JP2002241985A - ニッケル−タングステン−リン合金皮膜及びそのめっき液 - Google Patents
ニッケル−タングステン−リン合金皮膜及びそのめっき液Info
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Abstract
合金めっき皮膜を、リン源及び有機酸の濃度管理が容易
なめっき液を用いて形成する。 【解決手段】ニッケル含有量が76.5〜71.5重量
%、タングステン含有量が22〜26重量%、リン含有
量が1.5〜2.5重量%であるNi−W−P三元合金
めっき皮膜を、ニッケル塩をニッケル金属として4.5
〜22.5g/L、脂肪族オキシカルボン酸を30〜2
00g/L、タングステン酸塩をタングステン酸イオン
として18〜115g/L、亜リン酸、亜リン酸塩及び
重亜リン酸塩からなる群から選ばれる少なくとも1種
を、亜リン酸イオン及び/又は重亜リン酸イオンとして
3〜190g/L含有するめっき液で形成する。
Description
性、耐食性、高温靭性、耐クラック性等を要求される機
械設備に使用可能なめっき皮膜及びそのめっき液に関す
る。
合金、ニッケル−タングステン合金、ニッケル−ほう素
合金、ニッケル−鉄合金等)めっき或いは上記例示ニッ
ケル系合金にコバルト又は鉄を添加した合金めっきは、
熱的特性或いは物理的特性が優れているとして、耐熱性
或いは耐摩耗性を必要とする機械設備、機械部品等の表
面に使用されている。
は低熱伝導性、平滑性、耐酸化性を目的としニッケル−
リン合金を無電解めっき法によりガラス金型に被着する
方法が、特開昭53−57139号公報には低応力を目
的としニッケル−タングステン−リンの三元合金を電気
めっき法により析出させる方法が、特開昭56−154
261号公報では連続鋳造用鋳型を目的としニッケル−
コバルト−タングステン−リンの四元合金を電気めっき
法により析出させる方法が、特開昭58−221298
号公報では電気めっき鋼板製造用通電ロールへの電気め
っきによりニッケル−タングステン−リン合金皮膜が適
用できることが、特開昭60−258473号公報には
無電解めっき法により耐食性、耐摩耗性性等の特徴を有
するニッケル−タングステン−リン合金めっき皮膜を得
る方法が、特開昭61−96096号公報には耐摩耗性
を目的にニッケル−タングステン−リン合金を電気めっ
きにより得る方法が、耐食性を有する皮膜を設ける方法
として特開平3−24281号公報には下地に電気めっ
きを施した後、無電解めっきによりニッケル−リンタン
グステン皮膜を形成することが、特開平10−1808
1号公報にはニッケル−タングステン−ほう素の三元合
金を電気めっき法によりロールに被着する方法が提案さ
れている。
ン及び/又はリンを含有したニッケル合金めっきは、優
れた耐食性、耐摩耗性、耐熱性、高硬度等の諸性質を有
しているとして様々な用途に利用されている。
の諸性質を達成する合金めっき被膜として、ニッケル−
タングステン−リン合金めっき皮膜(特開平3−242
81号公報、特開昭60−258473号公報等)、ニ
ッケル−タングステン−ほう素合金めっき皮膜(特開昭
63−107518号公報)或いはニッケル−タングス
テン−リン合金めっき又はコバルト−タングステン−リ
ン合金めっき皮膜(特開昭53−57139号公報)、
更にはニッケル−タングステン−コバルト−リン合金め
っき皮膜(特開昭56−154261号公報等)が提案
されている。
タングステン−リン合金めっき皮膜に関わるものは、概
ねリン含有率が数%以上であり、またタングステン含有
量は、概ね20%以下である。
タングステン−リン合金めっき皮膜は、高硬度を有し、
耐摩耗性に優れているとされている。しかし当該皮膜は
靭性に乏しく、熱衝撃、特にめっき完了後の初めて受け
る熱衝撃に弱く、所謂ヒートクラックが生じやすい傾向
があった。
る次亜リン酸又は次亜リン酸塩を使用していることか
ら、これら還元性の強い次亜リン酸イオンが酸化を受け
