JP2002236338A - ハロゲン化銀カラー写真感光材料とそれを用いた撮影方法、及びデジタル画像作成方法 - Google Patents

ハロゲン化銀カラー写真感光材料とそれを用いた撮影方法、及びデジタル画像作成方法

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JP2002236338A
JP2002236338A JP2001033492A JP2001033492A JP2002236338A JP 2002236338 A JP2002236338 A JP 2002236338A JP 2001033492 A JP2001033492 A JP 2001033492A JP 2001033492 A JP2001033492 A JP 2001033492A JP 2002236338 A JP2002236338 A JP 2002236338A
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Hiroaki Takano
博明 高野
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Konica Minolta Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ハロゲン化銀カラー写真感光材料及び該感光
材料に形成される画像情報からそれを用いて人間の眼の
視覚特性に近似させたデジタルカラー画像を作成する方
法を得ることにある。 【解決手段】 支持体の一方の側に、それぞれ少なくと
も1層の青色感光性層、緑色感光性層、赤色感光性層及
び非感光性層からなる写真構成層を有するハロゲン化銀
カラー写真感光材料において、該緑色感光性層が感度の
異なる2層以上からなり、該緑色感光性層の中で最高感
度を有する層の分光感度極大波長が、555nmより短
波長側に位置することを特徴とするハロゲン化銀カラー
写真感光材料。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ハロゲン化銀カラ
ー写真感光材料及び、該感光材料を用いた撮影方法、及
び該感光材料に形成される画像情報からそれを用いて人
間の眼の視覚特性を模倣したデジタルカラー画像を作成
する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】コンベンショナルカラー写真として知ら
れている方法において、撮影用ハロゲン化銀カラー写真
感光材料(いわゆるカラーネガフィルム、又、以下にお
いて単に感光材料ということもある)は、通常青色光を
記録してイエロー色素画像を形成する層、緑色光を記録
してマゼンタ色素画像を形成する層、および赤色光を記
録してシアン色素画像を形成する層から構成される。し
たがってコンベンショナルカラーネガフィルムの機能
は、被写体の各色成分ごとの明暗情報を、イエロー、マ
ゼンタ、シアンの画像濃度情報に変換し、これをカラー
プリント工程を経て、カラーペーパーの青感光性層、緑
感光性層および赤感光性層に各々情報伝達することと定
義される。この撮影用カラーフィルムの性能要素は感度
と画質で表現され、画質要素はさらに粒状性、鮮鋭性、
色再現性に分類されるが、この撮影用カラーフィルムの
性能を向上させるために、一般的には各感光性層ごとに
感度、粒状性、鮮鋭性を向上させつつ、目的の色再現性
にするために分光感度分布を調整したり、現像時に現像
抑制剤を放出する化合物(いわゆるDIR化合物)を含
有させて層間現像抑制効果(いわゆるインターイメージ
効果)を高める設計がなされる。しかしながら、感度を
高めようとすれば画質を損ないやすいというトレードオ
フの関係があり、撮影用カラーフィルムの開発、改良の
歴史はこの感度、画質の両立のための技術開発の歴史で
あるといっても過言ではない。
【0003】一方、カラーネガフィルムに形成された画
像をスキャナー等を用いて光学的に読みとり、電気信号
に変換(光電変換)したのち、画像処理を施していった
んデジタル画像データを作成し、これを用いて他の画像
記録材料に画像情報を転写する方法が知られている。こ
の場合は、カラーペーパーなどの感光材料に走査露光し
てカラープリントを得るデジタルプリンタはもちろん、
インクジェットプリンタや昇華型プリンタあるいは電子
写真方式など、各種の非銀塩方式によるプリンタを用い
て仕上がりプリントを得ることが可能である。これらの
撮影用カラーフィルムに記録した情報を一度デジタル画
像データに変換する方法において、撮影用カラーフィル
ムに記録した情報を光学系を介して直接カラーペーパー
に画像投影することによってカラープリントを作成する
ことを前提としない場合には、被写体の青色情報、緑色
情報、赤色情報を必ずしも各々イエロー、マゼンタ、シ
アンの色素画像情報に対応させなければならないという
フィルム設計上の制約条件は無く、ここにコンベンショ
ナル感材と異なった構成の設計による機能向上の余地が
ある。
【0004】前記のような、撮影した画像を光学的プリ
ントを前提とせず、これをデジタル画像データに変換す
るための感光要素としては、例えば、米国特許第5,4
18,119号、同第5,420,003号に、中間層
に蛍光物質を含有させることにより、青色感光性層、緑
色感光性層、赤色感光性層に各々異なった発色性のカプ
ラーを用いることなく、現像処理後に得られる異なった
感光性層の同じ色相の画像を反射、透過の両方法でスキ
ャンし演算処理することで青、緑、赤、各々の色分解画
像を抽出する方法が知られている。この方法は、感光材
料や現像工程を簡素化したり迅速な現像処理を行う上で
は有利と言えるが、従来のカラー感光材料の画質を向上
させる手段とはなり得ないものである。
【0005】また、特開昭61−34541号には、緑
色感光性層の分光感度の重心波長に対して赤色感光性層
の緑色領域で受ける重層効果の大きさの分布の重心波長
を短波長にするための達成手段として、赤色感光性層に
抑制効果を与えるいわゆるドナー層を設置する方法が記
載されている。この方法は、より忠実な色再現を実現す
るためには効果的であるが、現像済みフィルムの発色は
基本的にはイエロー、マゼンタ、シアン3種の情報に統
合され、スキャナで画像を読みとる際に特別な情報を提
供するものではなく、高感度かつ高画質のカラーデジタ
ル画像を得るための積極的な手段とは言い難い。
【0006】さらに、特開平11−72870号には、
感光材料に非可視感光性の色再現向上層を設置する手段
が記載されているがこの方法でも現像済みフィルムの発
色は基本的にはイエロー、マゼンタ、シアンの3種の情
報に統合され、スキャナで画像を読みとる際に特別な情
報を提供するものではなかった。
【0007】また特開平11−143031号では、現
像済みフィルムをスキャンする際に前記非可視感光性層
の情報を別情報として抽出し、RGB信号に調合して色
再現を向上させる手段が示されているが、この方法は非
可視感光性層の設置による一部の色再現の不具合点の解
消を目的としたものであり、感度と色再現のトレードオ
フ関係を解消する技術手段とは言えなかった。
【0008】ここでデジタル画像データを得る為の感光
材料に求められる機能について考えてみると、前記の如
く、ハロゲン化銀粒子を用いることに由来する感度と画
質の両立が課題であることは言うまでもないが、スキャ
ナ読み取りを前提としたことで、人間の眼の視覚特性を
模倣した画像を再現する為の情報を提供しうる可能性が
新たに生じたことになる。例えば撮影時に、人間の眼の
視覚特性を備えた色彩計を用いて被写体の色を測色する
かの如く作用(分光記録)し、現像処理によりイエロ
ー、マゼンタ、シアンの3種の色素の光学濃度として情
報伝達出来るように、潜像を形成する機能が求められて
いる。また、前記色素の光学濃度を媒介として被写体の
色を間接的ながら再現しうる、フィルムスキャナ、及び
所定の表色系における色度座標に変換する演算環境を備
えた画像形成システムの実現が求められている。
【0009】次に人間の眼の視覚特性について述べる。
人間の眼の網膜には、夜間のような暗い状態での視覚
(暗所視)で主に作用し、明暗のみを感知するかん状体
(rod)細胞と、昼間の明るい状態での視覚(明所
視)で主に作用し、色を識別するすい状体(cone)
細胞の2種類が存在する。
【0010】また人間の眼の明暗に対する分光感度特性
(分光視感効率、又は比視感度とも称す)はCIE(国
際照明委員会)によって標準分光視感効率として規定さ
れているが、暗所視における比視感度のピーク波長〔C
IE1951暗所視比視感度V′(λ)〕はかん状体細
胞のおよそ507nm(青緑)であり、明所視における
比視感度のピーク波長〔CIE1924標準比視感度V
(λ)〕はすい状体細胞のおよそ555nm(黄緑)と
されている。この比視感度のピーク波長の変化は薄明視
(プルキニエ現象)と呼ばれ、明所視から暗所視へ移行
する際、暖色系が暗くなるにつれ見えにくくなり、寒色
系がよく見えるようになる視覚特性をもたらす。
【0011】さらに前記プルキニエ現象(見えやすい色
の変化)と共に、光を感じる最小の輝きが、移行開始か
らおよそ7分後には10-2rlx程度であったのが、3
0分後には10-5rlxまで減少する変化(比視感度が
増大に転じる現象)が生じる。この暗順応と称されるか
ん状体細胞の順応に至る経過は暗順応曲線(アウベルト
関数曲線)とも称される。
【0012】人間の眼の色に対する分光感度特性をCI
Eでは測色標準観測者、等色関数として勧告している。
これは、700nm、546.1nm、および435.
