JP2002206028A - 複合化粒子の製造法 - Google Patents

複合化粒子の製造法

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JP2002206028A
JP2002206028A JP2001313153A JP2001313153A JP2002206028A JP 2002206028 A JP2002206028 A JP 2002206028A JP 2001313153 A JP2001313153 A JP 2001313153A JP 2001313153 A JP2001313153 A JP 2001313153A JP 2002206028 A JP2002206028 A JP 2002206028A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】人体に対して有害な有機溶媒を用いたり、加熱
処理等によって有機溶媒を除去することなく、簡略な製
造工程により、複合化粒子を製造しうる方法及び該方法
によって得られた複合化粒子を提供すること。 【解決手段】超臨界二酸化炭素又は液化二酸化炭素の存
在下に、微粒子とフッ素系高分子化合物及び/又はシリ
コーン系高分子化合物とを接触させた後、得られた混合
物を減圧膨張させる、微粒子とフッ素系高分子化合物及
び/又はシリコーン系高分子化合物の複合化粒子の製造
法、並びに前記製造法で得られた複合化粒子。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、複合化粒子の製造
法に関する。更に詳しくは、撥水性、撥油性、光学特
性、紫外線防御性、感触、安全性、活性、色調、分散安
定性、耐候性等が制御された塗料、インクジェット型プ
リンター用インク、化粧品等に好適に使用しうる複合化
粒子の製造法及び該製造法によって得られた複合化粒子
に関する。
【0002】
【従来の技術】微粒子に表面処理を施す方法としては、
カップリング剤、アルカリ剤等を被覆剤の懸濁液に添加
し、その液相に核となる微粒子を浸漬させた後、微粒子
に熱処理を施して微粒子の表面に被覆剤を被覆する方法
(液相被覆方法)が提案されている。特に、微粒子に撥
水性及び/又は撥油性を付与する目的で、シリコーン系
化合物やフッ素系化合物を微粒子の表面に被覆させる際
に、この方法は一般的に採用されている。
【0003】しかし、シリコーン系化合物を用いて微粒
子を被覆をする液相被覆方法では(特開昭61-127767 号
公報、特開平7-196946号公報等)、添加されたアルカリ
剤、シランカップリング剤等が被覆された微粒子の表面
に残存することがあるため、皮膚がこの粒子と接触した
場合、肌にトラブルを生じるおそれがある。
【0004】フッ素系化合物を用いて微粒子を被覆をす
る方法では(特開昭62-250074 号公報)、フッ素系化合
物が微粒子の表面に吸着される作用が利用されている。
しかし、この方法には、被覆が不完全であったり、被覆
力が弱い等の欠点がある。
【0005】また、シリコーン系化合物及びフッ素系化
合物を用いた液相被覆方法では、微粒子の表面がこれら
の低分子化合物で被覆されるが、その形成された皮膜の
厚さが非常に薄い分子レベルの厚さであるので微粒子の
被覆を完全に行なうことが困難なため、フッ素系化合物
及びシリコーン系化合物の被覆量を微粒子の1重量倍以
上とすることが困難である。
【0006】そこで、皮膜の厚い微粒子を得るために、
フッ素系高分子化合物及び/又はシリコーン系高分子化
合物を用いて液相被覆方法により、微粒子を被覆する方
法が提案されている。しかし、この方法には、これらの
高分子化合物を用いるためには、人体に対して有害な有
機溶剤を使用しなければならないのみならず、その製造
工程数が多く、その操作が煩雑であるため、製造コスト
が高くなるという欠点がある。
【0007】高分子化合物で微粒子を被覆する他の方法
としては、超臨界二酸化炭素を用いて微粒子にアクリル
樹脂、ポリエチレン、ポリスチレン等の一般的な高分子
化合物を被覆する方法が知られている(特開平11-47681
号公報、特開平11-197494 号公報)。しかし、これらの
高分子化合物は、超臨界二酸化炭素だけでは溶解しない
