JP2002222642A - アルカリ電池用セパレータの製造方法 - Google Patents

アルカリ電池用セパレータの製造方法

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JP2002222642A JP2001016230A JP2001016230A JP2002222642A JP 2002222642 A JP2002222642 A JP 2002222642A JP 2001016230 A JP2001016230 A JP 2001016230A JP 2001016230 A JP2001016230 A JP 2001016230A JP 2002222642 A JP2002222642 A JP 2002222642A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 環境に及ぼす影響を減らすことができ、しか
も、コスト的に有利な、アルカリ電池用セパレータの製
造方法を提供する。 【解決手段】 前記製造方法では、グラフト重合可能な
モノマー、オリゴマー、及び/又はポリマーを含有する
グラフト重合用液を付着させた繊維シートを、酸素存在
下で、しかも、非通気性フィルムと非接触の開放系にお
いて、グラフト重合処理を行なって、アルカリ電池用セ
パレータ用のグラフト重合化繊維シートを調製する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、アルカリ電池用セ
パレータ(以下、単に「セパレータ」と称することがあ
る)の製造方法に関する。本発明の製造方法により得ら
れるアルカリ電池用セパレータは、例えば、アルカリ一
次電池(例えば、アルカリマンガン電池、水銀電池、酸
化銀電池、又は空気電池)又はアルカリ二次電池(例え
ば、ニッケル−カドミウム電池、銀−亜鉛電池、銀−カ
ドミウム電池、ニッケル−亜鉛電池、ニッケル−水素電
池、又は充電式アルカリマンガン電池)に使用すること
ができ、特にニッケル−カドミウム電池やニッケル−水
素電池などに好適に使用することができる。
【0002】
【従来の技術】従来から、アルカリ電池の正極と負極と
を分離して短絡を防止すると共に、電解液を保持して起
電反応を円滑に行なうことができるように、セパレータ
が使用されている。このセパレータは水酸化カリウムな
どからなる電解液を保持する必要があるため、耐アルカ
リ性に優れるポリオレフィン系繊維から構成される繊維
シートが好ましい。しかしながら、ポリオレフィン系繊
維は電解液との親和性が低く、電解液の保持性が非常に
悪いため、ポリオレフィン系繊維から構成される繊維シ
ートを様々な方法で親水化処理して、電解液の保持能を
付与していた。
【0003】この親水化処理方法の1つとして、ビニル
モノマーをグラフト重合させる方法がある。例えば、特
表平6−509208号公報には、ポリオレフィン系繊
維からなる布帛にビニルモノマーをグラフト重合させた
セパレータが開示されており、更に、前記公報には、ポ
リオレフィン系繊維からなる布帛にビニルモノマーの溶
液を含浸する工程と、酸素にさらさない条件下で布帛に
紫外線を照射する工程とからなるセパレータの製造方法
が開示されている。しかしながら、このセパレータをニ
ッケル−カドミウム電池やニッケル−水素電池などに使
用すると、耐酸化性が悪いため、過充電時に発生する酸
素によって、セパレータが劣化して短絡が発生したり、
酸素による劣化物が極板に影響を及ぼし、電池の寿命を
短くするおそれがあり、しかも、自己放電抑制作用も低
いものであった。
【0004】本発明者の一部及びその共同研究者は、こ
れらの欠点を解消したアルカリ電池用セパレータ及びそ
の製造方法を既に見出している(特開2000−106
162号公報)。すなわち、グラフト重合可能なモノマ
ー及び/又はポリマーを付着させた繊維シートを、酸素
存在下で第1のグラフト重合処理を行なった後、繊維シ
ートの周囲を非通気性フィルムで囲繞した状態で更に第
2のグラフト重合処理を行なうことにより、耐酸化性及
び自己放電抑制作用に優れたアルカリ電池用セパレータ
を得ることができることを見出している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、特表平
6−509208号公報の実施例に具体的に記載されて
いる方法では、布帛をポリエステルフィルムで挟んで空
気を追い出してから、更にポリエチレンの袋に入れてシ
ールしているため、非常に煩雑であった。また、特開2
000−106162号公報に記載されている方法で
は、フィルムで繊維シートを囲繞する工程が、非常に煩
雑である。しかも、この袋やフィルムにはグラフト重合
用液が付着するため、他の用途に転用することができ
ず、結局、廃棄しなければならず、その量は製造される
セパレータの2倍以上の長さに達するため、環境に及ぼ
す影響が大きいばかりでなく、コスト的にも大きな問題
であった。そのため、袋やフィルムを使用する必要のな
いグラフト重合工程、あるいは、使用するにしてもその
量を減らすことのできるグラフト重合工程が待望されて
いた。従って、本発明の課題は、環境に及ぼす影響を減
