JP2002241697A - ガスバリア用コーティング剤 - Google Patents

ガスバリア用コーティング剤

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JP2002241697A
JP2002241697A JP2001045383A JP2001045383A JP2002241697A JP 2002241697 A JP2002241697 A JP 2002241697A JP 2001045383 A JP2001045383 A JP 2001045383A JP 2001045383 A JP2001045383 A JP 2001045383A JP 2002241697 A JP2002241697 A JP 2002241697A
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coating agent
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alkyl group
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Tetsuya Yamamoto
哲也 山本
Hiroyuki Takagi
浩之 高木
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Nippon Shokubai Co Ltd
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Nippon Shokubai Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ガスバリア材として、ガスバリア性、基材と
の密着性、透明性、可とう性、印刷性に優れ、これらの
特性を常に安定して発現させることのできる新規なガス
バリア用コーティング剤を提供する。 【解決手段】 アミノ基とSiOR1基(R1は、水素原
子または炭素数1〜4のアルキル基を表す。)を分子内
に有するケイ素化合物(I)と、アミノ基と反応し得る
官能基を分子内に有する有機化合物(II)と、一般式
(1);R2 mSi(OR3n(ただし、式中、R2は炭
素数1〜4のアルキル基またはアミノ基と反応しない官
能基を有する炭素数1〜4のアルキル基であり、R3
水素原子または炭素数1〜4のアルキル基であり、nは
1以上の整数でかつm+n=4である。)で表される有
機ケイ素化合物(III)および/またはその加水分解縮
合物と、溶媒(IV)とから得られるコーティング剤であ
って、光路長1cmでの全光線透過率が80%以上であ
るガスバリア用コーティング剤。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、新規なガスバリア
用コーティング剤に関するものである。
【0002】
【従来の技術】酸素、窒素、炭酸ガス、水蒸気等の気体
の透過度が極めて小さいガスバリア材は包装用材料等の
分野において需要が増大している。こうした飲料品や食
品用容器などの包装用材料等において、ガスバリア性を
プラスチックフィルムまたはシート等の成形体材料に付
与するためには、エチレン−ビニルアルコール共重合
体、塩化ビニリデン系共重合体、芳香族系ナイロン等の
気体不透過性素材で成形体を形成する、これらの気体
不透過性素材を他の材料にラミネートまたはコーティン
グする、アルミ箔をフィルム状材料にラミネートす
る、金属酸化物を蒸着する等の方法がとられている。
【0003】しかしながら、これらの気体不透過性素材
のうち、エチレン−ビニルアルコール共重合体や芳香族
系ナイロンは耐湿性に劣り、雰囲気の湿度が大きくなる
に従ってガスバリア性が大幅に低下するという問題があ
り、塩化ビニリデン系共重合体は塩素原子を含んでいる
ため、公害の原因となる恐れがある。また、上記アルミ
箔ラミネートフィルムでは、包装された内容物を外から
見ることができず、金属酸化物蒸着フィルムは可とう性
に劣るため蒸着層にクラックが生じ易く、ガスバリア性
の低下を引き起こすという問題があった。
【0004】そこで、本発明者等は、こうした従来の課
題を解決してなる気体不透過性素材として、基板上にポ
リシロキサン系重合体を有する被膜層を形成したガスバ
リア材を既に提案している(特開平8−295848号
公報など)。かかるガスバリア材では、高いガスバリア
性を保持し、かつ透明性に優れ、非処理物の物性を損な
わないような可とう性を有するため、食料・飲料品の容
器や包装材(食品包装用フィルムやラップフィルムな
ど)などの用途に適用できるものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】さらに、こうした食料
・飲料品の容器や包装材等に使用されるガスバリア材に
対しては、商品購入時の消費者の厳しいチェックがあ
り、例えば、基材との密着不良や可とう性に問題があり
剥がれがあったり、透明性に問題があったり、印刷不良
があるものに対しては、食料・飲料品自体の品質如何に
かかわらず購入されずに売れ残ったり、返品されること
もあり、食料・飲料品の容器や包装材等に使用されるガ
スバリア材に対する要求基準は極めてシビアなものとい
え、ガスバリア性のほかに、基材との密着性、透明性、
可とう性、印刷性、耐湿性などに高い要求性能が求めら
れてきており、こうした諸特性を兼ね備えた新素材を提
供できるガスバリア用コーティング剤の開発が急務にな
っている。
【0006】したがって、本発明の目的は、上記の従来
技術に鑑み、ガスバリア材として、ガスバリア性、基材
との密着性、透明性、可とう性、印刷性に優れ、これら
の特性を常に安定して発現させることのできる新規なガ
スバリア用コーティング剤を提供するものである。
【0007】さらに、本発明は、上記目的に加え、気体
