JP2002242092A - 印刷用塗被紙 - Google Patents

印刷用塗被紙

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JP2002242092A
JP2002242092A JP2001037041A JP2001037041A JP2002242092A JP 2002242092 A JP2002242092 A JP 2002242092A JP 2001037041 A JP2001037041 A JP 2001037041A JP 2001037041 A JP2001037041 A JP 2001037041A JP 2002242092 A JP2002242092 A JP 2002242092A
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Yasuhiro Arai
康宏 荒井
Terunobu Fukui
照信 福井
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 光や熱の影響を受けても殆ど色相変化を生じ
ず、しかも印刷品質ならびに印刷適性に優れた印刷用塗
被紙を提供する。 【解決手段】 原紙上に顔料と接着剤を主成分とする水
性塗被液を塗布・乾燥して1層以上の塗被層を形成した
印刷用塗被紙を、塗被紙の白色度(ISO 2470に
準拠)が83%以上であり、キセノンアークランプ式耐
光性試験機(JIS B7754に準拠)による3日間
光照射処理前後の色相変化ΔE1 が2以下であるものと
し、更に好ましくは90℃、50%RH条件下に12日
間保持する劣化促進試験による促進処理前後の色相変化
ΔE2 が3以下であるものとする。かかる塗被紙は、最
外層塗被層が、顔料として二酸化チタンを全顔料の3〜
20重量%含有し、且つ、アルケニル芳香族モノマーま
たはシアン化ビニルモノマーの少なくとも1種を用いて
重合した(共) 重合体を、接着剤または有機顔料として
実質的に含まないものとすることにより効果的に得られ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は印刷用塗被紙に関
し、特に、印刷適性および印刷品質に優れ、しかも光
(紫外線)や熱に長期間曝されても殆ど色相変化を生じ
ず、長期間に亘る耐黄変性、耐褪色性に優れた印刷用塗
被紙に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に印刷用塗被紙は、原紙上に顔料と
接着剤を主成分とする塗被液を塗被して製造され、その
製造方法や品質特性により、キャストコート紙、アート
紙、コート紙、微塗工紙等に分類される。用途は多色印
刷物としてチラシ、パンフレット、ポスター等の商業印
刷物や書籍、雑誌等の出版物として使用されている。近
年、印刷物のビジュアル化、カラー化が進み、印刷用塗
被紙の白色度や色相等の外観が以前にも増して重要視さ
れ、経時的な白色度低下や色相変化が少ない耐褪色性の
良好なものが強く要求されている。
【0003】また、印刷方式としては、ヒートセットオ
フセット輪転印刷、枚葉オフセット印刷およびグラビア
印刷等多岐にわたるが、これらの中で、ヒートセットオ
フセット輪転印刷やグラビア印刷は、加熱により印刷イ
ンキに含まれる有機溶剤を蒸発させて乾燥させるため、
高速生産性やインライン加工適性等の利点があり、印刷
分野において重要な位置を占めている。しかしながら、
近年、印刷インキに含まれている有機溶剤が労働衛生
上、悪影響していること、引火・爆発等の危険性がある
こと、さらに印刷工程で放出される排ガスが環境汚染物
質であることから使用が規制されるようになってきた。
このようなことから、印刷インキとしては、有機溶剤を
含まないものが求められており、紫外線硬化型のインキ
を使用するUV印刷は時代の流れに合ったものと言え
る。また、UV印刷は、ヒートセットオフセット輪転印
刷やグラビア印刷と比べてインキの乾燥にかかるエネル
ギーが少なくてすみ、省エネルギーの観点からも使用が
拡大されて来ている。しかしながら、このUV印刷で
は、強い光量の紫外線を照射してインキを短時間で乾燥
させるため、インキの付いていない白紙部が黄色味を帯
びる、いわゆる黄変化の問題があり、紫外線に対する耐
黄変性に優れた塗被紙の開発が望まれている。
【0004】UV印刷時の耐黄変性を改善する方法とし
て、特定の重合調整剤や連鎖移動剤を用いて重合した共
重合体ラテックスを使用する方法(特開平7−1664
96号公報および特開平7−278213号公報)が提
案されているが、これらの共重合体ラテックスを使用し
ても、十分に満足しうるほどの効果が得られていないの
が実状である。また、塗被紙の耐光性を改善する目的
で、塗被層に二酸化チタンを配合する方法が知られてお
り、例えば、高歩留パルプを含有する原紙上に特定の粒
子径を有するルチル型二酸化チタンを配合した塗被層を
形成する方法(特開平3−59194号公報)、脱墨処
理パルプを主成分とする原紙上に二酸化チタンを特定量
配合した塗被層を形成する方法(特開平11−1171
91号公報)等が提案されているが、塗被層中に二酸化
チタンを配合しただけでは長期間に亘る光および熱の影
響で黄変する褪色の改善に対しては充分な効果が得られ
ていないのが現状である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は印刷用塗被
紙、特に、UV印刷時のような短時間の紫外線曝露のみ
ならず、長期間に亘って保管されたり室内外に掲示され
たりして光(紫外線)および熱の影響を受けても殆ど色
相変化を生じず、しかも印刷品質ならびに印刷適性に優
れた印刷用塗被紙を提供することを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の印刷用塗被紙
は、原紙上に顔料と接着剤を主成分とする水性塗被液を
