JP2002200492A - 電気化学的防汚方法 - Google Patents
電気化学的防汚方法Info
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- JP2002200492A JP2002200492A JP2000400958A JP2000400958A JP2002200492A JP 2002200492 A JP2002200492 A JP 2002200492A JP 2000400958 A JP2000400958 A JP 2000400958A JP 2000400958 A JP2000400958 A JP 2000400958A JP 2002200492 A JP2002200492 A JP 2002200492A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 防汚効果を奏する電気化学的防汚方法を提供
する。 【解決手段】 被防汚導電性基材と、対極と、基準電極
と、前記被防汚導電性基材及び対極に電位を出力する電
源とからなり、前記被防汚導電性基材と生物との直接電
子移動反応を利用した電気化学的防汚方法において、前
記対極に電位を出力し、且つ、前記被防汚導電性基材
に、この被防汚導電性基材と前記基準電極との電位差が
電気化学的に防汚効果を有する値になるよう電位を出力
する電気化学的防汚方法。
する。 【解決手段】 被防汚導電性基材と、対極と、基準電極
と、前記被防汚導電性基材及び対極に電位を出力する電
源とからなり、前記被防汚導電性基材と生物との直接電
子移動反応を利用した電気化学的防汚方法において、前
記対極に電位を出力し、且つ、前記被防汚導電性基材
に、この被防汚導電性基材と前記基準電極との電位差が
電気化学的に防汚効果を有する値になるよう電位を出力
する電気化学的防汚方法。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、生物などの付着を
電気化学的に防止する被防汚導電性基材を用いた電気化
学的防汚方法に関する。
電気化学的に防止する被防汚導電性基材を用いた電気化
学的防汚方法に関する。
【0002】
【従来の技術】海水や淡水中には多くの生物が存在し、
水中構造物表面に付着し、様々な問題を引き起こしてい
る。例えば、船舶やブイに付着すると推進抵抗の増大と
いった問題が発生する。また、養殖用生け簀に付着する
と海水の交流阻害といった問題が発生する。更に、定置
網などの漁網に付着すると網成りの変形といった問題な
どが発生する。また、給排水のパイプ内やバルブ等に付
着した微生物は海水や淡水を介して人や生産物を汚染す
るといった問題を発生する。海水や淡水に接している構
造物表面への生物の一般的な付着機構は以下の通りであ
る。まず付着性のグラム陰性菌が構造物表面に吸着して
脂質に由来するスライム状物質を多量に分泌する。さら
にグラム陰性菌は、このスライム層に集まって増殖し、
微生物皮膜を形成する。そして、海水中ではこの微生物
皮膜上に大型生物である藻類、貝類、フジツボ等の大型
の生物が付着する。付着した大型生物が繁殖成長し、最
終的に水中構造物表面を覆い尽くすことになる。こうし
た水中構造物および海水や淡水に接しているものの表面
に付着した生物の防汚手段としては、殺菌性を有する物
質を防汚面に添加したり、有機スズ系化合物を含有した
塗料で塗膜を形成し、有機スズ系化合物を溶出させる方
法が一般に行われていた。しかし、これらの方法は有害
物質が発生し、水質の汚染による生物への影響が懸念さ
れる。
水中構造物表面に付着し、様々な問題を引き起こしてい
る。例えば、船舶やブイに付着すると推進抵抗の増大と
いった問題が発生する。また、養殖用生け簀に付着する
と海水の交流阻害といった問題が発生する。更に、定置
網などの漁網に付着すると網成りの変形といった問題な
どが発生する。また、給排水のパイプ内やバルブ等に付
着した微生物は海水や淡水を介して人や生産物を汚染す
るといった問題を発生する。海水や淡水に接している構
造物表面への生物の一般的な付着機構は以下の通りであ
る。まず付着性のグラム陰性菌が構造物表面に吸着して
脂質に由来するスライム状物質を多量に分泌する。さら
にグラム陰性菌は、このスライム層に集まって増殖し、
微生物皮膜を形成する。そして、海水中ではこの微生物
皮膜上に大型生物である藻類、貝類、フジツボ等の大型
の生物が付着する。付着した大型生物が繁殖成長し、最
終的に水中構造物表面を覆い尽くすことになる。こうし
た水中構造物および海水や淡水に接しているものの表面
に付着した生物の防汚手段としては、殺菌性を有する物
質を防汚面に添加したり、有機スズ系化合物を含有した
塗料で塗膜を形成し、有機スズ系化合物を溶出させる方
法が一般に行われていた。しかし、これらの方法は有害
物質が発生し、水質の汚染による生物への影響が懸念さ
れる。
【0003】近年、有害物質を発生させないで電気化学
的に水中構造物や海水や淡水に接しているものの表面な
どに付着する生物を制御する方法が提案されている。こ
の電気化学的な生物の制御方法は、微生物との直接電気
化学反応が確認されている所定電位以上の電位を微生物
に印加すると、微生物内部の酸化還元物質の一つである
補酵素Aが不可逆的に酸化され、微生物の呼吸活性及び
微生物膜の透過障壁の低下を誘発し、微生物を死滅させ
ることが可能であるというものである(特公平6−91
821号公報)。すなわち、当該公報には、グラム陰性
