JP2002239641A - 湾曲金属板の製造方法、及びゴルフクラブヘッド - Google Patents

湾曲金属板の製造方法、及びゴルフクラブヘッド

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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 プレス加工をする際に比較的低荷重でもっ
て、確実に曲げ加工を行うことができる湾曲金属板の製
造方法を提供する。 【解決手段】 凹部2の形成された金型の湾曲凸面11
aに、チタン又はチタン合金からなる金属板の一面を当
ててプレスすることにより、前記金属板の一面にリブを
形成しつつ湾曲させる。凹部に金属を充満させないこと
で接触面積が減少し、荷重を低減させることができる。
また、凹部に一面側の金属が流れ込むことから、その一
面側のみ拘束され、他面側の引張応力を増長させること
で他面の塑性変形を促すことができ、得られる湾曲金属
板のスプリングバックによる戻りを抑制することができ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、チタン又はチタン
合金からなる湾曲金属板の製造方法、及びプレス曲げ加
工によってリブの形成されたチタン合金等の金属板を用
いたゴルフクラブヘッドに関する。
【0002】
【従来の技術】チタン合金は、比較的比重が小さいにも
拘わらず強度が高いことから、従来から航空機材料や自
動車部品材料や医療用材料として用いられている。ま
た、近年、ゴルフや自転車などのレジャー用品にも用い
られている。特に、ゴルフクラブのヘッドは複雑な形状
をしているため、かかるヘッドを構成する部材として
は、一般に、Ti−6Al−4Vを用いた鋳造品が用い
られているが、製造コストや強度等の点で問題がある。
この点、熱間加工性があるSP700や冷間加工性のあ
るTi−15V−3Al−3Cr−3Snからなる金属
板を塑性変形させ、この塑性加工品をゴルフクラブヘッ
ドに用いることも知られている。例えば、特許2640
415号公報には、ゴルフクラブのドライバーヘッド材
料として、バナジウムを10〜25重量%含み、アルミ
ニウムを2〜5重量%、クロムを2〜5重量%、スズを
2〜4重量%の中から1種または2種以上含むチタン合
金からなる金属板を、冷間又は熱間プレスして所定形状
に成形して各部材を作成し、これらを溶接にて接合して
ゴルフのドライバーヘッドを作製することが開示されて
いる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記公
報記載のチタン合金を用いた場合であっても、チタン等
の金属板を、例えばゴルフクラブのヘッドのような複雑
な形状に塑性加工する場合には、大きな荷重が必要であ
る。さらに、チタン又はチタン合金はスプリングバック
が大きいため、この金属板をプレス曲げ加工しても、プ
レス後ほとんど元に戻るため、塑性加工による湾曲金属
板の製造は非常に困難である。
【0004】本発明は、このような点に鑑みて、プレス
加工をする際に比較的低荷重でもって、確実に曲げ加工
を行うことができる湾曲金属板の製造方法を提供するこ
とを課題とする。さらに、プレス加工で確実に作製で
き、且つ強度的にも優れたゴルフクラブヘッドを提供す
ることを課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】一般的に金型と材料の接
触面積を減らすことによりプレス荷重を低減できるが、
単純に金型を小さくするだけでは金属板のすべての部位
に塑性加工を施すことができない。本発明者等は、更に
鋭意研究した結果、金属板のプレス曲げ加工に用いる金
型に、溝状、穴状などの凹部を形成することにより、金
属板と金型との接触面積が減少し、金型のサイズに拘わ
らず荷重を大幅に低減でき、且つスプリングバックも小
さくなるという知見を得、本発明を完成させた。