ため、助溶媒として有機溶媒の添加を必要とする。この
ため、有機溶媒が被覆粒子に残存し、該残存有機溶媒を
乾燥等により被覆粒子から除去する工程が必要であると
ともに、撥水性及び/又は撥油性が一般的に低いという
欠点がある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、人体に対し
て有害な有機溶媒を用いたり、加熱処理等によって有機
溶媒を除去することなく、簡略な製造工程により、複合
化粒子を製造しうる方法及び該方法によって得られた複
合化粒子を提供することを課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、超臨界二酸化
炭素又は液化二酸化炭素の存在下に、微粒子とフッ素系
高分子化合物及び/又はシリコーン系高分子化合物とを
接触させた後、得られた混合物を減圧膨張させる、微粒
子とフッ素系高分子化合物及び/又はシリコーン系高分
子化合物の複合化粒子の製造法及び該製造法によって得
られた複合化粒子に関する。
【0010】
【発明の実施の形態】本明細書において、複合化粒子と
は、フッ素系高分子化合物及び/又はシリコーン系高分
子化合物(以下、高分子化合物という)により、微粒子
の一部又は全部が被覆又は内包された複合化粒子、微粒
子の表面に高分子化合物の微粒子が存在している複合化
粒子、及び微粒子同士が凝集した粒子の内部又はその表
面に高分子化合物が存在している複合化粒子をいう。
【0011】本発明における1つの大きな特徴は、次の
点である。二酸化炭素は、一般に無毒であり、その臨界
温度が304.2 Kである。超臨界二酸化炭素とは、臨界温
度(Tc)以上でかつ臨界圧力(Pc)以上の圧力である二酸化
炭素をいい、僅かな圧力変化によって密度が急変すると
いう性質を有する。従って、臨界温度(Tc)を僅かに超え
た超臨界二酸化炭素の圧力を増加させると、気相の密度
が急増するため、臨界圧力を超えた領域で溶質の溶解度
が急激に増加する。これとは逆に、超臨界二酸化炭素の
入った容器から超臨界二酸化炭素をノズルから噴出させ
て二酸化炭素の減圧膨張を行うと、溶質の二酸化炭素に
対する溶解度を急激に低下させることができるので、減
圧操作のみで溶質と超臨界二酸化炭素との分離が可能と
なる。本明細書における減圧とは、二酸化炭素が超臨界
状態又は液化状態となる高圧から圧力を低下させること
をいう。
【0012】超臨界二酸化炭素を用い、該超臨界二酸化
炭素を減圧膨張するときの温度は、超臨界二酸化炭素の
減圧膨張を効率的に行う観点から、好ましくは308.15〜
373.15K、より好ましくは308.15〜353.15K、更に好ま
しくは308.15〜333.15Kである。また、減圧膨張を行う
ときの超臨界二酸化炭素の圧力は、超臨界二酸化炭素の
減圧膨張を効率的に行うために、7.2 〜50MPa であるこ
とが好ましく、より好ましくは10〜40MPa である。
【0013】また、液化二酸化炭素においても、超臨界
二酸化炭素と同様にノズルから噴出させて二酸化炭素の
減圧膨張を行うと、溶質の二酸化炭素に対する溶解度を
急激に低下させることができるので、減圧操作のみで溶
質と二酸化炭素との分離が可能となる。液化二酸化炭素
を用い、該液化二酸化炭素の減圧膨張を行うときの温度
は、液化二酸化炭素の減圧膨張を効率的に行う観点か
ら、233.0 〜304.0 Kであることが好ましく、より好ま
しくは273.0 〜304.0 Kである。また、液化二酸化炭素
の圧力は、液化二酸化炭素の減圧を効率的に行うため
に、1〜50MPa であることが好ましく、より好ましくは
3.5 〜40MPa である。
【0014】上記のように、超臨界二酸化炭素又は液化
二酸化炭素を用いた場合には、低温で操作を行なうこと
ができるため、操作が容易であるとともに、二酸化炭素
は安価であるので、製造コストを削減することができる
という利点がある。
【0015】超臨界二酸化炭素を用いることは、溶質の
溶解度を高くすることができるという観点から、液化二
酸化炭素を用いることよりも好ましい。
【0016】超臨界二酸化炭素又は液化二酸化炭素に溶
解又は分散している高分子化合物の濃度は、特に限定さ
れないが、0.1 〜90重量%、好ましくは1〜30重量%で
あることが望ましい。また、それらの濃度で溶解又は分
