JP2002238476A - 積層食品 - Google Patents

積層食品

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貞之 小久保
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圭次 森本
Soichiro Ide
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】各種の積層食品における層間の色移りを、食品
の風味や食感を損なわずに抑制できるようにする。 【解決手段】色の異なる複数の水型食品層が積層されて
なる積層食品であって、前記積層された水型食品層の間
に、厚さが1mm以上のゼラチンと ゼラチン以外のローメトキシルペクチン、カラギナ
ン、キサンタンガム、とローカストビンガムとの混合
物、 アルギン酸ナトリウム、及び 寒天からなる群から選ばれる1種以上とを含有する無
色ゼリーからなる中間層が設けられている。中間層の水
相固形分値が下記数式 {(A+B)/2}−2≦F≦{(A+B)/2}+2 (但しFは中間層の水相固形分値(重量%)を示し、A
は該中間層の上下に隣接する水型食品層のうちの一方の
水型食品層の水相固形分値(重量%)を示し、Bは他方
の水相固形分値を示す。)を満たす範囲内である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、無色ゼリーからな
る中間層を挟んで、色の異なる複数の水型食品層が積層
された積層食品に関し、特に水型食品層間における色移
りを抑制した積層食品に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】従来よ
り、例えば、色の異なるゼリー層を積層した食品や、着
色しているゼリー層上にクリーム層を積層した食品など
の積層食品にあっては、製造後ある程度の時間が経過す
ると上層と下層との間で色移りが生じて、好ましくない
外観を呈するようになるという不都合があった。
【0003】このような色移りを抑制する方法として、
従来知られている方法を例示すると、 カロチン、アナットー、リコピン等の脂溶性色素を乳
化した乳化製剤が、ハイドロコロイドゲル組織の中で移
動し難いことが経験的に知られているので、この乳化製
剤を色素として用いる方法、 水溶性色素に油中水型の乳化を施し、その外側に水中
油型の乳化を施した二重乳化色素を用いる方法、 コーヒーゼリーなどのゲル状食品本体上にフレッシュ
クリーム等のクリーム状物を積層させる際に、クリーム
状物を油中水型のエマルジョンとすることにより両層間
の色移りを抑制する方法(特開平6−303924号公
報)、 ムース、クリーム、ゼリー、ソースなどからなる多層
デザートにおいて、層間に脂肪被覆層またはチョコレー
ト層を設ける方法(特開平9−107885号公報)、
ゼリー層とクリーム層との間に油脂層を設ける方法(特
開平11−276098号公報)などが挙げられる。
【0004】しかしながら、上記の方法が有効なのは
脂溶性の色素に限られており、素材中に含まれている水
溶性色素の色移りを抑制することはできなかった。上記
の方法は、二重に乳化した色素は比較的高価であるに
もかかわらず、色力が弱く、製造工程中に均質化工程が
あると破壊され易く、また素材中に含まれる水溶性色素
の色移りは抑制できないという問題もあった。上記の
方法が適用できるのは、クリーム状物が添えられたゲル
状食品に限定され、汎用性に欠けるものであった。上記
の方法は、ゼリー層やクリーム層の間に油性の層を介
在させるため、風味や食感が損なわれがちであるという
問題があった。
【0005】本発明は前記事情に鑑みてなされたもの
で、各種の積層食品における層間の色移りを、食品の風
味や食感を損なわずに抑制できるようにすることを目的
とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の積層食品は、色
の異なる複数の水型食品層が積層されてなる積層食品で
