JP2002239714A - シリンダヘッドの製造方法、シリンダヘッド、及びシリンダヘッド用のバルブシート素材 - Google Patents

シリンダヘッドの製造方法、シリンダヘッド、及びシリンダヘッド用のバルブシート素材

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JP2002239714A
JP2002239714A JP2001039604A JP2001039604A JP2002239714A JP 2002239714 A JP2002239714 A JP 2002239714A JP 2001039604 A JP2001039604 A JP 2001039604A JP 2001039604 A JP2001039604 A JP 2001039604A JP 2002239714 A JP2002239714 A JP 2002239714A
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cylinder head
port
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tapered
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Tatsuya Manabe
達也 真鍋
Hiroyuki Tanaka
宏幸 田中
Jiro Shimizu
治郎 清水
Tsugio Ikeda
次男 池田
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Honda Motor Co Ltd
Ryobi Ltd
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Honda Motor Co Ltd
Ryobi Ltd
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  • Molds, Cores, And Manufacturing Methods Thereof (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 バルブシート素材の位置決めが容易であり、
かつ、製品離型が容易に可能であるシリンダヘッドの製
造方法の提供。 【解決手段】 上底を共有する2つの裁頭円すいを組合
せた形状をなし、2つのテーパー面2A、2B、3A、
3Bからなる内周面を有するバルブシート素材2、3の
一方のテーパー面2B、3Bに幅木部4A、5Aを面接
触させ、バルブシート素材2、3と崩壊性ポート中子
4、5を一体化する。バルブシート素材2、3の他方の
テーパー面2A、3Aとバルブシート素材2、3内周面
から突出した幅木部4A、5Aを金型1に嵌合させ、バ
ルブシート素材2、3と崩壊性ポート中子4、5を金型
1に保持させる。その後、軽合金によりバルブシート素
材を鋳ぐるんでシリンダヘッドを一体成型し、崩壊性ポ
ート中子4、5を崩壊除去し、バルブシート素材2、3
を切削加工することにより、シリンダヘッドを製造す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はシリンダヘッドの製造方
法に関し、特にシリンダヘッドの鋳造時にバルブシート
がシリンダヘッドに一体化するシリンダヘッドの製造方
法に関する。本発明は更に、シリンダヘッド及び、シリ
ンダヘッド内に設けられるバルブシートのためのバルブ
シート素材に関する。
【0002】
【従来の技術】図5に示される従来のシリンダヘッド本
体110には、吸気ポート110a、排気ポート110
b、バルブ貫通孔110c、110dが形成されてい
る。吸気ポート110a及び排気ポート110bの燃焼
室側開口部分にはバルブシート102、103が固定さ
れている。バルブ貫通孔110c、110dは、それぞ
れバルブガイド111、112が固定され、その中をバ
ルブステム113A、114Aが軸方向に往復動作可能
に挿通されている。そしてバルブ部材113B,114
Bがバルブシート102、103に当接、離反すること
により、吸気動作及び排気動作が行われる。
【0003】ここで、バルブステム113A、114A
は、シリンダ軸方向に対してそれぞれ傾斜角θ、θ
をなす方向に、シリンダ軸心に交差して延び、同様に燃
焼室に向う吸気ポート110aと排気ポート110bと
