JP2002239374A - 圧力制御式バルブを有する微小ケミカルデバイス - Google Patents

圧力制御式バルブを有する微小ケミカルデバイス

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JP2002239374A
JP2002239374A JP2001041595A JP2001041595A JP2002239374A JP 2002239374 A JP2002239374 A JP 2002239374A JP 2001041595 A JP2001041595 A JP 2001041595A JP 2001041595 A JP2001041595 A JP 2001041595A JP 2002239374 A JP2002239374 A JP 2002239374A
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cavity
diaphragm
energy ray
curable composition
microchemical device
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JP2001041595A
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English (en)
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Takanori Anazawa
孝典 穴澤
Atsushi Teramae
敦司 寺前
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Kawamura Institute of Chemical Research
Original Assignee
Kawamura Institute of Chemical Research
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明が解決しようとする課題は、構造が簡
単で耐圧性が高く、且つ容易に製造できるバルブ機構を
有する微小ケミカルデバイスを提供することにある。 【解決手段】 エネルギー線硬化性組成物の硬化物で形
成されたダイヤフラムにより、流体流量を調節する圧力
制御式バルブを有する微小ケミカルデバイス、特にダイ
ヤフラムが厚み1〜500μmで、引張弾性率1〜70
0MPaの範囲の素材で形成されている微小ケミカルデ
バイス、及びその製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【発明の属する技術分野】本発明は、部材中に微小な流
路、反応槽、電気泳動カラム、膜分離機構などの構造が
形成された圧力制御式バルブを有する微小ケミカルデバ
イスに関する。詳しくは、化学、生化学などの微小反応
デバイス(マイクロ・リアクター);集積型DNA分析
デバイス、微小電気泳動デバイス、微小クロマトグラフ
ィーデバイスなどの微小分析デバイス、質量スペクトル
や液体クロマトグラフィーなどの分析試料調製用微小デ
バイス、抽出、膜分離、透析などの物理化学的処理デバ
イスとして有用な微小ケミカルデバイスに関する。
【0001】更に詳しくは、エネルギー線硬化性組成物
の硬化物からなるダイヤフラムを有し、ダイヤフラムの
一方の側の流体圧力を制御することによって流路の開閉
や流量調節を行うことの出来るバルブ機構を有する微小
ケミカルデバイスに関する。
【0002】
【従来の技術】「サイエンス(SCIENCE)」誌
(第288巻、113頁、2000年)には、全体がシ
リコンゴムで形成され、液体流路と、該流路とダイヤフ
ラムを隔てて形成された加圧用空隙部を有する微小ケミ
カルデバイスが記載されている。そして、加圧用空隙部
に圧縮空気を導入し、シリコンゴム製ダイヤフラムを変
形させて流路側に押し出すことによって流路断面積を変
化させ、液体の流量調節を行う方法が記載されている。
【0003】しかしながら、この微小ケミカルデバイス
は剛性の低い柔軟素材で構成されているため、耐圧性が
低いものであった。また、この微小ケミカルデバイスは
疎水性の素材で構成されており、蛋白や酵素などの生化
学物質を吸着し易く、生化学分野での使用に制約があっ
た。更にこの微小ケミカルデバイスは、製造に時間を要
し、生産性の低いものであった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明が解決しようと
する課題は、構造が簡単で耐圧性が高く、且つ容易に製
造できるバルブ機構を有する微小ケミカルデバイスを提
供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決する方法について鋭意検討した結果、微小ケミカ
ルデバイス中のバルブを構成する変形可能なダイヤフラ
ムを、特定の引張弾性率を有するエネルギー線硬化性組
成物硬化物で構成することにより、課題を解決できるこ
とを見出し、本発明を完成するに至った。
【0006】即ち、本発明は、エネルギー線硬化性組成
物の硬化物で形成されたダイヤフラムにより、流体流量
を調節する圧力制御式バルブを有する微小ケミカルデバ
イスである。更に詳しくは、該ダイヤフラムが厚み1〜
500μmで、引張弾性率1〜700MPaの範囲の素
材で形成されている圧力制御式バルブを有する微小ケミ
カルデバイスである。
【0007】また本発明は、より具体的には、部材中に
上述したダイヤフラムで仕切られた空洞と、互いに独立
な毛細管状の流路(流路A及び流路B)を有し、流路A
にはダイヤフラムで仕切られた空洞の一方(空洞A)が
接続されて、該空洞Aに流入口(流入口A)及び流出口
(流出口A)が形成され、他方の流路(流路B)はダイ
ヤフラムで仕切られた空洞の他方(空洞B)に該空洞B
への流入口(流入口B)を通じて連絡しており、流路B
を通して空洞B内の圧力を制御することによりダイヤフ
ラムを変形させて空洞Aの空隙寸法を変化させ、流路A
を流れる流体の流量を調節する微小ケミカルデバイスで
ある。
【0008】また本発明は、表面に凹部を有する部材A
の凹部形成面とダイヤフラムとなるフィルム状の部材C
とが接着されて空洞Aを形成し、表面に凹部を有する他
の部材Bの凹部形成面と該部材Cとが接着されて空洞B
を形成し、空洞Aと空洞Bとが部材Cから成るダイヤフ
ラムを挟んで相対する位置に形成されている載の微小ケ
ミカルデバイスであり、ダイヤフラムを構成するエネル
ギー線硬化性組成物が、好ましくは(メタ)アクリロイ
ル基含有化合物を含み、またエネルギー線重合性化合物
と共重合可能な両親媒性重合性化合物を含有する微小ケ
ミカルデバイスである。
【0009】エネルギー線重合性化合物と共重合可能な
両親媒性重合性化合物を含有する場合は、該両親媒性重
合性化合物が、特に分子内に繰り返し数6〜20のポリ
エチレングリコール鎖と、炭素数6〜20個のアルキル
基を含有する化合物であることが好ましい。
【0010】また本発明は、表面に凹部を有する部材A
の凹部形成面と、エネルギー線硬化性組成物で形成され
たフィルム状の部材Cとが接着されて空洞Aを形成し、
表面に凹部を有する他の部材Bの凹部形成面と該部材C
とが接着されて空洞Bを形成し、空洞Aと空洞Bとが部
材Cから成るダイヤフラムを挟んで相対する位置に形成
され、且つ互いに接着される部材の少なくとも一方がエ
ネルギー線硬化性組成物の半硬化物で形成され、これら
を密着させた状態で活性エネルギー線を照射して半硬化
物を完全硬化させることを特長とする、エネルギー線硬
化性組成物の硬化物で形成されたダイヤフラムにより流
体流量を調節する圧力制御式バルブを有する微小ケミカ
ルデバイスの製造方法である。
【0011】該製造方法では、ダイヤフラムが厚み1〜
500μmで、引張弾性率1〜700MPaの範囲の素
材で形成されており、特にエネルギー線硬化性組成物の
