JP2002206234A - 座屈耐力向上の鋼矢板 - Google Patents

座屈耐力向上の鋼矢板

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JP2002206234A
JP2002206234A JP2001005844A JP2001005844A JP2002206234A JP 2002206234 A JP2002206234 A JP 2002206234A JP 2001005844 A JP2001005844 A JP 2001005844A JP 2001005844 A JP2001005844 A JP 2001005844A JP 2002206234 A JP2002206234 A JP 2002206234A
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Masatake Tatsuta
昌毅 龍田
Kazuhiko Eda
和彦 江田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 座屈耐力を向上できる鋼矢板と、鋼矢板断面
積当りのオーガーによる掘削面積を大きく取れる鋼矢板
を提供する。 【解決手段】 継手部15を嵌合し壁体19として各鋼
矢板17が一体となったとき、継手部15が壁体19の
中立軸16から離れた位置になるように構成された断面
略U字形の鋼矢板17であって、鋼矢板17には、ウェ
ブ部12とフランジ部14との断面形状を変化させるこ
とにより、幅寸法(L1)を短縮させた座屈耐力向上用
のウェブ部12を構成することを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、鋼矢板に関するも
ので、例えば、土木建築分野における地下土留め、基礎
構造及び港湾、河川における岸壁、更には地中における
止水壁に用いる構造部材としての鋼矢板に係り、特に、
座屈耐力を向上させた鋼矢板に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、土木建築分野において地中に打設
する壁体として、一般的に図5に示すようなU形鋼矢板
(従来例1)または、図6、図7に示すような特許第2
689794号に示されているハット形鋼矢板(従来例
2)が用いられている。
【0003】図5に示すU形鋼矢板1は、幅寸法(L)
を有するウェブ部(U形状の底の部分)2の両端に隅角
部3を介してフランジ(U形状の両側部)4を接続し、
フランジ4の端部を同じ向きに折り曲げて継手部5が構
成されている。前記U形鋼矢板1は、左右対称形であ
り、1枚毎に、継手部5を介して左右逆向に接続して打
設される。
【0004】また、図5のU形鋼矢板1においては、フ
ランジ4の途中を折曲げ部6を介して湾曲させること
で、U形鋼矢板1の積み重ね時に上下の継手部5が互い
に接触しない構成として、当該継手部5の損傷を防ぐこ
とができる。また、前記の構成とすることで、上下に積
み重ねたU形鋼矢板1のウェブ2間に隙間が形成される
ため、個々のU形鋼矢板1を掴(つか)み易く、運搬時
に積み重ねた鋼矢板を取り外すことが容易な構造となっ
ている。
【0005】図6に示すハット形鋼矢板7にあっては、
幅寸法(L)を有するウェブ部2の両端に隅角部3を介
してフランジ部4を接続し、フランジ部4の両端に継手
支持部8を設け、その先端に左右側で逆向きの継手部5
が構成されている。前記ハット形鋼矢板7は、左右非対
称形であり、継手部5を介して左右同一方向に接続して
打設される。
【0006】図5に示すハット形鋼矢板7においては、
継手部5が大きな荷重が作用する中立軸から最も遠い位
置に存在するため、中立軸の断面剛性を確保でき、かつ
継手部効率が低下することがない構造となっている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかし、前記のU形鋼
矢板やハット形鋼矢板は、前記の利点がある反面、ウェ