は、シリンダ軸心に交差する方向に指向している。これ
は、従来、燃焼効率の向上、吸気、排気時のポンピング
ロス低減及び吸気の渦流コントロールによる燃焼伝播性
の向上などにより、エンジン排ガスのクリーン化、出力
アップ、燃費性能向上が図られており、このような傾向
に対応する技術の一つとして、燃焼室形状をドーム型や
ペントルーフ型とするのが一般的であるが、この場合、
バルブステムは自ずとシリンダ軸心に交差する方向に延
びることになるからである。従ってバルブシート10
2,103に関しても、その軸心がシリンダ軸方向に対
してそれぞれ傾斜角θ、θをなす方向に設ける必要
がある。また、シリンダヘッド本体110を、アルミニ
ウム合金に代表される軽合金で製造する場合には、バル
ブ部材113B、114Bとの衝接関係にあるバルブシ
ート102,103は、軽合金よりも耐摩耗性、耐衝撃
性に優れた異種金属、例えば 鉄系焼結合金製とする必
要がある。燃焼室側と反対側で硬度の異なる傾斜性能材
料を用いるため、焼結材の方が一体成形が容易だからで
ある。
【0004】以上のようなシリンダヘッドの製造方法の
一例として、吸気ポート110a、排気ポート110
b、バルブ貫通孔110c、110dを備えたシリンダ
ヘッド本体110を鋳造した後に、吸気ポート110a
及び排気ポート110bの燃焼室側開口部に切削加工を
施し、切削加工部分にシリンダヘッド本体110とは異
種材料からなるバルブシート102、103を圧入し
て、シリンダヘッド本体110とバルブシート102、
103とを一体化する方法がある。しかし圧入は一般に
高い精度を要し、加えて傾斜角θ、θをなす方向に
切削加工を施す必要があるので、より高い加工精度が必
要となる。
【0005】また、他の製造方法の例として、異種材料
の鋳ぐるみ一体成形がある。これは、シリンダヘッド本
体110の鋳造時に、バルブシート102、103を鋳
ぐるみ一体成形する方法である。この場合、バルブシー
ト材102、103とシリンダヘッド本体110との界
面の密着性を高めるため、ダイカスト法に代表される中
圧、あるいは高圧射出式の金型鋳造法でシリンダヘッド
110本体を成形する。
【0006】具体的には図6に示されるように、吸気ポ
ート110a及び排気ポート110b形成のための砂中
子に代表されるポート中子204、205の燃焼室側先
端部に、先細り裁頭円すい形状の幅木部204A、20
5Aを設け、中空円筒形状のバルブシート202、20
3を、幅木部204A、205Aに重ならないポート中
子204,205の最先端側に挿通保持させる。
【0007】金型201には幅木部204A、205A
の裁頭円すい形状に合致する裁頭円すい形状の凹部から
なる2つのインロー部201a、201bが形成されて
おり、インロー部201a、201bに、それぞれポー
ト中子204、205の端部に設けられた裁頭円すい形
状の幅木部204A、205Aが挿入される。この状態
でシリンダヘッド本体の射出成型が行われる。
【0008】しかし、このような方法では、ポート中子
204、205に対するバルブシート202、203の
軸方向の位置を固定できないので、ポート中子204,
205に対して、バルブシート202、203がその軸
方向にずれた状態で、射出成形が行われるおそれがあ
り、すると、バルブシート202、203はバルブ部材
113B、114Bに対して不適切な位置に固定され、
エンジン性能に支障を来す結果となる。
【0009】そこで、図7に示されるような金型形状が
考えられる。即ち金型301のキャビティー面に突設す
る2つのインロー部301a、301bを金型に設け、
インロー部の外周を円柱状とすると共に、内周面側を先
細り裁頭円すい形状の幅木部の形状に合致する裁頭円す
い形状の凹部形状とする。そして、異種材料たる中空円
筒形状のバルブシート302、303を、埋金としてイ
ンロー部301a、301bの円柱形状の外周面に嵌合
させることによりキャビティー内に保持する。そして図
6に示したのと同様にインロー部301a、301bの
凹部に、それぞれポート中子304、305の幅木部3
04A、305Aを挿入する。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかし、図7に示され
るシリンダヘッドの製造方法では、バルブシート30
2、303がシリンダの軸方向即ち製品離型方向に対し
それぞれθ、θだけ傾斜して設けられるため、金型
301のインロー部301a、301bの外周面も製品