バリア材として、より多様な要求基準に対応できるよう
に、上記諸特性に加え、充分な強度・硬度を付与し、優
れた耐湿性、耐久性、耐候性、耐衝撃性、耐熱性、耐溶
剤性、耐水性、柔軟性などの特性を常に安定して発現さ
せることのできる新規な気体バリア用コーティング剤を
提供するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明者らは、
上記課題を鋭意検討した結果、これらの諸目的は、アミ
ノ基とSiOR1基(R1は、水素原子または炭素数1〜
4のアルキル基を表す。)を分子内に有するケイ素化合
物(I)と、アミノ基と反応し得る官能基を分子内に有
する有機化合物(II)と、有機ケイ素化合物(III)お
よび/またはその加水分解縮合物と、溶媒(IV)とから
得られるコーティング剤を、その光路長1cmでの全光
線透過率が80%以上になる様に調製することにより、
初めて達成されることを見出し、本発明を完成するに至
ったものである。
【0009】
【発明の実施の態様】すなわち、本発明のガスバリア用
コーティング剤は、アミノ基とSiOR1基(R1は、水
素原子または炭素数1〜4のアルキル基を表す。)を分
子内に有するケイ素化合物(I)と、アミノ基と反応し
得る官能基を分子内に有する有機化合物(II)と、下記
一般式(1)
【0010】
【化2】
【0011】(ただし、式中、R2は炭素数1〜4のア
ルキル基またはアミノ基と反応しない官能基を有する炭
素数1〜4のアルキル基であり、R3は水素原子または
炭素数1〜4のアルキル基であり、nは1以上の整数で
かつm+n=4である。)で表される有機ケイ素化合物
(III)および/またはその加水分解縮合物と、溶媒(I
V)とから得られるコーティング剤であって、光路長1
cmでの全光線透過率が80%以上であることを特徴と
するものである。
【0012】上記構成を有するガスバリア用コーティン
グ剤では、これを基材にコーティングすることにより得
られるガスバリア材に対して、常に安定して高いガスバ
リア性、ガスバリア性、基材との密着性、透明性、可と
う性、印刷性、さらには充分な強度・硬度を付与し、優
れた耐湿性、耐久性、耐候性、耐衝撃性、耐熱性、耐溶
剤性、耐光性、耐水性、柔軟性などを発現し得るもので
ある。
【0013】以下、本発明につき詳細に説明する。
【0014】本発明のガスバリア用コーティング剤の主
要構成成分の1つであるケイ素化合物(I)としては、
アミノ基とSiOR1基(R1は、水素原子または炭素数
1〜4のアルキル基を表す。)を分子内に有するもので
あればよく、特に制限されるものではない。かかるケイ
素化合物(I)は、後述する有機ケイ素化合物(III)
と共に、ガスバリア用コーティング剤を基材にコーティ
ングして得られるコーティング層中のSi源となる化合
物である。
【0015】上記ケイ素化合物(I)は、後述のアミノ
基と反応し得る官能基を分子内に有する有機化合物(I
I)と反応する他、加水分解性基であるSi(OR1)基
(R1は、水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を
表す。)を分子内に有しているので、有機化合物(II)
と反応する前もしくは反応後に加水分解縮合が進行し、
また後述の有機ケイ素化合物(III)の加水分解性縮合
基と共加水分解縮合を起こして縮重合が進行していくた
め、速やかにハードコート性に優れた緻密なコーティン
グ層を形成することができる。また、コーティング層
(膜)と基材(被塗物)との密着性を高める効果も有す
る。上記ケイ素化合物(I)を予め単独で、あるいは有
機ケイ素化合物(III)と(共)加水分解縮重合を行っ
ておいてもよい。コーティング時のケイ素化合物(I)
や有機ケイ素化合物(III)の渾散を防ぐことができ、
より速やかにコーティング膜を形成することができるた
めである。また有機化合物(II)として低分子化合物を
使用するときには、前もって加水分解縮合しておくこと
が好ましい。
【0016】ここで、上記SiOR1基のR1は、水素原
子または炭素数1〜4のアルキル基である。ここで、炭
素数1〜4のアルキル基としては、特に制限されるもの
ではなく、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基
の直鎖アルキル基、イソプロピル基の分岐鎖アルキル
基、シクロプロピル基、シクロブチル基の環状(脂環
式)アルキル基のいずれであってもよい。上記R1とし
て、好ましくは加水分解縮合の反応性に優れ、緻密な被
膜の形成する上での有利性、反応容易性の観点から、メ
チル基、エチル基である。
【0017】上記アミノ基とSiOR1基(R1は、水素
原子または炭素数1〜4のアルキル基を表す。)を分子
内に有するケイ素化合物(I)としては、具体的には、
N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメト
キシシラン、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロ
ピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)−γ
−アミノプロピルトリイソプロポキシシラン、N−β
(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリブトキシシ
ラン、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメ
チルジメトキシシラン、N−β(アミノエチル)−γ−
アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−β(アミ
ノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジイソプロポキ
