JP2002257044A - 真空ポンプにおける軸封構造 - Google Patents

真空ポンプにおける軸封構造

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JP2002257044A JP2001054451A JP2001054451A JP2002257044A JP 2002257044 A JP2002257044 A JP 2002257044A JP 2001054451 A JP2001054451 A JP 2001054451A JP 2001054451 A JP2001054451 A JP 2001054451A JP 2002257044 A JP2002257044 A JP 2002257044A
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    • F04POSITIVE - DISPLACEMENT MACHINES FOR LIQUIDS; PUMPS FOR LIQUIDS OR ELASTIC FLUIDS
    • F04CROTARY-PISTON, OR OSCILLATING-PISTON, POSITIVE-DISPLACEMENT MACHINES FOR LIQUIDS; ROTARY-PISTON, OR OSCILLATING-PISTON, POSITIVE-DISPLACEMENT PUMPS
    • F04C27/00Sealing arrangements in rotary-piston pumps specially adapted for elastic fluids
    • F04C27/008Sealing arrangements in rotary-piston pumps specially adapted for elastic fluids for other than working fluid, i.e. the sealing arrangements are not between working chambers of the machine
    • F04C27/009Shaft sealings specially adapted for pumps

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Abstract

(57)【要約】 【課題】真空ポンプにおけるポンプ室への油洩れを防止
するためのラビリンスシールのシール機能を向上する。 【解決手段】リヤハウジング14に形成された嵌入孔4
7,48内における回転軸19,20には環状の軸封環
体49,50が嵌合して固定されている。軸封環体4
9,50の端面492,502と嵌入孔47,48の底
形成面472,482との間にはラビリンスシール5
7,58が設けられている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、回転軸の回転に基
づいてポンプ室内のガス移送体を動かし、前記ガス移送
体の動作によってガスを移送して吸引作用をもたらす真
空ポンプにおける軸封構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】特開昭60−145475号公報、特開
平3−89080号公報、特開平6−101674号公
報に開示される真空ポンプでは、隣合って2個で組をな
すロータが噛合した状態で回転される。噛合しながら回
転する2個のロータの回転動作は、ガスを移送する。ロ
ータの回転軸のうちの一方は、モータから駆動力を得て
おり、他方の回転軸は歯車機構を介して前記一方の回転
軸から駆動力を得ている。
【0003】歯車機構を収容するハウジング内には潤滑
油が貯留されており、この貯留油が歯車機構を潤滑す
る。この潤滑油がポンプ室へ洩れ出ないようにするた
め、特開昭60−145475号公報の装置では、歯車
機構を収容する伝動室と作業室(本願でいうポンプ室)
とを隔てる仕切り壁を貫通する回転軸とその貫通孔との
間にラビリンスシールが設けられている。特開平3−8
9080号公報の装置では、軸受室と真空排気室との間
に中間室を介在し、軸受室と中間室とを隔てる隔壁を貫
通する回転軸とその貫通孔との間に非接触シール(ラビ
リンスシール)が設けられている。特開平6−1016
74号公報の装置では、タイミングギヤの収容室とポン
プ室とを隔てるハウジング壁を貫通する回転軸とその貫
通孔との間にリップシール及びラビリンスシールが設け
られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】複数の環状溝を並べて
構成されるラビリンスシールによる軸封構造では、ラビ
リンスシールにおけるシール機能が経時的に低下するこ
とはない。ラビリンスシールにおけるシール機能の向上
は、前記環状溝の容積を増やすことによって対処でき
る。しかし、回転軸の周面と貫通孔との間のラビリンス
シールにおける前記環状溝の容積増加は、場所的に難し
い。
【0005】本発明は、真空ポンプにおけるポンプ室へ
の油洩れを防止するためのラビリンスシールのシール機
能を向上することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】そのために本発明は、回
転軸の回転に基づいてポンプ室内のガス移送体を動か
し、前記ガス移送体の動作によってガスを移送して吸引
作用をもたらす真空ポンプを対象とし、請求項1の発明
では、前記ポンプ室と隣接するように油存在領域を形成
するオイルハウジングと、前記オイルハウジングを貫通
して前記油存在領域に突出する前記回転軸の突出部位に
対し、一体回転可能に設けられた環状の軸封環体と、前
記軸封環体と前記オイルハウジングとの各々に対し、前
記軸封環体の半径方向の方向成分を有するように設けら
れたシール用対向面と、前記一対のシール用対向面の間
に設けられたラビリンスシールとを備えた軸封構造を構
成した。
