JP2002224018A - 内視鏡用可撓管 - Google Patents

内視鏡用可撓管

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JP2002224018A
JP2002224018A JP2001028515A JP2001028515A JP2002224018A JP 2002224018 A JP2002224018 A JP 2002224018A JP 2001028515 A JP2001028515 A JP 2001028515A JP 2001028515 A JP2001028515 A JP 2001028515A JP 2002224018 A JP2002224018 A JP 2002224018A
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JP
Japan
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flexible tube
endoscope
coating layer
urethane
based elastomer
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Pending
Application number
JP2001028515A
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English (en)
Inventor
Sukenao Abe
祐尚 阿部
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Pentax Corp
Original Assignee
Asahi Kogaku Kogyo Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】弾力性、耐久性に優れた内視鏡用可撓管を提供
すること。 【解決手段】挿入部可撓管1は、帯状材を螺旋状に巻回
して形成された螺旋管21と、細線23を編組して形成
された網状管22と、可撓性を有する外皮3とを有す
る。細線23の少なくとも1本には、被覆層231が形
成されている。被覆層231は、主として、ウレタン系
エラストマー(有機材料)と、シリカ(無機材料)との
複合体で構成されている。前記複合体においては、前記
ウレタン系エラストマーのハードセグメントに、前記シ
リカが結合して複合ドメインを形成している。また、前
記複合体は、ウレタン系エラストマーのソフトセグメン
トと、前記複合ドメインとが二層分離した構造を有す
る。被覆層231の平均厚さは、1〜100μmであ
る。外皮3は、少なくとも被覆層231と接触する側の
部位がウレタン系エラストマーを含む材料で構成されて
いる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、内視鏡用可撓管に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】内視鏡用可撓管は、螺旋管の外周を網状
管で被覆した管状の芯材に、合成樹脂等で構成される外
皮が被覆された構成となっている。
【0003】内視鏡検査では、内視鏡用可撓管は、例え
ば、胃、十二指腸、小腸あるいは大腸といった体腔の深
部まで、湾曲しながら挿入される。この挿入の際の操作
性が良好であるためには、内視鏡用可撓管の基端側(手
元側)で加えられた押し込む力がその先端まで確実に伝
達される必要がある。逆に言うと、内視鏡用可撓管の基
端側で加えられた押し込む力が内視鏡用可撓管の屈曲部
分で吸収されてしまう状態(座屈状態)になり易い内視
鏡用可撓管は、操作性が良くない。座屈しにくい内視鏡
用可撓管とするためには、内視鏡用可撓管は、曲げに対
する弾力性に優れたものである必要がある。また、座屈
は、外皮が芯材から剥離した箇所に発生し易いため、外
皮と芯材とは密着している必要がある。
【0004】また、挿入の際の操作性が良好であるため
には、内視鏡用可撓管の基端側(手元側)で捩じり(回
転)を加えたときに、この回転が途中で吸収されること
なく、先端部が基端側に伴って確実に回転する必要もあ
る。このため、内視鏡用可撓管は、基端側での回転に対
する先端部の追従性に優れたものである必要もある。
【0005】内視鏡用可撓管の弾発性を向上させるた
め、内視鏡用可撓管の外皮を外層と内層との2層構造と
し、外層を柔軟性の良い材質、内層を弾発性の良い材質
で構成した内視鏡用可撓管が特公平5−50287号公
報に開示されている。
【0006】しかし、前記従来技術においては、外皮と
芯材との密着力(結合力)が考慮されていないため、繰
り返し使用することにより、外皮が芯材から剥離し、内
視鏡用可撓管の弾力性および耐座屈性が低下することが
あった。すなわち、内視鏡用可撓管の耐久性に問題があ
った。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、弾力
性および耐久性に優れた内視鏡用可撓管を提供すること
にある。
【0008】
【課題を解決するための手段】このような目的は、下記
(1)〜(15)の本発明により達成される。
【0009】(1) 帯状材を螺旋状に巻回して形成さ
れた螺旋管と、細線を編組して形成された編組体と、可
撓性を有する外皮とで構成される内視鏡用可撓管であっ
て、前記細線の少なくとも一本に、主として、有機材料
と無機材料との複合体で構成された被覆層が形成されて
おり、前記複合体は、ウレタン系エラストマーと、シリ
カとを有するものであることを特徴とする内視鏡用可撓
管。
【0010】これにより、弾力性および耐久性に優れた
内視鏡用可撓管を提供することができる。
【0011】(2) 前記複合体は、ハードセグメント
とソフトセグメントとを有するウレタン系エラストマー
と、シリカとを有し、前記ハードセグメントに前記シリ
カが結合して形成された複合ドメインと、前記ソフトセ
グメントとが二層分離した構造を有するものである上記
(1)に記載の内視鏡用可撓管。これにより、内視鏡用
可撓管の弾力性および耐久性がさらに向上する。
【0012】(3) 前記外皮は、少なくとも、前記被
覆層と接触する側の部位がウレタン系エラストマーを含
む材料で構成されたものである上記(1)または(2)
に記載の内視鏡用可撓管。これにより、内視鏡用可撓管
の弾力性および耐久性がさらに向上する。
【0013】(4) 前記外皮の前記被覆層と接触する
側の部位における前記ウレタン系エラストマーの含有量
は、10wt%以上である上記(3)に記載の内視鏡用
可撓管。
【0014】これにより、内視鏡用可撓管の弾力性およ
び耐久性がさらに向上するとともに、内視鏡用可撓管の
柔軟性も向上する。
【0015】(5) 前記外皮は、少なくとも、前記被
覆層と接触する側の部位がエステル系エラストマーを含
む材料で構成されたものである上記(1)ないし(4)
のいずれかに記載の内視鏡用可撓管。これにより、内視
鏡用可撓管の耐熱性が向上する。
【0016】(6) 前記外皮は、少なくとも、前記被
覆層と接触する側の部位がオレフィン系エラストマーを
含む材料で構成されたものである上記(1)ないし
(5)のいずれかに記載の内視鏡用可撓管。
【0017】これにより、内視鏡用可撓管の耐熱性が向
上するとともに、製造コストの削減にも有利となる。
【0018】(7) 前記外皮は、複数の層を積層した
積層部を有するものである上記(1)ないし(6)のい
ずれかに記載の内視鏡用可撓管。
【0019】これにより、積層体を構成する各層の構成
材料の利点を併有することが可能となり、内視鏡用可撓
管として特性がさらに向上する。
【0020】(8) 前記被覆層の平均厚さは、1〜1
00μmである上記(1)ないし(7)のいずれかに記
載の内視鏡用可撓管。これにより、内視鏡用可撓管の弾
力性および耐久性がさらに向上する。
【0021】(9) 前記複合体は、前記ウレタン系エ
ラストマー100重量部に対して、1〜50重量部の前
記シリカを含むものである上記(1)ないし(8)のい
ずれかに記載の内視鏡用可撓管。これにより、内視鏡用
可撓管の弾力性および耐久性がさらに向上する。
【0022】(10) 前記複合体は、両末端にアルコ
キシシリル基を有するウレタン系エラストマーと、加水
分解性アルコキシシランとを反応させて得られたもので
ある上記(1)ないし(9)のいずれかに記載の内視鏡
用可撓管。これにより、内視鏡用可撓管の弾力性および
耐久性がさらに向上する。
【0023】(11) 前記加水分解性アルコキシシラ
ンは、テトラアルコキシシランおよび/またはその縮合
物である上記(10)に記載の内視鏡用可撓管。これに
より、内視鏡用可撓管の弾力性および耐久性がさらに向
上する。
【0024】(12) 前記被覆層は、塗布法により形
成されたものである上記(1)ないし(11)のいずれ
かに記載の内視鏡用可撓管。
【0025】これにより、比較的薄く、均一な厚さを有
する被覆層を容易に形成することが可能となり、製造コ
ストの低減、製造時間の短縮にも有利である。
【0026】(13) 少なくとも、前記被覆層が被覆
された前記細線の表面に、前記被覆層との密着性を向上
するための処理が施されている上記(1)ないし(1
