JP2002202554A - カメラの駆動切換機構 - Google Patents

カメラの駆動切換機構

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JP2002202554A
JP2002202554A JP2000399109A JP2000399109A JP2002202554A JP 2002202554 A JP2002202554 A JP 2002202554A JP 2000399109 A JP2000399109 A JP 2000399109A JP 2000399109 A JP2000399109 A JP 2000399109A JP 2002202554 A JP2002202554 A JP 2002202554A
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switching
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Yoshihiro Yokomae
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Abstract

(57)【要約】 【課題】効率的な部材配置により広い配置の自由度を得
るカメラの駆動切換機構を提供する。 【解決手段】カメラ1の駆動切換機構において、正逆回
転可能なモータ50と、正面側から見て撮影レンズ鏡筒
17の光軸より一方の側に配置されモータの駆動力を第
1の被駆動機構に伝達する第1の位置と第2の被駆動機
構に伝達する第2の位置との間で切り換え移動する遊星
歯車を備えた遊星歯車機構と、遊星歯車が第1の位置又
は第2の位置にある状態に維持するようにその公転軌跡
内に侵入して公転を規制する規制位置と遊星歯車が第1
の位置と第2の位置とに選択的に切り換え自在な状態と
なるように公転軌跡外へ退避して公転を可能にする退避
位置とに移動する係止部材77と、カメラの正面側から
見て撮影レンズ鏡筒の光軸より他方の側に配置され係止
部材を規制位置と退避位置とに選択的に移動させる切換
アクチュエータ76とを具備して構成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、カメラの駆動切
換機構、詳しくは撮影レンズ鏡筒・ファインダ装置・閃
光発光装置等と、フイルム給送機構とを単一の駆動源に
よって駆動させるようにしたカメラにおいて、駆動力伝
達経路の切り換えを行なうカメラの駆動切換機構に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、写真撮影等を行なうカメラ等
(以下、単にカメラという)においては、携帯時等の不
使用時には撮影レンズ光学系を保持する回転枠等からな
る撮影レンズ鏡筒をカメラ本体内部の所定の位置に収納
し、撮影動作時には当該撮影レンズ鏡筒をカメラ本体内
部から撮影レンズ光学系の光軸に沿う方向へと繰り出し
て撮影準備状態となる所定の位置に突出させ、さらに撮
影レンズ光学系の変倍動作のために当該撮影レンズ鏡筒
を所定の範囲内で移動させるように構成したいわゆる沈
胴式のズームレンズ鏡筒を備えたものが一般的に実用化
されている。
【0003】このような従来の沈胴式ズームレンズ鏡筒
を備えたカメラ(以下、沈胴式ズームカメラという)に
おいては、撮影レンズ鏡筒が沈胴位置から撮影準備位置
へと繰り出されるときに、これに連動させてカメラ本体
に内蔵される閃光発光装置をカメラ本体内部の収納位置
から突出させるようにしたものがある。
【0004】また、従来の沈胴式ズームカメラにおいて
は、撮影準備状態にあるとき、即ち撮影レンズ光学系の
変倍動作を実行し得る状態にあるときに、所定の操作を
行なうことによって変倍動作を実行させると、これに応
じてファインダ装置のファインダ光学系が連動して駆動
され、設定される撮影レンズ光学系の焦点距離に応じた
画角を観察し得る位置にファインダ光学系を設定するよ
うにしたいわゆるズームファインダ方式のファインダ装
置についても一般的に実用化されている。
【0005】このように、従来の沈胴式ズームカメラに
おいては、不使用時の状態である沈胴位置から撮影準備
状態の端点となる最短焦点距離位置へと撮影レンズ鏡筒
を移動させる際には、これに連動させて閃光発光装置を
駆動して収納位置から突出位置へと移動させると共に、
撮影準備状態にあるときに、所定の変倍動作を実行した
ときには、撮影レンズ光学系の最短焦点距離位置と設定
し得る最長焦点距離位置との間の範囲内で自在に撮影レ
ンズ鏡筒を移動させるのに連動させてファインダ装置の
ファインダ光学系を駆動して、これを撮影レンズ光学系
の焦点距離に応じた所定の位置に移動させるようになっ
ている。
【0006】また、閃光発光装置については、所定のと
きに閃光発光装置を突出位置まで移動させるための突没
機構を備えたいわゆる閃光発光装置突没方式(ストロボ
ポップアップ方式)の上述のもの以外にも、例えば撮影
レンズ光学系のズーム動作に連動させて、撮影レンズ光
学系の画角に応じた照射角度となるように閃光発光装置
を駆動するように構成したものも一般的に実用化されて
いる。
【0007】そして、これらの構成部材、即ち撮影レン
ズ鏡筒とファインダ装置と閃光発光装置等の複数の駆動
ユニットを単一のモータ等の駆動源により生じる駆動力
によって、所定のときにそれぞれの駆動ユニットを確実
に駆動させるための駆動力伝達装置については、従来よ
り種々の提案がなされ、また実用化されている。
【0008】一方、従来の写真撮影等を行なうためのカ
メラ等においては、カメラ内部に配設されるロール状フ
イルムの巻上動作や巻戻動作等(フイルム給送動作とい
う)を行なう際にも、上述の単一のモータを利用するよ
うにしたいわゆるフイルム自動給送機構を備えたものが
一般的に普及している。
【0009】そのために、上述のような形態の従来のカ
メラにおいては、モータからの駆動力を撮影レンズ鏡筒
やファインダ装置・閃光発光装置等の各構成ユニットへ
と伝達する駆動力伝達経路とは別に、フイルム給送動作
を行なうための駆動力伝達経路を形成するようにし、各
構成ユニットへの駆動力伝達経路とフイルム給送動作の
ための駆動力伝達経路とを必要に応じて切り換えられる
ように構成する駆動切換機構が配設されているのが普通
である。
【0010】例えば、特開平7−175116号公報に
よって開示されているカメラは、所定の駆動ユニットと
フイルム給送機構とを単一のモータからの駆動力によっ
て選択的に駆動させるように構成したものであって、モ
ータから駆動ユニットへの駆動力伝達経路と、モータか
らフイルム給送機構への駆動力伝達経路とを切り換える
切換手段としては、遊星歯車機構と切換プランジャ装置
等を用いて構成されている。
【0011】当該カメラにおいては、遊星ギアーを有す
るキャリア部材を回動させることで、この遊星ギアーが
撮影レンズ鏡筒への駆動力伝達経路となるズームギアー
又は巻上手段への駆動力伝達経路となる巻上用太陽ギア
ーのいずれか一方に選択的に噛合させるために、切換プ
ランジャ装置等の切換手段を備えて構成している。
【0012】この場合において、切換プランジャ装置等
は、プランジャ鉄芯とカメラ本体側の所定の固定部材と
の間にキャリア部材を挟持することでキャリア部材自体
が回動することを規制して、駆動力伝達経路が不用意に
切り換えられないようにしている。
【0013】そして、切換プランジャ装置は、駆動力伝
達経路の切り換えを行なうための駆動切換機構を構成す
る各構成部材の近傍に配置するようにしている。つま
り、切換プランジャ装置と、この切換プランジャ装置に
よって駆動される被駆動部材とを近接させて配置するよ
うにしている。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】通常の場合、切換プラ
ンジャ装置は、駆動切換機構の構成部材に比べて比較的
大型の構成部材となるのが普通である。また、切換プラ
ンジャ装置によって駆動切換機構を駆動させるために
は、プランジャ鉄芯を移動させる必要があるが、このプ
ランジャ鉄芯の移動すべき空間を予め確保しておく必要
もある。
【0015】一方、近年における小型カメラ等は、増々
小型化される傾向にある。このようなカメラの小型化設
計のためには、カメラの内部空間における各種構成部材
の配置をより効率的に行なう必要がある。
【0016】ところが、上記特開平7−175116号
公報によって開示される手段にみられるように、比較的
大型の構成物であって、プランジャ鉄芯等の移動する部
材を有する切換プランジャ装置等を駆動切換機構の近傍
に配置することは、他の構成部材の配置の自由度を制限
してしまうという問題にもなり得る。そして、このよう
に部材配置の自由度に制限がある場合には、駆動機構に
おける駆動伝達経路が複雑なものになってしまうという
ことも考えられる。
【0017】本発明は、上述した点に鑑みてなされたも
のであって、その目的とするところは、切換プランジャ
装置を利用して駆動力伝達経路の駆動方向を切り換える
ようにしたカメラの駆動切換機構において、切換プラン
ジャ装置により駆動される駆動切換機構と切換プランジ
ャ装置との配置を工夫して、より効率的な部材配置を実
現し、よって駆動切換機構を構成する構成部材の配置の
より広い自由度を得るようにすると共に、機構自体の複
雑化を防ぎ、同時にカメラの小型化にも寄与し得るカメ
ラの駆動切換機構を提供することである。
【0018】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、第1の発明によるカメラの駆動切換機構は、カメラ
の底面側に配設される駆動力伝達装置内に設けられたカ
メラの駆動切換機構において、正逆回転可能なモータ
と、カメラの正面側から見て撮影レンズ鏡筒の光軸より
一方の側に配置され、上記モータの駆動力を第1の被駆
動機構に伝達する第1の位置と第2の被駆動機構に伝達
する第2の位置との間で太陽歯車の周りを公転すること
で切り換え移動する遊星歯車を備えた遊星歯車機構と、
上記モータにより駆動される上記遊星歯車機構の遊星歯
車を上記第1の位置又は上記第2の位置にある状態に維
持するように上記遊星歯車の公転軌跡内に侵入して上記
遊星歯車の公転を規制する規制位置と、上記遊星歯車機
構の遊星歯車が上記第1の位置と上記第2の位置とに選
択的に切り換え自在な状態となるように上記遊星歯車の
公転軌跡外へと退避して上記遊星歯車の公転を可能にす
る退避位置とに移動する係止部材と、カメラの正面側か
ら見て撮影レンズ鏡筒の光軸より他方の側に配置され、
上記係止部材を上記規制位置と上記退避位置とに選択的
に移動させる切換アクチュエータとを具備することを特
徴とする。
【0019】また、第2の発明は、上記第1の発明によ
るカメラの駆動切換機構において、上記係止部材は、カ
メラの正面側から見て上記撮影レンズ鏡筒の光軸より他
方の側から一方の側へと上記撮影レンズ鏡筒の下側を跨
がるようにして配置されていることを特徴とする。
【0020】そして、第3の発明は、上記第1の発明に
よるカメラの駆動切換機構において、上記切換アクチュ
エータは、カメラの正面側から見て上記撮影レンズ鏡筒
とカメラの底面とフイルムカートリッジ収納室又はフイ
ルム巻取室との間に形成される略三角状の空間に配置さ
れていることを特徴とする。
【0021】
【発明の実施の形態】以下、図示の実施の形態によって
本発明を説明する。図1は、本発明の第1の実施形態の
駆動切換機構を備えたカメラの概略を示す外観斜視図で
ある。この図1は、カメラの正面側から見た場合を示し
ており、本カメラのスライドバリア部材が開状態とされ
て、当該カメラが撮影準備状態にあり、撮影レンズ鏡筒
は最短焦点距離位置に設定されている場合を示してい
る。
【0022】本実施形態における駆動切換機構を備えた
カメラ1は、写真撮影用フイルムを内部に配設して写真
撮影等を行なう小型カメラ、いわゆるコンパクトカメラ
である。そして、このカメラ1の駆動切換機構は、正転
及び逆転の駆動力を発生させる単一の駆動源からの駆動
力を撮影レンズ鏡筒とファインダ装置と閃光発光装置等
の複数の駆動ユニットへと伝達する駆動力伝達経路(第
1の被駆動機構)と同駆動源からの駆動力をフイルム給
送動作を行なうための駆動ユニットへと伝達する駆動力
伝達経路(第2の被駆動機構)とのいずれか一方を選択
的に切り換えて、所定の被駆動機構を駆動するようにす
るものである。
【0023】まず、本実施形態のカメラの駆動切換機構
を説明する前に、当該駆動切換機構が適用されるカメラ
1について、以下に説明する。
【0024】本カメラ1は、図1に示す通りカメラ1の
前面側を覆う前カバー11と、この前カバー11に対し
