JP2002256377A - 低YR特性ならびに超大入熱溶接継手靭性に優れた600MPa級鋼 - Google Patents
低YR特性ならびに超大入熱溶接継手靭性に優れた600MPa級鋼Info
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Abstract
時においても、優れたHAZ靭性を実現した低YR特性
(YR≦80%)の600MPa級鋼を提供する。 【解決手段】 所定の成分を有する鋼で、かつ、この鋼
中に円相当で0.005〜2.0μmの酸化物粒子を単
位面積当たりの個数密度で100〜3000個/mm2
含有し、その酸化物粒子の組成が少なくともCa、A
l、Oを含み、Oを除いた元素が質量比で、Ca:5%
以上、Al:5%以上を含有し、かつ鋼のミクロ組織が
フェライトとベイナイトとの2相でフェライト分率が2
5%〜75%である低YR特性および超大入熱溶接継手
靭性に優れた600MPa級鋼。
Description
などの大型建築構造物に使用するに適した低YR特性お
よび超大入熱溶接継手靭性に優れた600MPa級鋼に
関するものである。
構造物に使用される溶接用鋼材の材質特性に対する要望
は厳しさを増している。さらにそのような構造物を建造
する際、溶接の効率化を促進するため、フラックス−銅
バッキング溶接法、エレクトロガス溶接法、エレクトロ
スラグ溶接法などに代表されるような大入熱溶接法の適
用が希望されており、鋼材自身の靭性と同様に、HAZ
の靭性への要求も厳しさを増している。また、大型建築
構造物は、耐震性が要求されるため鋼材自身の低YR
(YP/TS)特性及び高い引張強さの600MPa級
鋼が必要とされている。
下で引張強さ590MPa以上を達成するには、鋼成分
系では、特にCを高め、Cu・Ni添加およびNb添加
が必要となるが、これらの成分調整を行うと、超大入熱
溶接継手靭性が低下するという問題が発生する。
た提案は従来から数多くある。
に開示されるように、微細なTi窒化物を鋼中に確保す
ることによって、HAZのオーステナイト粒を小さく
し、靭性を向上させる方法がある。また、特開平3−2
64614号公報ではTi窒化物とMnSとの複合析出
物をフェライトの変態核として活用し、HAZの靭性を
向上させる方法が提案されている。
ち最高到達温度が1400℃を超える溶接金属との境界
(溶接ボンド部と称する)近傍ではほとんど固溶してし
まうので靭性向上効果が低下してしまうという問題があ
り、近年の厳しい鋼材特性への要求を達成することが困
難である。
法として、Ti酸化物を含有した鋼が厚板、形鋼などの
様々な分野で使用されている。例えば厚板分野では特開
昭61−79745号公報や特開昭62−103344
号公報に例示されているように、Ti酸化物を含有した
鋼が大入熱溶接部靭性向上に非常に有効であり、高張力
鋼への適用が有望である。この原理は、鋼の融点におい
ても安定なTi酸化物をサイトとして、溶接後の温度低
下途中にTi窒化物、MnS等が析出し、さらにそれら
をサイトとして微細フェライトが生成し、その結果靭性
に有害な粗大フェライトの生成が抑制され、靭性の劣化
が防止できるというものである。しかしながら、このよ
うなTi酸化物は鋼中へ分散される個数をあまり多くす
ることができない。その原因はTi酸化物の粗大化や凝
集合体であり、Ti酸化物の個数を増加させようとすれ
ば5μm以上の粗大なTi酸化物、いわゆる介在物が増
加してしまう。この5μm以上の介在物は構造物の破壊
の起点となって有害であり、靭性の低下を引き起こす。
したがって、さらなるHAZ靭性の向上を達成するため
には、粗大化や凝集合体が起こりにくく、Ti酸化物よ
りも微細に分散する酸化物を活用する必要がある。
散方法としては、Al等の強脱酸元素を実質的に含まな
い溶鋼中へのTi添加によるものが多い。しかしなが
ら、単に溶鋼中にTiを添加するだけでは鋼中のTi酸
化物の個数、分散度を制御することは困難であり、さら
には、TiN、MnS等の析出物の個数、分散度を制御
することも困難である。その結果、Ti脱酸のみによっ
てTi酸化物を分散させた鋼においては、例えば、Ti
酸化物の個数が充分でなかったり、厚板の板厚方向の靭
性変動を生じる等の問題点が認められる。