離型方向に対してそれぞれθ、θだけ傾斜してい
る。従って、図7にAで示す部分が製品離型時にアンダ
ーカットとなり、シリンダヘッド310を金型から分離
することが不可能となる。
【0011】これを避けるためには、上述したインロー
部301a形状と合致した移動可能なトンネル中子30
1A等の特殊機構を、金型内に設ける必要があるが、ス
ペース上の問題から、吸気ポート用のポート中子304
が挿入されるインロー部301aと、排気ポート用のポ
ート中子305が挿入されるインロー部301bとの双
方に、互いの干渉を避けつつトンネル中子を設けること
は、スペース上極めて困難である。
【0012】更に、従来のポート中子では、砂焼き等を
行ってポート中子を除去する必要があり、製造工程の簡
素化ができなかった。
【0013】そこで本発明は、金型内でのバルブシート
素材の正確な位置決めが可能であり、かつ、製品離型が
容易なシリンダヘッドの製造方法、及びバルブシートが
所定位置に鋳ぐるまれたシリンダヘッド、並びに上述し
た製造方法において上述した利点をもたらすことができ
るシリンダヘッド用のバルブシート素材を提供すること
を目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明は、上底を共有する2つの裁頭円すいを組合
せた2つのテーパー面2A、2B、3A、3Bからなる
内周面を有するバルブシート素材2、3を、ポート中子
4、5の一端部に設けられた先細りテーパー状の幅木部
4A、5Aに挿入し、該バルブシート素材2、3の一方
のテーパー面2B、3Bを該幅木部4A、5Aに面接触
させて、該バルブシート素材2、3とポート中子4、5
を一体化する一体化工程と、該バルブシート素材2、3
の他方のテーパー面2A、3Aと、該バルブシート素材
内周面から突出した該幅木部4A、5Aとを金型に嵌合
させ、バルブシート素材2、3とポート中子4、5を金
型1に保持させるポート中子保持工程と、軽合金により
バルブシート素材2、3を鋳ぐるんでシリンダヘッドを
一体成型する鋳造工程と、ポート中子4、5を除去する
ポート中子除去工程とを備えるシリンダヘッドの製造方
法を提供している。
【0015】本発明はまた、上底を共有する2つの裁頭
円すいを組合せた2つのテーパー面2A、2B、3A、
3Bからなる内周面を有するバルブシート素材2、3の
一方のテーパー面2A、3Aを金型1に嵌合させて、該
バルブシート素材2、3を金型1に保持させるバルブシ
ート素材保持工程と、該バルブシート素材2、3の他方
のテーパー面2B、3Bに、ポート中子4、5の一端部
に設けられた先細りテーパー状の幅木部4A、5Aに挿
入し、該バルブシート素材内周面から突出した該幅木部
4A、5Aを金型1に嵌合させ、ポート中子4、5をバ
ルブシート素材2、3を介して金型1に保持させるポー
ト中子保持工程と、軽合金によりバルブシート素材2、
3を鋳ぐるんでシリンダヘッドを一体成型する鋳造工程
と、ポート中子4、5を除去するポート中子除去工程と
を備えるシリンダヘッドの製造方法を提供している。
【0016】このとき、該ポート中子4、5は加振等を
することにより崩壊する崩壊性ポート中子4、5であ
り、該ポート中子除去行程において、崩壊性ポート中子
4、5に加振を加えることにより崩壊性ポート中子4、
5を除去するのが好ましい。
【0017】本発明は、燃焼室に向う吸気ポートと排気
ポートとがシリンダ軸心に交差する方向に指向する軽金
属製のシリンダヘッド本体と、該吸気ポートと該排気ポ
ートの燃焼室開口端面にそれぞれ設けられシリンダヘッ
ド本体とは異種金属製のバルブシートを備えたシリンダ
ヘッドにおいて、該バルブシートは、上底を共有する2
つの裁頭円すいを組合せた2つのテーパー面2A、2
B、3A、3Bからなる内周面を有するバルブシート素
材2、3を、ポート中子4、5の一端部に設けられた先
細りテーパー状の幅木部4A、5Aに挿入し、該バルブ
シート素材2、3の一方のテーパー面2B、3Bを該幅
木部4A、5Aに面接触させた状態で金型1にセットさ
れて該シリンダヘッド本体の鋳造時に一体に鋳ぐるまれ
るシリンダヘッドを提供している。
【0018】本発明はまた、燃焼室に向う吸気ポートと
排気ポートとがシリンダ軸心に交差する方向に指向する
軽金属製のシリンダヘッド本体と、該吸気ポートと該排
気ポートの燃焼室開口端面にそれぞれ設けられシリンダ
ヘッド本体とは異種金属製のバルブシートを備えたシリ
ンダヘッドにおいて、該バルブシートは、上底を共有す
る2つの裁頭円すいを組合せた2つのテーパー面2A、
