JP2002208710A - 半導体式静電容量型センサの製造方法 - Google Patents

半導体式静電容量型センサの製造方法

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JP2002208710A
JP2002208710A JP2001002803A JP2001002803A JP2002208710A JP 2002208710 A JP2002208710 A JP 2002208710A JP 2001002803 A JP2001002803 A JP 2001002803A JP 2001002803 A JP2001002803 A JP 2001002803A JP 2002208710 A JP2002208710 A JP 2002208710A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】固定電極と可動電極との間隔を狭くしても、間
隔寸法むらや間隔内突起で良品率が低下しない半導体式
静電容量型センサの製造方法を提供する。 【解決手段】シリコン部品に形成するギャップ用凹部
を、酸化膜生成工程と、凹部形成領域の酸化膜を除去す
る酸化膜のパターニング工程と、酸化雰囲気中で熱処理
して熱酸化膜を生成する熱酸化膜生成工程と、全部の酸
化膜を除去する熱酸化膜除去工程とで形成する。酸化膜
が存在する部分と存在しない部分とでは、熱酸化膜の生
成速度が異なることを利用して、熱酸化膜の生成及び除
去によって、シリコン面にギャップ用凹部を形成する。
熱酸化処理によるため、表面に付着した異物の影響を受
け難く、形状の優れた凹部を得ることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、自動車用や産業
用等に使用される圧力センサや加速度センサ等の内の半
導体式静電容量型センサの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】一般的な半導体式静電容量型センサ(以
下では単にセンサと略称する)は、図7に示すように、
固定電極23が形成されたガラス部品2と、この固定電極
23に対向する位置に可動電極12となる可動部が形成され
たシリコン部品1とで構成されている。固定電極23と可
動電極12とに可変容量コンデンサを形成させるために、
シリコン部品1にはギャップ用凹部13が形成されてい
る。
【0003】なお、シリコン部品1に形成されているリ
ング溝11は、可動電極12の領域を決め、且つ、可動電極
12が検知対象となる所定の物理量、例えば圧力や加速度
等、を受けた際に、可動電極12に所定の変位をさせるた
めに形成されている。ガラス部品2には、固定電極23及
び可動電極12をガラス部品2の表面まで引き出すための
スルーホール21及び切欠き部22と、外部回路に接続する
ための電極パッド24及び25と、が形成されており、可動
電極12は、可動電極引出し用メタライズ層3によって電
極パッド25に接続されている。
【0004】ここで、ギャップ用凹部13を形成するため
の従来の製造方法を、図2及び図8を用いて説明する。
図2は、従来技術による凹部形成方法を示す工程図であ
り、図8は、その工程毎の状態を示す断面図である。ま
ず、素材である鏡面研磨されたシリコン基板100 の表面
に、熱酸化処理やプラズマCVD法等によって、酸化シ
リコン膜(以下では酸化膜と略称する)や窒化シリコン
膜等のエッチング保護膜(図8では酸化膜101 )が生成
される(エッチング保護膜生成工程)。次に、このエッ
チング保護膜(酸化膜101 )のギャップ用凹部を形成す
る部分(凹部形成領域)が、フォトリソグラフィによっ
て除去される(保護膜のパターニング工程)。続いて、
エッチング保護膜(酸化膜101)を除去された部分のシ
リコンが、プラズマエッチング等のドライエッチングま
たはエッチング液によるウェットエッチングによって、
