JP2002228631A - ガスセンサ及びその製造方法 - Google Patents
ガスセンサ及びその製造方法Info
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Abstract
が発生することを防止して、耐久性の高いガスセンサ及
びその製造方法を提供すること。 【解決手段】 測定ガス室7と外部とを連通する連通孔
19aには、測定ガス室7側より、拡散律速層21aと
被毒防止層22aとが側面を接触して配置されている。
この被毒防止層22aは、リン酸カルシウムを主成分と
し、更にジルコニアを含有している。被毒防止層22a
の上下面側、即ち固体電解質基板3a、5aに接する面
には、被毒防止層22aと固体電解質基板3a、5aと
の接触を防止するために、被毒防止層22aの全面に亘
ってアルミナを主成分とする(即ち高純度のアルミナか
らなる)拡散防止層24a1、24a2が設けられてい
る。
Description
排気ガス中の酸素濃度を測定する酸素センサ等の様に、
測定対象のガスの透過が可能なガス透過気孔などを有す
るガスセンサ及びその製造方法に関するものである。
CO、NOx、HCを軽減するために、排気系に酸素セ
ンサを配置し、この酸素センサの出力に基づいて、エン
ジンに供給する燃料混合気の空燃比を制御している。
ンサとしては、例えば(ジルコニアを主成分とする)固
体電解質体及び電極からなる酸素濃淡電池素子と同様な
酸素ポンプ素子との間に測定ガス室を設けるとともに、
測定ガス室と測定雰囲気との間を連通する連通孔に拡散
律速層を設けた全領域空燃比センサが知られている。こ
の拡散律速層は、多数のガス透過気孔を備えた多孔質層
であり、外部(測定雰囲気側)から測定ガス室内に導入
される検出ガス(排気ガス)の拡散律速を行うものであ
る。
機関に使用される燃料やエンジンオイルの中には、リン
(P)を含むものが存在し、このリンを含む燃料やエン
ジンオイルを使用すると、排気ガス中にはガス状のリン
の微小粒子が一緒に排出される。
ンの微小粒子(飛散成分)は、拡散律速層の表面に付着
すると、そのガス透過気孔に目詰まりが発生するという
問題がある。つまり、酸素センサが適用される排気ガス
の温度は、通常かなり高いので、酸素センサの使用中に
拡散律速層にリンが付着すると、リンと拡散律速層の材
料が反応して、酸素センサの使用時の温度にて液相とな
る物質が生ずることがあり、それによって、リンが反応
したガラス状の物質が拡散律速層の表面等に堆積して、
ガス透過気孔に目詰まりが発生する。この目詰まりが発
生すると、ガスの拡散抵抗が変化するので、空燃比の検
出を精度良く行なうことができない。
気孔率や気孔径を調整する対策が採られているが、必ず
しも十分ではない。そこで、近年では、拡散律速層の外
側(測定雰囲気側)に、リンやカルシウムを含む例えば
リン酸カルシウムからなる被毒防止層を設け、この被毒
防止層により排気ガス中のリンを捕捉(トラップ)する
という技術(例えば特開平10−221287号公報参
照)が提案されている。
ガス中に含まれるリンをトラップして、拡散律速層の目
詰まりをかなり防止できる。しかし、この技術を適用す
る場合、酸素センサを長期間使用しているうちには、被
毒防止層と連通孔の内周壁との間にクラックが発生し、
そのクラックが拡散律速層にまで達して、拡散律速ひい
ては酸素濃度の測定などに悪影響を及ぼすことがあっ
た。
その電極を覆うように被毒を防止する構造体を形成する
ようなセンサにおいても、構造体の上にリン又はカルシ
ウムを含む別の被毒防止層を形成する場合がある。この
被毒防止層を確実にセンサに接続するために、構造体を
介さずに基体に被毒防止層を接合することが望ましい
が、その場合にも、基体と被毒防止層が接合している部
分にクラックが発生し、被毒防止層や構造体の剥離など
を生ずることがあった。
れたものであり、被毒防止部と固体電解質体の基体との