シシラン、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピ
ルメチルジブトキシシラン、N−β(アミノエチル)−
γ−アミノプロピルエチルジメトキシシラン、N−β
(アミノエチル)−γ−アミノプロピルエチルジエトキ
シシラン、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピ
ルエチルジイソプロポキシシラン、N−β(アミノエチ
ル)−γ−アミノプロピルエチルジブトキシシラン、γ
−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロ
ピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリイソ
プロポキシシラン、γ−アミノプロピルトリブトキシシ
ラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ
−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、γ−アミノ
プロピルメチルジイソプロポキシシラン、γ−アミノプ
ロピルメチルジブトキシシラン、γ−アミノプロピルエ
チルジエトキシシラン、γ−アミノプロピルエチルジエ
トキシシラン、γ−アミノプロピルエチルジイソプロポ
キシシラン、γ−アミノプロピルエチルジブトキシシラ
ン、γ−アミノプロピルトリアセトキシシラン、γ−
(2−ウレイドエチル)アミノプロピルトリメトキシシ
ラン、γ−(2−ウレイドエチル)アミノプロピルトリ
エトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシ
ラン、N−β(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ
−アミノプロピルトリメトキシシランなどが挙げられ
る。これらは、1種単独で用いてもよいし、または2種
以上を併用して用いてもよい。好ましくは、反応容易性
の観点から、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、
γ−アミノプロピルトリエトキシシランである。
【0018】また、本発明のガスバリア用コーティング
剤の主要構成成分の他の1つである有機化合物(II)
は、アミノ基と反応し得る官能基を分子内に有する有機
化合物であればよく、特に制限されるべきものではな
い。
【0019】ここで、上記アミノ基と反応し得る官能基
としては、特に制限されるものではなく、例えば、エポ
キシ基、カルボキシル基、イソシアネート基、チオイソ
シアネート基、オキサゾリニル基、(メタ)アクリル
基、アルデヒド基、ケトン基、アルキルハライド基など
が挙げられる。好ましくは、アミノ基との反応容易性、
耐熱水性の観点からエポキシ基である。
【0020】上述したようにアミノ基と反応し得る官能
基を分子内に有する有機化合物(II)としては、特に制
限されるべきものではないが、例えば、エポキシ基含有
化合物の具体例としては、2−エチルヘキシルグリシジ
ルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテ
ル、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、トリ
エチレングリコールジグリシジルエーテル、テトラエチ
レングリコールジグリシジルエーテル、ノナエチレング
リコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコール
ジグリシジルエーテル、ジプロピレングリコールジグリ
シジルエーテル、トリプロピレングリコールジグリシジ
ルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエ
ーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテ
ル、グリセロールジグリシジルエーテル、トリメチロー
ルプロパンジグリシジルエーテル等の脂肪族モノ−、ジ
グリシジルエーテル類;グリセロールトリグリシジルエ
ーテル、ジグリセロールトリグリシジルエーテル、トリ
グリシジルトリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌ
レート、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテ
ル、ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテル等
のポリグリシジルエーテル類;アジピン酸ジグリシジル
エステル、o−フタル酸ジグリシジルエステル、フェニ
ルグリシジルエーテル等の脂肪族および芳香族モノ−、
ジグリシジルエステル類;ビスフェノールAジグリシジ
ルエーテル、レゾルシノールジグリシジルエーテル、ヒ
ドロキノンジグリシジルエーテル、ビシフェノールSジ
グリシジルエーテル、ビスフェノールFジグリシジルエ
ーテル、および次式で表される化合物類;
【0021】
【化3】
【0022】などの芳香環またはその水素添加環(核置
換誘導体も含む)を有するグリシジル類;あるいはグリ
シジル基を官能基として有するオリゴマー類(例えばビ
スフェノールAジグリシジルエーテルオリゴマーの場合
は下式の様に表せる);
【0023】
【化4】
【0024】などが挙げられる。
【0025】また、ヘキサメチレンジイソシアネート、
トリレンジイソシアネート、1,4−ジフェニルメタン
ジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネー
ト、トリフェニルメタントリイソシアネート、トリジン
ジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ジシ