て摺動自在に配設されるスライドバリア部材14と、カ
メラ1の後半部の両側面及び上面・底面側を覆う後カバ
ー12と、カメラ1の一端側を基軸として開閉自在に配
設され、写真撮影用フイルムを収納するフイルム巻取室
32及びフイルムカートリッジを収納するフイルムカー
トリッジ収納室33等(図1では図示せず。図2参照)
を覆う後蓋13と、カメラ1の一端寄りの所定の位置に
設けられる電池室(図示せず)を開閉自在とするための
電池室蓋15等の外装部材によって形成されている。
【0025】このカメラ1の外装面上には、内部に配設
される各種の構成部材の一部が配置されている。即ち、
本カメラ1の前面側の略中央部近傍には、撮影レンズ光
学系17aを保持する回転枠等からなる撮影レンズ鏡筒
17が配設されている。この撮影レンズ鏡筒17は、カ
メラ1に対して回転自在に設けられ、撮影レンズ光学系
17aの光軸周りに回動することによって、その光軸に
沿う方向に移動して、撮影レンズ光学系17aの焦点距
離を可変とするいわゆるズームレンズ鏡筒である。
【0026】この撮影レンズ鏡筒17の近傍には、上側
寄りの所定の位置にファインダ装置の一部を構成するフ
ァインダ対物窓18と、被写体像を含む撮影範囲内近傍
の露出測定を行なう測光装置の一部を構成する測光窓1
9と、本カメラ1から所望の被写体像、例えば撮影画面
の略中央部近傍の所定の位置にある被写体までの距離を
測定する測距装置の一部を構成する測距窓20と、撮影
動作が行われるときの本カメラ1の周囲環境が暗い時等
において測距動作が不確実となることが予想されるとき
に補助的な照明光を被写体に向けて照射するAF補助光
発光装置の一部を構成するAF補助光発光部21と、撮
影動作を操作時点から遅らせて実行させるようにするい
わゆるセルフタイマー撮影モード時において、そのセル
フタイマー撮影動作の実行中であることを表示するセル
フタイマーシグナル22と、遠隔操作装置(いわゆるリ
モートコントロール装置;図示せず)から送信される所
定の指示信号を受信するリモコン受光部23等が配設さ
れている。
【0027】また、本カメラ1の上面側には、一端部寄
りの所定の位置に、二段スイッチからなり一段目の押圧
操作によって測光動作及び測距動作等を実行させると共
に、二段目の押圧操作によって露出動作を実行させるた
めのスイッチに連動する操作部材であるシャッターボタ
ン28と、本カメラ1が撮影準備状態にあるときに、撮
影レンズ鏡筒17を撮影レンズ光学系17aの光軸に沿
う方向に移動させて、撮影レンズ光学系17aの焦点距
離を所定の範囲内において自在に変更するための焦点距
離切換操作部材(ズームレバー部材)29と、本カメラ
1における各種の情報、即ち撮影モード情報や日時情報
・撮影枚数情報・露出情報等を文字等の形態で表示する
液晶ディスプレイ(LCD)等からなる液晶表示部27
と、この液晶表示部27に表示され、所望する撮影モー
ド等を選択し設定するための操作を行なう撮影モード切
換操作部材30等が配設されている。
【0028】一方、本カメラ1の上面側の他端部寄りの
所定の位置には、カメラの周囲環境が暗い場合等に、適
正な露出を得るための照明光を被写体に向けて照射する
閃光発光装置16が配設されている。この閃光発光装置
16は、内部に閃光発光部(図示せず)を有し前面に発
光窓16bを備え、カメラ1に対して突没自在に構成さ
れる発光部ケース16a等によって構成されるいわゆる
ポップアップ式の閃光発光装置である。
【0029】他方、本カメラ1の一方の側面には、上述
の後蓋13の閉状態を保持する一方、所定の操作(例え
ば摺動操作)を行なうことにより後蓋13の閉状態を解
除して開状態とするための操作部材である後蓋開閉ツマ
ミ24と、後蓋13及び電池室蓋15の回動軸となる蝶
番25等が設けられている。
【0030】また、本カメラ1の背面側には、略中央部
の上方寄りの所定の位置にファインダ装置の一部を構成
するファインダ接眼部26aが配設されており、このフ
ァインダ接眼部26aの近傍には、当該ファインダ装置
のファインダ光学系の一部を移動させて観察視度の調整
を行なう視度調整部材31等が配設されている。
【0031】なお、スライドバリア部材14は、カメラ
1の前面側に配設される各構成ユニット、即ち撮影レン
ズ鏡筒17(撮影レンズ光学系17a)・ファインダ対
物窓18・測光窓19・測距窓20・AF補助光発光部
21・セルフタイマーシグナル22・リモコン受光部2
3等の前面を覆う位置と、これらの構成ユニットを露呈
させる位置とに摺動自在に配設されている。また、当該
スライドバリア部材14は、本カメラ1の電源スイッチ
部材(図示せず)に連動しており、スライドバリア部材
14を開状態(図1に示す状態)とすることで、本カメ
ラ1の主電源(図示せず)がオン状態となるように構成
されている。
【0032】次に、本実施形態のカメラ1における駆動
切換機構を含む駆動力伝達装置の詳細を、以下に説明す
る。図2・図3・図4は、本実施形態のカメラの駆動力
伝達装置の一部を示し、この駆動力伝達装置を備えたカ
メラの内部を正面側から見た際のようすを拡大して示す
要部拡大図である。
【0033】なお、図2に示す状態は、本カメラ1の撮
影レンズ鏡筒17が沈胴位置にある沈胴状態を示してい
る。この状態では、本カメラ1の電源状態はオフ状態に
あって、撮影レンズ鏡筒17は沈胴位置にあり、閃光発
光装置16はカメラ1の内部に収納された収納位置にあ
る。
【0034】また、図3は、本カメラ1が撮影準備状態
にあって撮影レンズ鏡筒17が最短焦点距離位置(ワイ
ド位置)にあるワイド(Wide)状態を示している。
この状態は、図2に示す状態から撮影レンズ鏡筒17及
び閃光発光装置16が駆動され、撮影レンズ鏡筒17が
図2の沈胴位置から最短焦点距離位置に移動し、閃光発
光装置16が図2の収納位置から突出位置に移動した状
態である。
【0035】そして、図4は、本カメラ1の撮影レンズ
鏡筒17が最長焦点距離位置(テレ位置)にあるテレ
(Tele)状態を示している。この状態は、図3に示
す状態からさらに撮影レンズ鏡筒17及びファインダ装
置26が駆動され、撮影レンズ鏡筒17が図3の最短焦
点距離位置から最長焦点距離位置に移動し、これに連動
してファインダ装置26のファインダ光学系も撮影レン
ズ鏡筒17に応じた所定の位置に移動している。閃光発
光装置16は、図3の突出位置が維持されている。
【0036】本実施形態のカメラ1における駆動力伝達
装置は、正転及び逆転の駆動力を発生させ得る単一の駆
動源であるモータ50から発生される駆動力によって撮
影レンズ鏡筒17・閃光発光装置16・ファインダ装置
26の各構成ユニットを駆動すると共に、後述するよう
に同モータ50の駆動力を用いてフイルムの巻上動作及
び巻戻動作をも行なうようにしている。
【0037】図2〜図4においては、モータ50からの
駆動力によってフイルムの巻上動作及び巻戻動作を行な
うための駆動力伝達経路(第2の被駆動機構)を構成す
る各構成部材については、図面の煩雑化を避けるため
に、その図示を省略している。これらの構成部材の詳細
な構成については、後述する図8〜図12によって説明
する。ただし、カメラ1の底面側に配設される駆動切換
機構を構成する変位可動部材であるプランジャ鉄芯76
aを備えた切換アクチュエータである切換プランジャ装
置76と、この切換プランジャ装置76によって駆動さ
れるレバー部材である切換レバー77については、図2
〜図4においても図示している。この切換プランジャ装
置76と切換レバー77等は、モータ50からの駆動力
の伝達経路を切り換える駆動切換機構である駆動力伝達
経路切換手段95の一部を構成するものである(詳細は
後述する。図8〜図12参照)。
【0038】図2に示すように、カメラ1の内部におい
て、一方の端部にはフイルム巻取室32が形成され、他
方の端部にはフイルムカートリッジ収納室33が形成さ
れている。フイルムカートリッジ収納室33には、ロー
ル状の写真撮影用フイルムが巻回されて収納されている
フイルムカートリッジ(図示せず)が収納されるように
なっている。このフイルムカートリッジ内には、スプー
ル軸が回動自在に配設されていて、このスプール軸にロ
ール状フイルムが巻回されている。
【0039】フイルムカートリッジ収納室33の底面部
には、巻戻軸35が回動自在に軸支されている。この巻
戻軸35には、フイルムカートリッジ収納室33の内部
に収納されるフイルムカートリッジのスプール軸が係合
するようになっている。
【0040】そして、巻戻軸35には、底面寄りの端部
に巻戻ギアー部35aが一体に形成されている。この巻
戻ギアー部35aには、モータ50からの駆動力を伝達
する歯車列等の第2の被駆動機構(詳細は後述する。図
8〜図12参照)が連結されている。したがって、モー
タ50からの駆動力は、必要に応じて、つまりフイルム
巻戻動作が実行されるときには、所定の歯車列等を介し
て巻戻ギアー部35aへと伝達されるようになってい
る。そして、巻戻ギアー部35aが所定の方向に回転す
ると巻戻軸35も同方向へと回転し、これに係合するフ
イルムカートリッジのスプール軸を所定の巻き戻し方向
へと回転させるようになっている。
【0041】なお、フイルムカートリッジ収納室33の
中心位置は、巻戻軸35の回転中心に略一致するように
設定されている(図2の符号B参照)。
【0042】フイルム巻取室32の内部には、フイルム
カートリッジ収納室33に収納されたフイルムカートリ
ッジの内部から引き出されるロール状フイルムを巻回し
収納する巻取スプール34が回動自在に配設されてい
る。この巻取スプール34は、中空の筒形状の部材によ
り形成されていて、内部にはモータ50が固設されてい
る。したがって、モータ50の回転軸は、巻取スプール
34の回転中心に略一致するように配設されている(図
2の符号A参照)。
【0043】なお、カメラ1の底面部には、薄板部材か
らなる地板36が当該カメラ1の底面を覆うように配設
されている。
【0044】モータ50の回転軸の端部には、ピニオン
ギアー50aが固設されている。このピニオンギアー5
0aは、モータ50の駆動力を各構成ユニットへと伝達
する伝達歯車列の一部を構成するギアー列51(詳細は
後述する)を介してZギアー52に連結されている。Z
ギアー52は、平ギアー部52a及び斜歯ギアー部52
bとによって形成されていて、平ギアー部52aにはギ
アー列51の終端が噛合する。斜歯ギアー部52bに
は、小径の斜歯ギアー53が噛合している。この斜歯ギ
アー53の同軸上には、当該斜歯ギアー53よりも若干
大径の平ギアー54が一体的に固設されている。この斜
歯ギアー53及び平ギアー54は、カメラ1の固定部材
(図示せず)に対して回動自在に配設されている。な
お、上述のギアー列51から平ギアー54までの歯車列
を伝達歯車列というものとする。
【0045】平ギアー54には、モータ50からの駆動
力を撮影レンズ鏡筒17の側へと伝達する駆動歯車であ
る撮影レンズ鏡筒駆動歯車55と、モータ50からの駆
動力を閃光発光装置16の側及びファインダ装置26の
側へと伝達する位相連結歯車56とがそれぞれ噛合して
いる。
【0046】したがって、平ギアー54は、モータ50
からの駆動力を分割し、撮影レンズ鏡筒17の側と閃光
発光装置16の側及びファインダ装置26の側へと伝達
する役目をしている。
【0047】ここで、各構成ユニットに対して駆動力が
伝達される際の各駆動力伝達経路毎に、当該駆動力伝達
装置の構成を説明する。まず、平ギアー54から撮影レ
ンズ鏡筒17の側へと伝達される駆動力伝達経路につい
て説明する。
【0048】撮影レンズ鏡筒17の後端部近傍には、外
周側の一部にギアー部17bが形成されている。撮影レ
ンズ鏡筒17は、所定の範囲内で回動することによっ
て、撮影レンズ光学系17aの光軸に沿う方向に突没自
在に配設されている。そのために、当該ギアー部17b
には、撮影レンズ鏡筒駆動歯車55が噛合している。こ
の撮影レンズ鏡筒駆動歯車55は、カメラ1の固定部材
(図示せず)に対して回動自在に配設されており、撮影
レンズ鏡筒17が撮影レンズ光学系17aの光軸に沿う
方向に移動した場合にも、撮影レンズ鏡筒17のギアー
部17bと当該撮影レンズ鏡筒駆動歯車55との噛合を
常に確保し得るように長軸状に形成されている。そし
て、上述したように、この撮影レンズ鏡筒駆動歯車55
は、平ギアー54に噛合しているので、モータ50から
の駆動力を撮影レンズ鏡筒17へと伝達する役目をして
いる。
【0049】なお、ギアー部17bは、撮影レンズ鏡筒
17の撮影レンズ光学系17aが沈胴位置から最短焦点
距離位置を経て最長焦点距離位置となるまでの範囲内を
移動し得るだけの範囲で形成されている。即ち、図2〜