あって、前記水型食品層の相互の色移りが少なくとも当
該積層食品の賞味期限が過ぎるまで生じないことを特徴
とする。本発明における水型食品層とは、水相からなる
連続相を有する層であり、水相のみからなる層でもよ
く、水中油型のエマルジョンからなる層であってもよ
い。本発明における水型食品層には、例えばゼリー層、
ムース層、ババロア層、プリン層などのゲル状物の層の
他、クリーム層、ソース層なども含まれる。本発明にお
いて、水型食品層の相互の色移りとは、一方の層の色が
他方の層に移行する現象、一方の層の色が他方の層に移
行するとともに、他方の層の色が一方の層に移行する現
象、あるいは一方の層の色と他方の層の色とが混じり合
う現象であって、肉眼によって認識できる程度の現象を
いう。尚、複数の水型食品層の中には、無色の水型食品
層が含まれていてもよい。
【0007】具体的には、本発明の積層食品は、色の異
なる複数の水型食品層が積層されてなる積層食品であっ
て、前記積層された水型食品層の間に、厚さが1mm以
上の無色ゼリーからなる中間層が設けられていることを
特徴とする。前記中間層は、ゼラチンと、ゼラチン以外
の少なくとも1種の増粘多糖類とを含有してなることが
好ましく、前記増粘多糖類としては、ローメトキシルペ
クチン、カラギナン、キサンタンガムとローカストビン
ガムとの混合物、アルギン酸ナトリウム、および寒天か
らなる群から選ばれる1種以上が好ましく用いられる。
また、前記中間層の水相固形分値は、次の数式(1)を
満たす範囲内であることが好ましい。 {(A+B)/2}−2≦ F ≦{(A+B)/2}+2…(1) [但し、Fは中間層の水相固形分値(重量%)を示し、
Aは、該中間層の上下に隣接する水型食品層のうちの一
方の水型食品層の水相固形分値(重量%)を示し、B
は、他方の水型食品層の水相固形分値(重量%)を示
す。] 本発明における水相固形値とは、中間層または水型食品
層の脂肪を除いた部分における固形分の比率(重量百分
率)である。
【0008】本発明の積層食品の色移り抑制方法は、色
の異なる水型食品層の間に、無色ゼリーからなる中間層
を介在させることによって前記水型食品層相互の色移り
を抑制することを特徴とする。本発明の積層食品の製造
方法は、冷却によってゲル化する成分液を容器内に充填
した後、少なくとも表面を冷却してゲル化させる第1の
工程と、前記第1の工程後、前記成分液上に無色ゼリー
液を充填する第2の工程と、前記無色ゼリー液上に、最
上層を形成する成分液を、前記無色ゼリー液と混合しな
いように充填する第3の工程と、前記第3の工程後、前
記容器の内容物全体を冷却する第4の工程とを有するこ
とを特徴とする。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳しく説明する。
本発明における積層食品は、色の異なる複数の水型食品
層が、無色ゼリーからなる中間層を挟んで積層された構
成を有する。中間層を形成する無色ゼリーは、無色透明
であるか、着色している場合は、この中間層に隣接して
積層される水型食品層に対して色移りを生じさせない程
度の着色に制限される。中間層を構成する無色ゼリーは
色素を含有しないことが好ましい。
【0010】中間層は、一般的なゼリー調製に使用され
るゲル化剤を用いて形成することができるが、特に、ゼ
ラチンと、ゼラチン以外の少なくとも1種の増粘多糖類
とを併用して形成された無色ゼリーは、これを挟んで積
層されている水型食品層相互間における色移りをより遅
くすることができるので好ましい。ゼラチン以外の増粘
多糖類は、ゲル化するものが好ましく、例えばローメト
キシルペクチン、カラギナン、キサンタンガムとローカ
ストビンガムとの混合物、アルギン酸ナトリウム、およ
び寒天からなる群から選ばれる1種または2種以上を用
いることが好ましい。
【0011】中間層をなす無色ゼリーは、好ましい風味
や食感を得るために、ゲル化剤の他に、糖類、香料、塩
類、調味料、酸味料等を含んでいてもよい。中間層をな