塗布・乾燥して1層以上の塗被層を形成した印刷用塗被
紙において、塗被紙の白色度(ISO 2470に準
拠)が83%以上であり、かつキセノンアークランプ式
耐光性試験機(JIS B7754に準拠)による3日
間光照射処理前後の色相変化ΔE1 が2以下であるとい
う、従来になく耐褪色性に優れたものである。
【0007】本発明の印刷用塗被紙は、更に、90℃、
50%RH条件下に12日間保持する劣化促進試験によ
る促進処理前後の色相変化ΔE2 が3以下であるものと
することで、一層耐褪色性に優れた印刷用塗被紙とする
ことも可能である。
【0008】かかる本発明の印刷用塗被紙は、少なくと
も最外層塗被層の形成に使用する顔料として二酸化チタ
ンを全顔料の3〜20重量%含有し、かつ、接着剤ある
いは有機顔料成分として、アルケニル芳香族モノマーま
たはシアン化ビニルモノマーの少なくとも1種を用いて
重合した(共) 重合体を実質的に含まないことにより効
果的に得ることができる。また、最外層塗被層の水分散
性接着剤として、モノマー成分にアルケニル芳香族モノ
マーおよびシアン化ビニルモノマーを実質的に含まず、
かつTgが−15〜35℃である(共) 重合体ラテック
スを使用することで、長期に亘る耐褪色性に優れるのみ
ならず、製造工程における操業性や印刷適性がより改良
された塗被紙とすることもできる。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明において、塗被紙の初期白
色度を83%以上と規定するのは、高級印刷に適用でき
る品質を維持するためのみならず、初期白色度がかかる
レベルを保持していないとキセノンアークランプ式耐光
性試験機による促進試験後の色相変化ΔE1 が2以下に
維持できないとの知見を得たことによる。なお、色相変
化ΔE1 が2以下とは、環境条件によって一概には言え
ないが、屋外に3ヶ月程度の長期間掲示されても殆ど色
相変化しないと予測されることを示す。また、90℃、
50%RH条件下に12日間保持する劣化促進試験によ
る色相変化ΔE2 が3以下とは、同様に環境条件によっ
て変化するので、一概には言えないが、室内に100年
間程度の長期間保管されても殆ど色相変化せず、100
0年程度経過しても印刷された情報が充分に判読できる
と予測されることを示す。
【0010】本発明の印刷用塗被紙について、以下に各
構成に従って説明する。一般に、塗被紙の基材となる原
紙は、目的とする品質に応じて各種パルプが適宜配合さ
れ、各種填料、サイズ剤、歩留向上剤、紙力増強剤、染
料等の内添薬品が必要に応じて適宜添加されて、長網抄
紙機、ギャップフォーマー型抄紙機、円網式抄紙機、短
網式抄紙機等の抄紙機によってシートが形成、乾燥され
ることによって得られる。そして、得られた原紙上に顔
料と接着剤を主成分とする塗被液を塗布、乾燥して塗被
紙が製造されるが、この時、塗被紙の白さを強調して見
栄えをよくするため、青系統或いは紫系統の染料、有色
顔料、蛍光染料(蛍光増白剤)等が原紙中や塗被層中に
配合されるのが一般的である。
【0011】しかし、これらの染料は、紫外線に曝され
たり時間の経過により変色していくので、紙は褪色す
る。特に蛍光染料はこの変色が顕著であり、製造直後の
色相と紫外線曝露後あるいは経時後の色相との差が蛍光
染料等を使用しない場合に比べてより大きくなるため、
耐褪色性が要求される場合には、蛍光染料を含まない
(蛍光反応を示さない)紙の使用が望ましい。しかしな
がら、現実には特殊用途を除いて殆どの紙の製造におい
て蛍光染料が使用されており、しかも資源の有効利用を
図るため脱墨古紙パルプ(DIP)や損紙等を利用すれ
ば、これらの抄紙用原料から蛍光染料が混入し、蛍光反
応を示さない原紙を抄造することは難しいのが実状であ
る。そこで、本発明者らは、蛍光反応を示す原紙を使用
しても長期間に亘る耐褪色性に優れた塗被紙を得るべく
鋭意研究を重ねた結果、少なくとも最外層塗被層として
特定の顔料と接着剤を用いた塗被層を設けることによ
り、本発明が目的とする塗被紙が得られることを見出
し、本発明を完成するに至った。
【0012】まず、本発明で使用される原紙について述
べるが、本発明で使用される原紙については特に限定さ
れるものではなく、下記の材料を本発明の所望の効果を
妨げない範囲において適宜選択して使用される。パルプ
としては、例えば、一般に使用されているLBKPやN
BKP等の漂白化学パルプ、GP、TMPなどの機械パ
ルプ、DIP、損紙などが適宜混合使用される。また、
ケナフ等の非木材繊維原料から得られるパルプ繊維、合
成パルプ、無機繊維等の中から適宜選択して併用するこ
ともできる。なお、パルプの漂白には、漂白工程で塩素
ガスのような分子状塩素を使用しないで漂白したECF
パルプ、さらには二酸化塩素のような塩素化合物をも使
用しないで漂白したTCFパルプとするのが環境保全の
観点から好ましい。
【0013】原紙に内添される填料としては、例えば、
重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、亜硫酸カル
シウム、石膏、タルク、カオリン、クレー、焼成カオリ
ン、ホワイトカーボン、非晶質シリカ、デラミカオリ
ン、ケイソウ土、炭酸マグネシウム、二酸化チタン、水
酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシ
ウム、水酸化亜鉛等の無機顔料や尿素ホルマリン樹脂微
粒子、微小中空粒子等の有機顔料等が例示され、さらに
古紙や損紙等に含まれる顔料も再使用できる。また、必
要に応じて1種のみならず2種以上の填料を適宜組合せ
て使用することも可能である。
【0014】なお、原紙中にはパルプや填料の他に、従
来から使用されている内添サイズ剤や各種のアニオン
性、ノニオン性、カチオン性あるいは両性の歩留り向上
剤、濾水性向上剤、紙力増強剤等の抄紙用内添助剤が必
要に応じて適宜選択して使用される。内添サイズ剤の具