ブ部2の幅寸法(L)については何らの配慮がなされて
おらず、一般に幅寸法(L)が広いため、ウェブ部2の
板厚(t)が小さい場合は、(1)打設時にウェブ部2
が座屈しやすく、(2)図7に示す共用時においては、
壁面土圧による曲げ荷重等を受けた際にウェブ部2が局
部座屈を起こしやすい。ウェブ部2の座屈の発生を防ぐ
ためには、板厚(t)を増さなければならず、鋼材重量
が増え不経済である。
【0008】他方、硬めの地盤に鋼矢板を打設する場
合、オーガー等を併用して、打設周辺地盤を緩めてから
地中に鋼矢板を打ち込む方法が採用されているが、前記
のハット形鋼矢板7では、ハット形状の凹部、つまりウ
ェブ部2とフランジ部4で囲まれた領域10が狭く、こ
の領域10に配設されるオーガーの地盤攪拌径が小さ
い。したがって、オーガーによる地盤軟化の影響範囲が
小さいために、矢板断面全体に渡って周辺地盤を軟化さ
せることが困難であり、特に、継手支持部8を介してオ
ーガーから離れて位置する継手部5の周辺地盤では、元
の硬質地盤のままの状態で鋼矢板を打ち込むことに陥り
やすい。
【0009】しかし、鋼矢板7の継手部5においては、
先行して打設された鋼矢板7の継手部5と嵌合する側と
反対の片側側面が長手方向に渡ってフリーとなってお
り、打設時の地盤抵抗に対して最も抵抗力が小さいた
め、打設時に継手部5が変形し、施工性が低下する危険
性が非常に高い。
【0010】従来技術では、前述のような問題点につい
ては着目されておらず、したがって、その解決方法につ
いての示唆がなされていない。
【0011】本発明者は、硬質地盤に打設する鋼矢板に
ついて種々研究した結果、U形鋼矢板やハット形鋼矢板
の改良すべき問題点のうち、特に前述の問題点、つま
り、鋼矢板の地盤への打設時の座屈耐力向上の問題、お
よびオーガーによるより効率的な地盤軟化の問題に着目
した。そして、これらの諸問題を、構造的な変更を可及
的に少なく抑え、各部材の配置関係、寸法関係を所定の
関係に設定し、構成することで、解決できる方法を見出
した。
【0012】本発明は、前記の知見にもとづいて、前記
の問題点を解決すべく提案したもので、鋼矢板の打設時
および共用時に座屈しづらく、かつ施工性に優れた鋼矢
板を提供することを目的とする。
【0013】
【問題を解決するための手段】前記の目的を達成するた
めに、本発明は、次のように構成する。
【0014】第1の発明は、隣り合う鋼矢板の継手部を
嵌合し壁体として各鋼矢板が一体となったとき、前記継
手部が壁体の中立軸から離れた位置になるように構成さ
れた断面略U字形の鋼矢板であって、当該鋼矢板は、座
屈耐力向上用ウェブ部を構成するため、前記ウェブ部と
フランジ部との断面形状を変化させることにより、直線
状断面の前記ウェブ部の幅寸法(L1)を短縮させたこ
とを特徴とする。
【0015】第1発明のように、ウェブ部の幅寸法(L
1)、つまり、両側フランジ部の屈曲部間の直線距離を
短くすることで、幅寸法(L1)に対する鋼板の板厚の
比(これを幅厚比という)を小さくし、同じウェブ部の
板厚でも、従来のU形鋼矢板またはハット形鋼矢板より
も座屈しづらくする。特に、共用時に、最も大きな応力
が発生する中立軸からの最外位置にあるウェブ部で、そ
の屈曲部間の幅寸法(L1)を短くすれば、本発明の目
的・作用である座屈耐力を得る上で好適である。
【0016】第2発明は、第1発明に記載の鋼矢板にお
ける座屈耐力向上用ウェブ部の幅寸法(L1)を短縮す
る手段として、前記ウェブ部とフランジ部との隅角部を
多角形状に折り曲げて構成したことを特徴とする。
【0017】第2発明によると、ウェブ部とフランジ部
との隅角部を多角形状に折り曲げるという比較的成形容
易な構成で、幅寸法(L1)の短縮した直線状断面のウ
ェブ部を構成できる。
【0018】第3発明は、第2発明において、前記ウェ
ブ部とフランジ部との隅角部を中立軸よりもウェブ部側
に設けたことを特徴とする。
【0019】第3発明によると、ウェブ部とフランジ部
との隅角部を鋼矢板の中立軸よりもウェブ部寄りの位置