8nmの単色光を用い、360〜830nmまでの等エ
ネルギー単(白)色光と等色させたときの原刺激の比率
(三刺激値)を測定したものである。CIE−RGB表
色系の等色関数は一部に負の値が見られるが、これは一
部の単色光は非常に鮮やかであるため、3つの原刺激の
単純な混色では等色出来ないことによる。そこでCIE
−RGB表色系の等色関数に数学的な座標変換を適用し
正の量で等色出来るような原色を定義し、等色関数を求
めたものがXYZ表色系における等色関数である。等色
関数は前記すい状体細胞の特性を直接表したものではな
いが、等色という視覚現象に基づいていることから3種
の視細胞の特性を間接的に表現しているものと考えられ
ている。等色関数には等色実験における視野の大きさの
違いから、2度視野のCIE1931測色標準観測者と
10度視野のCIE1964補助測色標準観測者とがあ
り、後者を用いたものがX101010表色系という。こ
れらはJIS(日本工業規格)において、「色の表示方
法」として規格化されている(規格番号JIS Z 8
701)。
【0013】前記等色関数と表色系は、色の測色、伝
達、及び再現といった要請から確立されたものであり、
今日では、機器を用いて色を測定する物理測色手段を、
人の眼で測定する視感測色方法と同様の精度で実現させ
ている。物理測色方法には、分光反射率を測定し、等色
関数との積分計算により3刺激値を求める分光測色方法
と、RGB3種の受光器で直接3刺激値を求める刺激値
直読方法とがある。後者の場合、RGB3種の光電受光
器の分光感度特性が等色関数と近似しているかどうか
(ルータ条件と称す)が測色の精度を決定している。
【0014】人間の眼が認識するように正確に色を記録
するためには、カラーネガフィルムにおいても、前記光
電受光器同様、人間の眼の青、緑、及び赤のすい状体レ
スポンスの線形変換、すなわち前記等色関数に近似した
分光感度を有していなければならない。等色関数に近似
させた分光感度の例は、MacAdam〔Pearso
n and Yule,J.Color Appear
ance,2,30(1973)〕に記載されている。
等色関数で間接的に表される視細胞の緑色と赤色に対す
る分光感度分布は、カラーネガフィルムの分光感度特性
とは異なる。
【0015】赤感性の視細胞に対する最大感度ピーク波
長はおよそ600nmと短波であり、およそ555nm
を最大感度ピーク波長とする緑感性の視細胞との重なり
(クロストーク)が非常に大きい。また前述のようにC
IE−RGB表色系の等色関数には一部に負の値が見ら
れるが、既知の写真機構の中で、そのレスポンスが負で
ある分光感度を有する写真要素を形成するのは不可能で
ある。前記正の量で等色出来るXYZ表色系における等
色関数に近似するにも広い半値幅の分光感度分布の再現
が難しかった。
【0016】ソウインスキーらによる特開2000−5
6437号には、赤記録層ユニットにおいて、支持体上
の単層ユニットコーティング中の乳剤の最大吸収率が5
25nm〜600nmにあり、かつ最大吸収率半値幅が
70〜150nmであるような増感色素の組合せを有す
るハロゲン化銀乳剤を使用することにより充分な分光吸
収率の連続性を得て、かつ厳密な複数の不連続の最大値
を避けて、人間の視覚レスポンスの等色関数のような感
度を生成するために、最大吸収率の80%のところと最
大吸収率の50%のところのバンド幅の比を0.25以
上とする設計方法が記載されている。
【0017】一方、前記、感度と画質の両立の達成、及
び人間の眼の視覚特性を再現する可能性のある方法とし
て、我々は特開2000−310840号において、デ
ジタルカラー画像の輝度情報および色情報を抽出するた
めに、輝度情報を記録する感光性層(以下「輝度情報記
録層」と称す)を有し、かつ色情報を記録する感光性層
(以下「色情報記録層」と称す)を独立に有するハロゲ
ン化銀カラー感光材料を提案している。また同様に輝度
情報層を用いた感光材料がWO97143613に記載
されている。
【0018】前記輝度情報層にかん状体細胞の機能を持
たせ、前記色情報記録層にすい状体細胞の機能を持たせ
ることが可能である。
【0019】前記ハロゲン化銀カラー写真感光材料の色
情報記録層の構成には、従来のカラー写真感光材料の層
構成と同様に、青色感光性層、緑色感光性層、赤色感光
性層に、各々発色現像主薬の酸化物と反応して現像処理
後における色相が互いに異なる色素を形成するカプラー
を含有する感光性層群を用いる方法、及び被写体側から
ストライプまたはモザイク状の色分解カラーフィルタ配
列層、次に可視光全体に感色性を有する感光性層の順に
構成する方法がある。いずれの態様を用いた場合でも、
記録された画像情報を各層より純粋に読み出すために、
輝度情報と色情報記録層の各形成画像が独立して読み出
されるよう、輝度情報記録層の形成画像と、色情報記録
層の形成画像とが互いに異なる色相の発色画像になるよ
う設計する、すなわち、前記ハロゲン化銀カラー写真感
光材料の輝度情報記録層と色情報記録層の各々におい
て、発色現像主薬の酸化物と反応してお互いに異なる分
光吸収形状の色素を形成するカプラーを含有させる必要
があった。
【0020】例えば、色情報記録層として、青色感光性
層、緑色感光性層、赤色感光性層を有する場合には、イ
エローカプラー、マゼンタカプラー、シアンカプラーに
加えて、輝度情報記録層に赤外波長に吸収を有するカプ
ラー(以下、「赤外カプラー」とも称す)の計4種類の
カプラーを含有させる。一方、前記ストライプまたはモ
ザイク状の色分解カラーフィルタ配列層を採用した場合
においても、RGBの3原色に被写体情報を色分解する
ために、黄、緑、マゼンタおよびシアンまたは、黄、
緑、シアン或いは、黄、マゼンタ、シアン等のフィルタ
を配列したり、あるいは赤、緑、青の3色のフィルタを
配列させ、輝度情報記録層に赤外カプラーを含有させな
くてはならなかった。
【0021】人間の眼の視覚特性に従って、より正確に
被写体情報を記録するのに適した写真要素を提供する為
に、感光要素に求められる機能は以下の3点にまとめら
れる。 1.カラーネガフィルムの分光感度特性において、人間
の眼の環境光に対する分光視感効率の波長シフト(薄明
視、プルキニエ現象)を模倣すること。すなわち低照度
撮影条件における短波長側明度に対する感度を増加させ
ること。 2.カラーネガフィルムの分光感度特性において、人間
の眼の環境光に対する分光視感効率の強度変化(暗順
応)を模倣すること。すなわち低照度撮影条件における
色弁別能を低下させ、明度に対する感度を増大させるこ
と。 3.カラーネガフィルムの分光感度特性を等色関数へ近
づけること。
【0022】上記3.に関しては、特開2000−31
0840号に記載の色情報記録層を従来のカラー写真感
光材料の層構成と同様に、青色感光性層、緑色感光性
層、赤色感光性層に、各々発色現像主薬の酸化物と反応
して、現像処理後における色相が互いに異なる色素を形
成するカプラーを含有する感光性層群を用いる態様にお
いて、前記、青色感光性層、緑色感光性層、赤色感光性
層の分光感度分布の等色関数への近似により達成出来
る。
【0023】また、前述のようにコンベンショナル感材
の分光感度特性の等色関数近似については、ソウインス
キーらによる特開2000−56437号に記載されて
いる。
【0024】しかしながら、1.2については、特開2
000−310840号に記載の輝度情報層を用いる以
外の方法は知られていない。
【0025】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の課題
はデジタル画像データを得る為の撮影用ハロゲン化銀カ
ラー写真感光材料への上記1.2.の機能(低照度撮影
条件における短波長側明度に対する感度を増加させるま
たは低照度撮影条件における色弁別能を低下させ、明度
に対する感度を増大させること)の付与を、コンベンシ
ョナル感材と異なった感色性層の付与、すなわち特開2
000−310840号に記載の輝度情報層の付与、及
び設計を行うことなく実現すること、該感光材料を用い
た撮影方法、及び該感光材料に形成される画像情報から
それを用いて人間の眼の視覚特性を模倣したデジタルカ
