JP2002202552A - カメラの駆動力伝達装置 - Google Patents

カメラの駆動力伝達装置

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JP2002202552A
JP2002202552A JP2000399107A JP2000399107A JP2002202552A JP 2002202552 A JP2002202552 A JP 2002202552A JP 2000399107 A JP2000399107 A JP 2000399107A JP 2000399107 A JP2000399107 A JP 2000399107A JP 2002202552 A JP2002202552 A JP 2002202552A
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gear
driving
driving force
camera
light emitting
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JP2000399107A
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English (en)
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Yoshihiro Yokomae
義浩 横前
Hideaki Matsune
英明 松音
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Olympus Corp
Original Assignee
Olympus Optical Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】単一の駆動源により複数の駆動ユニットを駆動
させるカメラの駆動力伝達装置において、組立時に必要
な各駆動ユニットの駆動位相の設定作業を容易にし効率
的に組み立てを行ない得るカメラの駆動力伝達装置を提
供する。 【解決手段】正転及び逆転の駆動力を発生する単一の駆
動源50により撮影レンズ鏡筒17とファインダ装置2
6と閃光発光装置16とを駆動させるようにしたカメラ
の駆動力伝達装置において、駆動源からの駆動力を撮影
レンズ鏡筒へ伝達する駆動歯車55と、撮影レンズ鏡筒
に対してファインダ装置及び閃光発光装置の駆動位相を
それぞれ合わせてから組み込まれる歯車であって組み込
まれることによって駆動歯車に連結されると共に駆動源
からの駆動力をそれぞれ独立して設けられるファインダ
装置と閃光発光装置とに伝達する位相連結歯車56とを
具備する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、カメラの駆動力
伝達装置、詳しくは沈胴式であってかつ変倍自在に構成
される撮影レンズ光学系を備えた撮影レンズ鏡筒と、こ
れに連動して動作するファインダ装置及び閃光発光装置
等と、フイルム給送機構とを単一の駆動源によって駆動
させるためのカメラの駆動力伝達装置に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】従来より、写真撮影等を行なうカメラ等
(以下、単にカメラという)においては、携帯時等の不
使用時には撮影レンズ光学系を保持する回転枠等からな
る撮影レンズ鏡筒をカメラ本体内部の所定の位置に収納
し、撮影動作時には当該撮影レンズ鏡筒をカメラ本体内
部から同レンズ鏡筒内部に配置される撮影レンズ光学系
の光軸に沿う方向へと繰り出して撮影準備状態となる所
定の位置に突出させ、さらに撮影レンズ光学系の変倍動
作のために当該撮影レンズ鏡筒を所定の範囲内で移動さ
せるように構成したいわゆる沈胴式のズームレンズ鏡筒
を備えたものが一般的に実用化されている。
【0003】このような従来の沈胴式ズームレンズ鏡筒
を備えたカメラ(以下、沈胴式ズームカメラという)に
おいては、撮影レンズ鏡筒が沈胴位置から撮影準備位置
へと繰り出されるときに、これに連動させてカメラ本体
に内蔵される閃光発光装置をカメラ本体内部の収納位置
から突出させるようにしたものがある。
【0004】また、従来の沈胴式ズームカメラにおいて
は、撮影準備状態にあるとき、即ち撮影レンズ光学系の
変倍動作を実行し得る状態にあるときに、所定の操作を
行なうことによって変倍動作を実行させると、これに応
じてファインダ装置のファインダ光学系が連動して駆動
され、設定される撮影レンズ光学系の焦点距離に応じた
画角を観察し得る位置にファインダ光学系を設定するよ
うにしたいわゆるズームファインダ方式のファインダ装
置についても一般的に実用化されている。
【0005】このように、従来の沈胴式ズームカメラに
おいては、不使用時の状態である沈胴位置から撮影準備
状態の端点となる最短焦点距離位置へと撮影レンズ鏡筒
を移動させる際には、これに連動させて閃光発光装置を
駆動して収納位置から突出位置へと移動させると共に、
撮影準備状態にあるときに、所定の変倍動作を実行した
ときには、撮影レンズ光学系の最短焦点距離位置と設定
し得る最長焦点距離位置との間の範囲内で自在に撮影レ
ンズ鏡筒を移動させるのに連動させてファインダ装置の
ファインダ光学系を駆動して、これを撮影レンズ光学系
の焦点距離に応じた所定の位置に移動させるようになっ
ている。
【0006】そして、これらの構成部材、即ち撮影レン
ズ鏡筒とファインダ装置と閃光発光装置等の複数の駆動
ユニットを単一のモータ等の駆動源により生じる駆動力
によって、所定のときにそれぞれの駆動ユニットを確実
に駆動させるための駆動力伝達装置について、従来より
種々の提案がなされ、また実用化されている。
【0007】例えば、図9は、従来の沈胴式ズームカメ
ラにおける駆動力伝達装置の一例を概略的に示す図であ
る。
【0008】この沈胴式ズームカメラの駆動力伝達装置
は、図9に示すように単一の駆動源であるモータ150
から発生される駆動力を、複数のギアー列等からなる伝
達手段によって撮影レンズ鏡筒117と閃光発光装置1
16とファインダ装置126のそれぞれに伝達するよう
に工夫されている。
【0009】即ち、当該駆動力伝達装置は、モータ15
0と、このモータ150の駆動軸に固設されるピニオン
ギアー150aと、このピニオンギアー150aに噛合
する小歯車202と、この小歯車202及び最終歯車2
03とを含む第1歯車列201と、両端にギアー部21
2・213を備えモータ150の駆動力を閃光発光装置
116の側と撮影レンズ鏡筒117及びファインダ装置
126の側へと分割する第1駆動軸部材211と、この
第1駆動軸部材211の一方のギアー部212に噛合す
る平歯車205aと、これに連結され後述する第2歯車
列204の端ギアー204aに噛合するウォームギアー
205bと、ウォームギアー205bに噛合してモータ
150からの駆動力を閃光発光装置116の側へと伝達
する第2歯車列204と、この第2歯車列204の端ギ
アー206に連結される閃光発光装置116の突没機構
210と、上述の第1駆動軸部材211の他方のギアー
部213に噛合してモータ150からの駆動力を撮影レ
ンズ鏡筒117へと伝達する第3歯車列155と、両端
にギアー部215・216を備え上述の第1駆動軸部材
211を介して伝達されるモータ150からの駆動力を
ファインダ装置126の側へと伝達する第2駆動軸部材
214と、この第2駆動軸部材214の一方のギアー部
216に噛合してモータ150からの駆動力をファイン
ダ装置126へと伝達する歯車217と、この歯車21
7に噛合してファインダ光学系126aを駆動するカム
部材126b等によって構成されている。
【0010】第1駆動軸部材211の一端に固設される
ギアー部212には、第1歯車列201の最終歯車20
3が噛合していると共に、モータ150からの駆動力を
閃光発光装置116の側へと伝達する平歯車205aが
噛合している。また、第1駆動軸部材211の他端に固
設されるギアー部213には、撮影レンズ鏡筒駆動歯車
列155の端ギアー155aが噛合していると同時に、
第2駆動軸部材214の他方のギアー部215が噛合し
ている。
【0011】第2駆動軸部材214の一端に固設される
ギアー部215には、第1駆動軸部材211のギアー部
213が噛合しており、他端に固設されるギアー部21
6には、上述の歯車217が噛合している。
【0012】閃光発光装置116の突没機構210は、
第2歯車列204の端ギアー206に噛合するラック部
材207と、このラック部材207が当接する一端を有
していて支持軸208aを回転中心として回動自在に軸
支されるレバー部材208と、このレバー部材208の
他端に当接し、当該レバー部材208により押し上げら
れることで閃光発光装置116を突没させる連結部材2
09と、レバー部材208を所定の方向(図9の符号X
1方向)に付勢する第1ばね部材208bと、閃光発光
装置116を所定の収納位置に保持するように所定の方
向(図9の符号X2方向)に付勢する第2ばね部材11
6b等によって構成されている。
【0013】なお、閃光発光装置116は、一端部に設
けられる軸部116aにおいて、カメラ本体側の固定部