やすく、めっき液中での濃度管理が困難であった。
機酸が必要とされ、上記先行技術においても、有機酸と
してクエン酸又はクエン酸化合物等を含有する旨が記載
されている。しかし、かかる有機酸を用いると、特開昭
63−203800号公報に記載のように、めっき作業
中に有機酸が電気分解され、めっき液の長寿命の妨げと
なっている。
ク性に優れたニッケル−タングステン−リン合金めっき
皮膜を提供することにある。
クラック性に優れたニッケル−タングステン−リン合金
めっき皮膜を形成でき、しかも、リン源や有機酸の濃度
管理が容易で寿命の長いめっき液を提供することにあ
る。
鑑み、種々検討した結果、リン源として亜リン酸、亜リ
ン酸塩及び/又は重亜リン酸塩を使用することによりニ
ッケル−タングステン−リン三元合金めっき皮膜が得ら
れ、しかも、これら亜リン酸、亜リン酸塩及び/又は重
亜リン酸塩は酸化されにくく、また、有機酸の分解も抑
制されるので、めっき液の長寿命化が図れることを見出
した。
うちでも、特定の組成を有するめっき液を用いて得られ
るニッケル−タングステン−リン三元合金めっき皮膜で
あって、タングステン含有量が22〜26重量%、リン
含有量が1.5〜2.5重量%、ニッケルが76.5〜
71.5重量%の範囲の組成を有するものは、皮膜形成
直後の熱衝撃及びその後の繰り返しの熱衝撃に対して
も、ヒートクラックを生じることがなく、靭性の高い皮
膜であることを見出した。
れたものであって、下記のニッケル−タングステン−リ
ン合金めっき皮膜、該合金めっき皮膜を形成するための
めっき液、該めっき液を使用するニッケル−タングステ
ン−リン合金めっき方法等を提供するものである。
ル、タングステン及びリンよりなる三元合金皮膜であっ
て、ニッケル含有量が76.5〜71.5重量%であ
り、タングステン含有量が22〜26重量%であり、リ
ン含有量が1.5〜2.5重量%であることを特徴とす
る三元合金めっき皮膜。
て4.5〜22.5g/L、(b)脂肪族オキシカルボン
酸を30〜200g/L、(c)タングステン酸塩をタン
グステン酸イオンとして18〜115g/L、(d)亜リ
ン酸、亜リン酸塩及び重亜リン酸塩からなる群から選ば
れる少なくとも1種を、亜リン酸イオン及び/又は重亜
リン酸イオンとして3〜190g/L含有するめっき液
より得られる上記項1記載の三元合金めっき皮膜。
て4.5〜22.5g/L、(b)脂肪族オキシカルボン
酸を30〜200g/L、(c)タングステン酸塩をタン
グステン酸イオンとして18〜115g/L、(d)亜リ
ン酸、亜リン酸塩及び重亜リン酸塩からなる群から選ば
れる少なくとも1種を、亜リン酸イオン及び/又は重亜
リン酸イオンとして3〜190g/L含有することを特
徴とする上記項1記載の三元合金めっき皮膜を形成する
ためのめっき液。
/又はサッカリンナトリウムを0〜2g/L含有するこ
とを特徴とする上記項3記載のめっき液。
ル塩をニッケル金属として4.5〜22.5g/L、
(b)脂肪族オキシカルボン酸を30〜200g/L、(c)
タングステン酸塩をタングステン酸イオンとして18〜
115g/L、(d)亜リン酸、亜リン酸塩及び重亜リン
酸塩からなる群から選ばれる少なくとも1種を、亜リン
酸イオン及び/又は重亜リン酸イオンとして3〜190
g/L含有するめっき液を用いて、電気めっきを行うこ
とを特徴とするニッケル−タングステン−リン三元合金
めっき方法。
5g/L及び/又はサッカリンナトリウムを0〜2g/
L含有することを特徴とする上記項5記載のめっき方
法。
ル、タングステン及びリンよりなる三元合金皮膜で被覆
した機械設備又は機械部品。
か、又は、単層めっき皮膜、多層めっき皮膜又は合金め
っき皮膜を施した電気伝導基体である上記項5に記載の
めっき方法。
バルト、鉄、これらの合金、導電性ペースト塗布素材、
炭素繊維素材又は導電性樹脂からなる基体であり、単層
めっき皮膜又は多層めっき皮膜が、ニッケル、銅又は鉄
の単層めっき皮膜又は多層めっき皮膜であり、合金めっ
き皮膜がニッケル−リン合金めっき(リン含有量=1〜