間にクラックが発生することを防止して、耐久性の高い
ガスセンサ及びその製造方法を提供することを目的とす
る。
は、少なくともジルコニアを含む固体電解質体からなる
基体と、測定雰囲気中の検出ガスを検出するように前記
基体上に設けられた検出部と、前記検出部と前記測定雰
囲気の間で、検出ガスが流通可能なガス流通通路の少な
くとも一部を覆い、少なくともリン(P)及び/又はカ
ルシウム(Ca)を含む被毒防止部と、を備えるガスセ
ンサであって、前記被毒防止部が、リン及び/又はカル
シウムの前記固体電解質体への拡散を抑制する拡散防止
部を介して、前記基体に接合していることを特徴とする
ガスセンサを要旨とする。
(例えば酸素などの特定成分の検出やその濃度の測定)
を行うために、ガス流通通路を介して、検出ガスをセン
サの検出部に導入する。また、被毒防止部により、セン
サの測定に影響を及ぼすカーボン等の被毒物質が検出部
(例えばその電極)に到達することを防止する。更に、
この被毒防止部により、検出ガス中のリン(場合によっ
てはカーボン等)をトラップすることによって、(例え
ばリンが被毒防止部の成分と反応することに起因する)
ガス流通通路の目詰まりを防止する。
体との間に設けられた拡散防止部により、被毒防止部側
から固体電解質体側に、リンやカルシウムが拡散するこ
とを防止できる。よって、リンやカルシウムが固体電解
質側へ拡散することによる固体電解質体の表面部の劣化
を防止できるので、固体電解質体と被毒防止部との間に
クラックが発生することを防止できる。
伸び、その結果、検出ガスが直接に検出部にまで到達す
ることによるガスセンサの性能の低下を防止できるの
で、ガスセンサの耐久性が向上する。・前記ガスセンサ
としては、理論空燃比にてその出力が急変する酸素セン
サや、空燃比を全領域にて検出できる全領域空燃比セン
サが挙げられる。
体電解質体からなる基板に一対の電極(例えば基準電極
と測定電極)が設けられたガス検出素子が挙げられる。 (2)請求項2の発明は、前記検出部は、前記測定雰囲
気からガス流通可能に隔離されているガス測定室に面し
ており、前記ガス流通通路は、少なくとも壁の一部が前
記基体により構成された連通孔であり、前記測定雰囲気
から前記連通孔を介して前記ガス測定室に到るガス流通
経路を覆うように、前記被毒防止部が設けられているこ
とを特徴とする前記請求項1に記載のガスセンサを要旨
とする。
側に到るガス流通通路(連通孔)には、被毒防止部が設
けられているので、検出部のリンによる被毒を防止でき
る。 (3)請求項3の発明は、前記検出部は、前記基体表面
上に形成された電極であり、前記電極を覆って前記被毒
防止部が設けられていることを特徴とする前記請求項1
に記載のガスセンサを要旨とする。
けられているので、電極のリンによる被毒を防止でき
る。 (4)請求項4の発明は、前記ガス流通経路の前記被毒
防止部よりも前記検出部の近くには、前記検出ガスの流
通を律速するガス律速部が形成されていることを特徴と
する前記請求項1乃至3のいずれかに記載のガスセンサ
を要旨とする。
くに検出ガスの流通を律速するガス律速部が設けられて
いるので、ガス律速部が目詰まりし難く、長期間にわた
って検出ガスの拡散を適切に律速することができる。ま
た、ガス律速部にまでクラックが到達し難いので、長期
間にわたりガスセンサによる正確な測定(例えば酸素濃
度の測定)を行うことができる。
は、多孔質セラミックスであることを特徴とする前記請
求項4に記載のガスセンサを要旨とする。本発明は、ガ
ス律速部の構成を例示したものである。 (6)請求項6の発明は、前記被毒防止部は、多孔質セ
ラミックスであることを特徴とする前記請求項1乃至5
のいずれかに記載のガスセンサを要旨とする。
のである。 (7)請求項7の発明は、前記拡散防止部の主な材料と
してアルミナを用いることを特徴とする前記請求項1〜