図4において示す符号C〜符号Tの範囲内でのみ回動す
るようになっている。ここで、符号Cは沈胴位置、符号
Wは最短焦点距離位置、符号Tは最長焦点距離位置に対
応するギアー部17bの位置を示している。
【0050】次に、平ギアー54からファインダ装置2
6の側へと伝達される駆動力伝達経路について説明す
る。
【0051】撮影レンズ鏡筒17の基端部近傍であって
外周面上の光軸周りには、リングギアー57が配設され
ている。このリングギアー57は、外周側に歯車部を備
え、撮影レンズ光学系17aの光軸周りに回動自在に配
設されており、環形状のファインダ装置駆動歯車であり
ギアーリング部材である。そして、回動することによっ
てファインダ装置26の内部に配設されるファインダ光
学系を変倍駆動させるために設けられているものであ
る。
【0052】つまり、このリングギアー57は、位相連
結歯車56に噛合しているのと同時に、ファインダ装置
26の近傍に配置される固定歯車71にも噛合してい
る。この固定歯車71は、ファインダ装置26の近傍に
おけるカメラ1の固定部材(図示せず)に対して回動自
在に配設されているものである。
【0053】固定歯車71は、ファインダ装置26の内
部の固定部材(図示せず)に回動自在に配設される二段
ギアー72の大ギアー72bに噛合しており、この二段
ギアー72の小ギアー72aは、ファインダ装置26の
内部において回動自在に配設されるファインダカムギア
ー73に噛合している。このファインダカムギアー73
には、所定のカム手段(図示せず)が形成されていて、
ファインダ装置26の内部に配設される複数のファイン
ダ光学系の一部を駆動し、必要に応じて所定の方向(当
該ファインダ光学系の光軸に沿う方向)に所定量だけ移
動させることができるようになっている。このようにし
て、平ギアー54を回動させるモータ50からの駆動力
は、リングギアー57・固定歯車71を介してファイン
ダ装置26へと伝達され、当該ファインダ装置26にお
いて、二段ギアー72・ファインダカムギアー73を回
動させることでファインダ光学系が駆動するようになっ
ている。
【0054】なお、ファインダ装置26の前面側には、
図2に示すようにファインダ対物窓18・測光窓19・
測距窓20等が並べて配置されている。
【0055】次に、平ギアー54から閃光発光装置16
の側へと伝達される駆動力伝達経路について説明する。
【0056】上述したように平ギアー54には、位相連
結歯車56が噛合している。この位相連結歯車56に
は、閃光発光装置16を突没させるための閃光発光装置
駆動機構69が連結されている。
【0057】位相連結歯車56は、カメラ1の固定部材
(図示せず)に対して回動自在に配設されているもので
ある。また、位相連結歯車56は、撮影レンズ鏡筒17
に対してファインダ装置26及び閃光発光装置16の駆
動位相をそれぞれ合わせた後に組み込まれる歯車となっ
ている。つまり、この位相連結歯車56が組み込まれる
ことによって、平ギアー54と後述する閃光発光装置駆
動歯車でありカム部材である閃光発光装置突没歯車58
とを連結させて、モータ50からの駆動力をファインダ
装置26の側と閃光発光装置16の側とに伝達するよう
になっている。これによって、撮影レンズ鏡筒17とフ
ァインダ装置26と閃光発光装置16との、これら三つ
の構成ユニットの間が連結されることになる。
【0058】ここで、閃光発光装置16及びこれを突没
させる閃光発光装置駆動機構69の詳細な構成につい
て、以下に説明する。
【0059】図5・図6・図7は、本実施形態の駆動切
換機構が適用されるカメラにおける閃光発光装置とその
駆動機構の詳細を示し、図5は、本閃光発光装置とこれ
を突没させる閃光発光装置駆動機構の一部を取り出して
示す分解斜視図である。また、図6・図7は、本閃光発
光装置とその閃光発光装置駆動機構のみを拡大して示す
要部拡大図であって、図6は、閃光発光装置が収納位置
にある状態を、図7は、閃光発光装置が突出位置にある
状態をそれぞれ示している。
【0060】閃光発光装置16は、内部にキセノン(X
e)管等の閃光発光部(図示せず)等を有し前面に発光
窓16bを備えた発光部ケース16a等によって形成さ
れている。この閃光発光装置16には、閃光発光装置駆
動機構69が連結されている。そして、この閃光発光装
置駆動機構69には、位相連結歯車56が連結してい
る。これにより、モータ50からの駆動力は、閃光発光
装置16へと伝達され、カメラ1に対して突没し得るよ
うに構成されている。
【0061】閃光発光装置駆動機構69は、次に示すよ
うに構成されている。即ち、位相連結歯車56には、閃
光発光装置駆動歯車である閃光発光装置突没歯車58の
歯車部58aが噛合している。閃光発光装置突没歯車5
8は、カメラ1の固定部材に植設される軸58dによっ
て回動自在に軸支されており、上述の歯車部58aと、
後述する第1カムレバー59に作用するカム部58cを
有するカム部材58bとが一体的に形成されてなるもの
である。
【0062】つまり、閃光発光装置突没歯車58は、歯
車部58aを備えると共に、回動するのに応じて閃光発
光装置16を変位駆動させるためのカム部58cを有
し、回動自在に配設されているカム部材である。なお、
カム部58cにおいて、図7の符号Sで示す領域を駆動
領域(セットアップ領域)というものとする。この駆動
領域Sは、閃光発光装置16を収納位置から突出位置へ
と駆動するために設けられる領域である。この領域は、
撮影レンズ鏡筒17が沈胴位置から最短焦点距離状態で
あるワイド端位置へと変位して撮影準備状態となる際に
対応する領域である。また、カム部58cにおいて、図
7の符号Zで示す領域を空走領域(ズーム領域)という
ものとする。この空走領域Zは、カム部58cにおける
駆動領域S以外の領域であって、閃光発光装置16の突
出状態を維持するために設けられる領域である。この領
域は、撮影レンズ鏡筒17が最短焦点距離(ワイド端)
位置と最長焦点距離(テレ端)位置との間を変位する際
に対応する領域である。
【0063】第1カムレバー59は、略L字形状に形成
されるレバー部材であって、一方の端腕部には、閃光発
光装置突没歯車58のカム部58cに当接する作用部5
9cが形成され、他方の端腕部側の先端近傍には、後述
する第2カムレバー60に作用するピン59bが植設さ
れている。そして、第1カムレバー59は、軸59aに
おいてカメラ1の固定部材に対して回動自在に軸支され
ている。
【0064】第2カムレバー60は、図5に示されるよ
うに閃光発光装置16の基台16eの底面寄りに設けら
れる孔部16fにおいて回動自在に配設されている。ま
た、閃光発光装置16の基台16eの底面寄りに設けら
れ孔部16fに対向するように設けられる孔部16ff
には、スイッチレバー65が回動自在に配設されてい
る。そして、第2カムレバー60とスイッチレバー65
とは、レバー軸部材62によって連結されている。した
がって、これにより両者は、基台16eに対して回動自
在となっていると共に、第2カムレバー60の回動に連
動してスイッチレバー65が同方向に回動するようにな
っている。
【0065】また、レバー軸部材62には、基台16e
の内部においてレバー部材61と開きばね部材61aと
が同軸上に貫通して配設されている。この場合におい
て、開きばね部材61aの一端は、レバー部材61の所
定の位置に設けられるバネカケ部61cに掛止されてい
ると共に、他端は第2カムレバー60の所定の位置に設
けられるバネカケ部(図示せず)に掛止されている。こ
れにより、第2カムレバー60とレバー部材61とは一
体的に動作するようになっている一方、レバー部材61
に対して外部からの力量が加えられた場合には、開きば
ね部材61aの付勢力に抗して両者は互いに独立して動
作可能となるようになっている。
【0066】なお、第2カムレバー60とスイッチレバ
ー65とには、それぞれの外側面を抑えるようにして、
おさえ板部材66が配設されている。このおさえ板部材
66は両端が折り曲げられた幅の狭い薄板部材によって
形成されていて、両折曲部66aには孔部66bがそれ
それ穿設されている。この孔部66bは、レバー軸部材
62の両端部に嵌合している。
【0067】一方、基台16eの底面側の中程の位置に
は、孔部16gが穿設されている。この孔部16gに
は、リンク軸部材63aが貫通している。このリンク軸
部材63aには、リンク部材64の一方の端部とリフト
部材63の支点となる一方の端部と第1閉じばね64c
とが同軸上に貫通して配設されている。第1閉じばね6
4cは、一端が基台16eの底面の所定の位置に掛止さ
れており、他端はリンク部材64の所定の位置に掛止さ
れている。そして、この第1閉じばね64cの付勢力
は、リンク部材64を所定の方向、即ち閃光発光装置1
6の収納位置を維持する方向へと付勢している。なお、
リンク軸部材63aに対してリンク部材64とリフト部
材63とは、それぞれが回動自在となるように軸支され
ている。
【0068】また、リンク部材64の他端部は、ケース
軸部材64aによってケース16aの底面側の一端部に
設けられる支持部16cに対して回動自在となるように
軸支されている。そしてケース軸部材64aには、第2
閉じばね64bが同軸上に貫通して配設されている。こ
の第2閉じばね64bの一端は、リンク部材64の所定
の位置に掛止されている一方、他端は、ケース16aの
所定の位置に掛止されている。これによって、第2閉じ
ばね64bは、リンク部材64とケース16aとを互い
に近接させる方向に付勢している。
【0069】なお、ケース16aには、底面寄りの中程
の一側縁部に第1突出位置決め凸部16dが形成されて
いる。また、ケース16aの支持部16cの近傍には、
第2突出位置決め部(図示せず)が設けられている。し
たがって、当該閃光発光装置16が突出位置(図7の状
態)となったときには、第1突出位置決め凸部16dが
本カメラ1の前カバー11の所定の位置に設けられる固
定部材11b(図7参照)に当接するのと同時に、ケー
ス16aの第2突出位置決め部が本カメラ1の後カバー
12の所定の位置に設けられる固定部材12a(図7参
照)に当接することによって、閃光発光装置16の突出
位置での位置決めが行なわれるようになっている。
【0070】一方、ケース16aの底面側であって支持
部16cの設けられている側とは反対側の端部近傍に
は、第1収納位置決め凸部16hが形成されている。ま
た、ケース16aの支持部16cの近傍には、第2収納
位置決め凸部(図示せず)が設けられている。したがっ
て、当該閃光発光装置16が収納位置(図6の状態)と
なったときには、第1収納位置決め凸部16hが本カメ
ラ1の前カバー11の所定の位置に設けられる固定部材
11a(図6参照)に当接するのと同時に、ケース16
aの第2収納位置決め部が閃光発光装置16の基台16
eの所定の位置に設けられる固定部材(図示せず。図6
参照)に当接することによって、閃光発光装置16の収
納位置の位置決めが行なわれるようになっている。
【0071】ところで、本カメラ1の駆動力伝達装置に
おける駆動源であるモータ50は、上述したように撮影
レンズ鏡筒17とファインダ装置26と閃光発光装置1
6とを駆動するだけでなく、本カメラ1の内部に配設さ
れたロール状の写真撮影用フイルムについての巻上動作
や巻戻動作等(フイルム給送動作という)を行なうため
にも用いられる。
【0072】そのために、本実施形態の駆動切換機構を
含む駆動力伝達装置においては、モータ50からの駆動
力を撮影レンズ鏡筒17・ファインダ装置26・閃光発
光装置16等の各構成ユニットへと伝達する駆動力伝達
経路(第1の被駆動機構)とは別に、モータ50からの
駆動力をフイルム給送動作を行なうための駆動ユニット
へと伝達する駆動力伝達経路(第2の被駆動機構)が形
成されている。そして、各構成ユニットへの駆動力伝達
経路(第1の被駆動機構)とフイルム給送動作を行なう
のための駆動ユニットへの駆動力伝達経路(第2の被駆
動機構)とは、必要に応じて切り換えられるように構成
されており、モータ50からの駆動力は、適宜所定の構
成部材を駆動するようになっている。
【0073】フイルム給送動作を行なうための駆動ユニ
ットへの駆動力伝達経路(第2の被駆動機構)は、複数
の歯車列等によって構成されている。以下に、その詳細
な説明を行なう。
【0074】図8は、本実施形態のカメラにおける駆動
切換機構を含む駆動力伝達装置の一部を示し、フイルム
給送動作を行なうための駆動力伝達経路(第2の被駆動
機構)を構成する構成部材と駆動力伝達経路を切り換え
るための駆動力伝達経路切換手段(駆動切換機構)のみ
を取り出して示すカメラ底面斜め後側から見た要部外観
斜視図である。
【0075】また、図9・図10・図11・図12は、
