JP2002226404A - イミド化合物と窒素酸化物とを触媒とする有機化合物の製造法 - Google Patents

イミド化合物と窒素酸化物とを触媒とする有機化合物の製造法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 酸素原子含有基を有する有機化合物を、より
温和な条件下で効率よく製造する。 【解決手段】 有機化合物の製造法は、(i)下記式
(I) 【化1】 [式中、Xは酸素原子又は−OR基(Rは水素原子又は
ヒドロキシル基の保護基を示す)を示す]で表される環
状イミド骨格を有するイミド化合物と、(ii)触媒量の
窒素酸化物の存在下、(A)ラジカルを生成可能な化合
物と、(B)酸素原子含有反応剤(窒素酸化物を除く)
とを反応させて、前記化合物(A)に前記酸素原子含有
反応剤(B)由来の酸素原子含有基が導入された酸素原
子含有基を含む有機化合物を生成させることを特徴とす
る。前記イミド化合物として、例えば、N−ヒドロキシ
フタルイミドなどを使用できる。前記触媒として用いる
窒素酸化物には、式N xy(式中、xは1又は2、yは
1〜6の整数を示す)で表される化合物が含まれる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、イミド化合物触媒
を用いた有機化合物の製造法、より詳細には、特定のイ
ミド化合物と触媒量の窒素酸化物の存在下で、ラジカル
を生成可能な化合物と酸素原子含有反応剤(窒素酸化物
を除く)とを反応させて、酸素原子含有基を含む有機化
合物を製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】酸化反応は、有機化学工業における最も
基本的な反応の一つであるため、種々の酸化法が開発さ
れている。資源及び環境上の観点から、好ましい酸化方
法は、分子状酸素又は空気を酸化剤として直接利用する
触媒的な酸化法である。しかし、触媒的な酸化法では、
通常、酸素を活性化するために高温や高圧を必要とした
り、温和な条件で反応させるためにはアルデヒドなどの
還元剤の共存下で反応させる必要がある。そのため、触
媒的酸化法を用いて、温和な条件下で、アルコール類や
カルボン酸を簡易に且つ効率よく製造することは困難で
あった。
【0003】また、有機硫黄酸及びその塩の製造法とし
て種々の方法が知られている。例えば、スルホン酸の製
造法として、チオールやジスルフィドを酸化剤により酸
化する方法、芳香族炭化水素と無水SO3−ピリジンや
クロロ硫酸とを反応させるフリーデルクラフト反応を利
用する方法、不飽和化合物へのラジカル付加反応により
合成する方法などが利用されている。しかし、これらの
方法は、反応条件が厳しかったり、多量の副生物が併産
されるなどの問題点を有する。また、従来、非芳香族性
の炭化水素類を直接且つ効率的にスルホン化する方法は
知られていない。
【0004】特開平8−38909号公報及び特開平9
−327626号公報には、分子状酸素により有機基質
を酸化するための触媒として、特定の構造を有するイミ
ド化合物、又は前記イミド化合物と遷移金属化合物など
とで構成された酸化触媒が提案されている。また、特開
平11−239730号公報には、前記イミド化合物の
存在下、基質と、一酸化炭素及び酸素とを接触させて、
基質にカルボキシル基を導入する方法が開示されてい
る。これらのイミド化合物を触媒として用いる方法によ
れば、比較的温和な条件下で基質にヒドロキシル基やカ
ルボキシル基などの酸素原子含有基を導入できる。しか
し、この方法においても、目的化合物の収率等の点で必
ずしも充分満足できるものではなかった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的
は、酸素原子含有基を有する有機化合物を、より温和な
条件下で効率よく製造できる方法を提供することにあ
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記目的
を達成するため鋭意検討した結果、特定構造のイミド化
合物と、触媒量の窒素酸化物の存在下で、ラジカルを生
成可能な化合物と酸素原子含有反応剤とを反応させる
と、温和な条件で対応する酸素原子含有基を含む有機化
合物が効率よく得られることを見出し、本発明を完成し
た。
【0007】すなわち、本発明は、(i)下記式(I)
【化3】 [式中、Xは酸素原子又は−OR基(Rは水素原子又は
ヒドロキシル基の保護基を示す)を示す]で表される環
状骨格を有するイミド化合物と、(ii)触媒量の窒素酸
化物の存在下、(A)ラジカルを生成可能な化合物と、
(B)酸素原子含有反応剤(窒素酸化物を除く)とを反
応させて、前記化合物(A)に前記酸素原子含有反応剤
(B)由来の酸素原子含有基が導入された酸素原子含有
基を含む有機化合物を生成させることを特徴とする有機
化合物の製造法を提供する。
【0008】前記イミド化合物には、下記式(1)
【化4】 [式中、R1及びR2は、同一又は異なって、水素原子、
ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、シクロアルキ
ル基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、カルボキシル
基、アルコキシカルボニル基、アシル基を示し、R1
びR2は互いに結合して二重結合、又は芳香族性若しく
は非芳香族性の環を形成してもよい。Xは酸素原子又は
−OR基(Rは水素原子又はヒドロキシル基の保護基を
示す)を示す。前記R1、R2、又はR1及びR2が互いに
結合して形成された二重結合又は芳香族性若しくは非芳
香族性の環には、上記式(1)中に示されるN−置換環
状イミド基がさらに1又は2個形成されていてもよい]
で表される化合物が含まれる。
【0009】前記触媒として用いる窒素酸化物には、下
記式(2) Nxy (2) (式中、xは1又は2、yは1〜6の整数を示す)で表
される化合物が含まれる。窒素酸化物の使用量は、例え
ば、ラジカルを生成可能な化合物(A)1モルに対して
0.0001〜0.2モル程度である。
【0010】ラジカルを生成可能な化合物(A)とし
て、例えば、(A1)ヘテロ原子の隣接位に炭素−水素結
合を有するヘテロ原子含有化合物、(A2)炭素−ヘテロ
原子二重結合を有する化合物、(A3)メチン炭素原子を
有する化合物、(A4)不飽和結合の隣接位に炭素−水素
結合を有する化合物、(A5)非芳香族性環状炭化水素、
(A6)共役化合物、(A7)アミン類、(A8)芳香族化合
物、(A9)直鎖状アルカン、及び(A10)オレフィン類
からなる群から選択された少なくとも1種の化合物を使
用できる。また、酸素原子含有反応剤(B)として、例
えば、酸素、一酸化炭素及び硫黄酸化物から選択された
少なくとも1種を使用できる。前記有機化合物の製造法
において、金属化合物を助触媒として用いることもでき
る。
【0011】
【発明の実施の形態】[イミド化合物触媒]本発明で
は、触媒として、前記式(I)で表される環状イミド骨
格を有するイミド化合物と窒素酸化物とを組み合わせて
用いる。
【0012】式(I)において、窒素原子とXとの結合
は単結合又は二重結合である。前記イミド化合物は、分
子中に、式(I)で表されるN−置換環状イミド骨格を
複数個有していてもよい。また、このイミド化合物は、
前記Xが−OR基であり且つRがヒドロキシル基の保護
基である場合、N−置換環状イミド骨格のうちRを除く
部分(N−オキシ環状イミド骨格)が複数個、Rを介し
て結合していてもよい。
【0013】式(I)中、Rで示されるヒドロキシル基
の保護基としては、有機合成の分野で慣用のヒドロキシ
ル基の保護基を用いることができる。このような保護基
として、例えば、アルキル基(例えば、メチル、t−ブ
チル基などのC1-4アルキル基など)、アルケニル基
(例えば、アリル基など)、シクロアルキル基(例え
ば、シクロヘキシル基など)、アリール基(例えば、
2,4−ジニトロフェニル基など)、アラルキル基(例
えば、ベンジル、2,6−ジクロロベンジル、3−ブロ
モベンジル、2−ニトロベンジル、トリフェニルメチル
基など);置換メチル基(例えば、メトキシメチル、メ
チルチオメチル、ベンジルオキシメチル、t−ブトキシ
メチル、2−メトキシエトキシメチル、2,2,2−ト
リクロロエトキシメチル、ビス(2−クロロエトキシ)
メチル、2−(トリメチルシリル)エトキシメチル基な
ど)、置換エチル基(例えば、1−エトキシエチル、1
−メチル−1−メトキシエチル、1−イソプロポキシエ
チル、2,2,2−トリクロロエチル基など)、テトラ
ヒドロピラニル基、テトラヒドロフラニル基、1−ヒド
ロキシアルキル基(例えば、1−ヒドロキシエチル、1
−ヒドロキシヘキシル、1−ヒドロキシデシル、1−ヒ
ドロキシヘキサデシル、1−ヒドロキシ−1−フェニル
メチル基など)等のヒドロキシル基とアセタール又はヘ
ミアセタール基を形成可能な基など;アシル基(例え
ば、ホルミル、アセチル、プロピオニル、ブチリル、イ
ソブチリル、バレリル、ピバロイル基などのC1-6脂肪
族アシル基;アセトアセチル基;ベンゾイル、ナフトイ
ル基などの芳香族アシル基など)、スルホニル基(メタ
ンスルホニル、エタンスルホニル、トリフルオロメタン
スルホニル、ベンゼンスルホニル、p−トルエンスルホ
ニル、ナフタレンスルホニル基など)、アルコキシカル
ボニル基(例えば、メトキシカルボニル、エトキシカル
ボニル、t−ブトキシカルボニル基などのC1-4アルコ
キシ−カルボニル基など)、アラルキルオキシカルボニ
ル基(例えば、ベンジルオキシカルボニル基、p−メト
キシベンジルオキシカルボニル基など)、置換又は無置
換カルバモイル基(例えば、カルバモイル、メチルカル
バモイル、フェニルカルバモイル基など)、無機酸(硫
酸、硝酸、リン酸、ホウ酸など)からOH基を除した
基、ジアルキルホスフィノチオイル基(例えば、ジメチ
ルホスフィノチオイル基など)、ジアリールホスフィノ
チオイル基(例えば、ジフェニルホスフィノチオイル基
など)、置換シリル基(例えば、トリメチルシリル、t
−ブチルジメチルシリル、トリベンジルシリル、トリフ
ェニルシリル基など)などが挙げられる。
【0014】また、Xが−OR基である場合において、
N−置換環状イミド骨格のうちRを除く部分(N−オキ
シ環状イミド骨格)が複数個、Rを介して結合する場
合、該Rとして、例えば、オキサリル、マロニル、スク
シニル、グルタリル、フタロイル、イソフタロイル、テ
レフタロイル基などのポリカルボン酸アシル基;カルボ
ニル基;メチレン、エチリデン、イソプロピリデン、シ
クロペンチリデン、シクロヘキシリデン、ベンジリデン
基などの多価の炭化水素基(特に、2つのヒドロキシル
基とアセタール結合を形成する基)などが挙げられる。
【0015】Rとしては、アルキル基(メチル基など)
以外の保護基がより好ましい。特に好ましいRには、例
えば、水素原子;ヒドロキシル基とアセタール又はヘミ
アセタール基を形成可能な基;カルボン酸、スルホン
酸、炭酸、カルバミン酸、硫酸、リン酸、ホウ酸などの
酸からOH基を除した基(アシル基、スルホニル基、ア
ルコキシカルボニル基、カルバモイル基等)などの加水
分解により脱離可能な加水分解性保護基が好ましい。
【0016】前記イミド化合物の代表的な例として、前
記式(1)で表されるイミド化合物が挙げられる。この
イミド化合物において、置換基R1及びR2のうちハロゲ
ン原子には、ヨウ素、臭素、塩素およびフッ素原子が含
まれる。アルキル基には、例えば、メチル、エチル、プ
ロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、s−ブチ
