JP2002201265A - 熱可塑性樹脂 - Google Patents

熱可塑性樹脂

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JP2002201265A
JP2002201265A JP2000399546A JP2000399546A JP2002201265A JP 2002201265 A JP2002201265 A JP 2002201265A JP 2000399546 A JP2000399546 A JP 2000399546A JP 2000399546 A JP2000399546 A JP 2000399546A JP 2002201265 A JP2002201265 A JP 2002201265A
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JP
Japan
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thermoplastic resin
heterocyclic amine
amine derivative
group
heterocyclic
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Application number
JP2000399546A
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English (en)
Inventor
Kimiya Kato
公哉 加藤
Toru Yamanaka
亨 山中
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Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】複素環アミン誘導体を媒介として高分子鎖間に
水素結合を形成させることにより、弾性率が改善された
熱可塑性樹脂を得る。 【解決手段】下記(A)〜(C)から選択される態様で
複素環アミン誘導体を共重合した、主鎖中に2級アミノ
基、および/あるいは末端に1級アミノ基を有する熱可
塑性樹脂。 (A)環を構成する窒素原子を2個以上含む複素環アミ
ン誘導体を、主鎖中、あるいは末端に共重合する、
(B)環を構成する窒素原子を1個含み、主骨格と結合
する官能基を1個有する複素環アミン誘導体を、末端に
共重合する、(C)環を構成する窒素原子を1個含み、
主骨格と結合する官能基を2個有し、その官能基の1個
が、少なくとも、複素環を構成する窒素原子の隣の原子
以外に結合している複素環アミン誘導体を共重合する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高分子鎖間が水素
結合により疑似架橋された熱可塑性樹脂に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】生体中の酵素に代表される生体高分子
は、主としてアミノ酸の重合体であるタンパク質から合
成され、このペプチド連鎖が、常温常圧で精密な分子集
合構造を形成している。このような精密な高次構造を形
成する駆動力となっているのが、水素結合である。近
年、このような水素結合を利用して、樹脂の高次構造を
制御し、機械特性を改良する研究が活発化している。
【0003】水素結合を利用した熱可塑性樹脂として、
特開2000−169527号公報が知られている。こ
の樹脂は、側鎖に、カルボニル含有基と複素環アミン含
有基とを有し、これらの基の間に水素結合を形成させた
エラストマー、およびプラスチック性ポリマーであり、
ポリマーの主鎖を形成する原子(通常炭素)に、カルボ
ニル基含有基、および複素環アミン含有基が共有結合し
た構造を有するものである。従って、カルボニル基、お
よび複素環アミンは、側鎖に導入されたものであり、主
鎖に導入されたものではなかった。そのため、水素結合