【0007】ラビリンスシールは、回転軸に対して直交
する平面、あるいは回転軸上に中心軸を持つ円錐面に設
定領域を持つ。このような面に設定領域を持つラビリン
スシールのシール機能は、回転軸の周面に設定領域を持
つラビリンスシールに比べて向上する。
【0008】請求項2の発明では、請求項1において、
前記軸封環体を嵌入するように前記オイルハウジングに
形成された嵌入孔を備え、前記ラビリンスシールは、前
記軸封環体と前記嵌入孔の形成面との間に設けた。
【0009】嵌入孔と軸封環体との間の間隙を小さくす
れば、オイルハウジング側の油が嵌入孔と軸封環体との
間の間隙へ入り難くなる上、ラビリンスシールにおける
シール機能が向上する。
【0010】請求項3の発明では、請求項2において、
前記ラビリンスシールは、前記嵌入孔の底形成面に対向
する前記軸封環体の端面と、前記底形成面との間に設け
た。軸封環体の端面とオイルハウジングとの間は、ラビ
リンスシールの設定領域を半径方向へ拡張し易い。嵌入
孔の底形成面は、ラビリンスシールの設定領域として好
適である。
【0011】請求項4の発明では、請求項1乃至請求項
3のいずれか1項において、前記軸封環体は前記回転軸
に嵌合して固定されており、前記軸封環体と前記回転軸
との間にはシールリングが介在されており、前記シール
リングは、前記油存在領域側から前記ポンプ室側への前
記回転軸の周面に沿った油洩れを阻止するようにした。
【0012】軸封環体と回転軸とを別体とした構成は、
軸封環体の端面をラビリンスシールの設定領域とする上
で有利である。請求項5の発明では、請求項1乃至請求
項4のいずれか1項において、前記ラビリンスシールは
前記軸封環体と前記オイルハウジングとの間の極小間隙
を狭めるための樹脂層を備え、前記回転軸側と前記樹脂
層との間、及び前記オイルハウジング側と前記樹脂層と
の間の少なくとも一方で相対回転可能とし、前記軸封環
体は、前記嵌入孔に対向する対向面にポンピング手段を
備え、前記ポンピング手段は、前記回転軸の回転に伴
い、前記対向面と前記嵌入孔との間における油を前記ポ
ンプ室側から前記油存在領域側へ付勢するようにした。
【0013】回転軸側と樹脂層との間で相対回転可能な
場合、樹脂層と回転軸側との接触は、回転軸の回転に支
障をもたらさない。オイルハウジング側と樹脂層との間
で相対回転可能な場合、樹脂層とオイルハウジング側と
の接触は、回転軸の回転に支障をもたらさない。従っ
て、回転軸と前記オイルハウジングとの間の極小間隙
は、樹脂層の介在によって小さくできる。
【0014】ポンピング手段は、回転軸の回転に伴い、
軸封環体側の対向面とオイルハウジング側の嵌入孔との
間における油をポンプ室側から油存在領域側へ送り返
す。請求項6の発明では、請求項5において、前記対向
面は、前記嵌入孔の周面に対向する外周面とした。
【0015】軸封環体側の対向面とオイルハウジング側
の嵌入孔との間における油は、回転軸の回転に伴い、軸
封環体の外周面に沿ってポンプ室側から油存在領域側へ
送り返される。軸封環体の外周面は、ポンピング手段の
設定箇所として好適である。
【0016】請求項7の発明では、請求項5及び請求項
6のいずれか1項において、前記ポンピング手段は螺旋
溝であり、前記螺旋溝は、前記回転軸の回転方向に辿る
につれて前記油存在領域側から前記ポンプ室側へ移行し
てゆくようにした。
【0017】螺旋溝は、ポンピング手段として好適であ
る。請求項8の発明では、請求項1乃至請求項7のいず
れか1項において、真空ポンプの本体のハウジングの外
部へ前記ガスを吐出する吐出通路と、前記吐出通路に連
なるポンプ室と前記軸封環体との間における前記回転軸
の貫通孔に対し、前記吐出通路に連通して前記吐出通路
と略同等の圧力領域の圧力、又は前記吐出通路の圧力を
波及させるための排気圧波及通路とを備え、真空ポンプ
の本体のハウジングに前記排気圧波及通路を形成した。
【0018】ラビリンスシールは、吐出通路に連なるポ
ンプ室内の最大圧力領域の圧力の影響、又は吐出通路の
圧力の影響を排気圧波及通路を介して受ける。最大圧力
領域の圧力、又は吐出通路の圧力を排気圧波及通路を介
してラビリンスシールに波及させる構成は、排気圧波及
通路のない場合に比べ、ラビリンスシールの前後の圧力
差を少なくする。
【0019】請求項9の発明では、請求項8において、
前記吐出通路と略同等の圧力領域は、前記吐出通路に連
なるポンプ室内の最大圧力領域であり、前記排気圧波及
通路は、前記最大圧力領域の圧力を前記ラビリンスシー
ルに波及させるようにした。
【0020】ラビリンスシールは、吐出通路に連なるポ
ンプ室内の最大圧力領域の圧力の影響を排気圧波及通路
を介して受ける。最大圧力領域の圧力を排気圧波及通路
を介してラビリンスシールに波及させる構成は、排気圧
波及通路のない場合に比べ、ラビリンスシールの前後の
圧力差を少なくする。
【0021】請求項10の発明では、請求項8及び請求
項9のいずれか1項において、前記排気圧波及通路を形
成する前記ハウジングは、前記油存在領域と前記吐出通
路に連なるポンプ室とを隣接させ、かつ前記吐出通路に
連なるポンプ室側から前記油存在領域に達するように前
記回転軸を貫通させるオイルハウジングとした。
【0022】排気圧波及通路はオイルハウジングに形成
されており、ラビリンスシールは、吐出通路に連なるポ
ンプ室内の最大圧力領域の圧力又は吐出通路の圧力の影
響を排気圧波及通路を介して受ける。
【0023】請求項11の発明では、請求項10におい
て、前記オイルハウジングは、前記吐出通路に連なるポ
ンプ室の形成壁面の一部となる室形成壁面を備えてお
り、前記排気圧波及通路は、前記室形成壁面に凹設され
た排気圧波及溝とした。
【0024】吐出通路に連なるポンプ室内の最大圧力領
域の圧力、又は吐出通路の圧力は、排気圧波及溝及び貫
通孔を介してラビリンスシールに波及する。請求項12
の発明では、請求項1乃至請求項11のいずれか1項に
おいて、前記油存在領域は、前記回転軸を回転可能に支
持するための軸受けを収容する領域とした。