図1に示すカメラにおける駆動切換機構を含む駆動力伝
達装置の底面側からの外観を示す平面図であって、図9
は、遊星歯車機構がモータの駆動力を第1の被駆動機構
に伝達する第1の位置にある状態を示している。また、
図10は、図9の状態から駆動切換機構が退避位置に移
動した状態を示している。図11は、遊星歯車機構がモ
ータの駆動力を第2の被駆動機構に伝達する第2の位置
にあって、かつフイルム巻上動作時の状態を示してい
る。そして、図12は、遊星歯車機構がモータの駆動力
を第2の被駆動機構に伝達する第2の位置にあって、か
つフイルム巻戻動作時の状態を示している。
【0076】本カメラ1の駆動力伝達装置において、フ
イルム給送動作を行なうための駆動力伝達経路を構成す
る構成部材は、フイルムの巻戻動作を行なうための巻戻
系の歯車列と、フイルムの巻上動作を行なうための巻上
系の歯車列と、モータ50からの駆動力の伝達経路を切
り換えるための駆動力伝達経路切換手段95等によって
構成されている。
【0077】図8・図9に示す状態は、モータ50から
の駆動力が上述した各構成ユニットを駆動させるための
駆動力伝達経路(第1の被駆動機構)へと伝達されてい
る状態を示している。
【0078】まず、図8・図9に示す状態の駆動力伝達
経路について、以下に説明する。巻取スプール34の内
部に固設されるモータ50の回転軸に固設されるピニオ
ンギアー50aには、二段ギアー81の大ギアー81a
が噛合している。また、二段ギアー81の小ギアー81
bは、遊星歯車機構である第1遊星歯車列86に連結さ
れている。
【0079】第1遊星歯車列86は、二段ギアーからな
る太陽ギアー82(太陽歯車)及び第1遊星ギアー84
(遊星歯車)と、平歯車からなる第2遊星ギアー83
(遊星歯車)と、これらの各歯車を載置すると共に、各
歯車を回動自在に軸支する第1キャリア85等によって
構成されている。
【0080】そして、この第1遊星歯車列86は、モー
タ50の駆動力を第1の被駆動機構(撮影レンズ鏡筒1
7等の複数の構成ユニットを駆動させるための駆動力伝
達経路)に伝達する第1の位置と、モータ50の駆動力
を第2の被駆動機構(フイルム給送動作のための駆動力
伝達経路)に伝達する第2の位置とに移動する切換伝達
部材の役目をしている。
【0081】そして、太陽ギアー82の大ギアー82a
には、上述の二段ギアー81の小ギアー81bが噛合し
て、モータ50からの駆動力を伝達している。また、太
陽ギアー82の小ギアー82bは、第1遊星ギアー84
の大ギアー84aと第2遊星ギアー83とに常に噛合し
ている。
【0082】そして、図8に示す状態においては、第2
遊星ギアー83がZギアー52の平ギアー部52aに噛
合している。これにより、モータ50からの駆動力は、
Zギアー52へと伝達されることになり、よって、この
駆動力は、上述したように撮影レンズ鏡筒17・ファイ
ンダ装置26・閃光発光装置16の各構成ユニットへと
伝達される。つまり、二段ギアー81から太陽ギアー8
2・第2遊星ギアー83の各歯車が図2において説明し
た伝達歯車列の一部を構成するギアー列51に相当す
る。
【0083】なお、図8の状態では、第1遊星歯車列8
6の太陽ギアー82は、図8・図9の時計方向CWへと
回転することで、第2遊星ギアー83とZギアー52の
平ギアー部52aとの噛合状態を確保している。そし
て、このとき第1遊星歯車列86は、第1キャリア85
から突出して形成される被係止部85aがカメラ1の固
定部材1aに当接することで、その回動が規制されてい
る。
【0084】次いで、駆動切換機構である駆動力伝達経
路切換手段95の構成について、以下に説明する。駆動
力伝達経路切換手段95(駆動切換機構)は、フイルム
給送動作のための駆動力伝達経路(第2の被駆動機構)
と上述した各構成ユニットを駆動させるための駆動力伝
達経路(第1の被駆動機構)との切り換えを行なうと共
に、フイルム巻戻系の駆動力伝達経路とフイルム巻上系
の駆動力伝達経路との切り換えを行なうものである。
【0085】駆動力伝達経路切換手段95は、上述した
ように変位可動部材であるプランジャ鉄芯76a等を内
部に有する切換アクチュエータである切換プランジャ装
置76と、この切換プランジャ装置76によって駆動さ
れるレバー部材である切換レバー77等の構成部材によ
って構成されている。
【0086】即ち、切換プランジャ装置76は、内部に
巻線部であるコイル76bが配置されており、このコイ
ル76bの略中心位置にプランジャ鉄芯76aが配置さ
れている。このプランジャ鉄芯76aは、一部が切換プ
ランジャ装置76の外部に露呈しており、その先端部に
は、二つのフランジ部が所定の間隔を有して形成されて
いる。
【0087】この切換プランジャ装置76は、所定の切
換指示信号が発生したときにコイル76bに通電される
ことによって、プランジャ鉄芯76aが図8に示す矢印
X3方向へと移動し、通電中にはその位置が維持される
ようになっている。そして、切換プランジャ装置76へ
の通電が解除されると、プランジャ鉄芯76aは元の位
置に復帰するように構成されている。
【0088】一方、切換レバー77は、上述したように
切換プランジャ装置76によって駆動され、回動自在に
配設されるレバー部材である。この切換レバー77の一
端には、第1遊星歯車列86の第1キャリア85に突出
して形成される被係止部85aを所定のときに係止する
係止部77cが設けられている。つまり、当該切換レバ
ー77は、所定のときに第1遊星歯車列86の第1キャ
リア85の被係止部85aを係止する係止部材の役目を
するものである。
【0089】また、切換レバー77の他端には、切換プ
ランジャ装置76のプランジャ鉄芯76aの先端部の二
つのフランジ部によって形成される溝部に嵌合して、当
該レバー77とプランジャ鉄芯76aとを連結する連結
部77bが形成されている。そして、切換レバー77の
中程の位置において連結部77b寄りの所定の位置に
は、回動中心となるピン77dが植設されている回動軸
部77aが形成されている。この回動軸部77aは、カ
メラ1の固定部材(図示せず)に対して回動自在に軸支
されている。
【0090】ピン77dには、付勢部材であるばね部材
78が配設されていて、切換レバー77を所定の方向
(図8の矢印X4方向)に向けて回動するように付勢し
ている。つまり、ばね部材78の一端は、切換レバー7
7の所定の位置に掛止されており、他端はカメラ1の固
定部材(図示せず)に植設されるバネカケピン1cに掛
止されている。
【0091】したがって、ばね部材78の付勢力により
図8の矢印X4方向に回動される切換レバー77は、カ
メラ1の固定部材(図示せず)に植設される規制部材1
bによって規制され、所定の位置に位置決めされてい
る。つまり、ばね部材78は、切換レバー77を規制位
置となる方向に付勢する付勢手段の役目をしている。
【0092】そして、所定のときに通電がなされて切換
プランジャ装置76が作用すると、切換レバー77は、
ばね部材78の付勢力に抗してピン77dを回動中心と
する反時計方向CCW方向へと回動するようになってい
る。
【0093】なお、切換レバー77が規制位置にある状
態から退避位置へと移動する際の方向(図8の矢印X5
方向)は、この場合における切換プランジャ76のプラ
ンジャ鉄芯76aの移動方向(図8の矢印X3方向)と
は逆向きの方向となっている。
【0094】ところで、切換レバー77は、上述したよ
うに回動軸部77aを中心として回動するように構成さ
れているものである。この場合において、回動軸部77
aは、略中央部近傍よりも連結部77b寄りの所定の位
置に形成するようにしている。これは、次に示すような
理由による。
【0095】即ち、切換プランジャ装置76の切換レバ
ー77の連結部77bには、プランジャ鉄芯76aが連
結されている。このプランジャ鉄芯76aは、一般的に
鉄部材等の金属部材で形成されているのが普通である。
これにより、コイル76bに通電されたときに、プラン
ジャ鉄芯76aが容易に吸着されるようになっているの
である。
【0096】一方、近年において、カメラ1を構成する
各種の構成部材としては、いわゆるエンジニアリングプ
ラスチック等の樹脂部材等が一般的に利用されている。
この樹脂部材等は、金属部材に比べて軽量でありなが
ら、耐衝撃性・耐摩耗性に優れた特質を有している。し
たがって、金属部材からなるプランジャ鉄芯76aは、
これが連結されるレバー部材77に比べて質量(重量)
が大きなものとなっている。
【0097】この場合において、例えばカメラ1に対し
て意図しない衝撃力が加わったとすると、プランジャ鉄
芯76aは、自己の質量(重量)による慣性力によって
移動してしまうことが考えられる。すると、当該プラン
ジャ鉄芯76aは、これに連結される切換レバー77を
図8の矢印X3方向へと移動させてしまうことがある。
すると、切換レバー77は、コイル76bに通電されて
いないのにも関らず、ピン77dを回動中心として図8
の反時計方向CCWへと回動してしまうことになる。
【0098】また、プランジャ鉄芯76aが図8の矢印
X3とは反対方向へと移動する力量がカメラ1に加わっ
た場合には、プランジャ鉄芯76aは、切換レバー77
に対して、これを図8の矢印X4方向へと移動させる方
向、即ち切換レバー77がピン77dを回動中心とする
図8の時計方向CWへと回動する方向へと作用するが、
同方向への切換レバー77の回動は、規制部材1bによ
って規制されている。
【0099】なお、このような意図しない衝撃力がカメ
ラ1に加わる場合としては、例えばカメラ1の携帯時等
に落下させてしまったり、カメラ1を外部の他の物体等
に衝突させてしまう等が想定される。
【0100】他方、切換レバー77の係止部77cの側
は、所定のときに第1遊星歯車列86の第1キャリア8
5の被係止部85aに係止されるのみであり、通常の場
合、他の部材に拘束されていない状態にある。
【0101】そこで、本実施形態の駆動切換装置におい
ては、切換レバー77の一方の端部(連結部77b)寄
りの回動軸(回動軸部77a)回りの回転モーメント
と、他方の端部(係止部77c)寄りの回動軸回りの回
転モーメントとが略釣り合うように、その回動中心とな
るピン77d及び回動軸部77aの位置を設定してい
る。つまり、切換レバー77の回動中心となる回動軸部
77a(ピン77d)を、より連結部77b寄りの位置
に形成し、切換レバー77における係止部77c側の質
量(重量)が大きくなるように設定している。このよう
に切換レバー77の両端のバランスを取るようにする手
段(バランス手段)としては、上述の回動中心を略中央
部よりいずれかの端部寄りの位置に偏らせて設ける手段
のほかに、例えば重り部材を一方の端部に一体に配設す
る等の手段も考えられる。
【0102】また、本実施形態における切換レバー77
は、一端側の係止部77cと他端側の連結部77bとが
離れた位置に配置されるように形成され、かつ係止部7
7cと連結部77bとは一体的に連結して形成されてい
る。
【0103】つまり、カメラ1の正面側から見て撮影レ
ンズ鏡筒17の光軸より一方の側に配置される第1遊星
歯車列86(の被係止部85a)の近傍に係止部77c
が、カメラ1の正面側から見て撮影レンズ鏡筒17の光
軸より他方の側に配置される切換プランジャ装置76の
近傍に連結部77bが、それぞれ配設されるようになっ
ている。
【0104】したがって、切換レバー77は、カメラ1
の正面側から見て撮影レンズ鏡筒17の光軸より他方の
側(切換プランジャ装置76の側)から一方の側(第1
遊星歯車列86の被係止部85aの側)へと撮影レンズ
鏡筒17の下側を跨がるようにして配置されている。
【0105】そして、切換プランジャ装置76は、カメ
ラ1の正面側から見て撮影レンズ鏡筒17とカメラ1の
底面とフイルムカートリッジ収納室33との間に形成さ
れる略三角状の空間に配置されている。
【0106】上述したように図8・図9の状態は、モー
タ50からの駆動力が上述の各構成ユニットを駆動させ
る駆動力伝達経路へと伝達されるべく、駆動力伝達経路
切換手段95が所定の位置に配置されている状態を示し
ている。
【0107】この状態において、所定の切り換え指示信
号の発生を受けて駆動力伝達経路切換手段95が作用す
ると、モータ50からの駆動力が上述の各構成ユニット
へと伝達している状態(図8・図9の状態)から、当該
駆動力がフイルム給送動作のための駆動力伝達経路へと
伝達される状態(図11の状態)に切り換わる。
【0108】例えばカメラ1が撮影準備状態にあるとき
には、モータ50からの駆動力は、撮影レンズ鏡筒17
・ファインダ装置26へと伝達されるように駆動力伝達
経路が確保されている(図8・図9の状態)。
【0109】この状態において、カメラ1の操作者が所