6のいずれかに記載のガスセンサを要旨とする。
印刷工程上、固体電解質体間を絶縁する絶縁層を形成す
る際に、同時に形成できるので都合が良い。 (8)請求項8の発明は、前記拡散防止部中のジルコニ
アとアルミナ以外の含有量は5重量%以下である(即ち
ジルコニア及びアルミナの含有量が95重量%を上回
る)ことを特徴とする前記請求項7に記載のガスセンサ
を要旨とする。
有量が95重量%を上回る材料(例えばアルミナが95
重量%を上回る高純度のアルミナ系材料)で形成するこ
とにより、リンやカルシウムの拡散を防止する効果が大
きい。特に、拡散防止部中のアルミナの含有量は1重量
%以下であると、一部拡散防止効果が大きく好適であ
る。
の厚みは、5〜30μmであることを特徴とする前記請
求項1〜8のいずれかに記載のガスセンサを要旨とす
る。拡散防止部の厚みが5μm以上の場合には、リンや
カルシウムの拡散を防止する効果が高い。一方、拡散防
止部の厚みが30μm以下の場合には、センサの出力性
能に与える影響が小さい。
止部に、リン又はカルシウムと容易に反応する物質を添
加することを特徴とする前記請求項1〜9のいずれかに
記載のガスセンサを要旨とする。拡散防止部にリン又は
カルシウムと容易に反応する物質を含む場合には、その
物質がリンやカルシウムをトラップするので、リンやカ
ルシウムが固体電解質体側に拡散することを防止でき
る。
止部に、前記リン又はカルシウムと容易に反応する物質
を5〜40重量%添加することを特徴とする前記請求項
10に記載のガスセンサを要旨とする。リン又はカルシ
ウムと容易に反応する物質の添加量が5重量%以上の場
合は、リン又はカルシウムをトラップし、固体電解質体
側への拡散を防止する効果が高い。一方、リン又はカル
シウムと容易に反応する物質の添加量を40重量%以下
としたのは、拡散防止部におけるクラックの発生を防止
するためである。
止部に、リン酸カルシウムを含むことを特徴とする前記
請求項1〜11のいずれかに記載のガスセンサを要旨と
する。被毒防止部の材料としては、リン酸カルシウムが
リン等をトラップする能力が高く好適である。特に、C
a/P比が1.0以上のリン酸カルシウムがリン等のト
ラップの能力が高く好適である。
止部に、リン又はカルシウムと容易に反応する物質を添
加することを特徴とする前記請求項1〜12のいずれか
に記載のガスセンサを要旨とする。つまり、被毒防止部
に添加された(リン又はカルシウムと容易に反応する)
物質が、被毒防止部中のリン又はカルシウムをピン止め
トラップすることにより、固体電解質体へのリン又はカ
ルシウムの拡散を防止し、固体電解質体表面の劣化を抑
制できるので好適である。
はカルシウムと容易に反応する物質は、ジルコニアであ
ることを特徴とする前記請求項10、11、又は13に
記載のガスセンサを要旨とする。本発明は、被毒防止リ
ン又はカルシウムと容易に反応する物質として、ジルコ
ニアを例示したものである。
合には、このジルコニア自身がリンやカルシウムをトラ
ップする能力があるので好適である。 (15)請求項15の発明は、前記請求項1〜14のい
ずれかに記載のガスセンサの製造方法であって、前記ガ
スセンサを焼成する場合には、1400〜1470℃の
低温度で焼成を行うことを特徴とするガスセンサの製造
方法を要旨とする。
質体の基体、構造体、被毒防止部、拡散防止部などを焼
成する温度)が1400℃以上の場合には、十分な焼成
が可能である。一方、ガスセンサを焼成する温度が14
70℃以下の場合には、その焼成の際に、被毒防止部か
ら固体電解質体の基体にリンやカルシウムが拡散するこ
とを防止できるので、ガスセンサの耐久性が向上する。
その製造方法の実施の形態の例(実施例)について説明
する。 (実施例1)本実施例のガスセンサは、例えば自動車の
排気系に取り付けられて、検出ガス(排気ガス)中の酸
素濃度(従って空燃比)を測定する酸素センサであり、