20重量%程度)、ニッケル−ホウ素合金めっき(ホウ
素含有量=0.01〜15重量%程度)、コバルト−リ
ン合金めっき(リン含有量=3〜20重量%程度)、コ
バルト−ホウ素合金めっき(ホウ素含有量=2〜15重
量%程度)、ニッケル−鉄合金めっき(鉄含有量=5〜
40重量%程度)、ニッケル−コバルト合金めっき(コ
バルト含有量=5〜40重量%程度)、鉄−コバルト合
金めっき(コバルト含有量=1〜99重量%程度)等の
合金めっき皮膜である上記項8に記載のめっき方法。
に説明する。
めっきが可能な基体、即ち電気伝導性基体で、かつ必要
な密着強度が得られるための前処理が可能な基体であれ
ば特に限定されず、例えば、銅、ニッケル、コバルト、
鉄等の金属、或いはこれらの合金、導電性ペースト塗布
素材、炭素繊維素材、導電性樹脂を例示できる。これら
基体のうちでも、特に、銅、ニッケル、鉄及びこれらの
合金が好ましい。
ル、コバルト、鉄等の金属、或いはこれらの合金)に
は、本発明の三元合金めっき皮膜を形成するための下地
層を、常法に従って設けてもよい。かかる下地層として
は、広い範囲のものが特に限定されることなく使用でき
るが、例えば、ニッケル、銅、鉄等の単層めっき皮膜、
多層めっき皮膜又は合金めっき皮膜が例示できる。合金
めっき皮膜としては、例えば、ニッケル−リン合金めっ
き(リン含有量=例えば、1〜20重量%程度)、ニッ
ケル−ホウ素合金めっき(ホウ素含有量=例えば、0.
01〜15重量%程度)、コバルト−リン合金めっき
(リン含有量=例えば、3〜20重量%程度)、コバル
ト−ホウ素合金めっき(ホウ素含有量=例えば、2〜1
5重量%程度)、ニッケル−鉄合金めっき(鉄含有量=
例えば、5〜40重量%程度)、ニッケル−コバルト合
金めっき(コバルト含有量=例えば、5〜40重量%程
度)、鉄−コバルト合金めっき(コバルト含有量=例え
ば、1〜99重量%程度)等の合金めっき皮膜を挙げる
ことができる。
っき層の厚さは特に限定されず、例えば、20〜50μ
m程度、特に30〜40μm程度とすればよいが、この
範囲外であってもよい。
に、必要に応じて、上記基体又は下地めっき層に前処理
を施してもよい。該前処理としては、上記基体又は下地
めっき皮膜の密着性を向上させるための公知の方法が採
用でき、例えば、基体がニッケルである場合は、電解脱
脂−硫酸・塩酸混酸洗方法が適用可能である。
撃を受ける機械設備や機械部品であるのが好ましいが、
常にそのような製品に限られるわけではない。
皮膜を得るために、めっき液は、ニッケル源、タングス
テン源、リン源に加えて、有機酸として脂肪族オキシカ
ルボン酸を含有する。
は、ニッケル源(特にニッケル塩)をニッケル金属とし
て4.5〜22.5g/L、好ましくは4.5〜20g
/L、より好ましくは7〜16g/L、有機酸として脂
肪族オキシカルボン酸を30〜200g/L、好ましく
は40〜180g/L、より好ましくは50〜130g
/L、タングステン酸塩をタングステン酸イオンとして
18〜115g/L、好ましくは30〜100g/L、
より好ましくは40〜90g/L、亜リン酸、亜リン酸
塩及び重亜リン酸塩からなる群から選ばれる少なくとも
1種のリン源を、亜リン酸イオン及び/又は重亜リン酸
イオンとして3〜190g/L、好ましくは15〜15
0g/L、より好ましくは50〜120g/Lの範囲と
することが推奨される。
ン及び/又は重亜リン酸イオンとして」とは、リン源と
して亜リン酸及び/又は亜リン酸塩を使用した場合に
は、「亜リン酸イオンに換算して」という意味であり、
リン源として亜リン酸及び/又は亜リン酸塩と重亜
リン酸塩とを使用した場合には、「亜リン酸イオン及び
重亜リン酸イオンに換算して」という意味であり、リン
源として重亜リン酸塩のみを使用した場合は、「重亜リ
ン酸イオンに換算して」という意味である。
は、「グラム/リットル」の意味である。
ば、ホウ酸及び/又はサッカリンナトリウムを添加して
もよい。ホウ酸の濃度は、例えば、0〜45g/L、好