らすことができ、しかも、コスト的に有利な、アルカリ
電池用セパレータの製造方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】前記課題は、本発明によ
る、グラフト重合可能なモノマー、オリゴマー、及び/
又はポリマーを含有するグラフト重合用液を付着させた
繊維シートを、酸素存在下で、しかも、非通気性フィル
ムと非接触の開放系において、グラフト重合処理を行な
って、アルカリ電池用セパレータ用のグラフト重合化繊
維シートを調製することを特徴とする、アルカリ電池用
セパレータの製造方法により解決することができる。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明の製造方法は、グラフト重
合可能なモノマー、オリゴマー、及び/又はポリマーを
含有するグラフト重合用液を付着させた繊維シートを、
酸素存在下で、しかも、非通気性フィルムと非接触の開
放系において、グラフト重合処理を行なう工程(以下、
グラフト重合処理工程と称する)を含む。
【0008】本発明の製造方法において出発材料として
用いることのできる繊維シート(すなわち、グラフト重
合用液を付着させる前の繊維シート;以下、「処理前繊
維シート」と称する)としては、例えば、不織布、織
物、若しくは編物、又はこれらの複合体などを挙げるこ
とができる。繊維が三次元的に配置することができ、電
解液の保持性に優れている点で、不織布を含むことが好
ましく、不織布からなることが更に好ましい。前記処理
前繊維シートを構成する繊維としては、例えば、ポリオ
レフィン系繊維(例えば、ポリプロピレン繊維又はポリ
エチレン繊維)、ポリアミド繊維、ビニロン繊維、ビニ
リデン繊維、ポリ塩化ビニル繊維、ポリエステル繊維、
アクリル繊維、又はポリウレタン繊維などを挙げること
ができる。これらの中でも、耐アルカリ性に優れている
点で、ポリオレフィン系繊維を用いることが好ましい。
【0009】前記ポリオレフィン系繊維は、例えば、プ
ロピレン、エチレン、ブテン、又はメチルペンテンなど
のモノマーの重合体、これらモノマー2種類以上の共重
合体、あるいは、これらモノマーとビニルアルコール、
アクリル酸、又はメタクリル酸との共重合体(例えば、
エチレン−ビニルアルコール共重合体、エチレン−アク
リル酸共重合体、又はエチレン−メタクリル酸共重合体
など)などの樹脂成分を含んでいることができる。な
お、ポリオレフィン系繊維は、前記樹脂成分1種類のみ
から構成された単一繊維であることもできるし、あるい
は、前記樹脂成分2種類以上から構成された複合繊維で
あることもできる。後者の複合繊維としては、繊維断面
形状が、例えば、芯鞘型、サイドバイサイド型、偏芯
型、海島型、オレンジ型、又は多重バイメタル型である
複合繊維を挙げることができる。
【0010】また、ポリエチレン系樹脂はグラフト重合
されやすいため、処理前繊維シートを構成する繊維の総
表面の60%を越える量が、ポリエチレン系樹脂からな
るのが好ましい。また、繊維表面を構成する樹脂成分が
エチレン−ビニルアルコール共重合体、エチレン−アク
リル酸共重合体、又はエチレン−メタクリル酸共重合体
などからなると、グラフト反応速度が速くなると共に、
繊維自体も親水性であるため好適である。
【0011】前記処理前繊維シートは、常法により容易
に製造することができる。例えば、好適である不織布
は、以下のようにして製造することができる。すなわ
ち、前記繊維(好ましくはポリオレフィン系繊維)を使
用して、湿式法や乾式法(例えば、カード法、エアレイ
法、メルトブロー法、又はスパンボンド法など)などに
よって、繊維ウエブを形成する。なお、繊維長は、一般
に、繊維ウエブの形成方法によって異なり、例えば、湿
式法により繊維ウエブを形成する場合には、繊維長が1
〜25mm程度の短繊維を使用し、乾式法(例えば、カ
ード法やエアレイ法など)により繊維ウエブを形成する
場合には、繊維長が25〜110mm程度の長繊維を使
用することが一般的である。この繊維ウエブは一層から
なることもできるし、あるいは、湿式法による繊維ウエ
ブと乾式法による繊維ウエブを積層したり、繊維配合の
異なる繊維ウエブを積層するなど、異種の繊維ウエブを
積層することもできる。特に、湿式法による繊維ウエブ
と乾式法による繊維ウエブを積層したものは、湿式法に
よる繊維ウエブの均一性と、乾式法による繊維ウエブの
強度とを兼ね備えている。
【0012】次いで、この繊維ウエブを結合して不織布
を製造することができる。この結合方法としては、例え
ば、(1)流体流(例えば、水流)によって絡合させる
方法、(2)繊維ウエブを構成する繊維として融着繊維
を混合しておき、この融着繊維の一部又は全部を融着さ
せる方法、(3)バインダーによって部分的又は全面的
に接着させる方法、そして、(4)これらを併用する方
法などを挙げることができる。なお、先に述べたよう
に、湿式法による繊維ウエブと乾式法による繊維ウエブ
とを積層した場合には、湿式法による繊維ウエブと乾式
法による繊維ウエブとの区別のない、実質的に一層の不
織布とすることができるように、流体流(例えば、水
流)によって絡合させるのが好ましい。また、物理的作