クロヘキシルメタンジイソシアネート等のイソシアネー
ト類;酒石酸、アジピン酸等のジカルボン酸類;ポリア
クリル酸等のカルボキシル基含有重合体;オキサゾリニ
ル基含有重合体なども有機化合物(II)として用いるこ
とができる。これらは1種単独で用いてもよいし、2種
以上を併用して用いてもよい。なお、上記例示した有機
化合物(II)の中でも芳香環またはその水素添加環(核
置換誘導体も含む)を有する化合物は、本発明のガスバ
リア用コーティング剤をコーティングしてなるコーティ
ング層(膜)の耐水性を向上させる作用がある点で有利
である。
【0026】また、本発明のガスバリア用コーティング
剤の主要構成成分のさらに他の1つとして、下記一般式
(1)
【0027】
【化5】
【0028】(ただし、式中、R2は炭素数1〜4のア
ルキル基またはアミノ基と反応しない官能基を有する炭
素数1〜4のアルキル基であり、R3は水素原子または
炭素数1〜4のアルキル基であり、nは1以上の整数で
かつm+n=4である。)で表される有機ケイ素化合物
(III)および/またはその加水分解縮合物が含まれて
なるものである。ガスバリア用コーティング剤が有機ケ
イ素化合物(III)および/またはその加水分解縮合物
を含むことにより、基材(被塗物)への密着性、ハード
コート性、耐熱性を高め、食品や飲料品の包装材として
使用する上で不可避ともいえる煮沸殺菌処理、さらにそ
の後に過酷な保存環境下(例えば、20℃90%Rh程
度の高湿状態下)においても十分に高いガスバリア性を
保持することができるため好適である。この有機ケイ素
化合物(III)は、上記ケイ素化合物(I)のもつ官能
基と反応し得る官能基を持たない点で有機化合物(II)
と区別できる。
【0029】上記一般式(1)中のR2は、炭素数1〜
4のアルキル基またはアミノ基と反応しない官能基を有
する炭素数1〜4のアルキル基であればよい。ここで、
アミノ基と反応しない官能基としては、特に制限される
ものではなく、例えば、アミノ基、ビニル基などが挙げ
られる。また、炭素数1〜4のアルキル基としては、特
に制限されるものではなく、メチル基、エチル基、プロ
ピル基、ブチル基の直鎖アルキル基、イソプロピル基の
分岐鎖アルキル基、シクロプロピル基、シクロブチル基
の環状(脂環式)アルキル基のいずれであってもよい
が、好ましくは加水分解縮合の反応性に優れ、緻密な被
膜の形成する上での有利性、反応容易性の観点から、メ
チル基、エチル基である。よって、R2として好ましく
は、耐熱性、耐煮沸性の観点からビニル基を有する炭素
数1〜4のアルキル基である。なお、R2は、mが2以
上の場合には、同一であってもよいし、異なっていても
よい。
【0030】上記一般式(1)中のR3は、水素原子ま
たは炭素数1〜4のアルキル基である。炭素数1〜4の
アルキル基としては、特に制限されるものではなく、メ
チル基、エチル基、プロピル基、ブチル基の直鎖アルキ
ル基、イソプロピル基の分岐鎖アルキル基、シクロプロ
ピル基、シクロブチル基の環状(脂環式)アルキル基の
いずれであってもよい。R3として好ましくは、加水分
解縮合の反応性に優れ、緻密な被膜の形成する上での有
利性の観点からメチル基、エチル基である。なお、R3
は、nが2以上の場合には、同一であってもよいし、異
なっていてもよい。
【0031】上記一般式(1)中のnは1以上の整数で
あり、かつm+n=4である。より詳しくは、nは1以
上の整数であり、mは0以上の整数であり、かつm+n
=4である。コーティング層の耐熱性、耐煮沸性、耐水
性の観点から、m=0であり、n=4であることが好ま
しい。
【0032】上述したような一般式(1)で表される有
機ケイ素化合物(III)として具体的には、例えば、テ
トラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトライ
ソプロポキシシラン、テトラブトキシシラン、メチルト
リメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチル
トリイソプロポキシシラン、メチルトリブトキシシラ
ン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシ
ラン、エチルトリイソプロポキシシラン、エチルトリブ
トキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジ
エトキシシラン、ジメチルジイソプロポキシシラン、ジ
メチルジブトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、
ジエチルジエトキシシラン、ジエチルジイソプロポキシ
シラン、ジエチルジブトキシシラン、ビニルトリメトキ
シシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリイソ
プロポキシシラン、ビニルトリブトキシシラン、γ−メ
ルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプト
プロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロ
ピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピル
トリエトキシシラン等のアルコキシシラン類、またこれ
らの錯体化合物、メチルトリアセトキシシラン、トリメ
チルシラノール等、またはこれらの化合物を含む高分子
有機ケイ素化合物類が挙げられ、これらの1種または2
種以上を用いることができる。なかでも、形成されたコ
ーティング層が良好な耐煮沸性、耐湿性を示す点から、
テトラメトキシシラン、テトラエトキシシランが好まし
い。
【0033】また、上記一般式(1)で表される有機ケ
イ素化合物(III)の加水分解縮合物を含んでもよいと
したのは、上記有機化合物(II)および上記有機ケイ素