【0025】軸受けは、油存在領域の油によって潤滑さ
れる。請求項13の発明では、請求項1乃至請求項12
のいずれか1項において、前記真空ポンプは、複数の前
記回転軸を平行に配置すると共に、前記各回転軸上にロ
ータを配置し、隣合う回転軸上のロータを互いに噛み合
わせ、互いに噛み合った状態の複数のロータを1組とし
て収容する複数のポンプ室、又は単一のポンプ室を備え
たルーツポンプであり、複数の前記回転軸は、歯車機構
を用いて同期して回転され、前記油存在領域は、前記歯
車機構を収容する領域とした。
【0026】歯車機構は、油存在領域の油によって潤滑
される。
【0027】
【発明の実施の形態】以下、本発明をルーツポンプに具
体化した第1の実施の形態を図1〜図7に基づいて説明
する。
【0028】図1(a)に示すように、多段ルーツポン
プ11のロータハウジング12の前端にはフロントハウ
ジング13が接合されており、フロントハウジング13
には封鎖体36が接合されている。ロータハウジング1
2の後端にはリヤハウジング14が接合されている。ロ
ータハウジング12は、シリンダブロック15と複数の
室形成壁16とからなる。図2(b)に示すように、シ
リンダブロック15は、一対のブロック片17,18か
らなり、室形成壁16は一対の壁片161,162から
なる。図1(a)に示すように、フロントハウジング1
3と室形成壁16との間の空間、隣合う室形成壁16の
間の空間、及びリヤハウジング14と室形成壁16との
間の空間は、それぞれポンプ室39,40,41,4
2,43となっている。
【0029】フロントハウジング13とリヤハウジング
14とには一対の回転軸19,20がラジアルベアリン
グ21,37,22,38を介して回転可能に支持され
ている。両回転軸19,20は互いに平行に配置されて
いる。回転軸19,20は室形成壁16に通されてい
る。ラジアルベアリング37,38は、ベアリングホル
ダ45,46に支持されている。ベアリングホルダ4
5,46は、リヤハウジング14の端面に凹設された嵌
入孔47,48に嵌合して固定されている。
【0030】回転軸19には複数のロータ23,24,
25,26,27が一体形成されており、回転軸20に
は同数のロータ28,29,30,31,32が一体形
成されている。ロータ23〜32は、回転軸19,20
の軸線191,201の方向に見て同形同大の形状をし
ている。ロータ23,24,25,26,27の厚みは
この順に小さくなってゆくようにしてあり、ロータ2
8,29,30,31,32の厚みはこの順に小さくな
ってゆくようにしてある。ロータ23,28は互いに噛
合した状態でポンプ室39に収容されており、ロータ2
4,29は互いに噛合した状態でポンプ室40に収容さ
れている。ロータ25,30は互いに噛合した状態でポ
ンプ室41に収容されており、ロータ26,31は互い
に噛合した状態でポンプ室42に収容されている。ロー
タ27,32は互いに噛合した状態でポンプ室43に収
容されている。ポンプ室39〜43内は無潤滑状態にさ
れる。そのため、各ロータ23〜32は、シリンダブロ
ック15、室形成壁16、フロントハウジング13及び
リヤハウジング14との間で摺接しないようになってい
る。又、噛合するロータ同士の間でも摺接しないように
なっている。
【0031】図2(a)に示すように、ロータ23,2
8は、ポンプ室39内に吸入領域391と、吸入領域3
91よりも高圧となる圧力領域392とを区画する。同
様に、ロータ24,29はポンプ室40内に、ロータ2
5,30はポンプ室41内に、ロータ26,31はポン
プ室42内に、それぞれ吸入領域391及び圧力領域3
92と同様の吸入領域及び圧力領域を区画する。図3
(a)に示すように、ロータ27,32はポンプ室43
内に、吸入領域391及び圧力領域392と同様の吸入
領域431及び圧力領域432を区画する。
【0032】図1(a)に示すように、リヤハウジング
14にはギヤハウジング33が組み付けられている。回
転軸19,20は、リヤハウジング14における貫通孔
141,142及び嵌入孔47,48を通ってギヤハウ
ジング33内に突出している。各回転軸19,20の突
出部位193,203には歯車34,35が互いに噛合
した状態で止着されている。ギヤハウジング33には電
動モータMが組み付けられている。電動モータMの駆動
力は、軸継ぎ手44を介して回転軸19に伝えられ、回
転軸19は、電動モータMによって図2(a),(b)
及び図3(a),(b)の矢印R1の方向に回転され
る。回転軸19の回転は歯車34,35を介して回転軸
20に伝えられ、回転軸20は図2(a),(b)及び
図3(a),(b)の矢印R2で示すように回転軸19
とは逆方向に回転する。即ち、回転軸19,20は、歯
車34,35を用いて同期して回転される。
【0033】図4(a),(b)に示すように、ギヤハ
ウジング33内のギヤ収容室331には潤滑油Yが貯留
されており、この潤滑油Yが歯車34,35を潤滑す
る。歯車機構を構成する歯車34,35を収容するギヤ
ハウジング33のギヤ収容室331は、多段ルーツポン
プ11の本体の外部に連通しないように密封された油存
在領域である。ギヤハウジング33及びリヤハウジング
14は、ポンプ室43と隣接するように油存在領域を形
成するオイルハウジングを構成する。ギヤ収容室331
内の貯留油は、歯車34,35の回転動作によってかき
上げられる。歯車34,35の回転動作によってかき上
げられた潤滑油Yは、軸受けであるラジアルベアリング
37,38を潤滑する。ラジアルベアリング37,38
を潤滑した潤滑油Yは、ラジアルベアリング37,38
のリング間隙371,381を介して嵌入孔47,48
へ侵入する。リング間隙371,381を介してギヤ収
容室331に連通する嵌入孔47,48も油存在領域で
ある。
【0034】図2(b)に示すように、室形成壁16内
には通路163が形成されている。室形成壁16には通
路163の入口164及び出口165が形成されてい
る。隣合うポンプ室39,40,41,42,43は、