材に対して回動自在に軸支されている。
【0014】このように構成された従来の沈胴式ズーム
カメラの駆動力伝達装置は、次のように作用する。ま
ず、モータ150が所定の操作によって生じる指示信号
にしたがって所定の方向への回転駆動を開始すると、そ
の駆動力は当該モータ150の駆動軸に固設されるピニ
オンギアー150aを回動させ、これに噛合する小歯車
202を介して第1歯車列201へと伝達され、その最
終歯車203から出力される。この歯車203には第1
駆動軸部材211のギアー部212が噛合しているの
で、モータ150の駆動力は、第1駆動軸部材211を
回転駆動させると同時に、ギアー部212に噛合する平
歯車205aを回動させ、これに連結されるウォームギ
アー205bを回転させる。すると、このウォームギア
ー205bに噛合する第2歯車列204の端ギアー20
4aから第2歯車列204を介して閃光発光装置116
の側へとモータ150からの駆動力が伝達される。
【0015】こうして閃光発光装置116の側へと伝達
されたモータ150の駆動力は、第2歯車列204の端
ギアー206を反時計方向CCWへと回転させる。する
と、ラック部材207は、第1ばね部材208bの付勢
力(図9の矢印X1方向)に抗して図9に示す矢印X0
方向へと移動する。これによって、レバー部材208
は、支持軸208aを回転中心として反時計方向CCW
へと回動し連結部材209を上方へと押し上げる。そし
て、この連結部材209は、閃光発光装置116を第2
ばね部材116bの付勢力に抗して押し上げる。これに
より閃光発光装置116は、支持軸116aを回転中心
として反時計方向CCWへと回動し所定の突出位置に配
置される。
【0016】一方、第1駆動軸部材211を回転させる
モータ150の駆動力は、第1駆動軸部材211のギア
ー部213を介して撮影レンズ鏡筒117の側とファイ
ンダ装置126の側へと伝達される。即ち、第1駆動軸
部材211のギアー部213には、第3歯車列155の
端ギアー155aが噛合しており、この第3歯車列15
5の他端ギアー155bには、撮影レンズ鏡筒117の
外周側の一部に形成されるギアー部117bに噛合して
いる。これにより、モータ150からの駆動力は撮影レ
ンズ鏡筒117を回転駆動させる。
【0017】さらに、これと同時に、第1駆動軸部材2
11のギアー部213には、第2駆動軸部材214のギ
アー部215が噛合しており、第2駆動軸部材214の
ギアー部216には歯車217が噛合している。これに
より、歯車217が回動することによりカム部材126
bを所定の方向に回動させる。そして、モータ150の
回転駆動力は、ファインダ装置126のファインダ光学
系を駆動する。
【0018】以上のように、上記従来の沈胴式ズームカ
メラの駆動力伝達装置においては、単一のモータ150
の駆動力が、閃光発光装置116・撮影レンズ鏡筒11
7・ファインダ装置126のそれぞれの構成ユニットへ
と同時に伝達されるように構成されている。
【0019】この場合において、モータ150の駆動力
を各駆動ユニットへと伝達する際に、各駆動ユニットの
それぞれが最適な時期にそれぞれ駆動されるように、駆
動力伝達装置の駆動位相を設定する必要がある。
【0020】図10は、上記従来の沈胴式ズームカメラ
における各駆動ユニットの動作タイミングを示す線図で
ある。
【0021】まず、カメラの状態が非撮影状態であっ
て、撮影レンズ鏡筒117(撮影レンズ光学系)が沈胴
位置にある状態(図10の符号C)において、モータ1
50を回動させて、撮影レンズ鏡筒117(撮影レンズ
光学系)を当該カメラの撮影準備状態となる最短焦点距
離位置(ワイド端;図10の符号W)へと移動させる。
ここで、沈胴位置Cから最短焦点距離位置Wとの間の駆
動領域を沈胴領域という。
【0022】この沈胴領域においては、撮影レンズ鏡筒
117(撮影レンズ光学系)は、所定の駆動がなされる
が、ファインダ装置126のファインダ光学系は駆動さ
れない。一方、閃光発光装置116は、カメラの内部に
収納される収納位置から所定の突出位置へと移動する突
出動作(ポップアップ動作)がなされる。このポップア
ップ動作は、沈胴領域の範囲内で行なわれるように設定
されている。例えば、撮影レンズ光学系が駆動を開始し
た後に閃光発光装置116の駆動が開始し、撮影レンズ
光学系が最短焦点距離位置Wに設定される時点より以前
に動作が完了しているように設定されている。
【0023】次に、カメラが撮影準備状態にあるとき、
即ち撮影レンズ光学系が最短焦点距離位置Wにあるとき
に、所定の操作、即ちズーム操作がなされると、撮影レ
ンズ光学系は所定の変倍動作(ズーム動作)を開始す
る。このズーム動作が可能な領域、即ち撮影レンズ光学
系が最短焦点距離位置Wに設定されている位置から所定
の最長焦点距離位置(テレ端;図10の符号T)までの
間の駆動領域をズーム領域という。
【0024】上述のように撮影レンズ光学系が所定の変
倍動作(ズーム動作)を開始すると、これに連動してフ
ァインダ装置126のファインダ光学系も所定の変倍動
作(ズーム動作)を実行する。これにより、設定される
撮影レンズ光学系の焦点距離位置に応じた画角によるフ
ァインダ像を観察し得るようにファインダ光学系が設定
される。一方、ズーム領域において閃光発光装置116
は、ポップアップ状態を維持し、その突出位置を保持し
続けるように設定される。
【0025】なお、閃光発光装置116については、突
没させる方式のものを例に挙げて説明しているが、これ
とは別に、撮影レンズ光学系のズーム動作に連動させ
て、撮影レンズ光学系の画角に応じた照射角度となるよ
うに閃光発光装置を駆動するようにした構成のものも、
一般的に実用化されている。
【0026】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上述した従
来の沈胴式ズームカメラにおける駆動力伝達装置では、
単一の駆動源(モータ)によって撮影レンズ鏡筒・ファ
インダ装置・閃光発光装置等の複数の駆動ユニットを駆
動させるようにするために、モータから各駆動ユニット
への複数の駆動力伝達経路が複雑に構成されていること
から、駆動力伝達経路上の各歯車等の噛合状態等によっ
て規定される各駆動ユニットの駆動位相を考慮して駆動
力伝達装置の組み立て作業を行ない、各駆動ユニットの
それぞれの駆動時期を確実に設定するための手順も煩雑
なものになっている。
【0027】例えば、上述の沈胴式ズームカメラにおい
ては、次のような組み立て手順が必要となる。即ち、ま
ず撮影レンズ鏡筒117の基準位置(例えば沈胴位置)
を決め、この基準位置に応じた所定の位置となるように
ファインダ装置126と閃光発光装置116とをそれぞ
れ設定することになる。
【0028】具体的には、まずモータ150から各駆動
ユニットへの各駆動力伝達経路中の所定の歯車を除いて
他の部分を組み立てる。ここで所定の歯車としては、例
えばモータ150から撮影レンズ鏡筒117への駆動力
伝達経路においては、第3歯車列155の端ギアー15
5aを、モータ150からファインダ装置126への駆
動力伝達経路においては歯車217を、モータ150か
ら閃光発光装置116への駆動力伝達経路においては第
2歯車列204の端ギアー204aとする。つまり、こ
れら三つの歯車を組み込んでいない状態では、各駆動ユ
ニットは、モータ150に対して連結されていない状態
にある。
【0029】このような状態において、まず撮影レンズ
鏡筒117を基準位置となる所定の沈胴位置に設定した
後、第3歯車列155の端ギアー155aを組み込む。
これによりモータ150と撮影レンズ鏡筒117との間
の連結が確保され、撮影レンズ鏡筒117への駆動力伝
達経路が構成される。
【0030】次に、ファインダ装置126のファインダ
光学系を基準位置となる所定の位置に設定する。この所
定の位置とは、例えば撮影レンズ光学系の沈胴位置に対
応する位置として決められ、撮影レンズ光学系の最短焦
点距離位置Wにも相当する状態である(図10参照)。
そして、歯車217を組み込むことによって、モータ1
50とファインダ装置126との間の連結が確保され、
ファインダ装置126への駆動力伝達経路が構成され
る。これによりファインダ装置126は、撮影レンズ鏡
筒117に連動して所定のズーム動作を行ない得る状態
になる。
【0031】次いで、閃光発光装置116を基準位置と
なる所定の収納位置に設定する。この収納位置は、閃光
発光装置116がカメラの内部に収納された状態であっ
て、撮影レンズ光学系の沈胴位置C(図10参照)に対
応する位置である。そして、第2歯車列204の端ギア
ー204aを組み込む。これにより、モータ150と閃
光発光装置116との間の連結が確保され、閃光発光装
置116への駆動力伝達経路が構成される。
【0032】このように従来の沈胴式ズームカメラの駆
動力伝達装置においては、駆動源の駆動力を複数の駆動
ユニットへと伝達する際の駆動位相を合わせるために
は、各駆動ユニット毎にそれぞれの基準となる位置を設
定した後、各駆動ユニットへの駆動力伝達経路を構成す
る必要がある。
【0033】上述した従来の沈胴式ズームカメラにおい
ては、撮影レンズ光学系を基準とした場合には、ファイ
ンダ装置126と閃光発光装置116との駆動位相を設
定するために、二つの歯車(歯車217・端ギアー20