す無色ゼリーの組成は、着色しない範囲で好ましい風味
や食感が得られるように設定することが望ましいが、こ
の無色ゼリーを挟んで積層される水型食品層相互間にお
ける色移りを有効に抑制するためには、中間層の水相固
形分値が、下記の範囲内となるように設定することが好
ましい。すなわち、特に中間層の上下に隣接する水型食
品層の水相固形分値の差は、基本的には色移りの早さに
影響する因子であるが、本発明においては、この差が大
きい場合であっても小さい場合であっても(例えば差が
4重量%を越える場合であっても4重量%未満の場合で
あっても)、中間層の水相固形分値は、その中間層の上
下に隣接する水型食品層の水相固形分値の平均値をと
り、この平均値のプラスマイナス2重量%の範囲内に収
まるように設定することが好ましい。
【0012】本発明の積層食品における中間層は、その
厚さを1mm以上とすることにより、この中間層を挟ん
で積層されている水型食品層相互間における色移りを有
効に抑制することができる。中間層の厚さの上限は特に
限定されないが、厚すぎると積層食品の食感や風味が損
なわれる場合があるので、3mm以下程度とするのが好
ましい。
【0013】本発明の積層食品は、例えば次のようにし
て製造される。まず、下層となる水型食品層を形成し、
その上に無色ゼリーからなる中間層を、下層の水型食品
層と混合しないように形成する。下層の水型食品層はゼ
リー層、ムース層、ババロア層、プリン層などのゲル状
物の層が好適である。具体的には、冷却によりゲル化す
る成分液を周知の製法に従って調製し、容器内に所定量
充填した後、液面に冷風を吹き付けて、少なくとも表面
部分をゲル化させた後、その上に、中間層をなす無色ゼ
リー液を所定厚さとなるように充填する。
【0014】次いで、中間層をなす無色ゼリー液上に、
最上層となる水型食品層を、無色ゼリー液と混合しない
ように形成する。具体的には、上層の水型食品層がゼリ
ー層、ムース層、ババロア層、プリン層などのゲル状物
の層である場合には、周知の製法に従って成分液を調製
し、容器内の中間層上に、該中間層を混合しないように
所定量充填した後、冷却することによって積層食品が得
られる。成分液の充填後に冷却する際は、容器の内容物
全体を容器ごと冷却して、上層の水型食品層だけでな
く、下層の水型食品層も完全にゲル化させる。一方、上
層の水型食品層がクリーム層やソース層などゲル化工程
を必要としないものである場合は、予め調製しておいた
クリームやソースなどの成分液を容器内の中間層上に、
該中間層と混合しないように所定量充填した後、容器ご
と冷却して下層の水型食品層を完全にゲル化させること
によって積層食品が得られる。
【0015】ここで、最上層をなす成分液を充填したと
きに、中間層中に混入しないようにするには、例えば、
前工程で無色ゼリー液を下層の成分液上に充填したとき
に、無色ゼリー液が冷却された下層の成分液表面と接触
することによって速やかにゲル化するように、充填時の
無色ゼリー液温度や下層の成分液の表面温度を設定すれ
ばよい。あるいは、最上層をなす成分液が、例えばホイ
ップクリームなどの比重の小さいものである場合には、
中間層がゲル化していてもよいが、中間層がゲル化して
いない場合であっても、中間層上に静かに充填すれば両
者の混合を避けることができる。
【0016】また、中間層上の水型食品層がゼリー層、
ムース層、ババロア層、プリン層などのゲル状物の層で
ある場合には、その上に前記と同様にして中間層を形成
する工程と、この中間層上にさらにゲル状物からなる水
型食品層を形成する工程とを交互に行って、中間層を含
んで4層以上を形成し、最上層として、中間層上に、ゼ
リー層、ムース層、ババロア層、プリン層などのゲル状
物の層、またはクリーム層やソース層などゲル化工程を
必要としない層を形成することによって、水型食品層を
3層以上有する積層食品を製造することもできる。
【0017】本発明によれば、積層されている水型食品
層の間に無色ゼリー層からなる中間層が介在しているの
で、中間層を挟んで積層されている水型食品層の色が異