2B、3A、3Bからなる内周面を有するバルブシート
素材2、3を、金型1に嵌合させ、ポート中子4、5の
一端部に設けられた先細りテーパー状の幅木部4A、5
Aを該バルブシート素材2、3を介して金型1に嵌合さ
せ、該バルブシート素材2、3の一方のテーパー面2
B、3Bを該幅木部4A、5Aに面接触させた状態で金
型1にセットされて該シリンダヘッド本体の鋳造時に一
体に鋳ぐるまれるシリンダヘッドを提供している。
【0019】本発明は更に、燃焼室に向う吸気ポートと
排気ポートとがシリンダ軸心に交差する方向に指向する
シリンダヘッド本体の、該吸気ポートと該排気ポートの
燃焼室開口端面にそれぞれ設けられるシリンダヘッドの
バルブシートのためのバルブシート素材2、3であっ
て、上底を共有する2つの裁頭円すいを組合せた2つの
テーパー面2A、2B、3A、3Bからなる内周面を有
し、両端部の内径のうち一方または双方が最大径であっ
て、中央部が該上底を共有する部分であってその内径が
最小径であるバルブシート素材2、3を提供している。
【0020】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態によるシリン
ダヘッドの製造方法について図1乃至図4に基づき説明
する。
【0021】図1に、シリンダヘッド素材を射出成型す
る前の金型1、バルブシート素材2、3、崩壊性ポート
中子4、5を組合せた状態を示し、図2、図3にバルブ
シート素材2(3)の形状を示す。吸気ポート及び排気
ポートを形成するための崩壊性ポート中子4、5は、そ
の燃焼室側が、シリンダ軸心に交差する方向に指向する
ように金型1にセットされる。そのために、崩壊性ポー
ト中子4、5の燃焼室側一端部には、金型1に係合可能
な先細りテーパー状の幅木部4A、5Aが設けられ、反
燃焼室側端部にも金型1に係合可能な幅木部4B、5B
が設けられている。 金型1のシリンダヘッド燃焼室側
の形状を規定する部分には、幅木部4A、5Aと合致す
る形状をなし、幅木部4A、5Aと係合するテーパ状凹
部1b、1cが形成されたインロー部1B、1Cが突設
している。インロー部1B、1Cの外周面1d、1e
は、アンダーカットのないテーパ形状をなす。そして後
述するように、バルブシート素材2、3は、幅木部4
A、5Aの外周面と、インロー部外周面1d、1eとに
係合してセットされる。
【0022】バルブシート素材2、3は、鉄系焼結合金
製であり、図2、図3に示されるように、バルブシート
素材2、3の外周面は円筒形状をなし、内周面は、上底
を共有する2つの裁頭円すいを組合せた2つのテーパー
面2A、2B、3A、3Bを有する。よって、バルブシ
ート素材2、3の両端部の内径のうち一方または双方が
最大径であって、上底を共有する部分で内径が最小径と
なる。また、インロー部1B、1Cの凹部1b、1cの
勾配は、バルブシート素材2、3の反燃焼室側テーパー
面2B、3Bの勾配と略同一であるが、凹部1b、1c
がテーパー面2B、3Bよりも0.15mm乃至0.3
mmほど低くなる段差が形成されるような形状をしてい
る。換言すれば、凹部1b、1cは、テーパー面2B、
3Bの仮想の延長面よりも半径方向外方に位置する。こ
れは、後述のように、インロー部1B、1Cの凹部1
b、1cに崩壊性ポート中子4、5の幅木部4A、5A
を係合させた際に、凹部1b、1cと幅木部4A、5A
との間にクリアランスを設けるためである。
【0023】次に、本実施の形態によるシリンダヘッド
の製造方法について、説明する。はじめに、バルブシー
ト素材2の具体的寸法について説明する。バルブシート
素材2は、その軸方向長さをtとすると、燃焼室側テー
パー面2Aと反燃焼室側テーパー面2Bが形成される部
分の長さはそれぞれl、lであり、lとlの合
計はtであるが、lもlもともにt/2となるのが
好ましい。本実施の形態では、lもlもともにt/
2であり、テーパー面2A、2Bをなす裁頭円すいの下
底の直径すなわちバルブシート素材2の両端部における
内径はdである。また、燃焼室側テーパー面2Aと反燃
焼室側テーパー面2Bの勾配は同一でなくともよいが、
本実施の形態では双方とも勾配はαとする。なお、本実
施の形態ではバルブシート素材2の両端部における内径
が双方とも最大径となっているが、lとlが異なる
値を採る場合や、テーパー面2A、2Bの勾配が同一で
ない場合などには、いずれか一方のみが最大径となる。
【0024】テーパー面2A、2Bの勾配αは、バルブ