4a)をそれぞれ別途に順次組み込む手順が必要とな
る。したがって、製造工程が煩雑化してしまい、ひいて
は製造コストの負荷が増大するという問題点がある。
【0034】一方、上記従来の沈胴式ズームカメラの駆
動力伝達装置においては、閃光発光装置116は、沈胴
領域でのポップアップ動作のために所定の駆動力が必要
である一方、ズーム領域においては閃光発光装置116
を駆動させる必要は無く、その突出状態が確保されてい
る状態にあればよい。
【0035】しかし、当該駆動力伝達装置においては、
モータ150と閃光発光装置116との間の駆動力伝達
経路は常に確保されている状態にある。つまり、レバー
部材208が連結部材209を押し上げる際に、レバー
部材208の連結部材209との当接面がカメラの固定
部材100に当接した時点でレバー部材208の回動を
停滞させると共に、この状態を保持するように構成され
ている。そして、レバー部材208の連結部材209と
の当接面がカメラの固定部材100に当接した時点以後
においても、モータ150からの駆動力は伝達され続
け、第2歯車列204の端ギアー206を回転駆動さ
せ、ラック部材207を図9の矢印X0方向へと移動さ
せることになる。
【0036】したがって、図9に示す従来のカメラの駆
動力伝達装置では、閃光発光装置116が駆動されない
領域においても、ラック部材207が移動するのに伴う
空間を確保しておく必要があるという問題点がある。
【0037】本発明は、上述した点に鑑みてなされたも
のであって、その目的とするところは、単一の駆動源に
よって撮影レンズ鏡筒・ファインダ装置・閃光発光装置
等の複数の駆動ユニットを駆動させるように構成したカ
メラの駆動力伝達装置において、組立時に必要となる各
駆動ユニットの駆動位相の設定作業を容易にし、効率的
に組み立てを行なうことができるようにしたカメラの駆
動力伝達装置を提供することである。
【0038】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、第1の発明によるカメラの駆動力伝達装置は、正転
及び逆転の駆動力を発生する単一の駆動源により撮影レ
ンズ鏡筒とファインダ装置と閃光発光装置とを駆動させ
るようにしたカメラの駆動力伝達装置において、上記駆
動源からの駆動力を上記撮影レンズ鏡筒へ伝達する駆動
歯車と、上記撮影レンズ鏡筒に対して上記ファインダ装
置及び上記閃光発光装置の駆動位相をそれぞれ合わせて
から組み込まれる歯車であって、組み込まれることによ
って上記駆動歯車に連結されると共に、上記駆動源から
の駆動力をそれぞれ独立して設けられる上記ファインダ
装置と上記閃光発光装置とに伝達する位相連結歯車とを
具備することを特徴とする。
【0039】また、第2の発明によるカメラの駆動力伝
達装置は、正転及び逆転の駆動力を発生する単一の駆動
源と、撮影レンズ鏡筒に連結され回転することにより当
該撮影レンズ鏡筒を駆動するための撮影レンズ鏡筒駆動
歯車と、ファインダ装置に連結され回転することにより
当該ファインダ装置を駆動するためのファインダ装置駆
動歯車と、閃光発光装置に連結され回転することにより
当該閃光発光装置を駆動するための閃光発光装置駆動歯
車と、上記駆動源からの駆動力を上記撮影レンズ鏡筒駆
動歯車へ伝達する伝達歯車列と、組み付けされることに
より上記伝達歯車列と上記ファインダ装置駆動歯車と上
記閃光発光装置駆動歯車とに噛合して、これら三つの部
材の間を連結する位相連結歯車とを具備することを特徴
とする。
【0040】そして、第3の発明によるカメラの駆動力
伝達装置は、正転及び逆転の駆動力を発生する単一の駆
動源と、歯車部を備え撮影レンズの光軸周りに回動する
ことにより撮影レンズ鏡筒が有する撮影レンズの焦点距
離を可変とする回転枠と、歯車部を備え撮影レンズの光
軸周りに回動自在に設けられ回動することによりファイ
ンダ装置の有するファインダ光学系を変倍駆動するギア
ーリング部材と、歯車部を備え回動自在に設けられ回動
するのに応じて閃光発光装置を変位駆動させるカム部を
有するカム部材と、上記駆動源からの駆動力を上記回転
枠へ伝達する伝達歯車列と、組み付けされることにより
上記伝達歯車列と上記ギアーリング部材と上記カム部材
との三つの部材の間を連結する位相連結歯車とを具備す
ることを特徴とする。
【0041】
【発明の実施の形態】以下、図示の実施の形態によって
本発明を説明する。図1は、本発明の一実施形態のカメ
ラの駆動力伝達装置を備えたカメラの概略を示す外観斜
視図である。この図1は、カメラの正面側から見た場合
を示しており、本カメラのスライドバリア部材が開状態
とされて、当該カメラが撮影準備状態にあり、撮影レン
ズ鏡筒は最短焦点距離位置に設定されている場合を示し
ている。
【0042】本実施形態における駆動力伝達装置を備え
たカメラ1は、写真撮影用フイルムを内部に配設して写
真撮影等を行なう小型カメラ、いわゆるコンパクトカメ
ラである。そして、このカメラ1の駆動力伝達装置は、
正転及び逆転の駆動力を発生させ得る単一の駆動源によ
り撮影レンズ鏡筒とファインダ装置と閃光発光装置とを
駆動させるようにするものである。
【0043】まず、本実施形態のカメラの駆動力伝達装
置を説明する前に、当該駆動力伝達装置が適用されるカ
メラ1について、以下に説明する。
【0044】本カメラ1は、図1に示す通りカメラ1の
前面側を覆う前カバー11と、この前カバー11に対し
て摺動自在に配設されるスライドバリア部材14と、カ
メラ1の後半部の両側面及び上面・底面側を覆う後カバ
ー12と、カメラ1の一端側を基軸として開閉自在に配
設され、写真撮影用フイルムを収納するフイルム巻取室
32及びフイルムカートリッジを収納するフイルムカー
トリッジ収納室33等(図1では図示せず。図2参照)
を覆う後蓋13と、カメラ1の一端寄りの所定の位置に
設けられる電池室(図示せず)を開閉自在とするための
電池室蓋15等の外装部材によって形成されている。
【0045】このカメラ1の外装面上には、内部に配設
される各種の構成部材の一部が配置されている。即ち、
本カメラ1の前面側の略中央部近傍には、撮影レンズ光
学系17aを保持する回転枠等からなる撮影レンズ鏡筒
17が配設されている。この撮影レンズ鏡筒17は、カ
メラ1に対して回転自在に設けられ、撮影レンズ光学系
17aの光軸周りに回動することによって、その光軸に
沿う方向に移動して、撮影レンズ光学系17aの焦点距
離を可変とするいわゆるズームレンズ鏡筒である。
【0046】この撮影レンズ鏡筒17の近傍には、上側
寄りの所定の位置にファインダ装置の一部を構成するフ
ァインダ対物窓18と、被写体像を含む撮影範囲内近傍
の露出測定を行なう測光装置の一部を構成する測光窓1
9と、本カメラ1から所望の被写体像、例えば撮影画面
の略中央部近傍の所定の位置にある被写体までの距離を
測定する測距装置の一部を構成する測距窓20と、撮影
動作が行われるときの本カメラ1の周囲環境が暗い時等
において測距動作が不確実となることが予想されるとき
に補助的な照明光を被写体に向けて照射するAF補助光
発光装置の一部を構成するAF補助光発光部21と、撮
影動作を操作時点から遅らせて実行させるようにするい
わゆるセルフタイマー撮影モード時において、そのセル
フタイマー撮影動作の実行中であることを表示するセル
フタイマーシグナル22と、遠隔操作装置(いわゆるリ
モートコントロール装置;図示せず)から送信される所
定の指示信号を受信するリモコン受光部23等が配設さ
れている。
【0047】また、本カメラ1の上面側には、一端部寄
りの所定の位置に、二段スイッチからなり一段目の押圧
操作によって測光動作及び測距動作等を実行させると共
に、二段目の押圧操作によって露出動作を実行させるた
めのスイッチに連動する操作部材であるシャッターボタ
ン28と、本カメラ1が撮影準備状態にあるときに、撮
影レンズ鏡筒17を撮影レンズ光学系17aの光軸に沿
う方向に移動させて、撮影レンズ光学系17aの焦点距
離を所定の範囲内において自在に変更するための焦点距
離切換操作部材(ズームボタン)29と、本カメラ1に
おける各種の情報、即ち撮影モード情報や日時情報・撮
影枚数情報・露出情報等を文字等の形態で表示する液晶
ディスプレイ(LCD)等からなる液晶表示部27と、
この液晶表示部27に表示され、所望する撮影モード等
を選択し設定するための操作を行なう撮影モード切換操
作部材30等が配設されている。
【0048】一方、本カメラ1の上面側の他端部寄りの
所定の位置には、カメラの周囲環境が暗い場合等に、適
正な露出を得るための照明光を被写体に向けて照射する
閃光発光装置16が配設されている。この閃光発光装置
16は、内部に閃光発光部(図示せず)を有し前面に発
光窓16bを備え、カメラ1に対して突没自在に構成さ
れる発光部ケース16a等によって構成されるいわゆる
ポップアップ式の閃光発光装置である。
【0049】他方、本カメラ1の一方の側面には、上述
の後蓋13の閉状態を保持する一方、所定の操作(例え
ば摺動操作)を行なうことにより後蓋13の閉状態を解
除して開状態とするための操作部材である後蓋開閉ツマ
ミ24と、後蓋13及び電池室蓋15の回動軸となる蝶
番25等が設けられている。
【0050】また、本カメラ1の背面側には、略中央部
