JP2002205153A - B含有鋼のための連続鋳造用パウダーおよびb含有鋼の製造方法 - Google Patents

B含有鋼のための連続鋳造用パウダーおよびb含有鋼の製造方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 連続鋳造鋳片の表面欠陥やブレークアウトな
どの操業上のトラブルを招くことなく、表面性状の優れ
た鋳片を安定して製造するための、連続鋳造用パウダ
ー、およびこのパウダーを用いて連続鋳造し、その後熱
間圧延し、必要に応じて冷間圧延を施してB含有鋼を製
造する方法を提案すること。 【解決手段】CaOとLi2OとがCaO/Li2O比にして1.0〜4.0
となるように調整され、Al2O3を5〜40wt%、Cを1
〜4wt%含有し、さらに、SiO2、Fe2O3、MnO、MgO、B2O
3およびNaのうちのいずれか1種以上を合計で20wt%
以下含有する連続鋳造用パウダーと、このパウダーを用
いて連続鋳造し、B含有鋼を得る方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、B含有鋼のための
連続鋳造用パウダー、特に、鋳造時における溶融パウダ
ーの経時変化、およびパウダーフィルムがガラス質化す
ることによって鋳片の表面欠陥や鋳造操業の不安定化を
防止するために有効な、連続鋳造用パウダーおよびこの
パウダーを用いて連続鋳造した後熱間圧延し、必要に応
じ冷間圧延を施してB含有鋼を製造する方法に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】鋼の連続鋳造に当っては、鋳型と鋳片と
の間の潤滑性を維持し、鋳片の表面性状を良好に保つた
めに、鋳型内に連続鋳造用パウダーを供給して溶融さ
せ、その溶融状態のパウダー(溶融パウダー)を鋳型と
鋳片との間に流入させながら操業を行うことが一般的で
ある。このとき、鋳型と鋳片との間に流入した溶融パウ
ダーは、鋳型と接する側(低温部)では固化してフィル
ムを形成(パウダーフィルム)するが、鋳片と接する側
(高温部)では溶融状態を維持したまま、潤滑性を発揮
する。このような目的の下に使用される連続鋳造用パウ
ダーとしては、従来、CaOおよびSiO2を主成分としてそ
の他に、FやNaを含有するものが使用されている。
【0003】しかしながら、この連続鋳造用パウダーを
用いてB含有鋼(主として、B含有ステンレス鋼)を連
続鋳造しようとした場合には、溶融パウダー中のSiO2
溶鋼中のBと下記(1)式のような化学反応を起こし、溶
融パウダー中のB2O3濃度が上昇し、その分だけSiO2濃度
が低下してしまう。 4[B]+3(SiO2)=2(B2O3)+3[Si] …………………… (1) 式中において; [B]:溶鋼中のB含有量(wt%) (SiO2):パウダー中のSiO2含有量(wt%) (B2O3):パウダー中のB2O3含有量(wt%) [Si]:溶鋼中のSi含有量(wt%)
【0004】上記化学反応の結果、溶融パウダーの融点
および粘度が低下して、連続鋳造時に鋳型と鋳片との間
に溶融パウダーが不均一かつ過剰に流入し、鋳片表面に
深いオッシレーションマークや凹み欠陥を生じさせると
いう問題があった。しかも、溶融パウダー中のB2O3濃度
の上昇は、パウダーフィルムのガラス質化を招き、これ
に伴って、溶融パウダーの過剰流入をさらに助長すると
ともに、パウダーフィルムの熱抵抗の低下を招いて抜熱
量が増大(急冷)し、鋳片表面に縦割れを発生させると
いう問題があった。さらに、これらの問題は、ブレーク
アウトなどの操業上のトラブルにもつながり、生産性を
低下させるという問題にも発展するおそれがあった。
【0005】従来、B含有鋼の連続鋳造における上述し
た問題に対し、これまでにも幾つかの提案がある。例え
ば、特開平2-155547号公報や特開平8-141712号公報に
は、CaOおよびSiO2を主成分とする連続鋳造用パウダー
に、B2O3を5〜30wt%程度を予め添加したり、特開平11
-309548号公報では、CaOおよびAl2O3を主成分とする連
続鋳造用パウダーについて、SiO2濃度を15wt%以下とす
ることにより、上記(1)式の反応を抑制して、操業中に
おける溶融パウダーの融点および粘度の変化を少なくす