2)のいずれかに記載の内視鏡用可撓管。これにより、
内視鏡用可撓管の弾力性および耐久性がさらに向上す
る。
【0027】(14) 前記外皮の平均厚さは、0.0
8〜0.9mmである上記(1)ないし(13)のいず
れかに記載の内視鏡用可撓管。これにより、内視鏡用可
撓管の弾力性および耐久性がさらに向上する。
【0028】(15) 前記外皮は、押出成形により形
成されたものである上記(1)ないし(14)のいずれ
かに記載の内視鏡用可撓管。これにより、内視鏡用可撓
管の弾力性および耐久性がさらに向上する。
【0029】
【発明の実施の形態】以下、本発明の内視鏡用可撓管の
好適な実施形態について、添付図面を参照しつつ詳細に
説明する。
【0030】図1は、本発明の内視鏡用可撓管を適用し
た挿入部可撓管を有する電子内視鏡(電子スコープ)を
示す全体図である。以下、図1中、上側を「基端」、下
側を「先端」として説明する。
【0031】図1に示すように、電子内視鏡10は、可
撓性(柔軟性)を有する長尺物の挿入部可撓管1と、挿
入部可撓管1の先端部に設けられた湾曲部5と、挿入部
可撓管1の基端部に設けられ、術者が把持して電子内視
鏡10全体を操作する操作部6と、操作部6に接続され
た接続部可撓管7と、接続部可撓管7の先端側に設けら
れた光源差込部8とで構成されている。
【0032】挿入部可撓管1は、生体の管腔内に挿入し
て使用される。また、操作部6には、その側面に操作ノ
ブ61、62が設置されている。この操作ノブ61、6
2を操作すると、挿入部可撓管1内に配設されたワイヤ
ー(図示せず)が牽引されて、湾曲部5が4方向に湾曲
し、その方向を変えることができる。
【0033】湾曲部5の先端部には、観察部位における
被写体像を撮像する図示しない撮像素子(CCD)が設
けられ、また、光源差込部8の先端部に、画像信号用コ
ネクタ82が設けられている。この画像信号用コネクタ
82は、光源装置に接続され、さらに、光源装置は、ケ
ーブルを介してモニタ装置(図示せず)に接続されてい
る。
【0034】光源差込部8の先端部には、光源用コネク
タ81が設置され、この光源用コネクタ81が光源装置
(図示せず)に接続されている。光源装置から発せられ
た光は、光源用コネクタ81、および、光源差込部8
内、接続部可撓管7内、操作部6内、挿入部可撓管1内
および湾曲部5内に連続して配設された光ファイバー束
によるライトガイド(図示せず)を通り、湾曲部5の先
端部より観察部位に照射され、照明する。
【0035】前記照明光により照明された観察部位から
の反射光(被写体像)は、撮像素子で撮像される。撮像
素子では、撮像された被写体像に応じた画像信号が出力
される。
【0036】この画像信号は、湾曲部5内、挿入部可撓
管1内、操作部6内および接続部可撓管7内に連続して
配設され、画像素子と画像信号用コネクタ82とを接続
する画像信号ケーブル(図示せず)を介して、光源差込
部8に伝達される。
【0037】そして、光源差込部8内および光源装置内
で所定の処理(例えば、信号処理、画像処理等)がなさ
れ、その後、モニタ装置に入力される。モニタ装置で
は、撮像素子で撮像された画像(電子画像)、すなわち
動画の内視鏡モニタ画像が表示される。
【0038】以上、本発明の内視鏡用可撓管を適用した
挿入部可撓管1を有する電子内視鏡10の全体構成につ
いて説明したが、本発明の内視鏡用可撓管は、光学内視
鏡の可撓管にも適用することができることは、言うまで
もない。
【0039】図2は、本発明の内視鏡用可撓管を適用し
た挿入部可撓管の第1実施形態を示す拡大半縦断面図で
ある。
【0040】挿入部可撓管1は、芯材2と、その外周を
被覆する外皮3とを有している。また、挿入部可撓管1
には、内部に、例えば、光ファイバ、電線ケーブル、ケ
ーブルまたはチューブ類等の内蔵物等(図中省略)を配
置、挿通することができる空間24が設けられている。
【0041】芯材2は、螺旋管21と、螺旋管21の外
周を被覆する網状管(編組体)22とで構成され、全体
としてチューブ状の長尺物として形成されている。この
芯材2は、挿入部可撓管1を補強する効果を有する。特
に、螺旋管21と網状管22を組合わせたことにより、
挿入部可撓管1は、十分な機械的強度を確保できる。
【0042】螺旋管21は、帯状材を均一な径で螺旋状
に間隔25をあけて巻いて形成されたものである。帯状
材を構成する材料としては、例えば、ステンレス等の鉄
系合金、銅系合金等が好ましく用いられる。
【0043】図3は、本発明の内視鏡用可撓管の製造に
用いられる網状管の拡大断面図である。図4は、図2に
示す挿入部可撓管の網状管付近の状態を示す拡大断面図
である。
【0044】網状管22は、金属製または非金属製の細
線23を複数並べたものを編組して形成されている。細
線23を構成する金属製の材料としては、例えば、ステ
ンレス等の鉄系合金、銅系合金等が挙げられる。また、
非金属製の材料としては、例えば、カーボンファイバ
ー、ガラス繊維等が挙げられる。
【0045】また、図3に示すように、細線23の少な
くとも一本には、被覆層231が形成されている。
【0046】被覆層231は、主として、有機材料と無
機材料との複合体で構成されるものであり、前記複合体
は、ウレタン系エラストマー(有機材料)とシリカ(無
機材料)とを有するものである。
【0047】このような複合体は、ウレタン系エラスト
マー(有機材料)とシリカ(無機材料)とを有するた
め、有機材料との密着性(相溶性)および無機材料との
密着性に優れる。
【0048】ところで、前述したように、細線23は、
通常、主として無機材料(例えば、ステンレス等の鉄系
合金、銅系合金等の金属製の材料や、カーボンファイバ
ー、ガラス繊維等の非金属製の材料)で構成されてお
り、また、外皮3は、通常、主として後述するような有
機材料で構成されている。
【0049】このため、被覆層231は、細線23との
密着性を保持しつつ、図4に示すように、外皮3と強く
密着(相溶化)することができる。これにより、網状管
22と外皮3との密着性(結合力)が向上し、結果とし
て、挿入部可撓管1の弾力性および耐久性が向上する。
【0050】前記複合体は、ウレタン系エラストマー
(有機材料)とシリカ(無機材料)とを有するものであ
れば、特に限定されないが、例えば、その末端(少なく
とも一端)にアルコキシシリル基を有するウレタン系エ
ラストマー(以下、「ウレタン系エラストマーA」とも
言う。)と、加水分解性のアルコキシシラン(以下、
「アルコキシシランA」とも言う。)とを反応させるこ
とにより得られるものが好ましい。
【0051】このような複合体においては、アルコキシ
シランA(加水分解性アルコキシシラン)の反応により
生成するシリカの殆どは、ウレタン系エラストマーAの
ハードセグメントのドメインに導入されて複合ドメイン
となり、当該複合ドメインと、ソフトセグメントとが二
層分離した構造(海島構造)を有するものとなる。
【0052】かかる二層分離構造(海島構造)により、
複合体のマトリックスを構成するウレタン系エラストマ
ーのソフトセグメントではシリカを含まない。このた
め、複合体と、有機材料との密着性(相溶性)は、十分
に保持される。
【0053】一方、当該ウレタン系エラストマーのハー
ドセグメントではシリカとの複合ドメインが形成されて
いる。このため、複合体と、無機材料との密着性がさら
に向上する。
【0054】したがって、複合体がウレタン系エラスト
マーAと、アルコキシシランAとを反応させることによ
り得られるものであると、有機材料との密着性(相溶
性)および無機材料との密着性が特に優れたものとな
る。このため、被覆層231が主としてこのような複合
体で構成されることにより、網状管22と外皮3との密
着性(結合力)は、さらに優れたものとなる。その結
果、挿入部可撓管1の弾力性および耐久性もさらに優れ
たものとなる。
【0055】以下、前記ウレタン系エラストマーA、ア
ルコキシシランA、およびこれらを反応することにより
得られる複合体について詳細に説明する。
【0056】ウレタン系エラストマーAは、例えば、イ
ソシアネート基、水酸基およびアミノ基から選ばれるい
ずれかの官能基を末端に有するウレタン系エラストマー
(以下、「ウレタン系エラストマーB」とも言う。)
と、ウレタン系エラストマーBの末端官能基と反応しう
る官能基を有するアルコキシシラン(以下、「アルコキ
シシランB」とも言う。)とを反応させることにより得
ることができる。
【0057】前記ウレタン系エラストマーBは、例え
ば、ポリオール成分および有機ポリイソシアネート化合
物、さらにはこれらに鎖伸長剤を反応させることにより
製造でき、ポリオール成分、有機ポリイソシアネート化
合物、鎖伸長剤の各成分を適宜に調整することにより、
末端に所望の官能基を導入できる。
【0058】ポリオール成分はウレタン系エラストマー
のソフトセグメントを形成するものであり、水酸基を2
個以上有する各種の化合物を使用できるが、高分子ポリ
オールを使用するのが好ましい。高分子ポリオールとし
ては、例えば酸化エチレン、酸化プロピレン、テトラヒ
ドロフラン等の重合体または共重合体等のポリエーテル
ポリオール類;エチレングリコール、ジエチレングリコ
ール、トリエチレングリコール、1,2−プロパンジオ
ール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオ
ール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコー
ル、ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタン
ジオール、1,6−ヘキサンジオール、オクタンジオー
ル、1,4−ブチンジオール、ジプロピレングリコール
等の飽和もしくは不飽和の各種公知の低分子グリコール
類またはn−ブチルグリシジルエーテル、2−エチルヘ
キシルグリシジルエーテル等のアルキルグリシジルエー
テル類、バーサティック酸グリシジルエステル等のモノ
カルボン酸グリシジルエステル類と、アジピン酸、マレ
イン酸、フマル酸、無水フタル酸、イソフタル酸、テレ
フタル酸、コハク酸、しゅう酸、マロン酸、グルタル
酸、ピメリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、スベリン
酸等の二塩基酸またはこれらに対応する酸無水物やダイ
マー酸等とを脱水縮合せしめて得られるポリエステルポ
リオール類;環状エステル化合物を開環重合して得られ
るポリエステルポリオール類;その他ポリカーボネート
ポリオール類、ポリブタジエンジオール、ポリイソプレ
ンジオール、ポリクロロプレンジオール、ポリブタジエ
ングリコールの水素化物、ポリイソプレングリコールの
水素化物等のポリオレフィンジオール類、ビスフェノー
ルAに酸化エチレンまたは酸化プロピレンを付加して得
られたグリコール類、2つ以上の水酸基およびメルカプ
ト基等の連鎖移動基を1つ有する連鎖移動剤の存在下に
アルキル(メタ)アクリレート等の各種のラジカル重合
性不飽和単量体を重合させて得られるアクリルポリマー
等のマクロモノマー、ポリジメチルシロキサン等のポリ
アルコキシシラン類、ヒマシ油ポリオール、塩素化ポリ
プロピレンポリオール等が挙げられる。かかる高分子ポ
リオールのなかでも、ポリエステルポリオール類を使用
するのが好ましい。なお、これら高分子ポリオールの数
平均分子量は、通常1500以上であるのが好ましく、
2000以上であるのがより好ましい。また、数平均分
子量は、6000以下とするのが好ましい。
【0059】有機ポリイソシアネート化合物は、ウレタ
ン系エラストマーのハードセグメントを形成するもので
ある。有機ポリイソシアネート化合物としては、たとえ
ば、鎖状脂肪族ポリイソシアネート、環状脂肪族ポリイ
ソシアネート、芳香族ポリイソシアネート、芳香脂肪族
ポリイソシアネート、アミノ酸誘導体から得られるポリ
イソシアネート等の各種のものを例示できる。
【0060】鎖状脂肪族ジイソシアネートの具体例とし
ては、メチレンジイソシアネート、イソプロピレンジイ
ソシアネート、ブタン−1,4−ジイソシアネート、ヘ
キサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチ
ルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリ
メチルヘキサメチレンジイソシアネート、ダイマー酸が
有するカルボキシル基をイソシアネート基に置き換えた
ダイマージイソシアネート等が挙げられる。環状脂肪族
ジイソシアネートの具体例としては、シクロヘキサン−
1,4−ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネー
ト、ジシクロヘキシルメタン−4,4´−ジイソシアネ
ート、1,3−ジ(イソシアネートメチル)シクロヘキ
サン、メチルシクロヘキサンジイソシアネート等が挙げ
られる。芳香族ジイソシアネートの具体例としては、
4,4´−ジフェニルジメチルメタンジイソシアネート
等のジアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、
4,4´−ジフェニルテトラメチルメタンジイソシアネ
ート等のテトラアルキルジフェニルメタンジイソシアネ
ート、1,5−ナフチレンジイソシアネート、4,4´
−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4´−ジベ
ンジルイソシアネート、1,3−フェニレンジイソシア
ネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4
−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソ
シアネート等が挙げられる。芳香脂肪族ジイソシアネー
トの具体例としては、キシリレンジイソシアネート、m
−テトラメチルキシリレンジイソシアネート等が挙げら
れる。アミノ酸誘導体から得られるジイソシアネートの
具体例としては、リジンジイソシアネート等が挙げられ
る。
【0061】また、鎖伸長剤としては、通常、炭素数2
〜6程度の低分子ポリオールおよび/または低分子ポリ
アミンを使用するのが好ましい。低分子ポリオールとし
てはエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリ
エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,
3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,
4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ペンタ
ンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、
1,6−ヘキサンジオール等の低分子グリコール類、グ
リセリン、ブタントリオール、ペンタントリオール、ヘ
キサントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロ
ールプロパン等の3価アルコール;ペンタエリスリトー
ル、ソルビトール等の4価以上のアルコールが挙げられ
る。また、低分子ポリアミンとしては、エチレンジアミ
ン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ト
リエチレンテトラミン、ジエチレントリアミン、イソホ
ロンジアミン、ジシクロヘキシルメタン−4,4´−ジ
アミン等のアミン化合物;2−ヒドロキシエチルエチレ
ンジアミン、2−ヒドロキシエチルプロピレンジアミ
ン、ジ−2−ヒドロキシエチルエチレンジアミン、ジ−
2−ヒドロキシエチルプロピレンジアミン、2−ヒドロ
キシプロピルエチレンジアミン、ジ−2−ヒドロキシプ
ロピルエチレンジアミン等の水酸基を有するジアミン化
合物等が挙げられる。これら鎖伸長剤は、前記疎水性の
高分子ジオールと有機ポリイソシアネート化合物との合
計量の20重量%以下であるのが好ましく、15重量%
以下であるのがより好ましい。
【0062】ウレタン系エラストマーBは、例えば、高
分子ポリオールと有機ポリイソシアネート化合物、さら
に必要に応じて鎖伸長剤を反応させることにより得られ
る。反応は、一般的なウレタン系エラストマーの製法を
採用でき、一括仕込みの他、鎖伸長剤を用いる場合には
高分子ポリオールと有機ポリイソシアネート化合物を予
め反応させるウレタンプレポリマー法を採用することも
できる。また、各成分の使用量を適宜に調整することに
より、ウレタン系エラストマーBの末端に、イソシアネ
ート基、水酸基、アミノ基のいずれかの官能基を導入す
ることができる。
【0063】このようにして得られるウレタン系エラス
トマーBの数平均分子量は1800〜100000程度
であるのが好ましい。
【0064】前記ウレタン系エラストマーBに反応させ
る、アルコキシシランBは、ウレタン系エラストマーB
の末端の官能基に応じた官能基を有するものを適宜に選
択して使用する。すなわち、ウレタン系エラストマーB
の末端官能基がイソシアネート基である場合には、アル
コキシシランBとして、水酸基および/またはアミノ基
を有するものを用い、ウレタン系エラストマーBの末端
官能基が水酸基またはアミノ基である場合には、アルコ
キシシランBとして、イソシアネート基を有するものを
用いることができる。
【0065】アミノ基を有するアルコキシシラン(アル
コキシシランB)としては、例えば、3−アミノプロピ
ルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキ
シシラン、3−アミノプロピジメチルエトキシシラン、
3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、4−アミ
ノブチルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリ
ス(トリメチルシロキシ)シラン、N−(2−アミノエ
チル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−
(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジエ
トキシシラン、N−(6−アミノヘキシル)−アミノプ
ロピルトリメトキシシラン、3−(m−アミノフェノキ
シ)プロピルトリメトキシシラン、アミノフェニルトリ
メトキシシラン等が挙げられる。
【0066】また、イソシアネート基を有するアルコキ
シシラン(アルコキシシランB)としては、3−イソシ