に設けるので、打設重機がウェブを掴んで打設した場合
に矢板断面に生じる偏心荷重が小さく座屈しずらい形状
となる。
【0020】第4発明は、隣り合う鋼矢板の継手部を嵌
合し壁体として各鋼矢板が一体となったとき、前記継手
部が壁体の中立軸から離れた位置になるように構成され
た断面略U字形の鋼矢板であって、前記鋼矢板断面中心
から継手部が設けられているフランジ端縁までの距離
(L4)よりも、継手部のフランジ部からの突出長
(L2)の方が短くなるように当該継手部をフランジ部
近傍に設けることで、鋼矢板断面積に占めるウェブ部と
フランジ部で囲まれた領域を大きくすることを特徴とす
る。
【0021】第5発明は、第4発明に記載の構成に加え
て、鋼矢板における座屈耐力向上のためウェブ部の幅寸
法(L1)を短縮する手段として、ウェブ部とフランジ
部との隅角部を多角形状に折り曲げて構成したことを特
徴とする。
【0022】第4及び第5発明の構成としたことで、同
じ断面積を保有する従来のハット形鋼矢板と本発明によ
る鋼矢板とを比較した場合、凹部形状の部分の面積が本
発明による鋼矢板の方がより大きくなることから、オー
ガーを併用して打設する場合、地盤攪拌径を大きくとる
ことができ、より大きな範囲の地盤を軟化することがで
きるので、硬質な地盤への打設が容易になる。また、フ
ランジ部からの継手の突出長を小さくすることで、打設
時に継手部のねじれや反り等の変形が生じづらくなり、
施工性が向上する。
【0023】
【発明の実施の形態】本発明の実施形態を図を参照して
説明する。
【0024】図1、図2は、本発明の実施形態1に係る
座屈耐力を向上させた鋼矢板を示し、図1は、鋼矢板の
単体の平面図、図2は前記鋼矢板の継手部の嵌合連結状
態での平面図である。図3、図4は、本発明の実施形態
2に係る座屈耐力を向上させた鋼矢板を示し、図3は、
鋼矢板の単体の平面図、図4は、前記鋼矢板の継手部の
嵌合連結状態での平面図である。
【0025】図1、図2の実施形態1を説明すると、本
発明の鋼矢板17は、概略U字形(U字形及びハット形
を含む広い意味で使用する)であって、幅寸法(L1
と板厚(t)を有するウェブ部12の両端に隅角部13
を介してフランジ部14を接続し、フランジ部14の両
端に継手支持部18を設け、その先端に左右側で逆向き
の継手部15を設けて構成されている。また、前記の鋼
矢板17は、左右非対称形であり、左右同一方向に接続
して打設される。
【0026】本発明の鋼矢板17におけるウェブ部12
は、概略U字形の鋼矢板17の底部を構成し、かつ両側
のフランジ部14を屈曲部(つまり、隅角部13)を介
して連結すべく直線状に構成される。特に、このウェブ
部12の幅寸法(L1)は、本発明が解決しようとする
課題である鋼矢板17の座屈耐力向上、つまり、ウェブ
部12に荷重が作用した場合における、当該ウェブ部1
2の曲がり、ねじれなどに対する座屈耐力向上の手段と
して、必要かつ最小の幅寸法に構成している。このよう
に、ウェブ部12の幅寸法(L1)を意図的に短縮化す
ることにより、短縮した分、当該ウェブ部12に作用す
る、曲がり、ねじれなどに対する座屈耐力を向上でき
る。さらに後述のように、ウェブ部12の板厚(t)の
薄肉化が可能となる。
【0027】実施形態1では、ウェブ部12の幅寸法
(L1)を、必要最小の直線状の幅寸法に設ける手段と
して、フランジ部14とウェブ部12とが接続する隅角
部(屈曲部)13を、フランジ部14の途中に形成され
る第1角部13aと、フランジ部14とウェブ部12が
交わる位置に形成される第2角部13bと、第1、第2
角部13a、13bの間を接続する傾斜部13cとから
構成している。第1、第2角部13a、13bを形成す
る位置は、図示のように、打設重機がウェブ12を掴ん
で打設した場合に矢板断面に生じる偏心荷重が小さく座
屈しずらい形状となるように、中立軸16からウェブ部
12までの距離を短くするために、少なくとも鋼矢板1
7の中立軸16よりもウェブ部12寄りの位置に設ける
