JP2002257101A - 旋回駆動用油圧装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】低速旋回性能が良好で起動・停止制御も的確に
行える旋回駆動用油圧装置を提供する。 【解決手段】原動機２により駆動された可変容量型の油
圧ポンプ１の吐出回路３に油圧モータ４を開回路６によ
り接続し、該油圧モータに旋回体を接続した油圧装置に
於いて、該油圧ポンプに旋回コントローラ１４の操作量
に応じて吐出量を変化させる吐出量制御装置１２を設
け、該油圧モータに該操作量に応じて該油圧モータの排
出側の圧力を制御する圧力制御装置１０を設けた。旋回
コントローラの操作量の増大で吐出量が増大するように
吐出量制御装置が作動すると同時に排出側の圧力を低く
するように圧力制御装置が作動する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、主として大重量物
を吊り上げての旋回駆動に適した油圧装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、例えば２００トンを超える重量物
を吊り上げる大型クレーンの旋回装置として、図１に示
したように、出力一定型可変吐出量ポンプからなる旋回
用の油圧ポンプａと油圧モータｂを開回路ｃにより接続
し、該開回路ｃに介在させた流量制御機能付き方向切換
弁ｄを、通常はアクセルペダル又はジョイスティックレ
バーで構成されるコントローラｅにより操作し、重量物
を吊り上げたクレーンを該油圧モータｂで旋回制御する
ものが知られている。この場合、回路ｃには、暴走防止
用としてカウンターバランス弁ｆを回路ｃの吐出側と戻
り側の両方に挿入しておくのが一般的である。

【０００３】また、旋回用の油圧モータを閉回路にて旋
回駆動することも行われており、この場合は方向切換弁
は不要であるが、比較的高価な両吐出型の油圧ポンプを
使用することになり、旋回用油圧モータが大型である場
合は、複数台の油圧ポンプを設けることになり、ポンプ
の制御方法が難しくなる。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】上記のように開回路に
旋回用の油圧モータを設けて制御すれば、閉回路で構成
する場合よりも装置は安価になる利点はあるが、方向切
換弁ｄによる流量制御で速度を制御し、油圧モータｂの
一次側の圧力・流量を制御しているので、油の圧縮性の
影響を受ける欠点があった。すなわち、コントローラｅ
を僅かに油圧モータｂの加速側に操作して低速作動を行
ったときの油圧モータの低速加速安定性が悪く、コント
ローラｅを僅かに減速側に戻したときの低速減速安定性
も悪く、低速連続運転時の発熱量が大きいという不都合
がある。更に、コントローラｅを油圧モータｂを減速さ
せる操作したときは減速性能が悪く、油圧モータｂを停
止させるようにコントローラｅを操作したときの油圧モ
ータの停止位置の精度も悪く、油圧モータｂを急停止さ
せたときには停止揺れ戻しが生じる不都合もあった。

【０００５】この停止時の揺れ戻しを防止するため、図
２のように揺れ戻し防止弁ｇ、ｇを設けることも提案さ
れているが、低速加速安定性などの性能は改善されな
い。

【０００６】本発明は、低速旋回性能が良好で起動・停
止制御も的確に行える旋回駆動用油圧装置を提供するこ
とを目的とするものである。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本発明では、原動機によ
り駆動された可変容量型の油圧ポンプの吐出回路に油圧
モータを開回路により接続し、該油圧モータに旋回体を
接続した油圧装置に於いて、該油圧ポンプに旋回コント
ローラの操作量に応じて吐出量を変化させる吐出量制御
装置を設け、該油圧モータに該操作量に応じて該油圧モ
ータの排出側の圧力を制御する圧力制御装置を設けるこ
とにより、上記の目的を達成するようにした。該旋回コ
ントローラの操作量を増大させると、該吐出量の増大を
もたらすように吐出量制御装置が作動すると同時に該排
出側の圧力を低くするように該圧力制御装置が作動する
ことで、上記目的は的確に達成でき、該圧力制御装置を
電気制御式のリリーフ弁で構成する。