ル、t−ブチル、ヘキシル、デシル基などの炭素数1〜
10程度の直鎖状又は分岐鎖状アルキル基が含まれる。
好ましいアルキル基としては、例えば、炭素数1〜6程
度、特に炭素数1〜4程度の低級アルキル基が挙げられ
る。
【0017】アリール基には、フェニル、ナフチル基な
どが含まれ、シクロアルキル基には、シクロペンチル、
シクロヘキシル基などが含まれる。アルコキシ基には、
例えば、メトキシ、エトキシ、イソプロポキシ、ブトキ
シ、t−ブトキシ、ヘキシルオキシ基などの炭素数1〜
10程度、好ましくは炭素数1〜6程度、特に炭素数1
〜4程度の低級アルコキシ基が含まれる。
【0018】アルコキシカルボニル基には、例えば、メ
トキシカルボニル、エトキシカルボニル、イソプロポキ
シカルボニル、ブトキシカルボニル、t−ブトキシカル
ボニル、ヘキシルオキシカルボニル基などのアルコキシ
部分の炭素数が1〜10程度のアルコキシカルボニル基
が含まれる。好ましいカルボニル基にはアルコキシ部分
の炭素数が1〜6程度、特に1〜4程度の低級アルコキ
シカルボニル基が含まれる。アシル基としては、例え
ば、ホルミル、アセチル、プロピオニル、ブチリル、イ
ソブチリル、バレリル、イソバレリル、ピバロイル基な
どの炭素数1〜6程度のアシル基が例示できる。
【0019】前記置換基R1及びR2は、同一又は異なっ
ていてもよい。また、前記式(1)において、R1及び
2は互いに結合して、二重結合、または芳香族性又は
非芳香属性の環を形成してもよい。好ましい芳香族性又
は非芳香族性環は5〜12員環、特に6〜10員環程度
であり、複素環又は縮合複素環であってもよいが、炭化
水素環である場合が多い。このような環には、例えば、
非芳香族性脂環式環(シクロヘキサン環などの置換基を
有していてもよいシクロアルカン環、シクロヘキセン環
などの置換基を有していてもよいシクロアルケン環な
ど)、非芳香族性橋かけ環(5−ノルボルネン環などの
置換基を有していてもよい橋かけ式炭化水素環など)、
ベンゼン環、ナフタレン環などの置換基を有していても
よい芳香族環(縮合環を含む)が含まれる。前記環は、
芳香族環で構成される場合が多い。前記環は、アルキル
基、ハロアルキル基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、
カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アシル基、
ニトロ基、シアノ基、アミノ基、ハロゲン原子などの置
換基を有していてもよい。
【0020】前記R1、R2、又はR1及びR2が互いに結
合して形成された二重結合又は芳香族性若しくは非芳香
族性の環には、上記式(1)中に示されるN−置換環状
イミド基がさらに1又は2個形成されていてもよい。例
えば、R1又はR2が炭素数2以上のアルキル基である場
合、このアルキル基を構成する隣接する2つの炭素原子
を含んで前記N−置換環状イミド基が形成されていても
よい。また、R1及びR2が互いに結合して二重結合を形
成する場合、該二重結合を含んで前記N−置換環状イミ
ド基が形成されていてもよい。さらに、R1及びR2が互
いに結合して芳香族性若しくは非芳香族性の環を形成す
る場合、該環を構成する隣接する2つの炭素原子を含ん
で前記N−置換環状イミド基が形成されていてもよい。
【0021】好ましいイミド化合物には、下記式で表さ
れる化合物が含まれる。
【化5】 (式中、R3〜R6は、同一又は異なって、水素原子、ア
ルキル基、ハロアルキル基、ヒドロキシル基、アルコキ
シ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アシ
ル基、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、ハロゲン原子を
示す。R3〜R6は、隣接する基同士が互いに結合して芳
香族性又は非芳香族性の環を形成していてもよい。式
(1f)中、Aはメチレン基又は酸素原子を示す。R1
2、Xは前記に同じ。式(1c)のベンゼン環には、式
(1c)中に示されるN−置換環状イミド基がさらに1又
は2個形成されていてもよい)
【0022】置換基R3〜R6において、アルキル基に
は、前記例示のアルキル基と同様のアルキル基、特に炭
素数1〜6程度のアルキル基が含まれ、ハロアルキル基
には、トリフルオロメチル基などの炭素数1〜4程度の
ハロアルキル基、アルコキシ基には、前記と同様のアル
コキシ基、特に炭素数1〜4程度の低級アルコキシ基、
アルコキシカルボニル基には、前記と同様のアルコキシ
カルボニル基、特にアルコキシ部分の炭素数が1〜4程
度の低級アルコキシカルボニル基が含まれる。また、ア
シル基としては、前記と同様のアシル基、特に炭素数1
〜6程度のアシル基が例示され、ハロゲン原子として
は、フッ素、塩素、臭素原子が例示できる。置換基R3
〜R6は、通常、水素原子、炭素数1〜4程度の低級ア
ルキル基、カルボキシル基、ニトロ基、ハロゲン原子で
ある場合が多い。R3〜R6が互いに結合して形成する環
としては、前記R1及びR2が互いに結合して形成する環
と同様であり、特に芳香族性又は非芳香族性の5〜12
員環が好ましい。
【0023】好ましいイミド化合物の代表的な例とし
て、例えば、N−ヒドロキシコハク酸イミド、N−ヒド
ロキシマレイン酸イミド、N−ヒドロキシヘキサヒドロ
フタル酸イミド、N,N′−ジヒドロキシシクロヘキサ
ンテトラカルボン酸イミド、N−ヒドロキシフタル酸イ
ミド、N−ヒドロキシテトラブロモフタル酸イミド、N
−ヒドロキシテトラクロロフタル酸イミド、N−ヒドロ
キシヘット酸イミド、N−ヒドロキシハイミック酸イミ
ド、N−ヒドロキシトリメリット酸イミド、N,N′−
ジヒドロキシピロメリット酸イミド、N,N′−ジヒド
ロキシナフタレンテトラカルボン酸イミドなどのXが−
OR基で且つRが水素原子である化合物;N−アセトキ
シコハク酸イミド、N−アセトキシマレイン酸イミド、
N−アセトキシヘキサヒドロフタル酸イミド、N,N′
−ジアセトキシシクロヘキサンテトラカルボン酸イミ
ド、N−アセトキシフタル酸イミド、N−アセトキシテ
トラブロモフタル酸イミド、N−アセトキシテトラクロ
ロフタル酸イミド、N−アセトキシヘット酸イミド、N
−アセトキシハイミック酸イミド、N−アセトキシトリ
メリット酸イミド、N,N′−ジアセトキシピロメリッ
ト酸イミド、N,N′−ジアセトキシナフタレンテトラ
カルボン酸イミドなどのXが−OR基で且つRがアセチ
ル基等のアシル基である化合物;N−メトキシメチルオ
キシフタル酸イミド、N−(2−メトキシエトキシメチ
ルオキシ)フタル酸イミドなどのXが−OR基で且つR
がヒドロキシル基とアセタール又はヘミアセタール結合
を形成可能な基である化合物;N−メタンスルホニルオ
キシフタル酸イミド、N−(p−トルエンスルホニルオ
キシ)フタル酸イミドなどのXが−OR基で且つRがス
ルホニル基である化合物;N−ヒドロキシフタル酸イミ
ドの硫酸エステル、硝酸エステル、リン酸エステル又は
ホウ酸エステルなどのXが−OR基で且つRが無機酸か
らOH基を除した基である化合物などが挙げられる。
【0024】前記イミド化合物のうち、Xが−OR基で
且つRが水素原子である化合物は、慣用のイミド化反
応、例えば、対応する酸無水物とヒドロキシルアミンN
2OHとを反応させ、酸無水物基の開環及び閉環を経
てイミド化する方法により調製できる。前記酸無水物に
は、例えば、無水コハク酸、無水マレイン酸などの飽和
又は不飽和脂肪族ジカルボン酸無水物、テトラヒドロ無
水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸(1,2−シク
ロヘキサンジカルボン酸無水物)、1,2,3,4−シ
クロヘキサンテトラカルボン酸1,2−無水物などの飽
和又は不飽和非芳香族性環状多価カルボン酸無水物(脂
環式多価カルボン酸無水物)、無水ヘット酸、無水ハイ
ミック酸などの橋かけ環式多価カルボン酸無水物(脂環
式多価カルボン酸無水物)、無水フタル酸、テトラブロ
モ無水フタル酸、テトラクロロ無水フタル酸、無水ニト
ロフタル酸、無水トリメリット酸、メチルシクロヘキセ
ントリカルボン酸無水物、無水ピロメリット酸、無水メ
リット酸、1,8;4,5−ナフタレンテトラカルボン
酸二無水物などの芳香族多価カルボン酸無水物が含まれ
る。
【0025】前記イミド化合物のうち、Xが−OR基で
且つRがヒドロキシル基の保護基である化合物は、対応
するRが水素原子である化合物(N−ヒドロキシ環状イ
ミド化合物)に、慣用の保護基導入反応を利用して、所
望の保護基を導入することにより調製することができ
る。例えば、N−アセトキシフタル酸イミドは、N−ヒ
ドロキシフタル酸イミドに無水酢酸を反応させたり、塩
基の存在下でアセチルハライドを反応させることにより
得ることができる。
【0026】特に好ましいイミド化合物は、脂環式多価
カルボン酸無水物又は芳香族多価カルボン酸無水物、な
かでも芳香族多価カルボン酸無水物から誘導されるN−
ヒドロキシイミド化合物(例えば、N−ヒドロキシフタ
ル酸イミド、N,N′−ジヒドロキシピロメリット酸イ
ミド);及び該N−ヒドロキシイミド化合物のヒドロキ
シル基に保護基を導入することにより得られる化合物な
どが含まれる。
【0027】式(I)で表されるN−置換環状イミド骨
格を有するイミド化合物は、反応において、単独で又は
2種以上組み合わせて使用できる。前記イミド化合物は
反応系内で生成させてもよい。
【0028】前記イミド化合物の使用量は、広い範囲で
選択でき、例えば、反応成分(基質)1モルに対して
0.0000001〜1モル、好ましくは0.0000
1〜0.5モル、さらに好ましくは0.0001〜0.
4モル程度であり、0.001〜0.35モル程度であ
る場合が多い。
【0029】[窒素酸化物]触媒として用いる窒素酸化
物には、例えば、前記式(2)で表される化合物が含ま
れる。この化合物において、xが1である場合、yは通
常1〜3の整数であり、xが2である場合、yは通常1
〜6の整数である。
【0030】窒素酸化物の代表的な例として、N2O、
NO、N23、NO2、N24、N25、NO3、N26
などが挙げられる。これらの窒素酸化物は単独で又は二
種以上組み合わせて使用できる。窒素酸化物は純粋なも
のであってもよく、窒素酸化物を主成分として含む混合
物であってもよい。窒素酸化物を主成分として含む混合
物として、例えば、硝酸酸化プロセスの排ガスなどを利
用できる。また、窒素酸化物は反応系内で生成させて用
いてもよい。例えば、アンモニウム塩を反応系に添加し
て反応条件下で窒素酸化物に変換することにより、触媒
として用いることもできる。
【0031】好ましい窒素酸化物には、NO、N23
NO2、N25などが含まれる。N23は酸化二窒素
(N2O)及び/又は一酸化窒素(NO)と酸素との反
応で容易に得ることができる。より具体的には、反応器
内に一酸化窒素(又は酸化二窒素)と酸素とを導入し
て、青色の液体N23を生成させることにより調製でき
る。そのため、N23を予め生成させることなく、酸化
二窒素(N2O)及び/又は一酸化窒素(NO)と酸素
とを反応系に導入することにより本反応を行ってもよ
い。
【0032】前記窒素酸化物の中でも、特にNO2(二
酸化窒素)が、安定で取り扱いやすい点、及び触媒活性
の点で特に望ましい。NO2は20℃以下で容易に液化
し、シリンジワークなどで扱うことが可能である。
【0033】窒素酸化物の使用量は、触媒量であればよ
く、例えば、ラジカルを生成可能な化合物(A)1モル
に対して0.0001〜0.2モル、好ましくは0.0
01〜0.18モル、さらに好ましくは0.01〜0.