通路163を介して連通している。
【0035】図2(a)に示すように、ブロック片18
には導入口181がポンプ室39の吸入領域391に連
通するように形成されている。図3(a)に示すよう
に、ブロック片17には排出口171がポンプ室43の
圧力領域432に連通するように形成されている。導入
口181からポンプ室39の吸入領域391に導入され
たガスは、ロータ23,28の回転に伴って圧力領域3
92へ移行する。圧力領域392へ移行したガスは、吸
入領域391での状態よりも圧縮されて増圧された状態
となる。圧力領域392のガスは、室形成壁16の入口
164から通路163を経由して出口165から隣のポ
ンプ室40の吸入領域へ移送される。以下、同様にガス
は、ポンプ室の容積が小さくなってゆく順、即ちポンプ
室40,41,42,43の順に移送される。ポンプ室
43の吸入領域431へ移送されたガスは、ロータ2
7,32の回転によって圧力領域432へ移行した後、
排出口171から外部へ排出される。ロータ23〜32
は、ガスを移送するガス移送体である。
【0036】排出口171は、真空ポンプの本体のハウ
ジングの外部へ前記ガスを吐出する吐出通路である。ポ
ンプ室43は、吐出通路である排出口171に連なる最
終のポンプ室であり、最終のポンプ室43内の圧力領域
432は、ポンプ室39〜43内で最大の圧力となる最
大圧力領域である。排出口171は、ロータ27,32
によってポンプ室43内に区画される最大圧力領域43
2に連通している。
【0037】図1(a)に示すように、嵌入孔47,4
8内における回転軸19,20には環状の軸封環体4
9,50が嵌合して固定されている。軸封環体49,5
0の内周面と回転軸19,20の周面192,202と
の間にはシールリング51,52が介在されている。軸
封環体49,50と回転軸19,20との間に介在され
たシールリング51,52は、潤滑油Yが回転軸19,
20の周面192,202に沿って嵌入孔47,48か
らポンプ室43側へ洩れるのを阻止する。
【0038】図4(b)及び図5(b)に示すように、
軸封環体49,50の最大径部の外周面491,501
と嵌入孔47,48の円周面471,481との間には
間隙があり、軸封環体49,50の端面492,502
と嵌入孔47,48の底形成面472,482との間に
は間隙がある。従って、軸封環体49,50は、回転軸
19,20と一体的に回転可能である。
【0039】嵌入孔47,48の底形成面472,48
2には複数の環状突条53,54が同心円状に形成され
ている。底形成面472,482に対向する軸封環体4
9,50の端面492,502には複数の環状溝55,
56が同心円状に形成されている。環状突条53,54
は、環状溝55,56に対向するように入り込んでい
る。環状溝55,56に入り込んでいる環状突条53,
54の先端は、環状溝55,56の底面に近接してい
る。環状溝55は、環状突条53によってラビリンス室
551,552に区画されており、環状溝56は、環状
突条54によってラビリンス室561,562に区画さ
れている。環状突条53と環状溝55とは、回転軸19
側におけるラビリンスシール57を構成し、環状突条5
4と環状溝56とは、回転軸20側におけるラビリンス
シール58を構成する。軸封環体49,50の端面49
2,502は、軸封環体49,50側のシール用対向面
となり、嵌入孔47,48の底形成面472,482
は、リヤハウジング14側のシール用対向面となる。本
実施の形態では、端面492,502及び底形成面47
2,482は、回転軸19,20の軸線191,201
と直交する平面である。即ち、シール用対向面である端
面492,502及び底形成面472,482は、軸封
環体49,50の半径方向の方向成分のみを有する。
【0040】図4(b)に示すように、軸封環体49の
端面492には樹脂層59が固着されている。図5
(b)に示すように、軸封環体50の端面502には樹
脂層60が固着されている。樹脂層59,60と底形成
面472,482との間の間隙g1,g2は、環状突条
53,54の先端と環状溝55,56の底面との間の間
隙G1,G2よりも小さくしてある。間隙G1,G2
は、軸封環体49,50の外周面491,501と嵌入
孔47,48の円周面471,481との間の間隙と略
同じ大きさにしてある。間隙g1は、回転軸19の一部
となる軸封環体49とリヤハウジング14との間の極小
間隙となり、間隙g2は、回転軸20の一部となる軸封
環体50とリヤハウジング14との間の極小間隙とな
る。本発明では、極小間隙とは、ラビリンス室の密閉性
を高めるための間隙のことを言うものとする。
【0041】図1(b)、図4(b)及び図6に示すよ
うに、軸封環体49の最大径部の外周面491には螺旋
溝61が形成されている。図1(c)、図5(b)及び
図7に示すように、軸封環体50の最大径部の外周面5
01には螺旋溝62が形成されている。螺旋溝61の螺
旋の向きは、回転軸19の回転方向R1に辿るにつれて
ギヤ収容室331側からポンプ室43側へ移行する向き
となっている。螺旋溝62の螺旋の向きは、回転軸20
の回転方向R2に辿るにつれてギヤ収容室331側から
ポンプ室43側へ移行する向きとなっている。従って、
螺旋溝61,62は、回転軸19,20の回転に伴って
流体をポンプ室43側からギヤ収容室331側へ移送す
るポンプ作用をもたらす。即ち、螺旋溝61,62は、
軸封環体49,50の外周面491,501と嵌入孔4
7,48の円周面471,481との間における油をポ
ンプ室43側から油存在領域側へ付勢するポンピング手
段を構成する。嵌入孔47,48の円周面471,48
1はシール面となり、円周面471,481に対向する
外周面491,501は、シール面に対する対向面とな
る。
【0042】図3(b)に示すように、最終のポンプ室
43を形成するリヤハウジング14の室形成壁面143
には排気圧波及溝63,64が形成されている。図4
(a)に示すように、排気圧波及溝63は、ロータ2