ラー画像を作成する方法を得ることにある。
【0026】
【課題を解決するための手段】本発明の上記目的は、以
下の手段により達成される。
【0027】1.支持体の一方の側に、それぞれ少なく
とも1層の青色感光性層、緑色感光性層、赤色感光性層
及び非感光性層からなる写真構成層を有するハロゲン化
銀カラー写真感光材料において、該緑色感光性層が感度
の異なる2層以上からなり、該緑色感光性層の中で最高
感度を有する層の分光感度極大波長が、555nmより
短波長側に位置することを特徴とするハロゲン化銀カラ
ー写真感光材料。
【0028】2.支持体の一方の側に、それぞれ少なく
とも1層の青色感光性層、緑色感光性層、赤色感光性層
及び非感光性層からなる写真構成層を有するハロゲン化
銀カラー写真感光材料において、該緑色感光性層が感度
の異なる2層以上からなり、該緑色感光性層の中で最高
感度を有する層の分光感度極大波長が、最高感度を有す
る層以外の緑色感光性層の分光感度極大波長よりも短波
長側に位置することを特徴とするハロゲン化銀カラー写
真感光材料。
【0029】3.支持体の一方の側に、それぞれ少なく
とも1層の青色感光性層、緑色感光性層、赤色感光性層
及び非感光性層からなる写真構成層を有するハロゲン化
銀カラー写真感光材料において、該緑色感光性層が感度
の異なる2層以上からなり、該緑色感光性層の中で最高
感度を有する層の分光感度極大波長が、555nmより
短波長側に位置し、かつ、該緑色感光性層の中で最高感
度を有する層の分光感度極大波長が、最高感度を有する
層以外の緑色感光性層の分光感度極大波長よりも短波長
側に位置することを特徴とするハロゲン化銀カラー写真
感光材料。
【0030】4.支持体の一方の側に、それぞれ少なく
とも1層の青色感光性層、緑色感光性層、赤色感光性層
及び非感光性層からなる写真構成層を有するハロゲン化
銀カラー写真感光材料において、該緑色感光性層の感度
が、該青色感光性層、該赤色感光性層のそれぞれの感度
よりも高いことを特徴とするハロゲン化銀カラー写真感
光材料。
【0031】5.支持体の一方の側に、それぞれ少なく
とも1層の青色感光性層、緑色感光性層、赤色感光性層
及び非感光性層からなる写真構成層を有するハロゲン化
銀カラー写真感光材料において、該緑色感光性層が感度
の異なる2層以上からなり、該緑色感光性層の中で最高
感度を有する層の分光感度極大波長が、555nmより
短波長側に位置し、かつ、該緑色感光性層の感度が、該
青色感光性層、該赤色感光性層のそれぞれの感度よりも
高いことを特徴とするハロゲン化銀カラー写真感光材
料。
【0032】6.支持体の一方の側に、それぞれ少なく
とも1層の青色感光性層、緑色感光性層、赤色感光性層
及び非感光性層からなる写真構成層を有するハロゲン化
銀カラー写真感光材料において、該緑色感光性層が感度
の異なる2層以上からなり、該緑色感光性層の中で最高
感度を有する層の分光感度極大波長が、最高感度を有す
る層以外の緑色感光性層の分光感度極大波長よりも短波
長側に位置し、かつ、該緑色感光性層の感度が、該青色
感光性層、該赤色感光性層のそれぞれの感度よりも高い
ことを特徴とするハロゲン化銀カラー写真感光材料。
【0033】7.支持体の一方の側に、それぞれ少なく
とも1層の青色感光性層、緑色感光性層、赤色感光性層
及び非感光性層からなる写真構成層を有するハロゲン化
銀カラー写真感光材料において、該緑色感光性層が感度
の異なる2層以上からなり、該緑色感光性層の中で最高
感度を有する層の分光感度極大波長が555nmより短
波長側に位置し、該緑色感光性層の中で最高感度を有す
る層の分光感度極大波長が、最高感度を有する層以外の
緑色感光性層の分光感度極大波長よりも短波長側に位置
し、更に、該緑色感光性層の感度が、該青色感光性層、
該赤色感光性層のそれぞれの感度よりも高いことを特徴
とするハロゲン化銀カラー写真感光材料。
【0034】8.前記感度が、前記ハロゲン化銀カラー
写真感光材料の青色感光性層、緑色感光性層及び赤色感
光性層の各々の濃度対logEの特性曲線の最低濃度
(Dmin)+0.1の点に対応する露光量の逆数で表
され、かつ、緑色感光性層の感度が、青色感光性層、赤
色感光性層のそれぞれの感度よりも高いことを特徴とす
る前記4〜7のいずれか1項に記載のハロゲン化銀カラ
ー写真感光材料。
【0035】9.赤色感光性層の分光感度極大波長が6
20nm以下にあることを特徴とする前記1〜8のいず
れか1項に記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料。
【0036】10.前記1〜9のいずれか1項に記載の
ハロゲン化銀カラー写真感光材料を露光量調整機能を有
さない撮影カメラに装填して撮影することを特徴とする
撮影方法。
【0037】11.前記1〜9のいずれか1項に記載の
ハロゲン化銀カラー写真感光材料を現像処理し、顕在化
した色素画像情報をフィルムスキャナを用いて読み取っ
た後、演算処理を施すことにより人間の眼の視覚特性に
近似させた画像情報を得ることを特徴とするデジタル画
像作成方法。
【0038】以下、本発明について、詳細に説明する。
撮影用のハロゲン化銀カラー写真感光材料においては、
支持体の一方の側に、それぞれ少なくとも1層の青色感
光性層、緑色感光性層、赤色感光性層及び非感光性層か
らなる写真構成層を有しており、それぞれの感光性層は
通常、低露光域から光露光域まで露光のラチチュードを
もたせるために、高感度層及び低感度層からなる2層、
或いは高感度層、中感度層及び低感度層からなる3層等
複数の感光性ハロゲン化銀乳剤層等から構成されてい
る。
【0039】同一の感色性を有する感度の異なる感光性
層は、分光感度特性が完全に一致する必要はないが、ほ
ぼ、実質的に同一の感色性を有しているのが普通であ
る。これらの各感光性層には通常と同様に各感光性層と
組み合わされてカプラーが含有され、発色現像によりそ
れぞれカラー像を形成する構成となっている。
【0040】本発明においては、これら撮影用のハロゲ
ン化銀カラー写真感光材料において、低照度撮影条件下
での見え等に対して人間の眼の視覚特性に近似させるた
めにこれらの同一の感色性を有する感度の異なった層の
感度を調整するものである。
【0041】請求項1に記載の本発明に係わるハロゲン
化銀カラー写真感光材料においては、人間の眼の視覚特
性である分光視感効率の波長シフト(薄明視、プルキニ
エ現象)を再現する為に、低照度撮影条件下における写
真フィルムの感色性を調整することを目的としたもので
ある。
【0042】人間の眼の明暗に対する暗所視における比
視感度のピーク波長〔V′(λ)〕はおよそ507nm
であり、明所視における比視感度のピーク波長〔V
(λ)〕はおよそ555nmである。この比視感度のピ
ーク波長の変化は薄明視(プルキニエ現象)と呼ばれ、
明所視から暗所視へ移行する際、暖色系が暗くなるにつ
れ見えにくくなり、寒色系がよく見えるようになる視覚
特性をもたらす。
【0043】写真フィルムの緑色感光性層の分光感度特
性は、被写体の明度情報に近いため、低照度条件化で主
に作用する緑色感光性層の中で最高感度を有する層を、
暗所視における比視感度(かん状体細胞の分光感度特
性)に近づけることにより、薄明視(プルキニエ現象)
に近い見えやすい色の状態を記録することが可能とな
る。
【0044】その為に請求項1に記載のように、緑色感
光性層中の最高感度を有する層の最大分光感度極大波長
は、555nmより短波側に位置すること、より好まし
くは530nm、更に好ましくは510nmより短波側
に位置するよう設計する。
【0045】緑色感光性層中の最高感度層は撮影露光条
件が適正である場合においても、低明度の被写体の色情
報記録に重要な役割を果たしている。このため緑色感光
性層中で最高感度を有する層を本発明のように極端に短
波化した場合、従来の印画紙への投影露光方式では色再
現上過度の弊害を生じてしまう可能性があった。具体的
には短波長側の反射光成分に対する感度が増すことによ
り、余計な緑色成分情報が寒色系の色に混色し、色相が
シアンよりにシフトしてしまう現象が起きる。そこで、
請求項11に記載のように所定の演算処理を施すことに