所定の深さまでエッチングされる(シリコンのエッチン
グ工程)。最後に、エッチング保護膜(酸化膜101 )が
除去されて(保護膜除去工程)、急峻な段差部102 をも
つギャップ用凹部を形成されたシリコン基板100 が完成
する。
【0005】なお、上記の構造のセンサの他に、固定電
極を備えたガラス部品2をシリコンを母材とする部品に
置き換えた構造のオールシリコン型センサがある。この
センサでは、固定電極はシリコン表面に生成された絶縁
体膜の上に形成され、可動部を有するシリコン部品のギ
ャップ用凹部側の表面にも絶縁体膜が形成され、その絶
縁体膜上に可動電極が形成されており、可動部を可動電
極とはしない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】一方、センサに対する
市場の要求は、高感度化及び小型化の方向に向かってお
り、これに伴って、固定電極と可動電極との間隔はより
狭くなる方向にあり、例えば1μm 程度の電極間隔のセ
ンサも必要となる。電極間隔が狭くなると、固定電極と
可動電極との間隙内にある微小な塵埃やギャップ用凹部
内に生じた小さな突起等が、製造されたセンサの良品率
を低下させる主原因となってくる。しかしながら、図2
及び図8に示したような従来の製造方法には、ドライエ
ッチングやウェットエッチングでシリコンをエッチング
する際に、その表面に塵埃やフォトレジスト等の異物が
付着していると、その部分のシリコンのエッチングが阻
害されて、エッチング深さにむらを生じ、突起が形成さ
れてしまう、という問題点があり、センサを高感度化し
小型化するためには、この問題点を解消しなければなら
ない。
【0007】また、ギャップ用凹部の段差部にギャップ
用凹部内に形成した電極からの引き出しリード部を金属
薄膜等で形成する場合には、図8(d)に示したような
急峻な段差部102 は、断線の心配があるので望ましくな
く、緩やかな傾斜をもったテーパ状の段差部であること
が望ましい。しかしながら、従来の製造方法では、図8
(d)に示したような急峻な段差部102 しか得られず、
緩やかな傾斜をもったテーパ状の段差部を得ることが困
難である。
【0008】この発明の課題は、固定電極と可動電極と
の間隔を狭くしても、ギャップ用凹部の深さのむらやギ
ャップ用凹部内に形成される突起によって、良品率を低
下させることがなく、必要に応じて、緩やかな傾斜をも
ったテーパ状の段差部をもつギャップ用凹部を形成する
ことができるセンサの凹部形成技術(製造方法)を提供
することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】この発明によるセンサの
製造方法は、水蒸気雰囲気等の酸化性雰囲気中での熱処
理によって生成される酸化膜(以下では熱酸化膜とい
う)の生成速度が、一定の生成条件下では、生成された
熱酸化膜の厚さが厚くなるほど遅くなることを活用して
いる。
【0010】熱酸化膜は、酸素がシリコン中に拡散して
いくことで生成されるので、生成された熱酸化膜の厚さ
に比例してシリコンが消耗される。消耗されるシリコン
の厚さは、生成された熱酸化膜の厚さの約44%である。
また、表面に酸化膜がない状態から一定の生成条件で生
成させる場合には、生成される熱酸化膜の厚さは、その
処理時間の平方根に比例する。したがって、表面に酸化
膜が存在するシリコンを熱処理して酸化(以下では熱酸
化という)する場合には、その厚さに相当する処理時間
が経過した後で熱酸化を開始したものとして取り扱えば
よく、表面に酸化膜が存在しない場合に比べて、熱酸化
膜の生成が遅い。この熱酸化膜の生成速度の差によっ
て、表面に酸化膜が存在する部分としない部分とでは、
シリコンの消費厚さに差を生じるので、全部の酸化膜が
除去されると、この差がシリコンの段差となり、凹部が
形成される。
【0011】以下の発明は、以上の状況を活用するもの
である。請求項1の発明は、固定電極を備えたガラス部
品と、固定電極に対向する部分に凹部を形成され、この