ましくは5〜40g/L、より好ましくは5〜30g/
L程度である。また、サッカリンナトリウムの濃度は0
〜2g/L、好ましくは0.5〜2g/L、より好まし
くは0.5〜1.5g/Lである。
硫酸塩又はスルファミン酸塩が好ましい。また、ニッケ
ル源、タングステン源、リン源及び有機酸のうちの二種
類以上を含むニッケル化合物を、ニッケル源として使用
してもよい。
ン酸)としてクエン酸を使用する場合には、クエン酸ニ
ッケル、タングステン酸ニッケルを使用してもよい。こ
のように、ニッケル源としてクエン酸ニッケル等の脂肪
族オキシカルボン酸ニッケル塩を使用する場合は、これ
から発生する脂肪族オキシカルボン酸(クエン酸)イオ
ンを有機酸(クエン酸)の使用量に含めてめっき液組成
を調整すればよい。同様に、ニッケル源としてタングス
テン酸ニッケルを使用する場合は、これから発生するタ
ングステン酸イオンを前記タングステン酸イオンの使用
量に含めてめっき液を調整すればよい。
ナトリウムが好ましいが、その他のアルカリ金属塩、例
えば、タングステン酸カリウム、パラタングステン酸ナ
トリウム、パラタングステン酸カリウム等、或いはアン
モニウム塩、例えばタングステン酸アンモニウム、パラ
タングステン酸アンモニウム等を用いてもよい。
ウムではなく、亜リン酸(H2PHO3)、亜リン酸塩及
び重亜リン酸塩からなる群から選ばれる少なくとも1種
を使用する。本明細書において、「亜リン酸塩」とは、
一般式 M2PHO3(式中、Mは、アルカリ金属、NH
4等の1価カチオンを示す)で表される塩を指し、「重
亜リン酸塩」とは、一般式MHPHO3(式中、Mは上
記に同じ)で表される塩(=亜リン酸水素塩)を指す。
は、例えば、亜リン酸ナトリウム(Na2PHO3)、亜
リン酸カリウム(K2PHO3)、亜リン酸アンモニウム
((NH4)2PHO3)、重亜リン酸ナトリウム(Na
HPHO3)、重亜リン酸カリウム(KHPHO3)、重
亜リン酸アンモニウム((NH4)HPHO3)等が使用
できる。
ン」とは、PHO3イオンを指し、「重亜リン酸イオ
ン」とはHPHO3イオンを指す。
キシカルボン酸、特に炭素数2〜6程度の脂肪族オキシ
カルボン酸を例示することができる。脂肪族オキシカル
ボン酸のうちでも、特に、クエン酸、グリコール酸、乳
酸、リンゴ酸、酒石酸が好ましい。これらの使用時の形
態は、酸形態以外に、ニッケル塩、ナトリウム塩、カリ
ウム塩及びアンモニウム塩等の塩形態が可能である。
が、ホウ酸の添加は皮膜特性に影響はないものの、外観
に影響を与えることから、仕様に応じて上記範囲で添加
するのが好ましい。
しなくてもよいが、サッカリンナトリウムの添加は、め
っき皮膜応力緩和が目的であるため、仕様に応じて上記
範囲で使用するのが好ましい。
光沢剤を添加しても、光沢剤の製造業者指定の使用量範
囲であれば、特に光沢剤の影響は受けない。
9.5程度、特に5.5〜7.5程度とするのが好まし
い。めっき液のpHの調整は、アンモニア水又は硫酸、
スルファミン酸等の酸を用いて調整すればよい。
極とし、前記本発明のめっき液を用いて電気めっきする
方法である。
択できるが、一般には、温度50〜80℃、特に55〜
75℃程度、pH4.5〜9.5程度、特に5.5〜
7.5程度、電流密度1〜20A/dm2程度、特に3
〜15A/dm2程度の範囲とするのが好ましい。尚、
pHの調整は、アンモニア水又は硫酸、スルファミン酸
等の酸を用いて調整すればよい。
素等が使用できるが、一般にはステンレスが好ましい。
応じて使用される成分が上記組成範囲内に保たれるよう
にめっき液組成を管理するのが好ましい。
通りであるが、めっき皮膜の3元素の含有率は、めっき
液組成以外に、めっき条件、めっき液pH、めっき液温
度及び電流密度により任意に変更することもできる。
2〜26重量%、リンが1.5〜2.5重量%、残りが
ニッケルからなり、場合によっては不可避的不純物が含
まれる場合もある。不可避的不純物としては、例えば、
コバルト、鉄等が挙げられるが、その量は一般には0.