よって、前記弊害を抑制する必要がある。
【0046】演算処理は、以下の2つに分けられる。 1.青色成分情報の緑色成分情報からの減算処理(色濁
り補正)。 2.低照度撮影条件シーンの彩度調整。
【0047】上記1.は以下に示す行列式により演算処
理することが出来る。
【0048】
【数1】
【0049】上記2.はフィルムの平均濃度から撮影条
件を推定し、推定した撮影条件と再現画像の彩度との間
に相関テーブルを規定することで演算処理することが出
来る。薄明視(プルキニエ現象)における寒色系がよく
見えるようになる視覚特性とは主に明度情報に関してで
あり、色弁別能はかなり低下した状態にある。従って、
低照度撮影条件下では、上記1.の色濁り補正が不要な
程度にまで彩度を低下させても差し支えないし、またそ
れを1つの特徴とすることが出来る。
【0050】請求項2に記載の本発明に係わるハロゲン
化銀カラー写真感光材料においては、緑色感光性層の中
で最高感度を有する層の分光感度極大波長が、最高感度
を有する層以外の緑色感光性層の分光感度極大波長より
も短波長側に位置することを特徴とする。即ち、緑色感
光性層の最高感度層以外の分光感度極大波長は最高感度
層の分光感度極大波長よりも長波長側にすることが好ま
しく、好ましい態様においては、緑色感光性層中の最高
感度層の分光感度極大波長が、530nm以下であり、
緑色感光性層の最高感度層以外の分光感度極大波長はこ
の最高感度層の分光感度極大波長よりも大きくすること
が好ましい。
【0051】請求項3に記載の本発明に係わるハロゲン
化銀カラー写真感光材料は、前記請求項1及び2を組合
せたものであり、好ましい態様を示している。即ち、緑
色感光性層の中で最高感度を有する層の分光感度極大波
長が555nmより短波長側に位置し、かつ、前記のよ
うに緑色感光性層の中で最高感度を有する層の分光感度
極大波長が最も短波長側に位置することによって、より
効果的に本発明の目的を達成することが出来る。
【0052】図1にこの様な感光材料の、干渉フィルタ
を用いて単色光(400〜700nm)に対する応答を
記録した分光感度曲線を示した。前記のように緑色感光
性層中の最高感度層の分光感度ピークをその他の構成層
よりも短波側にすることで、緑色感光性層(G)におい
て、低濃度域での分光感度ピーク(Dmin+0.2)
が高濃度域での分光感度ピーク(Dmin+0.7)に
比べ短波長側になっており、青色感光性層(B)、赤色
感光性層(R)においてはそれ程変わっていないことが
わかる。ちなみに、後述するが、この図においては、請
求項9において説明する様に、人間の眼の視覚特性を表
す等色関数に近似させるため赤色感光性層の分光感度極
大波長を通常より短波に設定している(略600n
m)。
【0053】請求項4に記載の本発明に係わるハロゲン
化銀カラー写真感光材料においては、人間の眼の視覚特
性である分光視感効率の強度変化(暗順応)を再現する
為に、低照度撮影条件下における写真フィルムの感度を
調整することを目的としたものである。
【0054】本発明に係わるハロゲン化銀カラー写真感
光材料の緑色感光性層、青色感光性層及び赤色感光性層
における感度とは、本発明に係わるハロゲン化銀カラー
写真感光材料をステータスMの条件で露光したときの各
々の感光性層の最低濃度、即ち、露光現像後のブルー、
グリーン、レッド濃度を測定し各々の濃度対logEで
表される特性曲線を作成したとき、特性曲線上で、ブル
ー、グリーン、レッド各最低濃度値にそれぞれΔD(例
えば0.1、0.3等、0.05〜0.5の範囲で目的
により一番適当な濃度値が使用される)という濃度値だ
け高い濃度を与える露光量の逆数で表す。各濃度とも同
じ値だけ最低濃度よりも高い露光量を比べる必要があ
る。本発明においては、最低濃度値(Dmin)に対し
ΔD=0.1だけ高い濃度値を得る露光量の逆数を感度
として用いるのが特性曲線の足元の感度を一番反映する
ので好ましい。
【0055】図2の特性曲線においてこれを示す。各ブ
ルー(B)、グリーン(G)、レッド(R)のそれぞれ
の特性曲線とΔD、それぞれの感度SB,SG,SRの
関係を示す。
【0056】前記プルキニエ現象においては、光を感じ
る最小の輝きが、暗所視への移行開始からおよそ7分後
には10-2rlx程度であったのが、30分後には10
-5rlxまで減少する変化(比視感度が増大に転じる現
象)が生じる。この暗順応と称されるかん状体細胞の順
応の終了期には、明暗にのみ高い感度を示す状態にあ
り、もはや色弁別能は有さない。感色性を犠牲にして、
モノクロでも感度を優先する合理的な機能といえる。
【0057】写真フィルムの緑色感光性層の分光感度特
性は、被写体の明度情報に近いため、低照度条件下で主
に作用するよう、緑色感光性層の感度のみを増大させる
ことにより、暗所視における視覚特性に近い状態を記録
することが可能となる。
【0058】請求項4に記載のように、緑色感光性層の
感度は、緑色感光性層、赤色感光性層のそれぞれに対
し、少なくともΔlogEで0.1、好ましくは0.
2、より好ましくは0.3高く設計する。
【0059】緑色感光性層は撮影露光条件が適正である
場合においても、低明度の被写体の色情報記録に重要な
役割を果たしている。このため緑色感光性層のみの感度
を本発明のように高くした場合、従来の印画紙への投影
露光方式では色再現上過度の弊害を生じてしまう可能性
があった。具体的には、被写体の低反射率の部分(シャ
ドー)が緑色を呈してしまう現象(シャドーグリーン)
が起きる。そこで、請求項11に記載のように所定の演
算処理を施すことによって、前記弊害を抑制する必要が
ある。
【0060】これら演算処理は、以下の2つに分けられ
る。 3.緑色感光性層のみがとらえることの出来る露光領域
に相当する画像領域の抽出。 4.上記抽出した領域のグレー(無彩色)化、又はブレ
ンド量の調整。
【0061】上記3.は所定のフィルム濃度を検出する
機能と、前記フィルム濃度を予め規定しておく機能をス
キャナ装置、又はスキャナ装置を有するシステムに付与
すれば良い。
【0062】上記4.に記載のグレー(無彩色)化は、
画像をRGB情報からLab情報に変換し、上記抽出し
た領域を明度情報であるLに加算する処理を例に挙げる
ことが出来る。またブレンド量の調整とは、前記Lに加
算する比率を所望の値に調整することである。
【0063】請求項5に記載の本発明に係わるハロゲン
化銀カラー写真感光材料は、請求項1、及び4を組み合
わせたものであり、人間の眼の視覚特性である分光視感
効率の波長シフト(薄明視、プルキニエ現象)と、強度
変化(暗順応)を同時に再現する為に、低照度撮影条件
下における写真フィルムの感色性と感度を同時に調整す
ることを目的としたものである。
【0064】従来の印画紙への投影露光方式で生じてし
まう色再現上の弊害については、前記請求項1、及び2
の各詳細な説明に記した通りであり、請求項11に記載
のように所定の演算処理(上記1.〜4.)を施す必要
がある。
【0065】請求項6に記載したようにハロゲン化銀カ
ラー写真感光材料は前記請求項2における、緑色感光性
層の中で最高感度を有する層の分光感度極大波長が最も
短波長側に位置するということ及び前記請求項4に記載
の本発明に係わるハロゲン化銀カラー写真感光材料にお
いて説明した緑色感光性層の感度が、青色感光性層、赤
色感光性層のそれぞれの感度よりも高いことという両方
を満たすことが好ましい。
【0066】また更に、請求項7に記載の如く、最も好
ましいのは、少なくとも1つの青色感光性層、緑色感光
性層、赤色感光性層及び非感光性層からなる写真構成層
を有するハロゲン化銀カラー写真感光材料において、緑
色感光性層の中で最高感度を有する層の分光感度極大波
長が555nmより短波長側に位置し、又緑色感光性層
の中で最高感度を有する層の分光感度極大波長が最も短
波長側に位置し、更に、緑色感光性層の感度が、青色感
光性層、赤色感光性層のそれぞれの感度よりも高いこと
を特徴とするハロゲン化銀カラー写真感光材料である。
具体的には、緑色感光性層の感度は、青色感光性層、赤
色感光性層のそれぞれの感度よりもΔlogEで少なく
とも0.1高いことが好ましく、より好ましくは0.