特に空燃比を全領域にわたって検出できるいわゆる全領
域空燃比センサである。
状の容器(図示せず)内に、主としてセラミックスから
なる板状のセンサ素子部を配置したものである。図1に
示す様に、このセンサ素子部1は、固体電解質基板3a
の両側に多孔質電極3b,3cを形成した酸素濃淡電池
素子3と、同じく固体電解質基板5aの両側に多孔質電
極5b,5cを形成した酸素ポンプ素子5と、これらの
両素子3,5の間に積層されて測定ガス室7を形成する
スペーサ9とからなる検出部材6を備え、更に、この検
出部材6の酸素ポンプ素子5側の外側に、スペーサ11
により所定間隔を空けて、両素子3,5を加熱するヒー
タ13を備えている。
ルコニア固溶体からなる固体電解質基板3a,5aの各
々の両側に、矩形状の多孔質電極3b,3c,5b,5
cを形成したものであり、この多孔質電極3b,3c,
5b,5cは、共素地としてイットリア−ジルコニア固
溶体と残部白金とから形成されている。尚、前記固体電
解質基板3a,5aの材料としては、イットリア−ジル
コニア固溶体の他に、カルシア−ジルコニア固溶体等を
使用できる。
孔質電極3cに対応する中空部15aを有したアルミナ
からなる絶縁層15に覆われている。そして、その中空
部15aには、多孔質電極5cを覆って外部から保護す
る主にアルミナからなる多孔質の電極保護層17が形成
されている。
と酸素ポンプ素子5との間に、多孔質電極3c,5bに
対応する中空部9aを有する主にアルミナからなるスペ
ーサ9を挟んで接合することにより形成され、その中空
部9aからなる測定ガス室7の内側には、前記両多孔質
電極3c,5bが露出している。
とを連通するために、図2に示す様に、左右に一対の連
通孔19a,19b(19と総称する)が設けられてお
り、各連通孔19には、それぞれアルミナが充填された
多孔質の拡散律速層21a,21b(21と総称する)
が形成され、この拡散律速層21によって検出ガスの測
定ガス室7への流入等の律速が行われる。
右の拡散律速層21の外側(測定雰囲気側)には、それ
ぞれリン酸カルシウムが充填された多孔質の被毒防止層
22a,22b(22と総称する)が形成され、この被
毒防止層22により、拡散律速層21のP等による被毒
が防止される。
3の外側には、多孔質電極3bを覆うように、固体電解
質からなる遮蔽体23が貼り付けられており、後述の検
出回路25にて酸素濃淡電池素子3の多孔質電極3b側
から多孔質電極3c側へと微小電流iCPを流したとき
に、多孔質電極3b側に汲み込まれた酸素がそのまま排
出されないようにされている。また、酸素濃淡電池素子
3には、このように多孔質電極3b側に汲み込まれた酸
素の一部を測定ガス室7に漏出させるための漏出抵抗部
3d(図4参照)が形成されている。
ポンプ素子5側には、発熱パターン27が設けられ、他
方の側には周知のマイグレーション防止パターン29が
形成されている。 b)次に、図3に基づいて、上述した酸素センサの要部
である連通孔19の近傍の構成を説明する。
に(尚、同図では一方側のみを示す)、測定ガス室7と
外部とを連通する連通孔19aには、測定ガス室7側よ
り、図の左右方向の長さ0.4mm×上下方向の厚み6
0〜70μmの拡散律速層21aと、左右方向の長さ
0.4mm×上下方向の厚み50〜60μmの被毒防止
層22aとが側面を接触して配置されている。
1.0以上のリン酸カルシウムを主成分とし、更にジル
コニアを20重量%含有している。前記被毒防止層22
aの上下面側、即ち固体電解質基板3a、5aに接する
面には、被毒防止層22aと固体電解質基板3a、5a
との接触を防止するために、被毒防止層22aの全面に
亘ってアルミナを主成分とする厚み20μmの拡散防止
層24a1、24a2(24と総称する)が設けられてい
る。この拡散防止層24a1、24a2は、アルミナ以外
の物質(例えば焼結助剤や不純物)の含有量が5重量%
以下の層である。