散する高分子化合物が好ましい。膜厚の均一性の観点か
ら溶解している方が好ましい。
【0017】微粒子としては、実質的に超臨界二酸化炭
素又は液化二酸化炭素に溶解しない無機微粒子及び有機
微粒子のいずれも使用することができる。
【0018】無機微粒子を構成する材料としては、例え
ば、酸化チタン、シリカ、マイカ、タルク、カオリン、
セリサイト、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化ジルコ
ニウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ケイ酸マ
グネシウム、無水ケイ酸、硫酸バリウム、ベンガラ、黄
酸化鉄、黒酸化鉄、カーボンブラック、マンガンバイオ
レット、これらの複合体等が挙げられ、これらは、それ
ぞれ単独で又は2種以上を混合して用いることができ
る。また、無機微粒子の表面に、シリコーン処理、フッ
素処理等の表面処理が施された粒子であってもよい。
【0019】有機微粒子としては、有機顔料、高分子系
化合物等からなる有機系粉体等が挙げられる。
【0020】有機顔料としては、例えば、赤色201 号、
赤色202 号、赤色204 号、赤色226号、橙色204 号、黄
色205 号、赤色404 号、赤色405 号、橙色401 号、黄色
401号、青色404 号等が挙げられる。また、高分子系化
合物としては、例えば、アクリル樹脂、ポリオレフィ
ン、ポリスチレン、フッ素樹脂、シリコーン樹脂、ポリ
エステル、ポリアミド等の熱可塑性樹脂、エポキシ樹
脂、フェノール樹脂等の熱硬化性樹脂等が挙げられ、こ
れらは、それぞれ単独で又は2種以上を混合して用いる
ことができる。また、有機微粒子の表面に、シリコーン
処理、フッ素処理等の表面処理が施された粒子であって
もよい。
【0021】複合化前の微粒子の平均粒径(測定法は実
施例に示す)は、特に限定されないが、0.01〜500 μ
m、好ましくは0.02〜100 μm、更に好ましくは0.04〜
50μmであることが望ましい。中でも、平均粒径が0.01
〜500 μmである、マイカ、タルク及び硫酸バリウムか
らなる群より選ばれた1種以上の微粒子が好ましい。
【0022】フッ素系高分子化合物及びシリコーン系高
分子化合物は、いずれも、複合化剤として単独で又は混
合して用いられるものである。
【0023】アクリル樹脂、ポリエチレン、ポリスチレ
ン等の一般的な高分子化合物は、超臨界二酸化炭素又は
液化二酸化炭素に溶解しがたい。ところが、フッ素系高
分子化合物及びシリコーン系高分子化合物は、超臨界二
酸化炭素及び液化二酸化炭素に溶解あるいは分散しやす
い。本発明は、このようなフッ素系高分子化合物及びシ
リコーン系高分子化合物と二酸化炭素との間の性質を利
用したものである。
【0024】フッ素系高分子化合物としては、フッ素原
子を有する高分子化合物であればよい。フッ素系高分子
化合物中のフッ素原子の重量組成比は、9〜80重量%、
好ましくは20〜70重量%、より好ましくは40〜65重量%
であることが望ましい。フッ素系高分子化合物の中で
は、フルオロアルキル基又はパーフルオロアルキル基を
有する(メタ)アクリル酸エステル重合体、及びフルオ
ロアルキル基又はパーフルオロアルキル基を有する(メ
タ)アクリル酸エステル−長鎖アルキル(メタ)アクリ
レート共重合体が好ましい。
【0025】更に、フッ素系高分子化合物として、炭素
数4以上のパーフルオロアルキル基、ポリフルオロアル
キル基又はパーフルオロポリエーテル基を有する(メ
タ)アクリレートの単独重合体、及びこの化合物と炭素
数8〜22のアルキル基を有する(メタ)アクリレートと
の共重合体がもっとも好ましい。超臨界二酸化炭素又は
液化二酸化炭素に溶解又は分散するフッ素系高分子化合
物又はシリコーン系高分子化合物が好ましい。
【0026】シリコーン系高分子化合物としては、超臨
界二酸化炭素又は液化二酸化炭素単独、又は超臨界二酸
化炭素又は液化二酸化炭素及び助溶媒の混合物中に溶解
ないし分散し、一般に化粧料等に用いられているもので
あればよく、特に限定されない。シリコーン系高分子化
合物の中では、メチルポリシロキサン、ジメチルポリシ
ロキサン、環状ジメチルポリシロキサン、メチルフェニ
ルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサ
ン、環状メチルハイドロジェンポリシロキサン、ジメチ
ルシロキサン・メチル(ポリオキシエチレン)シロキサ
ン共重合体、ジメチルシロキサン・メチル(ポリオキシ
プロピレン)シロキサン共重合体、ポリエーテル変性シ
リコーン、メチルスチリル変性シリコーン、アルキル変
性シリコーン、フッ素変性シリコーン、シリコーン変性
アクリル樹脂、高級脂肪酸エステル変性シリコーン、高
級アルコキシ変性シリコーン等が好ましい。
【0027】シリコーン系高分子化合物の中では、オル
ガノポリシロキサンの分子鎖の末端及び/又は側鎖に、
式(I):
【0028】
【化4】
【0029】(式中、R1 及びR2 はそれぞれ独立し
て、水素原子、炭素数1〜18のアルキル基又は炭素数6
〜10のアリール基、X- は四級アンモニウム塩の対イオ
ンを示し、Cl- 、Br- 等のハロゲンイオンあるい
は、CH3 SO4 - 、CH3 CH2SO4 - 等の硫酸エ
ステルイオンが挙げられる。)又は式(II):
【0030】
【化5】
【0031】(式中、R1 、R2 及びX- は前記と同
じ)で表わされる基を介して、式(III):
【0032】
【化6】
【0033】(式中、R3 は水素原子、炭素数1〜22の
アルキル基、炭素数3〜8のシクロアルキル基、炭素数
7〜10のアラルキル基又は炭素数6〜10のアリール基、
nは2又は3である)で表わされる繰り返し単位からな
るポリ(N−アシルアルキレンイミン)の分子鎖が結合
してなり、該ポリ(N−アシルアルキレンイミン)の分
子鎖とオルガノポリシロキサンの分子鎖との重量比が好
ましくは1/50〜50/1、より好ましくは1/20〜20/1で
あるシリコーン系高分子化合物が特に好ましい。例え
ば、式(I)中のR1 及びR2 がそれぞれ水素原子、X
- がCH3 CH2 SO4 - 、式(III) 中のR3 がCH2
CH3 、nが2であるγ−(N−プロピオニルポリエチ
レンイミノ)アミノプロピルメチルシロキサン/ジメチ
ルシロキサン共重合体〔ポリ(N−プロパノイルエチレ
ンイミン)グラフト−ジメチルシロキサン/γ−アミノ
プロピルメチルシロキサン、以下同じ〕が挙げられる。
高分子化合物の重量平均分子量は、500 〜500000である
ことが好ましい。
【0034】微粒子と高分子化合物とを超臨界二酸化炭
素又は液化二酸化炭素の存在下に、接触させた後、得ら
れた混合物を減圧膨張させる方法としては、微粒子と、
高分子化合物と、超臨界二酸化炭素又は液化二酸化炭素
とを混合し、超臨界二酸化炭素又は液化二酸化炭素に、
高分子化合物と、微粒子とを完全に溶解又は分散させた
後、系を減圧させる方法が挙げられる。例えば、ノズル
から大気中に噴霧することにより、二酸化炭素を減圧膨
張させて気体にし、高分子化合物及び微粒子に対する二
酸化炭素の溶解力を低下させ、熱処理を施さなくても溶
解又は分散している高分子化合物が二酸化炭素から分離
し、高分子化合物で複合化された微粒子を得ることがで
きる。
【0035】超臨界二酸化炭素又は液化二酸化炭素に分
散している微粒子の濃度は、特に限定されないが、0.01
〜40重量%、好ましくは0.1 〜20重量%であることが望
ましい。
【0036】なお、高分子化合物が超臨界二酸化炭素又
は液化二酸化炭素に溶解又は分散しにくい場合には、助
溶媒を超臨界あるいは液化二酸化炭素に混合することに
より、高分子化合物を超臨界二酸化炭素又は液化二酸化
炭素に溶解又は分散させることができる。
【0037】助溶媒としては、極性溶媒が好ましい。極
性溶媒の中では、人体にほとんど無害と考えられている
アルコール及び水が好ましい。アルコールとしては、エ
タノール及び1−プロパノールが好ましく、エタノール
がより好ましい。助溶媒を用いた場合でも、ノズルから
大気中に噴霧させると一般的な高分子化合物が助溶媒か
ら分離するので、助溶媒を除去するために熱処理等によ
る脱溶媒処理を行う必要がない。
【0038】このように、本発明の方法は、従来の液相
被覆方法のように塗布後に熱処理等を行う必要がないの
で、処理工程数を削減することができるため、操作性に
非常に優れた方法である。
【0039】以上の操作により、フッ素系高分子化合物