用により極細繊維に分割可能な分割性繊維を含んでいる
場合には、流体流によって分割性繊維の分割も同時にで
きるという効果を奏する。更に、融着繊維を融着させる
と、セパレータの引張強さや剛軟度も向上させることが
できるため、好適である。
【0013】本発明の製造方法において用いるグラフト
重合用液は、少なくとも、グラフト重合可能なモノマ
ー、オリゴマー、及び/又はポリマーを含有する。グラ
フト重合可能な前記モノマーとしては、例えば、ビニル
モノマー(すなわち、炭素−炭素二重結合を有するモノ
マー)を挙げることができ、前記ビニルモノマーの具体
的な化合物としては、例えば、不飽和モノカルボン酸
(例えば、アクリル酸、α−エチルアクリル酸、クロト
ン酸、イソクロトン酸、ビニル酢酸、メタクリル酸、ア
ンゲリカ酸、チグリン酸、アリル酢酸、α−エチルクロ
トン酸、ケイ皮酸、10−ウンデセン酸、オレイン酸、
エライジン酸、エルカ酸、ブラシジン酸、ルメクエン
酸、ソルビン酸、リノール酸、エレオステアリン酸、リ
ノレン酸、アラキドン酸、アセチレンカルボン酸、テト
ロル酸、ステアロル酸、ベヘノル酸、又はキシメニン
酸)若しくは前記不飽和モノカルボン酸の誘導体(例え
ば、エステル化物)、不飽和ジカルボン酸(例えば、マ
レイン酸、フマル酸、メチルマレイン酸、メチルフマル
酸、グルタコン酸、イタコン酸、アリルマロン酸、テラ
コン酸、ムコン酸、又はブチン二酸)若しくは前記不飽
和ジカルボン酸の誘導体(例えば、エステル化物)、不
飽和トリカルボン酸(例えば、アコニット酸)若しくは
前記不飽和トリカルボン酸の誘導体(例えば、エステル
化物)、複素環式ビニルモノマー(例えば、ビニルピリ
ジン又はビニルピロリドン)、又は芳香族ビニルモノマ
ー(例えば、スチレン)を挙げることができる。なお、
グラフト重合可能なモノマーとしてスチレンを用いる場
合には、グラフト重合処理工程を実施した後に、更にス
ルホン化するのが好ましい。
【0014】これらのグラフト重合可能なモノマーの中
でも、グラフト重合しやすい点で、二重結合を有する炭
素にカルボキシル基が直接結合した不飽和モノカルボン
酸又は不飽和ジカルボン酸が好ましい。更には、重合を
制御しやすく、また、グラフト重合により良好な親水性
を生じる点で、アクリル酸又はメタクリル酸がより好ま
しい。
【0015】また、グラフト重合可能なオリゴマー又は
ポリマーとしては、例えば、先に例示したグラフト重合
可能なモノマーの重合体であって、処理前繊維シートに
対してグラフト重合可能な重合体を使用することがで
き、反応性の点から、ポリアクリル酸、アクリル酸のオ
リゴマー、ポリメタクリル酸、又はメタクリル酸のオリ
ゴマーを使用するのが好ましい。
【0016】本発明の製造方法において、このような重
合可能なモノマー、オリゴマー、及び/又はポリマーを
処理前繊維シートに付着させる際には、例えば、(1)
モノマー、オリゴマー、及び/又はポリマーを含む溶液
を、処理前繊維シートに塗布又は散布する方法、あるい
は、(2)モノマー、オリゴマー、及び/又はポリマー
を含む溶液中に処理前繊維シートを浸漬する方法などを
挙げることができる。
【0017】本発明の製造方法において用いるグラフト
重合用液は、グラフト重合可能なモノマー、オリゴマ
ー、又はポリマーを単独で含有することもできるし、あ
るいは、グラフト重合可能なモノマー、オリゴマー、及
び/又はポリマーを2種類以上組み合わせて含有するこ
ともできる。前記グラフト重合用液に含有されるグラフ
ト重合可能なモノマー、オリゴマー、及び/又はポリマ
ーの濃度は、35mass%以上であれば、効率的にグ
ラフト重合が進行し、38mass%以上であることが
好ましく、40mass%以上であることがより好まし
い。グラフト重合可能なモノマー、オリゴマー、及び/
又はポリマーの濃度が35mass%未満であると、グ
ラフト率が低くなる傾向がある。グラフト重合可能なモ
ノマー、オリゴマー、及び/又はポリマーの濃度の上限
は、グラフト重合用液として使用可能な濃度である限
り、特に限定されるものではないが、グラフト重合可能
なモノマー、オリゴマー、及び/又はポリマーの濃度は
60mass%以下であることが好ましい。グラフト重
合可能なモノマー、オリゴマー、及び/又はポリマーの
濃度が60mass%を越えると、耐酸化性が悪くなる
傾向がある。
【0018】本発明の製造方法において用いるグラフト
重合用液は、グラフト重合可能なモノマー、オリゴマ
ー、及び/又はポリマーに加え、更に、必要に応じて、
例えば、連鎖移動剤、反応開始剤、及び/又は界面活性
剤を含有することができる。例えば、グラフト重合用液
に連鎖移動剤を添加すると、グラフト鎖を短くすること
ができると考えられ、未反応のホモポリマーなどの洗浄
除去性に優れているため、製造上、好ましい。また、連
鎖移動剤を含有するグラフト重合用液を用いて、グラフ
ト重合処理工程を実施すると、自己放電抑制作用に優れ
る傾向があるため、好ましい。このように自己放電抑制
作用に優れていると、グラフト率を低くすることがで
き、その結果、耐酸化性が向上するという二次的な効果
も奏する。
【0019】前記連鎖移動剤としては、例えば、低級ア
ルコール(例えば、イソプロピルアルコール)、多官能