部位が嵩高くなり、その結果、結晶性を大きく阻害し、
機械特性を低下させるという問題があった。さらに、特
開2000−273319号公報には、疑似架橋型樹脂
が開示されている。この樹脂は、カルボニル基、カルボ
キシル基、フェノール性水酸基、スルホン酸基から選ば
れる基を含有する第一の原子団と、窒素原子を含む複素
環基、およびアミノ基を含有する第二の原子団を、水素
結合させ、分子間を疑似架橋したものである。しかし、
同公報に記載の如く、単に第一の原子団と第二の原子団
を導入するのみでは樹脂の結晶性が十分でなく、機械特
性の向上効果は未だ満足できるものではなかった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、水素結
合によって結晶性熱可塑性樹脂の機械特性を向上させる
ためには、水素結合の形成と結晶性をコントロールする
ことが必要であると考え、特定の複素環アミン誘導体を
主鎖、あるいは末端に共重合し、その構造中に1級ある
いは2級アミンを有する熱可塑性樹脂では、この複素環
アミン誘導体を導入しない熱可塑性樹脂と比較して、貯
蔵弾性率が飛躍的に向上することを見出し、本発明に到
達した。
【0005】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は、
(1)下記(A)〜(C)から選択される態様で複素環
アミン誘導体を共重合した、主鎖中に2級アミノ基、お
よび/あるいは末端に1級アミノ基を有する熱可塑性樹
脂、(A)環を構成する窒素原子を2個以上含む複素環
アミン誘導体を、主鎖中、あるいは末端に共重合する、
(B)環を構成する窒素原子を1個含み、主骨格と結合
する官能基を1個有する複素環アミン誘導体を、末端に
共重合する、(C)環を構成する窒素原子を1個含み、
主骨格と結合する官能基を2個有し、その官能基の1個
が、少なくとも、複素環を構成する窒素原子の隣の原子
以外に結合している複素環アミン誘導体を共重合する、
(2)ガラス転移温度が室温(25℃)より高いことを
特徴とする(1)記載の熱可塑性樹脂、(3)2級アミ
ノ基および1級アミノ基以外の、水素結合ドナーとして
作用する官能基をさらに有することを特徴とする
(1)、(2)いずれか記載の熱可塑性樹脂、(4)水
素結合ドナーとして作用する官能基が、ヒドロキシル
基、および/あるいはカルボキシル基であることを特徴
とする(3)記載の熱可塑性樹脂、(5)水素結合ドナ
ーとして作用する官能基が、複素環アミン誘導体残基に
結合していることを特徴とする(3)、(4)いずれか
記載の熱可塑性樹脂、(6)熱可塑性樹脂の主骨格がポ
リアミドを構成する骨格であることを特徴とする(1)
〜(5)いずれか記載の熱可塑性樹脂、(7)ポリアミ
ドがナイロン6、ナイロン66から選ばれた少なくとも
1種であることを特徴とする(6)記載の熱可塑性樹脂
に関するものである。
【0006】
【発明の実施の形態】以下本発明を詳細に説明する。
【0007】本発明の熱可塑性樹脂は下記(A)〜
(C)から選択される態様で複素環アミン誘導体を共重
合した、主鎖中に2級アミノ基、および/あるいは末端
に1級アミノ基を有する熱可塑性樹脂である。 (A)環を構成する窒素原子を2個以上含む複素環アミ
ン誘導体を、主鎖中、あるいは末端に共重合する、
(B)環を構成する窒素原子を1個含み、主骨格と結合
する官能基を1個有する複素環アミン誘導体を、末端に
共重合する、(C)環を構成する窒素原子を1個含み、
主骨格と結合する官能基を2個有し、その官能基の1個
が、少なくとも、複素環を構成する窒素原子の隣の原子
以外に結合している複素環アミン誘導体を共重合する。
【0008】態様(A)で用いる複素環アミン誘導体
は、環を構成する窒素原子を2個以上含む複素環アミン
誘導体である。かかる複素環アミン誘導体としては、ピ
ラジン、ピリミジン、キナゾリン、キノキサリン、トリ
アジンを骨格とするアミン、カルボン酸、ジアミン、ジ