にも、この拡散防止層24a1、24a2と同様な拡散防
止層24b1、24b2が設けられている。 c)次に、図4に基づいて、酸素センサの電気的構成及
びその制御について説明する。
酸素ポンプ素子5の測定ガス室7に接した多孔質電極3
c,5bは、抵抗器R2を介して接地されており、他方
の多孔質電極3b,5cは、各々検出回路25に接続さ
れている。そして、検出回路25内では、酸素濃淡電池
素子3の遮蔽体23側の多孔質電極3bが、他端に定電
圧VCPが印加された抵抗器R1に接続されている。抵抗
器R1は、酸素濃淡電池素子3に略一定の微小電流iCP
を供給するためのものであり、その抵抗値は、抵抗器R
2及び酸素濃淡電池素子3の内部抵抗に比べて十分大き
な値となっている。
は、差動増幅器AMPの−側入力端子に接続されてい
る。差動増幅器AMPの+側入力端子には、基準電圧V
COが入力されているため、差動増幅器AMPからは、基
準電圧VCOと酸素濃淡電池素子3の多孔質電極3b側電
圧との差に応じた電圧が出力される。また、この差動増
幅器AMPの出力は、抵抗器R3を介して、酸素ポンプ
素子5のヒータ13側の多孔質電極5cに接続されてい
る。この結果、酸素ポンプ素子5には、差動増幅器AM
Pの出力に応じて、ポンプ電流ipが双方向に流れるこ
とになる。
池素子3に微小電流iCPを流して多孔質電極3bに酸素
を汲み込むことにより、多孔質電極3bを内部酸素基準
源として機能させて、酸素濃淡電池素子3の両端に測定
ガス室7内の酸素濃度に応じた電圧を発生させ、更に、
その電圧(詳しくは抵抗器R2の両端電圧を含む)が基
準電圧VCOとなるように、差動増幅器AMPから酸素ポ
ンプ素子5にポンプ電流ipを供給することにより、測
定ガス室7内の酸素濃度を一定に保つ制御を行うように
構成されているのである。
流ipは、周囲の検出ガス雰囲気中の酸素濃度に対応す
るため、そのポンプ電流ipを抵抗器R3により電圧信
号に変換して、それを排気中の酸素濃度、ひいては空燃
比を表わす検出信号として、内燃機関制御を行うマイク
ロコンピュータ等からなる電子制御回路(以下、ECU
という)31に出力する。
は、電圧切換回路33を介して、ヒータ電圧VH が印加
される。この電圧切換回路33は、ヒータ13に印加す
るヒータ電圧VHとして、例えばバッテリ電圧VB及びそ
の変更値を各々出力可能に構成されており、ECU31
から出力される電圧切換指令に応じて、いずれかをヒー
タ電圧VH として、発熱パターン27に印加する。
ンサ素子部1の製造方法を簡単に説明する。まず、イッ
トリア−ジルコニア系の粉末にPVB系のバインダと有
機溶剤とを用い、周知のドクターブレード法により、
(後述する焼成後に)酸素濃淡電池素子3及び酸素ポン
プ素子5の固体電解質基板3a,5aとなるグリーンシ
ートを製造する。
共素地とからなる材料にバインダと有機溶剤とを用いて
ペースト化し、スクリーンによって前記グリーンシート
上に印刷して、(焼成後に)固体電解質基板3a,5a
の多孔質電極3b,3c,5b,5cとなる電極パター
ンを形成する。
ミナからなるグリーンシートには、中空部9a及び連通
孔19a,19bとなる空間が空けられているが、本実
施例では、このスペーサ9用のグリーンシートを他の
(焼成後に)酸素濃淡電子素子3となるグリーンシート
に圧着した後に、連通孔19a,19bとなる空間の所
定位置に、(焼成後に)拡散律速層21となるペースト
を印刷する。このペーストは、アルミナ系の材料にPV
B系のバインダと有機溶剤とを用いてペースト化したも
のであり、焼成すると多数のガス透過気孔を有する多孔
質の層となる。
部側の隣に、(焼成後に)拡散防止層24となるペース
トを印刷する。このペーストは、純度95重量%を上回
るアルミナ系(例えばアルミナ95重量%超)の材料に
PVDバインダと有機溶剤とを用いてペースト化したも
のであり、焼成すると多孔質の薄膜の層となる。