定の操作(シャッターボタン28の押圧操作等)を行な
って所定の撮影動作を実行すると、所定の露出動作がな
された後、所定のフイルム給送動作(次の撮影コマを所
定の位置に配置するための1コマ分の巻上動作等)が開
始されることになる。
【0110】この場合において、駆動力伝達経路切換手
段95は、所定の切換動作を実行して、当該駆動力伝達
装置における駆動力伝達経路の切り換えを行ない(図1
0の状態)、フイルム巻上系の駆動力伝達経路を形成さ
せてフイルム給送動作を実行し得る状態にする(図11
又は図12の状態)。
【0111】次いで、所定のフイルム巻上動作が完了す
ると、駆動力伝達経路切換手段95は、再度所定の切換
動作を実行してモータ50からの駆動力を撮影レンズ鏡
筒17・ファインダ装置26へと伝達させるための駆動
力伝達経路を形成させる。これによって、カメラ1は撮
影準備状態に復帰することになるのである(図8・図9
の状態)。
【0112】このような場合において、駆動力伝達経路
切換手段95は、次のような作用をする。即ち、図8・
図9に示す状態にあるときに切換プランジャ装置76へ
の通電がなされると、プランジャ鉄芯76aは図8の矢
印X3方向に移動して、切換レバー77が図8の反時計
方向CCW方向に回動する。そして、図10の状態にな
る。この状態でモータ50を所定の方向に回転させる
と、その駆動力は、太陽ギアー82を回動中心とする図
8の反時計方向CCW方向へと第1遊星歯車列86自身
を回動させる。このとき、切換レバー77の係止部77
cは、切換プランジャ装置76の作用によって、第1遊
星歯車列86の公転軌跡(移動軌跡)上から退避した位
置にある(退避位置;図10参照)。したがって、第1
遊星歯車列86の第1キャリア85は、切換レバー77
の係止部77cに衝突することなく所定の位置まで回動
する。これによって、第2遊星ギアー83とZギアー5
2の平ギアー部52aとの噛合が解除される。そして、
第1遊星歯車列86の回動は、第1遊星ギアー84の小
ギアー84bと後述する第2遊星歯車列91の太陽ギア
ー88の大ギアー88aとが噛合した時点で停滞する
(図11の参照)。
【0113】なお、上述の切換レバー77が退避位置に
ある状態は、上述したように切換レバー77の係止部7
7cが第1遊星歯車列86の公転軌跡上から退避して、
これを公転し得る状態であることから、第1遊星歯車列
86(の第1遊星ギアー84・第2遊星ギアー83)
は、所定の第1の位置又は第2の位置とのいずれかに選
択的に切り換え自在な状態となっている。
【0114】また、上述の切換レバー77の退避位置に
対して、当該切換レバー77が図9・図11・図12に
ある場合には、モータ50により駆動される第1遊星歯
車列86の遊星歯車(第1遊星ギアー84・第2遊星ギ
アー83)を所定の第1の位置又は第2の位置にある状
態に維持するために、第1遊星歯車列86の公転軌跡内
に侵入して遊星歯車(第1遊星ギアー84・第2遊星ギ
アー83)の公転を規制する位置に切換レバー77があ
る。この切り換えレバー77の位置を規制位置というも
のとする。
【0115】この図11の状態になったときに、切換プ
ランジャ装置76への通電を解除すると、プランジャ鉄
芯76aは元の位置に復帰するので、これに伴って切換
レバー77も所定の位置に復帰する。そして、フイルム
巻上巻戻系の駆動力伝達経路が構成されることになる
(図11の状態)。
【0116】ここで、フイルム巻上系の駆動力伝達経路
を構成する歯車列について、以下に説明する。フイルム
巻上系の駆動力伝達経路は、次のように構成される。即
ち、モータ50のピニオンギアー50aから二段ギアー
81を介して第1遊星歯車列86に至る経路は上述した
通りである。
【0117】第1遊星歯車列86の太陽ギアー82の小
ギアー82bは、上述したように第1遊星ギアー84の
大ギアー84aに常に噛合している。そして、第1遊星
ギアー84の小ギアー84bは、第2遊星歯車列91に
連結されている。
【0118】第2遊星歯車列91は、二段ギアーからな
る太陽ギアー88及び第4遊星ギアー89と、平歯車か
らなる第3遊星ギアー87と、これらの各歯車を載置す
ると共に、各歯車を回動自在に軸支する第2キャリア9
0等によって構成されている。
【0119】そして、第2遊星歯車列91の太陽ギアー
88の大ギアー88aには、上述の第1遊星ギアー84
の小ギアー84bが噛合して、モータ50からの駆動力
を伝達している。また、太陽ギアー88の小ギアー88
bは、第3遊星ギアー87と第4遊星ギアー89の大ギ
アー89aとに常に噛合している。そして、第3遊星ギ
アー87は、巻取スプール34のスプールギアー部34
aに噛合している。このスプールギアー部34aは、巻
取スプール34の一端部の外周面上に形成されているギ
アー部である。これにより、モータ50からの駆動力
は、スプールギアー部34aへと伝達されて巻取スプー
ル34を所定の巻き上げ方向へと回動させることにな
る。
【0120】次いで、フイルム巻上系の駆動力伝達経路
が確保された状態(図11の状態)において、モータ5
0の回転方向を所定の巻き上げ方向から巻き戻し方向と
なるように逆転させると、第1遊星歯車列86が第2遊
星歯車列91に作用して、太陽ギアー88を回動中心と
する図8・図11の時計方向CW方向へ向けて第2遊星
歯車列91自身を回動させる。これにより、第2遊星歯
車列91の第3遊星ギアー87とスプールギアー部34
aとの噛合が解除される。これと同時に、第4遊星ギア
ー89の大ギアー89aが後述する平歯車92に噛合す
る。この状態において、フイルム巻戻系の駆動力伝達経
路が構成されることになる(図12の状態)。
【0121】なお、上述したように第2遊星歯車列91
自身を図8の時計方向CW方向へ向けて回動させるため
に、モータ50の回転方向を所定の巻き戻し方向となる
ように逆転させた場合には、第1遊星歯車列86自身に
も図8の時計方向CW方向へと回動しようとする力量が
加わることになる。しかし、この場合においては、第1
キャリア85の被係止部85aが切換レバー77の係止
部77cを係止した状態となることから、第1遊星ギア
ー84の大ギアー84aと第2遊星歯車列91の太陽ギ
アー88の大ギアー88aとの噛合状態は保持されるよ
うになっている。
【0122】ここで、フイルム巻戻系の駆動力伝達経路
を構成する歯車列について、以下に説明する。フイルム
巻戻系の駆動力伝達経路は、次のように構成される。即
ち、モータ50のピニオンギアー50aから二段ギアー
81及び第1遊星歯車列86を介して第2遊星歯車列9
1までに至る経路は、上述のフイルム巻上系の駆動力伝
達経路と全く同様である。
【0123】第2遊星歯車列91の太陽ギアー88の小
ギアー88bは、上述したように第4遊星ギアー89の
大ギアー89aに常に噛合している。そして、第4遊星
ギアー89の小ギアー89bは、大径の平歯車92に噛
合している。この平歯車92は、隣接する平歯車93に
噛合している。そして、この平歯車93は、巻戻軸35
の巻戻ギアー部35aに噛合している。この巻戻ギアー
部35aは、巻戻軸35の一端部の外周面上に一体に形
成されているギアー部である。これにより、モータ50
からの駆動力は、巻戻ギアー部35aへと伝達されて巻
戻軸35を所定の巻き戻し方向へと回動させることにな
る。
【0124】なお、上述したようにカメラ1の底面部に
は、当該カメラ1の底面を覆うようにして地板36が配
設されている。つまり、この地板36は、フイルム給送
動作を実行するための駆動力伝達経路を構成する各歯車
等の構成部材を外部から保護する役目をしていると同時
に、所定の歯車等を回動自在に軸支するための固定部材
としての役目もしている。
【0125】以上のように構成されたカメラ1の駆動切
換機構を含む駆動力伝達装置の作用を、以下に説明す
る。
【0126】まず、本カメラ1が図2に示す状態にある
とき、即ちカメラ1の撮影レンズ鏡筒17が沈胴位置に
あるときには、スライドバリア部材14が閉状態にあり
主電源(図示せず)がオフ状態となっている。このと
き、駆動切換機構及び駆動力伝達装置は、図8・図9に
示す状態にある。
【0127】この状態において、本カメラ1の使用者が
スライドバリア部材14を所定の方向に摺動させて開状
態(図1に示す状態)にすると、本カメラ1の主電源が
オン状態になる。これに連動して、モータ50は、所定
の方向への回動を開始する。
【0128】モータ50が所定の方向(図8・図9の時
計方向CW)に回動を始めると、ピニオンギアー50a
が同方向に回転し、これに噛合する二段ギアー81は反
時計方向CCWに回転する。すると、二段ギアー81の
大ギアー81aに噛合する第1遊星歯車列86の太陽ギ
アー82は時計方向CWへと回転する。これにより、第
1遊星歯車列86は、太陽ギアー82の回転軸周りに時
計方向CWへと公転し、当該第1遊星歯車列86の第2
遊星ギアー83をZギアー52の平ギアー部52aに噛
合させ、これを時計方向CWへと回動させる。したがっ
て、Zギアー52の斜歯ギアー部52b(図2参照)も
また同方向に回転する。
【0129】すると、斜歯ギアー部52bは、これに噛
合する斜歯ギアー53を図2において反時計方向CCW
へと回動させるので、平ギアー54もまた同方向に回動
する。そして、この平ギアー54は、撮影レンズ鏡筒駆
動歯車55を時計方向CWへと回動させる。当該撮影レ
ンズ鏡筒駆動歯車55は、撮影レンズ鏡筒17のギアー
部17bに噛合しているので、これを反時計方向CCW
へと回動させる。これにより、撮影レンズ鏡筒17は、
所定の沈胴位置からカメラ1の前方へ突出する方向に向
けて繰り出し移動を開始する。そして、モータ50は、
撮影レンズ鏡筒17が、撮影準備位置であって最短焦点
距離位置となる所定の位置に配置された時点で、その回
転駆動を停止する。
【0130】また、平ギアー54は、同時に位相連結歯
車56にも噛合していることから、これを図2の時計方
向CWへと回動させる。すると、この位相連結歯車56
は、閃光発光装置突没歯車58(図6も参照)を図2の
反時計方向CCW、即ち図6のUP1方向へと回動させ
る。
【0131】すると、閃光発光装置突没歯車58のカム
部58cが第1カムレバー59の作用部59cに作用し
て当該第1カムレバー59を軸59aを回動中心として
図6に示すUP2方向へと回動させる。これにより、第
1カムレバー59のピン59bが第2カムレバー60に
作用して、これをレバー軸部材62を回動中心として図
6の反時計方向CCWへと回動する。これに連動してレ
バー部材61も同方向に回動する。
【0132】これによってレバー部材61は、リフト部
材63を上方へと押し上げることになり、当該リフト部
材63は、リンク軸部材63aを回動中心として図7の
時計方向CWへと回動する。
【0133】このようにして、リフト部材63が上方へ
と押し上げられると、当該リフト部材63の自由端部6
3bが閃光発光装置16のケース16aを上方へと押し
上げることになる。すると、ケース16aは、ケース軸
部材64aを回動中心として図7の反時計方向CCWへ
と回動し、これを所定の収納位置から所定の突出位置と
なるように突出(ポップアップ)させる。同時にリンク
部材64も時計方向CWへと回動する。
【0134】そして、ケース16aの第1突出位置決め
凸部16dが本カメラ1の前カバー11の所定の固定部
材11bに当接することで、当該ケース16aは所定の
突出位置に位置決めされる(図7の状態)。
【0135】このようにして、閃光発光装置16が所定
の収納位置から突出位置へと移動する。この場合におい
て閃光発光装置突没歯車58は、図7の符号Sで示す駆
動領域(セットアップ領域)の範囲内で回動することに
なる。
【0136】図2に戻って、位相連結歯車56は、さら
にリングギアー57にも噛合している。したがって、こ
のとき位相連結歯車56が図2の時計方向CWへと回動
すると、リングギアー57は、反時計方向CCWへと回
動する。そして、リングギアー57は、固定歯車71を
時計方向CWへと回動し、二段ギアー72及びファイン
ダカムギアー73をそれぞれ所定の方向に回動させる。
ただし、このときには、ファインダカムギアー73は、
ファインダ装置26のファインダ光学系を移動させない
ように設定されている。
【0137】つまり、撮影レンズ鏡筒17が沈胴位置か
ら撮影準備状態となるまでの間においては、ファインダ
光学系を駆動させる必要はない。したがって、この場合
においては、モータ50からの駆動力がファインダ装置
26へと伝達されても、これによってファインダ光学系
が駆動されないように設定されているのである。
【0138】以上のように、モータ50が所定の回転駆
動を行なうことにより、撮影レンズ鏡筒17は所定の沈