7,32の回転に伴って容積変化する最大圧力領域43
2に通じている。又、排気圧波及溝63は、貫通孔14
1に通じている。図5(a)に示すように、排気圧波及
溝64は、最大圧力領域432に通じ、かつ貫通孔14
2に通じている。
【0043】図1(a)、図4(a)及び図5(a)に
示すように、リヤハウジング14には環状の冷却室65
が軸封環体49,50を包囲するように形成されてい
る。冷却室65には冷却水が還流可能に供給される。冷
却室65に供給された冷却水は、嵌入孔47,48内の
潤滑油Yを冷却する。
【0044】第1の実施の形態では以下の効果が得られ
る。 (1-1)回転軸19,20に嵌合された軸封環体49,
50の端面492,502の径は、回転軸19,20の
周面192,202の径よりも大きい。従って、軸封環
体49,50の端面492,502と嵌入孔47,48
の底形成面472,482との間のラビリンスシール5
7,58の径は、回転軸19,20の周面192,20
2とリヤハウジング14との間に設けられるラビリンス
シールの径よりも大きくなる。ラビリンスシール57,
58の径が大きくなるほど圧力変動波及抑制用のラビリ
ンス室551,552,561,562の容積が大きく
なり、ラビリンスシール57,58におけるシール機能
が向上する。即ち、軸封環体49,50の端面492,
502と嵌入孔47,48の底形成面472,482と
の間は、ラビリンス室551,552,561,562
の容積を増やしてシール機能を向上する上で、ラビリン
スシール57,58の設定領域として好適である。
【0045】(1-2)嵌入孔47,48と軸封環体4
9,50との間の間隙が小さいほど、潤滑油Yは嵌入孔
47,48と軸封環体49,50との間の間隙へ入り難
くなる。円周面471,481を有する嵌入孔47,4
8の底形成面472,482と、軸封環体49,50の
端面492,502とは、全面にわたって均等に近接さ
せ易い。従って、極小間隙g1,g2を可及的に小さく
し易い。極小間隙g1,g2が小さいほど、ラビリンス
シール57,58におけるシール機能が向上する。即
ち、嵌入孔47,48の底形成面472,482は、ラ
ビリンスシール57,58の設定領域として好適であ
る。
【0046】(1-3)ルーツポンプ11を組み立てた状
態では、回転軸19,20と一体的に回転する軸封環体
49,50に止着された樹脂層59,60が嵌入孔4
7,48の底形成面472,482に接触しているとす
る。ルーツポンプ11の運転に伴い、樹脂層59,60
は、金属製のリヤハウジング14側の底形成面472,
482との摺接によって単に摩耗するのみである。即
ち、樹脂層59,60と嵌入孔47,48の底形成面4
72,482との接触は、回転軸19,20の回転に支
障をもたらさない。そのため、環状溝55の深さF1
〔図4(b)に図示〕と樹脂層59の厚みd1〔図4
(b)に図示〕との和(F1+d1)が環状突条53の
高さH1〔図4(b)に図示〕を若干上回るようにして
おき、樹脂層59と底形成面472とを接触させるよう
に回転軸19に軸封環体49を組み付けたとしても、回
転軸19の回転に支障は生じない。同様に、環状溝56
の深さF2〔図5(b)に図示〕と樹脂層60の厚みd
2〔図5(b)に図示〕との和(F2+d2)が環状突
条54の高さH2〔図5(b)に図示〕を若干上回るよ
うにしておき、樹脂層60と底形成面482とを接触さ
せるように回転軸20に軸封環体50を組み付けたとし
ても、回転軸20の回転に支障は生じない。従って、回
転軸19,20の一部である軸封環体49,50とリヤ
ハウジング14との間の極小間隙g1,g2は、樹脂層
59,60の介在によって小さくできる。ラビリンス室
551,552,561,562の密閉性は、ラビリン
スシール57,58のシール機能を高めるが、ラビリン
ス室551,552,561,562の密閉性は、極小
間隙g1,g2を小さくすることによって高まる。ラビ
リンスシール57,58における極小間隙g1,g2の
短小化は、ラビリンスシール57,58におけるシール
機能を高める。即ち、樹脂層59,60の存在は、ラビ
リンスシール57,58におけるシール機能の向上に寄
与する。
【0047】(1-4)軸封環体49,50の端面49
2,502に設けた樹脂層59,60を嵌入孔47,4
8の底形成面472,482に接触させても、回転軸1
9,20の回転に支障は生じない。そのため、嵌入孔4
7,48の底形成面472,482と軸封環体49,5
0の端面492,502との間は、ラビリンスシールの
極小間隙を狭める上でラビリンスシールの配設箇所とし
て好適である。
【0048】(1-5)ラビリンスシール57,58は、
ガスに対してもシール性を有する。多段ルーツポンプ1
1の運転開始時にはポンプ室39〜43内は大気圧より
も高くなる。ラビリンスシール57,58は、ポンプ室
43からギヤ収容室331側への軸封環体49,50の
表面に沿った排ガス洩れを防止する。油洩れ及び排ガス
洩れを共に防止するラビリンスシール57,58は、非
接触型シール手段として最適である。
【0049】(1-6)軸封環体49に設けられた螺旋溝
61は、回転軸19の回転に伴い、嵌入孔47の円周面
471を掃過してゆく。螺旋溝61の掃過領域にある潤
滑油Yは、ポンプ室43側からギヤ収容室331側へ掃
き移される。又、軸封環体50に設けられた螺旋溝62
は、回転軸20の回転に伴い、嵌入孔48の円周面48
1を掃過してゆく。螺旋溝62の掃過領域にある潤滑油
Yは、ポンプ室43側からギヤ収容室331側へ掃き移
される。即ち、ポンピング手段である螺旋溝61,62
を備えた軸封環体49,50は、潤滑油Yに対して高い
シール性を発揮する。
【0050】(1-7)螺旋溝61,62を設けた外周面
491,501は、軸封環体49,50の最大径部の外
周面であり、軸封環体49,50における周速度が最大
となる箇所である。軸封環体49,50の外周面49
1,501と嵌入孔47,48の円周面471,481
との間にあるガスは、高速で周回する螺旋溝61,62