アルコール類(例えば、ポリエチレングリコール)、又
はジカルボン酸類(例えば、マレイン酸)を使用するこ
とができ、電池性能への影響の点で、ポリエチレングリ
コールを用いることが好ましい。特には、ポリエチレン
グリコール(重合度=2000以下)を用いるのが好ま
しい。使用するポリエチレングリコールの重合度が20
00を越えると、固体となり、均一に分散させることが
困難になる。均一に分散させることができないと、グラ
フト重合が均一に行なわれず、例えば、アンモニア捕捉
性が不均一になる。前記のポリエチレングリコールの重
合度の下限は100程度であり、ポリエチレングリコー
ルの重合度は200〜1000であることがより好まし
い。
【0020】本発明の製造方法において用いるグラフト
重合用液に含有することのできる連鎖移動剤(特にはポ
リエチレングリコール)の濃度は、特に限定されるもの
ではないが、20mass%以上であることが好まし
く、25mass%以上であることがより好ましい。連
鎖移動剤濃度が20mass%未満であると、アンモニ
ア捕捉性が悪くなる傾向があり、また、ホモポリマーが
発生しやすく、粘着性が生じやすいため、製造上、不都
合が生じることがある。連鎖移動剤濃度の上限は、グラ
フト重合用液として使用可能な濃度である限り、特に限
定されるものではないが、連鎖移動剤濃度は40mas
s%以下であることが好ましい。連鎖移動剤濃度が40
mass%を越えると、グラフト率が低下し、しかも、
アンモニア捕捉性が悪くなる傾向がある。
【0021】本発明の製造方法において用いるグラフト
重合用液に含有することのできる反応開始剤としては、
例えば、ベンゾフェノン、過酸化物(例えば、過酸化ベ
ンゾイル)、又はアゾ化合物を使用することができ、電
池性能への影響の点で、ベンゾフェノンを用いることが
好ましい。本発明の製造方法において用いるグラフト重
合用液に含有することのできる反応開始剤(特にはベン
ゾフェノン)の濃度は、特に限定されるものではない
が、0.05〜0.5mass%であることが好まし
く、0.1〜0.2mass%であることがより好まし
い。反応開始剤濃度が0.05mass%未満である
と、グラフト重合が充分に進行しない傾向があり、反応
開始剤濃度が0.5mass%を越えると、アンモニア
捕捉性が悪くなる傾向がある。
【0022】本発明の製造方法において用いるグラフト
重合用液に含有することのできる界面活性剤としては、
例えば、ノニオン系界面活性剤(例えば、ポリオキシエ
チレンアルキルエーテル又はポリオキシエチレンアルキ
ルフェノールエーテル、高級アルコール、又はアルキル
エトキシレート)、又はアニオン系界面活性剤(例え
ば、高級脂肪酸のアルカリ金属塩、アルキルスルホン酸
塩、又はスルホコハク酸エステル塩)を挙げることがで
きる。濡れ性の付与又は電池性能の点で、ノニオン系界
面活性剤を用いることが好ましく、高級アルコール又は
アルキルエトキシレートを用いることがより好ましい。
【0023】本発明の製造方法において用いるグラフト
重合用液に含有される界面活性剤の濃度は、特に限定さ
れるものではないが、好ましくは0.01〜3mass
%であり、より好ましくは0.03〜3mass%であ
り、更に好ましくは0.05〜1mass%である。界
面活性剤濃度が0.01mass%未満であると、得ら
れるグラフト重合化繊維シートのアルカリ溶液への濡れ
性が悪くなる傾向がある。界面活性剤濃度が3mass
%を越えると、得られるグラフト重合化繊維シートの平
均アンモニア捕捉量が低下する傾向があり、また、粘着
性が生じやすいため、製造上、不都合が生じることがあ
る。
【0024】本発明の製造方法において用いるグラフト
重合用液の溶媒(分散媒)としては、特に限定されるも
のではないが、例えば、水、アルコール、又はアセトン
を用いることができる。前記のグラフト重合用液は、必
要により、更にホモポリマー生成抑制剤(例えば、硫酸
鉄)を含むこともできるし、あるいは、含まないことも
できる。
【0025】なお、処理前繊維シートにグラフト重合用
液を付着させる際に余分なグラフト重合用液が含まれて
いると、重力によってグラフト重合用液が偏在し、結果
として偏在した状態でグラフト重合することになるた
め、余分なグラフト重合用液を除去するのが好ましい。
すなわち、処理前繊維シートにグラフト重合用液を付着
させる際には、グラフト重合用液は、処理前繊維シート
の面密度100g/m2に対して、40〜250g/m2
であることが好ましく、50〜200g/m2であるこ
とがより好ましい。この余分なグラフト重合用液を除去
する手段としては、例えば、一対のロール間を通す方
法、あるいは、平板プレス間を通す方法などを挙げるこ
とができる。
【0026】また、グラフト重合用液を処理前繊維シー
トに付着させる前に、グラフト重合用液と処理前繊維シ
ートとの馴染みを良くするために、例えば、紫外線照
射、コロナ放電、及び/又はプラズマ放電などにより処
理前繊維シートの表面処理を実施することが好ましい。
【0027】本発明の製造方法におけるグラフト重合処
理工程では、グラフト重合用液の付着した繊維シート
を、酸素存在下で、しかも、非通気性フィルム(例え