菌の付着を電気化学的に制御することにより大型生物の
付着を防止する方法が示されている。また、特開平4−
341392号公報には、水中において、導電性基板に
正電位を印加することにより、水中の微生物を前記導電
性基板表面に吸着して殺菌する工程と、前記導電性基板
に負電位を印加することにより、前記導電性基板表面に
吸着している殺菌された微生物を脱離する工程とを行う
ことを特徴とする水中微生物の制御方法を要旨とする発
明が記載されている。
的に水中構造物や海水や淡水に接しているものの表面な
どに付着する生物を制御する方法が提案されている。こ
の電気化学的な生物の制御方法は、微生物との直接電気
化学反応が確認されている所定電位以上の電位を微生物
に印加すると、微生物内部の酸化還元物質の一つである
補酵素Aが不可逆的に酸化され、微生物の呼吸活性及び
微生物膜の透過障壁の低下を誘発し、微生物を死滅させ
ることが可能であるというものである(特公平6−91
821号公報)。すなわち、当該公報には、グラム陰性
菌の付着を電気化学的に制御することにより大型生物の
付着を防止する方法が示されている。また、特開平4−
341392号公報には、水中において、導電性基板に
正電位を印加することにより、水中の微生物を前記導電
性基板表面に吸着して殺菌する工程と、前記導電性基板
に負電位を印加することにより、前記導電性基板表面に
吸着している殺菌された微生物を脱離する工程とを行う
ことを特徴とする水中微生物の制御方法を要旨とする発
明が記載されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記、生物を制御する
方法は、海水や水の電気分解が起こらない電位を防汚し
ようとする導電性の基材に印加することによって、微生
物の殺菌や付着防止を行うことができることから海洋汚
染が無く、さらに海洋生物の生態系への影響がないこと
から優れた防汚方法である。ところで、上記電気化学的
な生物付着制御方法において、電極は、被防汚導電性基
材と、この被防汚導電性基材と対になる対極と、必要に
応じて採用される被防汚導電性基材の電位を参照するた
めの基準電極とから構成されており、上記被防汚導電性
基材と、この被防汚導電性基材と対になる対極と、被防
汚導電性基材の電位を参照する為の基準電極とを個々に
設置している。そして、電気化学的な生物の制御に当た
っては、被防汚導電性基材に印加する電位を制御してい
た。ところが、被防汚導電性基材に印加する電位の制御
条件によっては、使用している間に対極が著しく劣化し
てしまう場合があった。本発明は、被防汚導電性基材の
電気化学的防汚効果を奏することは勿論、対極の劣化を
抑制する電気化学的防汚方法を提供することを課題とす
る。
方法は、海水や水の電気分解が起こらない電位を防汚し
ようとする導電性の基材に印加することによって、微生
物の殺菌や付着防止を行うことができることから海洋汚
染が無く、さらに海洋生物の生態系への影響がないこと
から優れた防汚方法である。ところで、上記電気化学的
な生物付着制御方法において、電極は、被防汚導電性基
材と、この被防汚導電性基材と対になる対極と、必要に
応じて採用される被防汚導電性基材の電位を参照するた
めの基準電極とから構成されており、上記被防汚導電性
基材と、この被防汚導電性基材と対になる対極と、被防
汚導電性基材の電位を参照する為の基準電極とを個々に
設置している。そして、電気化学的な生物の制御に当た
っては、被防汚導電性基材に印加する電位を制御してい
た。ところが、被防汚導電性基材に印加する電位の制御
条件によっては、使用している間に対極が著しく劣化し
てしまう場合があった。本発明は、被防汚導電性基材の
電気化学的防汚効果を奏することは勿論、対極の劣化を
抑制する電気化学的防汚方法を提供することを課題とす
る。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、被防汚導電性
基材と、対極と、基準電極と、前記被防汚導電性基材及
び対極に電位を出力する電源とからなり、前記被防汚導
電性基材と生物との直接電子移動反応を利用した電気化
学的防汚方法において、前記対極に電位を出力し、且
つ、前記被防汚導電性基材に、この被防汚導電性基材と
前記基準電極との電位差が電気化学的に防汚効果を有す
る値になるよう電位を出力する電気化学的防汚方法を要
旨とするものである。
基材と、対極と、基準電極と、前記被防汚導電性基材及
び対極に電位を出力する電源とからなり、前記被防汚導
電性基材と生物との直接電子移動反応を利用した電気化
学的防汚方法において、前記対極に電位を出力し、且
つ、前記被防汚導電性基材に、この被防汚導電性基材と
前記基準電極との電位差が電気化学的に防汚効果を有す
る値になるよう電位を出力する電気化学的防汚方法を要
旨とするものである。
【0006】
【作用】本発明に係る電気化学的防汚方法は、対極に電
位を出力し、且つ、被防汚導電性基材にも電位を出力し
て電気化学的な防汚効果を奏する。また、対極の劣化も
抑制される。
位を出力し、且つ、被防汚導電性基材にも電位を出力し
て電気化学的な防汚効果を奏する。また、対極の劣化も
抑制される。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明に係る電気化学的防汚方法
は、被防汚導電性基材と、対極と、基準電極と、前記被
防汚導電性基材及び対極に電位を出力する電源とからな