カルボン酸、アミノカルボン酸、アミノアミドの誘導体
などが挙げられる。
【0009】このような複素環アミン誘導体を主鎖中に
共重合する場合には、主骨格と結合できる官能基を2個
以上有する誘導体が必要である。また、末端に共重合す
る場合には、主骨格と結合できる官能基を1個有する誘
導体が必要である。
【0010】主鎖中に共重合する複素環アミン誘導体の
具体例としては、3−アミノピラジン−2−カルボン
酸、2,4−ジアミノピリミジン、4,5−ジアミノピ
リミジン誘導体などが挙げられる。また、末端に共重合
する複素環アミン誘導体の具体例としては、2−アミノ
ピリミジン、4−アミノピリミジン、アミノピラジン、
2−ピラジンジカルボン酸、ピラジンアミド誘導体など
が挙げられる。
【0011】態様(B)で用いる複素環アミン誘導体
は、環を構成する窒素原子を1個含み、主骨格と結合す
る官能基を1個有する複素環アミン誘導体である。かか
る複素環アミン誘導体としては、ピリジン、キノリンを
骨格とするアミン、カルボン酸、ジアミン、ジカルボン
酸、アミノカルボン酸、アミノアミド誘導体などが挙げ
られる。
【0012】これら複素環アミン誘導体の具体例として
は、イソニコチン酸、ピコリン酸、2−アミノピリジ
ン、3−アミノピリジン、4−アミノピリジン、4−ピ
リジンメタノールなどが挙げられる。
【0013】態様(C)で用いる複素環アミン誘導体
は、環を構成する窒素原子を1個含み、主骨格と結合す
る官能基を2個有し、その官能基の1個が、少なくと
も、複素環を構成する窒素原子の隣の原子以外に結合し
ている複素環アミン誘導体である。かかる複素環アミン
誘導体としては、ピリジン、キノリンを骨格とするアミ
ン、カルボン酸、ジアミン、ジカルボン酸、アミノカル
ボン酸、アミノアミド誘導体などが挙げられる。
【0014】これら複素環アミン誘導体の具体例として
は、2,3−ジアミノピリジン、6−アミノニコチン
酸、2−アミノニコチン酸、6−アミノニコチンアミ
ド、3,5−ピリジンジカルボン酸、3,4−ピリジン
ジカルボン酸、2,3−ピリジンジカルボン酸、2,4
−ピリジンジカルボン酸、2,5−ピリジンジカルボン
酸誘導体などが挙げられる。ここで、態様(C)の複素
環アミン誘導体のうち、それら2個の官能基が、両方と
も、複素環を構成する窒素原子の隣の原子に結合してい
る2,6−ジアミノピリジン、2,6−ピリジンジカル
ボン酸等では、共重合によって熱可塑性樹脂の結晶性が
阻害されるため、本発明の複素環アミン誘導体から除外
される。
【0015】本発明の複素環アミン誘導体を共重合し
た、主鎖中に2級アミノ基、および/あるいは末端に1
級アミノ基を有する熱可塑性樹脂に含まれるアミノ基
は、水素結合ドナーとして、複素環アミン誘導体残基中
の複素環を構成する窒素原子と水素結合を形成すること
が可能である。水素結合ドナーとは、酸素、窒素など電
気陰性度の大きな原子に結合した水素原子を有する官能
基である。水素結合ドナーは、酸素、窒素、フッ素など
の電気陰性度の大きな原子、あるいはそれを含む官能基
と水素結合を形成することができる。
【0016】また、本発明の熱可塑性樹脂の機械特性を
さらに向上させるために、1級アミノ基および/あるい
は2級アミノ基に加え、水素結合ドナーとして作用する
他の官能基を熱可塑性樹脂に導入することができる。か
かる1級アミノ基および2級アミノ基以外の、水素結合
ドナーとして作用する官能基を熱可塑性樹脂に導入する
場合、この水素結合ドナーとして作用する官能基を有
し、かつ熱可塑性樹脂の主鎖および/または末端に共重
合可能なモノマーを共重合、あるいは重合後の官能基変
換などによって導入できる。このような水素結合ドナー
として作用する他の官能基の具体例としては、カルボキ
シル基、ヒドロキシル基などが挙げられる。このような
水素結合ドナーとして作用する他の官能基は、複素環ア
ミン誘導体に結合していてもよく、かかる複素環アミン
誘導体を熱可塑性樹脂の主鎖および/または末端に共重