体例としては、例えば、アルキルケテンダイマー系、ア
ルケニル無水コハク酸系、スチレン−アクリル系、高級
脂肪酸系、石油樹脂系サイズ剤、ロジン系サイズ剤等が
挙げられる。また、歩留り向上剤、濾水性向上剤、紙力
増強剤の具体例としては、例えば、アルミニウム等の多
価金属化合物(具体的には、硫酸バンド、塩化アルミニ
ウム、アルミン酸ソーダ、塩基性アルミニウム化合物
等)、各種澱粉類、ポリアクリルアミド、尿素樹脂、ポ
リアミド・ポリアミン樹脂、ポリエチレンイミン、ポリ
アミン、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキサイ
ド等が例示できる。さらに原紙中には、pH調整剤、消
泡剤、ピッチコントロール剤、スライムコントロール剤
等の抄紙用内添助剤を用途に応じて適宜添加することも
できる。
【0015】原紙に青系統或いは紫系統の染料や蛍光染
料等を添加すると、製造直後の色相と紫外線曝露後ある
いは経時後の色相との差が却って大きくなり、耐褪色性
が要求される場合には、これらの染料を含有しない原紙
の使用が望ましいことは既に述べた通りである。しかし
ながら一方で、これらの染料を含まない原紙では黄色味
が強くなり、塗被紙の見栄えを悪くするため、青系統或
いは紫系統の染料や蛍光染料を適宜添加して青味付けし
たいという相反する要求がある。
【0016】本発明は、少なくとも最外層塗被層に特定
の顔料と接着剤を使用することで、上記の如き相反する
要求を充たし、蛍光染料等を添加した原紙を用いても長
期間に亘り色相変化の殆どない耐褪色性に優れた塗被紙
を得ているものである。しかし、DIPや損紙に由来す
る蛍光染料分を含め、原紙中に過大な量の蛍光染料が使
用されると、所望する耐褪色性を得難くなるおそれがあ
るため、蛍光染料の使用量は、原紙の蛍光増白として、
5ポイント以下、好ましくは3ポイント以下となるよう
に使用するのが望ましい。なお、ここでいう蛍光増白1
ポイントとは、ISO 2470に準拠して白色度を測
定する際に、紫外線カットフィルターを外して測定した
白色度の数値と、紫外線カットフィルターを装着して測
定した白色度の数値の差が1.0(%)であることを示
す。
【0017】一般に印刷用塗被紙に使用する原紙は、酸
性抄紙あるいは中性抄紙で抄紙されるが、耐褪色性のみ
ならず紙の保存性に対する要求からも、本発明で使用す
る原紙は中性抄紙法で抄紙された原紙が好ましい。な
お、填料や添加薬品は前記材料から適宜選択し使用する
ことができる。また、抄紙機については特に限定され
ず、例えば、長網式抄紙機、ギャップフォーマー型抄紙
機、円網式抄紙機、短網式抄紙機等の商業規模の抄紙機
から目的に応じて適宜選択して使用される。
【0018】原紙は、抄紙された紙にサイズプレス処理
を施したものであってもよい。サイズプレス液には、各
種加工澱粉、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコー
ル等の水溶性接着剤の水溶液が使用され、かかるサイズ
プレス液中には、必要に応じて、炭酸カルシウム、カオ
リン等の無機顔料や各種添加剤を添加することができ
る。なお、サイズプレス液の塗布量については特に限定
するものではないが、一般に乾燥後の塗布量(両面)で
0.2〜3.0g/m2 程度の範囲で調節される。
【0019】サイズプレス液の塗布方法については、特
に限定されず、例えば、2ロールサイズプレス、ゲート
ロールサイズプレス、メタリングサイズプレス等の一般
に使用されているサイズプレス装置およびエアーナイフ
コーター、ロールコーター、ピュアブレードコーター、
ロッドブレードコーター、ショートドウェルコーター、
グラビアコーター、カーテンコーター、ダイコーター等
の一般に使用されている塗布装置から適宜選択して使用
される。
【0020】次に、本発明で使用される塗被層について
以下に述べる。塗被紙の耐光性を改善する目的で、塗被
層顔料の一部を二酸化チタンに置き換える方法が従来か
ら知られている。しかしながら、例えばJIS B77
54で規定されるキセノンアークランプ式耐光性試験機
を用いた3日間の促進試験で処理前後の色相変化ΔE1
を評価すると、顔料の一部として二酸化チタンを使用す
るだけでは目的とする耐褪色性を有する塗被紙が得られ
ないことが判明した。そこで、本発明者等は、二酸化チ
タン含有塗被紙において従来考慮されていなかった接着
剤成分について注目し検討を重ねた。その結果、従来か
ら接着剤として汎用されている所謂スチレン・ブタジエ
ン共重合体ラテックス(SBR)のスチレンが、褪色を
助長し、色相変化ΔE1 を大きくさせていること、さら
に共重合体を構成するモノマー成分としてアクリロニト
リルを含むスチレン・ブタジエン共重合体ラテックスで
は、より一層褪色が助長されることを見出した。
【0021】本発明は、かかる知見に基づいてなされた
ものであって、少なくとも最外側塗被層が顔料として二
酸化チタンを全顔料の3〜20重量%含有し、且つ、接
着剤や有機顔料として、スチレン等のアルケニル芳香族
モノマーおよび/またはアクリロニトリル等のシアン化
ビニルモノマーを含有する(共) 重合体を実質的に含ま
ないことを要件とする。なお、ここで「実質的含まな
い」としたのは、前述の如く、塗被紙の褪色性は使用す
る原紙に含まれるDIPや損紙の割合によっても影響を
受け、例えば数%程度のスチレン・ブタジエン共重合体
ラテックスが混入していても、本発明が目的とする耐褪
色性を有する塗被紙が得られる場合があるからである。
なお、スチレン・ブタジエン共重合体ラテックスの混入
限度は、使用する原紙上に当該塗被液を塗布して得た塗
被紙の光照射処理前後の色相変化ΔE1 が2以下となる
か否かで判断することができる。
【0022】アルケニル芳香族モノマーおよび/または
シアン化ビニルモノマーを含有する(共) 重合体を使用
した塗被紙の耐褪色性が劣る原因については、必ずしも