15モル程度である。前記窒素酸化物の使用量が0.0
001モル未満では窒素酸化物の添加効果が小さく、
0.2モルを超えるとニトロ化反応が進行して、目的の
酸素原子含有反応剤(B)由来の酸素原子含有基が導入
された化合物の収率が低下しやすくなる。
【0034】[助触媒]本発明では、前記イミド化合物
と窒素酸化物とからなる触媒に加えて助触媒を用いるこ
ともできる。助触媒として金属化合物が挙げられる。前
記2種の触媒と金属化合物とを併用することにより反応
速度や反応の選択性を向上させることができる。
【0035】金属化合物を構成する金属元素としては、
特に限定されないが、周期表2〜15族の金属元素を用
いる場合が多い。なお、本明細書では、ホウ素Bも金属
元素に含まれるものとする。例えば、前記金属元素とし
て、周期表2族元素(Mg、Ca、Sr、Baなど)、
3族元素(Sc、ランタノイド元素、アクチノイド元素
など)、4族元素(Ti、Zr、Hfなど)、5族元素
(Vなど)、6族元素(Cr、Mo、Wなど)、7族元
素(Mnなど)、8族元素(Fe、Ruなど)、9族元
素(Co、Rhなど)、10族元素(Ni、Pd、Pt
など)、11族元素(Cuなど)、12族元素(Znな
ど)、13族元素(B、Al、Inなど)、14族元素
(Sn、Pbなど)、15族元素(Sb、Biなど)な
どが挙げられる。好ましい金属元素には、遷移金属元素
(周期表3〜12族元素)が含まれる。なかでも、周期
表5〜11族元素、特に5族〜9族元素が好ましく、と
りわけV、Mo、Mn、Coなどが好ましい。金属元素
の原子価は特に制限されず、例えば0〜6価程度であ
る。
【0036】金属化合物としては、前記金属元素の単
体、水酸化物、酸化物(複合酸化物を含む)、ハロゲン
化物(フッ化物、塩化物、臭化物、ヨウ化物)、オキソ
酸塩(例えば、硝酸塩、硫酸塩、リン酸塩、ホウ酸塩、
炭酸塩など)、イソポリ酸の塩、ヘテロポリ酸の塩など
の無機化合物;有機酸塩(例えば、酢酸塩、プロピオン
酸塩、青酸塩、ナフテン酸塩、ステアリン酸塩など)、
錯体などの有機化合物が挙げられる。前記錯体を構成す
る配位子としては、OH(ヒドロキソ)、アルコキシ
(メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシなど)、
アシル(アセチル、プロピオニルなど)、アルコキシカ
ルボニル(メトキシカルボニル、エトキシカルボニルな
ど)、アセチルアセトナト、シクロペンタジエニル基、
ハロゲン原子(塩素、臭素など)、CO、CN、酸素原
子、H2O(アコ)、ホスフィン(トリフェニルホスフ
ィンなどのトリアリールホスフィンなど)のリン化合
物、NH 3(アンミン)、NO、NO2(ニトロ)、NO
3(ニトラト)、エチレンジアミン、ジエチレントリア
ミン、ピリジン、フェナントロリンなどの窒素含有化合
物などが挙げられる。
【0037】金属化合物の具体例としては、例えば、コ
バルト化合物を例にとると、水酸化コバルト、酸化コバ
ルト、塩化コバルト、臭化コバルト、硝酸コバルト、硫
酸コバルト、リン酸コバルトなどの無機化合物;酢酸コ
バルト、ナフテン酸コバルト、ステアリン酸コバルトな
どの有機酸塩;コバルトアセチルアセトナトなどの錯体
等の2価又は3価のコバルト化合物などが挙げられる。
また、バナジウム化合物の例としては、水酸化バナジウ
ム、酸化バナジウム、塩化バナジウム、塩化バナジル、
硫酸バナジウム、硫酸バナジル、バナジン酸ナトリウム
などの無機化合物;バナジウムアセチルアセトナト、バ
ナジルアセチルアセトナトなどの錯体等の2〜5価のバ
ナジウム化合物などが挙げられる。他の金属元素の化合
物としては、前記コバルト又はバナジウム化合物に対応
する化合物などが例示される。金属化合物は単独で又は
2種以上組み合わせて使用できる。
【0038】前記金属化合物の使用量は、例えば、ラジ
カルを生成可能な化合物(A)1モルに対して、0.0
00001〜0.1モル程度、好ましくは0.0000
1〜0.01モル程度である。また、前記金属化合物の
使用量は、前記イミド化合物1モルに対して、例えば
0.001〜0.1モル程度、好ましくは0.005〜
0.08モル程度である。
【0039】本発明では、また、助触媒として、少なく
とも1つの有機基が結合した周期表15族又は16族元
素を含む多原子陽イオン又は多原子陰イオンとカウンタ
ーイオンとで構成された有機塩を用いることもできる。
助触媒として前記有機塩を用いることにより、反応速度
や反応の選択性を向上させることができる。
【0040】前記有機塩において、周期表15族元素に
は、N、P、As、Sb、Biが含まれる。周期表16
族元素には、O、S、Se、Teなどが含まれる。好ま
しい元素としては、N、P、As、Sb、Sが挙げら
れ、特に、N、P、Sなどが好ましい。
【0041】前記元素の原子に結合する有機基には、置
換基を有していてもよい炭化水素基、置換オキシ基など
が含まれる。炭化水素基としては、メチル、エチル、プ
ロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、s−ブチ
ル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシル、オクチル、デシ
ル、テトラデシル、ヘキサデシル、オクタデシル、アリ
ルなどの炭素数1〜30程度(好ましくは炭素数1〜2
0程度)の直鎖状又は分岐鎖状の脂肪族炭化水素基(ア
ルキル基、アルケニル基及びアルキニル基);シクロペ
ンチル、シクロヘキシルなどの炭素数3〜8程度の脂環
式炭化水素基;フェニル、ナフチルなどの炭素数6〜1
4程度の芳香族炭化水素基などが挙げられる。炭化水素
基が有していてもよい置換基として、例えば、ハロゲン
原子、オキソ基、ヒドロキシル基、置換オキシ基(例え
ば、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基
など)、カルボキシル基、置換オキシカルボニル基、置
換又は無置換カルバモイル基、シアノ基、ニトロ基、置
換又は無置換アミノ基、アルキル基(例えば、メチル、
エチル基などのC1-4アルキル基など)、シクロアルキ
ル基、アリール基(例えば、フェニル、ナフチル基な
ど)、複素環基などが例示できる。好ましい炭化水素基
には、炭素数1〜30程度のアルキル基、炭素数6〜1
4程度の芳香族炭化水素基(特に、フェニル基又はナフ
チル基)などが含まれる。前記置換オキシ基には、アル
コキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基など
が含まれる。
【0042】前記有機塩の代表的な例として、有機アン
モニウム塩、有機ホスホニウム塩、有機スルホニウム塩
などの有機オニウム塩が挙げられる。有機アンモニウム
塩の具体例としては、テトラメチルアンモニウムクロリ
ド、テトラエチルアンモニウムクロリド、テトラブチル
アンモニウムクロリド、テトラヘキシルアンモニウムク
ロリド、トリオクチルメチルアンモニウムクロリド、ト
リエチルフェニルアンモニウムクロリド、トリブチル
(ヘキサデシル)アンモニウムクロリド、ジ(オクタデ
シル)ジメチルアンモニウムクロリドなどの第4級アン
モニウムクロリド、及び対応する第4級アンモニウムブ
ロミドなどの、窒素原子に4つの炭化水素基が結合した
第4級アンモニウム塩;ジメチルピペリジニウムクロリ
ド、ヘキサデシルピリジニウムクロリド、メチルキノリ
ニウムクロリドなどの環状第4級アンモニウム塩などが
挙げられる。また、有機ホスホニウム塩の具体例として
は、テトラメチルホスホニウムクロリド、テトラブチル
ホスホニウムクロリド、トリブチル(ヘキサデシル)ホ
スホニウムクロリド、トリエチルフェニルホスホニウム
クロリドなどの第4級ホスホニウムクロリド、及び対応
する第4級ホスホニウムブロミドなどの、リン原子に4
つの炭化水素基が結合した第4級ホスホニウム塩などが
挙げられる。有機スルホニウム塩の具体例としては、ト
リエチルスルホニウムイオジド、エチルジフェニルスル
ホニウムイオジドなどの、イオウ原子に3つの炭化水素
基が結合したスルホニウム塩などが挙げられる。
【0043】また、前記有機塩には、メタンスルホン酸
塩、エタンスルホン酸塩、オクタンスルホン酸塩、ドデ
カンスルホン酸塩などのアルキルスルホン酸塩(例え
ば、C 1-18アルキルスルホン酸塩);ベンゼンスルホン
酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、ナフタレンスルホン
酸塩、デシルベンゼンスルホン酸塩、ドデシルベンゼン
スルホン酸塩などのアルキル基で置換されていてもよい
アリールスルホン酸塩(例えば、C1-18アルキル−アリ
ールスルホン酸塩);スルホン酸型イオン交換樹脂(イ
オン交換体);ホスホン酸型イオン交換樹脂(イオン交
換体)なども含まれる。
【0044】前記有機塩の使用量は、例えば、ラジカル
を生成可能な化合物(A)1モルに対して、0.000
001〜0.1モル程度、好ましくは0.00001〜
0.01モル程度である。また、前記有機塩の使用量
は、前記イミド化合物1モルに対して、例えば0.00
1〜0.1モル程度、好ましくは0.005〜0.08
モル程度である。
【0045】また、本発明の方法では、系内に、ラジカ
ル発生剤やラジカル反応促進剤を存在させてもよい。こ
のような成分として、例えば、ハロゲン(塩素、臭素な
ど)、過酸(過酢酸、m−クロロ過安息香酸など)、過
酸化物(過酸化水素、t−ブチルヒドロペルオキシド
(TBHP)等のヒドロペルオキシドなど)、ラジカル
開始剤(アゾビスイソブチロニトリルなど)、安息香
酸、ベンズアルデヒドなどが挙げられる。これらの成分
を系内に存在させると、反応が促進される場合がある。
前記成分の使用量は、前記イミド化合物1モルに対し
て、通常0.001〜0.1モル程度であるが、添加剤
の種類によってはそれ以上用いてもよい。
【0046】[ラジカルを生成可能な化合物(A)]ラ
ジカルを生成可能な化合物(A)としては、安定なラジ
カルを生成しうる化合物であれば特に限定されないが、
その代表的な例として、(A1)ヘテロ原子の隣接位に炭
素−水素結合を有するヘテロ原子含有化合物、(A2)炭
素−ヘテロ原子二重結合を有する化合物、(A3)メチン
炭素原子を有する化合物、(A4)不飽和結合の隣接位に
炭素−水素結合を有する化合物、(A5)非芳香族性環状
炭化水素、(A6)共役化合物、(A7)アミン類、(A8)
芳香族化合物、(A9)直鎖状アルカン、及び(A10)オ
レフィン類などが挙げられる。
【0047】これらの化合物は、反応を阻害しない範囲
で種々の置換基を有していてもよい。置換基として、例
えば、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、メルカプト基、
オキソ基、置換オキシ基(例えば、アルコキシ基、アリ
ールオキシ基、アシルオキシ基など)、置換チオ基、カ
ルボキシル基、置換オキシカルボニル基、置換又は無置
換カルバモイル基、シアノ基、ニトロ基、置換又は無置
換アミノ基、スルホ基、アルキル基、アルケニル基、ア
ルキニル基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基、複
素環基などが挙げられる。ラジカルを生成可能な化合物
(A)は、本反応において基質として機能する。
【0048】ヘテロ原子の隣接位に炭素−水素結合を有
するヘテロ原子含有化合物(A1)としては、(A1-1)第
1級若しくは第2級アルコール又は第1級若しくは第2
級チオール、(A1-2)酸素原子の隣接位に炭素−水素結
合を有するエーテル又は硫黄原子の隣接位に炭素−水素
結合を有するスルフィド、(A1-3)酸素原子の隣接位に
炭素−水素結合を有するアセタール(ヘミアセタールも
含む)又は硫黄原子の隣接位に炭素−水素結合を有する