ば、ポリオレフィン系フィルム、例えば、ポリエチレン
フィルム又はポリプロピレンフィルム)と非接触の開放
系において、グラフト重合を行なう。このように、非通
気性フィルムとグラフト重合用液の付着した繊維シート
とが非接触の開放系であることによって、非通気性フィ
ルムを全く使用する必要がなかったり、グラフト重合用
照射源の汚染防止用フィルムを使用する場合でも、グラ
フト重合用液の付着した繊維シートの搬送速度よりも非
通気性フィルムの搬送速度を遅くしたり、あるいは、非
通気性フィルムを固定した状態で使用することができる
ため、非通気性フィルムの使用量を減らしたり、交換頻
度を減らしたりすることができる。この結果として、環
境に及ぼす影響を減らすことができ、しかも、コスト的
にも有利である。
【0028】グラフト重合の際には、酸素存在下で、し
かも、非通気性フィルムと非接触の開放系で実施するこ
とができるので、例えば、空気中で実施することもでき
るし、あるいは、空気又は酸素を供給しながら実施する
こともできるが、製造工程の簡便(酸素濃度を一定にし
やすい)上、空気中で実施することが好ましい。なお、
グラフト重合処理工程では、非通気性フィルム以外のも
の、例えば、繊維シートの搬送手段(例えば、搬送用ネ
ット)であれば、グラフト重合用液の付着した繊維シー
トと接触していることができる。
【0029】グラフト重合処理工程におけるグラフト重
合方法としては、例えば、紫外線照射、遠赤外線照射、
放射線照射(X線、α線、β線、又はγ線)、又は熱重
合などを挙げることができる。これらの方法の中でも、
繊維表面のみでグラフト重合させることができ、しか
も、反応開始剤のラジカル発生時間が短く、短時間でグ
ラフト重合可能である点で、紫外線照射が好ましい。
【0030】グラフト重合処理工程は、温度が好ましく
は100℃以上となる条件下(より好ましくは110℃
以上となる条件下)で実施する。このように高温でグラ
フト重合処理を実施すると、熱重合も平行して生じさ
せ、効率的にグラフト重合させることができる。また、
このように高温とすることによって、耐酸化性に優れる
セパレータを容易に製造することができる。
【0031】グラフト重合処理工程におけるグラフト重
合処理時間は、例えば、用いるグラフト重合方法の種
類、グラフト重合の実施条件(例えば、照射強度)、又
はグラフト率に応じて適宜決定することができる。ま
た、グラフト重合処理は、連続して実施することもでき
るし、あるいは、断続的に実施することもできる。
【0032】なお、グラフト重合処理工程では、グラフ
ト重合用液の付着した繊維シートと非接触である限り、
例えば、前記繊維シートとグラフト重合用照射源(例え
ば、水銀灯)との間に、前記繊維シートと離間した状態
でフィルムを配置することができ、この場合、グラフト
重合用液によるグラフト重合用照射源の汚染を防止する
ことができる。
【0033】グラフト重合処理工程を実施して得られた
繊維シートは、例えば、水、温水、湯、又はアルコール
などによって充分に洗浄することが好ましい。グラフト
重合処理工程を実施して得られた繊維シートは、多少の
未反応物(例えば、グラフトモノマー、オリゴマー、及
び/又はポリマー)を含んだ状態にあるからである。
【0034】また、グラフト重合処理工程を実施して得
られた繊維シートは、公知の親水化方法、例えば、界面
活性剤処理、窒素ガスなどの不活性ガスで希釈したフッ
素ガスと、酸素ガス、二酸化炭素ガス、又は二酸化イオ
ウガスなどの中から選んだ少なくとも1種類のガスとの
混合ガスによる処理、又は放電処理などの方法により更
に親水化して、電解液の注液速度を速くし、電池の生産
性を向上させることができる。界面活性剤により親水化
する場合には、セパレータの質量に対して界面活性剤を
0.1〜3mass%の量で付着させることが好まし
く、0.2〜1.5mass%の量で付着させることが
より好ましく、0.3〜1.2mass%の量で付着さ
せることが更に好ましい。
【0035】本発明の製造方法により得られるアルカリ
電池用セパレータは、酸素存在下でグラフト重合してい
ることによって、アンモニア捕捉量、自己放電抑制作
用、及び耐酸化性において優れた特性を有する。従っ
て、本発明の製造方法により得られるアルカリ電池用セ
パレータは、ニッケル−カドミウム電池やニッケル−水
素電池などの電池に好適に使用することができる。もち
ろん、その他のアルカリ電池、例えば、アルカリ一次電
池(例えば、アルカリマンガン電池、水銀電池、酸化銀
電池、又は空気電池)又はアルカリ二次電池(例えば、
銀−亜鉛電池、銀−カドミウム電池、ニッケル−亜鉛電
池、又は充電式アルカリマンガン電池)のセパレータと
しても好適に使用することができる。
【0036】本明細書において「平均アンモニア捕捉
量」とは、アンモニア捕捉量測定箇所10箇所以上の平
均値であり、対象となるセパレータの任意の測定箇所1
0箇所以上について、以下の工程(A)〜(D)からな
る測定方法によりアンモニア捕捉量を測定し、それらの
平均値を計算することによって得ることができる。本発
明の製造方法を用いると、例えば、単位質量当たりの平
均アンモニア捕捉量が0.4mmol/g以上であるセ