【0006】すなわち、本発明は、凹部の形成された金
型の湾曲凸面に、チタン又はチタン合金からなる金属板
の一面を当ててプレスすることにより、前記金属板の一
面にリブを形成しつつ湾曲させる湾曲金属板の製造方法
を解決手段とする。かかる製造方法によれば、凹部の形
成された金型の湾曲凸面に、チタン又はチタン合金から
なる金属板の一面を当ててプレスすることにより、プレ
ス曲げ加工時、金属板の一面側の金属を金型の凹部へ流
れ込むことを促すと共に、該凹部に金属を充満させない
ことで接触面積が減少し、よって、荷重を低減させるこ
とができる。また、凹部に一面側の金属が流れ込むこと
からその一面側のみ拘束され、これにより金属板の他面
側の引張応力を増長させることで該他面の塑性変形を促
すことができ、従って、得られる湾曲金属板のスプリン
グバックによる戻りを抑制することができる。
【0007】前記凹部は、溝状、長溝状、穴形状、その
他の任意の形状を採用できるが、中でも、前記金属板の
曲げ方向に対して交差する成分方向(より好ましくは直
交する成分方向)を有する溝状の凹部が好ましく、又、
複数の凹部のうち少なくとも1つの凹部が前記金属板の
曲げ方向に対して交差する成分方向(より好ましくは直
交する成分方向)を有する溝状であることが好ましい。
この好ましい態様によれば、金属板のプレス加工時、金
属板の湾曲内面(一面)に於いて、曲げ方向に沿って集
束する金属が、金属板の曲げ方向に対して交差する成分
方向(より好ましくは直交する成分方向)に形成された
凹部(溝)に確実に流れ込むこととなり、上記の作用効
果、すなわち、より低荷重でもって湾曲させることがで
き、且つスプリングバックもより確実に抑制することが
できる。
【0008】金属板を構成するチタン又はチタン合金の
組成は特に限定されないが、強度の点などを考慮すれば
β型チタン合金が好ましく、更に、素材自体に於いても
塑性加工性に優れることから、バナジウム15〜25重
量%、アルミニウム2.5〜5重量%、スズ0.5〜4
重量%を含有するβ型チタン合金がより好ましい。
【0009】上記製法により作製された湾曲金属板は、
凹部に流れ込んだ金属によって、金属板の湾曲内面に於
いてリブ(突起)が形成されることとなる。かかるリブ
は、湾曲金属板の面に対して垂直方向に加わる衝撃に対
する強度を高め、湾曲金属板を補強する働きをする。従
って、本発明の製法で作製された湾曲金属板を少なくと
も一部に用いたゴルフクラブのヘッドは、チタン又はチ
タン合金という素材自体の利点のみならず、形状的にも
優れた強度を有するものとなる。特に、金属板が、バナ
ジウム15〜25重量%、アルミニウム2.5〜5重量
%、スズ0.5〜4重量%を含有し、残部チタンおよび
不可避不純物の組成からなるβ型チタン合金は、時効後
に高強度となる性質を有するので、ゴルフクラブのヘッ
ドとして好適である。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態について
説明する。本発明は、チタン又はチタン合金からなる金
属板を、凹部の形成された金型の湾曲凸面を利用し、プ
レス加工によって塑性変形させて所望形状の金属板を製
造するものである。かかるチタン又はチタン合金の組成
は特に限定されず、公知のものを用いることができる。
例えば、純チタン、β型チタン合金、α型+β型チタン
合金や、V:15〜25重量%、Al:2.5〜5重量
%、Sn:0.5〜4重量%、O:0.12重量%以下
含有し、残部Tiおよび不可避不純物の組成からなるβ
型チタン合金(日本特許第2669004号開示のも
の)、V:10〜25重量%、Al:2〜5重量%、C
r:2〜5重量%、Sn:2〜4重量%、O:0.25
重量%以下含有し、残部Tiおよび不可避不純物の組成
からなるチタン合金(日本特許第2640415号開示
のもの)などが例示され、中でも、製品強度に優れ且つ
塑性加工性の良好な前記V:15〜25重量%、Al:
2.5〜5重量%、Sn:0.5〜4重量%、O:0.