【０００８】

【発明の実施の形態】図面に基づき本発明の実施の形態
を説明すると、図３に於いて、符号１は内燃機関などの
原動機２により駆動された可変容量型の油圧ポンプ、符
号３は該油圧ポンプ１の吐出回路を示す。該吐出回路３
は、分岐回路７ａ、７ｂ及びタンク戻り回路８とで定容
量型の油圧モータ４を介してタンク５に至る開回路６を
構成し、各分岐回路７ａ、７ｂにソレノイド旋回方向切
換弁９ａ、９ｂを介在させた。該旋回方向切換弁９ａ、
９ｂは、旋回方向リミットスイッチ信号により旋回方向
を切り換えると同時に、左右どちらかの電磁比例型のリ
リーフ弁１０ａ、１０ｂを選択する。該タンク戻り回路
８は、各旋回方向切換弁９ａ、９ｂと油圧モータ４の間
の分岐回路７ａ、７ｂから分岐してタンク５へと連なる
ように設けられ、その分岐部に排出側の圧力を制御する
圧力制御装置である電磁比例型のリリーフ弁１０ａ、１
０ｂが介在される。該油圧モータ４は、クレーンの旋回
装置などの旋回体（図示してない）に接続される。

【０００９】該可変容量型の油圧ポンプ１は、パイロッ
ト圧力源から延びるパイロット回路１１の圧力と吐出回
路３の圧力で作動する吐出量制御装置１２を備え、該吐
出回路３の圧力が増減したり、該パイロット回路１１の
圧力が電磁比例リリーフ弁１３により増減されると、該
油圧ポンプ１の出力が一定になるように吐出量が減少増
加し、最大圧力になるとカットオフ作動をするようにし
た。

【００１０】各リリーフ弁１０ａ、１０ｂ、１３は、旋
回コントローラ１４から出力されるレバー１４ａの操作
量に応じた電気信号により作動されるが、その操作量
（操作角）が図４（ａ）に示すように大きいときは、パ
イロット回路１１の圧力を高くするようにリリーフ弁１
３が作動し、その結果、吐出量制御装置１２が図４
（ｂ）に示すようにポンプ吐出量を多くするように作動
すると共に、戻り回路８の各リリーフ弁１０ａ、１０ｂ
のうち切換弁９ａ又は９ｂが閉じている側の分岐回路７
ａ又は７ｂに属するリリーフ弁の設定圧力を図４（ｃ）
のように低減させる制御作動を行う。

【００１１】各リリーフ弁がこのような制御作動を行う
ことで、レバー１４ａを微小な角度で操作したときは、
その角度に比例したポンプ吐出量が吐出回路３に吐出さ
れると同時にその角度に反比例して油圧モータ４の排出
側の分岐回路７ａ又は７ｂの圧力が低下し、その結果、
油圧モータ４の前後に差圧が生じて低速で旋回する。こ
のとき、油圧モータ４の押し込み側は最大圧力（負荷圧
力）の状態にあるので、油バネすなわち押し込み側の作
動油の状態は圧縮された状態になり、系として剛性があ
るので安定した旋回が行われる。

【００１２】また、レバー１４ａを微小に戻した場合
は、パイロット回路１１の圧力が下降してポンプ吐出量
が微小に減少すると同時に、油圧モータ４の排出側のリ
リーフ弁の設定圧力が上昇し、スムースに旋回中の油圧
モータ４にブレーキ作動を与えることができ、この時も
油圧モータ４の押し込み側と排出側が高圧状態に保持さ
れているので、系として剛性があり、安定した旋回が行
える。

【００１３】油圧モータ４が低速で連続運転されている
ときは、従来の場合は流量制御機能付き切換弁の位置で
流量を絞っているため、微速のときほど作動油の発熱量
が大きくなるが、本発明のものではポンプ吐出量を直接
コントロールしているため、発熱量を最小に抑えること
ができる。