明らかではないが、これらのモノマーは紫外線や熱等の
エネルギーを吸収し、共役二重結合を形成して黄色味に
着色し易いためではないかと推測される。
【0023】本発明において、アルケニル芳香族モノマ
ーとは、スチレン、α−メチルスチレン、メチル−α−
メチルスチレン、ビニルトルエンおよびジビニルベンゼ
ン等を指し、また、シアン化ビニルモノマーとは、アク
リロニトリル、メタクリロニトリル、α−クロルアクリ
ロニトリルおよびα−エチルアクリロニトリル等を指
す。
【0024】本発明で使用可能な重合体ラテックスとし
ては、例えば、アルケニル芳香族モノマーおよびシアン
化ビニルモノマーを実質的に含まない、アルキル(メ
タ) クリレート・ブタジエン共重合体ラテックス、アク
リル酸エステル重合体、メタクリル酸エステル重合体、
アクリル酸エステルとメタクリル酸エステルの共重合
体、またはこれらとアクリル酸、メタクリル酸、アクリ
ルアミド、酢酸ビニルとの共重合体ラテックス、エチレ
ン・酢酸ビニル共重合体ラテックス等が例示される。こ
れらのうちでもアルキル(メタ) クリレート・ブタジエ
ン共重合体ラテックスは、インキグロス、インキセット
性(乾燥性)、印刷強度等の品質においてもバランスの
良い塗被紙が得られるため好ましい。
【0025】上記(共) 重合体ラテックスのうちでも、
ガラス転位温度(Tg)が−15〜35℃、好ましくは
−5〜20℃の(共) 重合体ラテックスを使用すると、
製造工程でトラブルを生ずることなく良好な印刷適性を
有する塗被紙が得られるため好ましい。因みに、Tgが
35℃より高くなると塗膜強度が弱く、印刷時にトラブ
ルが発生し易くなり、一方、Tgが−15℃より低くな
ると、塗膜のべたつき性が強くなり、カレンダー等のロ
ール汚れが発生し易くなる虞がある。
【0026】本発明では、上記特定のラテックス以外
に、全接着剤成分の0〜30重量%の範囲で水溶性高分
子からなる接着剤を併用することができる。かかる水溶
性高分子の具体例としては、例えば、酸化澱粉、酵素変
性澱粉、熱化学変性澱粉、エーテル化澱粉、エステル化
澱粉等の加工澱粉、各種ポリビニルアルコール、各種ポ
リアクリルアミド、カルボキシメチルセルロース、ヒド
ロキシメチルセルロース等のセルロース誘導体等が挙げ
られる。しかし、一般に加工澱粉やカルボキシメチルセ
ルロースは、苛性ソーダ等のアルカリで中和されるた
め、含有するアルカリにより所謂アルカリ焼けを起こ
し、耐褪色性に悪影響を及ぼすため、少なくとも最外層
塗被層中には、実質的に澱粉やカルボキシメチルセルロ
ースを含まないことが望ましい。
【0027】本発明の印刷用塗被においては、少なくと
も最外層塗被層の顔料成分として、全顔料の3〜20重
量%、好ましくは5〜20重量%、より好ましくは7〜
20重量%の割合で二酸化チタンを使用することが必要
である。かかる二酸化チタンは、紫外線の原紙への侵入
を遮断し、また原紙の褪色を隠蔽する効果を発揮する。
さらに、実際の塗被紙の製造においては、一般に蛍光染
料が使用されているため、塗料調製タンクや配管等から
の蛍光染料の混入が避けられないが、二酸化チタンを配
合することにより、混入した蛍光染料の影響を低減する
こともできる。なお、二酸化チタンの使用量が3重量%
未満では本発明の所望の効果が得られず、また、20重
量%を超えると効果は飽和状態に達し、それ以上の含有
はコスト的に高くなることや、顔料塗被液の流動性が悪
化することから好ましくない。
【0028】二酸化チタンとしては、ルチル型およびア
ナターゼ型の何れを使用することもできるが、特にルチ
ル型の二酸化チタンを用いた場合には、塗被紙を90
℃、50%RH条件下に12日間保存する劣化促進試験
において、促進処理前後の色相変化ΔE2 を3以下に抑
制できるため、より好ましく用いられる。なお、アナタ
ーゼ型に比べ、ルチル型二酸化チタンが光に対する隠蔽
効果に優れることは従来から知られているが、ルチル型
二酸化チタンが、90℃といった高温に長時間曝された
塗被紙の色相変化ΔE2 を抑制する効果を有することに
ついては知られていなかった。かかる効果が発揮される
理由については必ずしも明らかではないが、接着剤とし
て使用するアルキル(メタ) クリレート・ブタジエン共
重合体ラテックス等との何らかの相互作用によるもので
はなかろうかと推測される。
【0029】本発明の塗被紙において、二酸化チタンと
併用する顔料としては、例えば、重質炭酸カルシウム、
軽質炭酸カルシウム、亜硫酸カルシウム、石膏、硫酸バ
リウム、タルク、カオリン、クレー、焼成カオリン、ホ
ワイトカーボン、非晶質シリカ、デラミカオリン、ケイ
ソウ土、炭酸マグネシウム、二酸化チタン、水酸化アル
ミニウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水
酸化亜鉛、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、ベントナイ
ト、セリサイト等の無機顔料、尿素ホルマリン樹脂微粒
子、微小中空粒子等の有機顔料が例示される。本発明で
は、83%以上の白色度を得るために、例えばカオリン
でも白色度の高いグレードを選択する等、白色度の高い
顔料を適宜組合せて使用するのが望ましい。ただし、前
述の通り、ラテックスと同様に有機顔料についても、モ
ノマー成分としてアルケニル芳香族モノマーおよび/ま
たはシアン化ビニルモノマーを含有する共重合体は褪色
を助長するため、これらをモノマー成分とする有機顔料
は実質的に使用しないことが必要である。
【0030】本発明の最外層塗被層において、顔料成分
と接着剤成分との配合比率については特に限定するもの
ではないが、一般に顔料成分100重量部に対して、5
〜20重量部、好ましくは8〜15重量部の割合で接着
剤成分が配合される。
【0031】さらに、本発明の最外層塗被層には、塗被
液の粘度や保水性を高めて塗工適性を向上させる目的
で、アクリル系増粘剤を顔料100重量部に対して0.