12重量%以下含有し、残部Tiおよび不可避不純物の
組成からなるβ型チタン合金が好ましい。
【0011】金属板は、チタン又はチタン合金が冷間圧
延されて形成されたものや熱間圧延されたもの、或い
は、更に溶体化処理が施されたものや溶体化処理された
後に圧延されたものなど公知の手段によって製造された
ものを用いることができる。金属板の厚みは、プレスに
よる塑性加工が可能な程度であれば特に限定されず、例
えば、0.1〜15mm程度、好ましくは0.5〜5m
m程度のものが例示される。
【0012】本発明の製法に使用される金型としては、
例えば、金属板を挟んでプレス加工によって湾曲させる
べく、2つ湾曲面を有し、該湾曲面のうち湾曲凸面にの
み凹部が形成された構成のものが用いられる。このよう
な金型1は、例えば、図1に示すように、固定側の金型
11に、湾曲した凸面11a(本明細書で「湾曲凸面」
という)が形成され、且つ可動側の金型12に、湾曲し
た凹面12a(該凹面12aは平滑面である)が形成さ
れており、更に、湾曲凸面11aには、凹部2が形成さ
れている。図示した凹部2は、金型1の湾曲凸面11a
の曲げ方向に対して実質的に直交する成分方向に延設さ
れた溝21であり、一つの湾曲凸面11aに5本略等間
隔に形成されている(尚、湾曲凸面11aを有する金型
は、固定されたものに限定されず可動側でもよく、又双
方の金型11a,12bが可動してもよい)。なお、前
記金属板の曲げ方向とは、前記金型の湾曲凸面に沿う方
向を意味している。そして、前記金属板の曲げ方向に対
して交差する成分方向及び直交する成分方向とは、それ
ぞれ、前記湾曲凸面が線状の頂部を有し且つ該線状頂部
に平行な一の軸線回り(図1においては縦方向に平行な
軸線回り)に湾曲されている場合には、前記一の軸線に
直交する仮想平面によって切断された断面視において、
該湾曲凸面の外形線の接線及び法線の双方に対し交差す
る方向及び直交する方向を意味する。もっとも、凹部2
は、湾曲凸面11aに対して1箇所若しくは少なくとも
1箇所、又は2箇所以上(複数)設けてもよく、その数
は限定されないが、金属の流れ込む箇所を多くするため
に、2箇所以上設けることが好ましい。さらに、均等に
流れ込ませるために、図1に示すように、複数の凹部2
は等間隔に配置されていることが好ましいが、全部又は
一部の凹部2が異なる間隔に配設されていてもよい。加
えて、凹部2の側面2aは、金属をより流れ込み易くす
るために、図1に示すように、湾曲凸面11aに向かう
に従い次第に拡がる傾斜状に形成されていることが好ま
しい。
【0013】尚、凹部2の形状については、図1のもの
に限定されず、図2に示す変更例のように、凹部2は穴
22であってもよい。また、図3に示す変形例のよう
に、直線状の溝23と曲線状の溝24が組み合わされた
凹部2でもよい。さらに、他の変形例として(図示せ
ず)、穴状の凹部と溝状の凹部が併用されていてもよ
い。また、他の変形例として(図示せず)、湾曲凸面の
曲げ方向に対して直交する方向に延設された溝状の凹部
と該曲げ方向に非直交の溝状の凹部が併用されていても
よい。
【0014】さらに、湾曲凸面11aは、上記各図で示
したように、一方向に湾曲されたものに限られず、例え
ば、図4及び図5に示すように、頂点11dを有する湾
曲凸面11a(例えば逆碗状の如きの形状)の金型11
を用いてもよい。かかる頂点11dを有する湾曲凸面1
1aには、上記で例示した各態様の凹部2が形成されて
いてもよいが、頂点11dを有する湾曲凸面11aに形
成される凹部2としては、図4に示すように、頂部11
dを中心とした略同心状の凹部25が好ましく、更に
は、頂部11dから略放射状に延びる凹部26が併用さ
れているものがより好ましい。また、略同心状及び/又
は略放射状の凹部25,26は1箇所でもよいが、複数
設けられていることが好ましい。前記湾曲凸面が、図4