なっていても、これら水型食品層相互間における色移り
が抑制され、一方または両方の水型食品層に目視で認め
られる程度の変色が生じるのが遅くなる。通常、水相か
らなる連続相を有する水型食品を用いた積層食品は、常
温流通可能に加工されたものを除くと、水分活性が高い
ために賞味期限が比較的短く、製造日を含む1日から長
くても21日程度である。本発明によれば、低温流通さ
れる積層食品の賞味期限が過ぎるまで、その積層食品を
構成している水型食品層に目視で認められる変色が生じ
ない程度に色移りを抑制することが可能である。しか
も、本発明によれば、水型食品層に含まれている色素の
種類にかかわらず、また水型食品層が均質化工程を必要
とするエマルジョンタイプのものであるか否かにかかわ
らず、層間の色移りを抑制することができるので、各種
の積層食品に適用することができ汎用性が高い。さら
に、従来の積層食品に、無色ゼリーからなる中間層を加
えるだけであるので、積層食品の風味や食感を損なうお
それがなく、また設備的、作業的にも負担が少なくて済
む。特に無色ゼリーからなる中間層は薄い層であるの
で、冷却された水型食品層の表面に接触するだけで、特
に冷却工程を設けなくても短時間でゲル化することが可
能であり、形成が容易である。よって製造工程の困難性
を招くことなく、積層食品における層間の色移りを改善
することができ、工業的に連続生産するのにも好ましく
適用することができる。
【0018】試験例:以下の試験例において、%は特に
ことわりのない限り重量%である。 [試験1]この試験は、積層食品における層間の色移り防
止に効果のある中間層の厚みを検索する目的で実施し
た。 (試料の調製)着色ゼリー液と中間層ゼリー液として、
表1の配合割合A、Bのゼリー液をそれぞれ調製した。
すなわち表1の配合で原料を混合し、85℃に加熱して
溶解させた後、50℃に冷却して2種類のゼリー液を調
製した。表1に示した原料はいずれも市販品である。一
方、ホイップクリームを用意した。すなわち、市販の3
5%脂肪コンパウンドクリーム(森永乳業社製)に8%
の砂糖(東洋製糖社製)を加え、電動ホイッパー(愛工
舎社製)でホイップし、オーバーランを120%にして
調製した。
【0019】
【表1】
【0020】(試験方法)プラスチックカップに着色ゼ
リー液(赤色)をそれぞれ100g充填し、0℃の冷風
を液面に当て、表面温度が15℃になった時、各プラス
チックカップに中間層ゼリー液(無色)をそれぞれ0、
1、2、3、4、5、6、7、8、9g充填して、中間
層の厚さをそれぞれ、0、0.3、0.7、1.0、
1.3、1.7、2.0、2.3、2.7、3.0mm
とした。充填してから30秒後にホイップクリームを4
0m1充填した後、5℃の冷蔵庫で冷却して、10種類
のサンプルを作成し、経時的にクリーム層の色を観察し
た。 (評価方法)1日毎にクリーム上面の色調を観察し、着
色ゼリー層の赤色がクリーム上面に達するまでの日数を
調べた。 (試験結果)この試験の結果を表2に示す。表2の結果
から、着色ゼリーの上に、無色ゼリーからなる1mm以
上の中間層を敷くと、着色ゼリー層からホイップクリー
ム層への色移りが遅くなることが分かった。
【0021】
【表2】
【0022】[試験2]この試験は、積層食品における層
間の色移り防止に効果のある中間層のゲル化剤を検索す
る目的で実施した。 (試料の調製)まず、ゲル化剤の種類を変えて11種類
の中間層ゼリー液を調製した。すなわち、表3の配合割
合で、それぞれ原料を混合し、85℃に加温して溶解さ
せた後、40℃に冷却して11種類の中間層ゼリー液
(テストNo.1〜11)を調製した。表3に示した原
料はいずれも市販品である。着色ゼリー液及びホイップ
クリームは試験1と同一のものを使用した。
【0023】
【表3】
【0024】(試験方法)プラスチックカップにそれぞ
れ着色ゼリー液(赤色)を100g充填し、0℃の冷風
をゼリーの表面に当て、表面温度が15℃になった時、
中間層ゼリー液(無色)を4g(厚さ1.3mm)充填