チオアセタール(チオヘミアセタールも含む)などが例
示できる。
【0049】前記(A1-1)における第1級若しくは第2
級アルコールには、広範囲のアルコールが含まれる。ア
ルコールは、1価、2価又は多価アルコールの何れであ
ってもよい。
【0050】代表的な第1級アルコールとしては、メタ
ノール、エタノール、1−プロパノール、1−ブタノー
ル、2−メチル−1−プロパノール、1−ペンタノー
ル、1−ヘキサノール、1−オクタノール、1−デカノ
ール、1−ヘキサデカノール、2−ブテン−1−オー
ル、エチレングリコール、トリメチレングリコール、ヘ
キサメチレングリコール、ペンタエリスリトールなどの
炭素数1〜30(好ましくは1〜20、さらに好ましく
は1〜15)程度の飽和又は不飽和脂肪族第1級アルコ
ール;シクロペンチルメチルアルコール、シクロヘキシ
ルメチルアルコール、2−シクロヘキシルエチルアルコ
ールなどの飽和又は不飽和脂環式第1級アルコール;ベ
ンジルアルコール、2−フェニルエチルアルコール、3
−フェニルプロピルアルコール、桂皮アルコールなどの
芳香族第1級アルコール;2−ヒドロキシメチルピリジ
ンなどの複素環式アルコールが挙げられる。
【0051】代表的な第2級アルコールとしては、2−
プロパノール、s−ブチルアルコール、2−ペンタノー
ル、3−ペンタノール、3,3−ジメチル−2−ブタノ
ール、2−オクタノール、4−デカノール、2−ヘキサ
デカノール、2−ペンテン−4−オール、1,2−プロ
パンジオール、2,3−ブタンジオールや2,3−ペン
タンジオールなどのビシナルジオール類などの炭素数3
〜30(好ましくは3〜20、さらに好ましくは3〜1
5)程度の飽和又は不飽和脂肪族第2級アルコール;1
−シクロペンチルエタノール、1−シクロヘキシルエタ
ノールなどの、ヒドロキシル基の結合した炭素原子に脂
肪族炭化水素基と脂環式炭化水素(シクロアルキル基な
ど)とが結合している第2級アルコール;シクロブタノ
ール、シクロペンタノール、シクロヘキサノール、シク
ロオクタノール、シクロドデカノール、2−シクロヘキ
セン−1−オール、2−アダマンタノール、橋頭位にヒ
ドロキシル基を1〜4個有する2−アダマンタノール、
アダマンタン環にオキソ基を有する2−アダマンタノー
ルなどの3〜20員(好ましくは3〜15員、さらに好
ましくは5〜15員、特に5〜8員)程度の飽和又は不
飽和脂環式第2級アルコール(橋かけ環式第2級アルコ
ールを含む);1−フェニルエタノール、1−フェニル
プロパノール、1−フェニルメチルエタノール、ジフェ
ニルメタノールなどの芳香族第2級アルコール;1−
(2−ピリジル)エタノールなどの複素環式第2級アル
コールなどが含まれる。
【0052】さらに、代表的なアルコールには、1−ア
ダマンタンメタノール、α−メチル−1−アダマンタン
メタノール、α−エチル−1−アダマンタンメタノー
ル、α−イソプロピル−1−アダマンタンメタノール、
3−ヒドロキシ−α−メチル−1−アダマンタンメタノ
ール、3−カルボキシ−α−メチル−1−アダマンタン
メタノール、α−メチル−3a−パーヒドロインデンメ
タノール、α−メチル−4a−デカリンメタノール、8
a−ヒドロキシ−α−メチル−4a−デカリンメタノー
ル、α−メチル−4a−パーヒドロフルオレンメタノー
ル、α−メチル−4a−パーヒドロアントラセンメタノ
ール、α−メチル−8a−パーヒドロフェナントレンメ
タノール、α−メチル−2−トリシクロ[5.2.1.
2,6]デカンメタノール、6−ヒドロキシ−α−メチ
ル−2−トリシクロ[5.2.1.02,6]デカンメタ
ノール、α−メチル−2a−パーヒドロアセナフテンメ
タノール、α−メチル−3a−パーヒドロフェナレンメ
タノール、α−メチル−1−ノルボルナンメタノール、
α−メチル−2−ノルボルネン−1−メタノールなどの
橋かけ環炭化水素基を有するアルコール(ヒドロキシル
基が結合している炭素原子に橋かけ環炭化水素基が結合
している化合物など)も含まれる。
【0053】好ましいアルコールには、第2級アルコー
ル(例えば、2−プロパノール、s−ブチルアルコール
などの脂肪族第2級アルコール;1−シクロヘキシルエ
タノールなどのヒドロキシル基の結合した炭素原子に脂
肪族炭化水素基(例えば、C 1-4アルキル基、C6-14
リール基など)と非芳香族性炭素環式基(例えば、C3
-15シクロアルキル基又はシクロアルケニル基など)と
が結合している第2級アルコール;シクロペンタノー
ル、シクロヘキサノール、2−アダマンタノールなどの
3〜15員程度の脂環式第2級アルコール;1−フェニ
ルエタノールなどの芳香族第2級アルコール)、及び前
記橋かけ環炭化水素基を有するアルコールが含まれる。
【0054】前記(A1-1)における第1級若しくは第2
級チオールとしては、前記第1級若しくは第2級アルコ
ールに対応するチオールが挙げられる。
【0055】前記(A1-2)における酸素原子の隣接位に
炭素−水素結合を有するエーテルとしては、例えば、ジ
メチルエーテル、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテ
ル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、メチ
ルエチルエーテル、メチルブチルエーテル、エチルブチ
ルエーテル、ジアリルエーテル、メチルビニルエーテ
ル、エチルアリルエーテルなどの脂肪族エーテル類;ア
ニソール、フェネトール、ジベンジルエーテル、フェニ
ルベンジルエーテル等の芳香族エーテル類;ジヒドロフ
ラン、テトラヒドロフラン、ピラン、ジヒドロピラン、
テトラヒドロピラン、モルホリン、クロマン、イソクロ
マンなどの環状エーテル類(芳香環又は非芳香環が縮合
していてもよい)などが挙げられる。
【0056】前記(A1-2)における硫黄原子の隣接位に
炭素−水素結合を有するスルフィドとしては、前記酸素
原子の隣接位に炭素−水素結合を有するエーテルに対応
するスルフィドが挙げられる。
【0057】前記(A1-3)における酸素原子の隣接位に
炭素−水素結合を有するアセタールとしては、例えば、
アルデヒドとアルコールや酸無水物などから誘導される
アセタールが挙げられ、該アセタールには環状アセター
ル及び非環状アセタールが含まれる。前記アルデヒドと
して、例えば、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、
プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド、イソブチル
アルデヒド、ペンタナール、ヘキサナール、デカナール
などの脂肪族アルデヒド;シクロペンタンカルバルデヒ
ド、シクロヘキサンカルバルデヒドなどの脂環式アルデ
ヒド;ベンズアルデヒド、フェニルアセトアルデヒドな
どの芳香族アルデヒドなどが挙げられる。また、前記ア
ルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、
1−プロパノール、1−ブタノール、ベンジルアルコー
ルなどの一価アルコール;エチレングリコール、プロピ
レングリコール、1,3−プロパンジオール、2,2−
ジブロモ−1,3−プロパンジオールなどの二価アルコ
ールなどが挙げられる。代表的なアセタールとして、
1,3−ジオキソラン、2−メチル−1,3−ジオキソ
ラン、2−エチル−1,3−ジオキソランなどの1,3
−ジオキソラン化合物;2−メチル−1,3−ジオキサ
ンなどの1,3−ジオキサン化合物;アセトアルデヒド
ジメチルアセタールなどのジアルキルアセタール化合物
などが例示される。
【0058】前記(A1-3)における硫黄原子の隣接位に
炭素−水素結合を有するチオアセタールとしては、前記
酸素原子の隣接位に炭素−水素結合を有するアセタール
に対応するチオアセタールが挙げられる。
【0059】前記炭素−ヘテロ原子二重結合を有する化
合物(A2)としては、(A2-1)カルボニル基含有化合
物、(A2-2)チオカルボニル基含有化合物、(A2-3)イ
ミン類などが挙げられる。カルボニル基含有化合物(A2
-1)には、ケトン及びアルデヒドが含まれ、例えば、ア
セトン、メチルエチルケトン、メチルイソプロピルケト
ン、メチルイソブチルケトン、メチルs−ブチルケト
ン、メチルt−ブチルケトン、3−ペンタノン、メチル
デシルケトン、エチルイソプロピルケトン、イソプロピ
ルブチルケトン、メチルビニルケトン、メチルイソプロ
ペニルケトン、メチルシクロヘキシルケトン、アセトフ
ェノン、メチル(2−メチルフェニル)ケトン、メチル
(2−ピリジル)ケトン、シクロヘキシルフェニルケト
ンなどの鎖状ケトン類;シクロプロパノン、シクロブタ
ノン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、4−メチ
ルシクロヘキサノン、4−クロロシクロヘキサノン、イ
ソホロン、シクロヘプタノン、シクロオクタノン、シク
ロデカノン、シクロドデカノン、シクロペンタデカノ
ン、1,3−シクロヘキサンジオン、1,4−シクロヘ
キサンジオン、1,4−シクロオクタンジオン、2,2
−ビス(4−オキソシクロヘキシル)プロパン、ビス
(4−オキソシクロヘキシル)メタン、4−(4−オキ
ソシクロヘキシル)シクロヘキサノン、2−アダマンタ
ノンなどの環状ケトン類;ビアセチル(2,3−ブタン
ジオン)、2,3−ペンタンジオン、3,4−ヘキサン
ジオン、ビベンゾイル(ベンジル)、アセチルベンゾイ
ル、シクロペンタン−1,2−ジオン、シクロヘキサン
−1,2−ジオンなどの1,2−ジカルボニル化合物
(α−ジケトン類など);アセトイン、ベンゾインなど
のα−ケトアルコール類;アセトアルデヒド、プロピオ
ンアルデヒド、ブタナール、ヘキサナール、スクシンア
ルデヒド、グルタルアルデヒド、アジピンアルデヒドな
どの脂肪族アルデヒド;シクロヘキシルアルデヒド、シ
トラール、シトロネラールなどの脂環式アルデヒド;ベ
ンズアルデヒド、ニトロベンズアルデヒド、シンナムア
ルデヒド、サリチルアルデヒド、アニスアルデヒド、フ
タルアルデヒド、イソフタルアルデヒド、テレフタルア
ルデヒドなどの芳香族アルデヒド;フルフラール、ニコ
チンアルデヒドなどの複素環アルデヒドなどが挙げられ
る。
【0060】チオカルボニル基含有化合物(A2-2)とし
ては、前記カルボニル基含有化合物(A2-1)に対応する
チオカルボニル基含有化合物が挙げられる。
【0061】イミン類(A2-3)には、前記カルボニル基
含有化合物(A2-1)と、アンモニア又はアミン類(例え
ば、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブ
チルアミン、ヘキシルアミン、ベンジルアミン、シクロ
ヘキシルアミン、アニリンなどのアミン;ヒドロキシル
アミン、O−メチルヒドロキシルアミンなどのヒドロキ
シルアミン類;ヒドラジン、メチルヒドラジン、フェニ
ルヒドラジンなどのヒドラジン類など)とから誘導され
るイミン類(オキシムやヒドラゾンも含む)が含まれ
る。
【0062】前記メチン炭素原子を有する化合物(A3)
には、(A3-1)環の構成単位としてメチン基(すなわ
ち、メチン炭素−水素結合)を含む環状化合物、(A3-
2)メチン炭素原子を有する鎖状化合物が含まれる。
【0063】環状化合物(A3-1)には、(A3-1a)少な
くとも1つのメチン基を有する橋かけ環式化合物、(A3
-1b)環に炭化水素基が結合した非芳香族性環状化合物
(脂環式炭化水素など)などが含まれる。なお、前記橋
かけ環式化合物には、2つの環が2個の炭素原子を共有
している化合物、例えば、縮合多環式芳香族炭化水素類
の水素添加生成物なども含まれる。
【0064】橋かけ環式化合物(A3-1a)としては、例
えば、デカリン、ビシクロ[2.2.0]ヘキサン、ビ
シクロ[2.2.2]オクタン、ビシクロ[3.2.