によってポンプ室43側からギヤ収容室331側へ効率
よく付勢される。軸封環体49,50の外周面491,
501と嵌入孔47,48の円周面471,481との
間にある潤滑油Yは、ポンプ室43側からギヤ収容室3
31側へ効率よく付勢されるガスに追随する。軸封環体
49,50の外周面491,501は、外周面491,
501と円周面471,481との間を経由した嵌入孔
47,48側からポンプ室43側への油洩れを阻止する
性能、即ち潤滑油Yに対する軸封環体49,50のシー
ル性を高める上で、螺旋溝61,62の設定箇所として
好適である。
【0051】(1-8)螺旋溝61,62は、軸封環体4
9,50を1周りする回数を増やすほどシール性が向上
する。このような螺旋溝61,62は、ポンピング手段
として好適である。
【0052】(1-9)軸封環体49,50と回転軸1
9,20とを一体にする構成とした場合、軸封環体4
9,50の最大径部を貫通孔141,142の径に合わ
せる必要が生じる。このような制約は、軸封環体49,
50の形状の選択自由度を減らすことになる。本実施の
形態のように、軸封環体49,50と回転軸19,20
とを別体とした構成は、ポンピング手段のポンピング作
用を高める上で有利な軸封環体49,50の形状の選択
自由度を高める。
【0053】(1-10)回転軸19の周面192と貫通孔
141との間には僅かな間隙があり、ロータ27,32
とリヤハウジング14の室形成壁面143との間には僅
かな間隙がある。そのため、最終のポンプ室43の圧力
が前記の僅かな間隙を介してラビリンスシール57に波
及する。同様に、回転軸20の周面202と貫通孔14
2との間にも僅かな間隙があるため、最終のポンプ室4
3の圧力がラビリンスシール58に波及する。
【0054】排気圧波及溝63,64のない場合には、
吸入領域431の圧力と最大圧力領域432の圧力とが
ラビリンスシール57,58に同程度に波及する。最終
のポンプ室43の吸入領域431の圧力をP1、最大圧
力領域432の圧力をP2(>P1)とすると、ラビリ
ンスシール57,58は、ポンプ室43側から両圧力P
1,P2の中間(P2+P1)/2程度の圧力を受け
る。一方、ギヤ収容室331に連通する嵌入孔47,4
8内の圧力は、ロータ23〜32の動作によって圧力変
動を来さない大気圧相当の圧力(1000Torr程
度)の領域である。螺旋溝61,62のポンピング作用
は、螺旋溝61,62とラビリンスシール57,58と
の間における軸封環体49,50と嵌入孔47,48と
の間隙の圧力を大気圧相当よりも低い圧力P3に低減す
る。
【0055】本実施の形態における排気圧波及溝63,
64は、ラビリンスシール57,58に対する最大圧力
領域432の圧力の波及効果を高める。即ち、排気圧波
及溝63,64を介した最大圧力領域432の圧力の波
及効果が吸入領域431の圧力の波及効果を大きく上回
る。従って、ラビリンスシール57,58に波及する圧
力は、前記した(P2+P1)/2を大きく上回ること
になり、ラビリンスシール57,58の前後の圧力差
は、〔P3−(P2+P1)/2〕Torrを大きく下
回る。その結果、ラビリンスシール57,58における
油洩れ防止効果が高まる。
【0056】(1-11)排気圧波及溝63,64を経由し
たラビリンスシール57,58に対する最大圧力領域4
32の圧力の波及効果は、排気圧波及溝63,64にお
ける通過断面積の大きさに左右される。所望の断面積の
排気圧波及溝63,64の形成は容易であり、排気圧波
及溝63,64は、最大圧力領域432の圧力を波及さ
せる排気圧波及通路として最適である。
【0057】(1-12)排気圧波及溝63,64は、ポン
プ室43の形成壁面の一部を構成するリヤハウジング1
4の室形成壁面143上に設けられる。回転軸19,2
0をリヤハウジング14に通すための貫通孔141,1
42は、室形成壁面143を貫いており、ポンプ室43
の一部である最大圧力領域432は室形成壁面143に
面している。従って、最大圧力領域432に通じるよう
に、かつ貫通孔141,142に通じるように室形成壁
面143上に排気圧波及通路を形成するのは簡単であ
る。即ち、室形成壁面143は、貫通孔141,142
と最大圧力領域432とを繋ぐ排気圧波及通路の形成箇
所として最適である。
【0058】(1-13)ドライポンプ型のルーツポンプ1
1では、ポンプ室39〜43内での潤滑油Yの使用は行
われない。ポンプ室39〜43内に潤滑油Yを存在させ
たくないルーツポンプ11は、本発明の適用対象として
好適である。
【0059】本発明では、図8〜図14の第2〜第8の
実施の形態も可能である。なお、第2〜第7の実施の形
態では、いずれも回転軸19側におけるラビリンスシー
ルについてのみ説明するが、回転軸20側におけるラビ
リンスシールも同じ構成となっている。
【0060】図8の第2の実施の形態では、軸封環体4
9の端面492に形成された環状突条66と嵌入孔47
の底形成面472に形成された環状突条53とが対向し
ている。環状突条66の先端には樹脂層67が設けられ
ている。複数の環状突条66と複数の環状突条53とが
ラビリンスシールを構成する。
【0061】図9の第3の実施の形態では、第1の実施
の形態における環状突条53が嵌入孔47の底形成面4
72に形成されておらず、環状溝55がラビリンスシー
ルを構成する。
【0062】図10の第4の実施の形態では、第1の実
施の形態における環状溝55が軸封環体49に形成され
ておらず、嵌入孔47の底形成面472に形成された環
状突条53がラビリンスシールを構成する。環状突条5
3の先端に樹脂層68が設けられている。
【0063】図11の第5の実施の形態では、第1の実
施の形態における環状突条53が嵌入孔47の底形成面
472に形成されておらず、環状溝55がラビリンスシ
ールを構成する。底形成面472に樹脂層69が設けら
れている。
【0064】図12の第6の実施の形態では、第1の実
施の形態における環状溝55が軸封環体49の端面49