した層の上に、(焼成後に)リン酸カルシウムの被毒防
止層24となるペーストを印刷する。このペーストは、
Ca10(PO4)6(OH)2を含むペーストであり、そ
の製造は下記の様にして行う。
コニア:20重量%、エチルセルロース系バインダー:
(水酸アパタイト+ジルコニアに対して)30重量%、
ブチルカルビトール:(水酸アパタイト+ジルコニアに
対して)8重量%を混ぜて、ライカイ機にて混練してペ
ーストとする。
となるグリーンシート側にも、前記拡散防止層を形成し
たのと同様な箇所に、(焼成後に)拡散防止層24とな
る同様なペーストを印刷する。次に、この様にして形成
した各グリーンシートと、同様にして形成したアルミナ
からなる絶縁層15や遮蔽板23等のグリーンシートを
積層圧着する。
した後に、例えば1470℃の比較的低い温度にて1時
間の焼成を行うことにより、板状の検出部材6を得る。
一方、ヒータ13は、同様にアルミナのグリーンシート
に発熱パターン27となるペーストを印刷し、これに他
のグリーンシートを積層し、同様に焼成して形成する。
は、耐熱性の無機接着剤にて接着してセンサ素子部1を
形成するが、これとは別に、検出部材6となるグリーン
シート等とヒータ13となるグリーンシート等を積層
し、同時に焼成してセンサ素子部1を形成してもよい。
素センサは、連通孔19内にて、リン酸カルシウムを主
成分とする被毒防止層24とジルコニアを主成分とする
固体電解質基板3a、5aとの間に、アルミナを主成分
とする拡散防止層24が設けられている。
は、被毒防止層22からリンやカルシウムが固体電解質
基板3a、5aに拡散することを効果的に防止できる。
よって、リンやカルシウムの拡散による固体電解質基板
3a、5aの表面における劣化を防止できるので、後の
実験例からも明らかな様に、酸素センサを長期間使用し
た後でも、被毒防止層22と固体電解質基板3a、5a
との間にクラックが生じ難い。それにより、クラックが
拡散律速層21にまで達して、適切に拡散制限が行われ
なくなることを防止できるので、酸素センサの耐久性が
向上する。
ルミナから構成されているので、印刷工程上、固体電解
質体間を絶縁する絶縁層を形成する際に、同時に形成で
きるので都合が良い。更に、本実施例では、拡散防止層
24を構成するアルミナ以外の物質(例えば焼結助剤や
不純物)の含有量が5重量%以下であるので、リンやカ
ルシウムの拡散を防止する能力が高い。
コニアを添加しない例を挙げたが、例えば拡散防止層2
4を形成するアルミナ系材料として、アルミナとジルコ
ニアの合計量が95重量%を上回るものを用いることも
できる。その上、本実施例では、被毒防止層22にジル
コニアが添加されているので、このジルコニアがリンや
カルシウムをトラップし、そのため、被毒防止層22か
ら拡散防止層24側にリンやカルシウムが拡散すること
を防止できる。
度の厚みに設定されているので、厚みが過大である場合
の通気性の悪化や、厚みが過小である場合の接着性の低
下を防止できる。更に、本実施例では、低温で焼成する
ので、製造時に、被毒防止層22から固体電解質基板3
a、5a側にリンやカルシウムが拡散することを防止で
きる。
を例えば30重量%添加してもよい。このジルコニアを
添加する場合には、このジルコニアによりリンやカルシ
ウムがトラップされるので、拡散防止層24側から固体
電解質基板3a、5a側へのリンやカルシウムの拡散を
防止できる。 (実施例2)次に、実施例2について説明するが、本実
施例と前記実施例1と同様な箇所の説明は省略する。
ンサでは、そのセンサ素子部31の固体電解質基板3
3、35の間に連通孔37が設けられており、この連通
孔37内に実施例1より外側に、実施例1と同様な拡散
防止層39が形成されている。また、連通孔37の開口
部37aを覆う様に、即ち拡散防止層39の外部側を覆
う様に、前記実施例1と同様な被毒防止層41が形成さ