パレータを得ることができる。平均アンモニア捕捉量が
0.4mmol/g未満であると、自己放電抑制作用が
低くなることがある。
【0037】(A)試験片の前処理 (1)試料より試験片約2gを採取し、採取した試験片
の質量(W;単位=g)を測定する(0.001gまで
の精度で測定)。 (2)8mol/L−KOH水溶液120mLをメスシ
リンダーで量り、250mL三角フラスコ(ガラス栓付
き)に注ぎ入れる。 (3)試験片を純水で充分に湿らせた後、充分に絞り、
約1cm2の小片に切断し、前記(2)の三角フラスコ
に入れる。 (4)更に、前記三角フラスコ中に、0.3mol/L
−NH3含有8mol/L−KOH水溶液(8mol/
L−KOH水溶液に、NH3濃度が0.3mol/Lと
なるように塩化アンモニウムを添加して調製したもの)
5mLをピペットで正確に添加した後、素早くガラス栓
で密封し、試験片が充分に浸漬するように振り混ぜる。 (5)試験片を入れた三角フラスコを、40℃の恒温槽
中に3日間静置する。 (6)ブランクとして、前記(2)とは別の三角フラス
コ2個を用意し、試験片を三角フラスコに入れないこと
以外は、前記(2)〜(5)の操作を繰り返す。
【0038】(B)残留アンモニアの蒸留[パルナス・
ワグナー蒸留装置(図1参照)を用いるミクロケルダー
ル法による蒸留] (1)恒温槽から三角フラスコを取り出し、水道水につ
けて冷却しておく。 (2)一方、図1に示すパルナス・ワグナー蒸留装置1
の注液管21から、水蒸気発生用の丸底フラスコ11内
に純水を入れ、沸騰させる。なお、管21を使用せず
に、例えば、丸底フラスコ11に純水を入れてから蒸留
装置にセットすることもできる。 (3)アンモニア捕捉用フラスコとして、前記(1)の
三角フラスコとは別の新しい500mL三角フラスコ
に、純水200mLを入れ、続いて、ビュレットを用い
て0.1mol/L塩酸2.5mLを注入し、更に10
滴程度のメチルレッドをいれた後、この500mL三角
フラスコを、アンモニア捕捉用フラスコ16として、パ
ルナス・ワグナー蒸留装置1にセットする。この際、蒸
留装置の冷却器15から伸びる誘導管26の下端が、前
記500mL三角フラスコ16の液中に位置するように
セットする。 (4)前記(1)の三角フラスコの中から、アンモニア
含有溶液25mLをピペットで取り出し、パルナス・ワ
グナー蒸留装置1の液注入口13から注入する。注入さ
れたアンモニア含有溶液は、誘導管24を通って、真空
ビン14中に誘導される。前記液注入口13を純水で洗
い流した後、液注入口13をクリップ17で止める。
【0039】(5)前記(2)の丸底フラスコ11内の
純水を沸騰させて水蒸気を発生させる。発生した水蒸気
は、誘導管22、排水器12、誘導管23、及び誘導管
24をこの順に通過し、前記真空ビン14に導びかれ
る。この水蒸気により、真空ビン中のアンモニア含有溶
液に含まれるアンモニアが蒸発し、蒸発したアンモニア
蒸気は、真空ビン14の上部に取り付けられている誘導
管25を通って、冷却器15に送られ、凝縮される。凝
縮されたアンモニアは、冷却器15から伸びる誘導管2
6を通り、アンモニア捕捉用の500mL三角フラスコ
16に回収される。このアンモニア蒸留を10分間行な
う。 (6)前記アンモニア蒸留終了後、パルナス・ワグナー
蒸留装置1から、アンモニア捕捉用の500mL三角フ
ラスコ16を取り外す。冷却器15から伸びる誘導管2
6の外部を蒸留水で洗浄し、この洗浄液も前記500m
L三角フラスコに入れる。
【0040】(C)滴定 (1)前記(B)(6)の500mL三角フラスコ内の
溶液の色がピンク色である場合(すなわち、塩酸が残留
している場合)には、このフラスコ内に、0.1mol
/L水酸化カリウム水溶液を、黄変するまで、ビュレッ
トから滴下することにより滴定する(滴下した0.1m
ol/L水酸化カリウム水溶液量をV1とする)。前記
(B)(6)の500mL三角フラスコ内の溶液の色が
黄色である場合(すなわち、塩酸が残留してしない場
合)には、このフラスコ内に、0.1mol/L塩酸
を、赤変するまで、ビュレットから滴下することにより
滴定する(滴下した0.1mol/L塩酸量をV2とす
る)。 (2)ブランクとして用意した500mL三角フラスコ
では、この三角フラスコ内の酸が全部消費され、黄変し
ているので、0.1mol/L塩酸を、赤変するまで、
ビュレットから滴下することにより滴定する(滴下した
0.1mol/L塩酸量をV0とする)。
【0041】(D)アンモニア捕捉量の決定 (1)アンモニア捕捉量(Cp:単位=mmolNH3
g)は、以下の計算式(1): Cp=(n0−np)/W (1) [式中、n0は、下記式(1a)で算出される、ブラン
ク試験で残存したアンモニア量(mmolNH3)であ
り、npは、下記式(1b)で算出される、試験片で捕
捉されなかったアンモニア量n1(mmolNH3)であ
るか、あるいは、下記式(1c)で算出される、試験片
で捕捉されなかったアンモニア量n2(mmolNH3
である]から算出する。なお、n0は、2つのブランク
の平均値である。