る技術を提案している。また、特開平8-309483号公報で
は、連続鋳造用パウダーの融点、鋳造温度、鋳造速度、
オッシレーション条件などを規定することにより、溶融
パウダーの不均一な過剰流入を防止し、もって、鋳片表
面品質および鋳造性の向上を図る技術が示されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
た従来技術は、B含有鋼の鋳片表面品質の劣化や操業ト
ラブルをある程度は改善できたけれども、未だ完全とは
言い難かった。例えば、CaOおよびSiO2を主成分とする
従来の連続鋳造用パウダーでは、予めB2O3を含有させる
ことにより、上記(1)式の反応による溶融パウダーの粘
度および融点の変化を少なくはできても、完全に抑制す
ることはできなかった。さらに、(1)式の平衡値までB2O
3を添加すると、却ってパウダーフィルムのガラス質化
を促進して、強冷却となってしまい、割れの原因となる
という問題があった。一方、CaOおよびAl2O3が主成分で
ある連続鋳造用パウダーでは、上記の問題点については
克服できたが、高融点となるために鋳型内で容易に溶融
せず、連続鋳造用パウダーとしての機能を果たさなくな
るという問題があった。また、上記各従来技術の場合、
そもそも連続鋳造操業中に起こるものであり、その反応
の進行状況をその場で瞬時に判断することは、実際は非
常に難しく、したがって、連続鋳造の操業中に刻々と変
化する連続鋳造用パウダーの融点に対して最適な、鋳造
温度や鋳造速度、オッシレーション条件などを適切に設
定することはもともと困難である。
【0007】本発明の主たる目的は、従来技術が抱えて
いる上述した問題を解決するための技術を提案するもの
であり、連続鋳造鋳片の表面欠陥やブレークアウトなど
の操業上のトラブルを招くことなく、表面性状の優れた
鋳片を鋳造操業の全期間を通じて安定して製造するため
の、B含有鋼の連続鋳造用パウダーおよびこのパウダー
を用いて連続鋳造し、その後熱間圧延し、必要に応じ冷
間圧延してB含有鋼を製造する方法を提供することにあ
る。また、本発明の他の目的は、パウダーの特性値とく
に粘度と融点が連続鋳造操業の全期間にわたりほとんど
変化せず、かつ、パウダーフィルムのガラス質化を防止
できる連続鋳造用パウダーを開発し提案することにあ
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】上掲の目的を実現するた
めに鋭意研究した結果、発明者らは、連続鋳造用パウダ
ーに関して次のような知見を得た。即ち、Bを0.1wt%
以上含有する溶鋼の鋳造性が難しい原因は、溶融パウダ
ー中のSiO2が溶鋼中のBと上記(1)式のように化学反応
を起こし、溶融パウダー中のB2O3濃度を上昇させると同
時にSiO2濃度を低下させ、このことにより、連続鋳造時
に溶融パウダーの融点および粘度が低下し、さらには、
溶融パウダー中のB2O3濃度の上昇を招いてパウダーフィ
ルムのガラス質化を促進し、これらがもとで鋳片の潤滑
および冷却に悪影響を及ぼすためであることがわかっ
た。
【0009】そこで、これらの問題を防止するために発
明者等は、連続鋳造開始から終了までの全期間にわた
り、B含有鋼を連続鋳造するときの溶融パウダーの物性
(融点および粘度)変化と、連続鋳造用パウダーの構成
成分との関係を詳細に観察した。その結果、従来試みら
れたことのないCaO、Li2OおよびFを主成分とするパウ
ダーを使用した際に、とくに良好な鋳造ができ、鋳片の
表面性状も良好になることを見い出した。このような知
見に基づいて完成した本発明の要旨構成は以下のとおり
である。
【0010】即ち、本発明は、Bを0.1wt%以上含有す
る溶鋼のための連続鋳造用パウダーであって、主成分と
して、CaO:20〜40wt%、Li2O:5〜20wt%、および
F:5〜25wt%を含み、かつ、CaOとLi2OとはCaO/Li2O
比にして1.0〜4.0以内となるように調整されており、そ
の他に、溶融パウダー物性値調節成分としてのAl2O3
5〜40wt%、骨材成分としてのCを1〜4wt%含有し、
さらにその他の酸化物としてSiO2、Fe2O3、MnO、MgO、B
2O3およびNaのうちのいずれか1種以上を合計で20wt%
以下含有することを特徴とする、B含有鋼のための連続
鋳造用パウダーである。なお、本発明において、上記の