合することによって導入することができる。このような
複素環アミン誘導体としては、2,4−ジアミノ−6−
ヒドロキシピリミジン、4,5−ジアミノ−6−ヒドロ
キシピリミジンなどが挙げられる。
【0017】本発明の熱可塑性樹脂において、主鎖中に
2級アミノ基、および/あるいは末端に1級アミノ基を
有するとは、熱可塑性樹脂の主鎖中にアミド結合を含ん
だ構造などを有している、あるいは、熱可塑性樹脂の末
端に1級アミノ基を含んだ構造などを有していることを
表す。この熱可塑性樹脂に含まれる2級アミノ基あるい
は1級アミノ基の量に制限はない。
【0018】本発明の熱可塑性樹脂を構成する主骨格と
しては、その構造中にアミド結合、エステル結合を有す
る骨格が好ましく、アミド結合を有する骨格が特に好ま
しい。なお、熱可塑性樹脂を構成する主骨格がエステル
結合等、2級アミノ基を有さないものである場合には、
その主鎖あるいは末端に2級アミノ基あるいは1級アミ
ノ基を導入しうるモノマーを共重合することにより2級
アミノ基あるいは1級アミノ基を熱可塑性樹脂に導入す
ることができる。
【0019】アミド基を有する骨格の具体例としては、
アミノ酸、ラクタムあるいはジアミンとジカルボン酸を
主たる原料として合成されるナイロンを構成する骨格等
が挙げられる。
【0020】その原料の代表例としては、6−アミノカ
プロン酸、11−アミノウンデカン酸、12−アミノド
デカン酸、パラアミノメチル安息香酸などのアミノ酸、
ε−カプロラクタム、ω−ラウロラクタムなどのラクタ
ム、テトラメチレンジアミン、ヘキサメレンジアミン、
2−メチルペンタメチレンジアミン、ウンデカメチレン
ジアミン、ドデカメチレンジアミン、2,2,4−/
2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、5−
メチルノナメチレンジアミン、メタキシリレンジアミ
ン、パラキシリレンジアミン、1,3−ビス(アミノメ
チル)シクロヘキサン、1,4−ビス(アミノメチル)
シクロヘキサン、1−アミノ−3−アミノメチルー3,
5,5−トリメチルシクロヘキサン、ビス(4−アミノ
シクロヘキシル)メタン、ビス(3−メチル−4−アミ
ノシクロヘキシル)メタン、2,2−ビス(4−アミノ
シクロヘキシル)プロパン、ビス(アミノプロピル)ピ
ペラジン、アミノエチルピペラジンなどの脂肪族、脂環
族、芳香族のジアミン、およびアジピン酸、スペリン
酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、テレフ
タル酸、イソフタル酸、2−クロロテレフタル酸、2−
メチルテレフタル酸、5−メチルイソフタル酸、5−ナ
トリウムスルホイソフタル酸、ヘキサヒドロテレフタル
酸、ヘキサヒドロイソフタル酸などの脂肪族、脂環族、
芳香族のジカルボン酸が挙げられ、本発明においては、
主骨格として、これらの原料から誘導されるナイロンを
用いることができる。
【0021】本発明において、主骨格を形成するのに、
特に有用な、ナイロンを構成する骨格は、複素環アミン
誘導体を共重合せずに重合したナイロンの融点が、20
0℃以上の耐熱性や強度に優れたものである。具体的な
例としてはポリカプロアミド(ナイロン6)、ポリヘキ
サメチレンアジパミド(ナイロン66)、ポリテトラメ
チレンアジパミド(ナイロン46)、ポリヘキサメチレ
ンセバカミド(ナイロン610)、ポリヘキサメチレン
ドデカミド(ナイロン612)、ポリヘキサメチレンア
ジパミド/ポリヘキサメチレンテレフタルアミドコポリ
マー(ナイロン66/6T)、ポリヘキサメチレンアジ
パミド/ポリヘキサメチレンイソフタルアミドコポリマ
ー(ナイロン66/6I)、ポリヘキサメチレンアジパ
ミド/ポリヘキサメチレンテレフタルアミド/ポリヘキ
サメチレンイソフタルアミドコポリマー(ナイロン66
/6T/6I)、ポリキシリレンアジパミド(ナイロン
XD6)およびこれらの混合物ないし共重合体などが挙
げられる。
【0022】とりわけ好ましいものとしては、ナイロン