1]オクタン、ビシクロ[4.3.2]ウンデカン、ビ
シクロ[3.3.3]ウンデカン、ツジョン、カラン、
ピナン、ピネン、ボルナン、ボルニレン、ノルボルナ
ン、ノルボルネン、カンファー、ショウノウ酸、カンフ
ェン、トリシクレン、トリシクロ[5.2.1.
3,8]デカン、トリシクロ[4.2.1.12,5]デカ
ン、エキソトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン、
エンドトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン、トリ
シクロ[4.3.1.12,5]ウンデカン、トリシクロ
[4.2.2.12,5]ウンデカン、エンドトリシクロ
[5.2.2.02,6]ウンデカン、アダマンタン、1
−アダマンタノール、1−クロロアダマンタン、1−メ
チルアダマンタン、1,3−ジメチルアダマンタン、1
−メトキシアダマンタン、1−カルボキシアダマンタ
ン、1−メトキシカルボニルアダマンタン、1−ニトロ
アダマンタン、テトラシクロ[4.4.0.12,5.1
7,10]ドデカン、ペルヒドロアントラセン、ペルヒドロ
アセナフテン、ペルヒドロフェナントレン、ペルヒドロ
フェナレン、ペルヒドロインデン、キヌクリジンなどの
2〜4環式の橋かけ環式炭化水素又は橋かけ複素環化合
物及びそれらの誘導体などが挙げられる。これらの橋か
け環式化合物は、橋頭位(2環が2個の原子を共有して
いる場合には接合部位に相当)にメチン炭素原子を有す
る。
【0065】環に炭化水素基が結合した非芳香族性環状
化合物(A3-1b)としては、1−メチルシクロペンタ
ン、1−メチルシクロヘキサン、リモネン、メンテン、
メントール、カルボメントン、メントンなどの、炭素数
1〜20(好ましくは1〜10)程度の炭化水素基(例
えば、アルキル基など)が環に結合した3〜15員程度
の脂環式炭化水素及びその誘導体などが挙げられる。環
に炭化水素基が結合した非芳香族性環状化合物(A3-1
b)は、環と前記炭化水素基との結合部位にメチン炭素
原子を有する。
【0066】メチン炭素原子を有する鎖状化合物(A3-
2)としては、第3級炭素原子を有する鎖状炭化水素
類、例えば、イソブタン、イソペンタン、イソヘキサ
ン、3−メチルペンタン、2,3−ジメチルブタン、2
−メチルヘキサン、3−メチルヘキサン、3,4−ジメ
チルヘキサン、3−メチルオクタンなどの炭素数4〜2
0(好ましくは、4〜10)程度の脂肪族炭化水素類お
よびその誘導体などが例示できる。
【0067】前記不飽和結合の隣接位に炭素−水素結合
を有する化合物(A4)としては、(A4-1)芳香族性環の
隣接位(いわゆるベンジル位)にメチル基又はメチレン
基を有する芳香族化合物、(A4-2)不飽和結合(例え
ば、炭素−炭素不飽和結合、炭素−酸素二重結合など)
の隣接位にメチル基又はメチレン基を有する非芳香族性
化合物などが挙げられる。
【0068】前記芳香族性化合物(A4-1)において、芳
香族性環は、芳香族炭化水素環、芳香族性複素環の何れ
であってもよい。芳香族炭化水素環には、ベンゼン環、
縮合炭素環(例えば、ナフタレン、アズレン、インダセ
ン、アントラセン、フェナントレン、トリフェニレン、
ピレンなどの2〜10個の4〜7員炭素環が縮合した縮
合炭素環など)などが含まれる。芳香族性複素環として
は、例えば、ヘテロ原子として酸素原子を含む複素環
(例えば、フラン、オキサゾール、イソオキサゾールな
どの5員環、4−オキソ−4H−ピランなどの6員環、
ベンゾフラン、イソベンゾフラン、4−オキソ−4H−
クロメンなどの縮合環など)、ヘテロ原子としてイオウ
原子を含む複素環(例えば、チオフェン、チアゾール、
イソチアゾール、チアジアゾールなどの5員環、4−オ
キソ−4H−チオピランなどの6員環、ベンゾチオフェ
ンなどの縮合環など)、ヘテロ原子として窒素原子を含
む複素環(例えば、ピロール、ピラゾール、イミダゾー
ル、トリアゾールなどの5員環、ピリジン、ピリダジ
ン、ピリミジン、ピラジンなどの6員環、インドール、
キノリン、アクリジン、ナフチリジン、キナゾリン、プ
リンなどの縮合環など)などが挙げられる。
【0069】なお、芳香族性環の隣接位のメチレン基
は、前記芳香族性環に縮合した非芳香族性環を構成する
メチレン基であってもよい。また、前記(A4-1)におい
て、芳香族性環と隣接する位置にメチル基とメチレン基
の両方の基が存在していてもよい。
【0070】芳香族性環の隣接位にメチル基を有する芳
香族化合物としては、例えば、芳香環に1〜6個程度の
メチル基が置換した芳香族炭化水素類(例えば、トルエ
ン、キシレン、1−エチル−4−メチルベンゼン、1−
エチル−3−メチルベンゼン、1−t−ブチル−4−メ
チルベンゼン、1−メトキシ−4−メチルベンゼン、メ
シチレン、デュレン、メチルナフタレン、メチルアント
ラセン、4,4′−ジメチルビフェニルなど)、複素環
に1〜6個程度のメチル基が置換した複素環化合物(例
えば、2−メチルフラン、3−メチルフラン、3−メチ
ルチオフェン、2−メチルピリジン、3−メチルピリジ
ン、4−メチルピリジン、2,4−ジメチルピリジン、
2,4,6−トリメチルピリジン、2−クロロ−6−メ
チルピリジン、5−エチル−2−メチルピリジン、4−
メチルインドール、2−メチルキノリン、3−メチルキ
ノリン、4−メチルキノリン、5−メチルキノリン、6
−メチルキノリン、7−メチルキノリン、8−メチルキ
ノリンなどの含酸素複素環化合物、含窒素複素環化合
物、含硫黄複素環化合物など)などが例示できる。
【0071】芳香族性環の隣接位にメチレン基を有する
芳香族化合物としては、例えば、炭素数2以上のアルキ
ル基又は置換アルキル基を有する芳香族炭化水素類(例
えば、エチルベンゼン、プロピルベンゼン、1,4−ジ
エチルベンゼン、ジフェニルメタンなど)、炭素数2以
上のアルキル基又は置換アルキル基を有する芳香族性複
素環化合物(例えば、2−エチルフラン、3−プロピル
チオフェン、4−エチルピリジン、4−ブチルキノリン
などの含酸素複素環化合物、含窒素複素環化合物、含硫
黄複素環化合物など)、芳香族性環に非芳香族性環が縮
合した化合物であって、該非芳香族性環のうち芳香族性
環に隣接する部位にメチレン基を有する化合物(ジヒド
ロナフタレン、インデン、インダン、テトラリン、フル
オレン、アセナフテン、フェナレン、インダノン、キサ
ンテン等)などが例示できる。
【0072】不飽和結合の隣接位にメチル基又はメチレ
ン基を有する非芳香族性化合物(A4-2)には、例えば、
(A4-2a)いわゆるアリル位にメチル基又はメチレン基
を有する鎖状不飽和炭化水素類、(A4-2b)カルボニル
基の隣接位にメチル基又はメチレン基を有する化合物が
例示できる。
【0073】前記鎖状不飽和炭化水素類(A4-2a)とし
ては、例えば、プロピレン、1−ブテン、2−ブテン、
1−ペンテン、1−ヘキセン、2−ヘキセン、1,5−
ヘキサジエン、1−オクテン、3−オクテン、ウンデカ
トリエンなどの炭素数3〜20程度の鎖状不飽和炭化水
素類が例示できる。前記化合物(A4-2b)には、ケトン
類(例えば、アセトン、メチルエチルケトン、3−ペン
タノン、アセトフェノンなどの鎖状ケトン類;シクロヘ
キサノンなどの環状ケトン類)、カルボン酸又はその誘
導体(例えば、酢酸、プロピオン酸、ブタン酸、ペンタ
ン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、フェニル酢酸、マロン
酸、コハク酸、グルタル酸、及びこれらのエステルな
ど)などが含まれる。
【0074】前記非芳香族性環状炭化水素(A5)には、
(A5-1)シクロアルカン類及び(A5-2)シクロアルケン
類が含まれる。
【0075】シクロアルカン類(A5-1)としては、3〜
30員のシクロアルカン環を有する化合物、例えば、シ
クロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロ
ヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、シクロノ
ナン、シクロデカン、シクロドデカン、シクロテトラデ
カン、シクロヘキサデカン、シクロテトラコサン、シク
ロトリアコンタン、及びこれらの誘導体などが例示でき
る。好ましいシクロアルカン環には、5〜30員、特に
5〜20員のシクロアルカン環が含まれる。
【0076】シクロアルケン類(A5-2)には、3〜30
員のシクロアルケン環を有する化合物、例えば、シクロ
プロペン、シクロブテン、シクロペンテン、シクロオク
テン、シクロヘキセン、1−メチル−シクロヘキセン、
イソホロン、シクロヘプテン、シクロドデカエンなどの
ほか、シクロペンタジエン、1,3−シクロヘキサジエ
ン、1,5−シクロオクタジエンなどのシクロアルカジ
エン類、シクロオクタトリエンなどのシクロアルカトリ
エン類、及びこれらの誘導体などが含まれる。好ましい
シクロアルケン類には、3〜20員環、特に3〜12員
環を有する化合物が含まれる。
【0077】前記共役化合物(A6)には、共役ジエン類
(A6-1)、α,β−不飽和ニトリル(A6-2)、α,β−
不飽和カルボン酸又はその誘導体(例えば、エステル、
アミド、酸無水物等)(A6-3)などが挙げられる。
【0078】共役ジエン類(A6-1)としては、例えば、
ブタジエン、イソプレン、2−クロロブタジエン、2−
エチルブタジエンなどが挙げられる。なお、共役ジエン
類(A6-1)には、二重結合と三重結合とが共役している
化合物、例えば、ビニルアセチレンなども含めるものと
する。
【0079】α,β−不飽和ニトリル(A6-2)として
は、例えば、(メタ)アクリロニトリルなどが挙げられ
る。α,β−不飽和カルボン酸又はその誘導体(A6-3)
としては、(メタ)アクリル酸;(メタ)アクリル酸メ
チル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸
イソプロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)ア
クリル酸−2−ヒドロキシエチルなどの(メタ)アクリ
ル酸エステル;(メタ)アクリルアミド、N−メチロー
ル(メタ)アクリルアミドなど(メタ)アクリルアミド
誘導体などが挙げられる。
【0080】前記アミン類(A7)としては、第1級また
は第2級アミン、例えば、メチルアミン、エチルアミ
ン、プロピルアミン、ブチルアミン、ジメチルアミン、
ジエチルアミン、ジブチルアミン、エチレンジアミン、
1,4−ブタンジアミン、ヒドロキシルアミン、エタノ
ールアミンなどの脂肪族アミン;シクロペンチルアミ
ン、シクロヘキシルアミンなどの脂環式アミン;ベンジ
ルアミン、トルイジンなどの芳香族アミン;ピロリジ
ン、ピペリジン、ピペラジン、インドリンなどの環状ア
ミン(芳香族性又は非芳香族性環が縮合していてもよ
い)等が例示される。
【0081】前記芳香族炭化水素(A8)としては、ベン
ゼン、ナフタレン、アセナフチレン、フェナントレン、
アントラセン、ナフタセン、アセアンスリレン、トリフ
ェニレン、ピレン、クリセン、ナフタセン、ピセン、ペ
リレン、ペンタセン、コロネン、ピランスレン、オバレ
ンなどの、少なくともベンゼン環を1つ有する芳香族化
合物、好ましくは少なくともベンゼン環が複数個(例え
ば、2〜10個)縮合している縮合多環式芳香族化合物
などが挙げられる。これらの芳香族炭化水素は、1又は
2以上の置換基を有していてもよい。置換基を有する芳
香族炭化水素の具体例として、例えば、2−クロロナフ
タレン、2−メトキシナフタレン、1−メチルナフタレ
ン、2−メチルナフタレン、2−メチルアントラセン、
2−t−ブチルアントラセン、2−カルボキシアントラ
セン、2−エトキシカルボニルアントラセン、2−シア
ノアントラセン、2−ニトロアントラセン、2−メチル
ペンタレンなどが挙げられる。また、前記ベンゼン環に