連続鋳造用パウダーは、融点:950℃〜1200℃、および1
300℃における粘度:0.3poise〜1.3poiseの特性を示す
とともに、溶融パウダーの凝固時に結晶化するものであ
ることが好ましい。
【0011】また、Ni:7〜11wt%、Cr:17〜21
wt%、B:0.1〜2.2wt%を含有しかつ、残部が主としてF
eと不可避的不純物からなるB含有鋼の連続鋳造に当た
り、請求項1または2のいずれかに記載の連続鋳造用パ
ウダーを用いて鋳造し、その後熱間圧延し、必要に応じ
冷間圧延を施すことを特徴とするB含有鋼の製造方法を
提案する。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る連続鋳造用パ
ウダーの構成について説明する。 主成分として、CaO:20〜40wt%、Li2O:5〜20wt
%、F:5〜25wt%を含み、かつCaOとLi2Oとは、CaO/
Li2O比にして1.0〜4.0の範囲内で調整することとした理
由を説明する。始めに、CaOやLi2O、Fの各含有量が上
記の範囲の下限よりも少ないと、パウダーが高融点・高
粘度となって溶融が困難となり、溶融パウダーの流入が
激減して、鋳型と鋳片の間の潤滑に悪影響を及ぼす。一
方、これらの成分の含有量が上記の範囲の上限よりも大
きいと、融点及び粘度が必要以上に低くなって溶融パウ
ダーの流入量が増大し、冷却に悪影響を及ぼして強冷却
となり、その結果、縦割れや凹みの生成につながるから
である。
【0013】また、CaO/Li2Oの比を1.0〜4.0の範囲に
限定した理由は、この比が1.0未満だと、融点及び粘度
が低くなりすぎてしまい、溶融パウダーの流入が増大し
て強冷却となる。その結果、鋳片の縦割れや凹み等の表
面欠陥の生成を招くことになる。一方、この比が4.0を
超えると、パウダーが高融点・高粘度となって溶融が困
難となることで、溶融パウダーの流入が激減し、鋳型と
鋳片の間の潤滑に悪影響を及ぼすようになる。また、Ca
O/Li2Oの比が1.0〜4.0の範囲であれば、溶融パウダー
が凝固する際に、結晶化しやすくなるため、モールドの
メニスカス部における冷却が緩冷却かつ均一冷却とな
る。なお、CaOの供給源はCaCO3やカルシウム・アルミネ
ートなどから、またLi2OやFは、CaF2、LiCO3、LiFなど
の形態で添加してもよい。
【0014】 Al2O3を粘度や融点といった溶融パウ
ダー物性値調節のために、5〜40wt%添加する。このAl
2O3は、上記の範囲外では、高い場合もまた低い場合
も、溶融パウダーが高融点・高粘度となって潤滑に悪影
響を及ぼすことになる。
【0015】 その他、骨材としてCを含有させる。
このC供給源としては炭材を用いるが、その添加量は1
〜4wt%程度とすることが好ましい。その理由は、1wt
%よりも少ないとパウダーの溶融が速くなりすぎて、流
入過多となり強冷却を引き起こす。一方、4wt%を超え
ると、パウダーの溶融が遅くなりすぎるとともに、鋳片
への浸炭が起こってしまう。 その他、酸化物として、SiO2、Fe2O3、MnO、MgO、B
2O3およびNaのいずれか1種以上を、合計で20wt%以下
含有してもよい。これらのうち、SiO2、Fe2O3、MnO、Mg
Oは、原料から混入するものであり、粘度、融点に大き
な影響を与えない範囲内(≦15wt%)に制限する。B2O3
およびNaは、粘度、融点の調整のために添加し、Naは、
Na2O、Na2CO3、NaF等の形態で添加され、そしてSiO2、F
e2O3、MnOは、溶鋼中に含まれるBと反応する元素であ
るため、それぞれ4wt%以下含有させることが好まし
い。B2O3は上述したように、溶融パウダーのガラス化を
促進する元素であることから、5wt%を上限として含有
してもよい。
【0016】上述した本発明に適合する溶融パウダー
は、物性値として融点:950℃〜1200℃、1300℃におけ
る粘度:0.3〜1.3poiseの特性を示すように、上記組成
の範囲内で調整することが好ましい。上記物性値のう
ち、融点を950〜1200℃に調整する理由は、1200℃より
も高くなるとパウダーの溶融が困難なため、パウダー流
入が過少となり、鋳型と鋳片間の潤滑に悪影響を及ぼす
ためであり、一方950℃よりも低くなると、逆に流入過
多となって冷却が強くなりすぎ、縦割れた凹みの生成に