報などの方法では、Ti酸化物を生成しやすくするため
に、Al量の上限を、0.007%という非常に少ない
量で制限している。鋼材中のAl量が少ない場合、Al
N析出物量の不足などの原因により、母材の靭性が低下
する場合がある。また、通常使用されている溶接材料を
用いてAl量の少ない鋼板を溶接した場合、溶接金属の
靭性が低下する場合がある。
3937号公報においてTi添加直後のAlを添加する
ことで、生成するTi−Al複合酸化物を活用する技術
が提案されている。この技術により、大入熱溶接HAZ
靭性を大幅に向上させることが可能であるが、直近、建
設業界等においては、大型の建築用構造材を溶接するこ
とが求められていて、500kJ/cm以上、大きいも
のでは1000kJ/cmものさらなる溶接入熱の増加
が進められており、より一層のHAZ靭性を有する60
0MPa級鋼材が必要とされている。この際、特に溶接
融合部近傍の靭性向上が必要となる。また、大型の建築
用構造材には耐震性も要求されることとなるから、80
%以下の低YR特性を有する鋼材とすることも必要とさ
れる。
な入熱500kJ/cm以上の超大入熱の溶接時におい
ても、優れたHAZ靭性を実現した低YR特性(YR≦
80%)の600MPa級鋼を提供することを課題とす
るものである。
の600MPa級鋼を提供すべく研究した結果、YR≦
80%を達成するためには、ミクロ組織がフェライトと
ベイナイトとの二相でフェライト分率が25〜75%で
あることが必要であることを知見した。そして、そのよ
うなミクロ組織条件下でTS≧590MPaを達成する
ためには、鋼の成分として、Cを高め、Cu、Ni、N
bの添加が必要となるが、これらの元素は超大入熱溶接
継手靭性を低下させる。この超大入熱溶接継手靭性の低
下を酸化物分散によって防止し得ることを見出して、本
発明を完成した。その発明の要旨は以下の通りである。
で、かつ、この鋼中に円相当径で0.005〜2.0μ
mの酸化物粒子を単位面積当たりの個数密度で100〜
3000個/mm2含有し、その酸化物粒子の組成が少
なくともCa、Al、Oを含み、Oを除いた元素が質量
比で、 Ca:5%以上、 Al:5%以上 を含有し、かつ鋼のミクロ組織がフェライトとベイナイ
トとの二相でフェライト分率が25%〜75%であるこ
とを特徴とする低YR特性および超大入熱溶接継手靭性
に優れた600MPa級鋼。
もCa、Al、O、Sを含み、Oを除いた元素が質量比
で、 Ca:5%以上、 Al:5%以上、 S:1%以上 を含有し、残部がその他不可避不純物からなることを特
徴とする上記(1)記載の低YR特性および超大入熱溶
接継手靭性に優れた600MPa級鋼。
で、かつ、この鋼中に円相当径で0.005〜2.0μ
mの酸化物粒子を単位面積当たりの個数密度で100〜
3000個/mm2含有し、その酸化物粒子の組成が少
なくともCa、Al、Mg、Oを含み、Oを除いた元素
が質量比で、 Ca:5%以上、 Al:5%以上、 Mg:1%以上 を含有し、かつ鋼のミクロ組織がフェライトとベイナイ
トとの二相でフェライト分率が25%〜75%であるこ
とを特徴とする低YR特性および超大入熱溶接継手靭性
に優れた600MPa級鋼。
もCa、Al、Mg、O、Sを含み、Oを除いた元素が
質量比で、 Ca:5%以上、 Al:5%以上、 Mg:1%以上、 S:1%以上 を含有し、残部がその他不可避不純物からなることを特
徴とする上記(3)記載の低YR特性および超大入熱溶
接継手靭性に優れた600MPa級鋼。
上記(1)〜(4)のいずれかに記載の低YR特性およ
び超大入熱溶接継手靭性に優れた600MPa級鋼。
れかに記載の低YR特性および超大入熱溶接継手靭性に
優れた600MPa級鋼。
1〜2.0μmであることを特徴とする上記(1)〜
(6)のいずれかに記載の低YR特性および超大入熱溶
接継手靭性に優れた600MPa級鋼。
する。本発明者らはHAZ靭性を向上させる金属組織要
因として、1400℃以上に加熱されるHAZ領域の再
加熱オーステナイト細粒化を、酸化物に利用して達成す
ることを検討した。
には高温でのオーステナイト粒成長を抑制することが必
要である。その手段として最も有効な方法は、分散粒子
によりオーステナイトの粒界をピンニングし、粒界の移
