JP2002205644A - 鉄道車両用台車 - Google Patents

鉄道車両用台車

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Nobuki Nomura
薫樹 野村
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康之 福井
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 空車時には柔らかなばね定数を持たせ、定員
〜満車時には荷重の増加に伴った硬いばね定数として乗
り心地と輪重抜けを両立させる。 【解決手段】 車体5下面の左右からそれぞれ吊り下げ
た垂直方向のリンク8に、レール方向の軸はり7を上下
方向に回動可能に結合し、軸はり7先端の軸箱4と車体
5下面との間に介在させるばね装置6を、軸箱4上面に
ゴム製の受座12を介して配置される下部コイルばね1
3と、下部コイルばね13内に挿入されるゴム製のばね
案内14と、下部コイルばね13上部にゴム製の受座1
5を介して配置されて下部コイルばね13上部を覆う断
面ハット状のばね受16と、ばね受16に外嵌されてば
ね受下部のフランジ17と車体5下面との間に配置され
る下部コイルばねよりもばね定数の柔らかい上部コイル
ばね18と、ばね受16上面に配置されるゴム製のクッ
ション座19とで構成した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、いわゆるフレーム
レス台車と称される鉄道車両用台車に関する。
【0002】
【従来の技術】一般的な鉄道車両用台車は、レール方向
の側梁と枕木方向の横梁とで構成した台車枠と輪軸の両
端を回転可能に支承する各軸箱との間に軸ばねを、台車
枠と車体との間に枕ばねをそれぞれ配設した2自由度系
のばねを採用している。特に枕ばねにボルスタレス空気
ばねを使用すると、ばね定数が柔らかく、乗り心地の向
上と輪重抜けに対応が容易である。
【0003】一方、台車枠を簡素化して質量低減を図る
目的から、車体下面の左右からそれぞれ吊り下げた垂直
方向のリンクに、レール方向の軸はりを上下方向に回動
可能に結合し、該軸はり先端の軸箱にて輪軸の両端を回
転可能に支承する、いわゆるフレームレス台車では、軸
箱と車体下面との間にばね装置を介在させているが、1
自由度系のばねとなるため、台車の旋回を許容しながら
乗り心地と輪重抜けの両立に最適なばね定数を選定する
ことが難しく、乗り心地評価を高くするのが困難であっ
た。そこで、例えば、特開2000−38132号公報
に示されるように、軸箱と車体下面間にコイルばねと空
気ばねとを直列に配置して、乗り心地を向上させてい
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上述の構造で
も、空気ばねがパンクした場合に輪重抜けが大きくなる
ことや、コストが高くなることが考えられる。また、ば
ねの折損といった不測の事態に対する備えも必要であ
る。
【0005】そこで本発明は、空車時には柔らかなばね
定数を持たせ、定員〜満車時には荷重の増加に伴った硬
いばね定数として乗り心地と輪重抜けを両立させ、乗客
にばねの特性が変化した違和感を与えないようにスムー
スに切り換えが可能な鉄道車両用ばね装置を提供するこ
とを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記した目的を達成する
ため、本発明は、車体下面の左右からそれぞれ吊り下げ
た垂直方向のリンクに、レール方向の軸はりを上下方向
に回動可能に結合し、該軸はり先端の軸箱と車体下面と
の間にばね装置を介在させた鉄道車両用台車において、
前記ばね装置は、前記軸箱上部に配置される下部コイル
ばねと、該下部コイルばねの上部又は下部の少なくとも
一方に配置される弾性材からなる受座と、下部コイルば
ね上部に配置されて下部コイルばね上部を覆う断面ハッ
ト状のばね受と、該ばね受に外嵌されてばね受下部のフ
ランジと前記車体下面との間に配置される前記下部コイ
ルばねよりもばね定数の柔らかい上部コイルばねと、前
記ばね受上面に配置される弾性材からなるクッション座
とを備え、該クッション座上面と前記車体下面との間に
間隙を形成していることを特徴としている。また、前記
ばね装置を前記軸箱の前後に1つずつ配置し、一方のば
ね装置のクッション座上面の前記間隙と他方のばね装置
のクッション座上面の前記間隙とを同一寸法又はいずれ
か一方の間隙を他方の間隙よりも大きくしてもよい。
【0007】
【発明の実施の形態】以下、本発明を図面に示される実
施形態例に基づいて説明する。図1乃至図3は本発明の
第1実施形態例を示すもので、鉄道車両用台車1は、2