凹部の領域内に、肉薄部で囲まれて圧力や加速度等で変
位する可動部を形成されたシリコン部品と、で構成さ
れ、検知対象とする圧力等の物理量を、凹部をはさんで
対向する固定電極と可動部との距離の変化を介して、両
者が形成するコンデンサの静電容量値の変化分として検
知するセンサの製造方法であって、前記凹部を、シリコ
ン表面へ酸化膜を生成する工程と、凹部を形成する部分
の酸化膜を除去する工程と、シリコン表面に熱酸化膜を
生成する工程と、全部の酸化膜を除去する工程と、によ
って形成する。
【0012】この発明においては、凹部を形成する部分
の酸化膜が除去された後、熱酸化によって熱酸化膜が形
成され、表面に酸化膜が存在する部分の熱酸化膜の生成
速度と酸化膜が存在しない部分の熱酸化膜の生成速度と
の差によって、シリコンに凹みが形成されるので、シリ
コン表面に異物が存在しても、その異物が有機物等の場
合には酸化されて除去されるし、シリコン中へ拡散する
酸素は、異物が完全にシリコン表面に密着していない限
り、異物の下へも回り込めるので、凹部の深さにそれほ
どむらを生じなく、凹部の領域内に突起を形成すること
も少なく、且つ形成される突起も小さくなる。
【0013】請求項2の発明は、一方の面に凹部を形成
され、凹部を形成された面には絶縁体膜を成膜され、且
つ凹部内の絶縁体膜上に固定電極を備えた第1のシリコ
ン部品と、固定電極に対向する部分に凹部を形成され、
凹部を形成された面には絶縁体膜を成膜され、肉薄部で
囲まれて圧力や加速度等で変位する可動部を凹部の領域
内に形成され、且つ可動部の凹部側の絶縁体膜上に可動
電極を備えた第2のシリコン部品と、で構成され、計測
対象とする圧力等の物理量を、第1のシリコン部品の凹
部及び第2のシリコン部品の凹部をはさんで対向する固
定電極と可動電極との距離の変化を介して、固定電極及
び可動電極が形成するコンデンサの静電容量値の変化分
として検知するセンサの製造方法であって、第1のシリ
コン部品の凹部及び第2のシリコン部品の凹部を、シリ
コン表面へ酸化膜を生成する工程と、凹部を形成する部
分の酸化膜を除去する工程と、シリコン表面に熱酸化膜
を生成する工程と、全部の酸化膜を除去する工程と、に
よって形成する。
【0014】この発明においても、請求項1の発明と同
様に、凹部を形成する部分の酸化膜が除去された後、熱
酸化によって熱酸化膜が形成され、表面に酸化膜が存在
する部分の熱酸化膜の生成速度と酸化膜が存在しない部
分の熱酸化膜の生成速度との差によって、シリコンに凹
みが形成されるので、シリコン表面に異物が存在して
も、その異物が有機物等の場合には酸化されて除去され
るし、シリコン中へ拡散する酸素は、異物が完全にシリ
コン表面に密着していない限り、異物の下へも回り込め
るので、凹部の深さのむらが少なくなり、凹部の領域に
突起が形成されることも少なくなり、且つ形成される突
起も小さくなる。
【0015】また、両シリコン部品のそれぞれに凹部を
形成するので、両電極間の間隔を確保するために必要な
凹部の深さが1/2で済む。請求項3の発明は、請求項
1の発明または請求項2の発明において、前記の凹部を
形成する部分の酸化膜を除去する工程及びシリコン表面
に熱酸化膜を生成する工程が繰り返される。
【0016】前記2つの工程が繰り返されることによっ
て、1回だけでは形成困難な深さの凹部を形成すること
が可能となる。請求項4の発明は、請求項1の発明また
は請求項2の発明において、前記のシリコン表面へ酸化
膜を生成する工程が、CVD法による酸化膜生成であ
る。CVD法によって生成される酸化膜の厚さは、熱酸
化膜の場合と異なり、生成時間に比例するので、熱酸化
の場合に比べて、厚い酸化膜を生成することが容易であ
り、最初に生成される酸化膜の厚さを厚くすることによ
って、酸化膜を除去された部分の熱酸化膜の生成速度と
酸化膜を残された部分の熱酸化膜の生成速度との差を大
きくすることができる。
【0017】請求項5の発明は、請求項1の発明または