化合物(III)は、ガスバリア材を形成する際の乾燥を
防ぐためには、予め加水分解縮合を行っておくことが好
ましいためである。言い換えれば、ガスバリア用コーテ
ィング剤中に、これらの加水分解縮合物が存在し得るも
のが好ましいといえる。これらの(共)加水分解縮合反
応は、空気中の水分で進行するが、酸または塩基等の公
知の触媒を用いると効率よく行うことができる。また、
加水分解反応は溶媒(IV)中で行うことが好ましく、か
かる溶媒(IV)を含む本発明のガスバリア用コーティン
グ剤は、コーティング作業も容易となる。
【0034】本発明のガスバリア用コーティング剤の主
要構成成分の他の1つである溶媒(IV)としては、上記
ケイ素化合物(I)、有機化合物(II)、並びに有機ケ
イ素化合物(III)および/または有機ケイ素化合物(I
II)の加水分解縮合物を溶解し得るものであれば特に制
限されるべきものではなく、例えば、メタノール、エタ
ノール、2−プロパノール、ブタノール、ペンタノー
ル、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリ
エチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエ
ーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ト
リエチレングリコールモノメチルエーテル等のアルコー
ル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチ
ルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;トリエン、
ベンゼン、キシレン等の芳香族炭化水素類;ヘキサン、
ヘプタン、オクタン等の炭化水素類;メチルアセテー
ト、エチルアセテート、プロピルアセテート、ブチルア
セテート等のアセテート類;その他、エチルフェノール
エーテル、プロピルエーテル、テトラヒドロフラン、水
などが挙げらる。これらは、1種単独で使用しても良い
し、2種以上を混合して用いてもよい。なかでも加水分
解反応時の安定性や保存安定性に優れている点で、メタ
ノール、エタノールなどのアルコール類が好ましい。特
に本発明においては、これらの中からガスバリア用コー
ティング剤の当該溶媒(IV)以外の他の構成成分の種類
に応じて、得られるコーティング層の架橋が緻密にな
り、所望のガスバリア性が発現できるように適当な溶媒
(IV)を適宜選択することが望ましい。
【0035】さらに、本発明のガスバリア用コーティン
グ剤には、必要に応じて、硬化触媒、濡れ性改良剤、可
塑剤、消泡剤、増粘剤などの無機ないし有機系の各種添
加剤を適量添加することもできる。すなわち、本発明の
気体バリア用コーティング剤が、上記有機高分子化合物
(I)と、上記有機化合物(II)と、上記有機ケイ素化
合物(III)および/またはその加水分解縮合物と、溶
媒(IV)とから得られるとは、これら必須の原料成分で
ある上記有機高分子化合物(I)、上記有機化合物(I
I)、上記有機ケイ素化合物(III)および/またはその
加水分解縮合物、並びに溶媒(IV)のみを用いて得られ
るものに限定されるべきものではなく、これら必須原料
成分に加えて、さらに他の構成成分として上記のような
各種添加剤などの任意の原料成分を用いて得られるもの
も本発明の気体バリア用コーティング剤に含まれるもの
である。
【0036】次に、上記ケイ素化合物(I)の配合量
は、有機化合物(II)、並びに有機ケイ素化合物(II
I)および/または有機ケイ素化合物(III)の加水分解
縮合物の配合比率や他の添加剤の使用の有無などによっ
ても異なることから一義的に規定することはできない
が、ガスバリア用コーティング剤の構成成分(ただし、
溶媒(IV)を除く)の合計配合量に対して、通常5〜7
0質量%、好ましくは10〜60質量%、より好ましく
は15〜40質量%の範囲である。上記ケイ素化合物
(I)の配合量が5質量%未満の場合には、コーティン
グ層の製膜性が劣ることがある。一方、70質量%を越
える場合には、コーティング層の可とう性、耐水性が劣
ることがある。
【0037】上記有機化合物(II)の配合量は、ケイ素
化合物(I)、並びに有機ケイ素化合物(III)および
/またはその加水分解縮合物の配合比率や他の添加剤の
使用の有無などによっても異なることから一義的に規定
することはできないが、ガスバリア用コーティング剤の
構成成分(ただし、溶媒(IV)を除く)の合計配合量に
対して、通常1〜50質量%、好ましくは3〜30質量
%、より好ましくは5〜15質量%の範囲である。上記
有機化合物(II)の配合量が1質量%未満の場合には、
コーティング層の可とう性が劣ることがある。一方、5
0質量%を越える場合には、コーティング層の耐水性が
劣ることがある。
【0038】上記有機ケイ素化合物(III)および/ま
たはその加水分解縮合物の配合量は、上記ケイ素化合物
(I)や有機化合物(II)の配合比率や他の添加剤の使
用の有無などによっても異なることから一義的に規定す
ることはできないが、ガスバリア用コーティング剤の構
成成分(ただし、溶媒(IV)を除く)の合計配合量に対
して、通常10〜80質量%、好ましくは20〜70質
量%、より好ましくは30〜60質量%の範囲である。
上記有機ケイ素化合物(III)および/またはその加水
分解縮合物の配合量が60質量%を越える場合には、コ
ーティング層の可とう性が劣ることがある。一方、10
質量%未満の場合には、コーティング層の耐水性が劣る
ことがある。
【0039】上記溶媒(IV)の配合量は、特に限定され
ないが、ガスバリア用コーティング剤(ここでは、溶媒
(IV)を含む)の全質量を100質量%としたときに、
10〜95質量%、好ましくは50〜90質量%、より
好ましくは70〜90質量%の範囲である。溶媒(IV)