り、前記対極に電位を出力し、且つ、前記被防汚導電性
基材に、この被防汚導電性基材と前記基準電極との電位
差が電気化学的に防汚効果を有する値になるよう電位を
出力する方法である。本発明で用いる被防汚導電性基材
は、全体が導電性材料から形成されたものであってもよ
いが、少なくともその表面または水中に浸漬している一
部表面が導電性であることが必要である。基材は金属、
樹脂、無機材料からなり、構造を維持する機能を有する
ものであれば特に限定されない。金属材料の例としては
鉄、アルミニウム、銅、チタン、タンタル、ニオブ、お
よびそれらの合金、ステンレス等が挙げられる。樹脂材
料の例としては、アクリロニトリル−ブタジエン−スチ
レン共重合体、アクリロニトリル−スチレン共重合体、
ナイロン、ポリエステル、ポリスチレン、ポリカーボネ
イト、ポリエチレン、ポリプロピレン、塩化ビニル、ポ
リエチレンテレフタレート、繊維強化プラスチック(F
RP)等が挙げられる。無機材料の例としては、ガラ
ス、アルミナ、ジルコニア、セメント等が挙げられる。
基材として、樹脂、無機材料などの被導電性材料を用い
る場合、導電性微粒子を材料に充填し、基材を形成する
ことにより導電性を付与し用いればよい。導電性微粒子
の例としては、グラファイト、カーボンブラック、カー
ボン繊維からなる短繊維などの炭素微粒子、金、白金、
ルテニウム、ロジウム、パラジウムまたはこれらの貴金
属の酸化物の微粒子、窒化チタン、窒化ジルコニウム、
窒化バナジウム、窒化タンタル、窒化ニオブ、窒化クロ
ム等の金属窒化物、炭化チタン、炭化ジルコニウム、炭
化バナジウム、炭化ニオブ、炭化タンタル、炭化クロ
ム、炭化モリブデン、炭化タングステン等の金属炭化
物、ホウ化チタン、ホウ化ジルコニウム、ホウ化ハーフ
ニウム、ホウ化バナジウム、ホウ化ニオブ、ホウ化タン
タル、ホウ化クロム、ホウ化モリブデン、ホウ化タング
ステン等の金属ホウ化物、ケイ化チタン、ケイ化ジルコ
ニウム、ケイ化ニオブ、ケイ化タンタル、ケイ化バナジ
ウム、ケイ化タングステン等の金属ケイ化物などの微粒
子が挙げられる。
は、被防汚導電性基材と、対極と、基準電極と、前記被
防汚導電性基材及び対極に電位を出力する電源とからな
り、前記対極に電位を出力し、且つ、前記被防汚導電性
基材に、この被防汚導電性基材と前記基準電極との電位
差が電気化学的に防汚効果を有する値になるよう電位を
出力する方法である。本発明で用いる被防汚導電性基材
は、全体が導電性材料から形成されたものであってもよ
いが、少なくともその表面または水中に浸漬している一
部表面が導電性であることが必要である。基材は金属、
樹脂、無機材料からなり、構造を維持する機能を有する
ものであれば特に限定されない。金属材料の例としては
鉄、アルミニウム、銅、チタン、タンタル、ニオブ、お
よびそれらの合金、ステンレス等が挙げられる。樹脂材
料の例としては、アクリロニトリル−ブタジエン−スチ
レン共重合体、アクリロニトリル−スチレン共重合体、
ナイロン、ポリエステル、ポリスチレン、ポリカーボネ
イト、ポリエチレン、ポリプロピレン、塩化ビニル、ポ
リエチレンテレフタレート、繊維強化プラスチック(F
RP)等が挙げられる。無機材料の例としては、ガラ
ス、アルミナ、ジルコニア、セメント等が挙げられる。
基材として、樹脂、無機材料などの被導電性材料を用い
る場合、導電性微粒子を材料に充填し、基材を形成する
ことにより導電性を付与し用いればよい。導電性微粒子
の例としては、グラファイト、カーボンブラック、カー
ボン繊維からなる短繊維などの炭素微粒子、金、白金、
ルテニウム、ロジウム、パラジウムまたはこれらの貴金
属の酸化物の微粒子、窒化チタン、窒化ジルコニウム、
窒化バナジウム、窒化タンタル、窒化ニオブ、窒化クロ
ム等の金属窒化物、炭化チタン、炭化ジルコニウム、炭
化バナジウム、炭化ニオブ、炭化タンタル、炭化クロ
ム、炭化モリブデン、炭化タングステン等の金属炭化
物、ホウ化チタン、ホウ化ジルコニウム、ホウ化ハーフ
ニウム、ホウ化バナジウム、ホウ化ニオブ、ホウ化タン
タル、ホウ化クロム、ホウ化モリブデン、ホウ化タング
ステン等の金属ホウ化物、ケイ化チタン、ケイ化ジルコ
ニウム、ケイ化ニオブ、ケイ化タンタル、ケイ化バナジ
ウム、ケイ化タングステン等の金属ケイ化物などの微粒
子が挙げられる。
【0008】また、上記導電性微粒子をバインダー樹脂
に充填、分散させた導電性組成物を、前記被導電性材料
製基材表面に被覆して導電性を付与してもよい。バイン
ダー樹脂の例としては、フッ素樹脂、アクリル樹脂、ポ
リウレタン樹脂、シリコン樹脂、不飽和ポリエステル樹
脂、アクリル−ウレタン樹脂、ポリエステル−ウレタン
樹脂、シリコン−ウレタン樹脂、シリコン−アクリル樹
脂、エポキシ樹脂や、熱硬化型のメラミン−アルキッド
樹脂、メラミン−アクリル樹脂、メラミン−ポリエステ
ル樹脂、ポリイミド樹脂などの樹脂、または天然ゴム、
クロロプレンゴム、シリコンゴム、ニトリルブチレンゴ
ム、ポリエチレンエラストマー、ポリエステルエラスト
マー、ポリプロピレンエラストマー等のゴム弾性材料が
挙げられる。導電性組成物は、導電性シートを形成して
被導電性基材上に接着剤を介して積層したり、塗膜層と
して形成してもよい。
に充填、分散させた導電性組成物を、前記被導電性材料
製基材表面に被覆して導電性を付与してもよい。バイン
ダー樹脂の例としては、フッ素樹脂、アクリル樹脂、ポ
リウレタン樹脂、シリコン樹脂、不飽和ポリエステル樹
脂、アクリル−ウレタン樹脂、ポリエステル−ウレタン