5重量%未満である。
金めっき皮膜は、めっき後の最初の熱衝撃、その後の繰
り返される熱衝撃に対し、クラックを発生することはな
い。特に、タングステン含有量が22〜26重量%、リ
ン含有量が1.5〜2.5重量%、ニッケル含有量が7
1.5〜76.5重量%であるのがより好ましい。リン
又はタングステン含有量がどちらか一方でも上記範囲を
下回ると、ヒートクラック性に問題は生じないものの、
耐摩耗性の低下が認められ、本発明の意図とする他の項
目、例えば、硬度、耐摩耗性、耐熱性等を充足すること
が出来ない。
ッケル−タングステン−リン合金めっき皮膜に比べて優
れた耐ヒートクラック性を有すると共に、硬度、耐熱
性、耐摩耗性、耐食性、離型性(本発明合金めっき皮膜
で被覆した金型に樹脂等を入れて固形化した場合等に、
当該金型内で固形化した物が金型より容易にはずれる性
質)等の物性においても優れている。
機械設備ないし機械部品、例えば、圧延用ロール及びそ
のロールシャフト、鉄鋼用金型の銅基体又は銅合金、プ
レス金型等の表面保護層として極めて有用である。
き皮膜で被覆された上記のような機械設備又は機械部品
をも提供するものである。
は、その用途、適用箇所等に応じて広い範囲から選択で
きるが、一般には、20〜600μm程度、特に30〜
400μm程度とするのが好ましい。
は、例えば、前記圧延用ロールシャフトの表面保護層と
して使用する場合、10〜150μm程度、特に30〜
80μm程度とするのが好ましく、鉄鋼用金型の銅基体
又は銅合金の表面保護層として使用する場合、100〜
400μm程度、特に100〜300μm程度とするの
が好ましく、また、プレス金型等の表面保護層として使
用する場合、10〜200μm程度、特に50〜100
μm程度とするのが好ましいが、膜厚はユーザーの仕様
によって決めればよい。
り詳しく説明する。各実施例及び比較例における試験は
以下のように行った。
験) めっき皮膜を、予め500℃に昇温した加熱炉に入れ1
0分間放置後、直ちに0℃の水に入れ、クラックの有無
について目視観察した。
クルを5回、10回及び20回繰り返し、その後のクラ
ックの有無についても目視観察し、クラックが全く認め
られなかった場合を「○」で示し、クラックが僅かでも
認められた場合を「×」で示す。
験」に従って測定し、650Hv以上、特に700Hv
以上を合格とした。
L)、クエン酸100g/L、タングステン酸ナトリウ
ム70g/L(タングステン酸イオンとして52g/
L)、亜リン酸ナトリウム(Na2PHO3)20g/L
(亜リン酸イオン(PHO3イオン)として13g/
L)、サッカリンナトリウム1g/Lからなるめっき液
をアンモニア水でpH6に調整した。
を使用し、前処理として脱脂、酸活性を行い、陽極とし
てステンレス304を用いて、めっき温度70℃、電流
密度10A/dm2の条件下、2時間めっきを行った。
の皮膜をエネルギー分散型X線分析装置で分析すると、
タングステン含有量が24.5重量%、リン含有量が
1.7重量%、残がニッケルであった。
に入れ10分間放置後、直ちに0℃の水に入れた。その
結果、クラックの発生は認められず、また同一試験を1
0回繰り返し行ったが、クラックの発生は認められなか
った。
グステン−リン三元合金めっき皮膜の硬度は、3点平均
で750Hvであった。
を調べるため、実施例1と同一組成のめっき液を用い、
実施例1と同一めっき条件で、めっきの繰り返し試験を
行った。
行なった場合にニッケルイオンが当初濃度の約90%ま
で減少するめっき回数を予め計算で求め、その回数に達
した時に、めっき液中のニッケルイオン、タングステン
酸イオン及び亜リン酸イオンの各成分の分析を行い、必
要に応じて各成分を補給した。
グステン酸イオンの補給にはパラタングステン酸アンモ
ニウムを、亜リン酸イオンの補給には亜リン酸ナトリウ
ムを、クエン酸の補給にはクエン酸アンモニウムを各々
水溶液とし、必要量を補給した。
析法で測定し、亜リン酸イオン、タングステン酸イオン
及びクエン酸の濃度測定は、キャピラリー電気泳動法に
より行なった。また全リン酸の増加を調べるために、リ
ン酸量をJIS K 0102の方法により分析した。
また、クエン酸分解の有無は、クエン酸が分解すること
によりめっき液が濁る等のめっき液の変化を生ずること
から目視により行った。結果を表1に示す。
ルに、タングステン酸イオンはタングステン酸ナトリウ