動を止める方法が考えられる。そのような作用をする分
散粒子の一つとしては、従来、Ti窒化物と酸化物が有
効であると考えられていた。しかしながらTi窒化物は
1400℃以上の高温では固溶する割合が大きくなるた
め、ピンニング効果が小さくなることは先に述べた。こ
れに対し、高温で安定な酸化物をピンニング粒子として
活用することが必要である。
グ効果は、分散粒子の体積率が大きいほど、一個の粒子
径が大きいほど大きい。ただし、分散粒子の体積率は鋼
中に含まれる粒子を構成する元素の濃度によって上限が
あるので、体積率を一定と仮定した場合には、粒子径は
ある程度小さい方がピンニングには有効である。このよ
うな観点から、本発明者らは酸化物の体積分率を大き
く、かつ適正な粒子径となるよう、種々の検討を行っ
た。
として、酸素量を増大させることがあるが、酸素量の増
大は材質に有害な粗大酸化物をも多数生成する原因とな
るため、有効な手段ではない。そこで本発明者らは、酸
素を最大限に利用するため、酸素との溶解度積が小さい
元素を活用することを検討した。酸素との溶解度積が小
さい、すなわち強脱酸元素として、一般的にはAlが用
いられる。しかしながら、Alだけでは酸素を充分利用
するには不充分で、さらにAlよりも強い脱酸元素が必
要で、鉄鋼の脱酸工程で汎用的に使用されるCaを活用
することが重要である。Caは酸素との溶解度積が小さ
いため、同量の酸素に対してAlよりも一層多量の酸化
物を生成することができる。脱酸元素としてCaを用い
た実験を行った結果、鋼中に生成する酸化物粒子の組成
として、Caが5%以上、Alが5%以上含まれること
で、酸化物の体積分率すなわち酸化物量を大きくするこ
とが可能となることを知見した。この結果を基に、鋼中
に含まれる酸化物粒子の組成を、少なくともCa、A
l、Oを含み、Oを除いた元素が質量比でCaを5%以
上、Alを5%以上とした。
酸化物を多数生成させることに有効である。MgはCa
ほどの効果はないものの、Alより強い脱酸元素であ
り、酸素との溶解度積が小さい。したがって、MgをC
aと複合して脱酸に使用することで酸化物個数を一層増
加させることが可能となる。発明者らは脱酸元素として
Caを用いた実験を行った結果、鋼中に生成する酸化物
粒子の組成として、Caが5%以上、Alが5%以上、
Mgが1%以上含まれることで、酸化物の体積分率すな
わち酸化物量を一層大きくすることが可能となることを
知見した。この結果を基に、鋼中に含まれる酸化物粒子
の組成を、少なくともCa、Al、Mg、Oを含み、O
を除いた元素が質量比でCaを5%以上、Alを5%以
上、Mgを1%以上とした。
CaSおよびMgSといった硫化物が析出することで、
酸化物と硫化物とを併せてより一層の体積分率の増加が
可能となることを見出したのである。この結果をもと
に、鋼中に含まれる粒子の組成を、少なくともCa、A
l、O、Sを含み、Oを除いた元素が質量比でCaを5
%以上、Alを5%以上、Sを1%以上、もしくは、少
なくともCa、Al、Mg、O、Sを含み、Oを除いた
元素が質量比でCaを5%以上、Alを5%以上、Mg
を1%以上、Sを1%以上とした。
きさについて述べる。
は、分散粒子の体積率が大きいほど、一個の粒子径が大
きいほど大きいが、粒子の体積率が一定のとき、一個の
酸化物粒子の大きさが小さい方が粒子数が多くなりピン
ニング効果が大きくなるが、あまり小さくなると粒界に
存在する粒子の割合が小さくなるため、その効果は低減
すると考えた。粒子の大きさを種々変化させた試験片を
用いて、高温に加熱したときのオーステナイト粒径を詳
細に調査した結果、ピンニングには粒子の大きさとし
て、0.005〜2.0μmのものが効果が大きいこと
をつきとめた。さらに、オーステナイト粒界の移動を止
めるピンニング力は分散粒子のサイズが大きいほど強い
ことが判明し、粒子径0.005〜2.0μmの中でも
0.1〜2.0μmの粒子の大きさが特に有効であるこ
とを知見するに至った。0.1μmより小さくなるとピ
ンニング効果は徐々に減少し、0.005μmより小さ
くなるとほとんどピンニング効果を発揮しない。また、
2.0μmより大きい酸化物粒子はピンニング効果はあ
るものの、脆性破壊の起点となることがあるため鋼材の
特性上不適である。この結果より、必要な粒子径を0.