の配合量が10質量%未満の場合には、ガスバリア用コ
ーティング剤の反応安定性に劣ることがあり、また塗工
中に、ガスバリア用コーティング剤の粘度が上昇して均
一塗工ができなくなる可能性がある。一方、95質量%
を超える場合には、コーティング層を形成する際の生産
性が劣ることがあるほか、有効成分が低濃度となり過ぎ
るため、必要なコーティング層の膜厚を確保できない場
合がある。
【0040】また、上記ケイ素化合物(I)、有機化合
物(II)、有機ケイ素化合物(III)および/またはそ
の加水分解縮合物、並びに溶媒(IV)以外の他の硬化触
媒、濡れ性改良剤、可塑剤、消泡剤、増粘剤などの無機
ないし有機系の各種添加剤の配合量にあっては、かかる
添加剤の持つ諸特性を十分に発現でき、かつ上記ケイ素
化合物(I)、有機化合物(II)、有機ケイ素化合物
(III)よび/またはその加水分解縮合物、並びに溶媒
(IV)による本発明のガスバリア性等の発現効果に影響
を及ぼさない範囲内であれば、特に制限されるべきもの
ではない。
【0041】なお、上記ケイ素化合物(I)、有機化合
物(II)、有機ケイ素化合物(III)および/またはそ
の加水分解縮合物、さらにはその他の添加剤を含むガス
バリア用コーティング剤(ただし、溶媒(IV)を除く)
の合計配合量は、いかなる組み合わせであっても常に1
00質量%である。
【0042】本発明のガスバリア用コーティング剤は、
上記構成成分を含むものであって、さらに、光路長1c
mでの全光線透過率が80%以上、好ましくは85%以
上、より好ましくは90%以上であることを特徴とする
ものである。
【0043】これは、本発明のガスバリア用コーティン
グ剤にあっては、重合(加水分解縮合)と解重合が競合
し、重合(加水分解縮合)が進みすぎると、粒子化を起
こすことになる。こうした粒子を持つガスバリア用コー
ティング剤を使用すると、得られるコーティング層内に
異質な粒子が含有されることになるため、ガスバリア材
の透明性が低下する。さらに組成(組織)としての連続
性がなくなり不均一になる。またこの粒子は硬いために
破壊面になる。そのため、得られたガスバリア材では、
基材との密着性、透明性、ガスバリア性、可とう性、印
刷性に劣ることがあるという問題が生じることをにな
る。本発明者は、上述の如き問題(技術的課題)の所在
を見出すと共に、かかる技術的課題を解決する手段とし
て、上記構成成分を含むガスバリア用コーティング剤の
光路長1cmでの全光線透過率が80%以上であれば、
加水分解縮合が進みすぎることなく、適度となるため、
粒子化を起こすこともないので、ガスバリア用コーティ
ング剤を用いて得られるガスバリア材は、ガスバリア
性、基材との密着性、透明性、可とう性、印刷性、耐湿
性等に対する厳しい要求基準を満足することができるこ
とを見出したものである。言い換えれば、光路長1cm
での全光線透過率が80%未満の場合には、上記構成成
分を含むガスバリア用コーティング剤であっても、これ
を用いてなるガスバリア材では、基材との密着性、透明
性、ガスバリア性、可とう性、印刷性に劣ることがあ
る。
【0044】さらに、本発明のガスバリア用コーティン
グ剤にあっては、加水分解縮合が進み過ぎないように適
度なところに調整されたものであっても、製造後から使
用までの間の保存期間内にも重合(加水分解縮合)と解
重合が競合しており、長くおくと重合(加水分解縮合)
が進行し、粒子化を起こしてしまうことがあることを見
出した。すなわち、経時劣化により、ガスバリア用コー
ティング剤の性能および品質、とりわけ保存安定性が低
下することがある。こうした粒子を持つガスバリア用コ
ーティング剤を使用した場合にも、得られるコーティン
グ層内に異質な粒子が含有されることになるため、上述
したように得られたガスバリア材では、基材との密着
性、透明性、ガスバリア性、可とう性、印刷性に劣ると
いう問題が生じることになる。この場合にも、本発明者
が見出した上記構成成分を含むガスバリア用コーティン
グ剤の光路長1cmでの全光線透過率が80%以上とい
う要件を満足するものであれば、上記問題を生ずること
なく使用できることを知得したものであり、かかる要件
が製造段階での製品性能を測る有用な指標(判定基準)
であり、なおかつ保存安定性(保存中の製品の性能及び
品質)を測る上での有用な指標(判定基準)としても有
効であるといえる。特に、光路長1cmでの全光線透過
率は、コーティングする前に簡単に測定し判定できる点
でも特に有利である。これにより、加水分解縮合が進み
すぎ、粒子化を起こしているガスバリア用コーティング
剤をコーティング使する前に排除できるため、コーティ
ング後にガスバリア性、基材との密着性、透明性、可と
う性、印刷性の厳しい要求基準を満足しないとして、こ
うしたガスバリア用コーティング剤を使用したロットの
全てが不良品化するのを未然に防止することができる点
においても極めて有用である。ここで、光路長1cmで
の全光線透過率とは、ガスバリア用コーティング剤なし
に空で測定したときの全光線通過率を100%として算
出される値をいうものとする。
【0045】なお、本発明に係るガスバリア用コーティ
ング剤の調製方法としては、特に限定されるものではな
く、例えば、(1) 上記ケイ素化合物(I)と、上記
有機化合物(II)と、上記有機ケイ素化合物(III)お
よび/またはその加水分解縮合物と、並びに溶媒(IV)
とを含む配合成分(他の任意成分を含んでいても良い)
を単に混合する方法、(2) 予め溶媒(IV)の存在下
で、上記ケイ素化合物(I)と上記有機化合物(II)と
の官能基反応を行ってから上記有機ケイ素化合物(II
I)および/またはその加水分解縮合物を加える方法、
(3) 上記有機化合物(II)および溶媒(IV)の存在
下で、上記ケイ素化合物(I)と上記有機ケイ素化合物
(III)を(共)加水分解縮合する方法、(4) 溶媒
(IV)の存在下で、上記ケイ素化合物(I)と上記有機