アナートプロピルトリエトキシシラン、3−イソシアナ
ートプロピルモノメチルジエトキシシラン、3−イソシ
アナートプロピルジメチルエトキシシラン等が挙げられ
る。
【0067】本発明においては、合成の簡便さから、ウ
レタン系エラストマーAとして、末端にイソシアネート
基を有するウレタン系エラストマー(ウレタン系エラス
トマーB)と、アミノ基を有するアルコキシシラン(ア
ルコキシシランB)とを反応させたものを使用するのが
好ましい。
【0068】アルコキシシランAは、一般的にゾル−ゲ
ル法に用いられているものを使用できる。例えば、一般
式:R1 nSi(OR24-n(式中、nは0〜2の整数を
示し、R1は炭素原子に直結した官能基を持っていても
よい低級アルキル基、アリール基、不飽和脂肪族残基。
同一でも異なっていてもよい。R2は水素原子または低
級アルキル基を示す。)で表される化合物またはこれら
の部分縮合物等を例示できる。なお、低級アルキル基と
は炭素数6以下の直鎖または分岐鎖のアルキル基を示
す。
【0069】このようなアルコキシシランA(加水分解
性アルコキシシラン)の具体例としては、テトラメトキ
シシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシ
ラン、テトライソプロポキシシラン、テトラブトキシシ
ラン等のテトラアルコキシシラン類、メチルトリメトキ
シシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリプロ
ポキシシラン、メチルトリブトキシシラン、エチルトリ
メトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、n−プロ
ピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシ
ラン、イソプロピルトリメトキシシラン、イソプロピル
トリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニ
ルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリ
メトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキ
シシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラ
ン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、フェ
ニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラ
ン、3,4−エポキシシクロヘキシルエチルトリメトキ
シシラン、3,4−エポキシシクロヘキシルエチルトリ
メトキシシラン等のトリアルコキシシラン類、ジメチル
ジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジエチ
ルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシランまたは
これらの部分縮合物等が挙げられる。これらのなかでも
テトラアルコキシシラン類またはこれらの部分縮合物
(以下、単に「テトラアルコキシシラン類」とも言
う。)が好ましい。アルコキシシランAとしてテトラア
ルコキシシラン類を用いることにより、ウレタン系エラ
ストマー(ウレタン系エラストマーA)のハードセグメ
ントが形成するドメインと、アルコキシシランAとの親
和性が特に優れたものとなる。その結果、得られる複合
体は、有機材料との密着性(相溶性)および無機材料と
の密着性が特に優れたものとなる。このため、被覆層2
31が主としてこのような複合体で構成されることによ
り、網状管22と外皮3との密着性(結合力)は、さら
に優れたものとなる。その結果、挿入部可撓管1の弾力
性および耐久性もさらに優れたものとなる。また、テト
ラアルコキシシラン類の中でも、特に、テトラメトキシ
シラン、テトラエトキシシランまたはこれらの部分縮合
物が好ましい。
【0070】アルコキシシランA(加水分解性アルコキ
シシラン)の縮合により生成するシリカが、ウレタン系
エラストマー(ウレタン系エラストマーA)のハードセ
グメントが形成するドメインの総量を超えると、当該シ
リカが被覆層231内で凝集、沈殿して、相分離してし
まい、被覆層231と外皮3との密着性が低下する可能
性がある。このため、複合体を製造する際におけるアル
コキシシランAの使用量は、ウレタン系エラストマー1
00重量部に対して、生成するシリカに換算して1〜5
0重量部程度とするのが好ましく、3〜30重量部とす
るのがより好ましい。シリカの相対的な含有量が前記範
囲内の値であると、外皮3と被覆層231との密着性、
および細線23と被覆層231との密着性が向上し、結
果として、挿入部可撓管1の弾力性および耐久性がさら
に優れたものとなる。
【0071】被覆層231は、主として、上述したよう
な複合体で構成されるものであるが、必要に応じて任意
に添加物を含んでいてもよい。添加物としては、例え
ば、可塑剤、無機フィラー、顔料、各種安定剤(酸化防
止剤、光安定剤、帯電防止剤、ブロッキング防止剤、滑
剤)、X線造影剤等が挙げられる。
【0072】以上、被覆層231の構成材料について説
明したが、被覆層231の構成材料の組成(含有成分の
配合比)は、被覆層231全体にわたって、均一なもの
であってもよいし、各部位で異なるものであってもよ
い。
【0073】被覆層231の平均厚さは、特に限定され
ないが、例えば、1〜100μmであるのが好ましく、
10〜60μmであるのがより好ましく、10〜50μ
mであるのがさらに好ましい。
【0074】被覆層231の平均厚さが、前記下限値未
満であると、本発明の効果が十分に得られない可能性が
ある。一方、被覆層231の平均厚さが、前記上限値を
超えると、挿入部可撓管1の表面に凹凸が発生して外観
が悪くなる場合がある。
【0075】なお、少なくとも、被覆層231が被覆さ
れる細線23の表面には、被覆層231との密着性が向
上するための処理(密着性向上処理)が施されていても
よい。この密着性向上処理は、例えば、細線23の表面
にスジを入れたり、細線23の表面に化成処理、粗面化
処理を施す等の方法により行うことができる。
【0076】これにより、細線23と被覆層231との
密着性がさらに向上する。その結果、挿入部可撓管1の
弾力性、耐久性は、さらに優れたものとなる。
【0077】また、同様の密着性向上処理は、被覆層2
31で被覆される細線23の表面以外の部位に施されて
いてもよい。例えば、このような密着性向上処理は、被
覆層231で被覆されない細線23の表面や、螺旋管2
1の表面に施されていてもよい。これにより、芯材2と
外皮3との密着性がさらに向上する。その結果、挿入部
可撓管1の弾力性、耐久性は、さらに優れたものとな
る。
【0078】ところで、網状管22の外周には、編組さ
れた細線23の編み目により隙間26が形成されてい
る。この隙間26は、螺旋管21の外周と重なる位置で
は凹部となり、螺旋管21の間隔25と重なる位置では
空間24に連通する孔となって、芯材2の外周に多数の
孔および凹部を形成している。そして、この芯材2の外
周には、可撓性を有する外皮3が被覆されている。
【0079】外皮3の内周面には、内周側に向かって突
出する多数の突出部(アンカー)31が外皮3から連続
して形成されている。各突出部31は、芯材2の外周に
形成された多数の孔および凹部内にそれぞれ進入してい
る。前記凹部内に進入した突出部31の先端は、螺旋管
21の外周に達するまで形成されている。前記孔内に進
入した突出部31は、より長く形成され、その先端が螺
旋管21の間隔25に入り込んでいる。
【0080】このように突出部31が形成されているこ
とにより、突出部31が芯材2の外周に形成された多数
の孔および凹部に係合するので、アンカー効果が生じ、
芯材2に対し外皮3が確実に固定される。このため、外
皮3は、挿入部可撓管1が湾曲した場合にも、芯材2と
密着した状態を維持し、芯材2の湾曲に合わせて十分に
大きく伸縮する。このように大きく伸縮した外皮3の復
元力は、強く発揮され、挿入部可撓管1の湾曲を復元さ
せる力に大きく寄与する。よって、このような構成によ
り、挿入部可撓管1は、さらに弾力性に優れたものとな
る。
【0081】また、突出部31を形成したことにより、
外皮3と網状管22との結合力が強いので、繰り返し使
用しても外皮3が網状管22と剥離しにくい。したがっ
て、挿入部可撓管1は、繰り返し使用した後も弾力性が
良好に保たれ、耐久性に優れる。
【0082】突出部31が形成されることによるこのよ
うな効果は、前述した被覆層231の効果と相乗的に作
用し、挿入部可撓管1の弾力性および耐久性は、特に優
れたものとなる。
【0083】外皮3は、通常、有機材料を主とする材料
で構成される。外皮3の構成材料は、特に限定されない
が、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロ
ピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のポリオレフ
ィン、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート(PE