請求項2の発明において、前記の凹部を形成する部分の
酸化膜を除去する工程で、凹部を形成する部分の周辺部
の酸化膜をテーパ状にエッチングする。凹部を形成する
部分の周辺部の酸化膜がテーパ状であると、その部分で
のシリコンの熱酸化の速度も緩やかに変化するので、熱
酸化で消耗されるシリコンもテーパ状となり、凹みの周
辺部の段差がテーパ状となる。
【0018】
【発明の実施の形態】この発明によるセンサの製造方法
は、センサの可変容量コンデンサ部である固定電極と可
動電極との間隔を決める凹部の形成方法であって、図1
に示すように、シリコン部品の凹部形成面に酸化膜を生
成する酸化膜生成工程と、凹部形成部の酸化膜を除去す
る酸化膜のパターニング工程と、酸化性雰囲気中で熱処
理してシリコンの表面に熱酸化膜を生成する熱酸化膜生
成工程と、最初の酸化膜を含めた全部の熱酸化膜を除去
する熱酸化膜除去工程と、からなる。パターニング工程
及び熱酸化膜生成工程は、凹部の所望深さが1回の工程
では形成困難である場合には、繰り返される。また、最
後の熱酸化膜除去工程は、熱酸化膜を絶縁体膜として利
用する場合には、実施されない。
【0019】以下に実施例を用いて、この発明の実施の
形態を説明する。なお、従来技術と同じ機能の部分には
同じ符号を用いる。 〔第1の実施例〕図3は、第1の実施例の工程毎の状態
を示し、(a)は最初の熱酸化膜生成後の断面図、
(b)パターニング後の断面図、(c)は2回目の熱酸
化膜生成後の断面図、(d)は熱酸化膜除去後の断面図
である。
【0020】まず、シリコン基板100 を水蒸気雰囲気中
で熱処理(熱酸化)して、シリコン基板100 の表面に最
初の熱酸化膜103 を生成する〔図3(a)〕。次に、ギ
ャップ用凹部を形成する部分(凹部形成領域)の熱酸化
膜103 をフォトリソグラフィによって除去して、その部
分のシリコンを露出させる〔図3(b)〕。続いて、再
度、熱酸化して、2回目の熱酸化膜104 を生成する〔図
3(c)〕。この際には、最初の熱酸化膜103 を残した
部分のシリコンもその割合は少ないが熱酸化されるが、
熱酸化膜の生成によって消費されるシリコンの厚さに差
があるので、シリコン基板100 のシリコンと熱酸化膜と
の界面に段差が生じる。最後に、弗酸の水溶液等で全て
の酸化膜を除去すると、シリコン面が露出して、表面に
段差部102aが現れる〔図3(d)〕。この段差部102aの
段差d1がギャップ用凹部の深さである。
【0021】以上の工程によって、シリコン基板100 に
凹部が形成されるのは、「課題を解決するための手段」
の項で説明したように、熱酸化膜の生成速度が、生成さ
れた熱酸化膜の厚さによって漸減することによってい
る。この点について、更に詳しく説明する。シリコンが
一定処理条件下で熱酸化されて、シリコン表面に熱酸化
膜が生成される場合には、熱酸化処理の時間tとそれに
よって生成される熱酸化膜の厚さdとは、 d=Ct1/2 (1) の関係にあり(Cは酸素の拡散係数等で決まる定数)、
既に酸化膜が生成されている場合にも、この関係が保た
れる。すなわち、既に酸化膜が存在する部分では、その
酸化膜の厚さに相当する熱処理時間を経過したものとし
て、その時間に次の熱処理時間を加算し、(1)式を適
用すればよい。
【0022】例えば、シリコンを水蒸気雰囲気中で1000
℃で2時間の熱処理をするとシリコン表面に0.5 μm の
熱酸化膜が生成されるものとすると、既に0.5 μm の熱
酸化膜が存在する部分を同じ雰囲気及び温度で2時間熱
処理した場合には、その部分の熱酸化膜の厚さは、0.5
μm の(1+1)1/2 倍の厚さ、すなわち約0.71μmと
なる(図3に示したのは、この場合に相当する)。既に
1μm の熱酸化膜が存在する部分を、前記と同じ雰囲気
及び温度で2時間熱処理した場合には、1μmの熱酸化
膜は同じ雰囲気及び温度で8時間(2時間×4)熱処理
した場合に相当するので、その部分の熱酸化膜の厚さ
は、0.5 μm の(4+1)1/2 倍の厚さ、すなわち約1.