ケイ素化合物(III)を共加水分解縮合してから上記有
機化合物(II)と反応させる方法、などが挙げられる
が、これらに何ら制限されるべきものではない。なお、
上記溶媒(IV)は、その調製段階や方法に応じて適当な
ものを適時、補充ないし追加することが望ましい。
【0046】なお、本発明のガスバリア用コーティング
剤の使用用途としては、特に制限されるべきものではな
く、ガスバリア性が要求される各種分野において幅広く
適用することができるものであり、例えば、食料や飲料
品の容器や包装材(例えば、ガスバリア層が形成された
食品包装用フィルムやペットボトルの容器など)、液晶
表示装置、携帯端末ないしモバイル機器などに用いられ
る電子部品(例えば、液晶ディスプレイのガスバリア層
が形成されたポリマーフィルム基板など)、医療機器や
医療器具(例えば、血液保存バックなど)などの幅広い
用途に適用できるものである。
【0047】また、本発明のガスバリア用コーティング
剤が適用可能な基材(被塗物)としては、特に制限され
るべきものではなく、使用用途に応じて適宜決定される
べきものではあるが、主として透明性を有するプラスチ
ックへの利用が最も一般的であるが、これらに制限され
るべきものではなく、半透明ないし不透明なプラスチッ
ク、さらにはガラス、セラミックス、金属などへの適用
を排除するものではない。上記基材(被塗物)として、
例えば、透明なプラスチック基材等を用いる場合には、
その表面を予めプラズマ処理またはコロナ放電処理した
り、あるいは、基材(被塗物)表面を酸素を含む雰囲気
中で200〜400nm付近の波長の紫外線を照射した
後に、本発明のガスバリア用コーティング剤の塗布を行
うことが好ましい。
【0048】また、上記基材(被塗物)の汚れの付着状
態によっては、本発明のガスバリア用コーティング剤を
はじくなどして均一に塗布できない場合、基材表面の洗
浄や表面改質を行うことで改善できる。洗浄や表面改質
の方法としては、アルコール、アセトン、ヘキサンなど
の有機溶媒による脱脂洗浄、アルカリや酸による洗浄、
研磨剤により表面を研磨する方法、超音波洗浄などの洗
浄法や、紫外線照射処理、紫外線オゾン処理、プラズマ
処理、コロナ放電処理、熱処理などの表面改質法が挙げ
られる。
【0049】また、本発明のガスバリア用コーティング
剤を基材表面に被覆(コーティング)する方法として
は、特に制限されるべきものではなく、従来公知の技術
を適宜利用することができるものであり、例えば、ロー
ルコーティング法、ディップコーティング法、バーコー
ティング法、ノズルコーティング法、ダイコーティング
法、スプレーコーティング法、スピンコーティング法、
カーテンコーティング法、フローコーティング法、スク
リーン印刷、グラビア印刷、曲面印刷などの各種印刷法
など、あるいはこれらを組み合わせた方法を採用でき
る。なかでも、ダイコーティング法は、ガスバリア用コ
ーティング剤の安定性を増す上で好ましい。
【0050】被覆(コーティング)後は、ガスバリア材
の硬化および乾燥を行う。かかる硬化および乾燥では、
加熱、あるいは加熱・加湿を行えば、ハードコート性に
優れた緻密なコーティング層を有するガスバリア材を速
やかに形成することができる点で好ましい。ここで加熱
を行う場合には、基材の耐熱温度以下で加熱することが
好ましい。なお、乾燥の際に上記有機ケイ素化合物(II
I)の蒸発を防ぐ観点からは、上記有機ケイ素化合物(I
II)の加水分解縮合物を配合してなるガスバリア用コー
ティング剤を用いることが好ましい。この加水分解縮合
反応は公知の触媒を用いることができ、また溶媒(IV)
中で反応させるのが有利である。とりわけ有機化合物
(II)と予め共加水分解縮合を行うことが好ましいこと
から、上記(4)に示すガスバリア用コーティング剤の
調製方法などが好適に利用できる。上記有機ケイ素化合
物(III)は、形成されたガスバリア材の耐湿性を向上
させる効果もあり、雰囲気の湿度が大きくなっても十分
なガスバリア性を保持することができる。
【0051】さらにガスバリア材のコーティング層中の
未反応の上記ケイ素化合物(I)のSiOR1基や有機
ケイ素化合物(III)のSiOR3基を低減することが高
温多湿の環境下においても十分なガスバリア性を保持さ
せる上で望ましいことから、本発明のガスバリア用コー
ティング剤を基材表面に適当なコーティング方法により
被覆(コーティング)後に、ガスバリア材の硬化および
乾燥を行い、その後にガスバリア材のコーティング層中
の未反応の上記ケイ素化合物(I)のSiOR 1基や有
機ケイ素化合物(III)のSiOR3基を反応(縮合)さ
せるエージング処理を行うのが好ましく、例えば、本発
明のガスバリア用コーティング剤を基材上に塗布乾燥後
に、未反応基を減少させる上で有効な加熱処理(例え
ば、40〜60℃の間の温度で1〜7日間熱処理するこ
と)やコロナ処理を行う方法などが好ましい。ここで、
基材の耐熱温度とは、実質上基材の特性が保持できる上
限の温度のことであり、ガラス基材ならば、例えば、軟
化点や失透温度(通常600〜700℃)など、プラス
チック基材ならば、例えば、ガラス転移点や結晶化温度
や分解点などが挙げられる。なお、本発明のガスバリア
用コーティング剤の塗工前に、基材表面にウレタン樹脂
等の公知のアンカーコート層を設けてもよい。
【0052】上記硬化および乾燥、さらには熱処理によ
り、基材に本発明のガスバリア用コーティング剤を被覆
して、コーティング層を有するガスバリア材を形成する
ことができる。こうして得られるガスバリア材におい
て、基材に本発明のガスバリア用コーティング剤を被覆
して得られるコーティング層の乾燥後の厚みとしては、
使用用途により異なるため一義的に規定することはでき
ないが、有効に本発明の効果であるところのガスバリア
性、基材との密着性、透明性、可とう性、印刷性、耐湿
性を発現することができるものであればよく、通常0.