は、非芳香族性炭素環、芳香族性複素環、又は非芳香族
性複素環が縮合していてもよい。
【0082】前記直鎖状アルカン(A9)としては、例え
ば、メタン、エタン、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘ
キサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ドデカ
ン、テトラデカン、ヘキサデカン等の炭素数1〜30程
度(好ましくは炭素数1〜20程度)の直鎖状アルカン
が挙げられる。
【0083】前記オレフィン類(A10)としては、置換
基(例えば、ヒドロキシル基、アシルオキシ基等の前記
例示の置換基など)を有していてもよいα−オレフィン
及び内部オレフィンの何れであってもよく、ジエンなど
の炭素−炭素二重結合を複数個有するオレフィン類も含
まれる。例えば、オレフィン類(A10)として、エチレ
ン、プロピレン、1−ブテン、2−ブテン、イソブテ
ン、1−ペンテン、2−ペンテン、2,4,4−トリメ
チル−2−ペンテン、1−ヘキセン、2−ヘキセン、
2,3−ジメチル−2−ブテン、3−ヘキセン、3−ヘ
キセン−1−オール、2−ヘキセン−1−オール、1−
オクテン−3−オール、1−ヘプテン、1−オクテン、
2−オクテン、3−オクテン、4−オクテン、1−ノネ
ン、2−ノネン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ド
デセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1,5
−ヘキサジエン、1,6−ヘプタジエン、1,7−オク
タジエン、1−アセトキシ−3,7−ジメチル−2,6
−オクタジエン、スチレン、ビニルトルエン、α−メチ
ルスチレン、3−ビニルピリジン、3−ビニルチオフェ
ンなどの鎖状オレフィン類;シクロプロペン、シクロブ
テン、シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロヘプテ
ン、シクロオクテン、シクロノネン、シクロデセン、シ
クロウンデセン、シクロドデセン、1,4−シクロヘキ
サジエン、1,4−シクロヘプタジエン、シクロデカジ
エン、シクロドデカジエン、リモネン、1−p−メンテ
ン、3−p−メンテン、カルベオール、ビシクロ[2.
2.1]ヘプト−2−エン、ビシクロ[3.2.1]オ
クタ−2−エン、α−ピネン、2−ボルネンなどの環状
オレフィン類などが挙げられる。
【0084】上記のラジカルを生成可能な化合物は単独
で用いてもよく、同種又は異種のものを2種以上組み合
わせて用いてもよい。これらの化合物を2種以上、特に
異種の化合物を2種以上併用すると、例えば酸素などの
酸素原子含有ガスと反応させる場合などには、一方の基
質が他方の基質の共反応剤(共酸化剤など)として機能
し、反応速度が著しく向上することがある。
【0085】[酸素原子含有反応剤(B)]酸素原子含
有反応剤(B)には、酸素原子を含む種々の反応剤[酸
素原子含有ガスなど(窒素酸化物を除く)]が含まれ
る。このような反応剤として、例えば、酸素、一酸化炭
素、硫黄酸化物などが挙げられる。
【0086】酸素は、分子状酸素、活性酸素の何れであ
ってもよい。分子状酸素は、特に制限されず、純粋な酸
素を用いてもよく、窒素、ヘリウム、アルゴン、二酸化
炭素などの不活性ガスで希釈した酸素や空気を使用して
もよい。酸素として分子状酸素を用いる場合が多い。
【0087】一酸化炭素としては、純粋な一酸化炭素で
あってもよいが、不活性ガスで希釈して用いてもよい。
【0088】硫黄酸化物には、Spq(式中、pは1又
は2、qは1〜7の整数を示す)で表される化合物が含
まれる。この化合物において、pが1である場合、qは
通常1〜4の整数であり、pが2である場合、qは通常
3又は7である。硫黄酸化物の代表的な例として、例え
ば、SO、S23、SO2、SO3、S27、SO4など
が挙げられる。これらの硫黄酸化物は単独で又は2種以
上を組み合わせて使用できる。なお、三酸化硫黄として
三酸化硫黄を含む発煙硫酸を用いてもよい。
【0089】好ましい硫黄酸化物には、二酸化硫黄(S
2)及び三酸化硫黄(SO3)から選択された少なくと
も1種を主成分として含む硫黄酸化物が含まれる。
【0090】上記の酸素原子含有反応剤を1種又は2種
以上選択して使用することにより、前記ラジカルを生成
可能な化合物(A)を、例えば、酸化、カルボキシル
化、スルホン化でき、酸素原子含有反応剤(B)に由来
する酸素原子含有基(例えば、ヒドロキシル基、オキソ
基、カルボキシル基、スルホン酸基等)を含む有機化合
物を得ることができる。また、2種以上の酸素原子含有
反応剤を併用することにより、分子内に、2種以上の異
種官能基を導入することができる。なお、この場合、2
種以上の酸素原子含有反応剤を同時に用いてもよく、逐
次的に用いてもよい。
【0091】[反応]反応は溶媒の存在下又は非存在下
で行われる。溶媒としては、例えば、酢酸、プロピオン
酸、トリフルオロ酢酸などの有機酸;アセトニトリル、
プロピオニトリル、ベンゾニトリルなどのニトリル類;
ホルムアミド、アセトアミド、ジメチルホルムアミド
(DMF)、ジメチルアセトアミドなどのアミド類;ヘ
キサン、オクタンなどの脂肪族炭化水素;クロロホル
ム、ジクロロメタン、ジクロロエタン、四塩化炭素、ク
ロロベンゼン、トリフルオロメチルベンゼンなどのハロ
ゲン化炭化水素;ニトロベンゼン、ニトロメタン、ニト
ロエタンなどのニトロ化合物;酢酸エチル、酢酸ブチル
などのエステル類;水;これらの混合溶媒などが挙げら
れる。溶媒としては、酢酸、トリフルオロ酢酸などの有
機酸類、アセトニトリルやベンゾニトリルなどのニトリ
ル類、トリフルオロメチルベンゼンなどのハロゲン化炭
化水素、酢酸エチルなどのエステル類などを用いる場合
が多い。
【0092】酸素原子含有反応剤(B)の使用量は、そ
の種類により異なり、反応性や操作性等を考慮して適宜
選択できる。例えば、酸素原子反応剤として酸素を用い
る場合(酸化)、酸素の使用量は、化合物(A)1モル
に対して0.5モル以上(例えば、1モル以上)、好ま
しくは1〜100モル、さらに好ましくは2〜50モル
程度である。化合物(A)に対して過剰モルの酸素を使
用する場合が多い。
【0093】酸素原子含有反応剤(B)として一酸化炭
素と酸素を併用する場合(カルボキシル化)、化合物
(A)1モルに対して1モル以上(例えば、1〜100
モル程度)の一酸化炭素と0.5モル以上(例えば、
0.5〜50モル程度)の酸素を用いることが多い。こ
の場合、一酸化炭素と酸素の割合は、一酸化炭素/酸素
(モル比)=1/99〜99.99/0.01、好まし
くは10/90〜99/1程度である。
【0094】酸素原子含有反応剤(B)として硫黄酸化
物を用いる場合(スルホン化等)、該硫黄酸化物の使用
量は、硫黄酸化物の種類や化合物(A)の種類等に応じ
て適宜選択できるが、一般には、化合物(A)1モルに
対して1〜50モル、好ましくは1.5〜30モル程度
の範囲から選択できる。硫黄酸化物の大過剰雰囲気下で
反応を行ってもよい。なお、硫黄酸化物(例えば、二酸
化硫黄)と酸素とを併用すると、目的化合物の収率が向
上する場合がある。この場合、硫黄酸化物(例えば、二
酸化硫黄)と酸素の割合は、例えば、前者/後者(モル
比)=1/99〜99/1、好ましくは10/90〜9
0/10、さらに好ましくは前者/後者(モル比)=3
0/70〜70/30程度である。
【0095】反応温度は、化合物(A)や酸素原子含有
反応剤(B)の種類等に応じて適当に選択できる。例え
ば、酸素原子含有反応剤(B)として酸素を用いる場合
には、反応温度は0〜300℃、好ましくは20〜25
0℃、さらに好ましくは30〜150℃程度である。特
に、アダマンタン類からアダマンタンジオール類を得る
場合など、メチン炭素原子を有する化合物(A3)等から
対応するヒドロキシ化合物を製造する場合には、反応温
度を30〜100℃程度、とりわけ45〜65℃程度の
範囲に設定することにより、目的のヒドロキシ化合物の
選択率が向上して、該化合物を高い収率で得ることがで
きる。
【0096】酸素原子含有ガスとして一酸化炭素と酸素
とを用いる場合には、反応温度は、例えば0〜200℃
程度、好ましくは10〜150℃程度である。また、酸
素原子含有反応剤(B)として硫黄酸化物を用いる場合
(酸素を併用する場合も含む)の反応温度は、例えば0
〜150℃程度、好ましくは10〜125℃程度であ
る。
【0097】反応圧力は、常圧、加圧下の何れであって
もよい。加圧下で行う場合には、通常、0.1〜10M
Pa、好ましくは0.2〜7MPa程度である。反応
は、回分式、半回分式、連続式などの慣用の方法により
行うことができる。
【0098】反応終了後、反応生成物は、例えば、濾
過、濃縮、蒸留、抽出、晶析、再結晶、吸着、カラムク
ロマトグラフィーなどの分離手段やこれらを組み合わせ
ることにより分離精製できる。
【0099】この方法によれば、温和な条件下、酸素原
子含有反応剤(B)の種類に応じた反応生成物を収率よ
く得ることができる。
【0100】より具体的には、酸素原子含有反応剤
(B)として酸素を用いた場合には、酸化反応が進行し
て対応する酸化生成物が得られる。例えば、化合物
(A)として前記ヘテロ原子の隣接位に炭素−水素結合
を有するヘテロ原子含有化合物(A1)を用いると、該ヘ
テロ原子の隣接位の炭素原子が酸化される。例えば、第
1級アルコールからは対応するアルデヒド又はカルボン
酸が生成し、第2級アルコールからは対応するケトンな
どが生成する。また、エーテルからはエステルや酸無水
物が生成する。さらに、環状エーテルからはラクトンが
生成する。
【0101】化合物(A)として炭素−ヘテロ原子二重
結合を有する化合物(A2)を用いた場合には、ヘテロ原
子の種類等に応じた酸化反応生成物が得られる。例え
ば、ケトン類を酸化すると、開裂してカルボン酸等が生
成し、例えばシクロヘキサノンなどの環状ケトン類から
は、アジピン酸などのジカルボン酸が得られる。また、
この場合、第2級アルコール(例えばベンズヒドロール
等)などのヘテロ原子の隣接位に炭素−水素結合を有す
るヘテロ原子含有化合物(A1)等を共反応剤(共酸化
剤)として用いると、温和な条件下でバイヤービリガー
型の反応が進行して、環状ケトン類からは対応するラク
トン類を、鎖状ケトン類からは対応するエステルをそれ
ぞれ収率よく得ることができる。また、アルデヒド類か
らは対応するカルボン酸が生成する。
【0102】また、化合物(A)としてメチン炭素原子
を有する化合物(A3)を用いると、メチン炭素にヒドロ
キシル基が導入されたアルコール誘導体を高い収率で得
ることができる。例えば、アダマンタンなどの橋かけ環
式炭化水素類(A3-1a)を酸化すると、橋頭位にヒドロ
キシル基が導入されたアルコール誘導体、例えば、1−
アダマンタノール、1,3−アダマンタンジオール及び
1,3,5−アダマンタントリオールを高い選択率で得
ることができる。イソブタンなどのメチン炭素原子を有
する鎖状化合物(A3-2)からは、t−ブタノールなどの
第3級アルコールを高い収率で得ることができる。
【0103】化合物(A)として不飽和結合の隣接位に
炭素−水素結合を有する化合物(A4)を用いると、不飽
和結合の隣接位が効率よく酸化されて、アルコールやカ
ルボン酸などが生成する。例えば、不飽和結合の隣接位
にメチル基を有する化合物からは、第1級アルコール類
又はカルボン酸類を高い収率で得ることができる。具体
的には、例えば、トルエンからは安息香酸など、3−メ
チルピリジンからはニコチン酸など、メチルキノリン類
からはキノリンカルボン酸類などが収率よく得られる。
また、不飽和結合の隣接位にメチレン基を有する化合物
からは、第2級アルコール類、ケトン類、カルボン酸類
などを得ることができる。
【0104】化合物(A)として非芳香族性環状炭化水