05〜3.0重量部程度添加するのが好ましい。かかる
アクリル系増粘剤としては、例えば、日本エヌエスシー
社から「アルコガム」として市販されているものなどが
使用できる。
【0032】また、本発明においては、最外層塗被層中
に更に酸化防止剤(老化防止剤)を添加することで、本
発明の所望とする長期間の耐褪色性を一層向上させるこ
とができる。かかる酸化防止剤としては、例えば、フェ
ノール系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤、ホスファイ
ト系酸化防止剤、有機イオウ系酸化防止剤等が例示され
るが、酸化防止剤の種類によっては紫外線や熱等により
酸化防止剤自体が黄変して褪色を助長する場合があるた
め、黄変の少ないフェノール系酸化防止剤の使用が特に
好ましい。フェノール系酸化防止剤の添加率としては、
使用する共重合体ラテックスに対して0.5〜3重量%
程度が好ましい。因みに、0.5重量%未満ではその効
果が発揮され難く、3重量%を越えると酸化防止剤の黄
変が検知され好ましくない。
【0033】さらに、最外層塗被層中には、酸化防止剤
の他に、必要に応じて、導電処理剤、消泡剤、紫外線吸
収剤、分散剤、pH調整剤、離型剤、耐水化剤、撥水剤
等の各種助剤を適宜配合することができる。
【0034】また、原紙と同様、塗被組成物において
も、使用時の白さを強調するため、青系統或いは紫系統
の染料や有色顔料、蛍光染料が一般に使用される。青系
統或いは紫系統の染料や有色顔料については、銘柄によ
っては耐光性および褪色性の劣るものがあるので、適宜
選定の上配合することが好ましく、最外層塗被層に配合
する場合は、特に注意が必要となる。しかしながら、前
述の通り、特に蛍光染料については変色が顕著であり、
本発明の所望とする効果を得るためには、直接影響を受
ける最外層塗被層への添加は避けることが必要である。
【0035】かくして得られた塗被組成物は、原紙の上
に塗布されるが、原紙の米坪については特に限定される
ものではなく、一般に30〜300g/m2 程度の範囲
で目的に応じて適宜選択される。
【0036】本発明の印刷用塗被紙において、塗被層を
一層とするか多層とするかは任意であり、一層で形成す
る場合および多層で形成する場合の最外層には、前述の
最外層塗被層として説明した塗被組成物を塗布する必要
がある。また、多層で塗被層を形成する場合の下塗塗被
層には、顔料成分として二酸化チタンを必ずしも配合す
る必要はないが、接着剤成分としては、モノマー成分と
してアルケニル芳香族モノマーおよび/またはシアン化
ビニルモノマーを含有する共重合体ラテックスを実質的
に含まないようにするのが望ましい。
【0037】原紙に塗被液を塗布する際の塗布装置につ
いては特に限定されるものではなく、例えば、一般的に
使用されているトレーリング、フレキシブル、ロールア
プリケーション、ファウンテンアプリケーション、ショ
ートドゥエル等のベベルタイプやベントタイプのブレー
ドコーター、エアーナイフコーター、バーコーター、ロ
ッドブレードコーター、チャンプフレックスコーター、
ゲートロールコーター、グラビアコーター、カーテンコ
ーター、ダイコーター、スプレーコーター等の塗工装置
が適宜使用され、紙の両面または片面に塗工される。勿
論、これらの装置はオンマシンでもオフマシンであって
もよい。
【0038】また、塗被組成物の塗被量についても特に
限定するものではなく、一般に乾燥重量で片面当たり5
〜50g/m2 程度であるが、得られる印刷用塗被紙の
白紙品質、印刷品質および印刷適性、さらには塗被紙製
造時の乾燥能力等を考慮すると10〜30g/m2 程度
の範囲で調整することが望ましい。また、湿潤塗被層を
乾燥する方法としては、例えば、蒸気乾燥、ガスヒータ
ー乾燥、電気ヒーター乾燥、赤外線ヒーター乾燥等の各
種方式が採用される。
【0039】本発明の印刷用塗被紙は、塗被層の形成
後、各種キャレンダー装置で平滑化処理が施されるが、
かかるキャレンダー装置としては、スーパーキャレンダ
ー、ソフトキャレンダー、グロスキャレンダー、コンパ
クトキャレンダー、マットスーパーキャレンダー、マッ
トキャレンダー等の一般に使用されているキャレンダー
装置が適宜使用できる。キャレンダー仕上げ条件として
は、剛性ロールの温度、キャレンダー圧力、ニップ数、
ロール速度、キャレンダー前の紙水分等が、要求される
品質に応じて適宜選択される。さらに、キャレンダー装
置は、コーターと別であるオフタイプとコーターと一体
となっているオンタイプがあるが、どちらにおいても使
用できる。使用するキャレンダー装置の材質は、剛性ロ
ールでは金属もしくはその表面に硬質クロムメッキ等で
鏡面処理したロールである。弾性ロールはウレタン樹
脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、フェノール樹脂、
ポリアクリレート樹脂等の樹脂ロール、コットン、ナイ
ロン、アスベスト、アラミド繊維等を成型したロールが
適宜使用される。
【0040】なお、キャレンダーによる仕上げ後の塗被
紙の調湿、加湿のための水塗り装置、静電加湿装置、蒸
気加湿装置等を設置したり、公知の各種技術を適宜組合
せて使用することも勿論可能である。
【0041】
【実施例】以下に実施例を挙げて、本発明をより具体的
に説明するが、勿論、本発明はこれらに限定されるもの