6、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン6/66
コポリマー、ナイロン6/12コポリマーなどの例を挙
げることができる。
【0023】また、構造中にエステル基を有する骨格の
具体例としては、ジカルボン酸(あるいはそのエステル
形成性誘導体)とジオール(あるいはそのエステル形成
性誘導体)および/またはヒドロキシカルボン酸(ある
いはそのエステル形成性誘導体)とを主原料として、縮
合反応することにより得られるポリエステルが挙げられ
る。基本骨格をポリエステルとする場合には、複素環ア
ミン誘導体を共重合した後、その構造中に、2級アミノ
基、および/あるいは1級アミノ基が生成することが必
要である。さらに、構造中にアミド基およびエステル基
を有する骨格の具体例としては、ポリエステル樹脂骨格
の主原料に、アミノアルコール、アミノフェノール、ア
ミノカルボン酸等を共重合したポリエステルアミドが挙
げられる。
【0024】複素環アミン誘導体を共重合した、主骨格
がポリアミドである、共重合ポリアミド樹脂の重合度に
はとくに制限がなく、1%の濃硫酸溶液中、25℃で測
定した相対粘度が、1.5〜5.0の範囲、特に2.0
〜4.0の範囲のものが好ましい。なお、本発明は、弾
性率に優れた熱可塑性樹脂樹脂を得ようとするものであ
るので、いわゆるエラストマーは含まない。本発明にお
いては、耐熱性、剛性、強度に優れたガラス転移温度が
25℃よりも高い熱可塑性樹脂であることが好ましい。
【0025】本発明の複素環アミン誘導体の共重合量
は、主骨格の繰り返し単位に対して0.10〜30mo
l%であることが貯蔵弾性率の向上効果、結晶性低下を
抑制する観点から好ましい。
【0026】さらに、本発明において、主骨格がポリア
ミドを構成する骨格である場合の製造方法としては、公
知の方法が適用可能であり、例えば「ポリアミド樹脂ハ
ンドブック」(福本修編)等に開示されている方法が使
用できる。主骨格を構成するポリアミドの原料、および
主骨格と結合できる官能基を有する複素環アミン誘導体
を、高温で加熱溶融し、脱水反応を進行させる溶融重合
法、また、主骨格を構成するポリアミドの原料として、
ジアミンとジカルボン酸を用いる場合には、縮合剤の存
在下で反応させる直接重合法、ジアミンと二酸クロリド
を用いる場合には、水と混交しない有機溶媒と水の二相
系の界面で重縮合させる方法などが挙げられる。
【0027】また、主骨格がポリエステル、あるいはポ
リエステルアミドを構成する骨格である場合の製造方法
としては、公知の方法が適用可能であり、例えば「飽和
ポリエステル樹脂ハンドブック」(湯木和男編)等に開
示されている方法が使用できる。主骨格を構成する繰り
返し単位が、エチレンテレフタレート単位あるいはブチ
レンテレフタレート単位である場合、エステル交換法
(DMT法)、直接重合法(直接エステル化法)のいず
れの重合方法も適用可能である。これらの重合時に主骨
格と結合できる官能基とアミド基を有する複素環アミン
誘導体などを添加すれば、主骨格を構成する骨格がポリ
エステルである、複素環アミン誘導体を共重合した、主
鎖中に2級アミノ基を有する熱可塑性樹脂が製造でき
る。これら主骨格と共重合する複素環アミン誘導体の具
体例として、例えば、分子内に2つの1級アミノ基を有
する複素環アミン誘導体とジカルボン酸(あるいはその
エステル形成性誘導体)などのポリエステル原料をモル
比1:2で反応させた場合に得られる、複素環アミンに
アミド結合を介してカルボキシル基(あるいはそのエス
テル)が結合したモノマーなどを挙げることができる。
なお、これらの重縮合方法により主骨格を構成する骨格
がポリエステルである熱可塑性樹脂を製造する場合に
は、公知の金属化合物を重合触媒として使用するのが好
ましい。
【0028】本発明の熱可塑性樹脂には、必要に応じて
本発明の効果を損なわない範囲において、無機充填剤、
耐衝撃性改良剤、有機リン化合物、ポリエーテルエーテ