した。30秒後にホイップクリームを40m1充填した
後、冷蔵庫で冷却して11種類のサンプルを作成し、経
時的にクリーム層の色を観察した。 (評価方法)試験1と同一の方法により、評価した。 (試験結果)この試験の結果を表4に示す。この結果か
ら、中間層ゼリー層に含まれるゲル化剤が、何れであっ
ても色移りが遅くなるが、特にゼラチンとカラギナン
(テストNo.7)、ゼラチンとローメトキシルペクチ
ン(テストNo.8)、キサンタンガムとローカストビ
ンガムの混合物とゼラチン(テストNo.9)、ゼラチ
ンとアルギン酸ナトリウム(テストNo.10)、ゼラ
チンと寒天(テストNo.11)を併用した場合に、色
移りがより遅くなることが分かった。
【0025】
【表4】
【0026】[試験3]この試験は、積層食品における層
間の色移り防止に効果のある中間層の水相固形分値を検
索する目的で実施した。 (試料の調製)表5の配合割合で原料を混合し、85℃
に加熱して溶解させた後、50℃に冷却して、着色ゼリ
ー液5種類(No.A9〜A25)と中間層ゼリー液9
種類(No.B9〜B25)をそれぞれ調製した。尚、
表5に示した原料はいずれも市販品である。これとは別
に、市販の35%脂肪コンパウンドクリーム(森永乳業
社製)に8%の砂糖(東洋製糖社製)を加え、電動ホイ
ッパー(愛工舎社製)でホイップし、オーバーランを1
20%にしてホイップクリームを調製した。この試験に
用いた各試料の調製後の水相固形分の値は、No.A9
〜A25の着色ゼリー液はそれぞれ9,13,17,2
1,25%であり、No.B9〜B25の中間層ゼリー
液はそれぞれ9,11,13,15,17,19,2
1,23,25%である。また、ホイップクリームの脂
肪を除いた部分の水相固形分の値は17%である。
【0027】
【表5】
【0028】(試験方法)プラスチックカップに着色ゼ
リーを100g充填し、0℃の冷風をゼリーの表面に当
て、表面温度が15℃になった時、中間層ゼリーを3g
(厚さ1.0mm)充填し、30秒後にホイップクリー
ムを40ml充填した後、5℃の冷蔵庫で冷却した。5
種類の着色ゼリー液と9種類の中間層ゼリー液を組合せ
を変えて45種類のサンプルを作成し、経時的にクリー
ム層の色を観察した。 (評価方法)試験1と同一の方法で評価した。 (試験結果)この試験の結果を表6に示す。この結果か
ら、各層の水相固形分の値に関係なく色移りは遅くなる
が、中間層の水相固形分が、着色ゼリーの水相固形分値
とホイップクリーム層の水相固形分値(=17重量%)
との平均値より±2重量%の範囲内にあれば、特に色移
りが遅かった。
【0029】
【表6】
【0030】
【実施例】以下の実施例において、%は特にことわりの
ない限り重量%である。 (実施例1)表7の配合でコーヒーゼリー液を調製し
た。すなわち、表7の配合で原料を混合し、90℃に加
熱後50℃に冷却してコーヒーゼリー液を得た。一方、
表8の配合で中間層ゼリー液を調製した。すなわち、表
8の配合で原料を混合し、90℃に加熱後40℃に冷却
して中間層ゼリー液を得た。ホイップクリームは、市販
の35%乳脂クリーム(森永乳業社製)に8%砂糖を加
え、連続式ホイッパー(森永乳業社製)で120%のオ
ーバーランに調製した。調製後の各成分の固形分は、コ
ーヒーゼリー液が17%で、中間層ゼリー液が17%
で、ホイップクリームの脂肪を除いた部分の固形分が1
7%であった。
【0031】充填機(トーワテクノ社製)で、カップに
100gのコーヒーゼリー液を充填し、その表面に0℃
の冷風を30秒間吹き付けた後、5g(厚さ1.7m
m)の中間層ゼリー液を充填した後、ホイップクリーム
を40ml充填した。蓋をシールし、冷蔵庫で5℃に冷
却して500個のクリームトッピングコーヒーゼリーを
製造した。外観、風味、及び細菌増殖を基準として決め
られる、このクリームトッピングコーヒーゼリーの賞味
期限は製造日を含んで7日間であるが、この期間の間に
コーヒーゼリーからホイップクリームヘの色移りは認め
られなかった。またこの製品は風味や食感も良好であっ
