JP2002248508A - コールドピルガーミル用ロールダイスの製造方法 - Google Patents
コールドピルガーミル用ロールダイスの製造方法Info
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Abstract
ルドピルガー用ロールダイスの製造方法を提供する。 【解決手段】質量%で、C:0.2〜0.6%、Cr:
3〜9%、Mo:0.5〜3%、P:0.02%以下、
S:0.005%以下を含む鋼からなる鋳片を、110
0℃以上に加熱し、鍛造または圧延を施して軸方向にメ
タルフローを有する円柱体とし、800〜880℃で1
時間以上加熱した後炉冷する焼なましを施し、軸心が円
柱体軸方向と一致し外周面に孔型が形成されたロールダ
イスを製造し、1000〜1100℃からの焼入れと5
00〜600℃での焼戻しを施して硬さを52HRC〜
60HRCとする。
Description
延に用いられるコールドピルガーミル用ロールダイスの
製造方法に関する。
して、コールドピルガーミルによる冷間圧延法が知られ
ている。図1はコールドピルガーミルの要部の一例を示
す斜視図であり、図2は圧延方法を説明するための図
で、ロールダイスの孔型を展開して示す図である。
上下1対のロールダイス10を備えている。このロール
ダイス10は、その周面に孔型11が形成され、軸心に
設けられた図示を省略した回転軸により、ロールスタン
ド20に支持されている。回転軸の一端には、回転径
(P.C.D)がロールダイス10の外径より若干小さ
いピニオンギア21が、水平なラックギア22に噛み合
った状態で設けられている。
ネクティングロッドの駆動により矢印イ方向に往復移動
する。これに伴い、ロールダイス10は、矢印イ方向に
往復移動するとともに、この往復移動の間に矢印ロ方向
に往復回転する。
11は、加工部11a、成形部11b、逃げ部11cお
よび逃げ部11dにより構成される。
の幅方向とする略楕円形のほぼ半分からなり、図2に示
す加工開始点aから加工終了点bに向かって径(深さ)
が連続的に小さくなる。成形部11bは、断面形状が略
真円のほぼ半分からなり、加工終了点bから成形終了点
cまで径(深さ)が等しい。逃げ部11cは、成形部1
1bの下死点Sb側に形成され、逃げ部11dは、加工
部11aより上死点Sa側に形成されている。なお、図
2における孔型の底11eは、ロールダイス10が上死
点Saと下死点Sbの間を往復移動(往復回転)する間
の、孔型11を展開して示したときの前記孔型11の底
を示す。
は、マンドレル30が設けられている。マンドレル30
は、先端に向かって外径が小さくなるテーパ部31とテ
ーパ部31の小径側に続いて形成された等径部32とを
備え、テーパ部31および等径部32を、孔型11の加
工部11aおよび成形部11bの移動領域に対向させて
配置されている。
り管Pを圧延する際は、ロールスタンド20を往復移動
させ、孔型11の逃げ部11dの領域、または逃げ部1
1dと逃げ部11cの領域で、管Pを図2の左側からマ
ンドレル30に沿って所定長さ送るとともに管軸廻りに
所定角度回転させる。この操作により管Pは、その先端
から、ロールダイス10に設けられた孔型11の加工部
11aと、マンドレル30のテーパー部31との間で縮
径減肉加工され、その後孔型11の成形部11bとマン
ドレル30の等径部32とにより成形される。圧延中
は、管Pとロールダイス10およびマンドレル30との
間の潤滑のために、潤滑油が用いられる。
は、下記式に規定される減面率Yが75%以上の高加
工度で行われる。
イスは、その寿命の点から次のような性質が要求され
る。
に、断面形状が、長径側を孔型の幅方向とする略楕円形
のほぼ半分で、ロールダイスの周方向に径(深さ)が連
続的に変化する。このように孔型の径(深さ)が変化す
るロールダイスを、一定の回転径のピニオンギアにより
回転させて管を圧延すると、ロールダイスの周方向各位
置において孔型の底の周速度が異なる。また、孔型の1