つの輪軸2,2を有する2軸台車で、各輪軸2,2の両
端をそれぞれ回転可能に支承する各軸箱4と車体5とを
ばね装置6で直接結合し、前後の軸箱4から台車中央部
に向けてレール方向の軸はり7をそれぞれ延出し、台車
中央部で対向する軸はり7,7の先端と車体5下面の左
右からそれぞれ吊り下げた垂直方向のリンク8とを結合
し、左右の軸はり7,7の中間部をブレーキ装置9及び
主電動機(図示せず)を支持する枕木方向の支持はり1
0で結合している。また、各軸はり7の外端と車体5と
の間には、前記ばね装置6に隣接してダンパ11が配設
されている。
【0008】前記ばね装置6は、軸箱4上面にゴム製の
受座12を介して配置される下部コイルばね13と、該
下部コイルばね13内に挿入されるゴム製のばね案内1
4と、前記下部コイルばね13上部にゴム製の受座15
を介して配置されて下部コイルばね13上部を覆う断面
ハット状のばね受16と、該ばね受16に外嵌されてば
ね受16下部のフランジ17と前記車体5下面との間に
配置される前記下部コイルばね13よりもばね定数の柔
らかい上部コイルばね18と、前記ばね受16上面に配
置されるゴム製のクッション座19とを備えている。
【0009】なお、下部コイルばね13下部の受座12
及び上部の受座15は、いずれか一方でも良い。また、
受座12、受座15及びクッション座19の材質は、ゴ
ムに限らず、例えば合成樹脂でも良い。
【0010】前記ばね案内14は、下部コイルばね13
より短い円柱状に形成され、下部を前記受座12上面に
設けられた案内筒20に挿入し、上部を前記受座15下
面に設けられた案内筒21に挿入し、該案内筒21の天
面と上面との間に隙間を形成している。前記クッション
座19は、その上面と車体5下面との間に間隙Hを形成
しており、前記上部コイルばね18が車体5からの荷重
で圧縮されて縮んだ時点で車体5下面に当接する。
【0011】この構成により、空車時には、下部コイル
ばね13と上部コイルばね18とによる2段直列構造の
ため、ばね定数が柔らかく輪重抜けに対応できる。車体
5の荷重増加により上部コイルばね18が圧縮されて縮
み、車体5下面がクッション座19に当接して前記間隙
Hがなくなると、下部コイルばね13に直接荷重がかか
り、ばね定数は、下部コイルばね13のばね定数に変化
して硬いばね定数となる。したがって、ばね装置6のば
ね定数は、図3に示されるように、空車時における上部
コイルばね18の柔らかいばね定数から荷重の増加に伴
う下部コイルばね13の硬いばね定数へ非線形に変化す
るから、変化のタイミングを定員〜満員の間で調整する
ことで、車体床面高さを考慮しながら他の荷重条件時に
も乗り心地を良くすることができる。また、車体5下面
がクッション座19に柔らかく当接するように、クッシ
ョン座19の形状、弾性を設定することで乗客に違和感
を与えないで、ばね定数の非線形化が図れる。さらに、
下部コイルばね13内に、下部コイルばね13より短い
ばね案内14を挿入することで、下部コイルばね13の
ばね定数に影響を与えることなく、下部コイルばね13
が折損した場合の安全対策とすることができる。また、
ばね案内14をゴム製とすることで、台車旋回時の変位
を自在な形状で対応できる。
【0012】図4及び図5は本発明の第2実施形態例を
示すもので、前記第1実施形態例と同一要素には同一の
符号を付して説明する。本実施形態例は、軸箱4前後の
軸はり7にばね装置6を1つずつ配置し、軸箱4上部と
車体5下面との間にダンパ11を配設した構成で、リン
ク8側のばね装置6のクッション座19上面と車体5下
面との間隙寸法H1よりも、軸はり7先端側のばね装置
6のクッション座19上面のと車体5下面との間隙寸法
H2を大きくしたものである。
【0013】この構成によれば、車体5の荷重が増加す
ると、先ず、クッション座19上部の間隙寸法H1が小
さいリンク8側のばね装置6のクッション座19に車体
5下面が当接し、リンク8側のばね装置6の下部コイル
ばね13が荷重を負担する。続いてクッション座19上
部の間隙寸法H2が大きい軸はり7先端側のばね装置6
のクッション座19に車体5下面が当接し、両ばね装置
6の下部コイルばね13が荷重を負担する。
【0014】したがって、3段切換のばね定数を有する
ばね装置とすることができる。また、軸箱4の前後にば
ね装置6をそれぞれ配置することにより、一方のコイル
ばね13が折損しても、他方のばね装置6で持ちこたえ
ることができ、1組のばね装置6の場合よりも飛躍的に
安全性を高めることができる。
【0015】なお、リンク8側のばね装置6の前記間隙
寸法H1と軸はり7先端側のばね装置6の前記間隙寸法
H2とを同一寸法にした場合は、軸はり7,7が台車中
央部でリンク8と結合しているから、車体5の荷重が増