樹脂、シリコン−ウレタン樹脂、シリコン−アクリル樹
脂、エポキシ樹脂や、熱硬化型のメラミン−アルキッド
樹脂、メラミン−アクリル樹脂、メラミン−ポリエステ
ル樹脂、ポリイミド樹脂などの樹脂、または天然ゴム、
クロロプレンゴム、シリコンゴム、ニトリルブチレンゴ
ム、ポリエチレンエラストマー、ポリエステルエラスト
マー、ポリプロピレンエラストマー等のゴム弾性材料が
挙げられる。導電性組成物は、導電性シートを形成して
被導電性基材上に接着剤を介して積層したり、塗膜層と
して形成してもよい。
【0009】上記の導電性微粒子の他に、生物の細胞と
電極との電子移動反応を促進する作用を有する特定の化
合物を添加してもよい。すなわち、微生物と電極との電
子移動を媒介する電子メディエータを導電性材料と共に
使用することによって、より効率的に生物の殺菌を行う
ことができる。電子メディエータの例としては、フェロ
セン、フェロセンモノカルボン酸、フェロセンジカルボ
ン酸または、〔(トリメチルアミン)メチル〕フェロセ
ン等のフェロセンおよびその誘導体、H4Fe(C
N)6、K4Fe(CN)6、Na4Fe(CN)6等のフ
ェロシアン類、2,6−ジクロロフェノールインドー
ル、フェナンジンメトサルフェート、ベンゾキノン、フ
タロシアニン、ブリリアントクレジルブルー、カロシア
ニン、レゾルシン、チオニン、N,N−ジメチル−ジス
ルフォネイティド・チオニン、ニューメチレンブルー、
トブシンブルーO、サフラニン−O、2,6−ジクロロ
フェノールインドフェノール、ベンジルビオロゲン、ア
リザリンブリリアントブルー、フェノシアジノン、フェ
ナジンエトサルフェート等が挙げられる。この様な電子
メディエータを担持した被防汚導電性基材としてはフェ
ロセン修飾電極を挙げることができる。
電極との電子移動反応を促進する作用を有する特定の化
合物を添加してもよい。すなわち、微生物と電極との電
子移動を媒介する電子メディエータを導電性材料と共に
使用することによって、より効率的に生物の殺菌を行う
ことができる。電子メディエータの例としては、フェロ
セン、フェロセンモノカルボン酸、フェロセンジカルボ
ン酸または、〔(トリメチルアミン)メチル〕フェロセ
ン等のフェロセンおよびその誘導体、H4Fe(C
N)6、K4Fe(CN)6、Na4Fe(CN)6等のフ
ェロシアン類、2,6−ジクロロフェノールインドー
ル、フェナンジンメトサルフェート、ベンゾキノン、フ
タロシアニン、ブリリアントクレジルブルー、カロシア
ニン、レゾルシン、チオニン、N,N−ジメチル−ジス
ルフォネイティド・チオニン、ニューメチレンブルー、
トブシンブルーO、サフラニン−O、2,6−ジクロロ
フェノールインドフェノール、ベンジルビオロゲン、ア
リザリンブリリアントブルー、フェノシアジノン、フェ
ナジンエトサルフェート等が挙げられる。この様な電子
メディエータを担持した被防汚導電性基材としてはフェ
ロセン修飾電極を挙げることができる。
【0010】また、抗菌性を有する材料を添加してもよ
い。抗菌性を有する物質は、無機物に属するものと有機
物に属するものとがある。無機物としては、銀、銅、ニ
ッケル、亜鉛、鉛、ゲルマニウム等の金属およびこれら
の酸化物、酸素酸塩、塩化物、硫酸塩、硝酸塩、炭酸
塩、有機キレート化合物などが挙げられる。有機物とし
ては、2−(4−チアゾリル)−ベンズイミダゾール、
4,5,6,7−テトラクロル−2−トリフルオロメチ
ルベンズイミダゾール、10,10’−オキシスフェノ
キシアルシン、トリメトキシシリル−プロピルオクタデ
シルアンモニウムクロライド、2−N−オクチル−4−
イソチアゾリン−3−オン、ビス(2−ピリジルチオ−
1−オキシド)亜鉛などが挙げられる。
い。抗菌性を有する物質は、無機物に属するものと有機
物に属するものとがある。無機物としては、銀、銅、ニ
ッケル、亜鉛、鉛、ゲルマニウム等の金属およびこれら
の酸化物、酸素酸塩、塩化物、硫酸塩、硝酸塩、炭酸
塩、有機キレート化合物などが挙げられる。有機物とし
ては、2−(4−チアゾリル)−ベンズイミダゾール、
4,5,6,7−テトラクロル−2−トリフルオロメチ
ルベンズイミダゾール、10,10’−オキシスフェノ
キシアルシン、トリメトキシシリル−プロピルオクタデ
シルアンモニウムクロライド、2−N−オクチル−4−
イソチアゾリン−3−オン、ビス(2−ピリジルチオ−
1−オキシド)亜鉛などが挙げられる。
【0011】特に、基材の少なくとも防汚面を、バルブ
金属、金属窒化物、金属炭化物、金属ホウ化物又は金属
ケイ化物からなる導電性膜となしたものは好ましく用い
られる。導電性膜を形成するに当たっては、溶射やスパ
ッタリング、イオンプレーティングなどの方法を採用す
ることができる。金属窒化物、金属炭化物、金属ホウ化
物、金属ケイ化物については既に記載してあるが、記載
した材料はその一部であり、形成方法によっては2種類
以上の金属が含まれたり、酸化物の一部が含まれたり、
さらにはこれらの化合物が2種以上混合されることか
ら、特に限定はされない。これらの金属窒化物、金属炭
化物、金属ホウ化物、金属ケイ化物は0.1μm以上の
厚さの膜であればよく、最大の厚さは特に限定しない
が、金属窒化物、金属炭化物、金属ホウ化物、金属ケイ
化物の形成方法や使用目的により適宜設定すればよい。
金属、金属窒化物、金属炭化物、金属ホウ化物又は金属
ケイ化物からなる導電性膜となしたものは好ましく用い
られる。導電性膜を形成するに当たっては、溶射やスパ
