JP2002255976A - メルカプト基を有するケイ素化合物の製造方法 - Google Patents

メルカプト基を有するケイ素化合物の製造方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】減圧蒸留等の精製時の分解を抑制し、式(I)
(式中、X1〜X3は、それぞれ同一または相異なってい
てもよく、水素または一価の基であって、少なくとも一
つは加水分解性基を表し、R1は単結合または二価の有
機基を表す。)で表される化合物を高収率で得ることが
でき、しかも処理困難な蒸留残渣の生成量を著しく減少
することができる工業的な製造方法を提供すること。 【解決手段】反応によって得られる式(I)を含む反応
液を無水鉱酸および/または有機酸で処理してpH7以
下に調整した後に、精製工程を行う。 【化1】

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、シランカップリン
グ剤として有用な3−メルカプトプロピルアルコキシシ
ラン等のメルカプト基、加水分解性基を有するケイ素化
合物の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】分子内にメルカプト基、加水分解性基を
有するケイ素化合物の製造方法としては、例えば、特開
平8−291185号公報に、アルカリ金属硫化水素化
物と一般式 X(CH23Si(OR)a3-a (XはC
lまたはBrを表し、Rはメチル基、エチル基、プロピ
ル基を表し、それぞれ同一であっても異なっていてもよ
い。aは1、2、3の整数を表す。)で表される3−ハ
ロプロピルアルコキシシランとを密閉、加圧下、過剰の
硫化水素存在下で反応せしめることにより、穏和な条件
下でかつスルフィド化合物の副生を抑制するメルカプト
アルコキシシランを高収率で得る製造方法が記載されて
いる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、この方
法では、反応終了時に反応液を分析したところ、90%
以上の高収率で目的物が得られているにもかかわらず、
そのまま精製工程である減圧蒸留して目的物を単離する
際に、目的物が分解して収率が10%以上も低下し、処
理困難な蒸留残渣が多量に生成するといった問題点があ
った。本発明は、この方法の欠点を排除し、工業的に大
量の生産を行うには、目的物であるメルカプト基、加水
分解性基を少なくとも1つ有するケイ素化合物の減圧蒸
留等の精製工程における分解を抑制し、後処理にかかる
負荷を軽減した製造方法を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決すべく鋭意検討した結果、反応終了後、反応系内
の未反応また過剰のアルカリ金属硫化水素化物を無水鉱
酸および/または有機酸で処理することにより、目的物
の精製工程時の分解を抑制し、その結果として処理困難
な蒸留残渣の生成量を著しく減少できることを見出し、
本発明を完成するに至った。
【0005】即ち、本発明は、(1)式(I)
【化4】 (式中、X1〜X3は、それぞれ同一または相異なってい
てもよく、水素または一価の基であって、少なくとも一
つは加水分解性基を表し、R1は単結合または二価の有
機基を表す。)で表されるケイ素化合物の製造方法にお
いて、反応によって得られる式(I)を含む反応液を無
水鉱酸および/または有機酸で処理してpH7以下に調
整した後に、精製工程を行うことを特徴とする製造方
法、(2)反応によって得られる式(I)で表される化
合物を含む反応液が、アルカリ金属硫化水素化物と式
(II)
【化5】 (式中、X1〜X3、及びR1は前記と同じ意味を表し、
Yはハロゲン原子を表す。)で表される化合物を反応さ
せて得られる反応液であることを特徴とする(1)に記
載の製造方法、(3)アルカリ金属硫化水素化物がアル
カリ金属アルコキシドと硫化水素を反応させて得られる
ものであることを特徴とする(2)に記載の製造方法。
(4)反応によって得られる式(I)で表される化合物
を含む反応液が、無水アルカリ金属硫化物と硫化水素を
反応させた後、式(II)
【化6】 (式中、X1〜X3、R1、およびYは前記と同じ意味を表
す。)、で表される化合物を反応させて得られる反応液
であることを特徴とする(1)に記載の製造方法、
(5)反応によって得られる式(I)を含む反応液を無
水鉱酸および/または有機酸で処理してpH7以下に調
整する工程において、pHを5〜7に調整することを特
徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載の製造方法、
(6)有機酸が、C1〜C6の有機酸であることを特徴
とする(1)〜(5)のいずれかに記載の製造方法、
(7)C1〜C6の有機酸が、ギ酸または酢酸であるこ
とを特徴とする(6)に記載の製造方法、に関する。
【0006】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳述する。本発明
の製造方法が適用される式(I)で表される化合物中、
1〜X3は、それぞれ同一または相異なっていてもよ
く、水素または一価の基であって、少なくとも一つは加
水分解性基を表す。
【0007】加水分解性基としては、無触媒ないし、塩
酸、硫酸、硝酸、アルコキシジルコニア、アルコキシチ
タニアなどの酸性触媒あるいは、水酸化ナトリウム、ア
ンモニア、テトラヒドロアンモニウムハイドロキサイド
等の塩基性触媒を使用し、水の共存下、室温(25℃)
〜100℃の温度範囲内で加熱することにより、加水分
解されてシラノール基を生成することができる基、もし
くはシロキサン縮合物を形成することができる基であれ
ば特に制限さえない。具体的には、水素原子、炭素数1
〜12のアルコキシ基、ハロゲン原子、アミノ基および
カルボキシル基等が挙げられる。
【0008】より具体的には、メトキシ基、エトキシ
基、プロポキシ基、ブトキシ基、フェノキシベンジロキ
シ基、メトキシエトキシ基、アセトキシエトキシ基、2
−(メタ)アクリロキシエトキシ基、3−(メタ)アク
リロキシプロポキシ基、4−(メタ)アクリロキシブト
キシ基、グリシジロキシ基、エポキシ化シクロヘキシル
エトキシ基、メチルオキセタンメトキシ基、エチルオキ
セタンメトキシ基、オキサシクロヘキシロキシ基、フッ
素、塩素、臭素、ヨウ素、アミノ基、ジメチルアミノ
基、ジエチルアミノ基、ブチルアミノ基、ジブチルアミ
ノ基、フェニルアミノ基、ジフェニルアミノ基、アセト
キシ基、プチロイルオキシ基等を挙げることができる。
また、加水分解性基として特に加水分解性が優れている
ことから、炭素数1〜12のアルコキシ基のうち、メト
キシ基、エトキシ基、プロポキシ基、およびブトキシ基
であることがより好ましい。
【0009】また、官能基X1〜X3に非加水分解性基が
含まれる場合、その非加水分解性基としては、置換また
は非置換のメチル基、エチル基、プロピル基、フェニル
基等が挙げられる。また、式(I)中、R1は、単結合ま
たはニ価の有機基を表す。具体的には、置換または非置
換のメチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン
基等を例示することができる。これらのうち、嵩高くな
く、加水分解性基の加水分解をより阻害しないことか
ら、メチル基、エチル基、およびプロピル基であること
がより好ましい。
【0010】式(I)で表される化合物として具体的に
は、下記式で表される化合物を例示することができる。
【0011】
【化7】
【0012】シランカップリング剤としては、ジアルコ
キシシラン又はトリアルコキシシランが好ましく、特
に、トリアルコキシシランが好ましい。非加水分解性基
としては、反応性、原料の入手のし易さから、メチル基
又はエチル基が好ましく、特にメチル基が好ましい。
【0013】本発明の製造に使用される式(II)で表さ
れ化合物中、X1〜X3、及びR1は前記と同じ意味を表
し、同様の具体例を例示することができる。Yはハロゲ
ン原子を表す。式(II)で表される化合物として、具体
的には、式(I)で表される化合物の具体例において、
メルカプト基(SH基)をハロゲン原子に置換した具体
例を例示することができる。ハロゲン原子の中でも特に
クロル原子、ブロム原子を好ましく用いることができ
る。
【0014】本反応に使用されるアルカリ金属硫化水素
化物としては、水硫化ナトリウム、水硫化カリウムが挙
げられ、工業的には水硫化ナトリウムが好ましい。水硫
化ナトリウムは系外で製造されたものや無水硫化ナトリ
ウムと硫化水素とを系内で反応させて製造したものを使
用してもよいが、通常は系内のナトリウムアルコラート
アルコール溶液に硫化水素を注入することで容易に水硫
化ナトリウムを製造することができる。
【0015】アルカリ金属水硫化物は、式(II)で表さ
れる化合物に1モルに対して1モル以上使用するのが好
ましく、さらに1.03〜1.25モルの範囲で使用す
るのが好ましい。
【0016】式(I)で表される化合物の製造は、溶媒