T)、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル、
ポリウレタン、ポリスチレン樹脂、ポリテトラフルオロ
エチレン、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体
等のフッ素系樹脂、ポリイミド等の各種可撓性を有する
樹脂や、ウレタン系エラストマー、エステル系エラスト
マー、オレフィン系エラストマー、アミド系エラストマ
ー、スチレン系エラストマー、フッ素系エラストマー、
シリコーンゴム、フッ素ゴム、ラテックスゴム等の各種
エラストマーのうちの、1種または2種以上を組み合わ
せて用いることができる。
【0084】また、外皮3は、少なくとも、被覆層23
1と接触する側の部位がウレタン系エラストマーを含む
材料で構成されているのが好ましい。これにより、被覆
層231と、外皮3との密着性が特に優れたものとな
り、結果として、挿入部可撓管1の弾力性および耐久性
が特に優れたものとなる。また、これにより、挿入部可
撓管1の柔軟性もさらに優れたものとなる。ウレタン系
エラストマーとしては、例えば、ポリエステル系のウレ
タン系エラストマー、ポリエーテル系のウレタン系エラ
ストマー、ポリカーボネート系のウレタン系エラストマ
ー等が挙げられる。
【0085】外皮3の被覆層231と接触する側の部位
が、ウレタン系エラストマーを含む材料で構成されてい
る場合、外皮3の被覆層231と接触する側の部位にお
けるウレタン系エラストマーの含有量は、10wt%以
上であるのが好ましく、20wt%以上であるのがより
好ましく、40wt%以上であるのがさらに好ましい。
これにより、前述した効果は、さらに顕著なものとな
る。
【0086】また、外皮3は、少なくとも、被覆層23
1と接触する側の部位がエステル系エラストマーを含む
材料で構成されているのが好ましい。これにより、被覆
層231との密着性を保持しつつ、挿入部可撓管1の耐
熱性を向上させることができる。エステル系エラストマ
ーとしては、例えば、ポリエステル・ポリエーテル型の
エステル系エラストマー、ポリエステル・ポリエステル
型のエステル系エラストマー等が挙げられる。
【0087】なお、外皮3の被覆層231と接触する側
の部位は、エステル系エラストマー単独で構成されてい
てもよいが、エステル系エラストマーとウレタン系エラ
ストマーとを含む材料で構成されているのが好ましい。
この場合、外皮3の被覆層231と接触する側の部位に
おけるエステル系エラストマーの含有量は、10wt%
以上であるのが好ましく、60wt%以上であるのがよ
り好ましい。外皮3の被覆層231と接触する側の部位
におけるエステル系エラストマーの含有量が前記範囲内
の値であると、外皮3と被覆層231との密着性、およ
び挿入部可撓管1の耐熱性が、いずれも特に優れたもの
となる。
【0088】また、外皮3は、少なくとも、被覆層23
1と接触する側の部位がオレフィン系エラストマーを含
む材料で構成されたものであるのが好ましい。これによ
り、被覆層231との密着性を保持しつつ、挿入部可撓
管1の耐熱性を向上させることができる。また、挿入部
可撓管1の製造コストの削減にも有利である。オレフィ
ン系エラストマーとしては、例えば、ブレンド型のオレ
フィン系エラストマー、部分架橋ブレンド型のオレフィ
ン系エラストマー、完全架橋(動的架橋)ブレンド型の
オレフィン系エラストマー等が挙げられる。
【0089】なお、外皮3の被覆層231と接触する側
の部位は、オレフィン系エラストマー単独で構成されて
いてもよいが、オレフィン系エラストマーとウレタン系
エラストマーとを含む材料で構成されているのが好まし
い。この場合、外皮3の被覆層231と接触する側の部
位におけるオレフィン系エラストマーの含有量は、10
wt%以上であるのが好ましく、20〜80wt%であ
るのがより好ましい。外皮3の被覆層231と接触する
側の部位におけるオレフィン系エラストマーの含有量が
前記範囲内の値であると、外皮3と被覆層231との密
着性、および挿入部可撓管1の耐熱性が、いずれも特に
優れたものとなる。
【0090】また、外皮3の構成材料中には、必要に応
じて任意に添加物が配合されてもよい。添加物として
は、例えば、可塑剤、無機フィラー、顔料、各種安定剤
(酸化防止剤、光安定剤、帯電防止剤、ブロッキング防
止剤、滑剤)、X線造影剤等が挙げられる。
【0091】以上、外皮3の構成材料について説明した
が、外皮3の構成材料の組成(含有成分の配合比)は、
外皮3全体にわたって、均一なものであってもよいし、
各部位で異なるものであってもよい。例えば、含有成分
の配合比が厚さ方向に順次変化するもの(傾斜材料)等
であってもよい。
【0092】外皮3の厚さ(突出部31の部分を除く)
は、長手方向に沿ってほぼ一定であるのが好ましい。こ
れにより、挿入部可撓管1を体腔に挿入する際の操作性
がより向上し、患者の負担もより軽減される。
【0093】外皮3の厚さ(突出部31の部分を除く)
は、芯材2およびその内部に挿通される器具等を体液等
の液体から保護することができ、かつ、挿入部可撓管1
の湾曲性を妨げなければ、特に限定されず、通常は、
0.08〜0.9mm程度が好ましく、0.10〜0.
8mm程度がより好ましい。
【0094】挿入部可撓管1は、例えば、以下のように
製造される。まず、螺旋管21と、網状管22とを用意
する。
【0095】螺旋管21は、例えば、板材を用意し、こ
れを旋断加工することにより得ることができる。
【0096】また、網状管22は、細線23を編組する
ことにより得ることができる。細線23を編組するのに
先立ち、その少なくとも一本について、被覆層231を
形成しておく。
【0097】被覆層231の形成方法としては、例え
ば、ディッピング、ドクターブレード、スピンコート、
刷毛塗り、スプレー塗装、ロールコーター等の各種塗布
法や、押出成形、2色成形等が挙げられる。この中で
も、被覆層231の形成方法としては、各種塗布法によ
るものが好ましい。
【0098】このような塗布法によれば、比較的薄く、
均一な厚さを有する被覆層231を極めて容易に形成す
ることが可能となる。また、挿入部可撓管1の製造コス
トの低減、製造時間の短縮にも有利である。
【0099】なお、被覆層231の被覆は、例えば、チ
ューブ状に形成した被覆層231を細線23の外表面に
嵌合させることにより行うものであってもよい。
【0100】また、被覆層231は、前述した複合体を
含む被覆層231の構成材料を被覆することにより形成
することができるが、前述したウレタン系エラストマー
AおよびアルコキシシランAを含む組成物(被覆層形成
用組成物)を細線23上に被覆し、細線23上で前記組
成物を反応させ、複合体を生成させることにより形成す
ることもできる。
【0101】また、被覆層231を形成する際において
は、前記複合体を含む被覆層231の構成材料または前
記組成物をそのまま細線23上に被覆してもよいが、例
えば、これらを溶解可能な溶剤に溶解した溶液を用いて
もよい。
【0102】前記溶液の調製に使用される溶剤として
は、例えば、前記ウレタン系エラストマーAおよびアル
コキシシランAを溶解でき、アルコキシシランAの加水
分解を進行できる程度の水を含有するもの等を用いるこ
とができる。前記溶剤としては、例えば、ベンゼン、ト
ルエン、キシレン等の芳香族系溶剤;酢酸エチル、酢酸
ブチル等のエステル系溶剤;メタノール、エタノール、
イソプロパノール、n−ブタノール等のアルコール系溶
剤;アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、
メチルイソブチルケトン等のケトン系溶剤;ジメチルホ
ルムアミド等のアミド系溶剤;ジメチルスルホキシド等
のスルホキシド系溶剤;ジメチルエーテル、ジエチルエ
ーテル等のエーテル系溶剤等のうち少なくとも1種を含
むもの等が挙げられる。通常、前記溶液中における固形
分濃度は10〜40重量%程度である。
【0103】また、前記組成物中には、例えば、アルコ
キシシランA(加水分解性アルコキシシラン)の加水分
解、縮合を促進し、前記組成物の硬化反応を促進する硬
化触媒が含まれていてもよい。
【0104】かかる硬化触媒としては、例えば、ギ酸、
酢酸、プロピオン酸、パラトルエンスルホン酸、メタン
スルホン酸等の有機酸触媒、ホウ酸、リン酸等の無機酸
触媒やアルカリ系の触媒等が挙げられるが、この中でも
特に、有機酸触媒が好ましい。
【0105】硬化触媒として有機酸触媒を用いることに
より、シリカが、ウレタン系エラストマーAのハードセ
グメントが形成するドメインに誘導される傾向が強くな
る。
【0106】また、有機酸触媒により、アルコキシシラ
ンA(加水分解性アルコキシシラン)の加水分解を行な
うことにより、シラノール残基が多くなり、ウレタン系
エラストマーAのハードセグメントとの水素結合性相互
作用が強くなる。
【0107】これら有機酸触媒のなかでもギ酸、酢酸、
パラトルエンスルホン酸が特に好ましい。
【0108】硬化触媒は、所謂触媒量の使用でよい。す
なわち、前記触媒の使用量は使用する触媒の活性により
適宜決めることができる。通常、使用するアルコキシシ
ランA(加水分解性アルコキシシラン)に対しモル比率
で、触媒能力の高いパラトルエンスルホン酸などで0.