ッタリング、イオンプレーティングなどの方法を採用す
ることができる。金属窒化物、金属炭化物、金属ホウ化
物、金属ケイ化物については既に記載してあるが、記載
した材料はその一部であり、形成方法によっては2種類
以上の金属が含まれたり、酸化物の一部が含まれたり、
さらにはこれらの化合物が2種以上混合されることか
ら、特に限定はされない。これらの金属窒化物、金属炭
化物、金属ホウ化物、金属ケイ化物は0.1μm以上の
厚さの膜であればよく、最大の厚さは特に限定しない
が、金属窒化物、金属炭化物、金属ホウ化物、金属ケイ
化物の形成方法や使用目的により適宜設定すればよい。
【0012】基材が電気化学的に溶解や腐食する材料、
例えば、鉄やアルミニウム、銅、亜鉛、マグネシウムお
よびそれらの合金、ステンレス等の金属材料からなる場
合では、該金属材料と接水面に形成された導電層との間
に、絶縁性樹脂塗膜層や絶縁性樹脂フィルム層、アルミ
ナ、チタニア酸化ケイ素などの絶縁無機物層、またはチ
タン、ニオブ、タンタル等のバルブ金属などを設けてお
けばよい。これらの材料からなる層は1種または2種以
上多層として形成されてあってもよい。
例えば、鉄やアルミニウム、銅、亜鉛、マグネシウムお
よびそれらの合金、ステンレス等の金属材料からなる場
合では、該金属材料と接水面に形成された導電層との間
に、絶縁性樹脂塗膜層や絶縁性樹脂フィルム層、アルミ
ナ、チタニア酸化ケイ素などの絶縁無機物層、またはチ
タン、ニオブ、タンタル等のバルブ金属などを設けてお
けばよい。これらの材料からなる層は1種または2種以
上多層として形成されてあってもよい。
【0013】被防汚導電性基材の形状は特に限定される
ものではなく、生物を効率よく吸着して直接または間接
的に接触し、電位を付与することのできるものであれば
よい。
ものではなく、生物を効率よく吸着して直接または間接
的に接触し、電位を付与することのできるものであれば
よい。
【0014】本発明の防汚方法に用いる防汚装置におい
て、対極は、上記被防汚導電性基材と接触しないように
設置されている。対極基材は被防汚導電性基材と同様の
ものを用いることができる。この対極を構成する基材と
しては、導電性の金属材料が挙げられる。金属材料の例
としては鉄、アルミニウム、銅、亜鉛、マグネシウム、
ニッケル、鉛およびそれらの合金、ステンレス等が挙げ
られる。上記被防汚導電性基材の電位を参照するための
基準電極は、電気化学反応が進む被防汚導電性基材の電
位を測るときに基準とするものであって、これを配置す
ることによって、基準電極と被防汚導電性基材とを相互
に比較できるという効果が奏せられる。被防汚導電性基
材の電位を参照するための基準電極は、基準電極表面で
電極反応が可逆で電解液中のある化学種とNernst
の平衡電位式に従って応答し、その電位は時間に対して
安定で、微少電流が流れてもすぐ最初の電位に戻り、温
度変化も一定の温度になれば一定の電位を出すもの、と
いったものを用いる。例えば水素電極(NHE、RH
E、白金黒電極)、カロメル電極(SCE)、銀・塩化
銀電極(Ag/AgCl)、硫酸第一水銀電極、酸化水
銀電極などが挙げられる。次に電位印加条件について説
明する。生物を含む水中において、被防汚導電性基材に
正電位を印加すると、水中の水生生物は基材表面に吸着
する。さらに基材に印加されている正電位には、基材表
面に吸着して接触した生物を電気化学的に殺菌する作用
がある。即ち、生物は、正電位によって基材表面に吸着
させられ、表面上で殺菌される。このとき、設定される
電位は電解液中から電気化学的に生成物が発生しない電
位であることが必要である。これは、有害な塩素ガスの
発生を防止するためである。好ましい電位は、+0〜
1.5Vvs.SCE、より好ましくは+0.5から+
1.2Vvs.SCEである。印加する電位が+0Vv
s.SCE未満では生物を基材に吸着させて殺菌するこ
とができない。また、+1.5Vvs.SCEを越えた
電位を長時間印加すると水や海水が電気分解して有害物
質を発生したり、被防汚導電性基材の劣化が起こること
があるので好ましくない。ちなみに、表面に、5Vv
s.SCE以下の電位を印加しても塩素が発生しない導
電性膜を形成した被防汚導電性基材を用いた場合には、
+5Vvs.SCE迄の電位を印加することができる。
さらに、上記正電位を印加してなる殺菌工程の後、印加
した正電位を、電解液中から電気化学的に生成物が発生
しない負電位に変更する事もできる。この負電位は、0
〜−1.5Vvs.SCE、好ましくは−0.1〜−
1.0Vvs.SCEである。被防汚導電性基材に電解
液中から電気化学的に生成物が発生しない負電位を印加
することによって、被防汚導電性基材に付着した生物、
その他の細胞、殺菌された生物の細胞および/またはそ
の破損物や有機物の脱離がおこる。上記正電位を印加し
てなる殺菌工程と、電解液中から電気化学的に生成物が
発生しない負電位を印加してなる脱離工程とは周期的に
変化させるが、周期、即ち、正電位及び負電位の維持時
間は、本装置を取り付ける環境に応じて適宜設定すれば
良い。
て、対極は、上記被防汚導電性基材と接触しないように
設置されている。対極基材は被防汚導電性基材と同様の
ものを用いることができる。この対極を構成する基材と
しては、導電性の金属材料が挙げられる。金属材料の例
としては鉄、アルミニウム、銅、亜鉛、マグネシウム、
ニッケル、鉛およびそれらの合金、ステンレス等が挙げ
られる。上記被防汚導電性基材の電位を参照するための