及び/又はシリコーン系高分子化合物と微粒子とからな
る複合化粒子が得られる。
【0040】得られた複合化粒子の形態は、複合化の操
作条件等によって異なる。その例としては、フッ素系高
分子化合物及び/又はシリコーン系高分子化合物で微粒
子が一部又は全部が被覆又は内包された複合化粒子、微
粒子がフッ素系高分子化合物及び/又はシリコーン系高
分子化合物に内包された複合化粒子、微粒子の表面に高
分子化合物の微粒子が存在している複合化粒子、微粒子
同士が凝集した粒子の内部又はその表面に高分子化合物
が存在している複合化粒子が挙げられる。
【0041】この複合化粒子は、有機化合物及び微粒子
以外の第三成分を含有していてもよい。第三成分として
は、微粒子の被覆成分以外の安定化剤、着色剤等が挙げ
られる。第三成分は、1種類以上であってもよい。第三
成分は、超臨界二酸化炭素又は液化二酸化炭素に溶解・
分散することにより、複合化粒子に含有させることがで
きる。
【0042】容器としては、オートクレーブ、耐圧セル
等が挙げられる。
【0043】複合化粒子の平均粒径は、複合化剤である
高分子化合物の量等によって異なるので、一概には決定
することができないが、0.01〜1000μm、より好ましく
は0.02〜500 μm、更に好ましくは0.04〜100 mである
ことが望ましい。
【0044】複合化粒子の被膜の厚さは、特に限定しな
いが、好ましくは0.1nm 〜500 μmであり、更に好まし
くは0.5nm 〜10μm 、特に好ましくは1nm〜1 μm であ
る。
【0045】複合化粒子におけるフッ素系高分子化合物
及び/又はシリコーン系高分子化合物と微粒子との比率
は、特に限定がないが、通常、フッ素系高分子化合物及
び/又はシリコーン系高分子化合物1重量部に対して、
微粒子0.001 〜1000重量部、好ましくは、0.005 〜500
重量部、更に好ましくは0.7 〜500 重量部であることが
望ましい。
【0046】
【実施例】実施例1 図1に示される装置を用いた。図1に示される装置は、
二酸化炭素の減圧膨張法による複合化粒子の製造法に用
いられる装置である。かかる装置は、後述するストップ
バルブV−2を境として、その上流側の昇圧部と下流側
の溶解・分散部とに区分することができる。
【0047】昇圧部においては、液体二酸化炭素の供給
源として、液体二酸化炭素が充填されたサイフォン付き
のボンベ1が使用されている。
【0048】ボンベ1から供給された液体二酸化炭素に
含まれている水分は、乾燥管2を通過している間に除去
される。水分が除去された液体二酸化炭素は、フィルタ
ー3でゴミなどの不純物が除去された後、冷却ユニット
4に送られる。
【0049】冷却ユニット4内には、261.15Kに冷却さ
れたエチレングリコールが充填されている。これによ
り、脱水された液体二酸化炭素が冷却され、昇圧用ポン
プ5に送られる。なお、昇圧用ポンプ5のヘッド部分に
は、液体二酸化炭素の気化を防ぐために冷却器(図示せ
ず)が装着されていてもよい。
【0050】二酸化炭素の昇圧部におけるフィルター3
の下流には、圧力調整弁V−1が設けられている。この
圧力調整弁V−1により、昇圧部及び溶解・分散部の系
内の圧力を任意の圧力に設定することができる。この圧
力調整弁V−1により、溶解・分散部の圧力を±0.1MPa
以内の公差の範囲内となるように系内の圧力を制御する
ことができる。
【0051】昇圧部の昇圧用ポンプの下流には、圧力計
6a が設けられている。昇圧部系内の圧力は、この圧力
計6a で測定することができる。圧力計6a には、上限
接点出力端子がついており、指定圧力になると、昇圧用
ポンプ5の電源を切るように設定されている。
【0052】昇圧部と溶解・分散部との間には、ストッ
プバルブV−2が配置されている。このストップバルブ
V−2により、溶解・分散部の液体の流出を制御するこ
とができる。
【0053】また、溶解・分散部には、安全性を確保す
るために、安全弁7a が設けられている。
【0054】溶解・分散部は、槽全体の高さの調節が可
能な恒温水槽16内に設置されている。恒温水槽16の内容
積は、80dm2であり、チノー社製の温度制御器「DB100
0」(商品名)により、水温を±0.1 ℃の公差の範囲内
に収まるように制御されている。また、恒温水槽16の温