ルケトンなどの結晶核剤、次亜リン酸塩などの着色防止
剤、ヒンダードフェノール、ヒンダードアミンなどの酸
化防止剤、熱安定剤、滑剤、紫外線防止剤、着色剤、難
燃剤などを添加することができる。
【0029】
【実施例】以下に実施例を示し、本発明を更に具体的に
説明するが、本発明はこれら実施例の記載に限定される
ものではない。
【0030】[動的粘弾性]熱プレスにより作成した厚
さ約150μmのフィルムから長さ38mm、幅2mm
の短冊状の試験片を切り出し、オリエンテック製 RH
EO VIBRONDDV−II−EAを用い、周波数1
10Hz、チャック間距離30mm、昇温速度2℃/
分、20℃〜120℃で測定し、30℃、50℃、80
℃、110℃、の貯蔵弾性率(E’)を求めた。
【0031】[DSC(示差走査熱量測定)]セイコー
電子工業製 ロボットDSC RDC220を用い、窒素
雰囲気下、試料を約5mgを採取し、測定した。試料を
完全に融解させた後、280℃から30℃まで20℃/
分の降温速度で降温したときに観測される発熱ピーク温
度(Tc1)と発熱量(ΔHc1)を求め、さらに、そ
れに続いて、30℃で5分間保持した後、30℃から2
80℃まで20℃/分の昇温速度で昇温したときに観測
される吸熱ピーク温度(Tm2)と吸熱量(ΔHm2)
を求めた。
【0032】実施例1 原料として、ヘキサメチレンジアミンの64wt%水溶
液18.6g(ヘキサメチレンジアミン含量0.102
mol)、アジピン酸14.9g(0.102mo
l)、3,5−ピリジンジカルボン酸0.172g
(0.00103mol)を試験管に仕込み、オートク
レーブに入れて、密閉し、窒素置換した。ジャケット温
度を295℃に設定し、加熱を開始した。缶内圧力が1
7.5kg/cm 2に到達した後、缶内圧力を17.5
kg/cm2で3時間保持した。その後、ジャケット温
度を305℃に設定し、2時間かけて缶内圧力を常圧に
放圧した。その後、缶内温度が280℃に到達した時点
で、加熱を停止した。室温に放冷後、試験管をオートク
レーブから取り出し、ポリアミド樹脂を得た。得られた
ポリアミド樹脂の特性を表1に示した。
【0033】
【表1】
【0034】実施例2 原料としてヘキサメチレンジアミンの64wt%水溶液
18.5g(ヘキサメチレンジアミン含量0.102m
ol)、アジピン酸15.0g(0.103mol)、
2,4−ジアミノ−6−ヒドロキシピリミジン0.12
9g(0.00102mol)を用いる以外は実施例1
に記載した方法と全く同様の方法で共重合ポリアミド樹
脂を得た。
【0035】比較例1 原料としてヘキサメチレンジアミンの64wt%水溶液
18.5g(ヘキサメチレンジアミン含量0.102m
ol)、アジピン酸15.0g(0.103mol)、
2,6−ジアミノピリジン0.112g(0.0010
3mol)を用いる以外は実施例1に記載した方法と全
く同様の方法で共重合ポリアミド樹脂を得た。
【0036】比較例2 原料としてヘキサメチレンジアミンの64wt%水溶液
18.7g(ヘキサメチレンジアミン含量0.103m
ol)、アジピン酸15.0g(0.103mol)を
用いる以外は実施例1に記載した方法と全く同様の方法
で共重合ポリアミド樹脂を得た。
【0037】実施例1、2と比較例1との比較により、
特定の複素環アミン誘導体を約1mol%共重合しただ
けで、ポリアミドホモポリマーと比較して、貯蔵弾性率
が向上することから、水素結合による連結構造が形成さ
れていることを確認した。
【0038】
【発明の効果】本発明により、特定の複素環アミン誘導
体を少量共重合することによって、複素環アミン誘導体
を共重合していない樹脂単体と比較して、貯蔵弾性率が
向上した熱可塑性樹脂が得られるので、高剛性、高強度
材料として利用することができる。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成13年12月27日(2001.12.