2、更に好ましくは0.3高く設計する。
【0067】本発明において、請求項8に記載のよう
に、請求項4,5,6、7に記載の感光材料の感度は、
前記のように濃度対logEの特性曲線において(Dm
in)+0.1の値に対する露光量の逆数で算出するこ
とが望ましい。
【0068】本発明においては、請求項9に記載のよう
に、赤色感光性層の(最大)分光感度ピークが620n
m以下にあることが好ましく、請求項1,4及び5等に
記載した感光材料の分光感度特性は、人間の眼の視覚特
性を表す等色関数に近似させることが望ましい。赤色感
光性層の分光感度極大波長は上記の範囲のうち、更に好
ましいのは630nm未満、最も好ましくは610nm
以下にすることであり、また、前記のように緑色感光性
層の最高感度層の分光感度極大波長は最高感度層以外の
分光感度ピークに比べ最も短波長側に位置することが好
ましく、最高感度層以外の分光感度極大波長は530n
m以上とすることが好ましく、更に好ましくは550n
m以上である。
【0069】尚、特開2000−275795号に記載
のように、赤色感光性層のうちの最高感度を有する層の
分光感度極大波長を、最高感度を有する層以外の赤色感
光性層の分光感度極大波長よりも10nm以上長波長と
するなど、感度の異なる層毎に分光感度極大波長が異な
っていてもよい。
【0070】反射又は透過した光が眼に届くことによっ
て見えるような物体色は光源の影響を受ける。従って測
色する場合、用いる観察光源を標準光源(A,C)や常
用光源(D65など)にし、明記する必要があった。こ
れと同様、写真フィルムの分光感度を等色関数に近似さ
せ、表色系を構築しておけば、撮影時の環境光の性質
(色温度、蛍光灯やストロボなどの人工的異種光源)に
よる影響は、接写装置による複写やデジタルフィルムレ
コーダなどによる露光撮影も含め人間の眼で見た状態に
近似する。従って、従来のような撮影時の環境光の悪影
響を補正する負荷が大幅に軽減されることは言うまでも
ない。
【0071】等色関数には、2度視野のCIE1931
測色標準観測者と10度視野のCIE1964補助測色
標準観測者とがあり、例えば後者を用いたものをX10
10 10表色系という。本発明においては分光感度特性を
完全に等色関数に近似させることは難しく、従って、設
計した分光感度分布形状に併せ、独自の表色系を構築す
る必要がある。つまり請求項11に記載したように所定
の演算処理が必要であり、具体的には最適化された表色
系を用いた、例えばsRGB空間などへの色座標変換で
ある。
【0072】また請求項10に記載のように、請求項1
〜9に記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料は、露光
量調整機能(シャッタースピード、絞り可変機能)を有
さない撮影カメラ、例えばシングルユースカメラと称さ
れる使い切りタイプのカメラ(コニカ社製の絞り調整機
構付きタイプを除く)に装填して用いることが望まし
い。なおストロボ機構も具備しないカメラとすることが
望ましい。
【0073】請求項1〜9に記載の本発明に係わるハロ
ゲン化銀カラー写真感光材料はスキャナ読み取りを前提
とした専用フィルムである為、光学系を介して直接カラ
ーペーパーに画像投影してカラープリントを作成する為
に必要であった従来のフィルム構成要素、及び現像処理
プロセスに関しては簡略化し、スキャナ読み取り適性を
向上させることが望ましい。
【0074】スキャナ読み取り時に用いる画像入力媒体
であるCCDは通常短波側程感度が低い。また読み取り
時に用いる光源の一つであるハロゲンランプは、短波側
程強度が低下する。
【0075】前記CCDの感度低下と光源強度の低下
は、結果としてS/N比の低下、具体的にはノイズの増
加を招く。
【0076】また、本発明の感光材料の処理プロセスに
おいて、発色現像処理のみを施し、現像銀、ハロゲン化
銀、イエローカットフィルタ色素等が残留する状態で終
了させた場合、前記残留するハロゲン化銀、ならびにイ
エローカットフィルタ色素は、短波側程高濃度である
為、上記S/Nの低下はより深刻なものとなる。
【0077】対策として、本発明の感光材料において
は、現像処理後の濃度(特に短波長領域側)が低くなる
よう設計する。具体的には、未露光部の濃度(Dmi
n)を低くなるように設計することと、感色性層(特に
青色感光性層)のLogE対濃度で表される特性曲線上
のγを低く設定することが挙げられる。γは0.6以
下、好ましくは0.5以下、より好ましくは0.4以下
に設定するのが好ましい。
【0078】本発明において、緑色感光性層の感度を赤
色感光性層及び青色感光性層に対し極端に高くした場
合、オーバー撮影条件になりやすい。広い露光域を確保
するためにも、γは低く設定するのが好ましい。
【0079】未露光部の濃度(Dmin)を低くする設
計手段としては、カラードカプラーを用いないこと、消
色性のイエローフィルタ層を用いること等が例として挙
げられる。
【0080】カラードカプラーは、現像処理により生成
される色素の副吸収分を補正する為に予め添加されてい
るものである。副吸収による濁り成分は、色素の発色濃
度との間の相関を利用して、演算処理により補正するこ
とが可能であるので本発明に係わるハロゲン化銀カラー
写真感光材料においては不要である。
【0081】青色感光性層におけるLogE対濃度(特
性曲線)のγを低く設定することは、前記残留する現像
銀量を下げ、結果として現像処理後の短波側の濃度が低
くすることに寄与する。
【0082】本発明の感光材料には、現像抑制剤放出型
カプラーもまた含まないことが望ましい。従来、人の色
に対する記憶色の傾向は、肌色を除き、高彩度、高明度
があった為、現像抑制剤放出型カプラーによるインター
イメージ効果(色強調効果)が色再現上重要な技術であ
った。現像抑制剤放出型カプラーはまた、現像処理工程
においてエッジ強調効果をもたらし、鮮鋭感が向上され
好ましかった。しかしながら、スキャナ読み取りを前提
とした場合には、これらの色強調、ならびにエッジ強調
効果は読みとった画像データを画像処理することにより
同様の効果が得られる。忠実な色再現を構築する上で
も、インターイメージ効果分の補正に伴なう演算時間、
誤差を低減出来る。
【0083】本発明のように、緑色感光性層の最高感度
層の分光感度極大波長を短波化すること、及び緑色感光
性層の高感度化を達成することは、本来スキャナ読みと
り専用の写真フィルムでなくとも理想とするところであ
り、ハロゲン化銀乳剤自体の高感度化が必須である。高
感度化は粒状性とは相反する特性であるので、当然粒状
の劣化が懸念される。しかしながら、本発明のようにス
キャナ読みとり専用のフィルムとすることにより、粒状
性の改良手段を画像処理(平滑化処理)に求めることが
出来るため、緑色感光性層の最高感度層の分光感度極大
波長を短波化する負荷が軽減される。また、粒状性に
は、緑色感光性層で生成されるマゼンタ色素が最も関与
しており、赤色感光性層、及び青色感光性層も緑色感光
性層と同じ性能の乳剤を用いても大差はないが、超アン
ダー撮影条件下での彩度を軽視したことにより、赤色感
光性層、及び青色感光性層の乳剤調製負荷、平滑化処理
に伴う低周波のカラーノイズ発生の抑制、及び演算負荷
の軽減の可能性も生じている。
【0084】本発明に係わるハロゲン化銀カラー写真感
光材料においては、前述したが、少なくとも1つの青色
感光性層、緑色感光性層、赤色感光性層及び非感光性層
からなる写真構成層を有しているが、通常、それぞれの
感色性層は、高感度層及び低感度層からなる2層、或い
は高感度層、中感度層及び低感度層からなる3層等、複
数の感光性ハロゲン化銀乳剤層から構成されており、且
つ、高感度層、中感度層、低感度層の各々の単位面積当
たりの使用銀量は、感度が高い層ほど通常多い。
【0085】本発明において用いられる感光性層とは、
一般的な赤色感光性層、緑色感光性層、青色感光性層等
をさし、これらの各構成層の分光感度が前記のような関
係にあることが本発明においては重要である。
【0086】同一感色性を有するが、感度は異なる、高
感度層、中感度層、低感度層からなる3層の感光性ハロ
ゲン化銀乳剤層の各々の銀量差を、3層の総銀量に対す
る比率で表したときに、高感度層と中感度層、中感度層
と低感度層の銀量差は比率にして各々、2〜40%の範
囲にあることが望ましく、より好ましくは5〜30%で
ある。
【0087】以下本発明のハロゲン化銀カラー写真感光
材料に用いられるハロゲン化銀乳剤、各種添加剤、本発
明のハロゲン化銀カラー写真感光材料の層・構成等につ
いては、以下に記載されているものを用いることが出来
る。
【0088】本発明の各層に用いるハロゲン化銀乳剤
は、リサーチ・ディスクロージャ(RDと標記する)3