度は、温度計13によって測定することができる。
【0055】昇圧部のストップバルブV−2から供給さ
れた液体二酸化炭素は、恒温水槽16中に設置された予熱
カラム8へ送られ、被覆の際の溶媒とするために、二酸
化炭素の平衡温度まで予熱される。
【0056】予熱カラム8によって加熱された二酸化炭
素は、流体の逆流を防止する逆止弁7bを通過し、スト
ップバルブV−3介して、被抽出溶質を含む溶解セル9
に導入される。
【0057】溶解セル9には、フッ素系高分子化合物で
ある2−(パーフルオロオクチル)エチルメタクリレー
ト重合体と、無機微粒子である酸化亜鉛が充填された
後、溶媒及び分散媒となる二酸化炭素が充填されてい
る。
【0058】更に、溶解セル9には、攪拌用のモータ12
が設置されている。このモータ12により、溶解セル9内
の2−(パーフルオロオクチル)エチルメタクリレート
重合体、酸化亜鉛及び二酸化炭素を攪拌する。また、モ
ータ12には、電磁式ノンシール攪拌機が接続されてお
り、更にこの攪拌機の先端に攪拌翼が装着されている。
【0059】また、溶解セル9内の圧力は、圧力計6b
によって測定することができる。また、溶解セル9の上
流側には、溶解セル9内の圧力上昇による爆発を防止す
るために、安全弁7cが設置されている。この安全弁7
cは、溶解セル9系内の圧力が34.3MPa となると作動す
るように制御されている。
【0060】溶解セル9内の二酸化炭素は、ストップバ
ルブV−4を経由して、加熱管10を通り、空気恒温槽11
に導入される。二酸化炭素に溶解又は分散した高分子化
合物は、溶解セル9から放出されることに伴う減圧状態
で凝固したり、また二酸化炭素がドライアイスとなるお
それがあるため、ストップバルブV−4は、ヒーターに
よって加温されている。
【0061】ストップバルブV−4を開放すると、加熱
管10で操作温度にまで昇温された高分子化合物及び微粒
子を溶解、分散した二酸化炭素がノズルから噴射され
る。噴射されることにより、流体が減圧され、減圧膨張
し、溶質の溶解力が激減する。これにより、2−(パー
フルオロオクチル)エチルメタクリレート重合体によっ
て被覆された複合化粒子15が捕集される。
【0062】以上のように設定されている装置を用い、
以下の操作を行った。酸化亜鉛微粒子〔平均粒径0.04μ
m、堺化学工業(株)製、商品名:FINEX25〕2g及び
2−(パーフルオロオクチル)エチルメタクリレート重
合体20gを溶解セル9に充填した。二酸化炭素として、
二酸化炭素〔福岡酸素(株)製、純度99.5%以上〕
を使用した。恒温水槽の温度は、318.15±0.2 Kに、加
熱管10の温度は、350.15±0.5 Kに制御した。
【0063】ストップバルブV−2〜V−5 を閉じた状
態でボンベ1より、二酸化炭素を供給し、二酸化炭素の
上限圧力を圧力調整弁V−1で調節した。
【0064】次に、ストップバルブV−4を閉じた状態
で、ストップバルブV−2を開け、溶解・分散部へ二酸
化炭素ガスを送った。
【0065】圧力調整弁V−1を用いて、溶解セル9内
を操作圧力にした。溶解セル9の系内が操作圧力まで加
圧・調整され、圧力が一定となってから60分間攪拌した
後、30分間ほど放置した。
【0066】その後、ストップバルブV−4を開け、噴
射を行い、20MPa から15MPa まで減圧膨張させた。これ
により、二酸化炭素に溶解していた2−(パーフルオロ
オクチル)エチルメタクリレート重合体と酸化亜鉛微粒
子がノズル14から噴射され、その間に2−(パーフルオ
ロオクチル)エチルメタクリレート重合体で被覆された
複合化粒子15が得られた。
【0067】底面に堆積した複合化粒子15を捕集し、走
査型電子顕微鏡(倍率:25000 倍)により観察した。そ
の結果を図2に示す。図2に示された結果から、平均粒
径2μmの複合化粒子が得られていることがわかった。
【0068】また、2−(パーフルオロオクチル)エチ
ルメタクリレート重合体、得られた複合化粒子及び酸化
亜鉛のX線回折を調べた。その結果をそれぞれ順に図4
の(a)、(b)及び(c)に示す。
【0069】図4に示されたX線回折図から、得られた
複合化粒子〔図4(b)〕には、2−(パーフルオロオ
クチル)エチルメタクリレート重合体〔図4(a)〕及
び酸化亜鉛〔図4(c)〕が存在していることが確認さ