の上方寄りの所定の位置にファインダ装置の一部を構成
するファインダ接眼部26aが配設されており、このフ
ァインダ接眼部26aの近傍には、当該ファインダ装置
のファインダ光学系の一部を移動させて観察視度の調整
を行なう視度調整部材31等が配設されている。
【0051】なお、スライドバリア部材14は、カメラ
1の前面側に配設される各構成ユニット、即ち撮影レン
ズ鏡筒17(撮影レンズ光学系17a)・ファインダ対
物窓18・測光窓19・測距窓20・AF補助光発光部
21・セルフタイマーシグナル22・リモコン受光部2
3等の前面を覆う位置と、これらの構成ユニットを露呈
させる位置とに摺動自在に配設されている。また、当該
スライドバリア部材14は、本カメラ1の電源スイッチ
部材(図示せず)に連動しており、スライドバリア部材
14を開状態(図1に示す状態)とすることで、本カメ
ラ1の主電源(図示せず)がオン状態となるように構成
されている。
【0052】次に、本実施形態のカメラ1における駆動
力伝達装置の詳細を、以下に説明する。図2・図3・図
4は、本実施形態のカメラの駆動力伝達装置の一部を示
し、この駆動力伝達装置を備えたカメラの内部を正面側
から見た際のようすを拡大して示す要部拡大図である。
【0053】なお、図2に示す状態は、本カメラ1の撮
影レンズ鏡筒17が沈胴位置にある沈胴状態を示してい
る。この状態では、本カメラ1の電源状態はオフ状態に
あって、撮影レンズ鏡筒17は沈胴位置にあり、閃光発
光装置16はカメラ1の内部に収納された収納位置にあ
る。
【0054】また、図3は、本カメラ1が撮影準備状態
にあって撮影レンズ鏡筒17が最短焦点距離位置(ワイ
ド位置)にあるワイド(Wide)状態を示している。
この状態は、図2に示す状態から撮影レンズ鏡筒17及
び閃光発光装置16が駆動され、撮影レンズ鏡筒17が
図2の沈胴位置から最短焦点距離位置に移動し、閃光発
光装置16が図2の収納位置から突出位置に移動した状
態である。
【0055】そして、図4は、本カメラ1の撮影レンズ
鏡筒17が最長焦点距離位置(テレ位置)にあるテレ
(Tele)状態を示している。この状態は、図3に示
す状態からさらに撮影レンズ鏡筒17及びファインダ装
置26が駆動され、撮影レンズ鏡筒17が図3の最短焦
点距離位置から最長焦点距離位置に移動し、これに連動
してファインダ装置26のファインダ光学系も撮影レン
ズ鏡筒17に応じた所定の位置に移動している。閃光発
光装置16は、図3の突出位置が維持されている。
【0056】本実施形態のカメラ1における駆動力伝達
装置は、正転及び逆転の駆動力を発生させ得る単一の駆
動源であるモータ50から発生される駆動力によって撮
影レンズ鏡筒17・閃光発光装置16・ファインダ装置
26の各構成ユニットを駆動すると共に、後述するよう
に同モータ50の駆動力を用いてフイルムの巻上動作及
び巻戻動作をも行なうようにしている。
【0057】図2〜図4においては、モータ50からの
駆動力によってフイルムの巻上動作及び巻戻動作を行な
うための駆動力伝達経路を構成する各構成部材について
は、図面の煩雑化を避けるために、その図示を省略して
いる。これらの構成部材の詳細な構成については、後述
する図8によって説明する。ただし、カメラ1の底面側
に配設されるプランジャ鉄芯76aを備えた切換プラン
ジャ装置76と、この切換プランジャ装置76によって
駆動される切換レバー77のみについては、図2〜図4
においても図示されている。この切換プランジャ装置7
6と切換レバー77は、モータ50からの駆動力の伝達
経路を切り換える駆動力伝達経路切換手段95の一部を
構成する部材である(詳細は後述する。図8参照)。
【0058】図2に示すように、カメラ1の内部におい
て、一方の端部にはフイルム巻取室32が形成され、他
方の端部にはフイルムカートリッジ収納室33が形成さ
れている。フイルムカートリッジ収納室33には、ロー
ル状の写真撮影用フイルムが巻回されて収納されている
フイルムカートリッジ(図示せず)が収納されるように
なっている。このフイルムカートリッジ内には、スプー
ル軸が回動自在に配設されていて、このスプール軸にロ
ール状フイルムが巻回されている。
【0059】フイルムカートリッジ収納室33の底面部
には、巻戻軸35が回動自在に軸支されている。この巻
戻軸35には、フイルムカートリッジ収納室33の内部
に収納されるフイルムカートリッジのスプール軸が係合
するようになっている。
【0060】そして、巻戻軸35には、底面寄りの端部
に巻戻ギアー部35aが一体に形成されている。この巻
戻ギアー部35aには、モータ50からの駆動力を伝達
する歯車列(詳細は後述する。図8参照)が連結されて
いる。したがって、モータ50からの駆動力は、必要に
応じて、つまりフイルム巻戻動作が実行されるときに
は、所定の歯車列等を介して巻戻ギアー部35aへと伝
達されるようになっている。そして、巻戻ギアー部35
aが所定の方向に回転すると巻戻軸35も同方向へと回
転し、これに係合するフイルムカートリッジのスプール
軸を所定の巻き戻し方向へと回転させるようになってい
る。
【0061】なお、フイルムカートリッジ収納室33の
中心位置は、巻戻軸35の回転中心に略一致するように
設定されている(図2の符号B参照)。
【0062】フイルム巻取室32の内部には、フイルム
カートリッジ収納室33に収納されたフイルムカートリ
ッジの内部から引き出されるロール状フイルムを巻回し
収納する巻取スプール34が回動自在に配設されてい
る。この巻取スプール34は、中空の筒形状の部材によ
り形成されていて、内部にはモータ50が固設されてい
る。したがって、モータ50の回転軸は、巻取スプール
34の回転中心に略一致するように配設されている(図
2の符号A参照)。
【0063】なお、カメラ1の底面部には、薄板部材か
らなる地板36が当該カメラ1の底面を覆うように配設
されている。
【0064】モータ50の回転軸の端部には、ピニオン
ギアー50aが固設されている。このピニオンギアー5
0aは、モータ50の駆動力を各構成ユニットへと伝達
する伝達歯車列の一部を構成するギアー列51(詳細は
後述する)を介してZギアー52に連結されている。Z
ギアー52は、平ギアー部52a及び斜歯ギアー部52
bとによって形成されていて、平ギアー部52aにはギ
アー列51の終端が噛合する。斜歯ギアー部52bに
は、小径の斜歯ギアー53が噛合している。この斜歯ギ
アー53の同軸上には、当該斜歯ギアー53よりも若干
大径の平ギアー54が一体的に固設されている。この斜
歯ギアー53及び平ギアー54は、カメラ1の固定部材
(図示せず)に対して回動自在に配設されている。な
お、上述のギアー列51から平ギアー54までの歯車列
を伝達歯車列というものとする。
【0065】平ギアー54には、モータ50からの駆動
力を撮影レンズ鏡筒17の側へと伝達する駆動歯車であ
る撮影レンズ鏡筒駆動歯車55と、モータ50からの駆
動力を閃光発光装置16の側及びファインダ装置26の
側へと伝達する位相連結歯車56とがそれぞれ噛合して
いる。
【0066】したがって、平ギアー54は、モータ50
からの駆動力を分割し、撮影レンズ鏡筒17の側と閃光
発光装置16の側及びファインダ装置26の側へと伝達
する役目をしている。
【0067】ここで、各構成ユニットに対して駆動力が
伝達される際の各駆動力伝達経路毎に、当該駆動力伝達
装置の構成を説明する。まず、平ギアー54から撮影レ
ンズ鏡筒17の側へと伝達される駆動力伝達経路につい
て説明する。
【0068】撮影レンズ鏡筒17の後端部近傍には、外
周側の一部にギアー部17bが形成されている。撮影レ
ンズ鏡筒17は、所定の範囲内で回動することによっ
て、撮影レンズ光学系17aの光軸に沿う方向に突没自
在に配設されている。そのために、当該ギアー部17b
には、撮影レンズ鏡筒駆動歯車55が噛合している。こ
の撮影レンズ鏡筒駆動歯車55は、カメラ1の固定部材
(図示せず)に対して回動自在に配設されており、撮影
レンズ鏡筒17が撮影レンズ光学系17aの光軸に沿う
方向に移動した場合にも、撮影レンズ鏡筒17のギアー
部17bと当該撮影レンズ鏡筒駆動歯車55との噛合を
常に確保し得るように長軸状に形成されている。そし
て、上述したように、この撮影レンズ鏡筒駆動歯車55
は、平ギアー54に噛合しているので、モータ50から
の駆動力を撮影レンズ鏡筒17へと伝達する役目をして
いる。
【0069】なお、ギアー部17bは、撮影レンズ鏡筒
17の撮影レンズ光学系17aが沈胴位置から最短焦点
距離位置を経て最長焦点距離位置となるまでの範囲内を
移動し得るだけの範囲で形成されている。即ち、図2〜
図4において示す符号C〜符号Tの範囲内でのみ回動す
るようになっている。ここで、符号Cは沈胴位置、符号
Wは最短焦点距離位置、符号Tは最長焦点距離位置に対
応するギアー部17bの位置を示している。
【0070】次に、平ギアー54からファインダ装置2
6の側へと伝達される駆動力伝達経路について説明す
る。
【0071】撮影レンズ鏡筒17の基端部近傍であって
外周面上の光軸周りには、リングギアー57が配設され
ている。このリングギアー57は、外周側に歯車部を備
え、撮影レンズ光学系17aの光軸周りに回動自在に配
設されており、環形状のファインダ装置駆動歯車であり