08119に記載されているものを用いることができ
る。以下に記載箇所を示す。
【0089】 〔項目〕 RD308119の頁 ヨード組織 993I−A項 製造方法 993I−A項及び994E項 晶癖 正常晶 994E項 晶癖 双晶 994E項 エピタキシャル 994E項 ハロゲン組成 一様 993I−B項 ハロゲン組成 一様でない 993I−B項 ハロゲンコンバージョン 994I−C項 ハロゲン置換 994I−C項 金属含有 995I−D項 単分散 995I−F項 溶媒添加 995I−F項 潜像形成位置 表面 995I−G項 潜像形成位置 内面 995I−G項 適用感材 ネガ 995I−H項 適用感材 ポジ(内部かぶり粒子含) 995I−H項 乳剤を混合して用いる 995I−I項 脱塩 995II−A項 本発明において、ハロゲン化銀乳剤は、物理熟成、化学
熟成及び分光増感を行ったものを使用する。このような
工程で使用される添加剤は、RD17643、1871
6及び308119に記載されている。以下に記載箇所
を示す。
【0090】 [項目] RD308119の頁 RD17643 RD18716 化学増感剤 996III−A項 23 648 分光増感剤 996IV−A〜J項 23〜24 648〜9 強色増感剤 996IV−A−E,J項 23〜24 648〜9 かぶり防止剤 998VI 24〜25 649 安定剤 998VI 24〜25 649 本発明に用いられるハロゲン化銀乳剤層に用いられる公
知の写真用添加剤も上記RDに記載されている。以下に
関連のある記載箇所を示す。
【0091】 [項目] RD308119の頁 RD17643 RD18716 色濁り防止剤 1002 VII−I項 25 650 色素画像安定剤 1001 VII−J項 25 増白剤 998V 24 紫外線吸収剤 1003VIII−C,XIIIC項 25〜26 光吸収剤 1003VIII 25〜26 光散乱剤 1003VIII フィルタ染料 1003VIII 25〜26 バインダ 1003IX 26 651 スタチック防止剤 1006XIII 27 650 硬膜剤 1004X 26 651 可塑剤 1006XII 27 650 潤滑剤 1006XII 27 650 マット剤 1007XVI 現像剤 1011XXB項 (感材中に含有)ハロゲン化銀乳剤層には種々のカプラ
ーを使用することができ、その具体例は、上記RDに記
載されている。以下に関連ある記載箇所を示す。 [項目] RD308119の頁 RD17643 イエローカプラー 1001VII−D項 VIIC−G項 マゼンタカプラー 1001VII−D項 VIIC−G項 シアンカプラー 1001VII−D項 VIIC−G項 カラードカプラー 1002VII−G項 VIIG項 DIRカプラー 1001VII−F項 VIIF項 BARカプラー 1002VII−F項 その他の有用残基放出カプラー 1001VII−F項 アルカリ可溶カプラー 1001VII−E項 本発明の撮影用ハロゲン化銀カラー写真感光材料への添
加剤としては、RD308119XIVに記載されている
分散法などにより、添加することができる。
【0092】本発明の撮影用ハロゲン化銀カラー写真感
光材料には、前述RD308119VII−K項に記載さ
れているフィルタ層や中間層等の補助層を設けることが
できる。
【0093】本発明の撮影用ハロゲン化銀カラー写真感
光材料は、前述RD308119VII−K項に記載され
ている順層、逆層、ユニット構成等の様々な層・構成を
とることができる。
【0094】本発明の撮影用ハロゲン化銀カラー写真感
光材料は前述RD17643、28〜29頁、RD18
716、647頁及びRD308119のXIXに記載さ
れた通常の方法によって、現像処理することができる。
【0095】本発明の感光材料を撮影に用いるには、通
常フィルムパトローネに装填する。パトローネとして
は、主材料は金属でもポリスチレン、ポリエチレン、ポ
リプロピレン、ポリフェニルエーテルなど合成プラスチ
ックでもよい。プラスチックパトローネは、遮光性を付
与するためにカーボンブラックや顔料、更に帯電防止剤
などを練り込んだプラスチックを使って製作される。
【0096】パトローネのサイズは現在135サイズの
ままでもよいし、カメラの小型化には、現在の135サ
イズの25mmのカートリッジの径を22mm以下とす
ることも有効である。
【0097】更にスプールを回転してフィルムを送り出
すパトローネでもよい。またフィルム先端がパトローネ
本体内に収納され、スプール軸をフィルム送り出し方向
に回転させることによってフィルム先端をパトローネの
ポート部から外部に送り出す構造でもよい。これらは米
国特許第4,834,306号、同第5,226,61
3号に開示されている。
【0098】また、本発明の感光材料は一般に市販され
ているレンズ付きフィルムユニットに装填して用いるこ
とができる。また本発明の感光材料は、特願平10−1
58427号、同10−170624号、同10−18
8984号明細書に記載のレンズ付きフィルムユニット
に装填して好ましく用いることができる。
【0099】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明す
るが、本発明の実施態様はこれらに限定されない。
【0100】実施例1 三酢酸セルロースフィルム上に、下記のものを順次塗布
し試料101とした。各成分に対応する数値はg/m2
単位で表した塗布量を示した。またハロゲン化銀および
コロイド銀は金属銀に換算した数値で示した。さらに、
増感色素については同一層のハロゲン化銀1モルに対す
る添加量をモル単位で示した。
【0101】
【表1】
【0102】
【表2】
【0103】
【表3】
【0104】
【表4】
【0105】尚上記組成物の他に、塗布助剤SU−1、
分散助剤SU−2、粘度調整剤V−1、硬膜剤H−1、
H−2、安定剤ST−1、かぶり防止剤AF−1、及び
防腐剤Ase−1を適量添加した。
【0106】試料はマルチスライドホッパー型コーター
で、第1層から第14層までを1回で同時に塗布した。
試料101の塗布銀量は4.70g/m2、写真感度は
ISO450であった。
【0107】上記試料に用いた乳剤は、下記の通りであ
る。尚、平均粒径は立方体に換算した粒径で示した。
【0108】
【表5】
【0109】上記沃臭化銀乳剤は必要に応じてイリジウ
ムを1×10-8〜1×10-4mol/1molAg含有
している。
【0110】上記沃臭化銀乳剤については、前記増感色
素を添加した後、チオ硫酸ナトリウム、塩化金酸、チオ
シアン酸カリウム等を添加し、カブリ−感度の関係が最
適になるように化学増感を施した。また、d、g乳剤に
ついては、前記増感色素を添加した後、チオ硫酸ナトリ
ウム、トリフェニルフォスフィンセレナイド、塩化金
酸、チオシアン酸カリウム等を添加し、カブリ−感度の
関係が最適になるように化学増感を施した。
【0111】試料No.101を作製するのに用いた化
合物を以下に示す。
【0112】
【化1】
【0113】
【化2】
【0114】
【化3】
【0115】
【化4】
【0116】
【化5】
【0117】
【化6】
【0118】
【化7】
【0119】
【化8】
【0120】〈試料102の作製〉次に試料101の構
成を以下のように変更して試料102を作製した。即
ち、第9層(高感度緑感性層)の増感色素(SD−6,
7,9及び11)量を以下のように変更した。
【0121】 SD−6 2.4×10-5 SD−7 4.6×10-5 SD−9 5.8×10-4 SD−11 0.8×10-5 〈試料103の作製〉次に試料101の構成を以下のよ
うに変更して試料103を作製した。即ち、第7,8,
9層の構成を以下のように変化させた。
【0122】
【表6】
【0123】
【化9】
【0124】
【化10】
【0125】〈試料104の作製〉次に試料103の構
成を以下のように変更して試料104を作製した。即
ち、第9層(高感度緑感性層)の増感色素(SD−6,
7,8,9及び10)量を以下のように変更した。
【0126】 SD−6 3.0×10-6 SD−7 1.2×10-5 SD−8 3.3×10-4 SD−9 4.5×10-4 SD−10 1.3×10-5 〈現像〉基準現像処理は以下の通りである。
【0127】 (処理工程) 処理工程 処理時間 処理温度 補充量 発色現像 2分50秒 38±0.3℃ 780ml 漂白 45秒 38±2.0℃ 150ml 定着 1分30秒 38±2.0℃ 830ml 安定 1分 38±5.0℃ 830ml 乾燥 1分 55±5.0℃ − ※補充量は感光材料1m2当たりの値である。
【0128】発色現像液、漂白液、定着液、安定液及び
その補充液は、以下のものを使用した。