断面においても孔型表面の各位置における周速度が異な
る。そのため、孔型のほとんどの部分には、圧延される
管との間にスリップが生じ、スリップが生じた部分が摩
耗するおそれがある。したがって、スリップによる摩耗
を防止するための耐摩耗性が要求される。
り、摩耗が生じた場合は、スリップの程度に応じて摩耗
量が異なるため、孔型の寸法管理の点からも耐摩耗性が
要求される。また、摩耗により焼き付きが発生すること
があるため、耐焼き付き性も要求される。
極めて高い。そのため、圧延中の管は加工硬化し、加工
硬化した管を圧延する孔型には高い面圧が生じる。この
高い面圧に耐えるための適度の硬さが要求される。
ダイスの往復移動と往復回転とによる間欠的な圧延であ
る。そのため、ロールダイスには衝撃力が加わる。特
に、圧延能率を上げるためにロールスタンドの往復移動
速度を速くすると、これに伴い、ロールダイスに加わる
衝撃力が大きくなる。この大きな衝撃力に耐えるため
に、靱性が要求される。
れる管の送り量が設定量より大きくなった場合や、マン
ドレルが圧延中に折れ、折れた部分が管の送りとともに
圧延方向に送られた場合には、ロールダイスに衝撃的な
負荷がかかり、ロールダイスが孔型の底から割れるおそ
れがある。このような衝撃的な負荷に耐えるためにも、
靱性が要求される。
ス、マンドレル)と管との間の潤滑のために、塩素系極
圧添加剤(例えば塩素化パラフィン)と鉱物油とを主成
分とする潤滑油が用いられる場合がある。この潤滑油で
は、極圧反応により生じた塩素イオンの大部分が塩化鉄
となって、工具と管との間の焼き付きを防止する。しか
し、遊離した塩素イオンは、潤滑油中に含まれる。この
潤滑油中に含まれる塩素イオンがロールダイスに接触す
るため、ロールダイスには腐食摩耗が生じるとともに疲
労寿命が低下する。したがって、上記の潤滑剤を使用す
る場合は、塩素イオンに対する耐腐食性が要求される。
ドピルガーミルのロールダイスとして、従来は、JIS
G 4805のSUJ5に規定される軸受鋼、および
JIS G4404のSKD11に規定される冷間金型
用の合金工具鋼が用いられていたが、いずれも前記の要
求を全て満たすものではなかった。
の長いロールダイスが、特開平4−172113号公報
および特開平10−85806号公報に開示されてい
る。
たロールダイスは、化学組成が前記JIS G4404
のSKD11に規定される合金工具鋼を基準とし、硬さ
が52HRC〜56HRCで、ロール軸方向のメタルフ
ローを有する。
の硬さで用いられる前記の合金工具鋼の硬さを、52H
RC〜56HRCと低くすることによって靱性を向上さ
せ、耐割れ性および耐摩耗性を高めている。しかし、高
C−高Cr鋼であるため、巨大な炭化物が不可避的に生
成し、硬さの低下に見合っただけの靱性の向上が得られ
ない。
ているロールダイスは、孔型面を窒化して孔型の底に圧
縮残留応力を生じさせることにより、割れの防止を図っ
たロールダイスである。
孔型の表面の硬さが上昇する反面、靱性が極端に低下し
て割れ感受性が高くなり、孔型表面から亀裂が入り易
く、また亀裂の進展が著しい。
ダイスは、特に靭性が不足し、前記の要求全てを満たす
ものではない。また、最近では、難加工材(例えば2相
ステンレス鋼、ニッケル基合金)からなる管が圧延の対
象とされるとともに、高加工度による高速圧延が要求さ
れるため、更に寿命の長いロールダイスが望まれてい
る。
摩耗性および耐食性に優れ、寿命の長いコールドピルガ
ーミル用ロールダイスの製造方法を提供することにあ
る。
の(A)から(E)の工程からなるコールドピルガーミ
ル用ロールダイスの製造方法にある。 (A)質量%で、C:0.2〜0.6%、Cr:3〜9
%、Mo:0.5〜3%、P:0.02%以下、S:
0.005%以下を含む鋼からなる鋳片を製造する (B)1100℃以上に加熱した鋳片に鍛造または圧延
を施して軸方向にメタルフローを有する円柱体を製造す
る (C)円柱体に、800〜880℃で1時間以上加熱し