のがよい。
【0028】前記の隅角部13は、多角形状に折り曲げ
たことにより屈曲部を多く有する断面構造とすること
で、ウェブ部12の幅寸法(L1)は、図1に鎖線で示
す従来の鋼矢板のように、ウェブ部2とフランジ部4の
隅角部3が多角形状を有しない、ウェブ部の幅寸法
(L)に比較して、(L1)<(L)に構成できる。
【0029】さらに、鋼矢板17において、中立軸16
から最外縁部に位置するウェブ部12の幅寸法(L1
と板厚(t)の比(これを幅厚比という)を小さくする
と、当該鋼矢板17の打設時の座屈強度を高める上で好
適である。具体的には、左右の屈曲部(隅角部13)間
においては、社団法人日本道路協会発行の「道路橋示方
書・同解説II鋼橋編」に規定されている、圧縮応力を
受ける両縁支持板の最小板厚にしたがって、幅厚比を4
8以下の値とすることが望ましい。ウェブ部12の幅厚
比をこのように48以下の値とし、かつ、板厚(t)を
可及的に薄く構成した場合でも、本実施形態1の構成と
することで、鋼矢板17の打設時の必要な座屈強度を十
分確保できる。
【0030】つまり、鋼矢板17のウェブ部12の板厚
(t)が小さい場合は、図1の鎖線で示す従来の幅寸法
(L)のウェブ部2の構成であると、打設時に座屈し
やすく、共用時においては、壁面土圧による曲げ荷重
等を受けた際に局部座屈を起こしやすい。座屈の発生を
防ぐためには、板厚(t)を増さなければならず、鋼材
重量が増え不経済である。しかし、前記ウェブ部12の
幅厚比を48以下の値の下で、板厚(t)を薄くしよう
にも、従来の構成では、ウェブ部2の幅寸法(L)に制
限されて、自ずから限界がある。この点、本実施形態1
の構成によると、幅寸法(L1)を短縮することで、幅
厚比を48以下の値を保って、なおかつ、板厚(t)を
薄肉化しても、壁面土圧による曲げ荷重等を受けた際に
局部座屈を起こさず、板厚(t)の増大や、鋼材重量の
増大を招くという不具合を解決できる。
【0031】さらに、実施形態1では、図2のように継
手部15同士を嵌合して壁体19として各鋼矢板17が
一体となったとき、継手部15は中立軸16から遠く離
れて位置し、中立軸16をまたいでその左右側が一体構
成であるので、この点でも、鋼矢板17の曲げ耐力が向
上すると共に、継手部15は中立軸16から外れて位置
することで、継手部効率を有効に発揮させることができ
る。
【0032】次に、図3、図4に示す実施形態2を説明
する。実施形態2に係る鋼矢板20は、実施形態1と近
似の形状、つまり、概略U字形であって、幅寸法
(L1)と板厚(t)を有するウェブ部12の両端に隅
角部13を介してフランジ部14を接続し、フランジ部
14の両端に継手支持部18を設け、その先端に左右側
で逆向きの継手部15を設けて構成されている。また、
鋼矢板19が、左右非対称形であり、左右同一方向に接
続して打設される点は実施形態1と同様である。
【0033】実施形態2の鋼矢板20が、実施形態1お
よび従来技術のいずれの鋼矢板とも相違する点は、次の
構成である。すなわち、実施形態2の鋼矢板20は、概
略U字形の鋼矢板において、フランジ部14とウェブ部
12で囲まれた凹部の領域21aを大きくし、この凹部
形状の領域21aに配置するオーガーの地盤攪拌径を可
及的に大きくすると共に、オーガーによる地盤攪拌の範
囲を継手部15に出来るだけ近ずけ、これにより鋼矢板
17の打設効率を高めることにある。この点、従来発明
の解決課題には、本実施形態2の解決課題、つまり、オ
ーガーの地盤攪拌径を可及的に大きくすると共に、地盤
攪拌を継手部15に出来るだけ近い範囲まで行うこと
で、鋼矢板の効率的な打設を行うという着眼点ないし課
題意識は存在しない。
【0034】本発明者は次に述べる知見に基づいて、前
述の課題に着目した。すなわち、硬めの地盤に鋼矢板を
打設する場合、オーガー等を併用して、打設周辺地盤を
緩めてから地中に矢板を打ち込む方法が採用されている
が、例えば、従来の図6に示すハット形鋼矢板7では、
継手部5の突出長、つまり、継手支持部5の幅寸法(L