に示すように、点状の頂部を有する湾曲凸面の場合に
は、金属板の曲げ方向に対して交差する成分方向及び直
交する成分方向とは、それぞれ、前記プレス方向に沿っ
た仮想平面によって切断された任意位置の断面視におい
て、該湾曲凸面の外形線の接線及び法線の双方に対して
交差する方向及び直交する方向を意味する。図4に示す
形態においては、前記頂点11dを中心とした略同心状
の凹部25及び該頂点11dを中心とした略放射状の凹
部26の双方とも、金属板の曲げ方向に対して直交する
方向成分を有している。このような頂点11dを有する
湾曲凸面11aの金型11を用いて金属板をプレス加工
すると中央部が膨出した湾曲金属板が製造でき、特に、
ゴルフクラブのヘッド用の湾曲金属板を製造する場合に
好適である。
【0015】また、上記各凹部2の深さ(凹み度合い)
は、特に限定されないが、プレス加工時に流れ込む金属
が凹部2に充満しない程度の深さに設定することが好ま
しい。なぜなら、プレス加工時に凹部2に金属が過剰に
充満すると、もはや金属が流れ込まず、凹部2による荷
重低減を期待できないからである。従って、凹部2は、
プレス加工によって形成される湾曲金属板のリブの高さ
よりも深くなるように設計され、具体的には、概ね0.
5mm以上、好ましくは概ね1mm以上に形成される。
【0016】さらに、金型1の湾曲凸面11aの曲率
(曲がり度合い)は特に限定されないが、概ね15イン
チアール(約380mmアール)以下、好ましくは6イン
チアール(約152mmアール)〜15インチアール
(約380mmアール)程度が本発明の製法の効果を最も
享受できる。
【0017】そして、図6(a)に示すように、上記固
定側の金型11の湾曲凸面11aに、上記金属板3の一
面3aを当て、これを可働側の金型12でプレス(矢印
P)することにより、図6(b)に示すように、金属板
3は金型の湾曲凸面11aと湾曲凹面12aに沿って曲
げられると共に、金属板3の一面3a(湾曲内面)側に
存する金属が湾曲凸面11aの凹部2に流れ込み(矢印
m)、プレス後には、湾曲内面にリブが設けられた湾曲
金属板を得ることができる。本発明の製法によれば、プ
レス加工後にはスプリングバックを殆ど起こさない湾曲
金属板が得られ、又、比較的小さいプレス荷重でこの湾
曲金属板を得ることができる。従って、大掛かりな設備
を必要とせず、低コストで複雑な形状の湾曲金属板を製
造することができる。尚、得られた湾曲金属板は、その
まま、又は、所望形状に型抜き若しくは切削し、種々の
用途に用いることができる。
【0018】得られた湾曲金属板の用途としては、ゴル
フクラブのヘッド、自転車などのスポーツ用品、自動車
や航空機などに代表される産業機械などが例示される。
特に、本発明の湾曲金属板は、製造と同時に、金属板の
湾曲内面側にリブが形成されるので、面に対して衝撃の
加わる場合が多い用途、例えば、ゴルフクラブのヘッド
(中でもフェース部品)が好適である。ゴルフクラブの
ヘッドは、ウッドクラブ、アイアンクラブなどクラブの
種類や形状などを問わず何れのクラブにも適用でき、ゴ
ルフクラブのヘッドを構成する部品(フェースなど)の
1つに本発明の湾曲金属板を用いたり、該部品の少なく
とも1つ又は2以上(複数)に本発明の湾曲金属板を用
いることにより製造することができる。具体的には、図
7(a)に示すように、本発明の湾曲金属板をフェース
部品20とし、チタン合金などの金属鋳造品をソール部
品30、クラウン部品40などのフェース以外の部品と
し、これらを溶接することによりゴルフクラブのヘッド
を作製することができる。さらに、同図(b)に示すよ
うに、本発明の湾曲金属板をフェース部品20と、ソー
ル部品30及びクラウン部品40が一体的に鋳造された
鋳造品とを、溶接することによりゴルフクラブのヘッド
を作成してもよい。また、フェース部品20、ソール部