ではない。なお、以下の実施例および比較例において、
部および%とあるのは、それぞれ固形分重量部、固形分
重量%を示す。
【0042】実施例1 <原紙の調製>酸素−オゾン−水酸化ナトリウム−過酸
化水素−二酸化塩素からなる工程で多段漂白されたLB
KP85部(CSF500ml)と、酸素−オゾン−水
酸化ナトリウム−過酸化水素−二酸化塩素からなる工程
で多段漂白されたNBKP5部(CSF500ml)
と、一般のA2塗被損紙10部とからなるパルプスラリ
ー100部に、填料として軽質炭酸カルシウム(タマパ
ールTP−121/奥多摩工業社製)を原紙灰分が10
%となるように添加した後、パルプスラリーの全固形分
に対して硫酸アルミニウム0.5部、カチオン澱粉(エ
ースK−100/王子コーンスターチ社製)0.5部、
アルキルケテンダイマーサイズ剤(サイズパインK−2
87/荒川化学社製)0.1部、ポリアクリルアミド
(ポリストロン851/荒川化学社製)0.02部を順
次添加し、紙料を調製した。得られた紙料をオントップ
ツインワイヤー抄紙機で抄紙し、さらにゲートロールサ
イズプレス装置で酸化澱粉(エースA/王子コーンスタ
ーチ社製)を両面で1.5g/m2(固形分)塗布して
実量64.7g/m2 の原紙を調製した。
【0043】<塗被液の調製>分散剤としてポリアクリ
ル酸ナトリウム0.2部を添加した水溶液に、カオリン
(ウルトラホワイト90/エンゲルハード社製)50
部、軽質炭酸カルシウム(タマパールTP−123CS
/奥多摩工業社製)20部、重質炭酸カルシウム(ハイ
ドロカーブ90/白石カルシウム社製)20部、ルチル
型二酸化チタン(FR−44/古河機械金属社製)10
部を順次添加し、コーレス分散機で分散し、顔料スラリ
ーを調製した。このスラリーに、接着剤としてアルケニ
ル芳香族モノマーおよびシアン化ビニルモノマーを含有
しないTg0℃のメチルメタクリレート・ブタジエン共
重合体ラテックス(MBRラテックス、MMA /BD/酸モ
ノマー=62/35/3)15部、アクリル系増粘剤
(アルコガムL83W/日本エヌエスシー社製)0.2
部を順次加え、更に水を加えて固形分濃度64%の塗被
液を得た。
【0044】<塗被紙の製造>上記塗被液を上記条件で
抄紙した原紙に、乾燥重量が片面当り20g/m2 とな
るようにブレードコーターで両面に塗被、乾燥した後、
スーパーキャレンダー仕上げを行い、実量104.7g
/m2 の印刷用塗被紙を得た。なお、得られた印刷用塗
被紙の緊度は1.25g/cm3 であった。
【0045】実施例2 実施例1の<塗被液の調製>において、さらにフェノー
ル系酸化防止剤(スミライザーGD/住友化学社製)を
MBRラテックスの固形分に対して1%添加した以外は
実施例1と同様にして印刷用塗被紙を得た。得られた印
刷用塗被紙の緊度は1.25g/cm3 であった。
【0046】実施例3 実施例1の<塗被液の調製>において、重質炭酸カルシ
ウムの配合量を15部とし、ルチル型二酸化チタン10
部の代わりにアナターゼ型二酸化チタン(FA−55W
/古河機械金属社製)15部を使用した以外は、実施例
1と同様にして印刷用塗被紙を得た。なお、得られた印
刷用塗被紙の緊度は1.26g/cm3 であった。
【0047】実施例4 実施例1の<塗被液の調製>において、重質炭酸カルシ
ウムの配合量を23部とし、ルチル型二酸化チタンの配
合量を7部とした以外は、実施例1と同様にして印刷用
塗被紙を得た。なお、得られた印刷用塗被紙の緊度は
1.25g/cm3であった。
【0048】実施例5 実施例1の<原紙の調製>において、原紙に配合するL
BKP85部のうち、50部を新聞古紙から調製した白
色度70%のDIPに置き換えた以外は、実施例1と同
様にして原紙を調製した。さらに、実施例1の<塗被液
の調製>において、塗被液に配合する顔料をカオリン
(ウルトラホワイト90/エンゲルハード社製)20
部、軽質炭酸カルシウム(タマパールTP−123CS
/奥多摩工業社製)30部、重質炭酸カルシウム(ハイ
ドロカーブ90/白石カルシウム社製)40部、ルチル
型二酸化チタン(FR−44/古河機械金属社製)10
部とし、更にフェノール系酸化防止剤(スミライザーG
D/住友化学社製)をMBRラテックスの固形分に対し
て1%添加した以外は、実施例1と同様にして塗被液を
調製した。得られた原紙および塗被液を用いた以外は、
実施例1と同様にして印刷用塗被紙を得た。なお、得ら
れた印刷用塗被紙の緊度は1.25g/cm3 であっ
た。
【0049】実施例6 実施例1の<塗被液の調製>において、接着剤成分とし
てMBRラテックスの他に、糊化した酸化澱粉(エース
A/王子コーンスターチ社製)3部を併用した以外は、
実施例1と同様にして印刷用塗被紙を得た。なお、得ら
れた印刷用塗被紙の緊度は1.25g/cm3 であっ
た。
【0050】実施例7 <下塗り用塗被液の調製>分散剤としてポリアクリル酸
ナトリウム0.2部を添加した水溶液に、カオリン(ウ
ルトラホワイト90/エンゲルハード社製)10部、重
質炭酸カルシウム(ハイドロカーブ90/白石カルシウ
ム社製)90部を順次添加し、コーレス分散機で分散
し、顔料スラリーを調製した。このスラリーに、接着剤
としてアルケニル芳香族モノマーおよびシアン化ビニル
モノマーを含有しないTg0℃のMBRラテックス10
部、アクリル系増粘剤(アルコガムL83W/日本エヌ