半硬化物がダイヤフラムを形成する部材Cである製造方
法を含む。また支持体上にエネルギー線硬化性組成物を
塗膜状に塗工し、該塗膜にエネルギー線を照射して部材
Cの半硬化物を形成し、次いで部材Cの半硬化物面を部
材A(又は部材B)と密着させた状態で活性エネルギー
線を照射して部材Cを硬化させた後に支持体を剥離し、
更に部材Cの支持体の剥離面に半硬化状態の部材B(又
は部材A)を密着させ、活性エネルギー線を照射して部
材B(又は部材A)を硬化させる微小ケミカルデバイス
の製造方法をも含むものである。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明のバルブ機構を有する微小
ケミカルデバイスは、エネルギー線硬化性組成物の硬化
物で形成されたダイヤフラムにより、流体流量を調節す
る圧力制御式バルブを有する微小ケミカルデバイスであ
る。
【0013】本発明のバルブ機構を有する微小ケミカル
デバイスは、部材中にダイヤフラムで仕切られた空洞
と、互いに独立な毛細管状の流路(流路A及び流路B)
を有し流路Aは該流路の途上にダイヤフラムで仕切られ
た一方の空洞(空洞A)が接続されており、他方の流路
(流路B)はダイヤフラムで仕切られた他方の空洞(空
洞B)に連絡しており、流路Bを通して空洞B内の圧力
を制御することによってダイヤフラムを変形させて空洞
Aの空隙寸法を変化させ、流路Aを流れる流体の流量を
調節するバルブ機構を有する。
【0014】部材の形状、即ち本発明の微小ケミカルデ
バイスの外形は特に限定する必要はなく、用途目的に応
じた形状を採りうる。部材の形状としては、例えば、シ
ート状(フィルム状、リボン状などを含む。以下同
じ)、板状、塗膜状、棒状、チューブ状、その他複雑な
形状の成型物などであり得る、シート状、板状又は棒状
であることが特に好ましい。部材は複数の同じ又は異な
る素材の複合体として構成されていても良い。
【0015】本発明の微小ケミカルデバイスがシート又
は板状である場合には、その厚みは任意であるが、好ま
しくは20μm〜20000μmであり、更に好ましく
は100μm〜2000μmである。厚みが過小である
と製造が困難となり、過大であると微小ケミカルデバイ
スとしてのメリットが低下する。
【0016】本発明の微小ケミカルデバイスのバルブ部
構造、即ち、空洞A、空洞B、ダイヤフラム、流入口
A、流出口A、流入口Bの相対位置や形状については、
流路Bを経て制御される空洞Bの圧力変化や体積変化に
より、ダイヤフラムを変形させて空洞Aの空隙寸法を変
化させ、流路Aを流れる流体の流量を調節することがで
きる構造であれば任意である。
【0017】例えば、ダイヤフラムが吸入口Aから流出
口Aへと流れる流体の流線に直角方向に変形し、この間
の空隙寸法が変化すする構造、ダイヤフラムが流入口A
及び/又は流出口Aに垂直方向に変形し流入口A及び/
又は流出口Aを塞ぐ構造などであり得る。これらの中
で、流入口A、流出口Aの少なくとも一方が、空洞Aに
おけるダイヤフラムの対向面に形成されていて、その周
がダイヤフラムに接しておらず、空洞部Bの加圧により
変形したダイヤフラムが、該流入口A及び/又は流出口
Aの周に接することにより流路を閉鎖し得る構造である
ことが好ましい。
【0018】本発明の微小ケミカルデバイスの、ダイヤ
フラム以外の部材は任意の素材で構成されていてよく、
例えば、ガラス、水晶等の結晶、ステンレススチール等
の金属、シリコンなどの半導体、セラミック、炭素、重
合体などであり得る。部材Aや部材Bは、その全体が同
じ素材で構成されていることが、製造が容易であり好ま
しい。これらの中で、多くの用途に於いて重合体が好ま
しい。重合体は、単独重合体であっても、共重合体であ
っても良く、また、熱可塑性重合体であっても、熱硬化
性重合体であっても良い。生産性の面から、重合体は熱
可塑性重合体又はエネルギー線硬化性組成物の硬化物で
あることが好ましい。
【0019】部材に硬度の高い素材を用いることで、耐
圧性や強度を高くすることが出来るが、硬度の低い素材
を使用する場合や、厚みを薄くする場合には、支持体上
に形成することも好ましい。特に部材Bは、部材Bに設
けられた流路Bや空洞Bを加圧することによってバルブ
を開閉する機構上、耐圧性を高めることが好ましい。
【0020】部材に使用できる重合体としては、例え
ば、ポリスチレン、ポリ−α−メチルスチレン、ポリス
チレン/マレイン酸共重合体、ポリスチレン/アクリロ
ニトリル共重合体の如きスチレン系重合体;ポルスルホ
ン、ポリエーテルスルホンの如きポリスルホン系重合
体;ポリメチルメタクリレート、ポリアクリロニトリル
の如き(メタ)アクリル系重合体;ポリマレイミド系重
合体;
【0021】ビスフェノールA系ポリカーボネート、ビ
スフェノールF系ポリカーボネート、ビスフェノールZ
系ポリカーボネートの如きポリカーボネート系重合体;
ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ−4−メチルペン
テン−1の如きポリオレフィン系重合体;塩化ビニル、
塩化ビニリデンの如き塩素含有重合体;酢酸セルロー
ス、メチルセルロースの如きセルロース系重合体;ポリ
ウレタン系重合体;ポリアミド系重合体;
【0022】ポリイミド系重合体;フッ素系重合体;ポ
リ−2,6−ジメチルフェニレンオキサイド、ポリフェ
ニレンサルファイドの如きポリエーテル系又はポリチオ
エーテル系重合体;ポリエーテルエーテルケトンの如き
ポリエーテルケトン系重合体;ポリエチレンテレフタレ
ート、ポリアリレートの如きポリエステル系重合体;エ
ポキシ樹脂;ウレア樹脂;フェノール樹脂などが挙げら
れる。これらの中でも、接着性が良好な点などから、ス
チレン系重合体、(メタ)アクリル系重合体、ポリカー
ボネート系重合体、ポリスルホン系重合体、ポリエステ
ル系重合体が好ましい。
【0023】部材に使用する重合体はまた、エネルギー
線硬化性組成物の硬化物であることも好ましい。エネル
ギー線硬化性組成物は、必須成分としてエネルギー線硬
化性化合物を含有するものであり、エネルギー線硬化性
化合物単独でもよく、複数種のエネルギー線硬化性化合
物の混合物でもよい。エネルギー線硬化性組成物は、強
度や高度を増すために架橋重合体となるものが好まし
い。エネルギー線硬化性化合物はエネルギー線重合開始
剤の非存在下で硬化可能なものの他、エネルギー線重合
開始剤の存在下でのみ活性エネルギー線により重合する
ものも使用することができる。
【0024】エネルギー線硬化性化合物としては、重合
性の炭素−炭素二重結合を有する物が好ましく、中で
も、反応性の高い(メタ)アクリル系化合物やビニルエ
ーテル類、また光重合開始剤の不存在下でも硬化するマ
レイミド系化合物が好ましい。部材に使用できるエネル
ギー線硬化性化合物としては、後述の、ダイヤフラムに
使用できるとして例示した化合物の中から選択して使用
することが出来る。
【0025】本発明の圧力制御式バルブに用いられるダ
イヤフラムは、エネルギー線重合性化合物を含有するエ
ネルギー線硬化性組成物の硬化物であって、引張弾性率
が1〜700MPa、好ましくは10MPa〜300M
Paの範囲にある素材で形成されている。ダイヤフラム
の厚みは、1〜500μm、好ましくは、5〜200μ
mである。ダイヤフラムの直径や素材の硬度にもよる
が、これより小さいと、製造が困難となったり、開状態
を維持することが困難と成り、また、この範囲を超える
と、開閉が困難となる。
【0026】ダイヤフラムを構成する素材は、JIS
K−7127により測定された破断伸び率が、好ましく
は5%以上、更に好ましくは10%以上のものである。
破断伸びの上限は、自ずと限界はあろうが、高いことそ
れ自身による不都合は無い為、上限を設けることは要せ
ず、例えば、400%でありうる。本発明においては、
JIS K−7127による引張試験で5〜10%とい
う低い破断伸び率を示す素材であっても、本発明の使用
方法に於いては破壊しにくく、上記試験による破断伸び