素(A5)を用いると、環を構成する炭素原子にヒドロキ
シ基又はオキソ基が導入されたアルコール又はケトン、
又は反応条件により、環が酸化的に開裂して対応するジ
カルボン酸が生成する。例えば、シクロヘキサンから
は、条件を適宜選択することにより、シクロヘキシルア
ルコール、シクロヘキサノン又はアジピン酸を選択性良
く得ることができる。
【0105】化合物(A)として共役化合物(A6)を用
いると、その構造により各種化合物が生成する。例え
ば、共役ジエン類の酸化によりアルケンジオールなどが
生成する。具体的には、ブタジエンを酸化すると、2−
ブテン−1,4−ジオール、1−ブテン−3,4−ジオ
ールなどが得られる。α,β−不飽和ニトリルやα,β
−不飽和カルボン酸又はその誘導体を酸化すると、α,
β−不飽和結合部位が選択的に酸化されて、前記不飽和
結合が単結合となり、且つβ位が、ホルミル基、アセタ
ール基(アルコール存在下で反応させた場合)又はアシ
ルオキシ基(カルボン酸存在下で反応させた場合)に変
換されるた化合物が得られる。より具体的には、例え
ば、メタノールの存在下で、アクリロニトリル及びアク
リル酸メチルを酸化すると、それぞれ、3,3−ジメト
キシプロピオニトリル及び3,3−ジメトキシプロピオ
ン酸メチルが生成する。
【0106】化合物(A)としてアミン類(A7)を用い
ると、対応するシッフ塩基、オキシムなどが生成する。
アミン類(A7)のなかでも、環状アミンからは対応する
ラクタムが生成する。
【0107】また、化合物(A)として芳香族化合物
(A8)を用いる場合、不飽和結合の隣接位に炭素−水素
結合を有する化合物(例えばフルオレン等)(A4)など
を共反応剤(共酸化剤)として共存させると、対応する
キノン類が収率良く生成する。また、直鎖状アルカン
(A9)からはアルコールなどが生成する。
【0108】さらに、化合物(A)としてオレフィン類
(A10)を用いる場合、第2級アルコールなどのヘテロ
原子の隣接位に炭素−水素結合を有するヘテロ原子含有
化合物(A1)や不飽和結合の隣接位に炭素−水素結合を
有する化合物(A4)などを共反応剤(共酸化剤)として
共存させると、温和な条件下でエポキシ化反応が進行し
て、対応するエポキシドを収率よく得ることができる。
【0109】酸素原子含有反応剤(B)として一酸化炭
素と酸素とを用いた場合には、カルボキシル化反応が円
滑に進行し、対応するカルボン酸を収率よく得ることが
できる。例えば、化合物(A)としてメチン炭素原子を
有する化合物(A3)を用いた場合には、該メチン炭素原
子にカルボキシル基が導入され、不飽和結合の隣接位に
炭素−水素結合を有する化合物(A4)では、該炭素−水
素結合に係る炭素原子にカルボキシル基が導入される。
また、シクロヘキサンなどの非芳香族性環状炭化水素
(A5)からは、環を構成する炭素原子にカルボキシル基
が結合したカルボン酸が生成する。さらに、直鎖アルカ
ン(A9)から対応するカルボン酸が生成する。
【0110】酸素原子含有反応剤(B)として硫黄酸化
物を用いた場合には、スルホン化やスルフィン化反応が
進行し、対応する有機硫黄酸又はその塩が得られる。例
えば、化合物(A)としてメチン炭素原子を有する化合
物(A3)を用いると、該メチン炭素原子に硫黄酸基が導
入され、不飽和結合の隣接位に炭素−水素結合を有する
化合物(A4)を用いると、該炭素−水素結合に係る炭素
原子に硫黄酸基(スルホン酸基、スルフィン酸基等)が
導入される。また、シクロヘキサンなどの非芳香族性環
状炭化水素(A5)からは、環を構成する炭素原子に硫黄
酸基が結合した有機硫黄酸が生成する。さらに、直鎖ア
ルカン(A9)から対応する有機硫黄酸が生成する。生成
した有機硫黄酸は、慣用の方法、例えば、水などの適当
な溶媒中で、アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属炭酸
塩、アルカリ金属炭酸水素塩、アルカリ土類金属水酸化
物、アルカリ土類金属炭酸塩、アミン類、チオ尿素類、
イソチオ尿素類などと反応させることにより、対応する
有機硫黄酸塩に変換することができる。
【0111】
【発明の効果】本発明の方法によれば、特定構造のイミ
ド化合物と窒素酸化物とを組み合わせて触媒として用い
るので、ラジカル機構により、酸素原子含有基を含む有
機化合物を温和な条件で、しかも効率よく製造すること
ができる。また、温和な条件で反応を行うことができる
ため、反応の選択性が高く、しかも用いるイミド化合物
触媒の失活を抑制できるとともに、アダマンタン等の昇
華性の物質を反応成分として用いても、昇華によるトラ
ブルや収率の低下等を防止できる。
【0112】また、本発明の方法によれば、ヒドロキシ
ル基、オキソ基、カルボキシル基、ニトロ基、スルホン
酸基などの酸素原子含有基を有する有機化合物を、非常
に温和な条件で簡易に且つ選択性よく製造することがで
きる。特に、本発明では、酸素を用いる酸化反応におい
てはアルコールなどの低次酸化生成物を高い選択率で得
ることが可能である。
【0113】
【実施例】以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細
に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定
されるものではない。
【0114】実施例1 アダマンタン3.0g、N−ヒドロキシフタルイミド
0.72g(20モル%)、バナジウムアセチルアセト
ナトV(acac)3 0.023g(0.3モル%)、
及び酢酸27.0gをフラスコに入れ、これに液化した
二酸化窒素(NO 2)を0.10g(10モル%)加
え、酸素1気圧(0.1MPa)の雰囲気下、55℃で
6時間攪拌した。反応混合物をガスクロマトグラフィー
で分析したところ、1−アダマンタノールが収率35
%、1,3−アダマンタンジオールが収率20%、1,
3,5−アダマンタントリオールが収率2%、2−アダ
マンタノンが収率6%で生成していた。アダマンタンの
転化率は85%であった。
【0115】比較例1 二酸化窒素を添加しなかった点以外は実施例1と同様の
操作を行ったところ、反応は進行せず、アダマンタンが
100%回収された。
【0116】実施例2 3−メチルキノリン1ミリモル、N−ヒドロキシフタル
イミド0.2ミリモル(20モル%)、及び酢酸5ml
をフラスコに入れ、これに液化した二酸化窒素(N
2)を0.1ミリモル(10モル%)加え、酸素1気
圧(0.1MPa)の雰囲気下、110℃で15時間攪
拌した。反応混合物を分析したところ、3−キノリンカ
ルボン酸が収率35%で生成していた。3−メチルキノ
リンの転化率は70%であった。
【0117】実施例3 3−メチルキノリン1ミリモル、N−ヒドロキシフタル
イミド0.2ミリモル(20モル%)、酢酸コバルト
(II)0.02ミリモル(2モル%)、酢酸マンガン
(II)0.01ミリモル(1モル%)及び酢酸5mlを
フラスコに入れ、これに液化した二酸化窒素(NO2
を0.1ミリモル(10モル%)加え、酸素1気圧
(0.1MPa)の雰囲気下、110℃で15時間攪拌
した。反応混合物を分析したところ、3−キノリンカル
ボン酸が収率75%で生成していた。3−メチルキノリ
ンの転化率は90%であった。
【0118】比較例2 二酸化窒素を添加しなかった点以外は実施例3と同様の
操作を行ったところ、反応は進行せず、3−メチルキノ
リンが100%回収された。
【0119】実施例4 2−メチルキノリン1ミリモル、N−ヒドロキシフタル
イミド0.2ミリモル(20モル%)、酢酸コバルト
(II)0.02ミリモル(2モル%)、酢酸マンガン
(II)0.001ミリモル(0.1モル%)及び酢酸5
mlをフラスコに入れ、これに液化した二酸化窒素(N
2)を0.1ミリモル(10モル%)加え、空気20
気圧(2MPa)の雰囲気下、130℃で15時間攪拌
した。反応混合物を分析したところ、2−キノリンカル
ボン酸が収率49%で生成していた。2−メチルキノリ
ンの転化率は77%であった。
【0120】実施例5 4−メチルキノリン1ミリモル、N−ヒドロキシフタル
イミド0.2ミリモル(20モル%)、酢酸コバルト
(II)0.02ミリモル(2モル%)、酢酸マンガン
(II)0.001ミリモル(0.1モル%)及び酢酸5
mlをフラスコに入れ、これに液化した二酸化窒素(N
2)を0.1ミリモル(10モル%)加え、空気20
気圧(2MPa)の雰囲気下、150℃で5時間攪拌し
た。反応混合物を分析したところ、4−キノリンカルボ
ン酸が収率87%で生成していた。4−メチルキノリン
の転化率は98%であった。
【0121】実施例6 6−メチルキノリン1ミリモル、N−ヒドロキシフタル
イミド0.2ミリモル(20モル%)、及び酢酸5ml
をフラスコに入れ、これに液化した二酸化窒素(N
2)を0.1ミリモル(10モル%)加え、酸素1気
圧(0.1MPa)の雰囲気下、110℃で15時間攪
拌した。反応混合物を分析したところ、6−キノリンカ
ルボン酸が収率19%で生成していた。6−メチルキノ
リンの転化率は31%であった。
【0122】実施例7 6−メチルキノリン1ミリモル、N−ヒドロキシフタル
イミド0.2ミリモル(20モル%)、酢酸コバルト
(II)0.02ミリモル(2モル%)、酢酸マンガン
(II)0.001ミリモル(0.1モル%)及び酢酸5
mlをフラスコに入れ、これに液化した二酸化窒素(N
2)を0.1ミリモル(10モル%)加え、酸素1気
圧(0.1MPa)の雰囲気下、110℃で15時間攪
拌した。反応混合物を分析したところ、6−キノリンカ
ルボン酸が収率48%で生成していた。6−メチルキノ
リンの転化率は59%であった。
【0123】実施例8 7−メチルキノリン1ミリモル、N−ヒドロキシフタル
イミド0.2ミリモル(20モル%)、及び酢酸5ml
をフラスコに入れ、これに液化した二酸化窒素(N
2)を0.1ミリモル(10モル%)加え、酸素1気
圧(0.1MPa)の雰囲気下、110℃で15時間攪
拌した。反応混合物を分析したところ、7−キノリンカ
ルボン酸が収率54%で生成していた。7−メチルキノ
リンの転化率は74%であった。
【0124】実施例9 8−メチルキノリン1ミリモル、N−ヒドロキシフタル
イミド0.2ミリモル(20モル%)、及び酢酸5ml
をフラスコに入れ、これに液化した二酸化窒素(N
2)を0.1ミリモル(10モル%)加え、酸素1気
圧(0.1MPa)の雰囲気下、110℃で15時間攪
拌した。反応混合物を分析したところ、8−キノリンカ
ルボン酸が収率24%で生成していた。8−メチルキノ
リンの転化率は27%であった。
【0125】実施例10 8−メチルキノリン1ミリモル、N−ヒドロキシフタル
イミド0.2ミリモル(20モル%)、酢酸コバルト
(II)0.02ミリモル(2モル%)、酢酸マンガン
(II)0.001ミリモル(0.1モル%)及び酢酸5
mlをフラスコに入れ、これに液化した二酸化窒素(N
2)を0.1ミリモル(10モル%)加え、酸素1気
圧(0.1MPa)の雰囲気下、110℃で15時間攪
拌した。反応混合物を分析したところ、8−キノリンカ
ルボン酸が収率35%で生成していた。8−メチルキノ
リンの転化率は40%であった。
【0126】実施例11 2−メチルキノリン1ミリモル、N−ヒドロキシフタル
イミド0.2ミリモル(20モル%)、及び酢酸5ml
をフラスコに入れ、これに液化した二酸化窒素(N
2)を0.3ミリモル(30モル%)加え、酸素1気
圧(0.1MPa)の雰囲気下、110℃で15時間攪
拌した。反応混合物を分析したところ、2−キノリンカ
ルボン酸が収率64%で生成していた。2−メチルキノ
リンの転化率は70%であった。
【0127】実施例12 3−メチルピリジン(β−ピコリン)2ミリモル、N−
ヒドロキシフタルイミド0.2ミリモル(10モル
%)、酢酸コバルト(II)0.01ミリモル(0.5モ
ル%)、酢酸マンガン(II)0.002ミリモル(0.