基準電極は、電気化学反応が進む被防汚導電性基材の電
位を測るときに基準とするものであって、これを配置す
ることによって、基準電極と被防汚導電性基材とを相互
に比較できるという効果が奏せられる。被防汚導電性基
材の電位を参照するための基準電極は、基準電極表面で
電極反応が可逆で電解液中のある化学種とNernst
の平衡電位式に従って応答し、その電位は時間に対して
安定で、微少電流が流れてもすぐ最初の電位に戻り、温
度変化も一定の温度になれば一定の電位を出すもの、と
いったものを用いる。例えば水素電極(NHE、RH
E、白金黒電極)、カロメル電極(SCE)、銀・塩化
銀電極(Ag/AgCl)、硫酸第一水銀電極、酸化水
銀電極などが挙げられる。次に電位印加条件について説
明する。生物を含む水中において、被防汚導電性基材に
正電位を印加すると、水中の水生生物は基材表面に吸着
する。さらに基材に印加されている正電位には、基材表
面に吸着して接触した生物を電気化学的に殺菌する作用
がある。即ち、生物は、正電位によって基材表面に吸着
させられ、表面上で殺菌される。このとき、設定される
電位は電解液中から電気化学的に生成物が発生しない電
位であることが必要である。これは、有害な塩素ガスの
発生を防止するためである。好ましい電位は、+0〜
1.5Vvs.SCE、より好ましくは+0.5から+
1.2Vvs.SCEである。印加する電位が+0Vv
s.SCE未満では生物を基材に吸着させて殺菌するこ
とができない。また、+1.5Vvs.SCEを越えた
電位を長時間印加すると水や海水が電気分解して有害物
質を発生したり、被防汚導電性基材の劣化が起こること
があるので好ましくない。ちなみに、表面に、5Vv
s.SCE以下の電位を印加しても塩素が発生しない導
電性膜を形成した被防汚導電性基材を用いた場合には、
+5Vvs.SCE迄の電位を印加することができる。
さらに、上記正電位を印加してなる殺菌工程の後、印加
した正電位を、電解液中から電気化学的に生成物が発生
しない負電位に変更する事もできる。この負電位は、0
〜−1.5Vvs.SCE、好ましくは−0.1〜−
1.0Vvs.SCEである。被防汚導電性基材に電解
液中から電気化学的に生成物が発生しない負電位を印加
することによって、被防汚導電性基材に付着した生物、
その他の細胞、殺菌された生物の細胞および/またはそ
の破損物や有機物の脱離がおこる。上記正電位を印加し
てなる殺菌工程と、電解液中から電気化学的に生成物が
発生しない負電位を印加してなる脱離工程とは周期的に
変化させるが、周期、即ち、正電位及び負電位の維持時
間は、本装置を取り付ける環境に応じて適宜設定すれば
良い。
【0015】本発明では、前記被防汚導電性基材表面に
直接または間接的に接触する生物を電気化学的に制御す
る方法において(1)電解液中から電気化学的に生成物
を発生させない正電位を印加することにより、前記被防
汚導電性基材表面に直接または間接的に接触する生物を
電気化学的に殺菌する工程と、(2)該印加正電位から
電解液中から電気化学的に生成物を発生させない負電位
に電位を低下させ付着物を脱離する工程とを繰り返し実
施することが望ましい。工程の組み合わせは、特に限定
されないが(1)の工程、(2)の工程を周期的に行
う。また対極の電位は常に−1.5〜1.5Vvs.S
CE、好ましくは−1.0〜1.2Vvs.SCEに一
定に出力されている。
直接または間接的に接触する生物を電気化学的に制御す
る方法において(1)電解液中から電気化学的に生成物
を発生させない正電位を印加することにより、前記被防
汚導電性基材表面に直接または間接的に接触する生物を
電気化学的に殺菌する工程と、(2)該印加正電位から
電解液中から電気化学的に生成物を発生させない負電位
に電位を低下させ付着物を脱離する工程とを繰り返し実
施することが望ましい。工程の組み合わせは、特に限定
されないが(1)の工程、(2)の工程を周期的に行
う。また対極の電位は常に−1.5〜1.5Vvs.S
CE、好ましくは−1.0〜1.2Vvs.SCEに一
定に出力されている。
【0016】
【実施例】装置例1 以下、本発明の詳細を図面を用いて説明する。図1は本
発明の方法に基づく防汚装置の電気的ブロック図であ
る。図1に示す直流電源1にはアンプ2、3、及び4が
接続されており、それぞれのアンプの出力には被防汚面
となる被防汚導電性基材6、7、及び8が接続されてい
る。また直流電源1には対極用アンプ5が接続されてお
り、対極用アンプ5の出力には対極9が接続されてい
る。アンプ2、3、4、及び対極用アンプの入力に接続
されているD/A変換器11は、制御部13からの各ア
ンプに対する出力電圧のデジタル指示値を入力してアナ
ログ値に変換し出力する。また被防汚導電性基材6、
7、8、対極9、及び参照極10に接続されているA/
D変換器12は、各部位の電位のアナログ値を入力して
デジタル値に変換して出力し、制御部13に入力する。
制御部13は、CPU、入出力ポート及びROMやRA
M等のメモリから構成された回路から成り、制御プログ
ラムや後述する制御のためのタイミングチャートをRO
Mに内蔵している。制御部13に前記構成部を内蔵した
ワンチップコンピュータを用いることにより、全体の回
路構成を簡素化し安価にすることが可能である。制御部
13は内蔵した制御プログラム及びタイミングチャート
に従い、例えば被防汚導電性基材6及び参照極10の電
位をA/D変換器12により測定し、被防汚導電性基材
6の参照極10に対する電位をタイミングチャートが指