【００１４】該レバー１４ａを操作位置から中立位置へ
戻したとき、従来の場合は、カウンターバランス弁によ
り大流量から小流量へスムースに制御することは非常に
難しいが、本発明のものでは、内部パイロット型などの
単純なリリーフ弁１０ａ、１０ｂで制御するので、パイ
ロット圧力の立ち上がりや立ち下がりをアンプなどで制
御して簡単に制御できる。また該レバー１４ａの操作に
より停止位置制御する時は、ポンプ吐出量が最小（吐出
回路の圧力を最大に保持するだけの吐出量）になり、油
圧モータ４の排出側のブレーキ用のリリーフ弁は該排出
側を最大設定圧にまで昇圧させることになるが、油圧モ
ータ４の停止までの減速時間は、ポンプ吐出量の可変時
間及びリリーフ弁１０ａ、１０ｂの圧力立ち上がり時間
をアンプのディレイ時間を最適値に設定することで容易
に変更できる。

【００１５】更に、該レバー１４ａを急激に操作位置か
ら中立位置へ戻したときは、前述のように系として剛性
が高くなるようになっているので、油圧モータ４の揺れ
戻しは殆ど生じない。

【００１６】該レバー１４ａが右旋回操作された場合を
考えると、旋回コントローラ１４により操作側判別リミ
ットスイッチが働き、旋回方向切換弁９ａのソレノイド
ＳＯＬ−１が励磁され、これと同時に油圧ポンプ１の吐
出量が電磁比例リリーフ弁１３により最小流量から増加
し、レバー１４ａの操作量に比例した値になる。これに
より油圧モータ４の右旋回側ポートに圧油が流入し、右
旋回を始める。油圧モータ４の旋回に伴い排出側から吐
き出された作動油は、該コントローラ１４からレバー１
４ａの操作量に反比例した指令が入力された電磁比例型
のリリーフ弁１０ｂの一次側ポートへ流入する。該リリ
ーフ弁１０ｂはレバー１４ａの操作量が大きくなればな
るほど圧力が下がり、結果として油圧モータ４の差圧が
増加し、旋回トルクが大きくなり、かくてレバー１４ａ
の操作量により旋回速度と旋回トルクの両方が制御され
る。加速・減速の最適値は、コントローラ１４内の比例
弁アンプのランプ時間の調整で容易に変更できる。

【００１７】

【発明の効果】以上のように本発明によれば、開回路に
より可変容量油圧ポンプに旋回用油圧モータを接続し、
旋回コントローラの操作量に応じて該ポンプの吐出量制
御装置を作動してその吐出量を変化させると共に該油圧
モータの排出側の圧力を圧力制御装置で制御したので、
低速旋回性能が良好で起動・停止制御も的確に行えて揺
れ戻しも殆ど発生しない旋回駆動用油圧装置が得られる
等の効果があり、該圧力制御装置を電気制御式のリリー
フ弁で構成することで安価に製作できる効果がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】従来の旋回駆動用油圧装置の線図

【図２】他の従来の旋回駆動用油圧装置の線図

【図３】本発明の実施の形態を示す線図

【図４】各部の制御状態の線図

【符号の説明】

１ 油圧ポンプ、２ 原動機、３ 吐出回路、４ 油圧
モータ、５ タンク、６開回路、７ａ・７ｂ 分岐回
路、８ タンク戻り回路、１０ａ・１０ｂ・１３リリー
フ弁（圧力制御装置）、１１ パイロット回路、１２
吐出量制御装置、１４ 旋回コントローラ、１４ａ レ
バー、

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】原動機により駆動された可変容量型の油圧
   ポンプの吐出回路に油圧モータを開回路により接続し、
   該油圧モータに旋回体を接続した油圧装置に於いて、該
   油圧ポンプに旋回コントローラの操作量に応じて吐出量
   を変化させる吐出量制御装置を設け、該油圧モータに該
   操作量に応じて該油圧モータの排出側の圧力を制御する
   圧力制御装置を設けたことを特徴とする旋回駆動用油圧
   装置。
2. 【請求項２】上記旋回コントローラの操作量の増大で上
   記吐出量が増大するように吐出量制御装置が作動すると
   同時に上記排出側の圧力を低くするように上記圧力制御
   装置が作動することを特徴とする請求項１に記載の旋回
   駆動用油圧装置。
3. 【請求項３】上記圧力制御装置を電気制御式のリリーフ
   弁で構成したことを特徴とする請求項１又は２に記載の
   旋回駆動用油圧装置。