エスシー社製)0.2部を順次加え、次いでフェノール
系酸化防止剤(スミライザーGD/住友化学社製)をM
BRラテックスの固形分に対して1%添加し、更に水を
加えて固形分濃度64%の下塗り用塗被液を得た。
【0051】<上塗り用塗被液の調製>分散剤としてポ
リアクリル酸ナトリウム0.2部を添加した水溶液に、
カオリン(ウルトラホワイト90/エンゲルハード社
製)50部、軽質炭酸カルシウム(タマパールTP−1
23CS/奥多摩工業社製)20部、重質炭酸カルシウ
ム(ハイドロカーブ90/白石カルシウム社製)20
部、ルチル型二酸化チタン(FR−44/古河機械金属
社製)10部を順次添加し、コーレス分散機で分散し、
顔料スラリーを調製した。このスラリーに、接着剤とし
てアルケニル芳香族モノマーおよびシアン化ビニルモノ
マーを含有しないTg0℃のMBRラテックス15部、
アクリル系増粘剤(アルコガムL83W/日本エヌエス
シー社製)0.2部を順次加え、次いでフェノール系酸
化防止剤(スミライザーGD/住友化学社製)をMBR
ラテックスの固形分に対して1%添加し、更に水を加え
て固形分濃度64%の上塗り用塗被液を得た。
【0052】<ダブル塗被紙の製造>実施例1と同じ条
件で抄紙した原紙に、上記下塗り用塗被液を、乾燥重量
が片面当り10g/m2 となるようにブレードコーター
で両面に塗被、乾燥後、上記上塗り用塗被液を、乾燥重
量が片面当り10g/m2 となるようにブレードコータ
ーにて両面に塗被、乾燥した後、スーパーキャレンダー
仕上げを行い、実量104.7g/m2 の印刷用塗被紙
を得た。なお、得られた印刷用塗被紙の緊度は1.25
g/cm3 であった。
【0053】実施例8 <上塗り用塗被液の調製>実施例7の<上塗り用塗被液
の調製>において、上塗り用塗被液に配合する顔料を、
軽質炭酸カルシウム(タマパールTP−1217C/奥
多摩工業社製)40部、重質炭酸カルシウム(ハイドロ
カーブ90/白石カルシウム社製)50部、ルチル型二
酸化チタン(FR−44/古河機械金属社製)10部と
した以外は、実施例7と同様にして上塗り用塗被液を得
た。
【0054】<ダブル塗被紙の製造>実施例1と同じ条
件で抄紙した原紙に、実施例7と同じ下塗り用塗被液
を、乾燥重量が片面当り10g/m2 となるようにブレ
ードコーターで両面に塗被、乾燥後、上記上塗り用塗被
液を、乾燥重量が片面当り10g/m2 となるようにブ
レードコーターで両面に塗被、乾燥した後、スーパーキ
ャレンダー仕上げを行い、実量104.7g/m2 の印
刷用塗被紙を得た。なお、得られた印刷用塗被紙の緊度
は1.11g/cm3 であった。
【0055】比較例1 実施例1の<塗被液の調製>において、塗被液に配合す
る顔料を、カオリン(ウルトラホワイト90/エンゲル
ハード社製)50部、軽質炭酸カルシウム(タマパール
TP−123CS/奥多摩工業社製)20部、重質炭酸
カルシウム(ハイドロカーブ90/白石カルシウム社
製)30部とし、さらに、バインダーとして、アクリロ
ニトリルモノマーを用いず且つスチレンモノマー29部
を用いて重合したTg3℃のスチレン・ブタジエン共重
合体ラテックス(SBRラテックス)を使用した以外
は、実施例1と同様にして印刷用塗被紙を得た。なお、
得られた印刷用塗被紙の緊度は1.25g/cm3 であ
った。
【0056】比較例2 実施例1の<塗被液の調製>において、塗被液に配合す
る顔料を、カオリン(ウルトラホワイト90/エンゲル
ハード社製)50部、軽質炭酸カルシウム(タマパール
TP−123CS/奥多摩工業社製)20部、重質炭酸
カルシウム(ハイドロカーブ90/白石カルシウム社
製)30部とし、さらにバインダーとして、スチレンモ
ノマー35部とアクリロニトリルモノマー9.5部を用
いて重合したTg4℃のスチレン・ブタジエン共重合体
ラテックス(SBRラテックス)を使用した以外は、実
施例1と同様にして印刷用塗被紙を得た。なお、得られ
た印刷用塗被紙の緊度は1.25g/cm3 であった。
【0057】比較例3 実施例1において、塗被液に配合するバインダーとし
て、アクリロニトリルモノマーを用いず、且つスチレン
モノマー29部を用いて重合したTg3℃のスチレン・
ブタジエン共重合体ラテックス(SBRラテックス)を
使用した以外は、実施例1と同様にして印刷用塗被紙を
得た。なお、得られた印刷用塗被紙の緊度は1.25g
/cm3 であった。
【0058】比較例4 比較例2の<塗被液の調製>において、塗被液にフェノ
ール系酸化防止剤(スミライザーGD/住友化学社製)
をSBRラテックスの固形分に対して1%添加した以外
は、比較例2と同様にして印刷用塗被紙を得た。なお、
得られた印刷用塗被紙の緊度は1.25g/cm3 であ
った。
【0059】比較例5 実施例1の<塗被液の調製>において、塗被液に配合す
る顔料を、カオリン(ウルトラホワイト90/エンゲル
ハード社製)50部、軽質炭酸カルシウム(タマパール
TP−123CS/奥多摩工業社製)20部、重質炭酸
カルシウム(ハイドロカーブ90/白石カルシウム社
製)30部とした以外は、実施例1と同様にして印刷用
塗被紙を得た。なお、得られた印刷用塗被紙の緊度は
1.25g/cm3 であった。
【0060】かくして得られた13種類の印刷用塗被紙
を、下記の方法で評価し、その結果を表1に示した。
【0061】〔白色度〕:ISO 2470に準拠し、
分光白色度測定計SC−10WN(スガ試験機製)を用