ギアーリング部材である。そして、回動することによっ
てファインダ装置26の内部に配設されるファインダ光
学系を変倍駆動させるために設けられているものであ
る。
【0072】つまり、このリングギアー57は、位相連
結歯車56に噛合しているのと同時に、ファインダ装置
26の近傍に配置される固定歯車71にも噛合してい
る。この固定歯車71は、ファインダ装置26の近傍に
おけるカメラ1の固定部材(図示せず)に対して回動自
在に配設されているものである。
【0073】固定歯車71は、ファインダ装置26の内
部の固定部材(図示せず)に回動自在に配設される二段
ギアー72の大ギアー72bに噛合しており、この二段
ギアー72の小ギアー72aは、ファインダ装置26の
内部において回動自在に配設されるファインダカムギア
ー73に噛合している。このファインダカムギアー73
には、所定のカム手段(図示せず)が形成されていて、
ファインダ装置26の内部に配設される複数のファイン
ダ光学系の一部を駆動し、必要に応じて所定の方向(当
該ファインダ光学系の光軸に沿う方向)に所定量だけ移
動させることができるようになっている。このようにし
て、平ギアー54を回動させるモータ50からの駆動力
は、リングギアー57・固定歯車71を介してファイン
ダ装置26へと伝達され、当該ファインダ装置26にお
いて、二段ギアー72・ファインダカムギアー73を回
動させることでファインダ光学系が駆動するようになっ
ている。
【0074】なお、ファインダ装置26の前面側には、
図2に示すようにファインダ対物窓18・測光窓19・
測距窓20等が並べて配置されている。
【0075】次に、平ギアー54から閃光発光装置16
の側へと伝達される駆動力伝達経路について説明する。
【0076】上述したように平ギアー54には、位相連
結歯車56が噛合している。この位相連結歯車56に
は、閃光発光装置16を突没させるための閃光発光装置
駆動機構69が連結されている。
【0077】位相連結歯車56は、カメラ1の固定部材
(図示せず)に対して回動自在に配設されているもので
ある。また、位相連結歯車56は、撮影レンズ鏡筒17
に対してファインダ装置26及び閃光発光装置16の駆
動位相をそれぞれ合わせた後に組み込まれる歯車となっ
ている。つまり、この位相連結歯車56が組み込まれる
ことによって、平ギアー54と後述する閃光発光装置駆
動歯車でありカム部材である閃光発光装置突没歯車58
とを連結させて、モータ50からの駆動力をファインダ
装置26の側と閃光発光装置16の側とに伝達するよう
になっている。これによって、撮影レンズ鏡筒17とフ
ァインダ装置26と閃光発光装置16との、これら三つ
の構成ユニットの間が連結されることになる。
【0078】ここで、閃光発光装置16及びこれを突没
させる閃光発光装置駆動機構69の詳細な構成につい
て、以下に説明する。
【0079】図5・図6・図7は、本実施形態の駆動力
伝達装置が適用されるカメラにおける閃光発光装置とそ
の駆動機構の詳細を示し、図5は、本閃光発光装置とこ
れを突没させる閃光発光装置駆動機構の一部を取り出し
て示す分解斜視図である。また、図6・図7は、本閃光
発光装置とその閃光発光装置駆動機構のみを拡大して示
す要部拡大図であって、図6は、閃光発光装置が収納位
置にある状態を、図7は、閃光発光装置が突出位置にあ
る状態をそれぞれ示している。
【0080】閃光発光装置16は、内部にキセノン(X
e)管等の閃光発光部(図示せず)等を有し前面に発光
窓16bを備えた発光部ケース16a等によって形成さ
れている。この閃光発光装置16には、閃光発光装置駆
動機構69が連結されている。そして、この閃光発光装
置駆動機構69には、位相連結歯車56が連結してい
る。これにより、モータ50からの駆動力は、閃光発光
装置16へと伝達され、カメラ1に対して突没し得るよ
うに構成されている。
【0081】閃光発光装置駆動機構69は、次に示すよ
うに構成されている。即ち、位相連結歯車56には、閃
光発光装置駆動歯車である閃光発光装置突没歯車58の
歯車部58aが噛合している。閃光発光装置突没歯車5
8は、カメラ1の固定部材に植設される軸58dによっ
て回動自在に軸支されており、上述の歯車部58aと、
後述する第1カムレバー59に作用するカム部58cを
有するカム部材58bとが一体的に形成されてなるもの
である。
【0082】つまり、閃光発光装置突没歯車58は、歯
車部58aを備えると共に、回動するのに応じて閃光発
光装置16を変位駆動させるためのカム部58cを有
し、回動自在に配設されているカム部材である。なお、
カム部58cにおいて、図7の符号Sで示す領域を駆動
領域(セットアップ領域)というものとする。この駆動
領域Sは、閃光発光装置16を収納位置から突出位置へ
と駆動するために設けられる領域である。この領域は、
撮影レンズ鏡筒17が沈胴位置から最短焦点距離状態で
あるワイド端位置へと変位して撮影準備状態となる際に
対応する領域である。また、カム部58cにおいて、図
7の符号Zで示す領域を空走領域(ズーム領域)という
ものとする。この空走領域Zは、カム部58cにおける
駆動領域S以外の領域であって、閃光発光装置16の突
出状態を維持するために設けられる領域である。この領
域は、撮影レンズ鏡筒17が最短焦点距離位置(ワイド
端)と最長焦点距離位置(テレ端)との間を変位する際
に対応する領域である。
【0083】第1カムレバー59は、略L字形状に形成
されるレバー部材であって、一方の端腕部には、閃光発
光装置突没歯車58のカム部58cに当接する作用部5
9cが形成され、他方の端腕部側の先端近傍には、後述
する第2カムレバー60に作用するピン59bが植設さ
れている。そして、第1カムレバー59は、軸59aに
おいてカメラ1の固定部材に対して回動自在に軸支され
ている。
【0084】第2カムレバー60は、図5に示されるよ
うに閃光発光装置16の基台16eの底面寄りに設けら
れる孔部16fにおいて回動自在に配設されている。ま
た、閃光発光装置16の基台16eの底面寄りに設けら
れ孔部16fに対向するように設けられる孔部16ff
には、スイッチレバー65が回動自在に配設されてい
る。そして、第2カムレバー60とスイッチレバー65
とは、レバー軸部材62によって連結されている。した
がって、これにより両者は、基台16eに対して回動自
在となっていると共に、第2カムレバー60の回動に連
動してスイッチレバー65が同方向に回動するようにな
っている。
【0085】また、レバー軸部材62には、基台16e
の内部においてレバー部材61と開きばね部材61aと
が同軸上に貫通して配設されている。この場合におい
て、開きばね部材61aの一端は、レバー部材61の所
定の位置に設けられるバネカケ部61cに掛止されてい
ると共に、他端は第2カムレバー60の所定の位置に設
けられるバネカケ部(図示せず)に掛止されている。こ
れにより、第2カムレバー60とレバー部材61とは一
体的に動作するようになっている一方、レバー部材61
に対して外部からの力量が加えられた場合には、開きば
ね部材61aの付勢力に抗して両者は互いに独立して動
作可能となるようになっている。
【0086】なお、第2カムレバー60とスイッチレバ
ー65とには、それぞれの外側面を抑えるようにして、
おさえ板部材66が配設されている。このおさえ板部材
66は両端が折り曲げられた幅の狭い薄板部材によって
形成されていて、両折曲部66aには孔部66bがそれ
それ穿設されている。この孔部66bは、レバー軸部材
62の両端部に嵌合している。
【0087】一方、基台16eの底面側の中程の位置に
は、孔部16gが穿設されている。この孔部16gに
は、リンク軸部材63aが貫通している。このリンク軸
部材63aには、リンク部材64の一方の端部とリフト
部材63の支点となる一方の端部と第1閉じばね64c
とが同軸上に貫通して配設されている。第1閉じばね6
4cは、一端が基台16eの底面の所定の位置に掛止さ
れており、他端はリンク部材64の所定の位置に掛止さ
れている。そして、この第1閉じばね64cの付勢力
は、リンク部材64を所定の方向、即ち閃光発光装置1
6の収納位置を維持する方向へと付勢している。なお、
リンク軸部材63aに対してリンク部材64とリフト部
材63とは、それぞれが回動自在となるように軸支され
ている。
【0088】また、リンク部材64の他端部は、ケース
軸部材64aによってケース16aの底面側の一端部に
設けられる支持部16cに対して回動自在となるように
軸支されている。そしてケース軸部材64aには、第2
閉じばね64bが同軸上に貫通して配設されている。こ
の第2閉じばね64bの一端は、リンク部材64の所定
の位置に掛止されている一方、他端は、ケース16aの
所定の位置に掛止されている。これによって、第2閉じ
ばね64bは、リンク部材64とケース16aとを互い
に近接させる方向に付勢している。
【0089】なお、ケース16aには、底面寄りの中程
の一側縁部に第1突出位置決め凸部16dが形成されて
いる。また、ケース16aの支持部16cの近傍には、
第2突出位置決め部(図示せず)が設けられている。し
たがって、当該閃光発光装置16が突出位置(図7の状
態)となったときには、第1突出位置決め凸部16dが
本カメラ1の前カバー11の所定の位置に設けられる固