示する値になるよう、D/A変換器11に値を出力して
アンプ2を制御する。このような制御には、よく知られ
たアルゴリズムであるPID制御を用いることができ
る。次に、図2に示す電位制御の切り替えタイミングチ
ャートを詳細に説明する。タイミングチャートはそれぞ
れ(a)が被防汚導電性基材6に、(b)が被防汚導電
性基材7に、(c)が被防汚導電性基材8に、また
(d)が対極9に対するものであり、横軸は時間を、縦
軸は被防汚導電性基材6、7、8、及び対極9の参照極
に対する電位の指示値を表す。本タイミングチャートは
図2に示されている縦の点線で区切られた3相で一周期
になっており、ある一つの被防汚導電性基材に関しては
一周期のうちに正電位と負電位とを両方とも印加し、被
防汚導電性基材6、7、及び8のうち、同時には少なく
とも一つを正電位に、少なくとも一つを負電位に制御す
るようにしている。被防汚導電性基材6、7、及び8の
全てに等しい防汚効果を生じさせるために、各被防汚導
電性基材に対するタイミングチャートは相互に位相がず
れているだけで印加電位及び印加時間は等しい。また対
極9に関しては、被防汚導電性基材6、7、及び8の全
ての電位よりも常に低い電位になるように制御する(判
別し易いよう、(d)には被防汚導電性基材のタイミン
グチャートを破線で示した)。
発明の方法に基づく防汚装置の電気的ブロック図であ
る。図1に示す直流電源1にはアンプ2、3、及び4が
接続されており、それぞれのアンプの出力には被防汚面
となる被防汚導電性基材6、7、及び8が接続されてい
る。また直流電源1には対極用アンプ5が接続されてお
り、対極用アンプ5の出力には対極9が接続されてい
る。アンプ2、3、4、及び対極用アンプの入力に接続
されているD/A変換器11は、制御部13からの各ア
ンプに対する出力電圧のデジタル指示値を入力してアナ
ログ値に変換し出力する。また被防汚導電性基材6、
7、8、対極9、及び参照極10に接続されているA/
D変換器12は、各部位の電位のアナログ値を入力して
デジタル値に変換して出力し、制御部13に入力する。
制御部13は、CPU、入出力ポート及びROMやRA
M等のメモリから構成された回路から成り、制御プログ
ラムや後述する制御のためのタイミングチャートをRO
Mに内蔵している。制御部13に前記構成部を内蔵した
ワンチップコンピュータを用いることにより、全体の回
路構成を簡素化し安価にすることが可能である。制御部
13は内蔵した制御プログラム及びタイミングチャート
に従い、例えば被防汚導電性基材6及び参照極10の電
位をA/D変換器12により測定し、被防汚導電性基材
6の参照極10に対する電位をタイミングチャートが指
示する値になるよう、D/A変換器11に値を出力して
アンプ2を制御する。このような制御には、よく知られ
たアルゴリズムであるPID制御を用いることができ
る。次に、図2に示す電位制御の切り替えタイミングチ
ャートを詳細に説明する。タイミングチャートはそれぞ
れ(a)が被防汚導電性基材6に、(b)が被防汚導電
性基材7に、(c)が被防汚導電性基材8に、また
(d)が対極9に対するものであり、横軸は時間を、縦
軸は被防汚導電性基材6、7、8、及び対極9の参照極
に対する電位の指示値を表す。本タイミングチャートは
図2に示されている縦の点線で区切られた3相で一周期
になっており、ある一つの被防汚導電性基材に関しては
一周期のうちに正電位と負電位とを両方とも印加し、被
防汚導電性基材6、7、及び8のうち、同時には少なく
とも一つを正電位に、少なくとも一つを負電位に制御す
るようにしている。被防汚導電性基材6、7、及び8の
全てに等しい防汚効果を生じさせるために、各被防汚導
電性基材に対するタイミングチャートは相互に位相がず
れているだけで印加電位及び印加時間は等しい。また対
極9に関しては、被防汚導電性基材6、7、及び8の全
ての電位よりも常に低い電位になるように制御する(判
別し易いよう、(d)には被防汚導電性基材のタイミン
グチャートを破線で示した)。
【0017】次に上記装置例を使用して本発明の実施例
を説明する。 実施例1 被防汚導電性基材6、7、8は、チタン板(5Vvs.
Ag/AgCl以下の電位を印加しても塩素が発生しな
い材料で形成したもの)(20×100mm厚さ0.5
mm)を用いた。被防汚導電性基材6,7,8と対にな
る対極9は、鉄(20×100mm厚さ0.5mm)を
用いた。また、以下に示す条件で防汚効果を確認するた
めに、海洋細菌を被防汚導電性基材に付着させ電位を印
加して生菌率を測定した。電位印加条件は、図2のタイ
ミングチャートにあわせて被防汚導電性基材の印加電位
を0.9Vvs.Ag/AgCl、0.0Vvs.Ag
/AgCl、−0.6Vvs.Ag/AgClとなし、
各電位に対して印加時間を60分とした。また、対極に
印加する電位の条件を−0.8Vvs.Ag/AgCl
とした。このときの電解液に人工海水(千寿製薬(株)
製ニューマリンアートSF)を用いた。海洋細菌はビブ
リオアルギノリティカスを用いた。また、菌体懸濁液
(1.0×108cells/ml)中に被防汚導電性
基材を90分間浸漬し、被防汚導電性基材上に菌体を付
着させた。この被防汚導電性基材表面を滅菌海水で洗浄
後、印加電位を前記条件で印加し、被防汚導電性基材を
取り出して被防汚導電性基材面を10mlの滅菌海水で
100回繰り返しピペッティングで洗浄し菌体を回収
後、コロニー法で生菌率を測定した。コロニー法は0.