率以上の歪みを与えても破壊することなく使用可能であ
る。
【0027】ダイヤフラムの素材として使用するエネル
ギー線硬化性組成物は、必須成分としてエネルギー線硬
化性化合物を含有するものであり、エネルギー線硬化性
化合物単独でもよく、複数種のエネルギー線硬化性化合
物の混合物でもよい。
【0028】ダイヤフラムの素材として、このようなエ
ネルギー線硬化性組成物の硬化物を使用することは、厚
みの薄いダイヤフラムを形成することが容易であるこ
と、薄いダイヤフラムを他の部材と接着することが容易
となること、後述の好ましい形態に於いて、ダイヤフラ
ムを部材Aや部材Bに形成された凹部や溝を閉塞させる
ことなくこれらの部材と接着することが容易となるこ
と、ダイヤフラムの柔軟度の制御が容易であること、及
び、これらを高い生産性で製造できる等の利点を有す
る。
【0029】エネルギー線硬化性組成物の硬化物は鎖状
重合体であっても架橋重合体であっても良いが、繰り返
し開閉が必要な場合や高強度が必要な場合には、架橋重
合体であることが好ましい。エネルギー線硬化性組成物
の硬化物を架橋重合体とするためには、エネルギー線硬
化性組成物中に、多官能のモノマー及び/又はオリゴマ
ーを含有させることで実施できる。エネルギー線硬化性
組成物は、引張弾性率の調節や接着性の改良などを目的
として、単官能のモノマー及び/又はオリゴマーの混合
物とすることも好ましい。
【0030】ダイヤフラムの素材として使用するエネル
ギー線硬化性組成物を構成するエネルギー線硬化性化合
物は、ラジカル重合性、アニオン重合性、カチオン重合
性等任意のものであってよい。エネルギー線硬化性化合
物は、重合開始剤の非存在下で重合するものに限らず、
重合開始剤の存在下でのみエネルギー線により重合する
ものも使用することができる。
【0031】そのようなエネルギー線硬化性化合物とし
ては、重合性の炭素−炭素二重結合を有するものが好ま
しく、中でも、反応性の高い(メタ)アクリル系化合物
やビニルエーテル類、また光重合開始剤の不存在下でも
硬化するマレイミド系化合物が好ましい。
【0032】エネルギー線硬化性化合物として好ましく
使用することができる架橋重合性の(メタ)アクリル系
モノマーとしては、例えば、ジエチレングリコールジ
(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メ
タ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メ
タ)アクリレート、1,8−オクタンジオールジ(メ
タ)アクリレート、2,2’−ビス(4−(メタ)アク
リロイルオキシポリエチレンオキシフェニル)プロパ
ン、
【0033】2,2’−ビス(4−(メタ)アクリロイ
ルオキシポリプロピレンオキシフェニル)プロパン、ヒ
ドロキシジピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メ
タ)アクリレート、ジシクロペンタニルジアクリレー
ト、ビス(アクロキシエチル)ヒドロキシエチルイソシ
アヌレート、N−メチレンビスアクリルアミドの如き2
官能モノマー;
【0034】トリメチロールプロパントリ(メタ)アク
リレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレ
ート、トリス(アクロキシエチル)イソシアヌレート、
カプロラクトン変性トリス(アクロキシエチル)イソシ
アヌレートの如き3官能モノマー;ペンタエリスリトー
ルテトラ(メタ)アクリレートの如き4官能モノマー;
ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートの
如き6官能モノマーなどが挙げられる。
【0035】また、エネルギー線硬化性化合物として、
重合性オリゴマー(プレポリマーとの呼ばれる)を用い
ることもでき、例えば、重量平均分子量が500〜50
000のものが挙げられる。そのような重合性オリゴマ
ーしては、例えば、エポキシ樹脂の(メタ)アクリル酸
エステル、ポリエーテル樹脂の(メタ)アクリル酸エス
テル、ポリブタジエン樹脂の(メタ)アクリル酸エステ
ル、分子末端に(メタ)アクリロイル基を有するポリウ
レタン樹脂などが挙げられる。
【0036】マレイミド系の架橋重合性のエネルギー線
硬化性化合物としては、例えば、4,4’−メチレンビ
ス(N−フェニルマレイミド)、2,3−ビス(2,
4,5−トリメチル−3−チエニル)マレイミド、1,
2−ビスマレイミドエタン、1,6−ビスマレイミドヘ
キサン、トリエチレングリコールビスマレイミド、N,
N’−m−フェニレンジマレイミド、m−トリレンジマ
レイミド、N,N’−1,4−フェニレンジマレイミ
ド、
【0037】N,N’−ジフェニルメタンジマレイミ
ド、N,N’−ジフェニルエーテルジマレイミド、N,
N’−ジフェニルスルホンジマレイミド、1,4−ビス
(マレイミドエチル)−1,4−ジアゾニアビシクロ−
[2,2,2]オクタンジクロリド、4,4’−イソプ
ロピリデンジフェニル=ジシアナート・N,N’−(メ
チレンジ−p−フェニレン)ジマレイミドの如き2官能
マレイミド;N−(9−アクリジニル)マレイミドの如
きマレイミド基とマレイミド基以外の重合性官能基とを
有するマレイミドなどが挙げられる。
【0038】マレイミド系の架橋重合性オリゴマーとし
ては、例えば、ポリテトラメチレングリコールマレイミ
ドカプリエート、ポリテトラメチレングリコールマレイ
ミドアセテートの如きポリテトラメチレングリコールマ
レイミドアルキレートなどが挙げられる。マレイミド系
のモノマーやオリゴマーは、これら同士、及び/又はビ
ニルモノマー、ビニルエーテル類、アクリル系モノマー
の如き重合性炭素−炭素二重結合を有する化合物と共重
合させることもできる。
【0039】これらの化合物は、単独で用いることも、
2種類以上を混合して用いることもできる。上に例示し
た化合物の中にも、単独ではその硬化物が指定の引張弾
性率の範囲から外れるものもあるが、他の共重合性化合
物、例えば単官能(メタ)アクリル系モノマーなどの単
官能モノマーや、可塑剤などの非反応性化合物を混合使
用することにより、指定範囲の引張弾性率と成して、そ
れらを使用することができる。
【0040】ダイヤフラム及び部材A又はBの一部又は
全部を構成するエネルギー線硬化性組成物は、エネルギ
ー線重合性化合物と共重合可能な両親媒性重合性化合物
を含有することが好ましい。両親媒性重合性化合物は、
分子内に親水基と疎水基の両者を含有し、エネルギー線
の照射により、エネルギー線硬化性組成物に含有される
エネルギー線重合性化合物と共重合することが可能な重
合性官能基を有するものである。両親媒性重合性化合物
を含有させることにより、蛋白や酵素などの生化学物質
の吸着性が低い微小ケミカルデバイスを製造することが
出来る。
【0041】エネルギー線重合性化合物が1分子中に2
個以上の重合性炭素−炭素不飽和結合を有する化合物で
ある場合には、両親媒性重合性化合物は、1分子中に1
個以上の重合性炭素−炭素不飽和結合を有する化合物で
あることが好ましい。両親媒性重合性化合物は架橋重合
体となるものである必要はないが、架橋重合体となる化
合物であってもよい。
【0042】また両親媒性重合性化合物はエネルギー線
重合性化合物と均一に相溶するものである。この場合の
相溶とは、巨視的に相分離しないことを言い、ミセルを
形成して安定的に分散している状態も含まれる。
【0043】両親媒性重合性化合物は、分子中に親水基
と疎水基とを有し、水、疎水性溶媒の両者とそれぞれ相
溶する化合物である。この場合に於いても、相溶とは巨
視的に相分離しないことを言い、ミセルを形成して安定
的に分散している状態も含まれる。両親媒性重合性化合
物は、0℃において、水に対する溶解度が0.5重量%
以上で、且つ25℃のシクロヘキサン:トルエン=5:
1(重量比)混合溶媒に対する溶解度が25重量%以上
であることが好ましい。
【0044】ここで言う溶解度、例えば、溶解度が0.