胴位置から最短焦点距離位置へと繰り出されるのと同時
に、閃光発光装置16が所定の収納位置から突出位置へ
と突出する。このときの状態が図3に示す状態であり、
この場合における、駆動切換機構及び駆動力伝達装置の
状態は、図8・図9に示す状態にある。この状態は、撮
影動作をいつでも実行し得る撮影準備状態である。
【0139】この状態においては、モータ50を正逆回
転させることによって、撮影レンズ鏡筒17の繰り出し
動作及び繰り込み動作を行なって、撮影レンズ光学系1
7aの変倍動作を行なうことができる。
【0140】即ち、撮影レンズ光学系17aの変倍動作
を行なうには、焦点距離切換操作部材29(図1参照)
を任意に操作する。焦点距離切換操作部材29を操作す
るとこれに連動するズームスイッチ(図示せず)が作用
して変倍動作を指示する所定の指示信号が生じる。この
指示信号に応じてモータ50は、所定の方向への回転駆
動を開始する。そして、モータ50からの駆動力は、上
述したようにピニオンギアー50aからギアー列51・
Zギアー52・斜歯ギアー53・平ギアー54・撮影レ
ンズ鏡筒駆動歯車55を介して撮影レンズ鏡筒17のギ
アー部17bへと伝達されて、これを所定の方向へ回転
させる。
【0141】なお、上述したように本カメラ1が起動し
た直後の状態では、撮影レンズ鏡筒17の撮影レンズ光
学系17aは最短焦点距離位置(ワイド位置)に設定さ
れている状態にある。この状態において、駆動切換機構
及び駆動力伝達装置が、図3(図8・図9)に示す状態
にあるときに、焦点距離切換操作部材29を広角側に操
作してもモータ50は駆動しないようになっている。
【0142】一方、図3の状態から焦点距離切換操作部
材29を望遠側へと操作することにより撮影レンズ鏡筒
17は、図3の反時計方向CCWへと回動する。これに
より当該撮影レンズ鏡筒17は、本カメラ1の前方へと
繰り出される。
【0143】ところで、このようにして撮影レンズ鏡筒
17が駆動しているときにも、モータ50からの駆動力
は、平ギアー54・位相連結歯車56を介して閃光発光
装置16の側へと伝達されている。つまり、撮影レンズ
鏡筒17の繰り出し又は繰り込み動作(撮影レンズ光学
系17aの変倍動作)を実行中において、位相連結歯車
56は、閃光発光装置突没歯車58を回動させている。
しかし、このときには、閃光発光装置突没歯車58のカ
ム部58cの作用により、閃光発光装置16は所定の突
出位置を維持したまま移動しない。
【0144】即ち、この場合において、撮影レンズ鏡筒
17が最短焦点距離位置にある状態(図3参照)と最長
焦点距離位置にある状態(図4参照)との範囲内を移動
するとき、閃光発光装置突没歯車58のカム部58c
は、図7の空走領域Zの範囲内を回動することになるの
である。
【0145】他方、上述のように本カメラ1が撮影準備
状態にあって、焦点距離切換操作部材29を任意に操作
することで撮影レンズ鏡筒17を駆動させると、これに
連動してファインダ装置26のファインダ光学系も駆動
される。
【0146】即ち、モータ50からの駆動力は、位相連
結歯車56・リングギアー57・固定歯車71・二段ギ
アー72・ファインダカムギアー73を介してファイン
ダ装置26のファインダ光学系を駆動する。このとき、
ファインダ光学系は、設定される撮影レンズ光学系17
aの焦点距離に応じた画角を観察し得る位置に設定され
るように、ファインダカムギアー73のカム部が形成さ
れている。このファインダカムギアー73のカム部につ
いては、本発明には直接関係しない部分であるので、そ
の詳細な説明を省略する。
【0147】このように、本カメラ1が撮影準備状態
(図3・図4及び図8・図9に示す状態)にあるときに
は、焦点距離切換操作部材29を任意に操作して撮影レ
ンズ鏡筒17及びファインダ装置26を駆動させ、撮影
レンズ光学系17aが所望の焦点距離となるように設定
すると同時に、ファインダ装置26のファインダ光学系
を設定された撮影レンズ光学系17aの焦点距離に応じ
た画角を観察し得るように設定することができる。
【0148】そして、その後、実際の撮影動作を実行す
ることになる。この撮影動作は、シャッターボタン28
の押圧操作等によって開始される。この場合において
は、まずシャッターボタン28の一段目の操作によって
所定の測光動作及び測距動作がなされた後、次の二段目
の操作によってシャッター機構及び絞り機構等(図示せ
ず)を駆動させる露光動作が実行される。この撮影動作
は、一般的なカメラにおける通常の動作である。
【0149】この撮影動作が完了すると、モータ50
は、撮影済み部分のフイルム(撮影コマ)をフイルム巻
取室32へと送り出し、次の撮影コマ(フイルムの未撮
影部分)を所定の位置に設定するための1コマ分のフイ
ルム巻上動作を実行する。
【0150】フイルム巻上動作は、次のようにして実行
される。即ち、上述したように露光動作が完了し、その
旨を示す指示信号が生じると、まず切換プランジャ装置
76への通電が行なわれる。すると、プランジャ鉄芯7
6aは、図8に示す矢印X3方向へと移動する。これに
連動して切換レバー77は、回動軸部77a(ピン77
d)を回動中心として図9の反時計方向CCWへと回動
する。これにより、当該切換レバー77の係止部77c
は、第1遊星歯車列86の公転軌跡上の第1の位置から
退避する第2の位置へと移動して、図10に示す状態に
なる。
【0151】次いで、この状態を維持したままモータ5
0を図10の反時計方向CCWへと回転駆動させる。す
ると、モータ50の駆動力は、ピニオンギアー50a・
二段ギアー81を介して第1遊星歯車列86へと伝達さ
れ、その太陽ギアー82を反時計方向CCWへと回転さ
せる。これにより第1遊星歯車列86は、太陽ギアー8
2の回動軸周りに図10の反時計方向CCWへの公転を
開始する。そして、第1遊星ギアー84の小ギアー84
bが第2遊星歯車列91の太陽ギアー88の大ギアー8
8aに噛合すると、第1遊星歯車列86の公転は停滞す
る(図11参照)。
【0152】この状態になったときに、切換プランジャ
装置76への通電を中断すると、プランジャ鉄芯76a
の吸着状態が解放される。これにより、切換レバー77
は、ばね部材78の付勢力によって元の位置に復帰し
て、図11に示す状態になる。つまり、切換レバー77
の係止部77cが第1遊星歯車列86の公転軌跡内に侵
入してその公転を規制する規制位置に移動する。これに
よって、第1遊星歯車列86における所定の第1の位置
又は所定の第2の位置を維持するようにしている。
【0153】このときには、上述の第1遊星歯車列86
の公転に伴って第2遊星ギアー83とZギアー52の平
ギアー部52aとの噛合は解除されているので、モータ
50からの駆動力は、撮影レンズ鏡筒17・閃光発光装
置16・ファインダ装置26等の各構成ユニットの側へ
は伝達されない状態になっている。
【0154】この状態(図11の状態)においても、モ
ータ50は反時計方向CCWへの回転駆動を継続してい
る。したがって、モータ50からの駆動力は、第1遊星
ギアー84から第2遊星歯車列91を介して巻取スプー
ル34へと伝達される。
【0155】つまり、太陽ギアー82の反時計方向CC
Wへの回転は、第1遊星ギアー84を時計方向CWへと
回転させ、この第1遊星ギアー84は、第2遊星歯車列
91の太陽ギアー88を反時計方向CCWへと回転させ
る。すると、この太陽ギアー88は、第3遊星ギアー8
7を時計方向CWへと回転させ、この第3遊星ギアー8
7には、巻取スプール34のスプールギアー部34aが
噛合しているので、これを反時計方向CCW、即ち巻取
スプール34を巻上方向に回転させる。
【0156】このようにして、フイルム巻上動作が開始
された後、1コマ分の巻上動作が完了するとモータ50
の回転駆動が停止する。
【0157】続いて、本カメラ1を撮影準備状態に復帰
させるために、切換プランジャ装置76への通電を開始
する。これによって、プランジャ鉄芯76aが図11の
矢印X3方向へと移動して、切換レバー77は、回動軸
部77aを回動中心する反時計方向CCWへと回動す
る。すると、当該切換レバー77の係止部77cが、第
1遊星歯車列86の公転軌跡上から退避し、図10に示
す状態になる。
【0158】ここで、モータ50を時計方向CWへと回
転させる。これにより、モータ50の駆動力は、ピニオ
ンギアー50a・二段ギアー81・第1遊星歯車列86
へと伝達されて、その太陽ギアー82を時計方向CWへ
と回動させる。すると、第1遊星歯車列86は太陽ギア
ー82の回動軸周りに時計方向CWへの公転を開始す
る。これにより、第1遊星ギアー84と太陽ギアー88
との噛合が解除される一方、第2遊星ギアー83がZギ
アー52の平ギアー部52aに噛合して、図9の状態に
なる。
【0159】そして、第2遊星ギアー83とZギアー5
2の平ギアー部52aとの噛合状態が確保された時点で
モータ50の回転駆動を停止させると同時に、切換プラ
ンジャ装置76への通電を停止する。これにより、切換
レバー77は元の位置(規制位置)に復帰して図9の状
態になる。
【0160】このようにして、モータ50からの駆動力
が撮影レンズ鏡筒17・閃光発光装置16・ファインダ
装置26等の各構成ユニットの側へと伝達し得る状態と
なる。そして、この状態においては、上述したように焦
点距離切換操作部材29を任意に操作することで、撮影
レンズ光学系17aの変倍動作を実行することができる
ようになる。
【0161】次に、フイルム給送動作のうちフイルム巻
戻動作を実行する際の作用を、以下に説明する。フイル
ム巻戻動作が実行されるのは、例えば次のような場合で
ある。即ち、(1)カメラ1に装填されたフイルムカー
トリッジの内部のロール状フイルムにおける最終コマの
撮影動作が完了し、次の1コマ分のフイルム巻上動作を
行なったときに、このフイルム巻上動作を完全に実行し
得なかった場合、(2)カメラ1の使用者が、撮影途中
のフイルムを強制的に巻き戻すための途中巻戻操作部材
(図示せず)を操作した場合、等である。
【0162】この場合において、巻戻動作が開始される
直前のカメラ1の駆動力伝達装置の状態は、上述の
(1)の場合では図11に示す状態にある。また、上述
の(2)の場合では図9に示す状態にある。
【0163】上述の(2)の場合(図9に示す状態)に
おいて、フイルム巻戻動作を実行するためには、まず上
述した手順によって、モータ50からの駆動力がピニオ
ンギアー50a・二段ギアー81・第1遊星歯車列86
を介して第2遊星歯車列91へと伝達されている状態に
する。
【0164】つまり、駆動力切換機構を駆動させた後、
モータ50を所定の方向へと回転させて、第1遊星歯車
列86を反時計方向CCWへと公転させ、第1遊星歯車
列86の第1遊星ギアー84の小ギアー84bを第2遊
星歯車列91の太陽ギアー88の大ギアー88aに噛合
させる。この場合における具体的な作用は、上述してい
るので省略する。
【0165】一方、上述の(1)の場合には、図11に
示すように第1遊星歯車列86の第1遊星ギアー84の
小ギアー84bと第2遊星歯車列91の太陽ギアー88
の大ギアー88aとが噛合した状態にある。
【0166】したがって、この場合には、図11に示す
状態においてモータ50を時計方向CWへと回転させ
る。するとモータ50の駆動力は、ピニオンギアー50
a・二段ギアー81・第1遊星歯車列86を介して第2
遊星歯車列91へと伝達され、その太陽ギアー88は、
時計方向CWへと回転する。すると、第2遊星歯車列9
1は、太陽ギアー88の回動軸周りに時計方向CWへの
公転を開始する。これにより、第2遊星歯車列91の第
3遊星ギアー87と巻取スプール34のスプールギアー
部34aとの噛合状態が解除される一方、第3遊星ギア
ー89の大ギアー89aが平歯車92に噛合して、図1
2の状態になる。
【0167】このとき、第1遊星歯車列86も太陽ギア
ー82の回動軸周りに時計方向CWへと公転しようとす
る。しかし、切換レバー77の係止部77cは、当該第
1遊星歯車列86の公転軌跡上の規制位置にあって、第
1遊星歯車列86の第1キャリア85の被係止部85a
が切換レバー77の係止部77cを係止している。した
がって、第1遊星歯車列86の公転が規制されることに
より、第2遊星歯車列91の太陽ギアー88の大ギアー
88aと第1遊星歯車列86の第1遊星ギアー84の小
ギアー84bとの噛合状態は確保されている。
【0168】このようにして図12の状態に移行した後
も、モータ50の時計方向CWへの回転駆動を継続す
る。つまり、このとき第2遊星歯車列91の太陽ギアー
88は図12の時計方向CWへと回転しており、これに
噛合する第4遊星ギアー89は反時計方向CCWへと回
転する。これに噛合する平歯車92は時計方向CWへ、
