ペイント製フレキコートシリーズ)を用いた。塗布方法はロールコート法により行い、塗布量は0.8g/m2(厚さ約0.8μm)とし、塗装の焼付けは、素材到達温度230℃で30秒間処理して行った。
評価の基準は、1往復摺動して曲げ加工を行った際の耐疵付き性について目視観察し(図5のB方向から観察)、図5の写真に示す耐疵付き性評価基準を参考にして、各試験材に対する曲げ加工疵の度合いによって0点(劣)〜5点(優)の点数を付けて数値化することで耐疵付き性の評価を行った。なお、同じ実験を5回行い、その平均点をプロットしたグラフを図10に示す。
図10は、潤滑剤の含有量に対する耐疵付き性を検討した結果を表すグラフである。図10に示すグラフから明らかなように、樹脂に1質量%のPTFEを加えることで耐疵付き性は著しく向上している。その後、耐疵付き性は、含有量が15質量%であるときをピークに徐々に減じ、25質量%を超えると耐疵付き性が劣る結果となることが確認できる。
[まとめ]
以上、一連の試験の結果、連続摺動での耐疵付き性は、曲げ加工疵、スクラッチ疵ともに皮膜(樹脂)のガラス転移温度と相関があり、ガラス転移温度が高いほど耐疵付き性が向上した。これはガラス転移温度が高くなるほど皮膜が硬くなり、摩耗粉による切削受け難くなったためと考えられる。このような現象は摩擦面の間に摩耗粉という異物を介在させた、アブレシブ摩耗という摩耗現象で説明が出来る。
また、1往復摺動での耐疵付き性は、曲げ加工疵およびスクラッチ疵ともに樹脂のガラス転移温度との間では明確な関係は認められなかったが、皮膜物性の一つである潤滑性とは相関があり、摩擦係数が低くなるほど耐疵付き性が向上する傾向が認められた。このような現象は、摩擦面の間に介在物が存在しない凝着摩耗という摩耗現象で説明が出来る。
さらに、1往復摺動と連続摺動とで挙動が変化するのは連続成形が進むに連れて摩耗粉の発生により耐疵付き性の挙動が凝着摩耗からアブレシブ摩耗に変化することが分かった。
先にも述べた様に、耐疵付き性を高めるためには疵の程度が軽い1往復摺動の(即ち加工初期の)耐疵付き性を向上するよりも、疵の程度が重い連続摺動の耐疵付き性を向上することの方が本来の目的にっており、この連続摺動においては、樹脂のガラス転移温度が高いほど耐疵付き性が向上していることから、本発明の目的のためには樹脂のガラス転移温度を高くして、樹脂皮膜の硬度を高めることが最も重要な考え方になると言える。
これまで耐疵付き性の向上を試みた先行発明は存在するが、本発明の様に連続成形初期と連続成形後の疵付きメカニズムの相違を明確にし、それぞれのメカニズムに応じた対処が明示されており、成形初期の疵に対しても連続成形後の疵に対しても優れた耐疵付き性を付与する発明は過去において認められない。したがって、連続成形によって製造される箱形成形品の性能向上に対して、本発明は優れた貢献が出来るものと確信する。
本発明に係る電子機器用アルミニウム板の構成を模式的に示す断面図である。 スクラッチ疵に対する耐疵付き性の評価を説明する説明図である。 表面抵抗値の測定方法の一例を模式的に示す図である。 (a)は、ノートパソコンに搭載されるスリム型CD−ROMドライブの成形品の斜視図、(b)は、(a)の矢印Aで示す方向から成形品の側壁部を観察した拡大写真であって、加工初期の加工疵の様子を示し、(c)は、(a)の矢印Aで示す方向から成形品の側壁部を観察した拡大写真であって、連続成形後の加工疵の様子を示す。 曲げ加工疵に対する耐疵付き性の評価を説明する説明図である。 樹脂のガラス転移温度に対する耐疵付き性をプロットしたグラフであって、(a)は、連続摺動における耐疵付き性を表し、(b)は、1往復摺動における耐疵付き性を表す。 連続摺動と1往復摺動の加工疵の状態を、顕微鏡写真とWYCO像とで表したものである。 樹脂の摩擦係数に対する耐疵付き性をプロットしたグラフであって、(a)は、連続摺動における耐疵付き性を表し、(b)は、1往復摺動における耐疵付き性を表す。 ガラス転移温度(℃)に対する鉛筆硬度をプロットしたグラフである。 潤滑剤の含有量に対する耐疵付き性を検討した結果を表すグラフである。
符号の説明
1 電子機器用アルミニウム板
2 アルミニウム素板
3 耐食性皮膜
4 樹脂皮膜

Claims (5)

  1. 中心線平均粗さRaが0.2〜0.6μmであるアルミニウム素板の少なくとも片面に、このアルミニウム素板側から順に耐食性皮膜と樹脂皮膜(但し、ポリエチレンテレフタレートを用いた樹脂皮膜を除く)とを積層して形成された潤滑表面を有し、かつ、前記アルミニウム素板、または前記耐食性皮膜が形成された表面の微細な凸部が前記樹脂皮膜の表面に露出しており、摩耗粉によるアブレシブ摩耗に起因する疵の発生を防止することのできる電子機器用アルミニウム板であって、
    前記耐食性皮膜は、CrまたはZrを含有し、かつ前記アルミニウム板への付着量がCrまたはZr換算値で10〜50mg/m2であり、
    前記樹脂皮膜は、平均膜厚を0.05〜0.9μm、かつ、全樹脂皮膜量に対して1〜25質量%の潤滑剤を含有し、
    前記潤滑表面の動摩擦係数を0.2以下とし、
    前記樹脂皮膜のガラス転移温度を30℃よりも高くするとともに前記潤滑表面の鉛筆硬度を3H以上とした
    ことを特徴とする電子機器用アルミニウム板。
  2. 前記樹脂皮膜が、ポリエステル系樹脂(但し、ポリエチレンテレフタレートを除く)よりなることを特徴とする請求項1に記載の電子機器用アルミニウム板。
  3. 前記潤滑表面に、先端が半径10mmの金属製球状端子を、0.4Nの荷重で押付けたときの前記球状端子と前記アルミニウム素板との間の表面抵抗値が100Ω以下であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電子機器用アルミニウム板。
  4. 前記潤滑剤が、ポリアルキレン系ワックスおよびフッ素系ワックスのうち少なくとも一種を含むことを特徴とする請求項1から請求項3に記載の電子機器用アルミニウム板。
  5. 請求項1から請求項4のうちいずれか一項に記載の電子機器用アルミニウム板を用いて成形したことを特徴とする電子機器用成形品。
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