つながるからである。また、1300℃における粘度を0.3
〜1.3poiseに調整する理由は、1.3poiseよりも高くなる
と,溶融パウダーの流動が悪化して流入が過少となり、
鋳型と鋳片間の潤滑に悪影響を及ぼすためであり、一方
0.3poiseよりも低くなると、逆に流入過多となって冷却
が強くなりすぎ、縦割れや凹みの生成につながるために
限定される。
【0017】なお、溶融パウダーが鋳型表面と凝固シェ
ルとの間に流入して凝固するときに、このパウダーがガ
ラス化すると、メニスカス部での鋳片の冷却が強くなり
すぎるとともに不均一となり易く、鋳片表面に凹みや割
れを生じる。そのため、溶融パウダーが鋳型と凝固シェ
ルの間に流入し凝固する際に、結晶化するように調節す
ることが重要になる。即ち、鋳型表面と凝固シェルとの
間に流入し凝固したパウダーが結晶化すると、ガラス質
化した場合に比べて緩冷却でかつ均一冷却となる。この
理由は、パウダーがガラス質だと、鋳型面と接する凝固
パウダーの接触が良い部分と悪い部分との差が大きくな
り、凝固シェルの成長が不均一となり易い。これは、鋳
造中の高温状態では、ガラスが変形しやすく鋳型と接触
したり解離したりするためと考えられる。さらに、ガラ
ス質の場合、輻射による伝熱が大きくなるため、結晶質
に比べて強冷却となり易いからである。これに対し、結
晶化したパウダーは、鋳型とより均一に接触するため、
凝固シェルの成長が均一となる。
【0018】本発明に係る上述した連続鋳造用パウダー
は、B含有溶鋼と上記(1)式のような化学反応を起こさ
ないので、連続鋳造操業の全期間を通して組成変化が無
く、終始、適正なパウダー物性値を保持できるという特
徴がある。
【0019】次に、本発明は、上述した構成にかかる連
続鋳造用パウダーを用い、特に、Ni:7〜11wt%、Cr:
17〜21wt%、B:0.1〜2.2wt%を含有しかつ、残部がFe
と不可避的不純物からなるB含有鋼、例えば使用済み核
燃料貯蔵用ラックに用いられているB含有ステンレス鋼
を製造する際に、とくに連続鋳造に当たって使用するこ
とが好適である。もちろん、これ以外にBを0.1〜2.2wt
%程度含有し残部が主としてFeからなるB含有鋼の連続
鋳造に適用しても、十分にその効果を発揮するので、上
記用途の鋼のみに適用すべきものではない。
【0020】
【実施例】異なる組成および物性を有する連続鋳造用パ
ウダーを用い、種々の鋳造条件で連続鋳造実験を行っ
た。さらに、連続鋳造スラブの表面を研削し、熱間圧
延、場合によっては冷間圧延を施し、厚み1〜70mmの
様々な板厚の製品を製造した。表1に溶鋼の成分組成と
連続鋳造用パウダー成分組成を示す。なお、表中の酸化
物成分の合計は、90.1〜99.7%となっているが、残部は
原料から混入してくるFe 2O3、MnO、MgOである。また、
表2および図1に、連続鋳造前後のパウダー物性値およ
び実験における鋳造結果と表面欠陥除去のための手入れ
歩留を併記した。そして、図1はこの実験におけるパウ
ダー特性についての発明例と比較例とを対比したもので
ある。なお、成分分析は、すべて化学分析によって行っ
た。この実験において、粘度は共軸2重回転円筒法によ
り1300℃における粘度を測定した値である。融点は共軸
2重回転円筒法により各温度で粘度の測定を繰り返し、
アレニウス型の温度依存性から大きく逸脱する点を、融
点とした。
【0021】
【表1】
【0022】
【表2】
【0023】上掲の表に示した結果から明らかなよう
に、比較例1〜7は、CaOおよびSiO2が主成分である従
来の連続鋳造用パウダー、またはCaOおよびSiO2を主成
分とし、その他にB2O3を含有する従来の連続鋳造用パウ
ダーを使用した場合である。これらは、操業中における
(1)式の反応による溶融パウダーの粘度および融点の変
化を完全に抑制することができなかった。とくに比較例
1、5は、パウダー物性値が本発明の適合範囲から大き
く外れており、結果として鋳片の手入れ歩留が低下し
た。比較例4、3、6は、操業中に溶融パウダーの粘度
および融点の変化により、パウダー物性値が本発明の適
合範囲にはあるが、全期間に亘って適正なパウダー物性
値を保持できず、手入れ歩留が低下した例である。ま
た、比較例7は、CaOおよびSiO2が主成分でありB2O3を含