【0042】 計算式(1a): n0=(125/25)×(2.5+V0)×0.1 (1a) 計算式(1b): n1=(125/25)×(2.5−V1)×0.1 (1b) 計算式(1c): n2=(125/25)×(2.5+V2)×0.1 (1c)
【0043】
【実施例】以下、実施例によって本発明を具体的に説明
するが、これらは本発明の範囲を限定するものではな
い。
【実施例1】芯成分がポリプロピレンからなり、鞘成分
が高密度ポリエチレン(融点:132℃)からなる芯鞘
型融着繊維(繊度=0.8dtex,繊維長=5mm)
80mass%と、高強度ポリプロピレン繊維(繊度=
2.2dtex,繊維長=10mm,引張り強さ=8c
N/dtex)20mass%とを分散させたスラリー
から、湿式抄造法により繊維ウエブを形成した。次い
で、この繊維ウエブを136℃で熱処理した後、線圧力
10N/cmの(常温の)ロール間を通して、芯鞘型融
着繊維の鞘成分である高密度ポリエチレンを融着させて
処理前不織布を形成した。
【0044】他方、次の配合成分(1)〜(5)から、
グラフト重合用液を調製した。 (1)アクリル酸モノマー 40 mass% (2)ベンゾフェノン 0.13mass% (3)ノニオン系界面活性剤 1 mass% (4)ポリエチレングリコール(重合度:400) 30 mass% (5)水 28.87mass%
【0045】次いで、前記処理前不織布に前記グラフト
重合用液を含浸した後(処理前不織布の面密度100g
/m2に対して、80g/m2の割合でグラフト重合用液
を含有)、グラフト重合用液を含浸した不織布の両側に
2個ずつ配置したメタルハライド水銀灯から180mW
/cm2の照度で、365nm中心の紫外線を空気中で
30秒間照射して、アクリル酸をグラフト重合させた。
なお、グラフト重合用液を含浸した不織布とメタルハラ
イド水銀灯との間に、ポリプロピレンフィルムを前記不
織布と離間させて固定配置(両側とも)した開放状態
で、グラフト重合させた。このとき、メタルハライド水
銀灯で紫外線を照射した不織布の温度は110℃であっ
た。次いで、グラフト重合した不織布を充分に水洗い
し、乾燥した後、線圧10N/cmでカレンダー処理し
て、本発明のセパレータ(面密度=60g/m2,厚さ
=0.15mm,グラフト率=9%)を製造した。
【0046】
【物性評価】(a)平均アンモニア捕捉量の測定 前記実施例1で製造した本発明のセパレータの平均アン
モニア捕捉量を測定した。なお、測定は、セパレータに
つき、10個のサンプルを用いて行なった。結果を表1
に示す。表1において、括弧内の数値は、10個のデー
タの最小値及び最大値を示し、その上の数値は、10個
のデータの平均値を示す。単位は「mmol/g」であ
る。表1に示すように、本発明のセパレータは、平均ア
ンモニア捕捉量が多く、しかも、アンモニア捕捉量のば
らつきが小さいものであった。
【0047】(b)容量維持率の測定 電極の集電体として、発泡ニッケル基材を用いたペース
ト式ニッケル正極(33mm幅,182mm長)と、ペ
ースト式水素吸蔵合金負極(メッシュメタル系合金,3
3mm幅,247mm長)とを作成した。次いで、前記
実施例1で調製したセパレータを、35mm幅及び41
0mm長に裁断した後、それぞれ正極と負極との間に挟
み、渦巻き状に巻回して、SC型対応の電極群を作成し
た。この電極群を外装缶に収納した後、電解液として5
mol/L水酸化カリウム及び1mol/L水酸化リチ
ウムを外装缶に注液し、封缶して円筒型ニッケル−水素
電池を作成した。
【0048】次いで、円筒型ニッケル−水素電池を、
0.1Cで容量に対して150%充電した後、0.1C
で放電し、終止電圧が1.0Vでの初期容量(A)を測
定した。次いで、0.1Cで容量に対して150%充電
した後、温度65℃の恒温室内に5日間放置した。その
後、再度、0.1Cで放電し、終止電圧が1.0Vでの
容量(B)を測定した。これらの結果から、次式(2)
により容量維持率(C)を算出した: C(%)=(B/A)×100 (2) なお、測定は、セパレータにつき、10個のサンプルを
用いて行なった。
【0049】結果を表1に示す。表1において、括弧内
の数値は、10個のデータの最小値及び最大値を示し、
その上の数値は、10個のデータの平均値を示す。単位
は「%」である。表1に示すように、本発明のセパレー
タは、容量維持率が高く、しかも、容量維持率のばらつ
きが小さいため、品質の安定したセパレータである。
【0050】(c)化学的酸素要求量(COD)の測定 耐酸化性を評価する目的で、前記実施例1で製造した本
発明のセパレータの化学的酸素要求量(COD)を、以
下の方法により測定した。 (1)酸化剤として作用する後述の過マンガン酸カリウ
ムの20−40%が消費されるような大きさに、セパレ
ータを裁断する(面積Am2)。例えば、セパレータを
5cm角に裁断する(面積0.0025m2)。 (2)上記のセパレータを更に1〜2cm角程度の大き
さに裁断した後、300mlのフラスコに入れる。 (3)メスシリンダーにて100mlの純水をフラスコ
に注入する。 (4)硫酸1容量に対して蒸留水2容量からなる硫酸水
(10ml)を振り混ぜながら、フラスコに注入する。 (5)5mmol/l(N/40)の過マンガン酸カリ
ウム溶液(10ml)をピペットでフラスコに注入して