の存在下で行うことが好ましい。使用可能な溶媒として
は、メタノール等のアルコール系溶媒の他、テトラヒド
ロフラン、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエ
ーテル等のエーテル系溶媒、ベンゼン、キシレン、n−
ヘキサン、シクロヘキサン等の炭化水素系溶媒、アセト
ニトリル等のニトリル系溶媒等を例示することができ、
これらを1種単独でまたは2種以上混合して用いること
ができるが、特にこれらの溶媒に限定されるものではな
い。
【0017】式(I)で表される化合物を得る反応方法
として、3−メルカプトプロピルトリメトキシシランの
製造の例をとって具体的に説明する。水硫化ナトリウム
の溶液が入った耐圧反応容器に、系内に本来の反応には
必要ないと思われる硫化水素を存在させる。具体的に
は、反応容器内を硫化水素により1.0〜4.0kg/
cm2、好ましくは2.0〜4.0kg/cm2に保つよ
うにする。この操作は、従来は5〜10%程度の生成が
不可避とされていたスルフィド体の生成を1%程度にま
で抑制する効果がある。また、密閉下で反応を行うため
に、雰囲気から進入してくる水分で加水分解を生じて重
合物を生じることもなく、高収率となる。
【0018】次いで、上記反応容器中に、3−クロロプ
ロピルトリアルコキシシランを1時間以上、好ましくは
1〜3時間かけて徐々に滴下する。3−クロロプロピル
トリアルコキシシランを水硫化ナトリウム中に滴下する
ことは、副生成物であるスルフィド体の生成を抑制する
上で有利に働く。又、滴下時間を1時間以上にすると、
同様に副生するスルフィド体の生成が抑制できる。但
し、3時間以上では3時間での滴下に比べて余り改善さ
れない。
【0019】3−クロロプロピルトリアルコキシシラン
滴下終了後、70℃以上、好ましくは90℃以上120
℃以下で反応を完結させる。70℃以下の場合は反応完
結に5時間以上を必要とし、逆に120℃以上の場合は
装置の耐圧性に大きな負荷がかかる。
【0020】本発明では、反応終了後、例えば未反応の
アルカリ金属硫化水素化物等のアルカリ成分を、硫化水
素よりもpKaが小さい、水を含有しない鉱酸又は有機
酸で処理し、pHを7以下にした後、蒸留等の精製工程
を行うことを特徴とする。
【0021】水を含有する酸を使用すると、目的物であ
る式(I)で表される化合物が加水分解を受けて重合物
を生じ、収率が低下することになる。本発明で使用され
る酸としては、具体的には、塩化水素、臭化水素、塩化
水素、臭化水素、ホウ酸等の無水の鉱酸、ギ酸、酢酸、
プロピオン酸、モノクロル酢酸、クエン酸無水物、酒石
酸等の有機酸を例示することができる。
【0022】前記した酸を用いる処理方法としては、反
応完結後、反応液を冷却し、反応容器内を大気圧に戻し
た後、未反応のアルカリ金属硫化水素化物等のアルカリ
成分を、硫化水素よりもpKaが小さい、水を含有しな
い鉱酸又は有機酸を添加して行う。添加する量は、pH
が7以下になる量であれば特に制限されないが、アルカ
リ成分と添加する酸成分が中和するまでの量が好まし
く、さらに、pHが5〜7の範囲になるように調整する
のが好ましい。pH7以上では、分解抑制効果が小さ
く、pH5以下では、精製後の目的物中に用いた酸が混
入するおそれがあり、使用する場面によっては問題にな
る場合がある。
【0023】両者の中和点およびpHの検出方法として
は、非水pH電極を用いたpH計若しくは導電率計で決
めても良いし、用いたアルカリ金属硫化水素化物と式
(II)で表される化合物から化学量論的に計算して求め
ることもできる。また、目的とする式(I)で表される
化合物と蒸留等の精製で分離可能な酸を使用する場合に
は、必要量よりも大過剰使用することもできる。
【0024】導電率計で中和終点を決める場合は、アル
カリ金属硫化水素化物が中和されるに従い導電率が低下
し、酸が過剰になると導電率が大きくなることから、連
続的に導電率を測定し、導電率が極小になった点を終点
とする。中和終了後、反応で生成した塩を濾別し、反応
液から溶媒を留去した後、例えば反応で生成した塩を濾
別し、そのご減圧蒸留して、目的とする式(I)で表さ
れる化合物を得ることができる。
【0025】以下に実施例をもって本発明を詳述する
が、本発明はこれらの実施例によって限定されるもので
はない。
【0026】
【実施例】実施例1 攪拌機、還流器、温度計、ガス吹き込み管を備えた1リ
ットル四つ口フラスコに、無水硫化ナトリウム93.6
g(1.2mol)を入れた。更に、メタノール400