た。
【0032】
【表7】
【0033】
【表8】
【0034】(実施例2)表9の配合でブルーベリーバ
バロア液を調製した。すなわち、表9のAの配合で原料
を混合し、80℃に加熱した状態で均質機(三丸機械社
製)で15MPaの圧力で均質化し、さらに90℃に加
熱して10分間保持した後、70℃に冷却してA液を得
た。これとは別に、表9のBの配合で原料を混合し、9
0℃に加熱した後30℃に冷却してB液を得た。A液と
B液を重量比1:1の割合で混合してブルーベリーババ
ロア液を得た。中間層ゼリー液は実施例1と同一のもの
を用いた。表10の配合でピーチムース液を調製した。
すなわち、表10の配合で原料を混合し、90℃に加熱
した後20℃に冷却して調製してC液を得た。これとは
別に、市販の35%乳脂クリーム(森永乳業社製)を連
続式ホイッパー(森永乳業社製)で120%のオーパー
ランに調製してホイップクリームを得た。C液とホイッ
プクリームを重量比3:2(C液:ホイップクリーム)
で混合してピーチムース液を得た。調製後の各成分の固
形分は、ブルーベリーババロア液の脂肪を除いた部分の
固形分が20%で、中間層ゼリー液が17%で、ピーチ
ムース液の脂肪を除いた部分の固形分が15%であっ
た。
【0035】充填機(トーワテクノ社製)で、カップに
70gのブルーベリーババロア液を充填し、その表面に
0℃の冷風を30秒間吹き付けた後、6g(厚さ2.0
mm)の中間層ゼリー液を充填した後、ピーチムース液
を60ml充填した。蓋をシールし、冷蔵庫で5℃に冷
却して500個のフルーツババロアを製造した。外観、
風味、及び細菌増殖を基準として決められる、このフル
ーツババロアの賞味期限は製造日を含んで14日間であ
るが、この期間の間にブルーベリーババロアからピーチ
ムースへの色移りは認められなかった。またこの製品は
風味や食感も良好であった。
【0036】
【表9】
【0037】
【表10】
【0038】(実施例3)表11の配合でミルクプリン
液を調製した。すなわち、表11の配合で原料を混合
し、80℃に加熱した状態で均質機(三丸機械社製)で
15MPaの圧力で均質化し、さらに90℃に加熱して
10分間保持した後、50℃に冷却してミルクプリン液
を得た。表12の配合で中間層ゼリー液を調製した。す
なわち、表12の配合で原料を混合し、90℃に加熱後
40℃に冷却して中間層ゼリー液を得た。ラズベリーシ
ロップは、表13の配合で原料を混合し、90℃に加熱
した後25℃に冷却して調製した。調製後の各成分の固
形分は、ミルクプリン液の脂肪を除いた部分の固形分が
17%で、中間層ゼリー液が19%で、ラズベリーシロ
ップが21%であった。
【0039】充填機(トーワテクノ社製)で、カップに
120gのミルクプリン液を充填し、その表面に0℃の
冷風を30秒間吹き付けた後、8g(厚さ2.5mm)
の中間層ゼリー液を充填した後、ラズベリーシロップを
22g充填した。蓋をシールし、冷蔵庫で5℃に冷却し
て500個のミルクプリンを製造した。外観、風味、及
び細菌増殖を基準として決められる、このミルクプリン
の賞味期限は製造日を含んで10日間であるが、この期
間の間にラズベリーシロップからミルクプリンヘの色移
りは認められなかった。またこの製品は風味や食感も良
好であった。
【0040】
【表11】
【0041】
【表12】
【0042】
【表13】
【0043】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
積層されている水型食品層の間に無色ゼリー層からなる
中間層を介在させたことにより、中間層を挟んで隣り合
って積層されている水型食品層の色が異なっていても、
これら水型食品層相互間における色移りを抑制すること
ができる。また本発明は、各種の積層食品に適用するこ
とができ、汎用性が高い。さらに、従来の積層食品に、
無色ゼリーからなる中間層を加えるだけであるので、積
層食品の食感や風味に違和感を与えるおそれがなく、工