001〜5モル%程度、触媒能力の低いギ酸、酢酸など
で0.01〜50モル%程度使用される。硬化触媒の添
加時期は特に制限されず、ウレタン系エラストマーAお
よびアルコキシシランA等から無溶剤型組成物を調製す
る際や、ウレタン系エラストマーAおよびアルコキシシ
ランA等を溶剤に溶解して溶液組成物を調製する際に添
加してもよい。また、前記組成物を外皮3上に被覆した
後に添加してもよい。
【0109】なお、前記複合体を含む被覆層231の構
成材料中または前記組成物には、本発明の効果を損なわ
ない範囲で、粘度調節剤、可塑剤、抗菌剤、防黴剤、レ
ベリング剤、消泡剤、着色剤、安定剤、硬化触媒、溶解
性を調製するための溶剤等、有機、無機系各種添加剤を
必要に応じて添加することもできる。また、各種の用途
において、通常使用される成分を配合して使用できるの
はもとよりである。
【0110】上述したような被覆層231で被覆された
細線23を少なくとも一本用いて作製された網状管22
と、螺旋管21とを組立て、芯材2を作製する。
【0111】その後、芯材2の外周に外皮3を被覆する
ことにより、挿入部可撓管1は製造される。
【0112】外皮3の材料は、前述の各成分を溶融また
は軟化し、混合、混練することにより得られる。各成分
を溶融または軟化し、混合、混練するには、例えば、ニ
ーダー、ニーダールーダー、ロール、連続混練押出機等
の混練機等が使用可能である。このような混練機を用い
て各成分を混練した場合、材料は、各成分が均一に混合
されたものとなる。
【0113】混練温度としては、特に限定されないが、
例えば、160〜220℃程度であるのが好ましく、1
80〜210℃程度であるのがより好ましく、185〜
205℃程度であるのがさらに好ましい。各成分を、か
かる温度範囲で混練した場合、材料中の各成分の均一度
は向上する。
【0114】ただし、外皮3の構成材料がシリコーンゴ
ム等のゴム系の材料を主とするもの等である場合、混練
時における発熱により、外皮3の構成材料の塑性が低下
することがある。したがって、このような場合、混練
は、材料温度を10〜70℃程度とした状態で行うのが
好ましい。
【0115】そして、このように混練された外皮材料を
芯材2上に押出成形によって被覆することにより、挿入
部可撓管1を連続的に製造することができる。
【0116】図5は、本発明の内視鏡用可撓管を適用し
た挿入部可撓管の第2実施形態を示す拡大半縦断面図で
ある。以下、図5に示す挿入部可撓管1について、前記
第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項に
ついては、その説明を省略する。
【0117】第2実施形態の挿入部可撓管1では、外皮
3は、内層32と外層33とを有する積層体で構成され
ている。
【0118】外皮3は、以下に説明するように、内層3
2と外層33とが、物理的特性または化学的特性(これ
らを総称して「物性」という)の異なる材料で構成され
たものである。物理的特性としては、例えば、剛性(柔
軟性)、硬度、伸び率、引張り強さ、せん断強さ、曲げ
弾性率、曲げ強さ等が挙げられ、化学的特性としては、
例えば、耐薬品性、耐候性等が挙げられる。なお、これ
らは一例であり、これらに限定されるものではない。
【0119】内層32は、外皮3の内周側に形成されて
おり、芯材2(被覆層231)と接触している。したが
って、内層32は、前述した第1実施形態の外皮3の構
成材料と同様な材料で構成されているのが好ましい。
【0120】内層32の平均厚さ(突出部4の部分を除
く。)は、特に限定されないが、通常は、0.01〜
0.8mm程度が好ましく、0.03〜0.4mm程度
がより好ましい。
【0121】外層33は、内層32の外周面上に形成さ
れている。外層33は、耐薬品性に優れた層とされてい
るのが好ましい。これにより、繰り返し洗浄および消毒
を行っても、外皮3の劣化が少なく、外皮3が硬化して
可撓性が低下したり、亀裂等が生じて外皮3が網状管2
2から剥離したりし難い。
【0122】外層33の構成材料は、特に限定されない
が、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロ
ピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のポリオレフ
ィン、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート(PE
T)、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル、
ポリウレタン、ポリスチレン樹脂、ポリテトラフルオロ
エチレン(PTFE)、エチレン−テトラフルオロエチ
レン共重合体、テトラフルオロエチレン−パーフルオロ
アルキルビニルエーテル共重合体(PFA)等のフッ素
系樹脂、ポリイミド等の各種可撓性を有する樹脂や、ウ
レタン系エラストマー、エステル系エラストマー、オレ
フィン系エラストマー、アミド系エラストマー、スチレ
ン系エラストマー、フッ素系エラストマー、シリコーン
ゴム、ラテックスゴム等の各種エラストマー等、または
これらを主とするブレンド体、共重合体(ブロック共重
合体を含む)、ポリマーアロイ等が挙げられ、これらの
うちの、1種または2種以上を組み合わせて用いること
ができる。
【0123】この中でも、特に、エチレン−酢酸ビニル
共重合体等のポリオレフィン、ポリテトラフルオロエチ
レン、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体等の
フッ素系樹脂、エステル系エラストマー、オレフィン系
エラストマー、フッ素系エラストマー、シリコーンゴム
は、耐薬品性に優れるため、好ましい。
【0124】外層33の平均厚さは、特に限定されない
が、通常は、0.01〜0.8mm程度が好ましく、
0.02〜0.4mm程度がより好ましい。
【0125】なお、外皮3は、このような複数の層が積
層された積層部をその全長に渡って有するものであって
も、その少なくとも一部に有するものであってもよい。
【0126】このように、外皮3を複数の層の積層体と
することにより、各層を構成する材料の利点を併有する
ことができる。本実施例においては、外皮3が、耐薬品
性に優れた外層33と、芯材2に対する密着性に優れた
内層32とで構成されていることにより、外皮3全体と
して、これらの特性を併有している。
【0127】このような挿入部可撓管は、第1実施例と
同様にして製造することができる。特に、複数の押出口
を備えた押出成形機を用いた場合、各押出口からそれぞ
れ内層および外層の材料を同時に押出し、その積層体を
芯材に被覆することにより、積層構造を有する外皮を連
続的に製造することも可能である。
【0128】また、各押出口からの各層の構成材料の吐
出量や芯材の引き速度を調整することにより、各層の厚
さを調節することもできる。
【0129】以上、本発明の内視鏡用可撓管について説
明したが、本発明は、これらに限定されるものではな
い。
【0130】例えば、第2実施形態において、外皮3
は、内層32と外層33との2層で構成されているが、
3層以上で構成されたものであってもよい。
【0131】また、内視鏡用可撓管の製造方法として
は、まず、外皮3を連続する長尺物として成形した後、
この外皮3の内腔へ芯材2を挿入し、その後、加熱等に
より密着固定する方法でも可能である。
【0132】また、本発明の内視鏡用可撓管は、例え
ば、光源装置に接続される接続部可撓管等にも適用でき
る。
【0133】
【実施例】次に、本発明の具体的実施例について説明す
る。
【0134】1.内視鏡用可撓管の作製 (実施例1)まず、幅3mmのステンレス製の帯状材を
巻回して、外径9.9mm、内径9.6mmの螺旋管を
作製した。
【0135】次に、直径0.1mmのステンレス製の細
線を用意した。これらのうち、一部の細線の外表面全体
に、被覆層形成用溶液を刷毛塗りにより塗布し、被覆層
を形成した。
【0136】前記被覆層形成用溶液としては、以下に示
すようにして調製したものを用いた。
【0137】まず、温度計および冷却管を備えた3L容
の4つ口コルベンに、ポリエステルポリオール(商品
名:クラポールP2010((株)クラレ製)、数平均
分子量:2000、アジピン酸と3−メチル−1,5−
ペンタンジオールとからなるポリエステルポリオー
ル):148部と、ポリエステルポリオール(商品名:
プラクセル220(ダイセル化学工業(株)製)、数平
均分子量:2000、アジピン酸とε−カプロラクトン
とネオペンチルグリコールとからなるポリエステルポリ
オール):222部と、イソホロンジイソシアネート:
102.7部とを、窒素気流下、80℃で5時間反応さ
せてイソシアネート末端ウレタンプレポリマー(ウレタ
ン系エラストマーB)を得た。
【0138】次いで、系内にトルエン:383部、メチ
ルエチルケトン:383gを加え、よく攪拌しながら5
0℃まで冷却した後、イソホロンジアミン:38.8部
および3−アミノプロピルトリエトキシシラン(アルコ
キシシランB):27.2部を2−プロパノール:38
3部に溶かした溶液を10分間で滴下し、その後、同温
度で1時間反応させた。かくして、数平均分子量:約1
7000、固形分:30%のウレタン系エラストマー
(ウレタン系エラストマーA)溶液を得た。
【0139】このようにして得られたウレタン系エラス
トマー(ウレタン系エラストマーA)溶液:100部、
テトラメトキシシラン部分縮合体(アルコキシシラン
A)(商品名:MS51(多摩化学(株)製)):5.