た後炉冷する焼なましを施す (D)円柱体から、軸心が円柱体の軸方向と一致し外周
面に孔型が形成されたロールダイスを製造する (E)ロールダイスに、1000〜1100℃からの焼
入れと500〜600℃での焼戻しを施し、硬さを52
HRC〜60HRCとする。
ールドピルガーミル用ロールダイスの化学組成について
説明する。なお、化学組成の含有量を表す%は、全て質
量%である。
めるとともに、CrおよびMoの炭化物を形成して耐摩
耗性を向上させる。そのためには0.2%以上必要であ
る。一方、0.6%を超えると溶解後の凝固時にCrお
よびMoの巨大炭化物の析出が著しくなり、靱性が低下
する。したがって、Cの含有量は0.2〜0.6%とす
る。なお、好ましい範囲は、0.3〜0.5%である。
て焼入れ性を高める。また、Cr炭化物を形成して耐摩
耗性を向上させる。そのためには3%以上必要である。
しかし、9%を超えると、溶解後の凝固時に巨大炭化物
が析出しやすくなり、靱性が低下する。したがって、C
rの含有量は3〜9%とする。なお、好ましい範囲は、
4〜6%である。
とともに、炭化物を形成して耐摩耗性を向上させ、更
に、耐熱強度を高める。これらの効果を発揮するために
は、0.5%以上必要である。しかし、3%を超える
と、その効果が飽和するのみならず、熱間加工性が低下
する。したがって、Moの含有量は、0.5〜3%とす
る。また、ピルガーミル圧延において、極圧添加剤とし
ての塩素を多量に含む潤滑油が用いられる場合、圧延中
に極圧反応により塩素イオンが発生する。この塩素イオ
ンの大部分は、塩化鉄となってロールダイスと圧延され
る管との接触部の焼き付きを防止するが、一部は潤滑油
中に混入する。ロールダイスは、圧延中、この塩素イオ
ンが混入した潤滑油と常に接触するため、塩素イオンに
より疲労寿命が低下するとともに腐食摩耗が進むおそれ
がある。Moは、この塩素イオンによる疲労寿命の低下
と腐食摩耗の進行を防ぐ。この効果を得るためには、M
oの下限を1%とするのがよい。
靱性および熱間加工性を低下させる。また、焼戻し脆化
を助長する。したがって、含有量の上限を0.02%と
する。好ましい上限は0.01%である。
硫化物として存在して、前記Pと同様に靱性および熱間
加工性を低下させる。したがって、含有量の上限を0.
005%とする。好ましい上限は0.003%である。
の元素を含む鋼で構成されるが、更に、使用目的により
次の合金元素を1種以上含んでもよい。
上させる。この効果を得るためには、0.1%以上必要
である。しかし、2%を超えてもその効果は飽和する。
したがって、含有させる場合は、0.1〜2%とする。
を防止し、強度と靱性を向上させる。そのためには、
0.1%以上必要である。しかし、2%を超えると熱間
加工性を低下させる。したがって、含有量させる場合
は、0.1〜2%とする。
止するとともに、微細な炭化物を形成して耐摩耗性およ
び焼入れ性を改善する。この効果を得るためには、0.
1%以上必要である。しかし、2%を超えると加工性が
低下する。したがって、含有させる場合は、0.1〜2
%とする。
に、炭化物を形成して耐摩耗性を向上させる。そのため
には0.1%以上必要である。しかし3%を超えると熱
間加工性が低下する。したがって、含有させる場合は、
0.1〜3%とする。
る。脱酸剤としてSiを用いると、Alを用いる場合に
比べて、介在物として鋼中に存在しても変形しやすい特
性があるため、メタルフローの方向に延ばされる。この
ため、メタルフローの方向を制御して耐割れ性の向上を
図る本発明のロールダイスでは、割れに対する影響を小
さくすることができるので、Siによる脱酸が適してい
る。また、Siは、高温焼戻し後の硬さを高める効果が
ある。脱酸剤として添加する場合は、鋼中に不可避レベ
ルで含有してもよいが、必ずしも残留させる必要はな
い。高温焼戻し後の硬さを高める目的で含有させる場
合、多量に含有させると熱間加工性および靭性が低下す
るので、含有させる場合は、0.01〜3.0%とす
る。含有させる場合の好ましい範囲は、0.01〜2.