加すると、軸はり7,7のリンク8との結合部分が下が
って軸はり7先端側が上がるので、先ず、軸はり7先端
側のばね装置6のクッション座19に車体5下面が当接
し、続いてリンク8側のばね装置6のクッション座19
に車体5下面が当接するので、3段切換のばね定数を有
するばね装置とすることができる。また、リンク8側の
ばね装置6の前記間隙寸法H1を軸はり7先端側のばね
装置6の前記間隙寸法H2よりも大きくした場合も同様
である。
【0016】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の鉄道車両
用台車は、車体下面の左右からそれぞれ吊り下げた垂直
方向のリンクに、レール方向の軸はりを上下方向に回動
可能に結合し、軸はり先端の軸箱と車体下面との間に介
在させるばね装置を、軸箱上部に配置される下部コイル
ばねと、下部コイルばねの上部又は下部の少なくとも一
方に配置される弾性材からなる受座と、下部コイルばね
上部に配置されて下部コイルばね上部を覆う断面ハット
状のばね受と、ばね受に外嵌されてばね受下部のフラン
ジと車体下面との間に配置される下部コイルばねよりも
ばね定数の柔らかい上部コイルばねと、ばね受上面に配
置される弾性材からなるクッション座とで構成し、クッ
ション座上面と車体下面との間に間隙を形成したので、
空車時には、柔らかいばね定数の上部コイルばねにより
輪重抜けに対応できる。車体の荷重増加により上部コイ
ルばねが圧縮されて縮み、車体下面がクッション座に当
接すると、下部コイルばねに直接荷重がかかって、下部
コイルばねのばね定数に変化して硬いばね定数となるか
ら、ばね定数が非線形に変化し、乗り心地を良くするこ
とができる。また、ばね装置を軸箱の前後に1つずつ配
置し、一方のばね装置のクッション座上面の間隙と他方
のばね装置のクッション座上面の間隙とを同一寸法又は
いずれか一方の間隙を他方の間隙よりも大きくすること
により、3段切換の非線形ばね定数を有するばね装置と
することができるとともに、一方のコイルばねが折損し
ても、他方のばね装置で持ちこたえることができ、1組
のばね装置の場合よりも飛躍的に安全性を高めることが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1実施形態例のばね装置の一部断
面図
【図2】 同じく台車の側面図
【図3】 第1実施形態例のばね装置のばね定数のグラ
フ図
【図4】 第2実施形態例のばね装置の一部断面図
【図5】 第2実施形態例のばね装置のばね定数のグラ
フ図
【符号の説明】
1…鉄道車両用台車、2…輪軸、4…軸箱、5…車体、
6…ばね装置、7…軸はり、8…リンク、12,15…
受座、13…下部コイルばね、14…ばね案内、16…
ばね受、17…フランジ、18…上部コイルばね、19
…クッション座、20,21…案内筒
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 福井 康之 愛知県名古屋市熱田区三本松町1番1号 日本車輌製造株式会社内 Fターム(参考) 3J048 AA01 BA02 BA03 BB01 BC02 BC04 BF04 DA01 EA15 EA16

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車体下面の左右からそれぞれ吊り下げた
    垂直方向のリンクに、レール方向の軸はりを上下方向に
    回動可能に結合し、該軸はり先端の軸箱と車体下面との
    間にばね装置を介在させた鉄道車両用台車において、前
    記ばね装置は、前記軸箱上部に配置される下部コイルば
    ねと、該下部コイルばねの上部又は下部の少なくとも一
    方に配置される弾性材からなる受座と、下部コイルばね
    上部に配置されて下部コイルばね上部を覆う断面ハット
    状のばね受と、該ばね受に外嵌されてばね受下部のフラ
    ンジと前記車体下面との間に配置される前記下部コイル
    ばねよりもばね定数の柔らかい上部コイルばねと、前記
    ばね受上面に配置される弾性材からなるクッション座と
    を備え、該クッション座上面と前記車体下面との間に間
    隙を形成していることを特徴とする鉄道車両用台車。
  2. 【請求項2】 前記ばね装置を前記軸箱の前後に1つず
    つ配置し、一方のばね装置のクッション座上面の前記間
    隙と他方のばね装置のクッション座上面の前記間隙とを
    同一寸法又はいずれか一方の間隙を他方の間隙よりも大
    きくしたことを特徴とする請求項1記載の鉄道車両用台
    車。
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