2に形成されておらず、環状突条53がラビリンスシー
ルを構成する。端面492に樹脂層70が設けられてい
る。
【0065】図13の第7の実施の形態では、回転軸1
9及びロータ27の端面に軸封環体49Aが一体形成さ
れている。軸封環体49Aは、ロータハウジング12に
対向する側のリヤハウジング14の端面に凹設された嵌
入孔71に嵌入されている。軸封環体49Aの端面と嵌
入孔71の底形成面711との間にはラビリンスシール
72が設けられている。
【0066】図14の第8の実施の形態では、軸封環体
49B,50Bの外周面にはゴム製の摺接リング73,
74が嵌合して固定されている。摺接リング73,74
の周面には複数の洩れ阻止突条731,741が形成さ
れている。洩れ阻止突条731は、回転軸19の回転に
伴って嵌入孔47の周面471に摺接し、洩れ阻止突条
741は、回転軸20の回転に伴って嵌入孔48の周面
481に摺接する。複数の洩れ阻止突条731は、軸封
環体49Bの軸線、即ち回転軸19の軸線191の周り
を一周することなく、軸線191の周りに列設されてい
る。複数の洩れ阻止突条741は、軸封環体50Bの軸
線、即ち回転軸20の軸線201の周りを一周すること
なく、軸線201の周りに列設されている。洩れ阻止突
条731は、回転軸19の回転方向R1に辿るにつれて
ギヤ収容室331側からポンプ室43側へ移行してゆ
く。洩れ阻止突条741は、回転軸20の回転方向R2
に辿るにつれてギヤ収容室331側からポンプ室43側
へ移行してゆく。
【0067】洩れ阻止突条731は、回転軸19の回転
に伴い、回転軸19の周面192と軸封環体49Bの外
周面との間の潤滑油Yをポンプ室43側からギヤ収容室
331側へ付勢する。洩れ阻止突条741は、回転軸2
0の回転に伴い、回転軸20の周面202と軸封環体5
0Bの外周面との間の潤滑油Yをポンプ室43側からギ
ヤ収容室331側へ付勢する。
【0068】単一の洩れ阻止突条を軸線191,201
の周りで一周させようとすると、軸線191,201の
方向における摺接リング73,74の幅を大きくする必
要がある。摺接リング73,74の幅を大きくすると、
摺接抵抗が大きくなり、好ましくない。軸線191,2
01の周りを一周することなく、軸線191,201の
周りに洩れ阻止突条731,741を複数列設した構成
は、摺接リング73,74の幅を大きくしなくて済む。
【0069】本発明では以下のような実施の形態も可能
である。 (1)嵌入孔47,48の底形成面をテーパ形状のシー
ル用対向面とすると共に、軸封環体49,50の端面を
テーパ形状のシール用対向面とし、両シール用対向面間
にラビリンスシールを設けること。
【0070】(2)第1の実施の形態において、環状突
条53,54の先端にも樹脂層を設けること。 (3)嵌入孔47,48の底形成面472,482と、
軸封環体49,50の端面492,502との間に樹脂
板を介在して樹脂層とすること。
【0071】(4)ルーツポンプ以外の真空ポンプに本
発明を適用すること。前記した実施の形態から把握でき
る請求項記載以外の発明について以下に記載する。
【0072】〔1〕回転軸の回転に基づいてポンプ室内
のガス移送体を動かし、前記ガス移送体の動作によって
ガスを移送して吸引作用をもたらす真空ポンプにおい
て、前記ポンプ室と隣接するように油存在領域を形成す
るオイルハウジングと、前記オイルハウジングを貫通し
て前記油存在領域に突出する前記回転軸の突出部位に対
し、一体的に回転可能に設けられた環状の軸封環体と、
前記軸封環体の端面と前記オイルハウジングとの間に設
けられたラビリンスシールとを備えた真空ポンプにおけ
る軸封構造。
【0073】
【発明の効果】以上詳述したように本発明では、軸封環
体の半径方向の方向成分を有するように軸封環体とオイ
ルハウジングとに設けられた一対のシール用対向面の間
にラビリンスシールを設けたので、真空ポンプにおける
ポンプ室への油洩れを防止するためのラビリンスシール
のシール機能を向上し得るという優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施の形態を示し、(a)は多段ルーツ
ポンプ11全体の平断面図。(b)は回転軸19側の要
部拡大平断面図。(c)は回転軸20側の要部拡大平断
面図。
【図2】(a)は図1のA−A線断面図。(b)は図1
のB−B線断面図。
【図3】(a)は図1のC−C線断面図。(b)は図1
のD−D線断面図。
【図4】(a)は図3(b)のE−E線断面図。(b)
は要部拡大側断面図。
【図5】(a)は図3(b)のF−F線断面図。(b)
は要部拡大側断面図。
【図6】要部分解斜視図。
【図7】要部分解斜視図。
【図8】第2の実施の形態を示す要部拡大平断面図。
【図9】第3の実施の形態を示す要部拡大平断面図。
【図10】第4の実施の形態を示す要部拡大平断面図。
【図11】第5の実施の形態を示す要部拡大平断面図。
【図12】第6の実施の形態を示す要部拡大平断面図。
【図13】第7の実施の形態を示す要部拡大平断面図。
【図14】第8の実施の形態を示す要部拡大平断面図。
【符号の説明】
11…真空ポンプであるルーツポンプ。14…オイルハ
ウジングを構成するリヤハウジング。143…室形成壁
面。171…吐出通路となる排出口。19,20…回転
軸。193,203…突出部位。23,24,25,2
6,27,28,29,30,31,32…ガス移送体
となるロータ。33…オイルハウジングを構成するギヤ
ハウジング。331…油存在領域となるギヤ収容室。3
4,35…歯車機構を構成する歯車。37,38…軸受
けとなるラジアルベアリング。43…ポンプ室。432
…最大圧力領域。47,48,71…嵌入孔。472,
482,711…シール用対向面となる底形成面。4
9,50,49A,49B,50B…軸封環体。49
2,502…シール用対向面となる端面。57,58,
72…ラビリンスシール。59,60,67,68,6
9,70…樹脂層。61,62…ポンピング手段となる
螺旋溝。63,64…排気圧波及通路となる排気圧波及