12μm となる。両者の増加分を比較すると、前者は0.21
μm 、後者は0.12μm となり、最初の熱酸化膜が厚いほ
ど、その部分に追加される熱酸化膜の厚さが小さくな
る。
【0023】一方、熱酸化膜が生成される場合には、シ
リコンの中へ酸素が拡散して熱酸化膜を生成し、生成さ
れた熱酸化膜の厚さの約44%のシリコンが熱酸化膜の生
成に消費される。したがって、熱酸化膜の生成厚さに差
があると、その差の約44%に相当する段差がシリコンの
表面に生じることになる。この段差が、図3(c)及び
(d)に示したシリコン基板100 の上面の段差である。
【0024】上記の説明から明らかなように、最初の酸
化膜103 の厚さが厚いほど、最初の酸化膜103 を残した
部分に生成される2回目の酸化膜104 の生成厚さが薄く
なるので、シリコン表面に形成される段差は大きくなっ
て、最初の酸化膜103 を除去した部分に生成される2回
目の酸化膜104 の生成に消費されるシリコンの厚さに近
づく。
【0025】この製造方法は、酸化性雰囲気中でシリコ
基板を熱処理して、シリコン基板の表面に熱酸化膜を生
成させ、酸化膜が存在する部分と存在しない部分との酸
化膜の生成速度の違いを利用して、シリコン基板の表面
に段差を形成する方法であるから、1回の熱酸化及び酸
化膜除去では、形成できる段差に限界がある。例えば、
前記雰囲気及び温度で、18時間の熱処理をするとして
も、生成できる熱酸化膜の厚さは0.5 μm ×91/2 で1.
5 μm であり、消費するシリコンの厚さにすると0.66μ
m になる。最初の熱酸化膜の厚さも同等であるとすれ
ば、形成される段差は約0.38μm になる。
【0026】したがって、例えば、1μm の段差を形成
するためには、最初の18時間の熱酸化工程に加えて、少
なくとも3回の、酸化膜のパターニング工程及び18時間
程度の熱酸化膜生成工程を繰り返す必要がある。なお、
熱処理温度を高くすると、熱処理時間を短縮することが
できる。この実施例においては、熱酸化膜生成工程がシ
リコン基板にキャップ用凹部を形成するので、パターニ
ング工程やそれ以降のシリコン基板の取扱で、シリコン
表面に塵埃等の異物が付着しても、その異物が有機物の
場合には酸化されて除去されるし、異物がシリコン表面
に密着していない限り、異物の下側へ酸素が十分に拡散
できて熱酸化膜の生成にはそれほど影響しないので、従
来技術のように、ギャップ用凹部の深さにむらを生じた
り、ギャップ用凹部内に突起が形成されたりすることが
少なく、突起が形成されてもその突起は小さくて済む。
【0027】〔第2の実施例〕この実施例は、第1の実
施例において言及した最初の熱酸化膜の厚さの上限に伴
って、1回の熱酸化膜除去工程で形成できるギャップ用
凹部の深さが制限される割合を、より少なくするための
製造方法であり、第1の実施例においては熱酸化で生成
した最初の酸化膜をCVD法によって生成する。CVD
法による酸化膜は生成時間に比例して厚くなるので、C
VD法によれば、熱酸化の場合より厚い酸化膜を容易に
生成することができる。
【0028】図4は、この実施例の工程毎の状態を示
し、(a)はCVD酸化膜103a生成後の断面図、(b)
パターニング後の断面図、(c)は熱酸化膜104a生成後
の断面図、(d)は熱酸化膜除去後の断面図である。C
VD酸化膜103aは、熱酸化膜に比べて厚い膜が形成でき
るので、図では厚く示してあり、これに伴って、段差部
102bの段差d2も大きくなっている。具体例を示すと、以
下のとおりである。
【0029】CVD酸化膜103aの厚さを3μm とし、こ
の膜質が熱酸化膜とほぼ同等であるとすると、第1の実
施例で説明したのと同じ条件である水蒸気雰囲気で1000
℃で2時間熱酸化した場合には、CVD酸化膜103aが有
る部分の酸化膜の厚さは、 0.5μm ×(36+1)1/2 =3.04μm となって、0.04μm 増加するだけであり、ギャップ用凹
部を形成する部分(凹部形成領域)に生成した熱酸化膜
の大部分が段差形成に寄与し、d2>d1となる。