3)が比較的長い反面、ハット形状の凹部、つまり、ウ
ェブ部2とフランジ部4で囲まれた領域10は、幅寸法
(L)の長さによって相対的に制限される(つまり、フ
ランジ部4が中心部寄りに近づく)ため狭くなり、この
領域10に配設されるオーガーの攪拌径が小さい。した
がって、オーガーによる地盤軟化の影響範囲が小さいた
めに、矢板断面全体に渡って周辺地盤を軟化させること
が困難であり、特に、オーガーから離れて位置する継手
部5の周辺地盤では、元の硬質地盤のままの状態で鋼矢
板7を打ち込むことに陥りやすい。
【0035】しかし、鋼矢板の継手部においては、既述
のとおり、先行して打設された鋼矢板の継手部と嵌合す
る側と反対の片側側面が長手方向に渡ってフリーとなっ
ており、打設時の地盤抵抗に対して最も抵抗力が小さい
ため、打設時に継手部が変形し、施工性が低下する危険
性が非常に高い。
【0036】本発明者は、前記の知見を得た上で、図3
に示すとおり、ウェブ部12とフランジ部14で囲まれ
る凹部の領域21aを拡大し、この領域21aに配設さ
れるオーガーの地盤攪拌径を大きくすることで、前述の
課題を解決できることを見出した。そして、凹部の領域
21aを拡大する手段として、本実施形態2では、継手
支持部18の幅寸法(L2)を、図に鎖線で示す、従来
の継手支持部の幅寸法(L3)に比して、(L2)<(L
3)となるように小さく設ける。具体的には、(L2)を
従来の継手支持部の長さの略1/2の長さに設けること
で、図に鎖線で示す、従来の両フランジ部4の位置を、
同図実線で示す、両フランジ14の位置まで外側に広げ
ることができ、それに伴って、領域21を領域21aに
拡大したものである。
【0037】前記の構成を別の観点から説明すると、継
手部15同士を嵌合し壁体19として各鋼矢板20が一
体に結合されたとき、矢板断面中心22から継手部15
が設けられているフランジ縁端までの距離(L4)より
も、継手部15のフランジ部14からの突出長、つまり
継手支持部18の幅寸法(L2)の方が短くなるように
(L2)<(L4)に構成する。これにより、領域21a
が拡大し、鋼矢板単位の断面積当りの凹部形状で囲まれ
た旧領域21(図7のハット形鋼矢板7の領域10)よ
りも広がる構造にでき、しかも、継手部15をフランジ
端縁の近傍に寄せて設けることができ、その分、継手部
15をオーガーによる地盤軟化領域に近づけて設けるこ
とができる。
【0038】具体的には、鋼矢板20の拡大された凹部
形状の領域21aに配置されるオーガーによる地盤軟化
の効果が、継手部15も含めて矢板断面全体に確実にか
つ十分に行き渡るようにするためには、通常オーガー
は、羽根の50mm程度外側まで地盤を軟化させること
ができるため、継手部15の突出長、つまり継手支持部
18の幅寸法(L2)を50mm以下とすることが望ま
しい。
【0039】実施形態2に係る鋼矢板20の構成は、図
3の外側位置に鎖線で示す従来形の鋼矢板に実施できる
と共に、図3に実線で示す実施形態1と同じ構成の鋼矢
板にも適用できる。つまり、同図の実線で示す構成で
は、フランジ部14とウェブ部12とが接続する隅角部
13を、中立軸16よりもウェブ部12寄りの位置に設
けて、フランジ部14の途中に形成される第1角部13
aと、フランジ部14と、ウェブ部12が交わる位置に
形成される第2角部13bと、第1、第2の両角部13
a、13bの間を接続する傾斜部13cから構成するこ
とで、ウェブ部12の幅寸法(L1)を短縮している。
【0040】したがって、図3に実線で示す鋼矢板20
の場合、オーガーを配置する領域21aを拡大したこと
による作用に加えて、実施形態1と同様に、ウェブ部1
2の幅寸法(L1)の短縮による鋼矢板20の座屈耐力
向上と、板厚(t)の薄肉化の作用が奏せられる。
【0041】
【発明の効果】本発明の鋼矢板は、両フランジ部とウェ
ブ部の接続する各屈曲部の間(つまり、ウェブ部の幅寸
法L1)、の幅を小さくすると共に、幅厚比を小さくで
きるので鋼矢板を座屈しにくい構造にできる。また、ウ