溝。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 江頭 諭 愛知県刈谷市豊田町2丁目1番地 株式会 社豊田自動織機製作所内 Fターム(参考) 3H003 AA05 AB07 AC00 BC01 BD02 CA01 3H029 AA06 AA09 AA18 AB06 BB16 CC16 CC17 CC20

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】回転軸の回転に基づいてポンプ室内のガス
    移送体を動かし、前記ガス移送体の動作によってガスを
    移送して吸引作用をもたらす真空ポンプにおいて、 前記ポンプ室と隣接するように油存在領域を形成するオ
    イルハウジングと、 前記オイルハウジングを貫通して前記油存在領域に突出
    する前記回転軸の突出部位に対し、一体的に回転可能に
    設けられた環状の軸封環体と、 前記軸封環体と前記オイルハウジングとの各々に対し、
    前記軸封環体の半径方向の方向成分を有するように設け
    られたシール用対向面と、 前記一対のシール用対向面の間に設けられたラビリンス
    シールとを備えた真空ポンプにおける軸封構造。
  2. 【請求項2】前記軸封環体を嵌入するように前記オイル
    ハウジングに形成された嵌入孔を備え、前記ラビリンス
    シールは、前記軸封環体と前記嵌入孔の形成面との間に
    設けられている請求項1に記載の真空ポンプにおける軸
    封構造。
  3. 【請求項3】前記ラビリンスシールは、前記嵌入孔の底
    形成面に対向する前記軸封環体の端面と、前記底形成面
    との間に設けられている請求項2に記載の真空ポンプに
    おける軸封構造。
  4. 【請求項4】前記軸封環体は前記回転軸に嵌合して固定
    されており、前記軸封環体と前記回転軸との間にはシー
    ルリングが介在されており、前記シールリングは、前記
    油存在領域側から前記ポンプ室側への前記回転軸の周面
    に沿った油洩れを阻止する請求項1乃至請求項3のいず
    れか1項に記載の真空ポンプにおける軸封構造。
  5. 【請求項5】前記ラビリンスシールは、前記軸封環体側
    と前記オイルハウジング側との少なくとも一方に、前記
    軸封環体と前記オイルハウジングとの間の極小間隙を狭
    めるための樹脂層を備え、前記回転軸側と前記樹脂層と
    の間、及び前記オイルハウジング側と前記樹脂層との間
    の少なくとも一方で相対回転可能とし、前記軸封環体
    は、前記嵌入孔に対向する対向面にポンピング手段を備
    え、前記ポンピング手段は、前記回転軸の回転に伴い、
    前記対向面と前記嵌入孔との間における油を前記ポンプ
    室側から前記油存在領域側へ付勢するようにした請求項
    2乃至請求項4のいずれか1項に記載の真空ポンプにお
    ける軸封構造。
  6. 【請求項6】前記対向面は、前記嵌入孔の周面に対向す
    る外周面である請求項5に記載の真空ポンプにおける軸
    封構造。
  7. 【請求項7】前記ポンピング手段は螺旋溝であり、前記
    螺旋溝は、前記回転軸の回転方向に辿るにつれて前記油
    存在領域側から前記ポンプ室側へ移行してゆく請求項5
    及び請求項6のいずれか1項に記載の真空ポンプにおけ
    る軸封構造。
  8. 【請求項8】真空ポンプの本体のハウジングの外部へ前
    記ガスを吐出する吐出通路と、 前記吐出通路に連なるポンプ室と前記軸封環体との間に
    おける前記回転軸の貫通孔に対し、前記吐出通路に連通
    して前記吐出通路と略同等の圧力領域の圧力、又は前記
    吐出通路の圧力を波及させるための排気圧波及通路とを
    備えている請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載
    の真空ポンプにおける軸封構造。
  9. 【請求項9】前記吐出通路と略同等の圧力領域は、前記
    吐出通路に連なるポンプ室内の最大圧力領域であり、前
    記排気圧波及通路は、前記最大圧力領域の圧力を前記ラ
    ビリンスシールに波及させる請求項8に記載の真空ポン
    プにおける軸封構造。
  10. 【請求項10】前記排気圧波及通路を形成する前記ハウ
    ジングは、前記油存在領域と前記吐出通路に連なるポン
    プ室とを隣接させ、かつ前記吐出通路に連なるポンプ室
    側から前記油存在領域に達するように前記回転軸を貫通
    させるオイルハウジングである請求項8及び請求項9の
    いずれか1項に記載の真空ポンプにおける軸封構造。
  11. 【請求項11】前記オイルハウジングは、前記吐出通路
    に連なるポンプ室の形成壁面の一部となる室形成壁面を
    備えており、前記排気圧波及通路は、前記室形成壁面に
    凹設された排気圧波及溝である請求項10に記載の真空
    ポンプにおける軸封構造。
  12. 【請求項12】前記油存在領域は、前記回転軸を回転可
    能に支持するための軸受けを収容する領域である請求項
    1乃至請求項11のいずれか1項に記載の真空ポンプに
    おける軸封構造。
  13. 【請求項13】前記真空ポンプは、複数の前記回転軸を
    平行に配置すると共に、前記各回転軸上にロータを配置
    し、隣合う回転軸上のロータを互いに噛み合わせ、互い
    に噛み合った状態の複数のロータを1組として収容する
    複数のポンプ室、又は単一のポンプ室を備えたルーツポ
    ンプであり、複数の前記回転軸は、歯車機構を用いて同
    期して回転され、前記油存在領域は、前記歯車機構を収
    容する領域である請求項1乃至請求項12のいずれか1
    項に記載の真空ポンプにおける軸封構造。
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