定部材11b(図7参照)に当接するのと同時に、ケー
ス16aの第2突出位置決め部が本カメラ1の後カバー
12の所定の位置に設けられる固定部材12a(図7参
照)に当接することによって、閃光発光装置16の突出
位置での位置決めが行なわれるようになっている。
【0090】一方、ケース16aの底面側であって支持
部16cの設けられている側とは反対側の端部近傍に
は、第1収納位置決め凸部16hが形成されている。ま
た、ケース16aの支持部16cの近傍には、第2収納
位置決め凸部(図示せず)が設けられている。したがっ
て、当該閃光発光装置16が収納位置(図6の状態)と
なったときには、第1収納位置決め凸部16hが本カメ
ラ1の前カバー11の所定の位置に設けられる固定部材
11a(図6参照)に当接するのと同時に、ケース16
aの第2収納位置決め部が閃光発光装置16の基台16
eの所定の位置に設けられる固定部材(図示せず。図6
参照)に当接することによって、閃光発光装置16の収
納位置の位置決めが行なわれるようになっている。
【0091】ところで、本カメラ1の駆動力伝達装置に
おける駆動源であるモータ50は、上述したように撮影
レンズ鏡筒17とファインダ装置26と閃光発光装置1
6とを駆動するだけでなく、本カメラ1の内部に配設さ
れたロール状の写真撮影用フイルムについての巻上動作
や巻戻動作等(フイルム給送動作という)を行なうため
にも用いられる。
【0092】そのために、本実施形態の駆動力伝達装置
においては、モータ50からの駆動力を撮影レンズ鏡筒
17・ファインダ装置26・閃光発光装置16等の各構
成ユニットへと伝達する駆動力伝達経路とは別に、フイ
ルム給送動作を行なうための駆動力伝達経路が形成され
ている。そして、各構成ユニットへの駆動力伝達経路と
フイルム給送動作のための駆動力伝達経路とは、必要に
応じて切り換えられるように構成されており、モータ5
0からの駆動力は、適宜所定の構成部材を駆動するよう
になっている。
【0093】フイルム給送動作のための駆動力伝達経路
は、複数の歯車列等によって構成されている。以下に、
その詳細な説明を行なう。
【0094】図8は、本実施形態のカメラの駆動力伝達
装置の一部を示し、フイルム給送動作を行なうための駆
動力伝達経路を構成する構成部材と駆動力伝達経路を切
り換えるための駆動力伝達経路切換手段のみを取り出し
て示すカメラの底面斜め後側から見た要部外観斜視図で
ある。
【0095】本カメラ1の駆動力伝達装置において、フ
イルム給送動作を行なうための駆動力伝達経路を構成す
る構成部材は、フイルムの巻戻動作を行なうための巻戻
系の歯車列と、フイルムの巻上動作を行なうための巻上
系の歯車列と、モータ50からの駆動力の伝達経路を切
り換えるための駆動力伝達経路切換手段95等によって
構成されている。
【0096】図8に示す状態は、モータ50からの駆動
力が上述した各構成ユニットを駆動させるための駆動力
伝達経路へと伝達されている状態を示している。
【0097】まず、図8に示す状態の駆動力伝達経路に
ついて、以下に説明する。巻取スプール34の内部に固
設されるモータ50の回転軸に固設されるピニオンギア
ー50aには、二段ギアー81の大ギアー81aが噛合
している。また、二段ギアー81の小ギアー81bは、
第1遊星歯車列86に連結されている。
【0098】第1遊星歯車列86は、二段ギアーからな
る太陽ギアー82及び第1遊星ギアー84と、平歯車か
らなる第2遊星ギアー83と、これらの各歯車を載置す
ると共に、各歯車を回動自在に軸支する第1キャリア8
5等によって構成されている。
【0099】そして、太陽ギアー82の大ギアー82a
には、上述の二段ギアー81の小ギアー81bが噛合し
て、モータ50からの駆動力を伝達している。また、太
陽ギアー82の小ギアー82bは、第1遊星ギアー84
の大ギアー84aと第2遊星ギアー83とに常に噛合し
ている。
【0100】そして、図8に示す状態においては、第2
遊星ギアー83がZギアー52の平ギアー部52aに噛
合している。これにより、モータ50からの駆動力は、
Zギアー52へと伝達されることになり、よって、この
駆動力は、上述したように撮影レンズ鏡筒17・ファイ
ンダ装置26・閃光発光装置16の各構成ユニットへと
伝達される。つまり、二段ギアー81から太陽ギアー8
2・第2遊星ギアー83の各歯車が図2において説明し
た伝達歯車列の一部を構成するギアー列51に相当す
る。
【0101】なお、図8の状態では、第1遊星歯車列8
6の太陽ギアー82は、図8の時計方向CWへと回転す
ることで、第2遊星ギアー83とZギアー52の平ギア
ー部52aとの噛合状態を確保している。そして、この
とき第1遊星歯車列86は、第1キャリア85から突出
して形成される被係止部85aがカメラ1の固定部材1
aに当接することで、その回動が規制されている。
【0102】次いで、駆動力伝達経路切換手段95の構
成について、以下に説明する。駆動力伝達経路切換手段
95は、フイルム給送動作のための駆動力伝達経路と上
述した各構成ユニットを駆動させるための駆動力伝達経
路との切り換えを行なうと共に、フイルム巻戻系の駆動
力伝達経路とフイルム巻上系の駆動力伝達経路との切り
換えを行なうものである。
【0103】駆動力伝達経路切換手段95は、上述した
ようにプランジャ鉄芯76a等を内部に有する切換プラ
ンジャ装置76と、この切換プランジャ装置76によっ
て駆動される切換レバー77等の構成部材によって構成
されている。
【0104】即ち、切換プランジャ装置76は、内部に
巻線部であるコイル76bが配置されており、このコイ
ル76bの略中心位置にプランジャ鉄芯76aが配置さ
れている。このプランジャ鉄芯76aは、一部が切換プ
ランジャ装置76の外部に露呈しており、その先端部に
は、二つのフランジ部が所定の間隔を有して形成されて
いる。
【0105】この切換プランジャ装置76は、所定の切
換指示信号が発生したときにコイル76bに通電される
ことによって、プランジャ鉄芯76aが図8に示す矢印
X3方向へと移動し、通電中にはその位置が維持される
ようになっている。そして、切換プランジャ装置76へ
の通電が解除されると、プランジャ鉄芯76aは元の位
置に復帰するように構成されている。
【0106】一方、切換レバー77の一端には、第1遊
星歯車列86の第1キャリア85に突出して形成される
被係止部85aを所定のときに係止する係止部77cが
設けられている。また、切換レバー77の他端には、切
換プランジャ装置76のプランジャ鉄芯76aの先端部
の二つのフランジ部によって形成される溝部に嵌合し
て、当該レバー77とプランジャ鉄芯76aとを連結す
る連結部77bが形成されている。そして、切換レバー
77の中程の位置において連結部77b寄りの所定の位
置には、回動中心となるピン77dが植設されている突
起部77aが形成されている。この突起部77aは、カ
メラ1の固定部材(図示せず)に対して回動自在に軸支
されている。
【0107】ピン77dには、ばね部材78が配設され
ていて、切換レバー77を所定の方向(図8の矢印X4
方向)に向けて回動するように付勢している。つまり、
ばね部材78の一端は、切換レバー77の所定の位置に
掛止されており、他端はカメラ1の固定部材(図示せ
ず)に植設されるバネカケピン1cに掛止されている。
【0108】そして、ばね部材78の付勢力により図8
の矢印X4方向に回動される切換レバー77は、カメラ
1の固定部材(図示せず)に植設される規制部材1bに
よって規制され、所定の位置に位置決めされている。
【0109】したがって、所定のときに通電がなされて
切換プランジャ装置76が作用すると、切換レバー77
は、ばね部材78の付勢力に抗して突起部77aを回動
中心とする反時計方向CCW方向へと回動するようにな
っている。
【0110】上述したように図8の状態は、モータ50
からの駆動力が上述の各構成ユニットを駆動させる駆動
力伝達経路へと伝達されるべく、駆動力伝達経路切換手
段95が所定の位置に配置されている状態を示してい
る。
【0111】この状態において、所定の切り換え指示信
号の発生を受けて駆動力伝達経路切換手段95が作用す
ると、モータ50からの駆動力が上述の各構成ユニット
へと伝達している状態から、当該駆動力がフイルム給送
動作のための駆動力伝達経路へと伝達される状態に切り
換わる。
【0112】例えばカメラ1が撮影準備状態にあるとき
には、モータ50からの駆動力は、撮影レンズ鏡筒17
・ファインダ装置26へと伝達されるように駆動力伝達
経路が確保されている(図8の状態)。
【0113】この状態において、カメラ1の操作者が所
定の操作(シャッターボタン28の押圧操作等)を行な
って所定の撮影動作を実行すると、所定の露出動作がな
された後、所定のフイルム給送動作(次の撮影コマを所
定の位置に配置するための1コマ分の巻上動作等)が開
始されることになる。
【0114】この場合において、駆動力伝達経路切換手
段95は、所定の切換動作を実行して、当該駆動力伝達
装置における駆動力伝達経路の切り換えを行ない、フイ
ルム巻上系の駆動力伝達経路を形成させてフイルム給送
動作を実行し得る状態にする。
【0115】次いで、所定のフイルム巻上動作が完了す
ると、駆動力伝達経路切換手段95は、再度所定の切換
動作を実行してモータ50からの駆動力を撮影レンズ鏡