88部、10%パラトルエンスルホン酸水溶液:0.1
gを混合し、被覆層形成用溶液を調製した。
【0140】このようにして調製された被覆層形成用溶
液を塗布することにより形成された被覆層の平均厚さ
(乾燥膜厚)は、10μmであった。
【0141】被覆層が形成された細線1本と、被覆層が
形成されていない細線2本とからなる3本を一組とし、
これらを編組することにより網状管を作製した。
【0142】このようにして得られた網状管で螺旋管を
被覆することにより芯材を作製した。
【0143】次に、芯材の外周に、外皮材料を押出成形
で被覆することにより、外皮(平均厚さ:0.4mm)
を形成し、長さ1.5mの内視鏡用可撓管を得た。
【0144】なお、外皮材料としては、ペレット状のウ
レタン系エラストマー(TPU)を195℃で20分間
混練したものを用いた。また、押出成形時における外皮
材料の温度は、200℃であった。
【0145】(実施例2)被覆層の平均厚さを20μm
とした以外は、前記実施例1と同様にして内視鏡用可撓
管を作製した。
【0146】(実施例3)外皮の構成材料として、ペレ
ット状のウレタン系エラストマー(TPU):40重量
部と、ペレット状のオレフィン系エラストマー(TP
O):60重量部とを、195℃で20分間混練したも
のを用いた以外は、前記実施例1と同様にして内視鏡用
可撓管を作製した。
【0147】(実施例4)被覆層の平均厚さを20μm
とした以外は、前記実施例3と同様にして内視鏡用可撓
管を作製した。
【0148】(実施例5)外皮の構成材料として、ペレ
ット状のウレタン系エラストマー(TPU):60重量
部と、ペレット状のオレフィン系エラストマー(TP
O):40重量部とを、195℃で20分間混練したも
のを用いた以外は、前記実施例1と同様にして内視鏡用
可撓管を作製した。
【0149】(実施例6)被覆層の平均厚さを20μm
とした以外は、前記実施例5と同様にして内視鏡用可撓
管を作製した。
【0150】(実施例7)外皮の構成材料として、ペレ
ット状のエステル系エラストマー(TPEE)を、19
5℃で20分間混練したものを用いた以外は、前記実施
例1と同様にして内視鏡用可撓管を作製した。
【0151】(実施例8)被覆層の平均厚さを20μm
とした以外は、前記実施例7と同様にして内視鏡用可撓
管を作製した。
【0152】(実施例9)外皮の構成材料として、ペレ
ット状のウレタン系エラストマー(TPU):50重量
部と、ペレット状のエステル系エラストマー(TPE
E):50重量部とを、195℃で20分間混練したも
のを用いた以外は、前記実施例1と同様にして内視鏡用
可撓管を作製した。
【0153】(実施例10)被覆層の平均厚さを20μ
mとした以外は、前記実施例9と同様にして内視鏡用可
撓管を作製した。
【0154】(実施例11)被覆層を被覆する細線とし
て、その表面に化成処理を施したものを用いた以外は、
前記実施例3と同様にして内視鏡用可撓管を作製した。
なお、前記化成処理は、以下のようにして行った。
【0155】まず、細線をアルカリ洗浄し、さらに、シ
ョットブラストにより、外表面に粗面化処理を施した。
【0156】その後、クロムリン酸塩法により、この外
表面に化成皮膜(クロメート皮膜)を形成した。化成皮
膜の形成は、クロム酸(CrO3)12g、75%リン
酸(H3PO4)水溶液35ml、酸性フッ化ソーダ(N
aF・HF)3gを40℃の水1リットルに溶解するこ
とにより調製した化成処理溶液に、前記芯材を浸漬する
ことにより行った。これにより、芯材の外表面のほぼ全
面にわたりクロメート皮膜が形成された。クロメート皮
膜の平均厚さ、平均付着量は、それぞれ0.4μm、
0.1g/m2であった。
【0157】(実施例12)被覆層の平均厚さを20μ
mとした以外は、前記実施例11と同様にして内視鏡用
可撓管を作製した。
【0158】(実施例13)芯材の外周に形成する外皮
を、内層と中間層と外層とからなる積層体とした以外
は、前記実施例2と同様にして、内視鏡用可撓管を作製
した。なお、積層体の形成は、3個の押出口を備えた押
出成形機を用いて行った。すなわち、内層の構成材料、
中間層の構成材料、および外層の構成材料を同時に押出
し、その積層体を芯材上に被覆することにより積層構造
を有する外皮を連続的に製造した。
【0159】なお、内層の構成材料、中間層の構成材
料、外層の構成材料としては、それぞれ、ペレット状の
ウレタン系エラストマー(TPU)を195℃で20分
間混練したもの、ペレット状のオレフィン系エラストマ
ー(TPO)を195℃で20分間混練したもの、ペレ
ット状のエステル系エラストマー(TPEE)を195
℃で20分間混練したものを用いた。また、押出成形時
における内層の構成材料、中間層の構成材料、外層の構
成材料の温度は、いずれも、200℃であった。このよ
うにして形成された内層、中間層、外層の厚さは、それ
ぞれ0.12mm、0.1mm、0.12mmであっ
た。
【0160】(比較例1)内視鏡用可撓管の外皮の外表
面に被覆層を形成しなかった以外は、前記実施例1と同
様にして、内視鏡用可撓管を作製した。
【0161】(比較例2)被覆層の構成材料として、脂
肪族系ウレタンポリマーとシリコーン樹脂との共重合体
(ウレタン−シリコーン共重合体)を用いた以外は、前
記実施例1と同様にして内視鏡用可撓管を作製した。
【0162】(比較例3)被覆層の平均厚さを20μm
とした以外は、前記比較例2と同様にして内視鏡用可撓
管を作製した。
【0163】(比較例4)被覆層の構成材料として、ウ
レタン系エラストマー(TPU)を用いた以外は、前記
実施例1と同様にして内視鏡用可撓管を作製した。
【0164】(比較例5)被覆層の平均厚さを20μm
とした以外は、前記比較例4と同様にして内視鏡用可撓
管を作製した。
【0165】(比較例6)被覆層の構成材料として、ポ
リアミド樹脂を用いた以外は、前記実施例1と同様にし
て内視鏡用可撓管を作製した。
【0166】(比較例7)被覆層の平均厚さを20μm
とした以外は、前記比較例6と同様にして内視鏡用可撓
管を作製した。
【0167】各実施例および各比較例において、外皮の
構成材料として用いたTPU、TPOおよびTPEEを
以下に示す。
【0168】TPU:ポリエステル系のウレタン系エラ
ストマー(製品名:レザミン P−1045(大日精化
工業(株)社製)) TPO:住友TPE 3572(住友化学工業(株)社
製) TPEE:ポリエステル・ポリエーテル型のエステル系
エラストマー(製品名:ハイトレル3046(東レ・デ
ュポン(株)社製))
【0169】各実施例および各比較例について、外皮
(実施例11については、内層、中間層および外層)の
構成材料、被覆層の構成材料、平均厚さを表1にまとめ
て示す。
【0170】
【表1】
【0171】2.内視鏡用可撓管の特性評価 [2.1]弾力性試験 各実施例および各比較例で作製した各内視鏡用可撓管に
ついて、弾力性試験を行った。
【0172】弾力性試験では、各内視鏡用可撓管の両端
を支持して90°折り曲げる操作を行い、そのときの弾
力性を以下の4段階の基準に従って評価した。
【0173】◎:弾力性に大変優れ、内視鏡用可撓管と
しての使用に最適。 ○:弾力性に優れ、内視鏡用可撓管としての使用に適
す。 △:弾力性がやや劣り、内視鏡用可撓管としての使用に
問題あり。 ×:弾力性が劣り、内視鏡用可撓管としての使用に適さ
ず。 弾力性試験の結果を表2に示す。
【0174】[2.2]外皮密着性試験 各実施例および各比較例で作製した各内視鏡用可撓管に
ついて、外皮密着性試験を行った。
【0175】外皮密着性試験では、各内視鏡用可撓管の
外皮にコの字状の切れ目を入れ、この部位の外皮を剥離
する際の剥離強度を測定した。この剥離強度の測定は、
デジタルフォースゲージを使用し、内視鏡用可撓管の軸