5重量%以上であるとは、少なくとも0.5重量%の化
合物が溶解可能であることを言うのであって、0.5重
量%の化合物は溶媒に溶解しないものの、該化合物中に
ごくわずかの溶媒が溶解可能であるものは含まない。水
に対する溶解度、あるいはシクロヘキサン:トルエン=
5:1(重量比)混合溶媒に対する溶解度の少なくとも
一方がこれらの値より低い化合物を使用すると、高い表
面親水性と耐水性の両者を満足することが困難となる。
【0045】両親媒性重合性化合物は、ノニオン性親水
基、特にポリエーテル系の親水基を有する場合には、親
水性と疎水性のバランスが、グリフィンのHLB(エイ
チ・エル・ビー) 値にして11〜16の範囲にあるも
のが好ましく、11〜15の範囲にあるものが更に好ま
しい。この範囲外では、高い親水性と耐水性に優れた成
形物を得ることが困難であるか、それを得るための化合
物の組み合わせや混合比が極めて限定されたものとな
り、成形物の性能が不安定となりがちである。
【0046】両親媒性重合性化合物が有する親水基は任
意であり、例えば、アミノ基、四級アンモニウム基、フ
ォスフォニウム基の如きカチオン基;スルホン基、燐酸
基、カルボニル基の如きアニオン基;水酸基、ポリエチ
レングリコール基、アミド基の如きノニオン基;アミノ
酸基の如き両性イオン基であってよい。両親媒性重合性
化合物は、親水基として、好ましくはポリエーテル基、
特に好ましくは繰り返し数6〜20のポリエチレングリ
コール鎖を有する化合物である。
【0047】両親媒性重合性化合物の疎水基としては、
例えば、アルキル基、アルキレン基、アルキルフェニル
基、長鎖アルコキシ基、フッ素置換アルキル基、シロキ
サン基などが挙げられる。
【0048】両親媒性重合性化合物は、疎水基として炭
素数6〜20のアルキル基又はアルキレン基を有する化
合物であることが好ましい。炭素数6〜20のアルキル
基又はアルキレン基は、例えば、アルキルフェニル基、
アルキルフェノキシ基、アルコキシ基、フェニルアルキ
ル基などの形で含有されていてもよい。
【0049】両親媒性重合性化合物は、親水基として繰
り返し数6〜20のポリエチレングリコール鎖を有し、
且つ、疎水基として炭素原子数6〜20のアルキル基又
はアルキレン基を有する化合物であることが好ましい。
これらの両親媒性重合性化合物の中でも、ノニルフェノ
キシポリエチレングリコール(n=8〜17)(メタ)
アクリレート、ノニルフェノキシポリプロピレングリコ
ール(n=8〜17)(メタ)アクリレートが特に好ま
しい。
【0050】エネルギー線重合性化合物と両親媒性重合
性化合物の好ましい割合は、エネルギー線重合性化合物
及び両親媒性重合性化合物の種類や組み合わせによって
異なるが、エネルギー線重合性化合物1重量部に対し
て、両親媒性重合性化合物0.2重量部以上であること
が好ましく、0.2重量部以上であることが更に好まし
い。この値未満であると、水との接触角が小さい親水性
表面を形成することが困難となる。
【0051】また、両親媒性重合性化合物の割合は、エ
ネルギー線重合性化合物1重量部に対して、5重量部以
下であることが好ましく、3重量部以下であることが更
に好ましい。エネルギー線重合性化合物1重量部に対す
る両親媒性重合性化合物の割合が5重量部よりも多い場
合、水に対して膨潤性となりがちであり、接液部を構成
する重合体がゲル化するものになりがちである。
【0052】エネルギー線重合性化合物と両親媒性重合
性化合物の混合比を適宜選択することにより、湿潤状態
でゲル化せず、かつ高親水性・低吸着性を示す成形物を
製造することが出来る。両親媒性重合性化合物の親水性
が相対的に強いほど、例えばグリフィンのHLB値が大
きなものほど、好ましい添加量は少なくなる。
【0053】エネルギー線硬化性組成物には、必要に応
じて、光重合開始剤を添加することもできる。光重合開
始剤は、使用するエネルギー線に対して活性であり、エ
ネルギー線硬化性化合物を重合させることが可能なもの
であれば、特に制限はなく、例えば、ラジカル重合開始
剤、アニオン重合開始剤、カチオン重合開始剤であって
良い。光重合開始剤は多官能或いは単官能のマレイミド
化合物であって良い。エネルギー線としては、紫外線、
可視光線、赤外線の如き光線;エックス線、ガンマ線の
如き電離放射線;電子線、イオンビーム、ベータ線、重
粒子線の如き粒子線が挙げられる。
【0054】本発明の微小ケミカルデバイスの好ましい
形態は、表面に凹部(凹部A)を有する部材(部材A)
の凹部A形成面と、これとは別の、表面に凹部(凹部
B)を有する部材(部材B)の凹部B形成面が、フィル
ム状の部材(部材C)を挟んで互いに接着されることに
より、凹部Aと部材Cとで空洞(空洞A)が形成され、
また凹部Bと部材Cとで空洞(空洞B)が形成され、空
洞Aと空洞Bが、部材Cから成るダイヤフラムを挟んで
相対する位置に設置されることにより形成されるもので
ある。以下、この好ましい形態を例として、本発明を詳
細に説明する。
【0055】部材Aの形状は特に限定する必要はなく、
用途目的に応じた形状を採りうる。部材Aの形状として
は、例えば、シート状(フィルム状、リボン状などを含
む。以下同じ)、板状、塗膜状、棒状、チューブ状、そ
の他複雑な形状の成型物などであり得るが、厚みが一定
であることが好ましく、シート状、板状又は棒状である
ことが特に好ましい。部材Aは複数の同じ又は異なる素
材の層で構成されていても良い。
【0056】部材Aの厚みは任意であるが、好ましくは
10μm〜10000μmであり、更に好ましくは50
μm〜1000μmである。厚みが過小であると製造が
困難となり、過大であると微小ケミカルデバイスとして
のメリットが低下する。また部材Bの形状は部材Aと同
様である。
【0057】凹部A、凹部Bの形状、寸法については、
それぞれ空洞A、空洞Bを目的寸法にすべく設計でき
る。通常、凹部A、凹部Bの形状、寸法はそれぞれ空洞
A、空洞Bと実質的に同じとなる。空洞A、空洞Bは、
部材Aと部材Bとの接着面に垂直な方向から見た形状は
任意であるが、縦/横比が1に近いことが好ましく、
円、楕円、矩形(角の丸められた矩形を含む。以下同
じ)であることが好ましい。
【0058】空洞A、空洞Bの寸法は、部材Aと部材B
との接着面に垂直な方向から見て、共に直径が好ましく
は5μm〜3000μm、更に好ましくは10μm〜1
000μmである。ここで言う直径は、空洞の形状が円
以外のものである場合には、同一面積の円に換算した直
径を言う。空洞A、空洞Bの直径は同じである必要はな
いが、互いに近いか、同じであることが好ましい。
【0059】部材Aと部材Bとの接着面に垂直な方向か
ら見た空洞A、空洞Bの高さ(奥行き寸法)は好ましく
0(但し接着されていないこと)〜3000μm、更に
好ましくは10〜500μmである。凹部がこれらの寸
法より大きい場合には、微小ケミカルデバイスとしての
メリットが小さくなるので好ましくない。空洞Aは、最
大高さ/最大幅の比が1以下であることが好ましい。こ
の比が1を超えると、バルブ、即ち、該空隙部を完全に
閉状態とすることが困難となる。
【0060】バルブが常時閉のタイプである場合には、
この比はゼロ(但し接着されていないこと)であって良
い。常時開のタイプである場合には、この比は0.05
〜1であることが好ましく、0.1〜0.5であること
が更に好ましい。空洞Bの該比は任意である。例えば1
000であっても良いし、逆にゼロ(但し接着されてい
ないこと)であっても良い。空洞A及び空洞Bの高さは
一定である必要はなく該空洞内の場所によって異なって
いても良い。
【0061】空洞A及び空洞Bは、同一の形状である必
要はないが、ほぼ同一の形状であることが好ましい。空
洞A及び空洞Bはダイヤフラムを隔てて互いに相対する
位置に設けられるが、相対位置がずれていても良く、空
洞部の重なりがあれば良い。しかし相対位置は完全に一
致していることが好ましい。
【0062】部材Aには、空洞Aへの流入口(流入口
A)と空洞Aからの流出口(流出口A)を有する毛細管
状の流路(流路A)が形成され、部材Bには、空洞Bに