gを入れ、無水硫化ナトリウムを溶解させた。この時発
熱が生じ、内温は約60℃まで上昇した。溶解後、ガス
吹き込み管より硫化水素53.2g(1.56mol)
を2時間かけて、30〜40℃の温度で吹き込んだ。次
に、反応溶液を1リットルオートクレーブに入れ、内温
が70℃になるまで加熱した。この時の内圧は、1.5
kg/cm2となった。ここに、3−クロロプロピルト
リメトキシシラン397.4g(2.0mol)を1時
間かけて圧入し、70〜80℃で反応させた。3−クロ
ロプロピルトリメトキシシラン圧入後、温度を70〜8
0℃に保って4時間熟成した。この反応溶液を冷却後大
気圧に戻し、攪拌下、反応溶液に塩化水素ガス30g
(0.8mol)をゆっくり吹き込んで中和した。次い
で、濾過して塩化ナトリウムを除去した。ここで、濾液
をガスクロマトグラフィーで分析したところ、生成物比
は以下に示すとおりであり、スルフィドの生成は微量で
あった。 成 分 組成比 HS(CH23Si(OMe)3 97.7% S{(CH2)3Si(OMe)32 2.3%
【0027】濾液からメタノールを留去した後、減圧蒸
留した結果、圧力4mmHgで沸点が85℃の留分とし
て3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン376.
2gを得た(収率 95.8%)。蒸留残渣は、やや粘
稠な油状物が16.5gであった。蒸留残渣の蒸留フラ
スコからの抜き出しは問題なかった。
【0028】実施例2 攪拌機、還流器、温度計、ガス吹き込み管を備えた1リ
ットル四つ口フラスコに、28%ナトリウムメトキシド
のメタノール溶液462.9g(2.4mol)を入
れ、ガス吹き込み管より硫化水素88.5g(2.6m
ol)を4時間かけて、30〜40℃の温度で吹き込ん
だ。次に、反応溶液を1リットルオートクレーブに入
れ、内温が70℃になるまで加熱した。この時の内圧
は、1.5kg/cm2となった。ここに、3−クロロ
プロピルトリメトキシシラン397.4g(2.0mo
l)を1時間かけて圧入し、70〜80℃で反応させ
た。3−クロロプロピルトリメトキシシラン圧入後、温
度を70〜80℃に保って3時間熟成した。この反応溶
液を冷却後大気圧に戻し、ギ酸でpH5に調整した。使
用したギ酸は27.6g(0.6mol)であった。次
いで、濾過して塩化ナトリウムを除去した。ここで、濾
液をガスクロマトグラフィーで分析したところ、生成物
比は以下に示すとおりであり、スルフィドの生成は微量
であった。 成 分 組成比 HS(CH23Si(OMe)3 97.6% S{(CH23Si(OMe)32 2.4%
【0029】濾液からメタノールを留去した後、減圧蒸
留した結果、圧力4mmHgで沸点が85℃の留分とし
て3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン375.
4gを得た(収率 95.6%)。蒸留残渣は、やや粘
稠な油状物が17.3gであった。蒸留残渣の蒸留フラ
スコからの抜き出しは問題なかった。
【0030】実施例3 攪拌機、還流器、温度計、ガス吹き込み管を備えた1リ
ットル四つ口フラスコに、28%ナトリウムメトキシド
のメタノール溶液303.8g(1.58mol)を入
れ、ガス吹き込み管より硫化水素57.3g(1.68
mol)を2時間かけて、30〜40℃の温度で吹き込
んだ。次に、反応溶液を1リットルオートクレーブに入
れ、内温が70℃になるまで加熱した。この時の内圧
は、1.5kg/cm2となった。ここに、3−クロロ
プロピルトリメトキシシラン298.1g(1.5mo
l)を1時間かけて圧入し、70〜80℃で反応させ
た。3−クロロプロピルトリメトキシシラン圧入後、温
度を100℃に保って1時間熟成した。この反応溶液を
冷却後大気圧に戻し、導電率を測定しながらギ酸を滴下
した。導電率が減少していき増加に転じた点を中和終点
とした。使用したギ酸は5.9g(0.13mol)で
あった。次いで、濾過して塩化ナトリウムを除去した。
ここで、濾液をガスクロマトグラフィーで分析したとこ
ろ、生成物比は以下に示すとおりであり、スルフィドの
生成は微量であった。 成 分 組成比 HS(CH23Si(OMe)3 97.2% S{(CH23Si(OMe)32 2.8%
【0031】濾液からメタノールを留去した後、減圧蒸
留した結果、圧力4mmHgで沸点が85℃の留分とし
て3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン280.