方向に対し、角度30°で引っ張ることにより行った。
被覆層が形成されていない内視鏡用可撓管(比較例1)
の外皮の剥離強度を1としたときの相対強度を表2に示
す。
【0176】[2.3]耐久性試験 各実施例および各比較例で作製した各内視鏡用可撓管に
ついて、以下のような耐久性試験を行った。
【0177】まず、各実施例および各比較例で作製した
内視鏡用可撓管を25℃の過酸化水素系消毒液(7.5
wt%)に100時間浸漬した。その後、内視鏡用可撓
管の表面を十分に水洗し、乾燥させた。
【0178】その後、各内視鏡用可撓管の両端を支持し
て90°折り曲げる操作を300回繰り返し行った後
に、前記弾力性試験と同様の方法で弾力性を調べ、折り
曲げ繰り返し操作の開始時と終了時とにおける弾力性を
比較し、その低下の度合いによって評価することとし、
以下の4段階の基準に従って評価した。弾力性の低下
は、外皮の内部剥離(外皮と芯材との剥離)により生じ
る。したがって、弾力性が維持されているものほど耐久
性に優れる。
【0179】◎:弾力性は、ほとんど変化なく、耐久性
が非常に優れる。 ○:弾力性の低下は、わずかで、耐久性が優れる。 △:弾力性は、はっきり分かるほど低下し、耐久性に問
題あり。 ×:弾力性は、著しく低下し、各所で劣化を確認。 耐久性試験の結果を表2に示す。
【0180】
【表2】
【0181】表2から明らかなように、得られた内視鏡
用可撓管は、いずれも優れた弾力性を有していた。ま
た、本発明の内視鏡用可撓管は、外皮剥離強度、耐久性
共に優れていた。特に、実施例13の内視鏡用可撓管
は、外皮の平均厚さ(3層の平均厚さの和)が、実施例
1〜12のものに比べて薄いにも関わらず、これらと同
等の外皮剥離強度、耐久性を有していた。これに対し、
比較例の内視鏡用可撓管は、外皮剥離強度、耐久性に劣
るものであった。
【0182】
【発明の効果】以上述べたように、本発明では、細線の
少なくとも一本に、主として有機材料と無機材料との複
合体で構成された被覆層を形成したことにより、網状管
(細線)と外皮との密着性が向上する。その結果、弾力
性、耐久性に優れた内視鏡用可撓管を得ることができ
る。
【0183】また、外皮を複数の層が積層された積層体
とした場合、外皮が単層で構成されたものに比べ、十分
な弾力性、耐久性を得るのに必要な外皮の厚さを薄くす
ることができる。したがって、内視鏡用可撓管の細径化
が可能となる。また、各層の材料の選択や厚さ等の設定
を適宜行い、それら各層の特性の組み合わせによって、
各層を構成する材料の利点を併有することができ、その
結果、内視鏡用可撓管に必要とされる各種の性能につい
て同時に優れたものとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の内視鏡用可撓管を適用した挿入部可撓
管を有する電子内視鏡を示す全体図である。
【図2】本発明の内視鏡用可撓管を適用した挿入部可撓
管の第1実施形態を示す拡大半縦断面図である。
【図3】本発明の内視鏡用可撓管を構成する網状管の拡
大断面図である。
【図4】図2に示す挿入部可撓管の網状管付近の状態を
示す拡大断面図である。
【図5】本発明の内視鏡用可撓管を適用した挿入部可撓
管の第2実施形態を示す拡大半縦断面図である。
【符号の説明】
1 挿入部可撓管 2 芯材 21 螺旋管 22 網状管 23 細線 231 被覆層 24 空間 25 間隔 26 隙間 3 外皮 31 突出部 32 内層 33 外層 5 湾曲部 6 操作部 61、62 操作ノブ 7 接続部可撓管 8 光源差込部 81 光源用コネクタ 82 画像信号用コネクタ 10 電子内視鏡
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2H040 DA16 3H111 AA02 BA03 BA15 BA26 BA28 BA29 BA34 CA52 CB04 CB29 CC03 CC18 DA12 DA26 DB21 EA04 4C061 AA00 BB00 CC00 DD03 FF27 JJ11

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 帯状材を螺旋状に巻回して形成された螺
    旋管と、細線を編組して形成された編組体と、可撓性を
    有する外皮とで構成される内視鏡用可撓管であって、 前記細線の少なくとも一本に、主として、有機材料と無
    機材料との複合体で構成された被覆層が形成されてお
    り、 前記複合体は、ウレタン系エラストマーと、シリカとを
    有するものであることを特徴とする内視鏡用可撓管。
  2. 【請求項2】 前記複合体は、ハードセグメントとソフ
    トセグメントとを有するウレタン系エラストマーと、シ
    リカとを有し、前記ハードセグメントに前記シリカが結
    合して形成された複合ドメインと、前記ソフトセグメン
    トとが二層分離した構造を有するものである請求項1に
    記載の内視鏡用可撓管。
  3. 【請求項3】 前記外皮は、少なくとも、前記被覆層と
    接触する側の部位がウレタン系エラストマーを含む材料
    で構成されたものである請求項1または2に記載の内視
    鏡用可撓管。
  4. 【請求項4】 前記外皮の前記被覆層と接触する側の部
    位における前記ウレタン系エラストマーの含有量は、1
    0wt%以上である請求項3に記載の内視鏡用可撓管。
  5. 【請求項5】 前記外皮は、少なくとも、前記被覆層と
    接触する側の部位がエステル系エラストマーを含む材料
    で構成されたものである請求項1ないし4のいずれかに
    記載の内視鏡用可撓管。
  6. 【請求項6】 前記外皮は、少なくとも、前記被覆層と
    接触する側の部位がオレフィン系エラストマーを含む材
    料で構成されたものである請求項1ないし5のいずれか
    に記載の内視鏡用可撓管。
  7. 【請求項7】 前記外皮は、複数の層を積層した積層部
    を有するものである請求項1ないし6のいずれかに記載
    の内視鏡用可撓管。
  8. 【請求項8】 前記被覆層の平均厚さは、1〜100μ
    mである請求項1ないし7のいずれかに記載の内視鏡用
    可撓管。
  9. 【請求項9】 前記複合体は、前記ウレタン系エラスト
    マー100重量部に対して、1〜50重量部の前記シリ
    カを含むものである請求項1ないし8のいずれかに記載
    の内視鏡用可撓管。
  10. 【請求項10】 前記複合体は、両末端にアルコキシシ
    リル基を有するウレタン系エラストマーと、加水分解性
    アルコキシシランとを反応させて得られたものである請
    求項1ないし9のいずれかに記載の内視鏡用可撓管。
  11. 【請求項11】 前記加水分解性アルコキシシランは、
    テトラアルコキシシランおよび/またはその縮合物であ
    る請求項10に記載の内視鏡用可撓管。
  12. 【請求項12】 前記被覆層は、塗布法により形成され
    たものである請求項1ないし11のいずれかに記載の内
    視鏡用可撓管。
  13. 【請求項13】 少なくとも、前記被覆層が被覆された
    前記細線の表面に、前記被覆層との密着性を向上するた
    めの処理が施されている請求項1ないし12のいずれか
    に記載の内視鏡用可撓管。
  14. 【請求項14】 前記外皮の平均厚さは、0.08〜
    0.9mmである請求項1ないし13のいずれかに記載
    の内視鏡用可撓管。
  15. 【請求項15】 前記外皮は、押出成形により形成され
    たものである請求項1ないし14のいずれかに記載の内
    視鏡用可撓管。
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