筒17・ファインダ装置26へと伝達させるための駆動
力伝達経路を形成させる。これによって、カメラ1は撮
影準備状態に復帰することになるのである。
【0116】このような場合において、駆動力伝達経路
切換手段95は、次のような作用をする。即ち、図8に
示す状態にあるときに切換プランジャ装置76への通電
がなされると、プランジャ鉄芯76aは図8の矢印X3
方向に移動して、切換レバー77が図8の反時計方向C
CW方向に回動する。このときモータ50を所定の方向
に回転させると、その駆動力は、太陽ギアー82を回動
中心とする図8の反時計方向CCW方向へと第1遊星歯
車列86自身を回動させる。このとき、切換レバー77
の係止部77cは、切換プランジャ装置76の作用によ
って、第1遊星歯車列86の移動軌跡上から退避した位
置にある。したがって、第1遊星歯車列86の第1キャ
リア85は、切換レバー77の係止部77cに衝突する
ことなく所定の位置まで回動する。これによって、第2
遊星ギアー83とZギアー52の平ギアー部52aとの
噛合が解除される。
【0117】第1遊星歯車列86の回動は、第1遊星ギ
アー84の小ギアー84bと後述する第2遊星歯車列9
1の太陽ギアー88の大ギアー88aとが噛合した時点
で停滞する。
【0118】この状態になったときに、切換プランジャ
装置76への通電を解除すると、プランジャ鉄芯76a
は元の位置に復帰するので、これに伴って切換レバー7
7も所定の位置に復帰する。そして、フイルム巻上巻戻
系の駆動力伝達経路が構成されることになる。
【0119】ここで、フイルム巻上系の駆動力伝達経路
を構成する歯車列について、以下に説明する。フイルム
巻戻系の駆動力伝達経路は、次のように構成される。即
ち、モータ50のピニオンギアー50aから二段ギアー
81を介して第1遊星歯車列86に至る経路は同様であ
る。
【0120】第1遊星歯車列86の太陽ギアー82の小
ギアー82bは、上述したように第1遊星ギアー84の
大ギアー84aに常に噛合している。そして、第1遊星
ギアー84の小ギアー84bは、第2遊星歯車列91に
連結されている。
【0121】第2遊星歯車列91は、二段ギアーからな
る太陽ギアー88及び第4遊星ギアー88と、平歯車か
らなる第3遊星ギアー87と、これらの各歯車を載置す
ると共に、各歯車を回動自在に軸支する第2キャリア9
0等によって構成されている。
【0122】そして、第2遊星歯車列91の太陽ギアー
88の大ギアー88aには、上述の第1遊星ギアー84
の小ギアー84bが噛合して、モータ50からの駆動力
を伝達している。また、太陽ギアー88の小ギアー88
bは、第3遊星ギアー87と第4遊星ギアー89の大ギ
アー89aとに常に噛合している。そして、第3遊星ギ
アー87は、巻取スプール34のスプールギアー部34
aに噛合している。このスプールギアー部34aは、巻
取スプール34の一端部の外周面上に形成されているギ
アー部である。これにより、モータ50からの駆動力
は、スプールギアー部34aへと伝達されて巻取スプー
ル34を所定の巻き上げ方向へと回動させることにな
る。
【0123】次いで、フイルム巻上系の駆動力伝達経路
が確保された状態において、モータ50の回転方向を巻
き上げ方向から巻き戻し方向となるように逆転させる
と、第1遊星歯車列86が第2遊星歯車列91に作用し
て、太陽ギアー88を回動中心とする図8の時計方向C
W方向へ向けて第2遊星歯車列91自身を回動させる。
これにより、第2遊星歯車列91の第3遊星ギアー87
とスプールギアー部34aとの噛合が解除される。これ
と同時に、第4遊星ギアー89の大ギアー89aが後述
する平歯車92に噛合する。この状態において、フイル
ム巻戻系の駆動力伝達経路が構成されることになる。
【0124】なお、上述したように第2遊星歯車列91
自身を図8の時計方向CW方向へ向けて回動させるため
に、モータ50の回転方向を巻き戻し方向となるように
逆転させた場合には、第1遊星歯車列86自身にも図8
の時計方向CW方向へと回動しようとする力量が加わる
ことになる。しかし、この場合においては、第1キャリ
ア85の被係止部85aが切換レバー77の係止部77
cを係止した状態となることから、第1遊星ギアー84
bと第2遊星歯車列91の太陽ギアー88の大ギアー8
8aとの噛合状態は保持されるようになっている。
【0125】ここで、フイルム巻戻系の駆動力伝達経路
を構成する歯車列について、以下に説明する。フイルム
巻戻系の駆動力伝達経路は、次のように構成される。即
ち、モータ50のピニオンギアー50aから二段ギアー
81及び第1遊星歯車列86を介して第2遊星歯車列9
1までに至る経路は、上述のフイルム巻上系の駆動力伝
達経路と全く同様である。
【0126】第2遊星歯車列91の太陽ギアー88の小
ギアー88bは、上述したように第4遊星ギアー89の
大ギアー89aに常に噛合している。そして、第4遊星
ギアー89の小ギアー89bは、大径の平歯車92に噛
合している。この平歯車92は、隣接する平歯車93に
噛合している。そして、この平歯車93は、巻戻軸35
の巻戻ギアー部35aに噛合している。この巻戻ギアー
部35aは、巻戻軸35の一端部の外周面上に一体に形
成されているギアー部である。これにより、モータ50
からの駆動力は、巻戻ギアー部35aへと伝達されて巻
戻軸35を所定の巻き戻し方向へと回動させることにな
る。
【0127】以上のように構成されたカメラ1の駆動力
伝達装置を組み立てる際には、位相連結歯車56を除く
その他の構成部材の組み立てを通常の手順によって行な
った後、撮影レンズ鏡筒17に対してファインダ装置2
6及び閃光発光装置16の駆動位相をそれぞれ合わせた
上で、一つの歯車、即ち位相連結歯車56を組み込む。
【0128】つまり、位相連結歯車56を除いて駆動力
伝達装置の組立てを完了した後、最後に位相連結歯車5
6を組み込むことになるが、このとき、当該位相連結歯
車56を組み込む直前に、撮影レンズ鏡筒17とファイ
ンダ装置26(のファインダ光学系)と閃光発光装置1
6との駆動位相を合わせて各構成ユニットを所定の位置
に設定するのである。
【0129】位相連結歯車56が組み込まれていない状
態においては、モータ50からの駆動力は、撮影レンズ
鏡筒17のみへと伝達可能とされる駆動力伝達経路が確
保されている状態にある。したがって、この状態ではフ
ァインダ装置26と閃光発光装置16とは自在に変位し
得る状態となっている。
【0130】この状態、即ち位相連結歯車56が組み込
まれていない状態において、まず撮影レンズ鏡筒17を
所定の沈胴位置となるように設定する。そして、この状
態を保持しつつ、ファインダ装置26と閃光発光装置1
6とを所定の位置、つまり撮影レンズ鏡筒17の沈胴位
置に対応する所定の位置となるように設定する。この場
合において、撮影レンズ鏡筒17の沈胴位置に対応する
閃光発光装置16の位置は収納位置であり、撮影レンズ
鏡筒17の沈胴位置に対応するファインダ装置26の位
置は、例えば撮影レンズ鏡筒17の最短焦点距離位置に
応じたファインダ光学系の画角を確保し得る位置等とな
る(図10参照)。
【0131】このように撮影レンズ鏡筒17・ファイン
ダ装置26・閃光発光装置16の各構成ユニットを所定
の位置に設定した状態で位相連結歯車56を所定の手段
により組み込む。これによって、三つの構成ユニットの
全てが連結されることになる。そして、このとき各構成
ユニットの駆動位相は、一致した状態が確保され、それ
ぞれの駆動ユニットは、確実に所定の動作を行ない得る
状態になる。
【0132】なお、本カメラ1の駆動力伝達装置におけ
る各駆動ユニットの動作タイミングは、図10のタイミ
ング線図がそのまま適用される。
【0133】以上説明したように上記一実施形態によれ
ば、一つの位相連結歯車56を最後に組み込むのみで、
三つの構成ユニット、即ち撮影レンズ鏡筒17・ファイ
ンダ装置26・閃光発光装置16とモータ50とを連結
することができるように構成したので、各構成ユニット
の駆動位相を一致させるための作業を簡易化することが
でき、より効率的に組み立て作業を行なうことができ
る。
【0134】また、このように組立工程の簡易化を実現
したことによって、製造コストの削減化にも寄与するこ
とができる。
【0135】さらに、回転するカム部材を用いて閃光発
光装置16の突没動作を行なうようにしたので、ラック
部材を用いて閃光発光装置16の突没動作を行なうよう
にした従来の手段に比べて、より少ない動作空間とする
ことができる。したがって、カメラの内部における空間
を効率的に利用して、各種の構成部材を適宜配置するこ
とができるので、カメラ自体の小型化に寄与することが
できる。
【0136】なお、上述の一実施形態においては、カメ
ラに設けられる閃光発光装置として、ポップアップ式の
ものを適用した例を示しているが、これに限らず、例え
ば閃光発光装置へと伝達されたモータ50の駆動力を利
用して別の形態の駆動を行なうように構成したものでも
適用することができる。
【0137】その一例としては、例えば閃光発光装置の
発光部がカメラに対して固定されて設けられ、当該閃光
発光装置による照明光の照射角が撮影レンズ鏡筒の変倍
動作に応じて変化するようにしたいわゆるズームストロ
ボ装置等がある。
【0138】本発明は、このようなズームストロボ装置