005〜2.0μm、その中でも特に0.1〜2.0μ
mとした。
の個数について検討した。
になり、粒子個数が多いほどHAZ靭性が向上するが、
鋼材に要求されるHAZ靭性は、その用途、使用される
溶接方法などによって複雑に異なる。特に要求特性が厳
しいと考えられる高強度の造船用鋼で大入熱溶接施工さ
れる場合に要求されるHAZ靭性、例えば、試験温度−
40℃において吸収エネルギー50J以上を満足するた
めには、図1に示すように、円相当径が0.005〜
2.0μmの酸化物粒子数が100個/mm2以上必要
であることを知見した。ただし、粒子数が多くなるほ
ど、その靭性向上効果は小さくなり、必要以上に粒子個
数を多くすることは靭性に有害な粗大な粒子が生成する
可能性が高くなることを考えると、粒子数の上限は30
00個/mm 2が適切である。
は、例えば以下の要領で行なう。母材となる鋼板から抽
出レプリカを作製し、それを電子顕微鏡にて10000
倍で20視野以上、観察面積にして1000μm2以上
を観察することで該酸化物の大きさおよび個数を測定す
る。大きさの測定は、例えば粒子を撮影した写真をもと
に、その円相当径を求める。このとき鋼板の表層部から
中心部までどの部位から採取した抽出レプリカでもよ
い。また、粒子が適正に観察可能であれば、観察倍率を
低くしてもかまわない。
まま、制御圧延、さらにこれと制御冷却と焼戻しの組合
せ、および焼入れ・焼戻しの組合せなどであっても酸化
物の効果は影響を受けない。
HAZ靭性が向上することを、図2に基づいて説明す
る。
す図で、実線は0.005〜2.0μmの酸化物粒子を
単位面積当たりの個数密度で100〜3000個/mm
2含有する本発明鋼の平均値を、点線は酸化物粒子を個
数密度で100個/mm2未満しか含有しない比較鋼の
平均値を示している。なお、PHAZは下記の式で表さ
れる。 PHAZ=340%C+42%Si+13%Mn+68
0%P+1250%S+130%Cr+220%Mo+
220%V+720%Nb−260%Al+5600
(%N−%Ti14/48)+3470%B
達成すべく成分調整を行った(Cを高め、Cu、Ni、
Nbを添加した)鋼ではPHAZが高くなるとHAZ靭性
は低下する。例えば試験温度−40℃において吸収エネ
ルギー50J以上を満足するHAZ靭性は、PHAZのa
〜bの範囲において本発明鋼で達成されていても比較鋼
では達成できない。つまり、酸化物粒子を分散させるこ
とによりHAZ靭性が大幅に向上することが分かる。
について述べる。
R(YP/TS)≦80%及びTS≧590MPaを達
成するためには、熱延終了後の冷却速度を4〜7.5℃
/sec、好ましくは5〜6.5℃/secとして、鋼
のミクロ組織がフェライトとベイナイトとの二相でフェ
ライト分率25〜75%とすることが必要である。
関係を示す図で、図3(b)は、フェライト分率とTS
との関係を示す図である。
うに、YRはフェライト(α)分率の増加に応じて低下
するので、YR80%以下を達成するにはミクロ組織が
フェライトとベイナイトとの二相組織であって、フェラ
イト分率25%以上とすることが必要である。また、図
3(b)に示すように、TS(MPa)もフェライト
(α)分率の増加に応じて低下するので、TS590M
Pa以上を達成するにはフェライト分率75%以下とす
ることが必要である。したがって、本発明では鋼のミク
ロ組織としてフェライト分率を25〜75%と限定し
た。
ト核生成サイトとなる働きがあるため、酸化物が多数分