有した従来の連続鋳造用パウダーを使用したにも拘わら
ず、溶融パウダーの粘度および融点の変化をほぼ抑制で
きた例であるが、1300℃における粘度が高すぎるため、
潤滑不良によりブレークアウトを起こしてしまった。比
較例2は、過度に低融点となりすぎたため、極端な不均
一流入となり、鋼の凝固が遅れた部分からブレークアウ
トを起こし、鋳造中止となった。このように、従来の連
続鋳造用パウダーでは、鋳造中における溶融パウダーの
粘度・融点の変化の程度が予測できず、溶融パウダーの
流入量を適正に制御することが非常に難しいことが判明
した。
【0024】これに対し、本発明に係るパウダーを使用
し連続鋳造し、B含有鋼を製造した場合は、溶融パウダ
ーの粘度および融点の変化をほぼ完全に抑制できてお
り、表2に示す通り、鋳片の手入れ歩留も98%以上で良
好であった。これは、鋳造中、本発明に適合するパウダ
ー物性を終始維持できたため、スラブ表面に凹みや縦割
れ等の欠陥が無く、極めて良好な表面性状であったため
である。
【0025】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
B含有鋼の連続鋳造における溶融パウダー中のB2O3の上
昇、SiO2の低下による溶融パウダーの融点および粘度の
変動をほぼ完全に防止できると共に、パウダーフィルム
のガラス質化が防止できるようになるから、溶融パウダ
ーの流入量を適正に制御することが可能になり、該パウ
ダーの過剰流入および流入不足を完全に防止することが
できる。そのため、連続鋳造に当たっては、溶融パウダ
ーの変質による鋳片表面欠陥の発生を防止して、手入れ
歩留を向上させることができる他、溶融パウダーの潤滑
不良によるブレークアウト等の操業トラブルを防止する
ことができるようになり、B含有鋼を有利に製造するこ
とができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】B含有鋼の連続鋳造を行った場合の鋳造後パウ
ダー物性値と鋳片の手入れ歩留との間の関係を示した図
である。図中の矢印は、鋳造操業中のパウダー組成変化
に伴う物性値変化を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 水野 建次 神奈川県川崎市川崎区小島町4番2号 日 本冶金工業株式会社川崎製造所内 (72)発明者 本郷 敦哉 神奈川県川崎市川崎区小島町4番2号 日 本冶金工業株式会社川崎製造所内 Fターム(参考) 4E004 MB14 NB01 NC01

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】Bを0.1wt%以上含有する溶鋼のための連
    続鋳造用パウダーであって、主成分として、CaO:20
    〜40wt%、Li2O:5〜20wt%、およびF:5〜25
    wt%を含み、かつ、CaOとLi2OとはCaO/Li2O比にして1.
    0〜4.0となるように調整されており、その他に、溶融パ
    ウダー物性値調節成分としてのAl2O3を5〜40wt%を
    含有し、骨材成分としてのCを1〜4wt%含有し、さら
    にその他の酸化物として、SiO2、Fe2O3、MnO、MgO、B2O
    3およびNaのうちのいずれか1種以上を合計で20wt%
    以下含有することを特徴とする、B含有鋼のための連続
    鋳造用パウダー。
  2. 【請求項2】請求項1に記載の連続鋳造用パウダーは、
    融点:950℃〜1200℃、および1300℃における粘度:0.3
    poise〜1.3poiseの特性を示すとともに、溶融パウダー
    の凝固時に結晶化するものであることを特徴とするB含
    有鋼のための連続鋳造用パウダー。
  3. 【請求項3】Ni:7〜11wt%、Cr:17〜21wt%、
    B:0.1〜2.2wt%を含有しかつ、残部が主としてFeと不
    可避的不純物からなるB含有鋼の連続鋳造に当たり、請
    求項1または2のいずれかに記載の連続鋳造用パウダー
    を用いて鋳造し、その後熱間圧延しまたはさらに冷間圧
    延を施すことを特徴とするB含有鋼の製造方法。
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