1モル%)及び酢酸2mlをフラスコに入れ、これに液
化した二酸化窒素(NO2)を0.2ミリモル(10モ
ル%)加え、酸素1気圧(0.1MPa)の雰囲気下、
100℃で15時間攪拌した。反応混合物を分析したと
ころ、ニコチン酸が収率46%で生成していた。3−メ
チルピリジンの転化率は50%であった。
【0128】実施例13 2−クロロ−6−メチルピリジン2ミリモル、N−ヒド
ロキシフタルイミド0.2ミリモル(10モル%)、酢
酸コバルト(II)0.04ミリモル(2モル%)、酢酸
マンガン(II)0.002ミリモル(0.1モル%)及
び酢酸7mlをフラスコに入れ、これに液化した二酸化
窒素(NO2)を0.2ミリモル(10モル%)加え、
空気20気圧(2MPa)の雰囲気下、150℃で15
時間攪拌した。反応混合物を分析したところ、2−クロ
ロ−6−ピリジンカルボン酸が収率58%で生成してい
た。2−クロロ−6−メチルピリジンの転化率は64%
であった。
【0129】実施例14 5−エチル−2−メチルピリジン2ミリモル、N−ヒド
ロキシフタルイミド0.2ミリモル(10モル%)、酢
酸コバルト(II)0.04ミリモル(2モル%)、酢酸
マンガン(II)0.002ミリモル(0.1モル%)及
び酢酸7mlをフラスコに入れ、これに液化した二酸化
窒素(NO2)を0.2ミリモル(10モル%)加え、
空気20気圧(2MPa)の雰囲気下、130℃で10
時間攪拌した。反応混合物を分析したところ、5−アセ
チル−2−メチルピリジンが収率45%で、5−(1−
アセトキシエチル)−2−メチルピリジンが収率2%
で、2−メチル−5−ピリジンカルボン酸が収率15%
で、2,5−ピリジンジカルボン酸が痕跡量生成してい
た。5−エチル−2−メチルピリジンの転化率は70%
であった。
【0130】実施例15 5−エチル−2−メチルピリジン2ミリモル、N−ヒド
ロキシフタルイミド0.2ミリモル(10モル%)、酢
酸コバルト(II)0.04ミリモル(2モル%)、酢酸
マンガン(II)0.002ミリモル(0.1モル%)及
び酢酸7mlをフラスコに入れ、これに液化した二酸化
窒素(NO2)を0.2ミリモル(10モル%)加え、
空気20気圧(2MPa)の雰囲気下、150℃で5時
間攪拌した。反応混合物を分析したところ、5−アセチ
ル−2−メチルピリジンが収率11%で、5−(1−ア
セトキシエチル)−2−メチルピリジンが収率7%で、
2−メチル−5−ピリジンカルボン酸が収率40%で、
2,5−ピリジンジカルボン酸が収率4%で、ニコチン
酸が痕跡量生成していた。5−エチル−2−メチルピリ
ジンの転化率は70%であった。
【0131】実施例16 5−エチル−2−メチルピリジン2ミリモル、N−ヒド
ロキシフタルイミド0.2ミリモル(10モル%)、酢
酸コバルト(II)0.04ミリモル(2モル%)、酢酸
マンガン(II)0.002ミリモル(0.1モル%)及
び酢酸7mlをフラスコに入れ、これに液化した二酸化
窒素(NO2)を0.2ミリモル(10モル%)加え、
空気20気圧(2MPa)の雰囲気下、180℃で5時
間攪拌した。反応混合物を分析したところ、5−アセチ
ル−2−メチルピリジンが収率5%で、5−(1−アセ
トキシエチル)−2−メチルピリジンが収率10%で、
2−メチル−5−ピリジンカルボン酸が収率16%で、
2,5−ピリジンジカルボン酸が収率1%で、ニコチン
酸が収率37%で生成していた。5−エチル−2−メチ
ルピリジンの転化率は73%であった。
【0132】実施例17 3−メチルキノリン1ミリモル、N,N′−ジヒドロキ
シピロメリット酸イミド0.1ミリモル(10モル
%)、酢酸コバルト(II)0.02ミリモル(2モル
%)、酢酸マンガン(II)0.001ミリモル(0.1
モル%)及び酢酸5mlをフラスコに入れ、これに液化
した二酸化窒素(NO2)を0.1ミリモル(10モル
%)加え、酸素1気圧(0.1MPa)の雰囲気下、1
00℃で15時間攪拌した。反応混合物を分析したとこ
ろ、3−キノリンカルボン酸が収率85%で生成してい
た。3−メチルキノリンの転化率は95%であった。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C07B 41/06 C07B 41/06 C 41/08 41/08 C07C 27/12 300 C07C 27/12 300 29/50 29/50 35/37 35/37 45/33 45/33 49/453 49/453 C07D 213/79 C07D 213/79 213/80 213/80 // C07B 61/00 300 C07B 61/00 300 C07D 215/48 C07D 215/48 215/50 215/50 215/54 215/54 Fターム(参考) 4C031 MA01 MA10 NA10 4C055 AA01 BA02 BA03 BA05 BA06 BA39 BA57 BB02 CA02 CA17 CA18 CA57 CB02 DA01 FA11 FA32 FA37 4G069 AA06 BA21A BA21B BA27A BA27B BB01A BB01B BB04A BB05A BB07A BB08A BB10A BB12A BB14A BB16A BC08A BC09A BC10A BC12A BC24A BC25A BC26A BC30A BC31A BC34A BC35A BC38A BC39A BC41A BC45A BC49A BC50A BC51A BC52A BC53A BC54A BC54B BC57A BC58A BC59A BC60A BC61A BC62A BC62B BC65A BC66A BC67A BC67B BC69A BC70A BD02A BD02B BD06A BD06B BD12A BD13A BD14A BD15A BE04A BE06A BE08A BE08B BE11A BE11B BE14A BE15A BE19A BE19B BE26A BE27A BE36A BE37A BE38A BE38B BE42A BE43A BE45A BE46A BE47A CB07 CB74 FC08 4H006 AA02 AC41 AC44 AC46 BA12 BA30 BA34 BA45 BA51 BC34 BE30 BE40 BE42 BE43 FC36 FE12 4H039 CA60 CA62 CA65 CC30

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (i)下記式(I) 【化1】 [式中、Xは酸素原子又は−OR基(Rは水素原子又は
    ヒドロキシル基の保護基を示す)を示す]で表される環
    状イミド骨格を有するイミド化合物と、(ii)触媒量の
    窒素酸化物の存在下、(A)ラジカルを生成可能な化合
    物と、(B)酸素原子含有反応剤(窒素酸化物を除く)
    とを反応させて、前記化合物(A)に前記酸素原子含有
    反応剤(B)由来の酸素原子含有基が導入された酸素原
    子含有基を含む有機化合物を生成させることを特徴とす
    る有機化合物の製造法。
  2. 【請求項2】 イミド化合物が、下記式(1) 【化2】 [式中、R1及びR2は、同一又は異なって、水素原子、
    ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、シクロアルキ
    ル基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、カルボキシル
    基、アルコキシカルボニル基、アシル基を示し、R1
    びR2は互いに結合して二重結合、又は芳香族性若しく
    は非芳香族性の環を形成してもよい。Xは酸素原子又は
    −OR基(Rは水素原子又はヒドロキシル基の保護基を
    示す)を示す。前記R1、R2、又はR1及びR2が互いに
    結合して形成された二重結合又は芳香族性若しくは非芳
    香族性の環には、上記式(1)中に示されるN−置換環
    状イミド基がさらに1又は2個形成されていてもよい)
    で表される化合物である請求項1記載の有機化合物の製
    造法。
  3. 【請求項3】 窒素酸化物が、下記式(2) Nxy (2) (式中、xは1又は2、yは1〜6の整数を示す)で表
    される化合物である請求項1記載の有機化合物の製造
    法。
  4. 【請求項4】 窒素酸化物の使用量が、ラジカルを生成
    可能な化合物(A)1モルに対して0.0001〜0.
    2モルである請求項1又は3記載の有機化合物の製造
    法。
  5. 【請求項5】 ラジカルを生成可能な化合物(A)が、
    (A1)ヘテロ原子の隣接位に炭素−水素結合を有するヘ
    テロ原子含有化合物、(A2)炭素−ヘテロ原子二重結合
    を有する化合物、(A3)メチン炭素原子を有する化合
    物、(A4)不飽和結合の隣接位に炭素−水素結合を有す
    る化合物、(A5)非芳香族性環状炭化水素、(A6)共役
    化合物、(A7)アミン類、(A8)芳香族化合物、(A9)
    直鎖状アルカン、及び(A10)オレフィン類からなる群
    から選択された少なくとも1種の化合物である請求項1
    記載の有機化合物の製造法。
  6. 【請求項6】 酸素原子含有反応剤(B)が、酸素、一
    酸化炭素及び硫黄酸化物から選択された少なくとも1種
    である請求項1記載の有機化合物の製造法。
  7. 【請求項7】 金属化合物を助触媒として用いる請求項
    1〜6の何れかの項に記載の有機化合物の製造法。
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