【0030】最初の酸化膜の厚さが十分に厚いと、熱酸
化膜を厚くしてもその熱酸化膜が効果的にギャップ用凹
部の形成に寄与するので、この実施例によれば、熱酸化
の時間及び繰り返し回数を削減できて、少ない工数及び
短い製造時間で所定のギャップ用凹部を形成することが
できる。 〔第3の実施例〕図5は、この実施例の工程毎の状態を
示し、(a)パターニング後の断面図、(b)は2回目
の酸化後の断面図、(c)は熱酸化膜除去後の断面図で
ある。最初の酸化膜生成は、第1の実施例と同じである
ので、省略した。
【0031】この実施例は、ギャップ用凹部に電極を形
成した場合に、段差部で電極からの引き出しリードが断
線しないようなテーパ状のギャップ用凹部を形成する方
法を提供するものであり、パターニング工程において、
ギャップ用凹部の周辺部に相当する部分の酸化膜をテー
パ状に形成している。酸化膜がテーパ状に形成されてい
ると、テーパ状の部分で生成される熱酸化膜もテーパ状
となり、その結果としてシリコンの表面の段差部102cも
テーパ状になる。
【0032】酸化膜の端部をテーパ状に形成する方法と
しては、例えば、弗酸系のエッチング液を使用するウェ
ットエッチングが有効である。このエッチング液は、界
面やフォトレジストへの浸透性が強く、エッチングがあ
る程度進行した段階でフォトレジストの周辺部を幾らか
剥離させて、酸化膜をサイドエッチング気味にエッチン
グするので、酸化膜の端部がテーパ形状になると考えら
れる。
【0033】〔第4の実施例〕この実施例は、オールシ
リコン型センサの場合であって、図1に示した製造工程
を、可動電極を形成しているシリコン部品及び固定電極
を形成しているシリコン部品の両方に適用する。図6
は、この実施例によって作成したギャップ用凹部43内に
可動電極45を備えた第1のシリコン部品4と、同様に作
成したギャップ用凹部51内に固定電極53を備えた第2の
シリコン部品5と、で構成されるオールシリコン型セン
サの構造を示す断面図である。
【0034】このオールシリコン型センサの場合には、
可動電極45と固定電極53との間隔が、ギャップ用凹部43
及びギャップ用凹部51によって確保されるので、それぞ
れのギャップ用凹部43及び51は、一方だけにギャップ用
凹部を形成する場合の約2分の1で済み、その形成が容
易であるという利点をもっている。一方、オールシリコ
ン型センサでは、可動電極45及び固定電極53の両方が、
導電性を有するシリコン基板上に形成されるので、可動
電極45と固定電極53とを導通させず、且つ両者間の静電
容量値を小さくするために、可動電極45及び固定電極53
がそれぞれに絶縁体膜44及び52によってシリコン基板か
ら絶縁されていることが必要である。そのため、第1の
シリコン部品4及び第2のシリコン部品5は、全面に熱
酸化膜が形成されており、その熱酸化膜の上にCVD酸
化膜が積層されている。熱酸化膜は、ピンホールがなく
て絶縁性に優れているので、電気的絶縁性を確保するた
めに生成され、CVD酸化膜は、シリコンを介して電極
間に形成されるコンデンサ部の静電容量値を低減するた
め積層されている。
【0035】また、この実施例においては、第3の実施
例に相当する製造工程が、段差部の形状を緩やかなテー
パ状にして、可動電極45及び固定電極53を外部回路に引
き出すリード部の断線を回避させるので、特に有効であ
る。
【0036】
【発明の効果】請求項1の発明によれば、凹部を形成す
る部分の酸化膜が除去された後、熱酸化によって熱酸化
膜が形成され、表面に酸化膜が存在する部分の熱酸化膜
の生成速度と酸化膜が存在しない部分の熱酸化膜の生成
速度との差によって、シリコンに凹みが形成されるの
で、シリコン表面に異物が存在しても、その異物が有機
物等の場合には酸化されて除去されるし、シリコン中へ
拡散する酸素は、異物が完全にシリコン表面に密着して
いない限り、異物の下へも回り込めるので、凹部の深さ
のむらが少なくなり、凹部の領域に突起が形成されるこ
とも少なくなり、且つ形成される突起も小さくなる。し