0%である。更に、脱酸をより完全にして酸素による靭
性の低下を防ぐためには、下限を0.1%とするのがよ
い。
して有効である。また、焼入れ性を改善する効果があ
る。脱酸剤および脱硫剤として添加する場合は、鋼中に
不可避レベルで含有してもよいが、必ずしも残留させる
必要はない。焼入れ性を改善する目的で添加する場合、
多量に含有させると加工性が低下するので、含有させる
場合は、0.01〜2.0%とする。含有させる場合の
好ましい範囲は、0.01〜1.0%である。
造方法では、まず、常法により溶解および精錬し、イン
ゴット法または連続鋳造法により前記の化学組成の鋼か
らなる柱状の鋳片を製造する。
した後、鍛造または圧延を施す。加熱温度を1100℃
以上とするのは、鋳片の鍛造または圧延による変形を容
易にするとともに、鋳片中に残存する巨大炭化物を少し
でも小さくするためである。
るのではなく、鋳片の軸方向と直角な方向から圧下し
て、鋳片を長手方向に延ばして円柱体とする。このよう
にして製造された円柱体は、メタルフローの方向が円柱
体の軸方向となる。
物および偏析が存在する。これらは、その方向によって
は割れの原因となる。巨大炭化物、非金属介在物および
偏析が存在しても、ロールダイスの割れの原因とならな
いように、メタルフローの方向を円柱体の軸方向とし、
後の工程では、この円柱体の軸方向がロールダイスの軸
方向に一致するように加工する。
向とするためには、加工前の断面積に対する加工後の断
面積の比で表される加工比を4以上とするのがよい。
上加熱した後炉冷する焼なましを施す。この焼なまし
は、前記の鍛造または圧延により生じた加工歪みを除去
するために行う。焼なまし温度を800〜880℃とし
保持時間を1時間以上とするのは、焼なまし温度が80
0℃未満または保持時間が1時間未満では、加工歪みが
十分に除去されず、一方、焼なまし温度が880℃を超
えると巨大炭化物が析出するためである。
所定の長さに切断して円盤材とする。切断する長さは、
ロールダイスの軸方向の長さにほぼ等しい。なお、円柱
体の長さが短い場合は、切断を省略し、切削などにより
ロールダイスの軸方向の長さにほぼ等しい長さとしても
よい。
るとともに、軸心に貫通孔を形成してロールダイスとす
る。孔型は、例えば前記図1および図2に示す孔型11
と同様の形状であり、貫通孔は、ロールダイスを回転軸
に焼きばめなどにより取り付けるための孔である。孔型
および貫通孔は、切削により形成し、更に、側面および
周面も切削により整形する。なお、ロールダイスと回転
軸とを焼きばめなどのはめ込み以外の方法で取り付ける
場合は、貫通孔の形成に変えて、取り付け方法に応じた
形状に加工する。
100℃からの焼入れと、500〜600℃での焼戻し
を施す。
サイト組織にして高い硬さを得るためのもので、100
0〜1100℃に加熱した後、空冷または油冷する。こ
の焼入れにより、ほぼ52HRC〜63HRC程度の硬
さが得られる。焼入れ温度が1000℃未満では、十分
な硬さが得られず、一方焼入れ温度が1100℃を超え
ると組織が粗大化して靱性が低下する。
に調整するためのもので、500〜600℃に加熱して
1時間以上保持した後、空冷する。焼戻し温度が500
〜600℃の範囲を外れるか、または保持時間が1時間
未満では、所定の硬さが得られない。
一例を示す図である。同図からわかるように、焼入れ温
度が異なれば、焼入れ後の硬さ(同図に、焼入れのまま
として示す硬さ)も異なる。また、焼入れ温度が同じで
あっても、焼戻し温度が異なると硬さも異なる。この傾
向は、ロールダイスの化学組成によっても異なる。した
がって、焼戻し温度は、52HRC〜60HRCの硬さ
が得られるように、化学組成と焼入れ温度とにより、5
00〜600℃の範囲の適当な温度を選択すればよい。
は、二次硬化温度付近またはこれ以上の高温の温度範囲
であるため、残留オーステナイトは分解されてほとんど
消滅し、また引張残留応力も解放されやすい。この焼戻
しは、残留オーステナイトをより少なくするために、複
数回行うのが好ましい。
スは、その後、孔型の表面粗さの調整および歪みによる
寸法の修正のために、研磨加工が施される。
鋼を溶製し、インゴット法により径が800mmの円柱
状の鋳片を製造した。なお、表1において、鋼Vは、J
IS SKD11に規定される工具鋼、鋼Wは、前記特
開平4−172113号公報に規定される工具鋼であ
る。
方向から加工する圧延または鍛造を施し、径が380m
m(加工比4.4)の円柱体を製造し、その後、850
℃で5時間保持した後炉冷する焼なましを施した。
断して円盤材とした後、外径64mmの管を外径30.