を備えたカメラの駆動力伝達装置においても同様にかつ
容易に対応するができる。
【0139】
【発明の効果】以上述べたように本発明によれば、単一
の駆動源によって撮影レンズ鏡筒・ファインダ装置・閃
光発光装置等の複数の駆動ユニットを駆動させるように
構成したカメラの駆動力伝達装置において、組立時に必
要となる各駆動ユニットの駆動位相の設定作業を容易に
し、効率的に組み立てを行ない得るカメラの駆動力伝達
装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態のカメラの駆動力伝達装置
を備えたカメラの概略を示す外観斜視図。
【図2】図1のカメラの駆動力伝達装置を拡大して示す
要部拡大図であって、本カメラの撮影レンズ鏡筒が沈胴
位置にある沈胴状態を示す図。
【図3】図1のカメラの駆動力伝達装置を拡大して示す
要部拡大図であって、本カメラが撮影準備状態にあって
撮影レンズ鏡筒が最短焦点距離位置(ワイド位置)にあ
るワイド(Wide)状態を示す図。
【図4】図1のカメラの駆動力伝達装置を拡大して示す
要部拡大図であって、本カメラの撮影レンズ鏡筒が最長
焦点距離位置(テレ位置)にあるテレ(Tele)状態
を示す図。
【図5】図1のカメラにおける閃光発光装置とその駆動
機構の詳細を示し、本閃光発光装置とこれを突没させる
閃光発光装置駆動機構の一部を取り出して示す分解斜視
図。
【図6】図1のカメラにおける閃光発光装置とその閃光
発光装置駆動機構のみを拡大して示す要部拡大図であっ
て、閃光発光装置が収納位置にある状態を示す図。
【図7】図1のカメラにおける閃光発光装置とその閃光
発光装置駆動機構のみを拡大して示す要部拡大図であっ
て、閃光発光装置が突出位置にある状態を示す図。
【図8】図1のカメラの駆動力伝達装置の一部を示し、
フイルム給送動作を行なうための駆動力伝達経路を構成
する構成部材と駆動力伝達経路を切り換えるための駆動
力伝達経路切換手段のみを取り出して示す要部外観斜視
図。
【図9】従来の沈胴式ズームカメラにおける駆動力伝達
装置の一例を概略的に示す図。
【図10】図9の従来の沈胴式ズームカメラにおける各
駆動ユニットの動作タイミングを示すタイミング線図。
【符号の説明】
1……カメラ 11……前カバー 12……後カバー 13……後蓋 14……スライドバリア部材 15……電池室蓋 16・116……閃光発光装置 17・117……撮影レンズ鏡筒 17b……ギアー部 26・126……ファインダ装置 32……フイルム巻取室 33……フイルムカートリッジ収納室 34……巻取スプール 34a……スプールギアー部 35……巻戻軸 35a……巻戻ギアー部 50・150……モータ(駆動源) 50a・150a……ピニオンギアー 51……ギアー列(伝達歯車列) 52……Zギアー(伝達歯車列) 52a……平ギアー部(Zギアー;伝達歯車列) 52b……斜歯ギアー部(Zギアー;伝達歯車列) 53……斜歯ギアー 54……平ギアー 55……撮影レンズ鏡筒駆動歯車(駆動歯車) 56……位相連結歯車 57……リングギアー(ファインダ装置駆動歯車、ギア
ーリング部材) 58……閃光発光装置突没歯車(閃光発光装置駆動歯
車) 58a……歯車部 58b……カム部材 58c……カム部 58d……軸 69……閃光発光装置駆動機構 76……切換プランジャ装置(駆動力伝達経路切換手
段) 76a……プランジャ鉄芯(切換プランジャ装置) 76b……コイル(切換プランジャ装置) 77……切換レバー(駆動力伝達経路切換手段) 81……二段ギアー(伝達歯車列) 86……第1遊星歯車列 91……第2遊星歯車列 95……駆動力伝達経路切換手段 100 固定部材 115……撮影レンズ鏡筒駆動歯車列
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成13年7月2日(2001.7.2)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0073
【補正方法】変更
【補正内容】
【0073】固定歯車71は、ファインダ装置26の内
部の固定部材(図示せず)に回動自在に配設される二段
ギアー72の大ギアー72aに噛合しており、この二段
ギアー72の小ギアー72bは、ファインダ装置26の
内部において回動自在に配設されるファインダカムギア
ー73に噛合している。このファインダカムギアー73
には、所定のカム手段(図示せず)が形成されていて、
ファインダ装置26の内部に配設される複数のファイン
ダ光学系の一部を駆動し、必要に応じて所定の方向(当
該ファインダ光学系の光軸に沿う方向)に所定量だけ移
動させることができるようになっている。このようにし
て、平ギアー54を回動させるモータ50からの駆動力
は、リングギアー57・固定歯車71を介してファイン
ダ装置26へと伝達され、当該ファインダ装置26にお
いて、二段ギアー72・ファインダカムギアー73を回
動させることでファインダ光学系が駆動するようになっ
ている。
【手続補正2】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図2
【補正方法】変更
【補正内容】
【図2】
【手続補正3】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図3
【補正方法】変更
【補正内容】
【図3】
【手続補正4】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図4
【補正方法】変更
【補正内容】
【図4】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2H018 AA02 BB01 2H020 MC22 MC34 MC44 MC96 2H044 DA02 DB02 DD08 DD11 2H053 CA41 CA42 CA43

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 正転及び逆転の駆動力を発生する単一
    の駆動源により撮影レンズ鏡筒とファインダ装置と閃光
    発光装置とを駆動させるようにしたカメラの駆動力伝達
    装置において、 上記駆動源からの駆動力を上記撮影レンズ鏡筒へ伝達す
    る駆動歯車と、 上記撮影レンズ鏡筒に対して上記ファインダ装置及び上
    記閃光発光装置の駆動位相をそれぞれ合わせてから組み
    込まれる歯車であって、組み込まれることによって上記
    駆動歯車に連結されると共に、上記駆動源からの駆動力
    をそれぞれ独立して設けられる上記ファインダ装置と上
    記閃光発光装置とに伝達する位相連結歯車と、 を具備することを特徴とするカメラの駆動力伝達装置。
  2. 【請求項2】 正転及び逆転の駆動力を発生する単一
    の駆動源と、 撮影レンズ鏡筒に連結され回転することにより当該撮影
    レンズ鏡筒を駆動するための撮影レンズ鏡筒駆動歯車
    と、 ファインダ装置に連結され回転することにより当該ファ
    インダ装置を駆動するためのファインダ装置駆動歯車
    と、 閃光発光装置に連結され回転することにより当該閃光発
    光装置を駆動するための閃光発光装置駆動歯車と、 上記駆動源からの駆動力を上記撮影レンズ鏡筒駆動歯車
    へ伝達する伝達歯車列と、 組み付けされることにより上記伝達歯車列と上記ファイ
    ンダ装置駆動歯車と上記閃光発光装置駆動歯車とに噛合
    して、これら三つの部材の間を連結する位相連結歯車
    と、 を具備することを特徴とするカメラの駆動力伝達装置。
  3. 【請求項3】 正転及び逆転の駆動力を発生する単一
    の駆動源と、 歯車部を備え撮影レンズ光学系の光軸周りに回動するこ
    とにより撮影レンズ鏡筒が有する撮影レンズ光学系の焦
    点距離を可変とする回転枠と、 歯車部を備え撮影レンズ光学系の光軸周りに回動自在に
    設けられ回動することによりファインダ装置の有するフ
    ァインダ光学系を変倍駆動するギアーリング部材と、 歯車部を備え回動自在に設けられ回動するのに応じて閃
    光発光装置を変位駆動させるカム部を有するカム部材
    と、 上記駆動源からの駆動力を上記回転枠へ伝達する伝達歯
    車列と、 組み付けされることにより上記伝達歯車列と上記ギアー
    リング部材と上記カム部材との三つの部材の間を連結す
    る位相連結歯車と、 を具備することを特徴とするカメラの駆動力伝達装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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KR101144831B1 (ko) 2010-05-11 2012-05-11 주식회사 아이에스티 스피드돔 카메라 모듈
WO2014140610A1 (en) 2013-03-14 2014-09-18 Luxfer Gas Cylinders Limited Method of manufacturing pressure vessel liners

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