れた。
【0070】X線光電子分光法により、得られた複合化
粒子の表面元素を調べたところ、粒子表面における亜鉛
濃度は、検出限界(0.1atm%)以下であり、酸化亜鉛微
粒子の表面の大部分又は全部が高分子化合物で被覆され
ていることがわかった。
【0071】得られた複合化粒子の透過光型電子顕微鏡
写真(倍率:10000 倍)を図3に示す。黒色部が酸化亜
鉛、灰色部が2−(パーフルオロオクチル)エチルメタ
クリレートである。図3に示された結果から、得られた
複合化粒子は、酸化亜鉛微粒子を内包する複合化粒子で
あることがわかる。
【0072】実施例2 実施例1で用いた、酸化亜鉛微粒子〔堺化学工業(株)
製、商品名:FINEX25〕2g及び2−(パーフルオロオ
クチル)エチルメタクリレート重合体20gの代わりに、
ステアリルメタクリレート・2−(パーフルオロオクチ
ル)エチルメタクリレート共重合体(重量比1:9)20
g及び酸化チタン微粒子〔平均粒径0.25μm、石原産業
(株)製、商品名:CR-50 〕2gを用いた他は、実施例
1と同様にして、複合化粒子を得た。
【0073】ステアリルメタクリレート・2−(パーフ
ルオロオクチル)エチルメタクリレート共重合体、得ら
れた複合化粒子及び酸化チタンのX線回折を調べた。そ
の結果をそれぞれ順に図5の(a)、(b)及び(c)
に示す。
【0074】図5に示されたX線回折図から、得られた
複合化粒子〔図5(b)〕には、ステアリルメタクリレ
ート・2−(パーフルオロオクチル)エチルメタクリレ
ート共重合体〔図5(a)〕及び酸化チタン〔図5
(c)〕が存在していることが確認された。
【0075】得られた複合化粒子について、X線光電子
分光法による粒子の表面元素の測定では、チタンが検出
されず、酸化チタン微粒子の表面の大部分又は全部がス
テアリルメタクリレート・2−(パーフルオロオクチ
ル)エチルメタクリレート共重合体で被覆されているこ
とがわかった。
【0076】得られた複合化粒子の走査型電子顕微鏡写
真(倍率:25000 倍)を図6に示す。図6に示された結
果から、平均粒径3μmの複合化粒子が得られているこ
とがわかった。また、透過光型電子顕微鏡写真(倍率:
5000倍)を図7に示す。
【0077】実施例3 実施例1で用いた、酸化亜鉛微粒子〔堺化学工業(株)
製、商品名:FINEX25〕2g及び2−(パーフルオロオ
クチル)エチルメタクリレート重合体20gの代わりに、
γ−(N−プロピオニルポリエチレンイミノ)アミノプ
ロピルメチルシロキサン/ジメチルシロキサン共重合体
3gとマイカ(平均粒径10μm)15gを用いた他は、実
施例1と同様の操作を行った。
【0078】得られた複合化粒子の走査型電子顕微鏡写
真(倍率:5000倍)を図8に示す。図8に示された結果
から、平均粒径11μmのマイカの複合化粒子が得られて
いることがわかった。
【0079】また、X線光電子分光法による複合化粒子
の表面元素の測定において、マイカ由来のアルミニウム
が16atm %から4atm%に減少していた。
【0080】実施例4 2−(パーフルオロオクチル)エチルメタクリレート重
合体6gとマイカ(平均粒径10μm)20gを用いた他
は、実施例1と同様の操作を行った。
【0081】得られた複合化粒子の走査型電子顕微鏡写
真(倍率:10000 倍)を図9に示す。図9に示された結
果から、平均粒径12μmのマイカの複合化粒子が得られ
ていることがわかる。
【0082】また、X線光電子分光法による、得られた
複合化粒子の表面元素の測定により、マイカ由来のアル
ミニウムに対するフッ素の原子比が12.0を示した。前記
重合体とマイカの単なる混合物の場合には、その原子比
は1.3 であるので、複合化粒子の表面に前記重合体が多
量に存在していることがわかる。
【0083】以上、無機微粒子を用いた場合について説
明したが、無機微粒子の代わりに有機顔料を用いて同様
に処理した場合であっても、複合化粒子を得ることがで
きた。
【0084】
【発明の効果】本発明の方法によれば、人体に対して有
害な有機溶媒に使用を抑制し、有機溶媒を加熱処理等に
よって除去することなく、簡略な製造工程により、フッ
素系高分子化合物及び/又はシリコーン系高分子化合物
の複合化粒子を形成し、更に複合化粒子の平均粒径が0.