6mmの管に圧延するための孔型を外周面に、回転軸を
焼きばめするための貫通孔を軸心に、それぞれ機械加工
により形成するとともに、外周面および端面を機械加工
により整形し、ロールダイスをそれぞれ3個製造した。
100℃に加熱した後油冷する焼入れを施し、その後、
500〜600℃に加熱して6時間または12時間保持
した後空冷する焼戻しを2回施し、その後全面を研磨し
て、外径370mm、長さ170mmとした。また、孔
型および貫通孔の機械加工を省略する以外は前記の工程
と同じ工程により、それぞれ1個の試験材を製造した。
規定する条件のいずれかが外れる方法により、それぞれ
3個のロールダイスと1個の試験材を製造した。径方向
から加工する圧延または鍛造の区分、焼入れ温度および
焼戻し温度を表2に示す。なお、表2において、焼戻し
における保持時間は、No.11で12時間とした以
外、全て6時間とした。
硬さ試験とシャルピー衝撃試験を行った。また、前記の
方法により製造したロールダイスを用いて管を圧延し、
ロールダイスの寿命を調査した。これらの結果を表2に
併せて示す。
される外周範囲の周方向3位置から試験片を採取し、各
試験片について、JIS Z 2245に規定されるロ
ックウェル硬さ試験方法のCスケール(HRC)により
3点測定した。表2に示す硬さは、これらの測定値の平
均を示す。
前記の試験材を用い、孔型が形成される範囲の、前記硬
さ試験片を採取した位置の近傍からJIS Z 220
2に規定されるUノッチ試験片(ノッチの深さ2mm)
を試験材の軸方向から採取し、各試験片についてJIS
Z 2242に規定される金属材料衝撃試験方法によ
り室温で試験して吸収エネルギーを求めた。表2に示す
衝撃値は、前記吸収エネルギーを試験片のノッチ底部の
断面積で除した値の平均を示す。
JIS SUS304に規定される化学組成のステンレ
ス鋼素管を外径30.6mm、肉厚2mmの製品管に圧
延した際の、ロールを取り替えるまでに圧延した製品管
の延べ長さで表した。なお、圧延時の条件は、圧延スト
ロークを991mm、ストローク数を毎分135回、ス
トローク間の素管送り量を9mm、素管送り時の軸廻り
の回転角度を57度とし、潤滑油として塩素を30質量
%含むPL−17(ユシロ化学社、商品名)を用いた。
o.21の本発明例では、硬さおよび衝撃値がともに優
れ、寿命も150Km以上である。これに対し、No.
22から25の比較例は、化学組成が本発明で規定する
範囲の鋼Hであるにも拘わらず、製造条件が本発明で規
定する条件を外れるため、硬さおよび衝撃値のいずれか
一方または両方が低く、寿命も極めて短い。
外れるNo.26からNo.36の比較例は、製造方法
の如何にかかわらず寿命が短い。なお、、No.32お
よびNo.33の比較例は、硬さおよび衝撃値に優れる
が、これらの比較例では、CまたはさらにCrが高いた
め、Cr炭化物の影響で孔型部に割れが生じたものと推
測される。
の鋼を溶製し、実施例1と同様の方法で製造した試験材
から試験片を採取し、JIS Z 2274に規定され
る方法により回転曲げ疲れ試験を行った。試験片は1号
試験片(平行部の直径10mm)とし、シャルピー衝撃
試験片と同じ方向から採取した。
(Cl− 100ppm)を試験片にスプレーしながら
行った。結果のS−N曲線を図4に示す。また、繰り返
し数が103における時間強さσ(A103)を求め、
強度比((潤滑油中での時間強さ/大気中での時間強
さ)×100(%))を表3に併せて示す。
ど、繰り返し数が多くなることがわかる。また、表3に
示すように、Moの含有量が本発明で規定する範囲を外
れる鋼Haの強度比は、64%であるのに対して、Mo
の含有量が本発明で規定する範囲内の鋼H、鋼Hb、鋼
Hcおよび鋼Hdの強度比は、75%以上と良好な結果
である。
性とをバランスよく備え、耐摩耗性と耐食性に優れる寿
命が極めて長いコールドピルガー用ロールダイスを製造
することができる。
図である。
るための図で、ロールダイスの孔型を展開して示す図で
ある。
曲線である。
Claims (1)
- 【請求項1】下記(A)から(E)の工程からなるコー
ルドピルガーミル用ロールダイスの製造方法。 (A)質量%で、C:0.2〜0.6%、Cr:3〜9
%、Mo:0.5〜3%、P:0.02%以下、S:
0.005%以下を含む鋼からなる鋳片を製造する (B)1100℃以上に加熱した鋳片に鍛造または圧延
を施して軸方向にメタルフローを有する円柱体を製造す
る (C)円柱体に、800〜880℃で1時間以上加熱し
た後炉冷する焼なましを施す (D)円柱体から、軸心が円柱体の軸方向と一致し外周
面に孔型が形成されたロールダイスを製造する (E)ロールダイスに、1000〜1100℃からの焼
入れと500〜600℃での焼戻しを施し、硬さを52
HRC〜60HRCとする
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