シート素材2のシリンダ中心軸に対する傾きθよりも
βだけ大きい値とする。βは0.15°以上、好ましく
は1°以上であり、本実施の形態では3°である。αを
θよりも大きい値とすることにより、金型1に当接す
る燃焼室側テーパー面2Aの傾きがシリンダ中心軸方向
即ちシリンダヘッドの離型方向に対しβ分だけのゆとり
を持つこととなり、離型がスムーズに行えるようにな
る。
【0025】また、図示しないが、排気側バルブシート
素材3も、外周面が円柱形状をなし、内周面が上底を共
有する2つの互いに同一形状の裁頭円すいを組合せた形
状をなし、2つのテーパー面3A、3Bからなる形状と
する(図1)。テーパー面の勾配は、バルブシート素材
3のシリンダ中心軸に対する傾きθよりもβだけ大き
い値とする。なお、最終的なバルブシートは、内周も円
筒形状にするのが好ましいため、バルブシート素材2、
3の、内周が最大径となる側の一端部における内径より
半径方向内方にはみ出す部分は余肉となるが、この部分
は後述するように、後の工程で切削加工される。
【0026】次に、吸気ポート及び排気ポートを形成す
るための崩壊性ポート中子4、5と、シリンダヘッド本
体を冷却する水ジャケットを形成するための図示せぬ崩
壊性中子を造形する。崩壊性ポート中子4、5は、軽合
金鋳造用の鋳型砂を用いてシェルモールド法により造形
され、外周面に溶湯の浸透を防止するための塗型を施し
ている。崩壊性ポート中子4、5は、鋳造後に加振除去
することが可能である。図4に吸気ポートを形成するた
めの吸気側崩壊性ポート中子4の一端部の詳細な形状を
示す。
【0027】吸気側崩壊性ポート中子4の燃焼室側の一
端には、先細り裁頭円すい形状の幅木部4Aが設けら
れ、崩壊性ポート中子4の先端は幅木部4Aの裁頭円す
い形状の上底とする。幅木部4Aの周面は、吸気側バル
ブシート素材2の反燃焼室側テーパー面2Bと同一の勾
配αを備える。幅木部4Aの下底の直径は、バルブシー
ト素材2の反燃焼室側端部における内径dより0.6〜
0.8mm小さく造形する。これは、崩壊性ポート中子
4の全面に厚さ0.3mm乃至0.4mmの塗型を施す
ためである。また、幅木部4Aの裁頭円すい形状の高さ
hはバルブシート素材2の反燃焼室側テーパー面2Bの
高さlと同等あるいはlよりも大きく、周面の勾配
がαである仮想円錐の高さxよりも小さくする。
【0028】なお、本実施の形態では幅木部4Aは裁頭
円すい形状としたが、周面の勾配がαである円錐形状と
してもよい。なお、図示はしないが、排気ポートを形成
するための排気側崩壊性ポート中子5にも裁頭円すい形
状の幅木部5Aを備え(図1)、崩壊性ポート中子5の
先端は幅木部5Aの裁頭円すい形状の上底とする。幅木
部5Aの周面は、排気側バルブシート素材3の反燃焼室
側テーパー面3Bと同一の勾配をもたせ、幅木部5Aの
下底の直径はバルブシート素材3の反燃焼室側端部にお
ける内径より0.6〜0.8mm小さく造形する。これ
は、崩壊性ポート中子4の全面に厚さ0.3mm乃至
0.4mmの塗型を施すためである。また、幅木部5A
の裁頭円すい形状の高さは、バルブシート素材3の反燃
焼室側テーパ面3Bの高さと同等、またはそれより大き
くする。
【0029】次に、以上のように造形された崩壊性ポー
ト中子4、5や、図示せぬ水ジャケット中子の表面に、
耐圧性を備えるための塗型が施される。これは溶融アル
ミニウム合金を金型キャビティー内に射出充填した際
に、溶湯が砂中子表面に差し込むことを防止するための
もので、例えば特開平1−133639や特開平1−4
8638に記載された塗型が好適であるが、これらに限
られない。本実施の形態では、塗型の厚さは0.3〜
0.4mmとする。上述のように、幅木部4A、5Aの
裁頭円すい形状の下底の直径を、それぞれの幅木部4
A、5Aが対応するバルブシート素材2、3の反燃焼室
側端部における内径よりも0.6〜0.8mm小さく造
形したので、崩壊性ポート中子4、5の表面に塗型がさ
れた後の状態で、崩壊性ポート中子4、5の幅木部4
A、5Aの裁頭円すい形状の下底の直径がバルブシート
素材2、3の反燃焼室側端部における内周の直径と一致
する。なお、本実施の形態では塗型の厚さを0.3〜
0.4mmとしたので、幅木部4A、5Aの裁頭円すい
形状の下底の直径を、それぞれの幅木部4A、5Aが対
応するバルブシート素材2、3の反燃焼室側端部におけ
る内径よりも0.6〜0.8mm小さく造形したが、幅
木部の裁頭円すい形状の下底の直径は、バルブシート素
材2、3の反燃焼室側端部における内径から塗型の厚さ