たがって、固定電極と可動電極との間隔を狭くしても、
凹部の深さのむらや凹部内に形成される突起によって、
良品率を低下させることがないセンサの製造方法を提供
することができる。
【0037】請求項2の発明によれば、請求項1の発明
と同様に、凹部を形成する部分の酸化膜が除去された
後、熱酸化によって熱酸化膜が形成され、表面に酸化膜
が存在する部分の熱酸化膜の生成速度と酸化膜が存在し
ない部分の熱酸化膜の生成速度との差によって、シリコ
ンに凹みが形成されるので、シリコン表面に異物が存在
しても、その異物が有機物等の場合には酸化されて除去
されるし、シリコン中へ拡散する酸素は、異物が完全に
シリコン表面に密着していない限り、異物の下へも回り
込めるので、凹部の深さのむらが少なくなり、凹部の領
域に突起が形成されることも少なくなり、且つ形成され
る突起も小さくなる。したがって、固定電極と可動電極
との間隔を狭くしても、凹部の深さのむらや凹部内に形
成される突起によって、良品率を低下させることがない
センサの製造方法を提供することができる。また、この
オールシリコン型センサの場合には、凹部が両部材に形
成できるので、それぞれの部材の凹部の深さは、請求項
1の発明に比べて、2分の1で済み、パターニング工程
及び熱酸化膜生成工程の繰り返し回数及び熱酸化膜の生
成時間のいずれかまたは両方が削減できる。
【0038】請求項3の発明によれば、凹部を形成する
部分の酸化膜を除去する工程及びシリコン表面に熱酸化
膜を生成する工程が繰り返されるので、1回だけでは形
成困難な深さをもつ凹部を形成することが可能となる。
請求項4の発明によれば、シリコン表面へ酸化膜を生成
する工程が、CVD法による酸化膜生成である。CVD
法によって生成される酸化膜の厚さは、熱酸化膜の場合
と異なり、生成時間に比例するので、熱酸化の場合に比
べて、厚い酸化膜を生成することが容易であり、最初に
生成される酸化膜の厚さを厚くすることによって、酸化
膜を除去された部分の熱酸化膜の生成速度と酸化膜を残
された部分の熱酸化膜の生成速度との差を大きくするこ
とができる。したがって、必要な深さの凹部を形成する
ために必要とする熱酸化処理の時間を短縮することが可
能となる。
【0039】請求項5の発明によれば、凹部を形成する
部分の酸化膜を除去する工程において、酸化膜の周辺部
をテーパ状に形成する。凹みを形成する部分の周辺部の
酸化膜がテーパ状であると、その部分でのシリコンの熱
酸化の速度も緩やかに変化するので、熱酸化で消耗され
るシリコンもテーパ状となり、凹みの周辺部の段差がテ
ーパ状となる。したがって、凹部の周辺部の段差上に電
極からの引き出しリード部が形成されても、その引き出
しリード部が段差部で断線することがなくなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明によるセンサの製造方法の凹部形成方
法を示す工程図
【図2】従来技術によるセンサの製造方法の凹部形成方
法を示す工程図
【図3】第1の実施例の工程毎の状態を示し、(a)は
最初の熱酸化膜生成後の断面図、(b)パターニング後
の断面図、(c)は2回目の熱酸化膜生成後の断面図、
(d)は熱酸化膜除去後の断面図
【図4】第2の実施例の工程毎の状態を示し、(a)は
CVD酸化膜生成後の断面図、(b)パターニング後の
断面図、(c)は熱酸化膜生成後の断面図、(d)は熱
酸化膜除去後の断面図
【図5】第3の実施例の工程毎の状態を示し、(a)パ
ターニング後の断面図、(b)は2回目の酸化後の断面
図、(c)は熱酸化膜除去後の断面図
【図6】第4の実施例を適用したオールシリコン型セン
サの構造を示す断面図
【図7】センサの構造を示し、(a)はセンサの断面
図、(b)はガラス部品2の斜視図、(c)はシリコン
部品1の斜視図
【図8】従来技術による凹部形成方法の工程毎の状態を
示し、(a)は酸化膜生成後の断面図、(b)パターニ
ング後の断面図、(c)はプラズマエッチング後の断面
図、(d)は酸化膜除去後の断面図
【符号の説明】