01〜20μm、好ましくは0.1〜10μm、より好
ましくは0.5〜5μmの範囲である。かかるコーティ
ング層の乾燥後の厚みが0.01μm未満の場合には、
被膜が均一にならないとともに、発明の効果であるとこ
ろのガスバリア性、基材との密着性、透明性、可とう
性、印刷性、耐湿性が充分に発現しにくい。一方、コー
ティング層の乾燥後の厚みが20μmを超える場合に
は、被膜にクラックが生じ易くなる。
【0053】なお、本発明のガスバリア用コーティング
剤を基材に被覆して得られるガスバリア材においては、
基材に同じ種類(組成)のガスバリア用コーティング剤
を何度かに分けて塗布してもよいし、あるいは種類(組
成)の異なるガスバリア用コーティング剤を別々に塗布
することにより、各層ごとに組成及び厚さの異なる多層
化構造のガスバリア材を形成してもよい。
【0054】本発明の本発明の気体バリア用コーティン
グ剤を基材に被覆して得られる気体バリア材の気体バリ
ア性に関しては、使用用途により要求される基準が異な
るほか、基材の種類や全体の積層構造などによっても異
なるため一義的に規定することはできないが、例えば、
食品や飲料品の容器・包装用のフィルムとして使用する
場合を例にとり説明すれば、高湿下(20℃90%R
h)での気体(酸素)透過度が30ml/m2・24h
rs以下、好ましくは20ml/m2・24hrs以
下、より好ましくは10ml/m2・24hrs以下で
あることが望ましい。
【0055】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説
明するが、下記実施例は、本発明を何ら制限するもので
はなく、前、後記の趣旨を逸脱しない範囲で変更、実施
する事は全て本発明の技術範囲に包含される。
【0056】実施例1 N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメト
キシシラン{ケイ素化合物(I)}10gと、ビスフェ
ノールAジグリシジルエーテル{有機化合物(II)}3
gおよびメタノール{溶媒(IV)}100gの混合液を
60℃で3時間反応後、室温まで冷却し、水1.5gと
メタノール10g{共に溶媒(IV)}の混合液を加え、
30分間反応し、さらにテトラメトキシシラン{有機ケ
イ素化合物(III)}20gとメタノール{溶媒(I
V)}50gの混合液を加えて、1時間反応してガスバ
リア用コーティング剤を得た。このガスバリア用コーテ
ィング剤の特性評価を表1に示す。
【0057】比較例1 実施例1で得られたガスバリア用コーティング剤を40
℃で6ヶ月間保存後、実施例1と同様に特性評価を行っ
た。結果は表1に合わせて示す。
【0058】
【表1】
【0059】表1中の全光線透過率(%):光路長1c
mのガラスセルにガスバリア用コーティング剤を入れ、
23℃で全光線透過率を測定した。
【0060】ガスバリア用コーティング剤によるコーテ
ィングフィルム(ガスバリア材)の作成:実施例1また
は比較例1で得られたガスバリア用コーティング剤を、
25μmPETフィルムに乾燥後の厚みが1μmになる
ように塗布し、100℃で10秒間乾燥後、さらに60
℃で5日間熟成し、評価用コーティングフィルムを得
た。
【0061】表1中の酸素透過度:評価用コーティング
フィルムを用いてモダンコントロールズ社製の酸素透過
度測定装置にて、20℃90%Rhで測定した。単位
は、ml/m2・24hrsである。
【0062】表1中の密着性:評価用コーティングフィ
ルムのコート面にセロテープ(登録商標)を貼り、剥離
後に剥離面がなければ○、一部でも剥離があれば×とし
た。
【0063】
【発明の効果】以上述べたように、本発明に係るガスバ
リア用コーティング剤によれば、高い性能を発現できる
成分組成に対し、さらに光路長1cmでの全光線透過率
が80%以上という構成要件を付加することで、成分組
成の配合比率や製造条件(調製方法)によらず、常に安
定して高性能でかつ高品質なものを提供することができ
るものである。これにより、製造後から使用までの保存
期間内に貯蔵劣化することがっても、上記付加要件を満
足する範囲であれば、常に一定レベル以上の性能及び品
質を保証できるものである。したがって、本発明のガス
バリア用コーティング剤を用いることで、得られるガス
バリア材がガスバリア用コーティング剤に起因する性能
上の問題を引き起こすこともなく、ガスバリア材とし
て、ガスバリア性、基材との密着性、透明性、可とう
性、印刷性に優れるものとして、常に高性能で高品質な
製品を安定供給することが可能となるものである。した
がって、ガスバリア性が要求される幅広い分野に適用で
きるものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4J038 DB022 DB062 DL051 DL052 DL081 DL082 JA35 JB18 KA06 NA03 NA04 NA08 NA11 NA14 PB01 PB03 PB04 PB09 PC02 PC03 PC08

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アミノ基とSiOR1基(R1は、水素原
    子または炭素数1〜4のアルキル基を表す。)を分子内
    に有するケイ素化合物(I)と、 アミノ基と反応し得る官能基を分子内に有する有機化合
    物(II)と、 下記一般式(1) 【化1】 (ただし、式中、R2は炭素数1〜4のアルキル基また
    はアミノ基と反応しない官能基を有する炭素数1〜4の
    アルキル基であり、R3は水素原子または炭素数1〜4
    のアルキル基であり、nは1以上の整数でかつm+n=
    4である。)で表される有機ケイ素化合物(III)およ
    び/またはその加水分解縮合物と、 溶媒(IV)とから得られるコーティング剤であって、光
    路長1cmでの全光線透過率が80%以上であるガスバ
    リア用コーティング剤。
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