品30、クラウン部品40のすべてが本発明の湾曲金属
板で構成されたゴルフクラブのヘッドを作製してもよい
し、或いは、フェース部品20及びクラウン部品40が
本発明の湾曲金属板で構成されたゴルフクラブのヘッド
を作製してもよい。
【0019】
【実施例】以下、実施例及び比較例を挙げ、本発明を更
に詳述する。 試験用の金属板の作製 Ti−20V−4Al−1Snの組成からなるチタン合
金の原板(板厚5mm)を冷間圧延して板厚3.0mm
(縦横50×50)の冷延板を得、これを溶体化処理し
た金属板を作製した(このものを金属板Aという)。ま
た、Ti−20V−4Al−1Snの組成からなるチタ
ン合金の5.0mm厚の溶体化処理済みの原板を冷間圧
延し、板厚3.0mm(縦横50×50)の金属板を作
製した(このものを金属板Bという)。
【0020】実施例1 湾曲凸面(凸面の曲率200mm、平面から見た縦横5
0×50mm(図1参照))に、幅2mm且つ深さ1m
mの溝が湾曲方向に対して直交する方向に5本平行に且
つ等間隔に形成された固定側金型と、該固定側金型と同
じ曲率で且つ平滑面の湾曲凹面を有する可動側金型とか
らなる金型を準備した。 比較例1 湾曲凸面に溝がない(平滑面)こと以外は、上記実施例
と同様の金型を準備した。
【0021】金属板のプレス加工 金属板A及びBのそれぞれについて、上記実施例及び比
較例の金型を用いて、各金属板の厚みが2.5mmに変
形するようにプレスし、金属板を湾曲させた。尚、プレ
ス時には、金型面に黒鉛系の潤滑剤を塗布した状態で行
った。各金属板のプレス時の荷重、及び処理後の金属板
の湾曲度合い(曲率半径)を表1に示す。
【0022】
【表1】
【0023】表1から明らかなように、圧延後に溶体化
処理を施した金属板(金属板A)及び圧延後には溶体化
処理を施さなかった金属板(金属板B)の何れも、溝付
き金型によって塑性加工を施した方(実施例)が、プレ
ス荷重が大幅に低減していることが確認された。また、
曲率半径について、溝付き金型によって塑性加工を施し
た方が、スプリングバックが小さいのに対し、溝なし金
型を用いた場合には、スプリングバックが大きく、特
に、圧延後に溶体化処理を施さなかった金属板(金属板
B)の場合には、平板状態ら殆ど塑性変形せず、湾曲の
実効が殆ど見られなかった。
【0024】実施例2 異なる板厚の金属板Aを用い、実施例1と同様にして、
肉厚の異なる湾曲金属板を得た。これをフェース部品と
し、汎用的な中空の1番ウッドクラブを作製し、このフ
ェース部品(湾曲金属板)にロボットマシン(ヘッドス
ピード50m/sec)でゴルフボールを3000発打
球した強度試験を行ったところ、肉厚2.6mm(凹部
に対応する部分の肉厚は2.4mm)以上のものは、フ
ェース面に窪みや割れなどが生じなかった。 比較例2 Ti−15V−3Al−3Sn−3Crの組成からなる
チタン合金の原板を冷間圧延して冷延板を得、これを溶
体化処理した異なる板厚の金属板を、比較例1と同様に
して、肉厚の異なる湾曲金属板(リブなし)を得た。こ
のものを、上記実施例2と同様にして強度試験を行った
ところ、肉厚2.8mm以上でなければ強度が保てなかっ
た。 比較例3 Ti−6Al−4Vの組成からなるチタン合金(α+β
型)を鋳造して、肉厚の異なる湾曲金属板を得、このも
のを、上記実施例2と同様にして強度試験を行ったとこ
ろ、肉厚3.0mm以上でなければ強度が保てなかった。
以上のことから、実施例2の湾曲金属板は、薄くても強
度に優れていることがわかる。
【0025】
【発明の効果】本発明の湾曲金属板の製造方法によれ
ば、チタンまたはチタン合金からなる金属板のプレス曲
げ加工時に、大幅に荷重を低減でき且つ曲げ加工後にス
プリングバックを起こし難いので、容易に且つ確実に曲
げ加工を行うことができる。また、得られた湾曲金属板