連絡した毛細管状の流路(流路B)が形成されている。
そして、流路Bを通して空洞B内の圧力を制御すること
により、ダイヤフラムを変形させて空洞Aの空隙寸法を
変化させ、流路Aを流れる流体の流量を調節することが
できる構造を有する。
【0063】流路Aは流量調節すべき流体を流通させる
流路であり、空洞Aをその途上に有すれば、その寸法形
状は任意である。しかしながら、流路Aの空洞Aへの流
入口A及び/又は空洞Aからの流出口Aは、空洞の直径
と同じでなく、空洞の直径より小さいことが好ましい。
流路Aは本発明の微小ケミカルデバイスの外部に開口し
ていても良いし、外部に開口しておらず、本デバイス内
の他の構造に連絡していても良い。
【0064】流路Bはそこを通じて空洞Bの圧力や体積
を調節し、ダイヤフラムを変形させてバルブの開閉を行
うものである。流路Bに通す流体は任意であり、液体で
あっても気体であっても良い。圧力の変化は、加圧であ
っても減圧であっても良い。流路Bは本微小ケミカルデ
バイスの外部に開口しいていても良いし、外部に開口し
ておらず、本デバイス内の他の機構、例えば気体発生部
や気体吸収部などに連絡していても良い。流路Bの直径
は任意である。
【0065】本発明の微小ケミカルデバイスの好ましい
形態は、流入口A、流出口Aの少なくとも一方が、空洞
Aにおけるダイヤフラムの対向面に形成されており、空
洞部Bが加圧されることにより変形したダイヤフラム
が、流入口A及び/又は流出口Aの周に接することによ
って流路を閉とすることが出来る構造を有するものであ
る。ダイヤフラムは、流入口A、流出口Aの一方または
両方を塞いで良い。
【0066】従って、変形したダイヤフラムで塞がれる
べき流入口A及び/又は流出口Aの直径は、空洞Aより
小である必要がある。このような流入口A及び/又は流
出口Aは、凹部Aの中から部材Aに穿たれた孔として流
路Aを形成することで得ることが出来る。本発明の好ま
しい形態においては、空洞Aの高さは均一であるか、或
いは、ダイヤフラムで塞がれるべき周部分が高くなって
いる構造が好ましい。
【0067】上記に於いて、ダイヤフラムによって塞が
れない流入口Aまたは流出口Aは、流路Aが、部材Aの
凹部A形成面に形成された凹部Aに連絡した溝(溝A)
と、部材Cとでもって形成されたものであることが好ま
しい。即ち、該流入口A又は流出口Aの周の一部が部材
Cでもって構成されている。
【0068】部材A、部材Bはそれぞれ任意の素材で構
成されていてよく、これらが同じ素材で構成されていて
も異なる素材で構成されていてもう良い。これらの素材
については、それぞれ、上述した本発明の微小ケミカル
デバイスに於けるダイヤフラム以外の部材と同様であ
る。
【0069】部材Cは、少なくともダイヤフラム部分に
おいて厚みが1〜500μm 、好ましくは5〜200
μmの範囲にあるフィルム状(シート状、リボン状を含
む)の部材である。部材Cの厚みは均一である必要はな
く、例えば、凹部A及び/又は凹部Bに相対する部分の
みが薄くなっているものであても良い。部材Cの素材
は、少なくともダイヤフラムとなる部分において、上述
のダイヤフラムの素材と同じである。部材Cの、ダイヤ
フラム以外の部分の素材は任意であるが、部材C全体が
同一素材で構成されていることが、製造が容易であり好
ましい。
【0070】部材A、部材C、部材Bの接着方法は、部
材Aや部材B表面の溝や凹部が閉塞しない方法であれば
任意であり、接着する部材の少なくとも一方が半硬化状
態で積層し、その状態でエネルギー線を照射して完全硬
化させる方法、溶剤型接着剤の使用、無溶剤型接着剤の
使用、溶融型接着剤の使用、部材A及び/又は部材B表
面への溶剤塗布、熱や超音波による融着等を使用しうる
が、これらの中でも、接着する部材が半硬化状態で積層
し、その状態でエネルギー線を照射して完全硬化させる
方法が最も好ましい。
【0071】これに次いで、無溶剤型接着剤としてエネ
ルギー線硬化性組成物を用い、エネルギー線照射により
硬化させて接着する方法が、微小なデバイスの精密な接
着が可能であり、生産性も高いことから、好ましい。ま
た、溝や凹部に水やワセリンなどの保護材を充填した状
態で接着した後、保護材を除去する方法を採ることも可
能である。
【0072】また、部材Aの空洞Aの部材Cと対向する
位置に流入口Aまたは流出口Aを設ける方法は任意であ
るが、例えば、空洞にドリル、エッチング、レーザーア
ブレーションなどの方法で孔を穿つ方法、フォトリソグ
ラフ、エッチング、レーザーアブレーションなどの方法
で形成した孔を有するフィルム状の部材を該孔を空洞に
合わせて接着する方法等を採ることが出来る。
【0073】このフィルム状の部材を積層接着する方法
は上記の部材A、部材B、部材Cを接着する方法と同じ
ものを使用出来るが、エネルギー線硬化性樹脂を最終的
に剥離可能な一時的な塗工支持体上に塗布し、半硬化さ
せた状態で積層し、その状態で更にエネルギー線を照射
することにより接着した後、該塗工支持体を剥離する方
法が好ましい。
【0074】この方法による接着に用いられるエネルギ
ー線としては、上記したダイヤフラムの形成に使用でき
るエネルギー線が使用できる。本接着に用いるエネルギ
ー線と上記したダイヤフラムの形成に用いるエネルギー
線は必ずしも同じである必要はないが、同じであること
が好ましい。
【0075】本発明の製造方法は、部材Aと部材C、及
び部材Bと部材Cの接着を、互いに接着する部材の少な
くとも一方をエネルギー線硬化性組成物の半硬化物で形
成し、これらを密着させた状態でエネルギー線を照射し
て半硬化物を完全硬化させることにより行う。
【0076】部材A、部材B、及び部材Cの接着を同時
に行う場合には、エネルギー線硬化性組成物の半硬化物
は、(イ)部材C、(ロ)部材A及び部材B、(ハ)部
材A、部材B及び部材C、のいずれであっても良い。ま
た、 部材Aと部材C、及び部材Bと部材Cの接着を順
次行う場合には、エネルギー線硬化性組成物の半硬化物
は、(ニ)部材C、(ホ)部材A及び部材B、(ヘ)部
材A及び部材C、(ト)部材B及び部材C、(チ)部材
A、部材B及び部材C、のいずれでであっても良い。
【0077】これらの中で、エネルギー線硬化性組成物
の半硬化物が部材Cであること、即ち上記の(イ)、
(ハ)、(ニ)、(ヘ)、(ト)又は(チ)であること
が、本発明の微小ケミカルデバイスの構造形成が容易で
あるため好ましい。エネルギー線硬化性組成物の半硬化
物は、他の部材と密着させた状態で更に活性エネルギー
線を照射することによって硬化し、これらの部材を接着
できることが必要である。
【0078】このような半硬化物は、エネルギー線硬化
性組成物の賦形物に、完全硬化するには不十分な線量の
エネルギー線を照射するか、接着工程より低い温度にお
けるエネルギー線照射により得ることが出来る。十分な
線量のエネルギー線の照射によっても硬化しないエネル
ギー線重合性化合物の選択やエネルギー線重合開始剤の
不十分な量の添加は、引き続く接着が不完全となるため
好ましくない。
【0079】本発明に於いては、エネルギー線硬化性組
成物の塗膜状やフィルム状の賦形物を半硬化物としてか
ら他の部材と密着させるため、他の部材表面に形成され
た溝や凹部を閉塞させることなく接着することが可能で
ある。部材Cの塗膜状やフィルム状の形状を持つ半硬化
物の形成方法は任意であるが、支持体上にエネルギー線
硬化性組成物を塗工して塗膜状と成し、該塗膜に活性エ
ネルギー線を不十分に照射して形成する方法が好ましく
用いられる。
【0080】エネルギー線硬化性組成物を支持体上に塗
工する方法は任意であり、バーコーターやロールコータ
ーなどによる塗工、スピンコート法、スプレー法、ディ
ッピング法等を挙げることができる。塗工に際して、エ
ネルギー線硬化性組成物に溶剤を添加することも可能で
ある。支持体として一時的な塗工支持体を用い、部材C
を他の部材と接着した後に剥離することも可能である
し、部材Cと積層複合体となり、最終的に微小ケミカル
デバイスの一部となるものを用いても良い。
【0081】また、最終的に部材Cと積層複合体となる