れており、更に、被毒防止層41と固体電解質基板3
3、35との間に、実施例1と同様な拡散防止層43が
形成されている。
固体電解質基板33、35へのリンやカルシウムの拡散
を防止できるので、被毒防止層41と固体電解質基板3
3、35との間にクラックが発生することを防止でき、
これによって、酸素センサの耐久性を向上することがで
きる。 (実施例3)次に、実施例3について説明する。
サであり、固体電解質体の外部表面(測定雰囲気側の表
面)に、多孔質電極等が配置されているものである。つ
まり、図6に要部を示す様に、本実施例の酸素センサ
は、そのセンサ素子部51の固体電解質基板53の表面
に多孔質電極55が設けられ、この多孔質電極55を覆
う様に、カーボン等による多孔質電極55の被毒を防止
するために、前記実施例1の拡散防止層と同様な材料か
らなる多孔質の保護層57が形成されている。
実施例1と同様な被毒防止層59が形成されており、更
に、被毒防止層59と固体電解質基板53との間に、実
施例1と同様な拡散防止層61が形成されている。本実
施例によっても、被毒防止層59から固体電解質基板5
3へのリンやカルシウムの拡散を防止できるので、被毒
防止層59と固体電解質基板53との間にクラックが発
生することを防止でき、これによって、酸素センサの耐
久性を向上することができる。
サを用いた実験例について説明する。この実験は、酸素
センサの耐久性試験であり、リンやカルシウムの固体電
解質基板への拡散によるクラックの発生によって生ずる
ip出力の変化を調べたものである。
る条件として、高湿度下(即ち水蒸気分圧(PH2O)
0.5〜0.6atm(全圧=1atm中))下で、本
発明の範囲のセンサ素子(試料No.1〜9)に冷熱サイ
クルを加えて、そのip電流の変化率(Δip)の経時
変化から、センサ素子(従って酸素センサ)の耐久性を
調べた。また、同様にして、本発明の範囲外の比較例
(試料No.10)の耐久性を調べた。
10本とし、耐久によるip出力の変化率(Δip)が
3%以上のものを不適品(NG)とした。下記表1に、
実験に使用するセンサ素子の構成及び製造時の条件を示
し、表2に、冷熱サイクルを加えた場合のNG発生率
(各サンブル数に対するNG数の比率)を示す。
ータ発熱=15〜20W(素子1本当たり)の場合に、
ヒータON=40sec、ヒータOFF=40sec
(空冷)ことを示している。また、耐久後クラックは、
10000サイクル後のクラックの発生状態を示してい
る。具体的には、○はクラック無しを示し、△は固体電
解質体にクラック有りを示し、×は固体電解質体及び拡
散律速層にクラック有りを示している。
の範囲である酸素センサ(試料No.1〜9)において
は、長い時間を経過してもip電流の変化は少なく、耐
久性に優れており好適である。また、試料No.3〜9の
ものは、10000サイクルの耐久後もNG発生率が0
%で、且つ耐久後クラックが少なく好適である。特に試
料No.5〜7、9のものは、耐久後クラックが全くな
く、一層好適である。
試料No.10は、2000サイクルの耐久後には、NG
発生率が100%であり、好ましくない。尚、本発明は
前記実施例になんら限定されるものではなく、本発明の
要旨を逸脱しない範囲において種々の態様で実施しうる
ことはいうまでもない。
して、全領域空燃比センサを例に挙げたが、λセンサな
どの他の酸素センサ、或いは酸素以外のガスを検出した
り、そのガス濃度を検出するガスセンサに、本発明を適
用してもよい。
サの発明では、被毒防止部と固体電解質体との間に設け
られた拡散防止部により、被毒防止部側から固体電解質
体側に、リンやカルシウムが拡散することを防止でき
る。よって、リンやカルシウムが固体電解質側へ拡散す
ることによる固体電解質体の表面部の劣化を防止できる
ので、固体電解質体と被毒防止部との間にクラックが発
生することを防止できる。従って、クラックが構造体に