27)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正内容】
【0010】主鎖中に共重合する複素環アミン誘導体の
具体例としては、3−アミノピラジン−2−カルボン
酸、2,4−ジアミノピリミジン、4,5−ジアミノピ
リミジン誘導体などが挙げられる。また、末端に共重合
する複素環アミン誘導体の具体例としては、2−アミノ
ピリミジン、4−アミノピリミジン、アミノピラジン、
2−ピラジンカルボン酸、ピラジンアミド誘導体などが
挙げられる。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】変更
【補正内容】
【0011】態様(B)で用いる複素環アミン誘導体
は、環を構成する窒素原子を1個含み、主骨格と結合す
る官能基を1個有する複素環アミン誘導体である。かか
る複素環アミン誘導体としては、ピリジン、キノリンを
骨格とするアミン、カルボン酸、アミノアミド誘導体な
どが挙げられる。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0013
【補正方法】変更
【補正内容】
【0013】態様(C)で用いる複素環アミン誘導体
は、環を構成する窒素原子を1個含み、主骨格と結合す
る官能基を2個有し、その官能基の1個が、少なくと
も、複素環を構成する窒素原子の隣の原子以外に結合し
ている複素環アミン誘導体である。かかる複素環アミン
誘導体としては、ピリジン、キノリンを骨格とするジ
ミン、ジカルボン酸、アミノカルボン酸、アミノアミド
誘導体などが挙げられる。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0014
【補正方法】変更
【補正内容】
【0014】これら複素環アミン誘導体の具体例として
は、2,3−ジアミピリジン、6−アミノニコチン
酸、2−アミノニコチン酸、6−アミノニコチンアミ
ド、3,5−ピリジンジカルボン酸、3,4−ピリジン
ジカルボン酸、2,3−ピリジンジカルボン酸、2,4
−ピリジンジカルボン酸、2,5−ピリジンジカルボン
酸誘導体などが挙げられる。ここで、態様(C)の複素
環アミン誘導体のうち、主骨格と結合する2個の官能基
が、両方とも、複素環を構成する窒素原子の隣の原子に
結合している2,6−ジアミノピリジン、2,6−ピリ
ジンジカルボン酸等では、共重合によって熱可塑性樹脂
の結晶性が阻害されるため、本発明の複素環アミン誘導
体から除外される。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0037
【補正方法】変更
【補正内容】
【0037】実施例1、2と比較例1、2との比較によ
り、特定の複素環アミン誘導体を約1mol%共重合し
ただけで、ポリアミドホモポリマーと比較して、貯蔵弾
性率が向上することから、複素環アミン成分の水素結合
による連結構造が形成されていることを確認した。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4J001 DA01 DB02 DC12 DC13 DC14 DC21 DC23 DC24 EA02 EA06 EA16 EA17 EA28 EB08 EB09 EB36 EB37 EC08 EC09 EC13 EC17 EC29 EC47 EC48 EE64A FA03 FA05 FB03 FB05 FC03 FC05 JB06 JB07 JB08 JB21

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記(A)〜(C)から選択される態様で
    複素環アミン誘導体を共重合した、主鎖中に2級アミノ
    基、および/あるいは末端に1級アミノ基を有する熱可
    塑性樹脂。 (A)環を構成する窒素原子を2個以上含む複素環アミ
    ン誘導体を、主鎖中、あるいは末端に共重合する、
    (B)環を構成する窒素原子を1個含み、主骨格と結合
    する官能基を1個有する複素環アミン誘導体を、末端に
    共重合する、(C)環を構成する窒素原子を1個含み、
    主骨格と結合する官能基を2個有し、その官能基の1個
    が、少なくとも、複素環を構成する窒素原子の隣の原子
    以外に結合している複素環アミン誘導体を共重合する。
  2. 【請求項2】ガラス転移温度が室温(25℃)より高い
    ことを特徴とする請求項1記載の熱可塑性樹脂。
  3. 【請求項3】2級アミノ基および1級アミノ基以外の、
    水素結合ドナーとして作用する官能基をさらに有するこ
    とを特徴とする請求項1、2いずれか記載の熱可塑性樹
    脂。
  4. 【請求項4】水素結合ドナーとして作用する官能基が、
    ヒドロキシル基、および/あるいはカルボキシル基であ
    ることを特徴とする請求項3記載の熱可塑性樹脂。
  5. 【請求項5】水素結合ドナーとして作用する官能基が、
    複素環アミン誘導体残基に結合していることを特徴とす
    る請求項3、4いずれか記載の熱可塑性樹脂。
  6. 【請求項6】熱可塑性樹脂の主骨格がポリアミドを構成
    する骨格であることを特徴とする請求項1〜5いずれか
    記載の熱可塑性樹脂。
  7. 【請求項7】ポリアミドがナイロン6、ナイロン66か
    ら選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする請求
    項6記載の熱可塑性樹脂。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2007500275A (ja) * 2003-02-27 2007-01-11 ファウクス、スティーブン、ダブリュー. 芳香族アミド高分子化合物及びその合成方法
WO2018079613A1 (ja) * 2016-10-31 2018-05-03 東レ株式会社 相互に少なくとも2つ以上の水素結合を形成する官能基を有する化合物を含む熱可塑性樹脂組成物
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