支持体を用いる場合には、塗工は片面であっても両面で
あっても良い。更にこの場合、半硬化層の形成は両面同
時であっても順次であっても良いし、一方の側を接着
後、支持体の他の側に半硬化物を形成することも可能で
ある。また、任意の方法で形成して硬化・接着した部材
Cを支持体として、その上に半硬化物を再度形成するこ
とも可能である。
【0082】他の形成方法として、部材Cの半硬化物
を、エネルギー線硬化性組成物を液面に展開した状態で
活性エネルギー線を不十分に照射して形成する方法も好
ましい。エネルギー線硬化性組成物を展開する液体は任
意であり、例えば、水(水溶液を含む。以下同様)、シ
リコンオイル、水銀、ハロゲン化ナフタレン等を挙げる
ことができるが、水が好ましい。
【0083】エネルギー線硬化性組成物には溶剤を添加
することも好ましい。液面展開は、液面上からエネルギ
ー線硬化性組成物を滴下又は流下しても良いし、液体中
に押し出しても良い。半硬化物は部材A又は部材Bで液
面からすくい上げることが出来る。
【0084】また、部材Aや部材Bに、溝、凹部、流入
口、流出口などの構造を設ける方法は任意であるが、こ
れらの部材をフォトリソグラフにより樹脂欠損部が形成
されたエネルギー線硬化性樹脂の硬化物層を少なくとも
1層含む複数の層で構成することが好ましい。
【0085】これらの部材A、B(及びその原料である
エネルギー線硬化性組成物)には重合遅延材や重合禁止
剤、改質剤、着色剤など、その他の成分を含有していて
も良い。重合遅延剤や重合禁止剤を添加することによ
り、エネルギー線照射によるエネルギー線硬化性樹脂組
成物の硬化物の解像度が向上する。
【0086】重合遅延剤としては、例えば架橋重合性化
合物がアクリロイル基含有化合物の場合には、スチレ
ン、α−メチルスチレン、α−フェニルスチレン、p−
オクチルスチレン、p−(4−ペンチルシクロヘキシ
ル)スチレン、p−フェニルスチレン、 p−(p−エ
トキシフェニル)フェニルスチレン、2,4−ジフェニ
ル−4−メチル−1−ペンテン、4,4′−ジビニルビ
フェニル、2−ビニルナフタレン等の使用する架橋重合
性化合物より重合速度の低いビニル系モノマーを挙げる
ことができる。
【0087】重合禁止剤としては、例えば架橋重合性化
合物(a)が重合性の炭素−炭素二重結合含有化合物の
場合には、ハイドロキノン、メトキシハイドロキノン等
のハイドロキノン誘導体;ブチルヒドロキシトルエン、
tert−ブチルフェノール、ジオクチルフェノールな
どのヒンダントフェノール類等が挙げられる。
【0088】改質剤としては、例えば、アニオン系、カ
チオン系、ノニオン系などの界面活性剤;ポリビニルピ
ロリドンの如き親水性重合体などの親水化剤;引張弾性
率を調節するための可塑剤などが挙げられる。着色剤と
しては、例えば、任意の染料や顔料、蛍光性の染料や顔
料、紫外線吸収剤が挙げられる。
【0089】エネルギー線硬化性樹脂を最終的に剥離可
能な一時的な塗工支持体上に塗布し、樹脂欠損部と成す
部分以外の部分にエネルギー線を不十分に照射して半硬
化させ、非照射部分の未硬化樹脂を洗浄などの任意の方
法で除去し、それを接着すべき他の層と積層した状態で
さらにエネルギー線を照射することにより硬化・接着
し、その後、塗工支持体を剥離する方法が好ましい。こ
の操作は、必要に応じて任意の回数繰り返し、3層以上
の層から成る部材を形成することが出来る。
【0090】
【実施例】以下、実施例及び比較例を用いて、本発明を
具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例の範囲に
限定されるものではない。なお、以下の実施例におい
て、「部」は、特に断りがない限り「重量部」を表わ
す。
【0091】<引張弾性率及び破断伸び率の測定> 〔測定試料の調製〕板状もしくはシート状試料は幅10
mm、長さ100mmの短冊型に切断して試料とした。
エネルギー線硬化性組成物硬化物試料は、ガラス上にエ
ネルギー線硬化性組成物を塗布し窒素気流中で、365
nmにおける強度50mW/cm2の紫外線を30秒間
照射して硬化させた後、ガラス板から剥離し幅10m
m、長さ100mmの短冊型に切断して試料とした。こ
れらの試料は、24±1℃、湿度55±5%の室内に1
6時間以上静置した後に測定に供した。
【0092】〔測定〕引張試験器として東洋精機製作所
製の「ストログラフV1−C」を用い、24±1℃、湿
度55±5%雰囲気中で、掴み具間距離80mm、引張
速度20mm/分で測定した。
【0093】<エネルギー線硬化性組成物の調製>実施
例で使用するエネルギー線硬化性組成物の調製方法を以
下に示した。 〔エネルギー線硬化性組成物[e1]の調製〕「ユニデ
ィックV4263」(大日本インキ化学工業株式会社製
の3官能ウレタンアクリレートオリゴマー)10部、
「R−684」(日本化薬株式会社製のジシクロペンタ
ニルジアクリレート)を70部、N−177E(第一工
業製薬株式会社製のノニルフェノキシポリエチレングリ
コール(n=17)アクリレート)を20部、紫外線重
合開始剤として「イルガキュアー184」(チバガイギ
ー社製の1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケト
ン)5部、及び重合遅延剤として2,4−ジフェニル−
4−メチル−1−ペンテン(関東化学株式会社製)を
0.1部を混合して、エネルギー線硬化性組成物[e
1]を調製した。
【0094】〔エネルギー線硬化性組成物[e2]の調
製〕「ユニディックV4263」40部、「サートマー
C2000」(ソマール社製のω−テトラデカンジオー
ルジアクリレート及びω−ペンタデカンジオールジアク
リレートを主成分とするジアクリレート混合物)60
部、「イルガキュアー184」(チバガイギー社製の1
−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンからなる紫
外線重合開始剤)5部、及び2,4−ジフェニル−4−
メチル−1−ペンテン(関東化学社製)0.1部を混合
して、エネルギー線硬化性組成物[e2]を調製した。
【0095】(実施例1) 〔部材Aの作製〕ポリスチレン(大日本インキ化学工業
株式会社製の「ディックスチレンXC−520」。以
下、[p1]と称する)からなる10cm×10cm×
3mmの平板を使用した支持体1(1)に、127μm
のバーコーターを用いてエネルギー線硬化性組成物[e
1]を塗布し、窒素雰囲気中で、ウシオ電機株式会社製
のマルチライト200型光源ユニットを用いて50mW
/cm2の紫外線を1秒間照射して、流動性を喪失した
半硬化状態の樹脂層A1(2)を形成した。
【0096】この樹脂層A1(2)の上に更に、127
μmのバーコーターを用いてエネルギー線硬化性組成物
[e1]を塗布して樹脂層A2(3)となるべき塗膜を
賦形し、窒素雰囲気中で、フォトマスクを使用して、図
1の凹部A(4)及び溝A(5)と成す部分以外の部分
に、上記と同じ紫外線を1秒間照射して照射部分の塗膜
を半硬化した樹脂層A2(3)となし、未照射部分の未
硬化のエネルギー線硬化性組成物[e1]を洗瓶から噴
出させた蒸留水の水流にて洗浄除去して、凹部A(4)
及び溝A(5)を形成した。
【0097】以上の操作により、エネルギー線硬化性組
成物[e1]の硬化物で構成された、図1に示したパタ
ーン形状の、直径700μm、深さ95μmの円筒形の
凹部A(4)、流入口A(6)にて凹部A(4)と接続
された、幅104μm、深さ95μm、長さ15mmの
底の角が丸まった矩形の断面形状を有する溝A(5)を
有する、樹脂層A1(2)と樹脂層A2(3)の積層体
から成る、厚さ190μmのシート状の部材Aを支持体
1(1)上に作製した。
【0098】次いで、凹部A(4)の中心部において支
持体1(1)及び部材Aを貫通する直径0.3mmの孔
を穿つことによって流出口A(7)、流路A2(5’−
2)及び接続口2(9)を形成し、また、溝A(5)の
他端部において支持体1(1)と部材Aを貫通する直径
0.3mmの穴を穿って流路A3(5’−3)及び接続