【0129】 発色現像液 水 800ml 炭酸カリウム 30g 炭酸水素ナトリウム 2.5g 亜硫酸カリウム 3.0g 臭化ナトリウム 1.3g 沃化カリウム 1.2mg ヒドロキシルアミン硫酸塩 2.5g 塩化ナトリウム 0.6g 4−アミノ−3−メチル−N−エチル−N−(β−ヒドロキシルエチル) アニリン硫酸塩 4.5g ジエチレントリアミン五酢酸 3.0g 水酸化カリウム 1.2g 水を加えて1リットルとし、水酸化カリウムまたは20
%硫酸を用いてpH10.06に調整する。
【0130】 発色現像補充液 水 800ml 炭酸カリウム 35g 炭酸水素ナトリウム 3g 亜硫酸カリウム 5g 臭化ナトリウム 0.4g ヒドロキシルアミン硫酸塩 3.1g 4−アミノ−3−メチル−N−エチル−N−(β−ヒドロキシルエチル) アニリン硫酸塩 6.3g 水酸化カリウム 2g ジエチレントリアミン五酢酸 3.0g 水を加えて1リットルとし、水酸化カリウムまたは20
%を用いてpH10.18に調整する。
【0131】 漂白液 水 700ml 1,3−ジアミノプロパン四酢酸鉄(III)アンモニウム 125g エチレンジアミン四酢酸 2g 硝酸ナトリウム 40g 臭化アンモニウム 150g 氷酢酸 40g 水を加えて1リットルとし、アンモニア水または氷酢酸
を用いてpH4.4に調整する。
【0132】 漂白補充液 水 700ml 1,3−ジアミノプロパン四酢酸鉄(III)アンモニウム 175g エチレンジアミン四酢酸 2g 硝酸ナトリウム 50g 臭化アンモニウム 200g 氷酢酸 56g アンモニア水または氷酢酸を用いてpH4.4に調整後
水を加えて1リットルとする。
【0133】 定着液 水 800ml チオシアン酸アンモニウム 120g チオ硫酸アンモニウム 150g 亜硫酸ナトリウム 15g エチレンジアミン四酢酸 2g アンモニア水または氷酢酸を用いてpH6.2に調整後
水を加えて1リットルとする。
【0134】 定着補充液 水 800ml チオシアン酸アンモニウム 150g チオ硫酸アンモニウム 180g 亜硫酸ナトリウム 20g エチレンジアミン四酢酸 2g アンモニア水または氷酢酸を用いてpH6.5に調整後
水を加えて1リットルとする。
【0135】 安定液及び安定補充液 水 900ml パラオクチルフェニルポリオキシエチレンエーテル(n=10) 2.0g ジメチロール尿素 0.5g ヘキサメチレンテトラミン 0.2g 1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン 0.1g シロキサン(UCC製L−77) 0.1g アンモニア水 0.5ml 水を加えて1リットルとした後、アンモニア水または5
0%硫酸を用いてpH8.5に調整する。
【0136】以上のようにして作製した試料101〜1
04に対し白色光にてウエッジ露光及びスペクトル露光
を行い、上記に示すC−41現像処理を施して、各感光
性層の感度と−2evアンダー露光時の緑色感光性層の
分光感度ピーク波長を求めた。各感光性層の感度は各感
色性層の最低濃度(Dmin)+0.1の濃度を与える
露光量(logE)の逆数(感度)を求め、緑色感光性
層の感度との差分を計算した。表7に感度の差分(Δl
ogE値)とピーク波長の値を示す。
【0137】
【表7】
【0138】〈撮影〉作製した試料101〜104を3
5mmカラーネガフィルムサイズに断裁及びパーフォレ
ーション部の穿孔を行った後、35mmサイズ用のパト
ローネに収納した。さらにそれぞれをレンズ付きフィル
ムカメラのボディーに装填し、人工太陽光源の明るさ条
件を−5、−4、−3、−2、−1EVアンダー適正露
光条件に調整変更しながら、マクベスカラーチェッカ
ー、人物、花、絵画などで構成した被写体の撮影を行っ
た。
【0139】〈読み取り〉作製した現像処理済の試料1
01〜104の各撮影駒を、赤色分解フィルタ(コダッ
ク社製ゼラチンフィルタNo.W26)、緑色分解フィ
ルタ(同No.W99)及び青色分解フィルタ(同N
o.W98)を取り付けたフィルタタレットを白色光源
と試料の間に配置し、順次切り換えながら1000×1
000ピクセルのモノクロCCDを用いて、各試料の
赤、緑、青の各色分解画像情報を得た。
【0140】〈画像処理〉得られた各試料101〜10
4のR,G,B計3個の色分解画像情報に階調反転処理
を施したのち、Adobe社製フォトショップを用いて
R,G,Bの各反転色分解情報を1つのカラーデジタル
画像データに合成する処理を行った。
【0141】(基準銀塩写真プリントの作成)試料10
1の−5EVアンダー〜適正露光条件撮影の計6枚のネ
ガから、コニカ社製アナログプリンタ(NPS858)
を用いて予め−5EVアンダー〜適正露光条件撮影の計
6枚の銀塩写真プリントを作成した。
【0142】〈画像処理A:基準デジタル画像データの
作成〉試料101から読み取った−5EVアンダー〜適
正露光条件撮影の計6個の各デジタル画像データそれぞ
れに対し、前記フォトショップの色調、及び階調補正機
能を用いて、前記予め作成しておいた銀塩写真プリント
と比較して遜色ない画質になるまで近似させる画像処理
Aを施し、基準となるデジタル画像データを作成した。
【0143】なおこの際、前記フォトショップの調整
(補正)内容の記録、再生機能(以下「マクロ機能」と
称す)を用いて、−5EVアンダー〜適正露光条件撮影
の計6個の各デジタル画像データそれぞれで行った一連
の補正処理(画像処理A)が、他のデジタル画像データ
に対しても繰り返し使用出来るように配慮しながら前記
調整処理を施した。
【0144】次いで、試料102、試料103、試料1
04から読み取った−5EVアンダー〜適正露光条件撮
影の計6個の各デジタル画像データに対し、前記マクロ
機能を用いて記録しておいた画像処理A(補正処理)を
施した。
【0145】〈画像処理B:緑色成分情報からの青色成
分情報の減算処理(色濁り補正)〉上記、補正処理を施
した試料102及び104の−5EVアンダー〜適正露
光条件撮影の計6個の各デジタル画像データに対し、以
下に記す画像処理B(色濁り補正、ヒストグラム処理)
を施した。
【0146】画像処理Bには、デジタル画像データを読
み出し、色濁り補正とヒストグラム処理を施した後、結
果を所定のファイル名で自動的に出力する、バッチファ
イルで動作するプログラムを事前に作成し用いた。
【0147】色濁り補正については、下記式中の1個の
係数のみを調整しながら最適値を求めた。ヒストグラム
の平滑化処理は、階調レベル(8bit=256)の最
小値側(0)と最大値側(255)から、それぞれヒス
トグラム分布の画素数の累積度数を計算し、全画素の
0.01%をカウントした階調レベルをヒストグラム分
布の最小値(min)と最大値(max)として検出
し、最小値(min)と最大値(max)をそれぞれ前
記階調レベルの最小値(0)と最大値(255)とする
線形変換とした。
【0148】
【数2】
【0149】xの値を以下に示した。 −5EV:0.00 −4EV:0.02 −3EV:0.03 −2EV:0.05 −1EV:0.08 N :0.12 〈画像処理C:彩度調整〉前記画像処理Bを施した試料
102及び104の−5EVアンダー〜適正露光条件撮
影の計6個の各デジタル画像データに対し、前記フォト
ショップの色調補正機能を用いて、以下の条件で彩度パ
ラメーターを変化させる画像処理C(彩度調整)を施し
た。
【0150】 −5EV:−40 −4EV:−40 −3EV:−20 −2EV:−10 −1EV:0 N :0 〈画像処理D:画像領域の抽出〉次に、前記画像処理A
を施した試料103及び画像処理A〜Cを全て施した1
04の−5EVアンダー〜適正露光条件撮影の計6個の
各デジタル画像データに対し、前記フォトショップのレ
ベル補正機能を用いて、以下の画像処理D(画像領域の
抽出)を施した。
【0151】画像処理Dは、前記レベル補正機能を用い
てほぼ緑色感光性層のみが捕らえることの出来る露光量
域に相当するデジタル画像情報を抽出する処理である。
試料103は緑色感光性層の感度が他の感光性層より高
く、アンダー撮影シーンでは大部分が緑色の被写体とし
て再現されている可能性が高い。そこで試料101に対
し、画像処理Aを施した基準デジタル画像データに近似
するまで、緑成分のヒストグラムの最小値側(0)から
各階調レベルに分布する画素を、入力レベル値をヒスト
グラムの最大値側(255)へ移動させながら排除して
いく(階調レベルを0にしていく)線形変換を行った。
求められた入力レベル値を以下に示す。
【0152】 −5EV:200 −4EV:200 −3EV:180 −2EV:128 −1EV:88 N :34 〈画像処理E:輝度情報への加算〉初めに、輝度情報へ
加算する為のデジタル画像データを準備する。