これに噛合する平歯車93は反時計方向CCWへ、これ
に噛合する巻戻ギアー部35aは時計方向CWへとそれ
ぞれ回転する。これにより巻戻軸35は、所定の巻き戻
し方向へと回動する。
【0169】巻戻軸35には、フイルムカートリッジ収
納室33に収納されているフイルムカートリッジのスプ
ール軸(図示せず)が係合しており、これにより、スプ
ール軸を巻戻軸35と同方向へ回転させる。
【0170】一方、この状態においては、上述したよう
に第3遊星ギアー87と巻取スプール34のスプールギ
アー部34aとの噛合状態は解除されている。したがっ
て、巻取スプール34は回動自在な状態になっている。
これにより、巻戻軸35が巻戻方向に回転すると、フイ
ルム巻取室32の巻取スプール34に巻回されて、当該
フイルム巻取室32に収納されている撮影済み部分のロ
ール状フイルムは、フイルムカートリッジの内部へと巻
き戻される。そして、最後にフイルム巻戻動作が完了し
たことが所定の手段によって検出されると、モータ50
の回転駆動は停止する。
【0171】以上説明したように上記第1の実施形態に
よれば、切換レバー77は、一端側の係止部77cと他
端側の連結部77bとが離れた位置に配置されるように
形成し、カメラ1の正面側から見て撮影レンズ鏡筒17
の光軸より一方の側に配置される第1遊星歯車列86
(の被係止部85a)の近傍に係止部77cを、カメラ
1の正面側から見て撮影レンズ鏡筒17の光軸より他方
の側に配置される切換プランジャ装置76の近傍に連結
部77bを、それぞれ配設するようにしている。
【0172】したがって、切換プランジャ装置76を被
係止部85aから離れた位置に配設することが容易とな
り、よって駆動切換機構を構成する部材構成のより広い
自由度を得ることができる。そして、このことから効率
的な部材配置を行なうことが容易となり、かつ駆動切換
機構の複雑化を抑えることができると共に、カメラ1自
体の小型化設計も容易となる。
【0173】次に、本発明の第2の実施形態のカメラの
駆動切換機構について、以下に説明する。本実施形態の
構成は、基本的には上述の第1の実施形態と略同様の構
成からなり、駆動切換機構の構成が異なるのみである。
したがって、上述の第1の実施形態と同様の構成部材に
ついては同じ符号を付して、その詳細な説明は省略し、
異なる構成部材のみを、以下に説明する。
【0174】図13・図14・図15は、本発明の第2
の実施形態のカメラの駆動切換機構を含む駆動力伝達装
置を示す図である。このうち、図13は、本実施形態の
カメラの駆動切換機構を含む駆動力伝達装置の一部を取
り出して示す要部外観斜視図である。また、図14は、
本実施形態のカメラの駆動切換機構を含む駆動力伝達装
置を備えたカメラの内部の構成を正面側から見た際の要
部拡大図である。そして、図15は、本実施形態のカメ
ラの駆動切換機構を含む駆動力伝達装置を備えたカメラ
の底面側から見た際の平面図であって、遊星歯車機構が
モータの駆動力を第1の被駆動機構に伝達する第1の位
置にある状態を示している。
【0175】本実施形態の駆動切換機構である駆動力伝
達経路切換手段95Aは、図13〜図15に示すように
プランジャ鉄芯76a及びコイル76b等によって構成
される切換プランジャ装置76と、プランジャ鉄芯76
aの先端が連結される切換レバー第1部材77Aと、所
定のときに第1遊星歯車列86の第1キャリア85の被
係止部85aを係止する係止部77Bcを有する切換レ
バー第2部材77Bと、切換レバー第1部材77Aと切
換レバー第2部材77Bとを連結するヒモ状の連結部材
77C等によって構成されている。
【0176】切換プランジャ装置76は、上述の第1の
実施形態と全く同様のものが適用されている。切換レバ
ー第1部材77Aは略L字形状の部材よりなり、その基
端部には回動軸77Aaが植設されている。また、切換
レバー第1部材77Aの一腕部の先端には、プランジャ
鉄芯76aの先端が連結される連結部77Abが設けら
れ、他腕部77Aeの先端近傍には、連結部材77Cの
一端を連結するピン77Afが植設されている。そし
て、この切換レバー第1部材77Aは、回動軸77Aa
を回動中心としてカメラ1の固定部材(図示せず)に回
動自在に軸支されている。
【0177】なお、通常の場合において、切換レバー第
1部材77Aには、後述するばね部材78Bの付勢力が
作用しており、これにより、当該切換レバー第一部材7
7Aには、回動軸77Aaを回動中心とする図13の時
計方向CWへの回動力が働いている。そして、この回動
力は、連結部77Abに連結されるプランジャ鉄芯76
aによって規制されている。
【0178】したがって、切換プランジャ装置76に対
して通電がなされたときには、上述の第1の実施形態と
同様にプランジャ鉄芯76aが図13の矢印X3方向に
移動するが、これに伴って、切換レバー第1部材77A
は、ばね部材78Bの付勢力に抗して図13の反時計方
向CCWへと回動するようになっている。
【0179】切換レバー第2部材77Bは、上述の切換
レバー第1部材77Aと同様に略L字形状の部材よりな
り、その基端部には回動軸77Baが植設されている。
また、切換レバー第2部材77Bの一腕部の先端には、
所定のときに第1遊星歯車列86の第1キャリア85の
被係止部85aを係止する係止部77Bcが設けられ、
他腕部77Beの先端近傍には、連結部材77Cの他端
を連結するピン77Bfが植設されている。そして、こ
の切換レバー第2部材77Bは、回動軸77Baを回動
中心としてカメラ1の固定部材(図示せず)に回動自在
に軸支されている。
【0180】また、切換レバー第2部材77Bの回動軸
77Baには、ばね部材78Bが巻回されている。この
ばね部材78Bの一端は当該切換レバー第2部材77B
の所定の位置に掛止されており、他端はカメラ1の固定
部材(図示せず)に植設されるバネカケピン1eに掛止
されている。したがって、切換レバー第2部材77B
は、通常の場合には、ばね部材78Bの付勢力により回
動軸77Baを回動中心とする図13の時計方向CWへ
の回動力が働いている。そして、その回動力は、この切
換レバー第2部材77Bの係止部77Bcが設けられて
いる側の一腕部とカメラ1の固定部材(図示せず)に植
設されるピン1dとが当接することにより規制されてい
る。
【0181】連結部材77Cは、上述したようにヒモ状
の部材よりなり、一端が切換レバー第1部材77Aのピ
ン77Afに、他端が切換レバー第2部材77Bのピン
77Bfにそれぞれ連結されている。これにより、切換
レバー第1部材77Aと切換レバー第2部材77Bとを
連動して駆動するようになっている。
【0182】そして、切換レバー第2部材77Bは、切
換レバー第1部材77Aよりも質量(重量)が大きくな
るように設定されている。これは、カメラ1に対して外
部からの衝撃等の力量が加わった際に、切換レバー第1
部材77Aがプランジャ鉄芯76aの慣性力によって、
容易に回動するのを抑えるための措置である。
【0183】つまり、切換レバー第1部材77Aの回動
軸77Aa回りの回転モーメントと、切換レバー第2部
材77Bの回動軸77Ba回りの回転モーメントとが略
釣り合うように設定されている。
【0184】また、本実施形態においては、連結部77
Abを有する切換レバー第1部材77Aと係止部77B
cを有する切換レバー第2部材77Bとを互いに離れた
位置に配置すると共に、切換レバー第1部材77Aと切
換レバー第2部材77Bとが連動するように連結部材7
7Cによって連結している。
【0185】つまり、カメラ1の正面側から見て撮影レ
ンズ鏡筒17の光軸より一方の側に配置される第1遊星
歯車列86(の被係止部85a)の近傍に係止部77B
cを備えた切換レバー第2部材77Bと、カメラ1の正
面側から見て撮影レンズ鏡筒17の光軸より他方の側に
配置される切換プランジャ装置76の近傍に連結部77
Abを備えた切換レバー第1部材77Aが、それぞれ配
設されるようになっている。そして、両者は連結部材7
7Cによって連結されている。
【0186】したがって、切換レバー第1部材77Aと
切換レバー第2部材77Bとは、連結部材77Cによっ
て連結された形態で、カメラ1の正面側から見て撮影レ
ンズ鏡筒17の光軸より他方の側(切換プランジャ装置
76の側)から一方の側(第1遊星歯車列86の被係止
部85aの側)へと撮影レンズ鏡筒17の下側を跨がる
ようにして配置されている。
【0187】そして、切換プランジャ装置76は、カメ
ラ1の正面側から見て撮影レンズ鏡筒17とカメラ1の
底面とフイルムカートリッジ収納室33との間に形成さ
れる略三角状の空間に配置されている。
【0188】その他の構成部材については、上述の第1
の実施形態と全く同様である。このように構成された上
述の第2の実施形態の駆動切換機構の作用を、以下に説
明する。
【0189】この駆動切換機構である駆動力伝達経路切
換手段95Aは、モータ50からの駆動力を撮影レンズ
鏡筒17等の複数の構成ユニットの側へと伝達する駆動
力伝達経路(第1の被駆動機構)と、モータ50からの
駆動力をフイルム給送動作を行なうための駆動ユニット
への駆動力伝達経路(第2の被駆動機構)との切り換え
を行なうために設けられているものである。
【0190】この駆動力伝達経路切換手段95Aによっ
て、駆動力伝達経路を切り換える際には、まず切換プラ
ンジャ装置76への通電が行なわれる。すると、プラン
ジャ鉄芯76aが図13・図15の矢印X3方向へと移
動する。これに伴って、切換レバー第1部材77Aが回
動軸77Aaを回動中心として図13の反時計方向CC
Wへと回動する。この切換レバー第1部材77Aは、連
結部材77Cを介して切換レバー第2部材77Bに連結
されているので、当該切換レバー第1部材77Aの反時
計方向CCWへの回動力は、切換レバー第2部材77B
へと伝達される。これにより、切換レバー第2部材77
Bは、ばね部材78Bの付勢力に抗して、回動軸77B
aを回動中心とする図13の反時計方向CCWへと回動
する。このとき、切換レバー第2部材77Bの係止部7
7Bcは、第1遊星歯車列86の公転軌跡上から退避す
る退避位置へ移動する。
【0191】したがって、この状態において、モータ5
0を所定の方向に回転駆動させると、第1遊星歯車列8
6を太陽ギアー82の回動軸周りに公転させることがで
きるので、これにより駆動力伝達経路の切り換えを行な
う。本実施形態の駆動切換機構及び駆動力伝達装置にお
ける、その他の作用は、上述の第1の実施形態と全く同
様である。
【0192】以上説明したように上記第2の実施形態に
よれば、上述の第1の実施形態と全く同様の効果を得る
ことができる。
【0193】なお、上述の各実施形態においては、カメ
ラ1の正面側から見て撮影レンズ鏡筒17とカメラ1の
底面とフイルムカートリッジ収納室33との間に形成さ
れる略三角状の空間に切換プランジャ装置76を配置す
るようにしているが、これに限ることはない。
【0194】即ち、例えばカメラ1の正面側から見て撮
影レンズ鏡筒17とカメラ1の底面とフイルム巻取室3
2との間に形成される略三角状の空間に切換プランジャ
装置76を配置するようにしてもよい。この場合におい
ては、切換レバー77の形状や、第1遊星歯車列86の
被係止部85a等の他の構成部材の配置を適宜変更する
必要があるのは当然である。
【0195】[付記]上記発明の実施形態により、以下
のような構成の発明を得ることができる。
【0196】(1) カメラの底面側に配設される駆動
力伝達装置内に設けられたカメラの駆動切換機構におい
て、正逆回転可能なモータと、カメラの正面側から見て
撮影レンズ鏡筒の光軸より一方の側に配置され、上記モ
ータの駆動力を第1の被駆動機構に伝達する第1の位置
と第2の被駆動機構に伝達する第2の位置との間を太陽
歯車の周りを公転することで切り換え移動する遊星歯車
を有する遊星歯車機構と、上記遊星歯車機構の遊星歯車
の公転軌跡近傍に設けられ、上記モータにより駆動され
る上記遊星歯車機構の遊星歯車を上記第1の位置又は上
記第2の位置にある状態に維持するように上記遊星歯車
の公転軌跡内に侵入して上記遊星歯車の公転を規制する
規制位置と上記遊星歯車機構の遊星歯車が上記第1の位
置と上記第2の位置とに選択的に切換自在な状態となる
ように上記遊星歯車の公転軌跡内から退避して上記遊星
歯車の公転を可能にする退避位置とに移動自在な係止部
材と、カメラの正面側から見て撮影レンズ鏡筒の光軸よ
り他方の側に配置され、上記係止部材を上記規制位置と
上記退避位置とに選択的に移動させるための切換アクチ
ュエータと、カメラの正面側から見て撮影レンズ鏡筒の
光軸より他方の側から一方の側へと上記撮影レンズ鏡筒
の下側を跨がるようにして配置され、上記切換アクチュ
エータの駆動変位を上記係止部材に伝達する連結部材