口1(8)を形成した。
【0099】〔部材Cの接着〕塗工支持体(図示せず)
として、片面がコロナ放電処理された厚さ30μmの2
軸延伸ポリプロピレンフィルム(二村化学株式会社製
「OPPフィルム」、以下、単に「OPPフィルム」と
称する)を10cm×10cmに切断して使用し、この
コロナ処理面側に、127μmのバーコーターを用いて
エネルギー線硬化性組成物[e2]を塗布し、窒素雰囲
気中で、上記と同じ紫外線を1秒間照射して半硬化状態
の部材C(9)とした。
【0100】この部材C(9)を部材Aの凹部A(4)
と溝A(5)形成面に積層し、密着させた状態で、上記
と同じ紫外線を3秒間照射して部材C(9)を硬化さ
せ、塗工支持体(図示せず)を剥離して、部材Aに部材
C(9)が接着され、凹部A(4)と部材C(9)でも
って空洞A(4’)が、また溝A(5)と部材C(9)
でもって毛細管状の流路A1(5’−1)が形成され
た、支持体1(1)−部材A−部材C(9)複合体を得
た。更に、図2、図3に示された部分を残して、支持体
1(1)−部材A−部材C(9)複合体の周辺部分を切
り落として2.5cm×5cmの寸法とした。
【0101】〔部材Bの作製と接着〕部材Aと同様にし
て、支持体1(1)、樹脂層A1(2)、樹脂層A2
(3)、凹部A(4)、空洞A(4’)、溝A(5)、
流路A1(5’−1)、流路A3(5’−3)、流入口
A(6)、接続口1(8)に相当する部分がそれぞれ、
支持体2(11)、樹脂層B1(12)、樹脂層B2
(13)、凹部B(14)、空洞B(14’)、溝B
(15)、流路B1(15’−1)、流路B2(15’
−2)、流入出口B(16)、接続口3(17)である
こと、及び 、流路A2(15’−2)、流出口A
(7)、接続口2(9)に相当する構造が設けられてい
ないこと以外は支持体1(1)−部材A複合体と同様
の、支持体2(11)−部材B複合体を作製し、図2、
図3に示された部分を残して支持体2(11)−部材B
複合体の周囲部分を切り落とし、2.5cm×5cmの
寸法とした。
【0102】この支持体2(11)−部材B複合体の部
材B面を上記で作製した支持体1(1)−部材A−部材
C(9)複合体の部材C(9)面に、凹部A(4)と凹
部B(14)が重なり、且つそれ以外の部分が重ならな
い位置ように貼り合わせ、密着させた状態で上と同じ紫
外線を30秒間照射することにより、凹部B(14)を
空洞B(14’)、溝B(15)を毛細管状の流路(1
5’−1)と成し図2、図3に示されたような、支持体
1(1)−部材A−部材C(9)−部材B)−支持体
(11)が積層、接着された微小ケミカルデバイス[D
1]を作製した。
【0103】〔部材A、B及び部材Cの構成素材引張特
性〕別途、厚み各95μmの、エネルギー線硬化性組成
物の硬化物シートを作製して引張特性を測定した結果、
エネルギー線硬化性組成物[e1]硬化物は引張弾性率1
160(MPa)、破断伸び率76(%)、エネルギー
線硬化性組成物[e2]硬化物は引張弾性率が205(M
Pa)、破断伸び率が8.0(%)であった。
【0104】〔流路の開閉試験〕接続口1(8)からマ
イクロシリンジを用いて蒸留水を流路に注入したとこ
ろ、水は流路A3(5’−3)、流路A1(5’−
1)、流入口(6)、空洞A(4’)、流出口(7)及
び流路A2(5’−2)を通って接続口2(9)から流
出した。次に、接続口3(17)から0.3MPa(ゲ
ージ圧)の圧縮空気を導入したところ、水の流通が遮断
され、常圧に戻すと水は再び流通した。この試験を10
回繰り返したが、すべて同様の結果であった。
【0105】(実施例2) 〔部材Aの作製〕ポリスチレン[p1]からなる10c
m×10cm×3mmの平板を使用した支持体1(3
1)に、127μmのバーコーターを用いてエネルギー
線硬化性組成物[e1]を塗布し、窒素雰囲気中で、実
施例で使用したと同じ紫外線を1秒間照射して、流動性
を喪失した半硬化状態の樹脂層A1(32)を形成し
た。
【0106】この樹脂層A1(32)の上に更に、12
7μmのバーコーターを用いてエネルギー線硬化性組成
物[e1]を塗布しし、窒素雰囲気中で、フォトマスク
を使用して、図4、図5に示された流路A2(35’−
2)と成すべき部分以外の部分に、上記と同じ紫外線を
1秒間照射して照射部分の塗膜を半硬化した樹脂層A2
(33)となし、未照射部分の未硬化のエネルギー線硬
化性組成物[e1]を洗瓶から噴出させた蒸留水の水流
にて洗浄除去し、流路A2(35’−2)と成る溝A1
(図示せず)を形成した。
【0107】その後、該溝A1の一端において、支持体
1(31)、樹脂層A1(32)及び樹脂層A2(3
3)に直径0.3mmの孔を穿ち、流路A3(35’−
3)及び接続口1(38)を形成した。次いで、塗工支
持体(図示せず)としてOPPフィルムを10cm×1
0cmに切断して使用し、このコロナ処理面側に、12
7μmのバーコーターを用いてエネルギー線硬化性組成
物[e2]を塗布した。
【0108】窒素雰囲気中で、図4、図5に示した流入
口A(37)及び流路A4(35’−4)と成る部分以
外の部分に上記と同じ紫外線を1秒間照射して、照射部
分の塗膜を半硬化した樹脂層A3(39)となし、未照
射部分の未硬化のエネルギー線硬化性組成物[e1]を
洗瓶から噴出させたエタノール流にて洗浄除去し、直径
200μmの円筒状の流入口A(37)及び流路A4
(35’−4)を形成した。
【0109】この樹脂層A3(39)を、流入口A(3
7)が流路A2(35’−2)と成るべき溝(図示せ
ず)の一端と連絡する位置に合わせて、部材Aに積層
し、密着させた状態で上記と同じ紫外線を3秒間照射し
て樹脂層A3(39)を硬化させ、塗工支持体(図示せ
ず)を剥離して、樹脂層A2(33)に樹脂層A3(3
9)を接着した。
【0110】続いて、流入口A(37)及び流路A(3
5’−4)の代わりに、空洞A(34’)及び流路A1
(35’−1)と成るべき樹脂欠損部が形成されたこと
以外は樹脂層A3と同様にして、樹脂層A4(40)を
塗工支持体(図示せず)上に形成し、流入口A(37)
が空洞A(34’)と成るべき凹部A(図示せず)の中
心に置かれるように位置を合わせて、積層・接着した。
その後、流路A1(35’−1)と成るべき溝(図示せ
ず)の他端において、支持体1(31)、樹脂層A1
(32)、樹脂層A2(33)、樹脂層A3(39)及
び樹脂層A4(40)を貫通する直径0.3mmの孔を
穿ち、流路A5(35’−5)及び接続口2(41)を
形成した。
【0111】以上の操作により、エネルギー線硬化性組
成物[e1]の硬化物で構成された、1層の厚みが各約
95μmである4層の樹脂層から成り、支持体1(3
1)の上に形成された部材Aを得た。
【0112】〔部材Cの作製と接着〕実施例1と同様に
して、部材C(42)を作製し、これを部材Aと接着す
ることにより、支持体1(31)−部材A−部材C(4
2)複合体を得た。
【0113】〔部材Bの作製と接着〕実施例1と同様に
して、空洞B(54’)となる凹部B(図示せず)、流
路B1(55’−1)となる溝B(図示せず)、流入出
口B(56)、流路B2(55’−2)、及び接続口3
(57)が形成された、厚み各95μmの樹脂層B1
(52)と樹脂層B2(53)から成る部材Bを支持体
2(51)上に作製し、これを支持体1(31)−部材
A−部材C(42)複合体に接着し、図4、図5に示さ
れた空洞B(54’)、流路B1(55’−1)、流入
出口B(56)を形成すると共に、支持体1(31)−
部材A−部材C(42)−部材B−支持体2(51)が
積層、接着された微小ケミカルデバイス[D2]を作製
した。
【0114】〔流路の開閉試験〕接続口1(38)から
マイクロシリンジを用いて蒸留水を流路に注入したとこ
ろ、水は流路A3(35’−3)、流路A2(35’−
2)、流路A4(35’−4)、流入口A(37)、空
洞A(34’)、流出口A(36)、流路A5(35’
−5)及び流路A1(35’−1)を通って接続口1
(41)から流出した。次に、接続口3(57)に0.