ェブ部の板厚が薄くても剛性を高めることができるた
め、板厚の薄い鋼板による矢板の製作が可能となり、製
作費、材料費、運搬等の面で経済的であり、施工時の取
り扱いも容易となる。
【0042】また、オーガーを併用して鋼矢板を打設す
る場合に、矢板断面積当りのオーガーによる掘削面積を
大きく取れ、これにより地盤の軟化領域を大きくでき、
かつ継手部の突出長が短く、変形しずらい構造で、しか
も地盤の軟化領域に打設できるため、鋼矢板の地盤への
圧入が容易になり、工期の短縮につながる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態1に係る隅角部を屈曲させた
鋼矢板単体の平面図である。
【図2】図1の鋼矢板の嵌合連結状態で示す平面図であ
る。
【図3】本発明の実施形態2に係る隅角部を屈曲させた
鋼矢板単体の平面図である。
【図4】図3の鋼矢板の嵌合連結状態で示す平面図であ
る。
【図5】第1従来例として示すU形鋼矢板の平面図であ
る。
【図6】第2従来例として示すハット形鋼矢板の平面図
である。
【図7】図6のハット形鋼矢板の嵌合連結状態で示す平
面図である。
【符号の説明】
1 U形鋼矢板 2 ウェブ 3 隅角部 4 フランジ 5 継手部 6 折曲げ部 7 ハット形鋼矢板 8 継手支持部 10 領域 12 ウェブ部 13 隅角部 14 フランジ部 15 継手部 16 中立軸 17 鋼矢板 18 継手支持部 19 壁体 20 鋼矢板 21 領域 22 矢板断面中心
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 龍田 昌毅 東京都千代田区大手町2−6−3 新日本 製鐵株式会社内 (72)発明者 江田 和彦 東京都千代田区大手町2−6−3 新日本 製鐵株式会社内 Fターム(参考) 2D049 EA01 EA03 FB03 FB12 FC03

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 隣り合う鋼矢板の継手部を嵌合し壁体と
    して各鋼矢板が一体となったとき、前記継手部が壁体の
    中立軸から離れた位置になるように構成された断面略U
    字形の鋼矢板であって、当該鋼矢板は、座屈耐力向上用
    ウェブ部を構成するため、前記ウェブ部とフランジ部と
    の断面形状を変化させることにより、直線状断面の前記
    ウェブ部の幅寸法(L1)を短縮させたことを特徴とす
    る座屈耐力向上の鋼矢板。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の鋼矢板における座屈耐力
    向上用ウェブ部の幅寸法(L1)を短縮する手段とし
    て、前記ウェブ部とフランジ部との隅角部を多角形状に
    折り曲げて構成したことを特徴とする鋼矢板。
  3. 【請求項3】 前記ウェブ部とフランジ部との隅角部を
    中立軸よりもウェブ部側に設けたことを特徴とする請求
    項2記載の鋼矢板。
  4. 【請求項4】 隣り合う鋼矢板の継手部を嵌合し壁体と
    して各鋼矢板が一体となったとき、前記継手部が壁体の
    中立軸から離れた位置になるように構成された断面略U
    字形の鋼矢板であって、前記鋼矢板断面中心から継手部
    が設けられているフランジ端縁までの距離(L4)より
    も、継手部のフランジ部からの突出長(L2)の方が短
    くなるように当該継手部をフランジ部近傍に設けること
    で、鋼矢板断面積に占めるウェブ部とフランジ部で囲ま
    れた領域を大きくすることを特徴とする鋼矢板。
  5. 【請求項5】 鋼矢板における座屈耐力向上のためウェ
    ブ部の幅寸法(L1)を短縮する手段として、ウェブ部
    とフランジ部との隅角部を多角形状に折り曲げて構成し
    たことを特徴とする請求項4記載の鋼矢板。
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