ムに、亜リン酸イオンは亜リン酸ナトリウムに、クエン
酸はクエン酸ナトリウム、全リン酸はリン酸ナトリウム
に換算し表示した。
機酸の分解及び全リン酸の蓄積が無く、安定しためっき
液であることが判る。なお、本発明めっき液において、
クエン酸分解が少なく、めっき液組成の寿命が長い理由
は、必ずしも完全に解明されたわけではないが、おそら
く、亜リン酸が存在するためと思われる。
めっき液の建浴時にめっき液中に含まれる金属量に相当
する量の金属を添加した回数をいう。例えば、5g/L
のめっき液100Lの金属量は500gとなり、めっき
液調整で添加した金属量が合計500gになれば1ター
ンとなる。表2における「ターン数」も同じ意味であ
る。
0.5回、1回、2回、3回となった時点で被めっき基
体である銅板上に得られた三元合金めっき皮膜の組成分
析、熱衝撃試験及び硬度測定を行った。下記表2に、エ
ネルギー分散型X線分析装置で得られた各元素含有率、
ヒートクラック目視観察結果(熱衝撃試験回数)及び皮
膜硬度を示す。
撃を加えてもヒートクラックは発生しなかった。
数が増してもめっき皮膜組成に大きな変化は無く、また
熱衝撃性或いは硬度に対しても安定であること、ターン
数として少なくとも3ターンの使用が可能であることが
判る。
グステン酸ナトリウム100g/L、亜リン酸ナトリウ
ム(Na2PHO3)40g/L、サッカリンナトリウム
1.5g/Lからなるめっき液をアンモニア水でpH6
に調整した。
を使用し、前処理として脱脂、酸活性を行い、陽極とし
てステンレス304を用いて、めっき温度70℃、電流
密度10A/dm2の条件下、20時間めっきを行っ
た。
この皮膜をエネルギー分散型X線分析装置で分析する
と、タングステン含有量が25重量%、リン含有量が
1.5重量%、残がニッケルであった。
に入れ20分間放置後、直ちに0℃の水に入れた。その
結果、クラックの発生は認められず、また同一試験を2
0回繰り返し行ったが、クラックの発生は認められなか
った。この皮膜硬度は3点平均で740Hvであった。
グステン酸ナトリウム110g/L、亜リン酸ナトリウ
ム(Na2PHO3)40g/L、サッカリンナトリウム
1g/Lからなるめっき液をアンモニア水でpH6に調
整した。
を使用し、前処理として脱脂、酸活性を行い、陽極とし
てステンレス304を用いて、めっき条件を2時間毎に
下記表3のように変化させた。
施例2に記載の方法により組成分析を行い、その結果に
基づきめっき液調整の後、条件を変更した。
続して4回行い、めっき開始から8時間経過後の時点で
得られためっき皮膜の組成をエネルギー分散型X線分析
装置で分析した。結果を表3に示す。
液は、同一溶液でめっき条件を変更することにより、め
っき皮膜組成を簡単に変更できる。
ウ素合金めっき皮膜とを比較した。
用し、前処理として脱脂、酸活性を行い、実施例1に記
載のめっき液を実施例1と同一条件下で使用して本発明
めっき皮膜を400μm形成した。
し、特公平4−59064号公報の実施例1に記載のめ
っき液を使用してニッケル−ホウ素合金めっきを400
μm形成した。
例1に記載のめっき液及びそのめっき条件は、下記の通
りである: 硫酸ニッケル 250g/l 塩化ニッケル 20g/l 硼酸 30g/l ジメチルアミンボラン 0.2g/l pH 3.5 温度 45℃ 電流密度 3A/dm2 得られた各めっき銅板に1kgの加重の下で鋼球を接触
させ、めっき表面を約300℃に加熱しながら銅板を3
0分往復運動させた後、氷冷水に浸漬し冷却する操作を
合計5回実施した。
記載の方法で形成しためっき表面には、目視で確認でき
る多数のクラックの発生が認められたのに対して、本発
明皮膜では目視ではクラックを確認することは出来なか
った。
4号公報に記載の方法で形成しためっきでは触感によっ
てもその深さを感じることは出来なかったのに対し、本
発明皮膜は深さを測定することは出来なかったものの、
触感によりその深さを感じることが出来た。
−ホウ素合金めっき皮膜より、高温時における皮膜の粘
り性が優れていることが判る。
同様にして、銅板上に表4に記載の組成の皮膜を得た。
と同一方法でヒートクラックの発生状況を調べた。結果
を表4に示す。
示し、判定基準は次の通りである。
硬度も650Hv以上、特に700Hv以上であった。
ったが、硬度が650Hv未満であった。
られた。
が22〜26重量%であり、リン含有量が1.5〜2.