1 シリコン部品 11 リング状溝 12 可動電極 13 ギャップ用凹部 100 シリコン基板 101 酸化膜 102, 102a, 102b, 102c 段差部 103 最初の熱酸化膜 104 2回目の熱酸化膜 103a CVD酸化膜 104a 熱酸化膜 2 ガラス部品 21 スルーホール 22 切欠き部 23 固定電極 24, 25 電極パッド 3 可動電極引出し用メタライズ層 4 第1のシリコン部品 41 リング状溝 42 可動部 43 ギャップ用凹部 44 絶縁体膜 45 可動電極 46, 47 電極パッド 5 第2のシリコン部品 51 ギャップ用凹部 52 絶縁体膜 53 固定電極 d1, d2 段差の寸法

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】固定電極を備えたガラス部品と、固定電極
    に対向する部分に凹部を形成され、この凹部の領域内
    に、肉薄部で囲まれて圧力や加速度等で変位する可動部
    を形成されたシリコン部品と、で構成され、検知対象と
    する圧力等の物理量を、凹部をはさんで対向する固定電
    極と可動部との距離の変化を介して、両者が形成するコ
    ンデンサの静電容量値の変化分として検知する半導体式
    静電容量型センサの製造方法であって、 前記凹部を、シリコン表面へ酸化シリコン膜を生成する
    工程と、凹部を形成する部分の酸化シリコン膜を除去す
    る工程と、シリコン表面に熱処理による酸化シリコン膜
    を生成する工程と、全部の酸化シリコン膜を除去する工
    程と、によって形成することを特徴とする半導体式静電
    容量型センサの製造方法。
  2. 【請求項2】一方の面に凹部を形成され、凹部を形成さ
    れた面には絶縁体膜を成膜され、且つ凹部内の絶縁体膜
    上に固定電極を備えた第1のシリコン部品と、固定電極
    に対向する部分に凹部を形成され、肉薄部で囲まれて圧
    力や加速度等で変位する可動部を凹部の領域内に形成さ
    れ、凹部を形成された面には絶縁体膜を成膜され、且つ
    可動部の凹部側の絶縁体膜上に可動電極を備えた第2の
    シリコン部品と、で構成され、検知対象とする圧力差等
    の物理量を、第1のシリコン部品の凹部及び第2のシリ
    コン部品の凹部をはさんで対向する固定電極と可動電極
    との距離の変化を介して、固定電極及び可動電極が形成
    するコンデンサの静電容量値の変化分として検知する半
    導体式静電容量型センサの製造方法であって、 第1のシリコン部品の凹部及び第2のシリコン部品の凹
    部を、シリコン表面へ酸化シリコン膜を生成する工程
    と、凹部を形成する部分の酸化シリコン膜を除去する工
    程と、シリコン表面に熱処理による酸化シリコン膜を生
    成する工程と、全部の酸化シリコン膜を除去する工程
    と、によって形成することを特徴とする半導体式静電容
    量型センサの製造方法。
  3. 【請求項3】前記の凹部を形成する部分の酸化シリコン
    膜を除去する工程及びシリコン表面に熱処理による酸化
    シリコン膜を生成する工程が繰り返されることを特徴と
    する請求項1または請求項2に記載の半導体式静電容量
    型センサの製造方法。
  4. 【請求項4】前記のシリコン表面へ酸化シリコン膜を生
    成する工程が、CVD法による酸化シリコン膜生成であ
    ることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の半
    導体式静電容量型センサの製造方法。
  5. 【請求項5】前記の凹部を形成する部分の酸化シリコン
    膜を除去する工程において、凹部を形成する部分の周辺
    部の酸化シリコン膜をテーパ状にエッチングすることを
    特徴とする請求項1または請求項2に記載の半導体式静
    電容量型センサの製造方法。
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