01〜100 μmに制御された粒子を得ることができるとい
う効果が奏される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の方法に使用された装置の一実施態様を
示す概略説明図である。
【図2】実施例1で得られた複合化粒子の粒子構造を示
す走査型電子顕微鏡写真である。
【図3】実施例1で得られた複合化粒子の粒子構造を示
す透過型電子顕微鏡写真である。
【図4】実施例1で使用した酸化亜鉛と2−(パーフル
オロオクチル)エチルメタクリレートと得られた複合化
粒子のX線回折図である。
【図5】実施例2で使用した酸化チタンとフッ素系高分
子化合物と得られた複合化粒子のX線回折図である。
【図6】実施例2で得られた複合化粒子の粒子構造を示
す走査型電子顕微鏡写真である。
【図7】実施例2で得られた複合化粒子の粒子構造を示
す透過型電子顕微鏡写真である。
【図8】実施例3で得られた複合化粒子の粒子構造を示
す走査型電子顕微鏡写真である。
【図9】実施例4で得られた複合化粒子の粒子構造を示
す走査型電子顕微鏡写真である。
【符号の説明】
1 ボンベ 2 乾燥管 3 フィルター 4 冷却ユニット 5 昇圧用ポンプ 6a 圧力計 6b 圧力計 7a 安全弁 7b 逆止弁 7c 安全弁 8 予熱カラム 9 溶解セル 10 加熱管 11 空気恒温槽 12 モータ 13 温度計 14 ノズル 15 複合化粒子 16 恒温水槽 V−1 圧力調整弁 V−2 ストップバルブ V−3 ストップバルブ V−4 ストップバルブ V−5 ストップバルブ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08K 3/30 C08K 3/30 3/34 3/34 C08L 33/16 C08L 33/16 83/04 83/04 83/10 83/10 C09C 1/00 C09C 1/00 1/42 1/42 3/12 3/12 (72)発明者 今木 卓弥 和歌山市湊1334番地 花王株式会社研究所 内 (72)発明者 三島 健司 福岡県福岡市南区向新町2丁目6番15− 304 Fターム(参考) 4F070 AA32 AA60 AA73 AC14 AC22 AC27 AE01 DA31 DB10 4G004 BA00 4J002 BG081 CM011 CP171 DA036 DE076 DE096 DE106 DE116 DE236 DG046 DJ006 DJ036 DJ046 DJ056 FD016 FD090 GB00 GH01 4J035 BA02 CA18M CA181 CA19N FB01 GA05 GB01 GB05 GB08 LB01 LB14 4J037 AA02 AA08 AA18 AA22 AA27 AA30 CC14 CC16 CC28 DD05 DD25 EE02 EE21 EE28 EE43 EE47 FF03 FF15 FF21 FF22 FF28

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 超臨界二酸化炭素又は液化二酸化炭素の
    存在下に、微粒子とフッ素系高分子化合物及び/又はシ
    リコーン系高分子化合物とを接触させた後、得られた混
    合物を減圧膨張させる、微粒子とフッ素系高分子化合物
    及び/又はシリコーン系高分子化合物の複合化粒子の製
    造法。
  2. 【請求項2】 フッ素系高分子化合物中のフッ素原子の
    重量組成比が9〜80重量%である請求項1記載の複合
    化粒子の製造法。
  3. 【請求項3】 微粒子が、平均粒径が0.01〜500 μmで
    ある、マイカ、タルク及び硫酸バリウムからなる群より
    選ばれた1種以上の微粒子である請求項1又は2記載の
    複合化粒子の製造法。
  4. 【請求項4】 複合化粒子における微粒子の量が、フッ
    素系高分子化合物及び/又はシリコーン系高分子化合物
    1重量部に対して0.7 〜500 重量部である請求項1〜3
    いずれか記載の複合化粒子の製造法。
  5. 【請求項5】 フッ素系高分子化合物が、フルオロアル
    キル基若しくはパーフルオロアルキル基を有する(メ
    タ)アクリル酸エステル重合体又はフルオロアルキル基
    若しくはパーフルオロアルキル基を有する(メタ)アク
    リル酸エステル−長鎖アルキル(メタ)アクリレート共
    重合体である請求項1〜4いずれか記載の複合化粒子の
    製造法。
  6. 【請求項6】 シリコーン系高分子化合物が、オルガノ
    ポリシロキサンの分子鎖の末端及び/又は側鎖に、式
    (I): 【化1】 (式中、R1 及びR2 はそれぞれ独立して、水素原子、
    炭素数1〜18のアルキル基又は炭素数6〜10のアリール
    基、X- は四級アンモニウム塩の対イオンを示す)又は
    式(II): 【化2】 (式中、R1 、R2 及びX- は前記と同じ)で表わされ
    る基を介して、式(III): 【化3】 (式中、R3 は水素原子、炭素数1〜22のアルキル基、
    炭素数3〜8のシクロアルキル基、炭素数7〜10のアラ
    ルキル基又は炭素数6〜10のアリール基、nは2又は3
    である)で表わされる繰り返し単位からなるポリ(N−
    アシルアルキレンイミン)の分子鎖が結合してなり、該
    ポリ(N−アシルアルキレンイミン)の分子鎖とオルガ
    ノポリシロキサンの分子鎖との重量比が1/50〜50/1
    である請求項1〜5いずれか記載の複合化粒子の製造
    法。
  7. 【請求項7】 請求項1〜6いずれか記載の製造法で得
    られた複合化粒子。
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