3MPa(ゲージ圧)の圧縮空気を導入したところ、水
の流通が遮断され、常圧に戻すと水は再び流通した。こ
の試験を10回繰り返したが、すべて同様の結果であっ
た。
【0115】
【発明の効果】本発明は、構造が簡単で耐圧性が高く、
且つ容易に製造できるバルブ機構を有する微小ケミカル
デバイスを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で作製した微小ケミカルデバイスの部
材A及び部材Bに形成されたパターンの平面図の模式図
である。
【図2】実施例1で作製した微小ケミカルデバイスの平
面図の模式図である。
【図3】実施例2で作製した微小ケミカルデバイスの立
面図の模式図である。
【図4】実施例2で作製した微小ケミカルデバイスの平
面図の模式図である。
【図5】実施例2で作製した微小ケミカルデバイスの立
面図の模式図である。
【符号の説明】 1 :支持体1 2 :樹脂層A1 3 :樹脂層A2 4 :凹部A 4’ :空洞A 5 :溝A 5’−1 :流路A1 5’−2 :流路A2 5’−3 :流路A3 6 :流入口A 7 :流出口A 8 :接続口1 9 :接続口1 10 :部材C 11 :支持体2 12 :樹脂層B1 13 :樹脂層B2 14 :凹部B 14’ :空洞B 15 :溝B 15’−1 :流路B1 15’−2 :流路B2 16 :流入出口B 17 :接続口3 31 :支持体1 32 :樹脂層A1 33 :樹脂層A2 34’ :空洞A 35’−1 :流路A1 35’−2 :流路A2 35’−3 :流路A3 35’−4 :流路A4 35’−5 :流路A5 36 :流出口A 37 :流入口A 38 :接続口1 39 :樹脂層A3 40 :樹脂層A4 41 :接続口2 42 :部材C 51 :支持体2 52 :樹脂層B1 53 :樹脂層B2 54’ :空洞B 55’−1 :流路B1 55’−2 :流路B2 56 :流入出口B 57 :接続口3
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 3H056 AA07 BB24 BB32 CA08 EE01 GG11 4G075 AA39 AA61 CA05 FC10 4J011 AC04 QA12 QA13 QA19 QA23 QA24 QA25 QA39 QA45 QA46 QB05 QB16 QB19 QB24 QC10 UA01 VA01 WA07

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エネルギー線硬化性組成物の硬化物で形
    成されたダイヤフラムにより、流体流量を調節する圧力
    制御式バルブを有する微小ケミカルデバイス。
  2. 【請求項2】 ダイヤフラムが厚み1〜500μmで、
    引張弾性率1〜700MPaの範囲の素材で形成されて
    いる請求項1に記載の圧力制御式バルブを有する微小ケ
    ミカルデバイス。
  3. 【請求項3】 部材中にダイヤフラムで仕切られた空洞
    と、互いに独立な毛細管状の流路(流路A及び流路B)
    を有し、流路Aにはダイヤフラムで仕切られた空洞の一
    方(空洞A)が接続されて、該空洞Aに流入口(流入口
    A)及び流出口(流出口A)が形成され、他方の流路
    (流路B)はダイヤフラムで仕切られた空洞の他方(空
    洞B)に該空洞Bへの流入口(流入口B)を通じて連絡
    しており、流路Bを通して空洞B内の圧力を制御するこ
    とによりダイヤフラムを変形させて空洞Aの空隙寸法を
    変化させ、流路Aを流れる流体の流量を調節する請求項
    1又は2に記載の微小ケミカルデバイス。
  4. 【請求項4】 表面に凹部を有する部材Aの凹部形成面
    とダイヤフラムとなるフィルム状の部材Cとが接着され
    て空洞Aを形成し、表面に凹部を有する他の部材Bの凹
    部形成面と該部材Cとが接着されて空洞Bを形成し、空
    洞Aと空洞Bとが部材Cから成るダイヤフラムを挟んで
    相対する位置に形成されている請求項3に記載の微小ケ
    ミカルデバイス。
  5. 【請求項5】 流入口A、流出口Aの少なくとも一方
    が、空洞Aにおけるダイヤフラムの対向面に形成されて
    いて、その周がダイヤフラムに接しておらず、空洞部B
    の加圧により変形したダイヤフラムが、該流入口A及び
    /又は流出口Aの周に接することによって流路を閉鎖し
    うることを特徴とする請求項3に記載の微小ケミカルデ
    バイス。
  6. 【請求項6】 エネルギー線硬化性組成物が、(メタ)
    アクリロイル基含有化合物を含む請求項1〜5のいずれ
    か一つに記載の微小ケミカルデバイス。
  7. 【請求項7】 エネルギー線硬化性組成物が、エネルギ
    ー線重合性化合物と共重合可能な両親媒性重合性化合物
    を含有する請求項1〜5のいずれか一つに記載の微小ケ
    ミカルデバイス。
  8. 【請求項8】 両親媒性重合性化合物が、分子内に繰り
    返し数6〜20のポリエチレングリコール鎖と、炭素数
    6〜20個のアルキル基を含有する化合物である請求項
    7に記載の微小ケミカルデバイス。
  9. 【請求項9】 表面に凹部を有する部材Aの凹部形成面
    と、エネルギー線硬化性組成物で形成されたフィルム状
    の部材Cとが接着されて空洞Aを形成し、表面に凹部を
    有する他の部材Bの凹部形成面と該部材Cとが接着され
    て空洞Bを形成し、空洞Aと空洞Bとが部材Cから成る
    ダイヤフラムを挟んで相対する位置に形成され、且つ互
    いに接着される部材の少なくとも一方がエネルギー線硬
    化性組成物の半硬化物で形成され、これらを密着させた
    状態で活性エネルギー線を照射して半硬化物を完全硬化
    させることを特長とする、エネルギー線硬化性組成物の
    硬化物で形成されたダイヤフラムにより流体流量を調節
    する圧力制御式バルブを有する微小ケミカルデバイスの
    製造方法。
  10. 【請求項10】 ダイヤフラムが厚み1〜500μm
    で、引張弾性率1〜700MPaの範囲の素材で形成さ
    れている請求項9に記載の微小ケミカルデバイスの製造
    方法。
  11. 【請求項11】 エネルギー線硬化性組成物の半硬化物
    が部材Cである請求項9又は10に記載の微小ケミカル
    デバイスの製造方法。
  12. 【請求項12】 支持体上にエネルギー線硬化性組成物
    を塗膜状に塗工し、該塗膜にエネルギー線を照射して部
    材Cの半硬化物を形成し、次いで部材Cの半硬化物面を
    部材A(又は部材B)と密着させた状態で活性エネルギ
    ー線を照射して部材Cを硬化させた後に支持体を剥離
    し、更に部材Cの支持体の剥離面に半硬化状態の部材B
    (又は部材A)を密着させ、活性エネルギー線を照射し
    て部材B(又は部材A)を硬化させる請求項9又は10
    に記載の微小ケミカルデバイスの製造方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002282682A (ja) * 2001-03-26 2002-10-02 National Institute Of Advanced Industrial & Technology 微小化学反応装置
JP2011072876A (ja) * 2009-09-29 2011-04-14 Sekisui Chem Co Ltd マイクロ流体デバイス
CN111777700A (zh) * 2019-04-03 2020-10-16 中国科学院化学研究所 微反应器中配位聚合制备聚烯烃的方法

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