7gを得た(収率 95.3%)。蒸留残渣は、やや粘
稠な油状物が13.8gであった。蒸留残渣の蒸留フラ
スコからの抜き出しは問題なかった。
【0032】攪拌機、還流器、温度計、ガス吹き込み管
を備えた1リットル四つ口フラスコに、28%ナトリウ
ムメトキシドのメタノール溶液462.9g(2.4m
ol)を入れ、ガス吹き込み管より硫化水素88.5g
(2.6mol)を4時間かけて、30〜40℃の温度
で吹き込んだ。次に、反応溶液を1リットルオートクレ
ーブに入れ、内温が70℃になるまで加熱した。この時
の内圧は、1.5kg/cm2となった。ここに、3−
クロロプロピルトリメトキシシラン397.4g(2.
0mol)を1時間かけて圧入し、70〜80℃で反応
させた。3−クロロプロピルトリメトキシシラン圧入
後、温度を70〜80℃に保って3時間熟成した。この
反応溶液を冷却後大気圧に戻し、濾過して塩化ナトリウ
ムを除去した。ここで、濾液をガスクロマトグラフィー
で分析したところ、生成物比は以下に示すとおりであ
り、スルフィドの生成は微量であった。 成 分 組成比 HS(CH23Si(OMe)3 97.6% S{(CH23Si(OMe)32 2.4%
【0033】濾液からメタノールを留去した後、減圧蒸
留した結果、圧力4mmHgで沸点が85℃の留分とし
て3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン327.
8gを得た(収率 83.5%)。蒸留残渣は、高粘稠
な油状物と細かい白色固形物の混合物64.9gであっ
た。蒸留残渣の蒸留フラスコからの抜き出しは非常に困
難であった。
【0034】
【発明の効果】以上述べたように、本発明の方法を用い
れば、減圧蒸留時の分解を抑制し、高純度高収率で目的
のメルカプト基、加水分解性基を有するケイ素化合物を
製造することができ、しかも処理困難な蒸留残渣の生成
量を著しく減少することができ、工業的な製造法として
優れている。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】式(I) 【化1】 (式中、X1〜X3は、それぞれ同一または相異なってい
    てもよく、水素または一価の基であって、少なくとも一
    つは加水分解性基を表し、R1は単結合または二価の有
    機基を表す。)で表されるケイ素化合物の製造方法にお
    いて、反応によって得られる式(I)を含む反応液を無
    水鉱酸および/または有機酸で処理してpH7以下に調
    整した後に、精製工程を行うことを特徴とする製造方
    法。
  2. 【請求項2】反応によって得られる式(I)で表される
    化合物を含む反応液が、アルカリ金属硫化水素化物と式
    (II) 【化2】 (式中、X1〜X3、及びR1は前記と同じ意味を表し、
    Yはハロゲン原子を表す。)で表される化合物を反応さ
    せて得られる反応液であることを特徴とする請求項1に
    記載の製造方法。
  3. 【請求項3】アルカリ金属硫化水素化物がアルカリ金属
    アルコキシドと硫化水素を反応させて得られるものであ
    ることを特徴とする請求項2に記載の製造方法。
  4. 【請求項4】反応によって得られる式(I)で表される
    化合物を含む反応液が、無水アルカリ金属硫化物と硫化
    水素を反応させた後、式(II) 【化3】 (式中、X1〜X3、R1、およびYは前記と同じ意味を表
    す。)、で表される化合物を反応させて得られる反応液
    であることを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
  5. 【請求項5】反応によって得られる式(I)を含む反応
    液を無水鉱酸および/または有機酸で処理してpH7以
    下に調整する工程において、pHを5〜7に調整するこ
    とを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の製造方
    法。
  6. 【請求項6】有機酸が、C1〜C6の有機酸であること
    を特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の製造方
    法。
  7. 【請求項7】C1〜C6の有機酸が、ギ酸または酢酸で
    あることを特徴とする請求項6に記載の製造方法。
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