は、チタン合金などからなるので、軽量で高強度であ
り、特に、バナジウム15〜25重量%、アルミニウム
2.5〜5重量%、スズ0.5〜4重量%を含有し、残
部チタンおよび不可避不純物の組成からなるチタン合金
を用いた場合には、より高強度の製品を提供できる。
【0026】また、本発明の製法により得られた湾曲金
属板を用いたゴルフクラブのヘッドは、複雑な形状に対
応して容易に製造でき、且つ強度的にも優れており、更
に、鍛造時には湾曲金属板の一面にリブが形成されるの
で、これを用いた本発明のゴルフクラブは、別途補強用
のリブなどを設けるというような処理を行わなくても耐
衝撃性にも優れている。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の製法に用いる金型の一実施形態を示す
参考斜視図。
【図2】金型の変更例を示す参考斜視図。
【図3】金型の変更例を示す参考斜視図。
【図4】(a)は、金型の変更例を示す斜視図、(b)
は同平面図。
【図5】(a)は、図4(a)のA−A線端面図、
(b)は、図4(a)のB−B線端面図。
【図6】金属板をプレス加工する際の状態を示す参考正
面図。
【図7】本発明の湾曲金属板を用いたゴルフクラブのヘ
ッドの一実施形態を示す分解斜視図。
【符号の説明】
1…金型、2…凹部、3…金属板、11a…湾曲凸面、
12a…湾曲凹面
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) B21J 5/02 B21J 5/02 B B21K 17/00 B21K 17/00 (72)発明者 有安 望 大阪府大阪市中央区北浜4丁目5番33号 住友金属工業株式会社内 (72)発明者 林 忠謙 台湾、屏東県内埔郷豐田村建富路8号 大 田精密工業股▲ふん▼有限公司内 Fターム(参考) 2C002 AA02 AA03 MM04 PP02 PP03 4E087 AA02 AA10 BA05 CA17 EC01 EC46 HA88

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 凹部の形成された金型の湾曲凸面に、チ
    タン又はチタン合金からなる金属板の一面を当ててプレ
    スすることにより、前記金属板の一面にリブを形成しつ
    つ湾曲させることを特徴とする湾曲金属板の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記凹部が、前記金属板の曲げ方向に対
    して交差する成分方向を有する溝である請求項1記載の
    湾曲金属板の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記凹部が複数形成されており、そのう
    ちの少なくとも1つの凹部が前記金属板の曲げ方向に対
    して交差する成分方向を有する溝である請求項1記載の
    湾曲金属板の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記金属板が、β型チタン合金である請
    求項1〜3の何れかに記載の湾曲金属板の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記β型チタン合金が、バナジウム15
    〜25重量%、アルミニウム2.5〜5重量%、スズ
    0.5〜4重量%を含有し、残部チタンおよび不可避不
    純物の組成からなるチタン合金である請求項4記載の湾
    曲金属板の製造方法。
  6. 【請求項6】 請求項1〜5の何れかに記載の製造方法
    による湾曲金属板が、少なくとも一部に用いられている
    ことを特徴とするゴルフクラブヘッド。
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