いて測定した。なお、白色度は原紙についても測定し
た。
【0062】〔蛍光増白〕:各原紙について、分光白色
度測定計SC−10WN(スガ試験機製)を用い、紫外
線カットフィルターを外して測定した白色度と、紫外線
カットフィルターを装着して測定した白色度との差から
蛍光増白を算出した。
【0063】〔白紙光沢度〕:JIS P8142に準
拠し、光沢度計(GM−25/村上色彩技術研究所製)
を用いて75°光沢度を測定した。
【0064】〔耐光性試験〕:JIS B7754に準
拠したキセノンアークランプ式耐光性試験機(サンシャ
インスーパーロングライフキセノンウエザーメーターW
EL−7XS/スガ試験機社製)を用いて、63℃,4
0%RHの条件で3日間光照射処理後、分光白色度測定
計SC−10WN(スガ試験機製)を用いて処理前後の
色相L* 、a* 、b* を測定し、下式により色相変化Δ
1 を求めた。 ΔE1 ={(ΔL* )2 + (Δa* )2 + (Δb* )
20.5
【0065】〔劣化促進試験〕:恒温恒湿器(アドバン
テック東洋社製)を用いて、90℃,50%RHの条件
下で12日間保持し、劣化促進処理を施した後、耐光性
試験と同様にして劣化促進処理前後の色相L* 、a* 、
b* を測定し、同様にしてΔE 2 を求めた。
【0066】〔印刷表面強度〕:RI印刷試験機にて、
印刷インキ(東洋インキ社製)を0.4cc使用して印
刷を行い、印刷面のピッキングの程度を目視評価した。
評価は次の5段階評価で行った。5(優)−1(劣)
【0067】
【表1】
【0068】
【発明の効果】表1の結果から明らかなように、本発明
によって得られた印刷用塗被紙は、長期間に亘り紫外線
および熱の影響を受けても殆ど色相変化がなく、長期間
に亘る耐褪色性に優れ、しかも印刷適性にも優れた塗被
紙であった。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4L055 AA02 AA03 AC06 AG11 AG12 AG19 AG27 AG34 AG48 AG71 AG76 AG89 AH01 AH02 AH37 AH50 AJ04 BE02 BE07 BE08 EA11 EA20 EA32 FA12 FA15 GA19

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 原紙上に顔料と接着剤を主成分とする水
    性塗被液を塗布・乾燥して1層以上の塗被層を形成した
    印刷用塗被紙において、塗被紙の白色度(ISO247
    0に準拠)が83%以上であり、かつキセノンアークラ
    ンプ式耐光性試験機(JIS B7754に準拠)によ
    る3日間光照射処理前後の色相変化ΔE 1 が2以下であ
    ることを特徴とする印刷用塗被紙。
  2. 【請求項2】 90℃、50%RH条件下に12日間保
    持する劣化促進試験による促進処理前後の色相変化ΔE
    2 が3以下である請求項1に記載の印刷用塗被紙。
  3. 【請求項3】 最外層塗被層が、顔料として二酸化チタ
    ンを全顔料の3〜20重量%含有し、且つ、アルケニル
    芳香族モノマーまたはシアン化ビニルモノマーの少なく
    とも1種を用いて重合した(共) 重合体を、接着剤また
    は有機顔料として実質的に含まない請求項1または2に
    記載の印刷用塗被紙。
  4. 【請求項4】 最外層塗被層の形成に使用される水分散
    性接着剤が、モノマー成分としてアルケニル芳香族モノ
    マーおよびシアン化ビニルモノマーを実質的に含まず、
    かつTgが−15〜35℃である(共) 重合体ラテック
    スである請求項3に記載の印刷用塗被紙。
  5. 【請求項5】 最外層塗被層の顔料成分が、二酸化チタ
    ンを3〜20重量%含む無機顔料からなり、且つ、最外
    層塗被層の形成に使用される接着剤成分が、アルキル
    (メタ)アクリレート・ブタジエン共重合体ラテックス
    と水溶性高分子化合物からなり、且つ、水溶性高分子化
    合物の割合が全接着剤成分に対して0〜30重量%であ
    る請求項1または2に記載の印刷用塗被紙。
  6. 【請求項6】 最外層塗被層が、アクリル系増粘剤を含
    有する請求項1〜5のいずれか1項に記載の印刷用塗被
    紙。
  7. 【請求項7】 最外層塗被層が、顔料としてルチル型二
    酸化チタンを全顔料の5〜20重量%含有する請求項1
    〜6のいずれか1項に記載の印刷用塗被紙。
  8. 【請求項8】 最外層塗被層が、フェノール系酸化防止
    剤を前記ラテックスに対して0.5〜3重量%含有する
    請求項4〜7のいずれか1項に記載の印刷用塗被紙。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2005133254A (ja) * 2003-10-31 2005-05-26 Daio Paper Corp グロス調微塗工紙及びその製造方法
JP2008163506A (ja) * 2006-12-28 2008-07-17 Nippon Paper Industries Co Ltd グラビア印刷用塗工紙
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