の2倍を引いた値とすればよい。
【0030】次に、バルブシート素材2、3の内周に、
それぞれ崩壊性ポート中子4、5の幅木部4A、5Aを
挿通し、崩壊性ポート中子4、5の幅木部4A、5Aの
下底とバルブシート素材2、3の反燃焼室端部とを一致
させ、崩壊性ポート中子4、5とバルブシート素材2、
3を互いのテーパ面上で面接触させる。このとき、崩壊
性ポート中子4とバルブシート素材2の接触面に、接着
剤を塗布してから崩壊性ポート中子4とバルブシート素
材2を面接触させ、両者を複合一体化する。このとき使
用する接着剤は、ウレタン系接着剤、シアノ系接着剤、
エポキシ系接着剤など任意選択が可能である。
【0031】次に、バルブシート素材2、3をそれぞれ
接着一体化した崩壊性ポート中子4、5の幅木4A、5
Aを、それぞれ金型1のインロー部1B、1Cの凹部1
d、1eに挿入する。凹部1b、1cは、幅木部4A、
5Aのバルブシート素材2、3の内周面から突出する部
分と略同一の形状をしており、また外周面1d、1e
は、バルブシート素材2、3の燃焼室側テーパー面2
A、3Aと同一の形状をしているので、バルブシート素
材2、3をそれぞれ接着一体化した崩壊性ポート中子
4、5は、インロー部1B、1Cに良好に嵌合する。こ
のとき、インロー部1B、1Cの凹部1b、1cは、バ
ルブシート素材2、3のテーパー面2B、3Bよりも
0.15mm乃至0.3mmほど低くなる段差が形成さ
れるような形状であるので、インロー部1B、1Cの凹
部1b、1cと崩壊性ポート中子4、5の幅木部4A、
5Aとの間にはクリアランスが生じる。こうして、崩壊
性ポート中子4、5の表面に施した塗型の厚さが多少不
揃いになっても、クリアランスが塗型の不揃いを吸収す
るので、金型1のシリンダヘッド燃焼室面に、崩壊性ポ
ート中子4、5及びバルブシート素材2、3の双方を精
度良く保持することができる。
【0032】こうして、図1に示されるような、金型
1、バルブシート素材2、3、崩壊性ポート中子4、5
を組合せた状態となる。更に、図示せぬ水ジャケット中
子も鋳造金型内に挿入保持される。そして、溶融アルミ
ニウム合金を金型キャビティ1A内に射出充填すると、
バルブシート素材2、3の周囲を溶湯が鋳ぐるんで、シ
リンダヘッド本体とバルブシート素材2、3とが一体成
形される。
【0033】金型キャビティ1A内の溶湯が凝固した
後、崩壊性ポート中子4、5及び水ジャケット中子を内
包した製品を取り出し、製品を加振するなどすることで
崩壊性ポート中子4、5及び水ジャケット中子を崩壊さ
せ砂を排出除去する。
【0034】最後に、シリンダヘッド本体に鋳ぐるまれ
たバルブシート素材の内周面加工が行われる。即ち、バ
ルブシート素材の内周面が、軸方向全体においてバルブ
シート素材の端面の内径と同一となるように、余肉部分
を切削加工する。
【0035】本発明によるシリンダヘッドは上述した実
施の形態に限定されず、特許請求の範囲に記載した範囲
で種々の変形や改良が可能である。例えば、シリンダヘ
ッド本体とバルブシートとの一体性を高めるために、バ
ルブシート素材の外周面を凹凸面にして、溶湯固化後に
はバルブシート素材の凹凸面とシリンダヘッド本体の凹
凸部との係合をなすようにしてもよい。
【0036】また、上記実施の形態ではバルブシート素
材を崩壊性ポート中子と一体化させた後に金型のインロ
ー部に挿入したが、バルブシート素材を金型のインロー
部に設置した後に、金型のインロー部にバルブシート素
材を介して崩壊性ポート中子を挿入してもよい。
【0037】また、上記実施の形態では、崩壊性ポート
中子を加振等により崩壊させ除去したが、従来のよう
に、砂焼き等により崩壊性ポート中子を除去するように
してもよい。
【0038】また、崩壊性ポート中子に代えて従来のよ
うに砂焼き等により除去するポート中子を用いてもよ
い。
【0039】また、上記実施の形態では、バルブシート
素材の内周面が、軸方向全体においてバルブシート素材
の端面の内径と同一となるように、余肉部分を切削加工
したが、このような切削加工は行わず、バルブシート素
材の元の形状のままバルブシートとして用いてもよい。
【0040】
【発明の効果】請求項1及び2記載のシリンダヘッドの
製造方法によれば、バルブシート素材とポート中子を金
型に保持させる工程により、バルブシート素材は、金型
やポート中子に対して移動不能に固定されるので、溶湯
を鋳ぐるんだ後も、バルブシート素材は所定位置で、シ
リンダヘッド本体と一体化できる。また、バルブシート