業的な連続生産にも容易に適用できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 森本 圭次 神奈川県座間市東原五丁目1番83号 森永 乳業株式会社食品総合研究所内 (72)発明者 井出 総一郎 神奈川県座間市東原五丁目1番83号 森永 乳業株式会社食品総合研究所内 Fターム(参考) 4B001 AC03 AC05 DC01 4B025 LB17 LB21 LE03 LG29 LG32 LK02 LK05 4B035 LC16 LE07 LG15 LG22 LG23 LG25 LG27 LK04 4B041 LC02 LD01 LE06 LH06 LH07 LH10 LH16 LK17

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】色の異なる複数の水型食品層が積層されて
    なる積層食品であって、前記水型食品層の相互の色移り
    が少なくとも当該積層食品の賞味期限が過ぎるまで生じ
    ないことを特徴とする積層食品。
  2. 【請求項2】色の異なる複数の水型食品層が積層されて
    なる積層食品であって、前記積層された水型食品層の間
    に、厚さが1mm以上の無色ゼリーからなる中間層が設
    けられていることを特徴とする積層食品。
  3. 【請求項3】前記中間層が、ゼラチンと、ゼラチン以外
    の少なくとも1種の増粘多糖類とを含有してなることを
    特徴とする請求項2記載の積層食品。
  4. 【請求項4】前記増粘多糖類が、ローメトキシルペクチ
    ン、カラギナン、キサンタンガムとローカストビンガム
    との混合物、アルギン酸ナトリウム、および寒天からな
    る群から選ばれる1種以上であることを特徴とする請求
    項3記載の積層食品。
  5. 【請求項5】前記中間層の水相固形分値が、下記数式
    (1) {(A+B)/2}−2 ≦ F ≦ {(A+B)/2}+2…(1) [但し、Fは中間層の水相固形分値(重量%)を示し、
    Aは、該中間層の上下に隣接する水型食品層のうちの一
    方の水型食品層の水相固形分値(重量%)を示し、B
    は、他方の水型食品層の水相固形分値(重量%)を示
    す。]を満たす範囲内であることを特徴とする請求項2
    乃至請求項4のいずれかに記載の積層食品。
  6. 【請求項6】色の異なる水型食品層の間に、無色ゼリー
    からなる中間層を介在させることによって前記水型食品
    層相互の色移りを抑制することを特徴とする積層食品の
    色移り抑制方法。
  7. 【請求項7】冷却によってゲル化する成分液を容器内に
    充填した後、少なくとも表面を冷却してゲル化させる第
    1の工程と、 前記第1の工程後、前記成分液上に無色ゼリー液を充填
    する第2の工程と、 前記無色ゼリー液上に、最上層を形成する成分液を、前
    記無色ゼリー液と混合しないように充填する第3の工程
    と、 前記第3の工程後、前記容器の内容物全体を冷却する第
    4の工程とを有することを特徴とする積層食品の製造方
    法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2009502155A (ja) * 2005-07-28 2009-01-29 ネステク ソシエテ アノニム 多層食品およびその生成方法
JP2012005466A (ja) * 2010-06-28 2012-01-12 Morinaga Milk Ind Co Ltd 多層食品の製造方法
JP2012213328A (ja) * 2011-03-31 2012-11-08 Snow Brand Milk Products Co Ltd ゲル状食品およびその製造方法
JP2016105734A (ja) * 2016-03-14 2016-06-16 雪印メグミルク株式会社 食品およびその製造方法
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