散することで冷却速度を大きくしてもフェライトが生成
しやすい。冷却速度を大きくすることはベイナイト相の
強度を上昇させることになり、結果としては低YRにつ
ながる。本発明鋼はこの点においても有利であり、HA
Z靭性と低YRとの両立が可能である。
は、鋼材をナイタール腐食し、光学顕微鏡で観察、写真
撮影し、フェライトと判別できる主として白色の相分率
を測定する。分率測定は、写真に格子線を引き、フェラ
イト相に含まれる格子数を数えるポイントカウンティン
グ法が適当である。また、写真倍率は200〜400倍
が適当である。
べる。
り、図4のYRとC量との関係を示す図から明らかなよ
うに、Cが0.1%未満ではフェライト分率25%以上
とすることができず、YR:80%以下を達成すること
ができないので下限を0.1%とし、また過剰の添加
は、鋼材の溶接性やHAZ靭性などを著しく低下させる
ので、上限を0.2%とした。
成分であるが、HAZの硬化により靭性が低下するのを
防止するため上限を0.25%とした。
分として0.4%以上の添加が必要であるが、溶接部の
靭性、割れ性などの許容できる範囲で上限を2.0%と
した。
を工業的に低減させるためには多大なコストがかかるこ
とから、0.02%を上限とした。
を工業的に低減させるためには多大なコストがかかるこ
とから、0.02%を上限とした。
であり、0.1%以上必要であるが、1.0%を超える
とHAZ靭性を低下させることから、1.0%を上限と
した。
ために有効であり、0.1%以上必要であるが、Ni量
の増加は製造コストを上昇させるので、1.0%を上限
とした。
0.005%とした。また、Alが多量に存在すると、
鋳片の表面品位が劣化するため、上限を0.04%とし
た。
るために0.005%以上添加する。しかし、固溶Ti
量が増加するとHAZ靭性が低下するため、0.03%
を上限とした。
の強度および靭性を向上させるために有効な元素であ
り、0.005%以上必要であるが、HAZ部において
は過剰な添加は靭性を著しく低下させるため0.05%
を上限とした。
0.0005%以上の添加が必要である。しかしなが
ら、過剰の添加は粗大介在物を生成させるため、0.0
03%を上限とした。
で酸化物個数を増加させる元素である。しかしながら、
過剰の添加は粗大介在物を生成させるため、Mgは0.
002%以下としたが、好ましくは、0.0001〜
0.002%である。
び靭性を向上させる効果を有するがHAZ部においては
過剰な添加は靭性を著しく低下させるため、それぞれ
0.1%、0.6%、0.6%を上限とした。
向上させる元素であるが、0.0005%未満では充分
な効果が得られず、一方、0.003%を超えると靭性
を低下させるので、Bは0.0005〜0.003%と
した。
を試作した。1〜8が本発明鋼、9〜20が比較鋼であ
る。試作鋼は転炉溶製し、RHにて真空脱ガス処理時に
脱酸を行っている。連続鋳造により280mm厚鋳片に
鋳造した後、加熱圧延水冷を経て、板厚50mmの鋼板
として製造した。得られた鋼板を汎用の溶接材料を用い
て1パスのエレクトロスラグを溶接した。入熱は約90
0kJ/cmである。
に鋼板の加熱圧延水冷条件、母材特性、フェライト分
率、HAZ靭性を示す。靭性評価のためのシャルピー値
は、フュージョンライン部位で試験温度0℃にて6本の
試験を行い、その平均値である。
鋼は比較鋼と比べて吸収エネルギーが50J以上の優れ
たHAZ靭性、ならびにYRが80%以下の優れた低Y
R特性を有することが判る。すなわち、粒子径が、0.