素材の内周面形状を、2つのテーパ面形状としたので、
バルブシート素材の内周面と金型とが密着する部分はア
ンダーカットとならず、製品と金型との分離が可能とな
る。
【0041】請求項3記載のシリンダヘッドの製造方法
によれば、ポート中子を加振等を加えることにより崩壊
する崩壊性ポート中子としたので、ポート中子を除去す
るために砂焼き等を行う必要が無く、加振等で簡単にポ
ート中子を除去することが可能となる。
【0042】請求項4及び5記載のシリンダヘッドによ
れば、バルブシートは、上底を共有する2つの裁頭円す
いを組合せた2つのテーパー面からなる内周面を有する
バルブシート素材を、ポート中子の一端部に設けられた
先細りテーパー状の幅木部に当接させ、バルブシート素
材の一方のテーパー面を幅木部に面接触させた状態で金
型にセットされてシリンダヘッド本体の鋳造時に一体に
鋳ぐるまれるので、バルブシートを適正な位置に設ける
ことができ、またバルブシートとシリンダヘッド本体と
の一体性が高められたシリンダヘッドとなる。
【0043】請求項6記載のバルブシート素材によれ
ば、上底を共有する2つの裁頭円すいを組合せた2つの
テーパー面からなる内周面を有し、両端部の内径のうち
一方または双方が最大径であって、中央部が該上底を共
有する部分であってその内径が最小径であるので、シリ
ンダヘッドの製造時に、バルブシート素材の内周面と金
型とが密着する部分はアンダーカットとならず、製品と
金型との分離が可能となる。また、バルブシート素材の
一方のテーパー面を幅木部に面接触させた状態で金型に
セットしてシリンダヘッド本体の鋳造時に一体に鋳ぐる
ませることが可能となり、バルブシートを適正な位置に
設けることができ、またバルブシートとシリンダヘッド
本体との一体性が高められたシリンダヘッドを製造する
ことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態によるシリンダヘッド本体
を射出成型する前の金型、バルブシート素材、崩壊性ポ
ート中子を組合せた状態を示す断面図。
【図2】本発明の実施の形態によるバルブシート素材を
示す正面図。
【図3】本発明実施の形態によるバルブシート素材を示
す断面図。
【図4】本発明の実施の形態による崩壊性ポート中子を
示す側面図。
【図5】完成したシリンダヘッド製品を示す断面図。
【図6】従来のシリンダヘッド素材を射出成型する前の
金型、バルブシート、ポート中子を組合せた状態を示す
断面図。
【図7】他の従来のシリンダヘッド素材を射出成型する
前の金型、バルブシート、ポート中子を組合せた状態を
示す断面図。
【符号の説明】
1 金型 1B、1C、インロー部 1b、1c インロー部の凹部 1d、1e インロー部の外周部 2、3 バルブシート素材 2A、2B、3A、3B バルブシート素材のテーパ面 4、5 崩壊性ポート中子 4A、5A 幅木部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) F02F 1/24 F02F 1/24 B S 1/42 1/42 E H (72)発明者 田中 宏幸 埼玉県和光市中央1丁目4番1号 株式会 社本田技術研究所内 (72)発明者 清水 治郎 埼玉県和光市中央1丁目4番1号 株式会 社本田技術研究所内 (72)発明者 池田 次男 埼玉県和光市中央1丁目4番1号 株式会 社本田技術研究所内 Fターム(参考) 3G024 AA09 AA11 AA14 AA15 DA08 FA14 GA02 GA04 HA07 4E093 QB05 QD01 QD10 UA08

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 上底を共有する2つの裁頭円すいを組合
    せた2つのテーパー面からなる内周面を有するバルブシ
    ート素材を、ポート中子の一端部に設けられた先細りテ
    ーパー状の幅木部に挿入し、該バルブシート素材の一方
    のテーパー面を該幅木部に面接触させて、該バルブシー
    ト素材とポート中子を一体化する一体化工程と、 該バルブシート素材の他方のテーパー面と、該バルブシ
    ート素材内周面から突出した該幅木部とを金型に嵌合さ
    せ、バルブシート素材とポート中子を金型に保持させる
    ポート中子保持工程と、 軽合金によりバルブシート素材を鋳ぐるんでシリンダヘ
    ッドを一体成型する鋳造工程と、 ポート中子を除去するポート中子除去工程とを備えるこ