まで伸び、その結果、検出ガスが直接に検出部にまで到
達することによるガスセンサの性能の低下を防止できる
ので、ガスセンサの耐久性が向上する。
の発明では、ガスセンサを焼成する温度低いので、焼成
の際に、被毒防止部から固体電解質体にリンやカルシウ
ムの拡散を防止でき、よって、ガスセンサの耐久性が向
上する。
を破断して示す斜視図である。
説明図である。
を拡大して示す断面図である。
明図である。
を拡大して示す断面図である。
を拡大して示す断面図である。
1…拡散防止層 57…保護層
Claims (15)
- 【請求項1】 少なくともジルコニアを含む固体電解質
体からなる基体と、 測定雰囲気中の検出ガスを検出するように前記基体上に
設けられた検出部と、 前記検出部と前記測定雰囲気の間で、検出ガスが流通可
能なガス流通通路の少なくとも一部を覆い、少なくとも
リン及び/又はカルシウムを含む被毒防止部と、 を備えるガスセンサであって、 前記被毒防止部が、リン及び/又はカルシウムの前記固
体電解質体への拡散を抑制する拡散防止部を介して、前
記基体に接合していることを特徴とするガスセンサ。 - 【請求項2】 前記検出部は、前記測定雰囲気からガス
流通可能に隔離されているガス測定室に面しており、 前記ガス流通通路は、少なくとも壁の一部が前記基体に
より構成された連通孔であり、 前記測定雰囲気から前記連通孔を介して前記ガス測定室
に到るガス流通経路を覆うように、前記被毒防止部が設
けられていることを特徴とする前記請求項1に記載のガ
スセンサ。 - 【請求項3】 前記検出部は、前記基体表面上に形成さ
れた電極であり、 前記電極を覆って前記被毒防止部が設けられていること
を特徴とする前記請求項1に記載のガスセンサ。 - 【請求項4】 前記ガス流通経路の前記被毒防止部より
も前記検出部の近くには、前記検出ガスの流通を律速す
るガス律速部が形成されていることを特徴とする前記請
求項1乃至3のいずれかに記載のガスセンサ。 - 【請求項5】 前記ガス律速部は、多孔質セラミックス
であることを特徴とする前記請求項4に記載のガスセン
サ。 - 【請求項6】 前記被毒防止部は、多孔質セラミックス
であることを特徴とする前記請求項1乃至5のいずれか
に記載のガスセンサ。 - 【請求項7】 前記拡散防止部の主な材料としてアルミ
ナを用いることを特徴とする前記請求項1〜6のいずれ
かに記載のガスセンサ。 - 【請求項8】 前記拡散防止部中のジルコニアとアルミ
ナ以外の含有量は、5重量%以下であることを特徴とす
る前記請求項7に記載のガスセンサ。 - 【請求項9】 前記拡散防止部の厚みは、5〜30μm
であることを特徴とする前記請求項1〜8のいずれかに
記載のガスセンサ。 - 【請求項10】 前記拡散防止部に、リン又はカルシウ
ムと容易に反応する物質を添加することを特徴とする前
記請求項1〜9のいずれかに記載のガスセンサ。 - 【請求項11】 前記拡散防止部に、前記リン又はカル
シウムと容易に反応する物質を5〜40重量%添加する
ことを特徴とする前記請求項10に記載のガスセンサ。 - 【請求項12】 前記被毒防止部に、リン酸カルシウム
を含むことを特徴とする前記請求項1〜11のいずれか
に記載のガスセンサ。 - 【請求項13】 前記被毒防止部に、リン又はカルシウ
ムと容易に反応する物質を添加することを特徴とする前
記請求項1〜12のいずれかに記載のガスセンサ。 - 【請求項14】 前記リン又はカルシウムと容易に反応
する物質は、ジルコニアであることを特徴とする前記請
求項10、11、又は13に記載のガスセンサ。 - 【請求項15】 前記請求項1〜14のいずれかに記載
のガスセンサの製造方法であって、 前記ガスセンサを焼成する場合には、1400〜147
0℃の低温度で焼成を行うことを特徴とするガスセンサ
の製造方法。
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