と、を具備するカメラの駆動切換機構。
【0197】(2) 付記(1)において、上記係止部
材は、カメラの正面側から見て撮影レンズ鏡筒の光軸よ
り他方の側から一方の側へと上記撮影レンズ鏡筒の下側
を跨がるようにして配置されている。
【0198】(3) 付記(1)において、上記連結部
材はヒモ状の部材である。
【0199】(4) カメラの底面側に配設される駆動
力伝達装置内に設けられたカメラの駆動切換機構におい
て、正逆回転可能なモータと、カメラの正面側から見て
撮影レンズ鏡筒の光軸より一方の側に配置され、上記モ
ータの駆動力を第1の被駆動機構に伝達する第1の位置
と第2の被駆動機構に伝達する第2の位置との間を太陽
歯車の周りを公転することで切り換え移動する遊星歯車
を有する遊星歯車機構と、上記モータにより駆動される
上記遊星歯車機構の遊星歯車を上記第1の位置又は上記
第2の位置にある状態に維持するように上記遊星歯車の
公転軌跡内に侵入して上記遊星歯車の公転を規制する規
制位置と上記遊星歯車機構の遊星歯車を上記第1の位置
と上記第2の位置とに選択的に切換自在な状態となるよ
うに上記遊星歯車の公転軌跡外へと退避して上記遊星歯
車の公転を可能にする退避位置とに移動する係止部材
と、カメラの正面側から見て撮影レンズ鏡筒の光軸より
他方の側に配置され、上記係止部材を上記規制位置と上
記退避位置とに選択的に移動させる切換プランジャ装置
と、を具備するカメラの駆動切換機構。
【0200】(5) 付記(4)において、上記切換プ
ランジャ装置は、カメラの正面側から見て上記撮影レン
ズ鏡筒とカメラの底面とフイルムカートリッジ収納室又
はフイルム巻取室との間に形成される略三角状の空間に
おいて、上記撮影レンズ鏡筒の光軸に沿う方向に対して
略平行となる方向に駆動変位するようにプランジャ鉄芯
が配置されている。
【0201】(6) 付記(4)において、上記係止部
材は、回動軸周りに揺動可能に配設されたレバー部材で
あって、当該回動軸に対して一端に形成され上記切換プ
ランジャ装置のプランジャ鉄芯に係合した状態で略一体
的に変位移動する係合部と、上記回動軸に対して他端に
形成され上記規制位置と上記退避位置とに移動する係止
部とを有する。
【0202】
【発明の効果】以上述べたように本発明によれば、切換
プランジャ装置を利用して駆動力伝達経路の駆動方向を
切り換えるようにしたカメラの駆動切換機構において、
切換プランジャ装置により駆動される駆動切換機構と切
換プランジャ装置との配置を工夫して、より効率的な部
材配置を実現し、よって駆動切換機構を構成する構成部
材の配置のより広い自由度を得るようにすると共に、機
構自体の複雑化を防ぎ、同時にカメラの小型化にも寄与
し得るカメラの駆動切換機構を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態の駆動切換機構を備えたカ
メラの概略を示す外観斜視図。
【図2】図1のカメラの駆動力伝達装置を拡大して示す
要部拡大図であって、本カメラの撮影レンズ鏡筒が沈胴
位置にある沈胴状態を示す図。
【図3】図1のカメラの駆動力伝達装置を拡大して示す
要部拡大図であって、本カメラが撮影準備状態にあって
撮影レンズ鏡筒が最短焦点距離位置(ワイド位置)にあ
るワイド(Wide)状態を示す図。
【図4】図1のカメラの駆動力伝達装置を拡大して示す
要部拡大図であって、本カメラの撮影レンズ鏡筒が最長
焦点距離位置(テレ位置)にあるテレ(Tele)状態
を示す図。
【図5】図1のカメラにおける閃光発光装置とその駆動
機構の詳細を示し、本閃光発光装置とこれを突没させる
閃光発光装置駆動機構の一部を取り出して示す分解斜視
図。
【図6】図1のカメラにおける閃光発光装置とその閃光
発光装置駆動機構のみを拡大して示す要部拡大図であっ
て、閃光発光装置が収納位置にある状態を示す図。
【図7】図1のカメラにおける閃光発光装置とその閃光
発光装置駆動機構のみを拡大して示す要部拡大図であっ
て、閃光発光装置が突出位置にある状態を示す図。
【図8】図1のカメラにおける駆動切換機構を含む駆動
力伝達装置の一部を示し、フイルム給送動作を行なうた
めの駆動力伝達経路を構成する構成部材と駆動力伝達経
路を切り換えるための駆動力伝達経路切換手段のみを取
り出して示す要部外観斜視図。
【図9】図1のカメラにおける駆動切換機構を含む駆動
力伝達装置の底面側からの外観を示す平面図であって、
遊星歯車機構がモータの駆動力を第1の被駆動機構に伝
達する第1の位置にある状態を示す図。
【図10】図1のカメラにおける駆動切換機構を含む駆
動力伝達装置の底面側からの外観を示す平面図であっ
て、図9の状態から駆動切換機構が退避位置に移動した
状態を示す図。
【図11】図1のカメラにおける駆動切換機構を含む駆
動力伝達装置の底面側からの外観を示す平面図であっ
て、遊星歯車機構がモータの駆動力を第2の被駆動機構
に伝達する第2の位置にあって、かつフイルム巻上動作
時の状態を示す図。
【図12】図1のカメラにおける駆動切換機構を含む駆
動力伝達装置の底面側からの外観を示す平面図であっ
て、遊星歯車機構がモータの駆動力を第2の被駆動機構
に伝達する第2の位置にあって、かつフイルム巻戻動作
時の状態を示す図。
【図13】本発明の第2の実施形態のカメラの駆動切換
機構を含む駆動力伝達装置の一部を取り出して示す要部
外観斜視図。
【図14】本発明の第2の実施形態のカメラの駆動切換
機構を含む駆動力伝達装置を備えたカメラの内部の構成
を正面側から見た際の要部拡大図。
【図15】本発明の第2の実施形態のカメラの駆動切換
機構を含む駆動力伝達装置を備えたカメラの底面側から
見た際の平面図であって、遊星歯車機構がモータの駆動
力を第1の被駆動機構に伝達する第1の位置にある状態
を示す図。
【符号の説明】
1……カメラ 11……前カバー 12……後カバー 13……後蓋 14……スライドバリア部材 15……電池室蓋 16……閃光発光装置 17……撮影レンズ鏡筒 17b……ギアー部 26……ファインダ装置 32……フイルム巻取室 33……フイルムカートリッジ収納室 34……巻取スプール 34a……スプールギアー部 35……巻戻軸 35a……巻戻ギアー部 50……モータ(駆動源) 50a……ピニオンギアー 51……ギアー列(伝達歯車列) 52……Zギアー(伝達歯車列) 52a……平ギアー部(Zギアー;伝達歯車列) 52b……斜歯ギアー部(Zギアー;伝達歯車列) 53……斜歯ギアー 54……平ギアー 55……撮影レンズ鏡筒駆動歯車(駆動歯車) 56……位相連結歯車 57……リングギアー(ファインダ装置駆動歯車、ギア
ーリング部材) 58……閃光発光装置突没歯車(閃光発光装置駆動歯
車) 58a……歯車部 58b……カム部材 58c……カム部 58d……軸 69……閃光発光装置駆動機構 76……切換プランジャ装置(駆動切換機構;切換アク
チュエータ) 76a……プランジャ鉄芯(変位可動部材;切換プラン
ジャ装置) 76b……コイル(切換プランジャ装置) 77……切換レバー(係止部材;駆動力伝達経路切換手
段) 77A……切換レバー第1部材 77a・77Aa……回動軸 77b・77Ab……連結部 77B……切換レバー第2部材 77Ba……回動軸 77c・77Bc……係止部 77C……連結部材 78・78B……ばね部材 81……二段ギアー(伝達歯車列) 82……太陽ギアー(太陽歯車) 83……第2遊星ギアー(遊星歯車) 84……第1遊星ギアー(遊星歯車) 86……第1遊星歯車列(遊星歯車機構) 87……第3遊星ギアー(遊星歯車) 89……第4遊星ギアー(遊星歯車) 91……第2遊星歯車列(遊星歯車機構) 95・95A……駆動力伝達経路切換手段(駆動切換機
構;切換アクチュエータ)
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成13年7月2日(2001.7.2)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0053
【補正方法】変更
【補正内容】
【0053】固定歯車71は、ファインダ装置26の内
部の固定部材(図示せず)に回動自在に配設される二段
ギアー72の大ギアー72aに噛合しており、この二段
ギアー72の小ギアー72bは、ファインダ装置26の
内部において回動自在に配設されるファインダカムギア
ー73に噛合している。このファインダカムギアー73
には、所定のカム手段(図示せず)が形成されていて、
ファインダ装置26の内部に配設される複数のファイン
ダ光学系の一部を駆動し、必要に応じて所定の方向(当
該ファインダ光学系の光軸に沿う方向)に所定量だけ移
動させることができるようになっている。このようにし
て、平ギアー54を回動させるモータ50からの駆動力
は、リングギアー57・固定歯車71を介してファイン
ダ装置26へと伝達され、当該ファインダ装置26にお
いて、二段ギアー72・ファインダカムギアー73を回
動させることでファインダ光学系が駆動するようになっ
ている。
【手続補正2】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図2
【補正方法】変更
【補正内容】
【図2】
【手続補正3】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図3
【補正方法】変更
【補正内容】
【図3】
【手続補正4】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図4
【補正方法】変更
【補正内容】
【図4】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G03B 15/03 G03B 15/03 J 2H101 K 15/05 15/05 17/02 17/02 17/04 17/04 // G03B 11/04 11/04 B Fターム(参考) 2H020 MA07 MC22 MC28 MC32 MC33 MC34 MC35 MC44 MC92 MC94 MD10 ME03 ME14 ME23 2H044 DB02 DD08 DD11 2H053 CA42 CA45 CA46 2H083 CC02 CC03 CC04 CC06 CC23 CC32 CC53 CC55 2H100 AA31 AA33 AA61 BB05 BB06 BB07 BB09 2H101 BB02 BB04 BB05 BB08 BB10

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 カメラの底面側に配設される駆動力伝
    達装置内に設けられたカメラの駆動切換機構において、 正逆回転可能なモータと、 カメラの正面側から見て撮影レンズ鏡筒の光軸より一方
    の側に配置され、上記モータの駆動力を第1の被駆動機
    構に伝達する第1の位置と第2の被駆動機構に伝達する
    第2の位置との間で太陽歯車の周りを公転することで切
    り換え移動する遊星歯車を備えた遊星歯車機構と、 上記モータにより駆動される上記遊星歯車機構の遊星歯
    車を上記第1の位置又は上記第2の位置にある状態に維
    持するように上記遊星歯車の公転軌跡内に侵入して上記
    遊星歯車の公転を規制する規制位置と、上記遊星歯車機
    構の遊星歯車が上記第1の位置と上記第2の位置とに選
    択的に切り換え自在な状態となるように上記遊星歯車の
    公転軌跡外へと退避して上記遊星歯車の公転を可能にす
    る退避位置とに移動する係止部材と、 カメラの正面側から見て撮影レンズ鏡筒の光軸より他方
    の側に配置され、上記係止部材を上記規制位置と上記退
    避位置とに選択的に移動させる切換アクチュエータと、 を具備することを特徴とするカメラの駆動切換機構。
  2. 【請求項2】 上記係止部材は、カメラの正面側から
    見て上記撮影レンズ鏡筒の光軸より他方の側から一方の
    側へと上記撮影レンズ鏡筒の下側を跨がるようにして配
    置されていることを特徴とする請求項1に記載のカメラ
    の駆動切換機構。
  3. 【請求項3】 上記切換アクチュエータは、カメラの
    正面側から見て上記撮影レンズ鏡筒とカメラの底面とフ
    イルムカートリッジ収納室又はフイルム巻取室との間に
    形成される略三角状の空間に配置されていることを特徴
    とする請求項1に記載のカメラの駆動切換機構。
JP2000399109A 2000-12-27 2000-12-27 カメラの駆動切換機構 Withdrawn JP2002202554A (ja)

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