    とを特徴とするシリンダヘッドの製造方法。
  2. 【請求項2】 上底を共有する2つの裁頭円すいを組合
    せた2つのテーパー面からなる内周面を有するバルブシ
    ート素材の一方のテーパー面を金型に嵌合させて、該バ
    ルブシート素材を金型に保持させるバルブシート素材保
    持工程と、 該バルブシート素材の他方のテーパー面に、ポート中子
    の一端部に設けられた先細りテーパー状の幅木部に挿入
    し、該バルブシート素材内周面から突出した該幅木部を
    金型に嵌合させ、ポート中子をバルブシート素材を介し
    て金型に保持させるポート中子保持工程と、 軽合金によりバルブシート素材を鋳ぐるんでシリンダヘ
    ッドを一体成型する鋳造工程と、 ポート中子を除去するポート中子除去工程とを備えるこ
    とを特徴とするシリンダヘッドの製造方法。
  3. 【請求項3】 該ポート中子は加振等を加えることによ
    り崩壊する崩壊性ポート中子であり、該ポート中子除去
    行程において、崩壊性ポート中子に加振をすることによ
    り崩壊性ポート中子を除去することを特徴とする請求項
    1又は2記載のシリンダヘッドの製造方法。
  4. 【請求項4】 燃焼室に向う吸気ポートと排気ポートと
    がシリンダ軸心に交差する方向に指向する軽金属製のシ
    リンダヘッド本体と、該吸気ポートと該排気ポートの燃
    焼室開口端面にそれぞれ設けられシリンダヘッド本体と
    は異種金属製のバルブシートを備えたシリンダヘッドに
    おいて、 該バルブシートは、上底を共有する2つの裁頭円すいを
    組合せた2つのテーパー面からなる内周面を有するバル
    ブシート素材を、ポート中子の一端部に設けられた先細
    りテーパー状の幅木部に挿入し、該バルブシート素材の
    一方のテーパー面を該幅木部に面接触させた状態で金型
    にセットされて該シリンダヘッド本体の鋳造時に一体に
    鋳ぐるまれることを特徴とするシリンダヘッド。
  5. 【請求項5】 燃焼室に向う吸気ポートと排気ポートと
    がシリンダ軸心に交差する方向に指向する軽金属製のシ
    リンダヘッド本体と、該吸気ポートと該排気ポートの燃
    焼室開口端面にそれぞれ設けられシリンダヘッド本体と
    は異種金属製のバルブシートを備えたシリンダヘッドに
    おいて、 該バルブシートは、上底を共有する2つの裁頭円すいを
    組合せた2つのテーパー面からなる内周面を有するバル
    ブシート素材を、金型に嵌合させ、ポート中子の一端部
    に設けられた先細りテーパー状の幅木部を該バルブシー
    ト素材を介して金型に嵌合させ、該バルブシート素材の
    一方のテーパー面を該幅木部に面接触させた状態で金型
    にセットされて該シリンダヘッド本体の鋳造時に一体に
    鋳ぐるまれることを特徴とするシリンダヘッド。
  6. 【請求項6】 燃焼室に向う吸気ポートと排気ポートと
    がシリンダ軸心に交差する方向に指向するシリンダヘッ
    ド本体の、該吸気ポートと該排気ポートの燃焼室開口端
    面にそれぞれ設けられるシリンダヘッドのバルブシート
    のためのバルブシート素材であって、 上底を共有する2つの裁頭円すいを組合せた2つのテー
    パー面からなる内周面を有し、両端部の内径のうち一方
    または双方が最大径であって、中央部が該上底を共有す
    る部分であってその内径が最小径であることを特徴とす
    るバルブシート素材。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004136350A (ja) * 2002-10-18 2004-05-13 Nippon Piston Ring Co Ltd 軽金属合金鋳包み用バルブシート
CN1314499C (zh) * 2004-04-23 2007-05-09 现代自动车株式会社 进气口或排气口铸造型芯的结构
JP2010099713A (ja) * 2008-10-24 2010-05-06 Toyota Motor Corp シリンダヘッド鋳造型およびシリンダヘッド鋳造方法
CN108746502A (zh) * 2018-08-09 2018-11-06 江苏力源金河铸造有限公司 一种工程机械后盖浇铸用分体式砂芯

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