005〜2.0μmで、本発明の範囲の化学組成を有す
る酸化物の粒子数が100〜3000個/mm2の範囲
にあり、0℃のHAZ靭性、低YR特性とも極めて優れ
ている。
験でHAZ靭性が40J未満の低い靭性しか示さない
か、YRが80%を超えるか、強度(TS)が590M
Paに達しなかった。9〜16は酸化物の組成もしくは
酸化物個数が本発明の範囲からはずれたため、HAZ靭
性が劣っている。17、18はフェライト分率が本発明
の範囲から低くはずれたためYRが80%を超えてい
る。19、20はフェライト分率が本発明の範囲から高
くはずれたため強度不足となっている。
熱溶接、超大入熱溶接に対しても優れた溶接継手靭性を
有するYR≦80%、TS≧590MPaの鋼板を提供
でき、大型建築構造物等を溶接によって製造することが
要求される産業分野にもたらす効果は極めて大きく、さ
らに構造物の安全性の意味から社会に対する貢献も非常
に大きい。
を示す図である。
図で、(b)はフェライト分率とTSとの関係を示す図
である。
Claims (7)
- 【請求項1】 質量%で、 C:0.1〜0.2%、 Si:0.05〜0.25%、 Mn:0.4〜2.0%、 P:0.02%以下、 S:0.02%以下、 Cu:0.1〜1.0%、 Ni:0.1〜1.0%、 Al:0.005〜0.04%、 Ti:0.005〜0.03%、 Nb:0.005〜0.05%、 Ca:0.0005〜0.003% を含有し、残部はFeおよび不可避不純物からなる鋼
で、かつ、この鋼中に円相当径で0.005〜2.0μ
mの酸化物粒子を単位面積当たりの個数密度で100〜
3000個/mm2含有し、その酸化物粒子の組成が少
なくともCa、Al、Oを含み、Oを除いた元素が質量
比で、 Ca:5%以上、 Al:5%以上 を含有し、かつ鋼のミクロ組織がフェライトとベイナイ
トとの二相でフェライト分率が25%〜75%であるこ
とを特徴とする低YR特性および超大入熱溶接継手靭性
に優れた600MPa級鋼。 - 【請求項2】 前記酸化物粒子の組成が少なくともC
a、Al、O、Sを含み、Oを除いた元素が質量比で、 Ca:5%以上、 Al:5%以上、 S:1%以上 を含有し、残部がその他不可避不純物からなることを特
徴とする請求項1記載の低YR特性および超大入熱溶接
継手靭性に優れた600MPa級鋼。 - 【請求項3】 質量%で、 C:0.1〜0.2%、 Si:0.05〜0.25%、 Mn:0.4〜2.0%、 P:0.02%以下、 S:0.02%以下、 Cu:0.1〜1.0%、 Ni:0.1〜1.0%、 Al:0.005〜0.04%、 Ti:0.005〜0.03%、 Nb:0.005〜0.05%、 Ca:0.0005〜0.003%、 Mg:0.002%以下 を含有し、残部はFeおよび不可避不純物からなる鋼
で、かつ、この鋼中に円相当径で0.005〜2.0μ
mの酸化物粒子を単位面積当たりの個数密度で100〜
3000個/mm2含有し、その酸化物粒子の組成が少
なくともCa、Al、Mg、Oを含み、Oを除いた元素
が質量比で、 Ca:5%以上、 Al:5%以上、 Mg:1%以上 を含有し、かつ鋼のミクロ組織がフェライトとベイナイ
トとの二相でフェライト分率が25%〜75%であるこ
とを特徴とする低YR特性および超大入熱溶接継手靭性
に優れた600MPa級鋼。 - 【請求項4】 前記酸化物粒子の組成が少なくともC
a、Al、Mg、O、Sを含み、Oを除いた元素が質量
比で、 Ca:5%以上、 Al:5%以上、 Mg:1%以上、 S:1%以上 を含有し、残部がその他不可避不純物からなることを特
徴とする請求項3記載の低YR特性および超大入熱溶接
継手靭性に優れた600MPa級鋼。 - 【請求項5】 質量%で、 V:0.1%以下、 Cr:0.6%以下、 Mo:0.6%以下 の内の1種または2種以上を含有することを特徴とする
請求項1〜請求項4のいずれかに記載の低YR特性およ
び超大入熱溶接継手靭性に優れた600MPa級鋼。 - 【請求項6】 質量%で、 B:0.0005〜0.003% を含有することを特徴とする請求項1〜請求項5のいず
れかに記載の低YR特性および超大入熱溶接継手靭性に
優れた600MPa級鋼。 - 【請求項7】 前記酸化物粒子が円相当径で0.1〜
2.0μmであることを特徴とする請求項1〜請求項6
のいずれかに記載の低YR特性および超大入熱溶接継手
靭性に優れた600MPa級鋼。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001057031A JP3502842B2 (ja) | 2001-03-01 | 2001-03-01 | 低YR特性ならびに超大入熱溶接継手靭性に優れた600MPa級鋼 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2001057031A JP3502842B2 (ja) | 2001-03-01 | 2001-03-01 | 低YR特性ならびに超大入熱溶接継手靭性に優れた600MPa級鋼 |
Publications (2)
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