振り混ぜ、直ちに80℃の湯浴中(シェーカー付)に入
れ、30分間反応させる。なお、この際に、湯浴の水面
がフラスコ内の水面よりも上にくるようにして、十分に
反応させる。また、30分間反応させた後に、過マンガ
ン酸カリウムの紅色が残っていることを確認する。色が
消えている場合には、セパレータの量が多過ぎることを
意味しているため、セパレータの量を減らして上記
(1)〜(5)の操作を繰り返す。(6)湯浴からフラ
スコを取り出し、12.5mmol/l(N/40)の
シュ ウ酸ナトリウム溶液10mlをピペットでフラスコに注
入し、振り混ぜてよく反応させる。この時、過マンガン
酸カリウムの紅色が消えて無色になっていることを確認
する。 (7)フラスコ内の溶液を60〜80℃に保ちながら、
5mmol/l(N/40)の過マンガン酸カリウム溶
液で滴定する。終点は微紅色を30秒間以上保つ時とす
る。この時に要した過マンガン酸カリウム溶液の量a
(ml)を測定する。 (8)別に、純水100mlをフラスコに取り、(4)
〜(7)の操作を行う(空試験)。この時に要した過マ
ンガン酸カリウム溶液の量b(ml)を測定する。 (9)以上の結果から、次式(3)によってCODを算
出する。 COD(mg・O/m2)=(a−b)×f×0.2×1/A (3) [式中、aは滴定に要した過マンガン酸カリウムの量
(ml)であり、bは空試験の滴定に要した過マンガン
酸カリウムの量(ml)であり、fは5mmo1/l過
マンガン酸カリウム溶液のファクターであり、そしてA
はセパレータの面積(m2)である]
【0051】結果を表1に示す。単位は「mg・O/m
2」である。このCODが250mg・O/m2を越える
と、酸素による劣化が著しく、このセパレータを使用し
た電池は寿命の短いものとなるおそれがある。本発明の
セパレータは、CODが170mg・O/m2と耐酸化
性に優れるものであった。
【0052】 《表1》 平均アンモニア捕捉量 容量維持率 COD 実施例1 0.48 59 170 (0.47〜0.50) (55〜60)
【0053】
【発明の効果】本発明の製造方法によれば、コスト的に
有利に、アルカリ電池用セパレータを製造することがで
き、しかも、環境に及ぼす影響を減らすことができる。
また、アンモニア捕捉量、自己放電抑制作用、及び耐酸
化性において優れたセパレータを製造することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】アンモニア捕捉量の測定に用いる装置を模式的
に示す説明図である。
【符号の説明】
1・・・パルナス・ワグナー蒸留装置; 11・・・丸底フラスコ;12・・・排水器; 13・・・液注入口;14・・・真空ビン;15・・・
冷却器; 16・・・アンモニア捕捉用フラスコ;17・・・クリ
ップ; 21・・・注液管;22,23,24,25,26・・
・誘導管。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 田中 政尚 茨城県猿島郡総和町大字北利根7番地 日 本バイリーン株式会社内 (72)発明者 山崎 洋昭 茨城県猿島郡総和町大字北利根7番地 日 本バイリーン株式会社内 Fターム(参考) 5H021 BB09 CC02 EE04 EE16 HH01 HH06 5H028 AA05 BB07 BB10 BB15 CC12 EE05 EE06 HH01 HH08

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 グラフト重合可能なモノマー、オリゴマ
    ー、及び/又はポリマーを含有するグラフト重合用液を
    付着させた繊維シートを、酸素存在下で、しかも、非通
    気性フィルムと非接触の開放系において、グラフト重合
    処理を行なって、アルカリ電池用セパレータ用のグラフ
    ト重合化繊維シートを調製することを特徴とする、アル
    カリ電池用セパレータの製造方法。
  2. 【請求項2】 前記グラフト重合用液中のグラフト重合
    可能なモノマー、オリゴマー、及び/又はポリマーの含
    有量が、35mass%以上である、請求項1に記載の
    製造方法。
  3. 【請求項3】 前記グラフト重合用液が反応開始剤0.
    05〜0.5mass%を更に含有する、請求項1又は
    2に記載の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記グラフト重合用液が連鎖移動剤20
    mass%以上を更に含有する、請求項1〜3のいずれ
    か一項に記載の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記連鎖移動剤がポリエチレングリコー
    ルである、請求項4に記載の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記グラフト重合処理を、温度が100
    ℃以上の条件下で実施する、請求項1〜5のいずれか一
    項に記載の製造方法。
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