5重量%である場合に、熱衝撃回数20回にも耐える、
優れた耐ヒートクラック性を有するニッケル−タングス
テン−リン合金めっき皮膜が得られることが判る。
三元合金めっき皮膜は、耐ヒートクラック性が高く、更
に、耐熱性、耐摩耗性、耐食性、離型性に優れている。
トリウムに代えて、亜リン酸、亜リン酸塩及び重亜リン
酸塩からなる群から選ばれる少なくとも1種を使用して
いるので、めっき液寿命が長い。
Claims (7)
- 【請求項1】電気めっきにより得られるニッケル、タン
グステン及びリンよりなる三元合金皮膜であって、ニッ
ケル含有量が76.5〜71.5重量%であり、タング
ステン含有量が22〜26重量%であり、リン含有量が
1.5〜2.5重量%であることを特徴とする三元合金
めっき皮膜。 - 【請求項2】 (a)ニッケル塩をニッケル金属として
4.5〜22.5g/L、(b)脂肪族オキシカルボン酸
を30〜200g/L、(c)タングステン酸塩をタング
ステン酸イオンとして18〜115g/L、(d)亜リン
酸、亜リン酸塩及び重亜リン酸塩からなる群から選ばれ
る少なくとも1種を、亜リン酸イオン及び/又は重亜リ
ン酸イオンとして3〜190g/L含有するめっき液よ
り得られる請求項1記載の三元合金めっき皮膜。 - 【請求項3】(a)ニッケル塩をニッケル金属として4.
5〜22.5g/L、(b)脂肪族オキシカルボン酸を3
0〜200g/L、(c)タングステン酸塩をタングステ
ン酸イオンとして18〜115g/L、(d)亜リン酸、
亜リン酸塩及び重亜リン酸塩からなる群から選ばれる少
なくとも1種を、亜リン酸イオン及び/又は重亜リン酸
イオンとして3〜190g/L含有することを特徴とす
る請求項1記載の三元合金めっき皮膜を形成するための
めっき液。 - 【請求項4】更に、ホウ酸を0〜45g/L及び/又は
サッカリンナトリウムを0〜2g/L含有することを特
徴とする請求項3記載のめっき液。 - 【請求項5】被めっき物を陰極とし、(a)ニッケル塩を
ニッケル金属として4.5〜22.5g/L、(b)脂肪
族オキシカルボン酸を30〜200g/L、(c)タング
ステン酸塩をタングステン酸イオンとして18〜115
g/L、(d)亜リン酸、亜リン酸塩及び重亜リン酸塩か
らなる群から選ばれる少なくとも1種を、亜リン酸イオ
ン及び/又は重亜リン酸イオンとして3〜190g/L
含有するめっき液を用いて、電気めっきを行うことを特
徴とするニッケル−タングステン−リン三元合金めっき
方法。 - 【請求項6】 めっき液が、更に、ホウ酸を0〜45g
/L及び/又はサッカリンナトリウムを0〜2g/L含
有することを特徴とする請求項5記載のめっき方法。 - 【請求項7】上記請求項1又は請求項2に記載のニッケ
ル、タングステン及びリンよりなる三元合金皮膜で被覆
した機械設備又は機械部品。
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