【0153】前記画像処理A及び画像処理Dを施した試
料103及びすべての画像処理を施した104の−5E
Vアンダー〜適正露光条件撮影の計6個の各デジタル画
像データに対し、画像処理Dで求められたレベル補正機
能の入力レベル値まで、今度は緑成分のヒストグラムの
最大値側(255)から入力レベル値を移動させた後線
形変換を行い、ほぼ緑色感光性層のみが捕らえることの
出来る露光量域に相当するデジタル画像データを抽出す
る処理を行う。
【0154】次に前記画像処理Dを施した試料103及
び104の−5EVアンダー〜適正露光条件撮影の計6
個の各デジタル画像データに対し、前記フォトショップ
のモード機能を用いてRGBからLabへと形式を変換
する。変換した後、前記LabのL情報に対し、前記抽
出した緑色感光性層のみが捕らえることの出来る露光量
域に相当するデジタル画像データを加算して画像処理E
を終了する。
【0155】前記画像処理Aを施した試料104の−5
EVアンダー〜適正露光条件撮影の計6個の各デジタル
画像データに対しては、画像処理B、C、D、Eの順で
全ての処理を前記記載の要領で施した。各試料に対して
行った各画像処理について以下の表8に纏めた。
【0156】
【表8】
【0157】 画像処理A:基準デジタル画像データの作成 画像処理B:色濁り補正 画像処理C:彩度調整 画像処理D:画像領域の抽出 画像処理E:輝度情報への加算 〈評価〉上記、現像処理済の試料101〜104の各撮
影駒から読み取った画像データに画像処理を施した各デ
ジタル画像データを、一定の間隔でランダムにCRT画
面に表示させ、10名のパネラーを対象に5段階の官能
評価を実施した。評価基準、及び各試料グループ毎に集
計した官能評価の平均点の集計結果を以下に示す。な
お、パネラーには実際に撮影場所において、撮影条件と
同じ条件下で撮影シーンを見てもらった直後に官能評価
を実施している。前もって人間の眼の視覚特性を模倣し
た画像処理を施した画像が含まれることに関しては伝え
ていない。
【0158】(評価基準) 5:描写性が大変優れており、好ましい 4:描写性が優れていると感じる 3:普通である 2:好ましくない 1:非常に好ましくない。
【0159】〈結果〉
【0160】
【表9】
【0161】これらの試料101と102〜104との
比較により本発明の効果が確認される。
【0162】
【発明の効果】デジタル画像データを得るための撮影用
ハロゲン化銀カラー写真感光材料及び該感光材料からデ
ジタル画像データを得て人間の眼の視覚特性を模倣した
デジタルカラー画像を作成する方法を得ることができ
た。
【図面の簡単な説明】
【図1】分光感度曲線。
【図2】特性曲線。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H04N 1/46 H04N 1/46 Z

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 支持体の一方の側に、それぞれ少なくと
    も1層の青色感光性層、緑色感光性層、赤色感光性層及
    び非感光性層からなる写真構成層を有するハロゲン化銀
    カラー写真感光材料において、該緑色感光性層が感度の
    異なる2層以上からなり、該緑色感光性層の中で最高感
    度を有する層の分光感度極大波長が、555nmより短
    波長側に位置することを特徴とするハロゲン化銀カラー
    写真感光材料。
  2. 【請求項2】 支持体の一方の側に、それぞれ少なくと
    も1層の青色感光性層、緑色感光性層、赤色感光性層及
    び非感光性層からなる写真構成層を有するハロゲン化銀
    カラー写真感光材料において、該緑色感光性層が感度の
    異なる2層以上からなり、該緑色感光性層の中で最高感
    度を有する層の分光感度極大波長が、最高感度を有する
    層以外の緑色感光性層の分光感度極大波長よりも短波長
    側に位置することを特徴とするハロゲン化銀カラー写真
    感光材料。
  3. 【請求項3】 支持体の一方の側に、それぞれ少なくと
    も1層の青色感光性層、緑色感光性層、赤色感光性層及
    び非感光性層からなる写真構成層を有するハロゲン化銀
    カラー写真感光材料において、該緑色感光性層が感度の
    異なる2層以上からなり、該緑色感光性層の中で最高感
    度を有する層の分光感度極大波長が、555nmより短
    波長側に位置し、かつ、該緑色感光性層の中で最高感度
    を有する層の分光感度極大波長が、最高感度を有する層
    以外の緑色感光性層の分光感度極大波長よりも短波長側
    に位置することを特徴とするハロゲン化銀カラー写真感
    光材料。
  4. 【請求項4】 支持体の一方の側に、それぞれ少なくと
    も1層の青色感光性層、緑色感光性層、赤色感光性層及
    び非感光性層からなる写真構成層を有するハロゲン化銀
    カラー写真感光材料において、該緑色感光性層の感度
    が、該青色感光性層、該赤色感光性層のそれぞれの感度
    よりも高いことを特徴とするハロゲン化銀カラー写真感
    光材料。
  5. 【請求項5】 支持体の一方の側に、それぞれ少なくと
    も1層の青色感光性層、緑色感光性層、赤色感光性層及
    び非感光性層からなる写真構成層を有するハロゲン化銀
    カラー写真感光材料において、該緑色感光性層が感度の
    異なる2層以上からなり、該緑色感光性層の中で最高感
    度を有する層の分光感度極大波長が、555nmより短
    波長側に位置し、かつ、該緑色感光性層の感度が、該青
    色感光性層、該赤色感光性層のそれぞれの感度よりも高
    いことを特徴とするハロゲン化銀カラー写真感光材料。
  6. 【請求項6】 支持体の一方の側に、それぞれ少なくと
    も1層の青色感光性層、緑色感光性層、赤色感光性層及
    び非感光性層からなる写真構成層を有するハロゲン化銀
    カラー写真感光材料において、該緑色感光性層が感度の
    異なる2層以上からなり、該緑色感光性層の中で最高感
    度を有する層の分光感度極大波長が、最高感度を有する
    層以外の緑色感光性層の分光感度極大波長よりも短波長
    側に位置し、かつ、該緑色感光性層の感度が、該青色感
    光性層、該赤色感光性層のそれぞれの感度よりも高いこ
    とを特徴とするハロゲン化銀カラー写真感光材料。
  7. 【請求項7】 支持体の一方の側に、それぞれ少なくと
    も1層の青色感光性層、緑色感光性層、赤色感光性層及
    び非感光性層からなる写真構成層を有するハロゲン化銀
    カラー写真感光材料において、該緑色感光性層が感度の
    異なる2層以上からなり、該緑色感光性層の中で最高感
    度を有する層の分光感度極大波長が555nmより短波
    長側に位置し、該緑色感光性層の中で最高感度を有する
    層の分光感度極大波長が、最高感度を有する層以外の緑
    色感光性層の分光感度極大波長よりも短波長側に位置
    し、更に、該緑色感光性層の感度が、該青色感光性層、
    該赤色感光性層のそれぞれの感度よりも高いことを特徴
    とするハロゲン化銀カラー写真感光材料。
  8. 【請求項8】 前記感度が、前記ハロゲン化銀カラー写
    真感光材料の青色感光性層、緑色感光性層及び赤色感光
    性層の各々の濃度対logEの特性曲線の最低濃度(D
    min)+0.1の点に対応する露光量の逆数で表さ
    れ、かつ、緑色感光性層の感度が、青色感光性層、赤色
    感光性層のそれぞれの感度よりも高いことを特徴とする
    請求項4〜7のいずれか1項に記載のハロゲン化銀カラ
    ー写真感光材料。
  9. 【請求項9】 赤色感光性層の分光感度極大波長が62
    0nm以下にあることを特徴とする請求項1〜8のいず
    れか1項に記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料。
  10. 【請求項10】 請求項1〜9のいずれか1項に記載の
    ハロゲン化銀カラー写真感光材料を露光量調整機能を有
    さない撮影カメラに装填して撮影することを特徴とする
    撮影方法。
  11. 【請求項11】 請求項1〜9のいずれか1項に記載の
    ハロゲン化銀カラー写真感光材料を現像処理し、顕在化
    した色素画像情報をフィルムスキャナを用いて読み取っ
    た後、演算処理を施すことにより人間の眼の視覚特性に
    近似させた画像情報を得ることを特徴とするデジタル画
    像作成方法。
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