7%の寒天を含むマリンブロスと懸濁液1mlと混釈し
25℃で12時間培養し生じたコロニー数を計数した。
生菌率は以下の式より求めた。 生菌率=(電位を印加した被防汚導電性基材のコロニー
数)/(電位を印加しない被防汚導電性基材のコロニー
数)
を説明する。 実施例1 被防汚導電性基材6、7、8は、チタン板(5Vvs.
Ag/AgCl以下の電位を印加しても塩素が発生しな
い材料で形成したもの)(20×100mm厚さ0.5
mm)を用いた。被防汚導電性基材6,7,8と対にな
る対極9は、鉄(20×100mm厚さ0.5mm)を
用いた。また、以下に示す条件で防汚効果を確認するた
めに、海洋細菌を被防汚導電性基材に付着させ電位を印
加して生菌率を測定した。電位印加条件は、図2のタイ
ミングチャートにあわせて被防汚導電性基材の印加電位
を0.9Vvs.Ag/AgCl、0.0Vvs.Ag
/AgCl、−0.6Vvs.Ag/AgClとなし、
各電位に対して印加時間を60分とした。また、対極に
印加する電位の条件を−0.8Vvs.Ag/AgCl
とした。このときの電解液に人工海水(千寿製薬(株)
製ニューマリンアートSF)を用いた。海洋細菌はビブ
リオアルギノリティカスを用いた。また、菌体懸濁液
(1.0×108cells/ml)中に被防汚導電性
基材を90分間浸漬し、被防汚導電性基材上に菌体を付
着させた。この被防汚導電性基材表面を滅菌海水で洗浄
後、印加電位を前記条件で印加し、被防汚導電性基材を
取り出して被防汚導電性基材面を10mlの滅菌海水で
100回繰り返しピペッティングで洗浄し菌体を回収
後、コロニー法で生菌率を測定した。コロニー法は0.
7%の寒天を含むマリンブロスと懸濁液1mlと混釈し
25℃で12時間培養し生じたコロニー数を計数した。
生菌率は以下の式より求めた。 生菌率=(電位を印加した被防汚導電性基材のコロニー
数)/(電位を印加しない被防汚導電性基材のコロニー
数)
【0018】実施例2 被防汚導電性基材6、7、8は、チタン板(5Vvs.
Ag/AgCl以下の電位を印加しても塩素が発生しな
い材料で形成したもの)(20×100mm厚さ0.5
mm)を用いた。被防汚導電性基材6,7,8と対にな
る対極9は、鉄(20×100mm厚さ0.5mm)を
用いた。また、以下に示す条件で防汚効果を確認するた
めに、海洋細菌を被防汚導電性基材に付着させ電位を印
加して生菌率を測定した。電位印加条件は、図2のタイ
ミングチャートにあわせて被防汚導電性基材の印加電位
を0.9Vvs.Ag/AgCl、0.0Vvs.Ag
/AgCl、−0.6Vvs.Ag/AgClで各電位
に対して印加時間を60分とした。また、対極に印加す
る電位の条件は−0.4Vvs.Ag/AgClとし
た。このときの電解液に人工海水(千寿製薬(株)製ニ
ューマリンアートSF)を用いた。また、防汚効果の確
認条件は実施例1と同様に行った。
Ag/AgCl以下の電位を印加しても塩素が発生しな
い材料で形成したもの)(20×100mm厚さ0.5
mm)を用いた。被防汚導電性基材6,7,8と対にな
る対極9は、鉄(20×100mm厚さ0.5mm)を
用いた。また、以下に示す条件で防汚効果を確認するた
めに、海洋細菌を被防汚導電性基材に付着させ電位を印
加して生菌率を測定した。電位印加条件は、図2のタイ
ミングチャートにあわせて被防汚導電性基材の印加電位
を0.9Vvs.Ag/AgCl、0.0Vvs.Ag
/AgCl、−0.6Vvs.Ag/AgClで各電位
に対して印加時間を60分とした。また、対極に印加す
る電位の条件は−0.4Vvs.Ag/AgClとし
た。このときの電解液に人工海水(千寿製薬(株)製ニ
ューマリンアートSF)を用いた。また、防汚効果の確
認条件は実施例1と同様に行った。
【0019】実施例3 被防汚導電性基材6、7、8は、チタン板(5Vvs.
Ag/AgCl以下の電位を印加しても塩素が発生しな
い材料で形成したもの)(20×100mm厚さ0.5
mm)を用いた。被防汚導電性基材6,7,8と対にな
る対極9は、アルミニウム(20×100mm厚さ0.
5mm)を用いた。また、以下に示す条件で防汚効果を
確認するために、海洋細菌を被防汚導電性基材に付着さ
せ電位を印加して生菌率を測定した。電位印加条件は、
図2のタイミングチャートにあわせて被防汚導電性基材
の印加電位を0.9Vvs.Ag/AgCl、0.0V
vs.Ag/AgCl、−0.6Vvs.Ag/AgC
lで各電位に対して印加時間を60分とした。また、対
極に印加する電位の条件は−0.8Vvs.Ag/Ag
Clとした。このときの電解液に人工海水(千寿製薬
(株)製ニューマリンアートSF)を用いた。また、防
汚効果の確認条件は実施例1と同様に行った。
Ag/AgCl以下の電位を印加しても塩素が発生しな
い材料で形成したもの)(20×100mm厚さ0.5
mm)を用いた。被防汚導電性基材6,7,8と対にな
る対極9は、アルミニウム(20×100mm厚さ0.
5mm)を用いた。また、以下に示す条件で防汚効果を
確認するために、海洋細菌を被防汚導電性基材に付着さ
せ電位を印加して生菌率を測定した。電位印加条件は、
図2のタイミングチャートにあわせて被防汚導電性基材
の印加電位を0.9Vvs.Ag/AgCl、0.0V
vs.Ag/AgCl、−0.6Vvs.Ag/AgC
lで各電位に対して印加時間を60分とした。また、対
極に印加する電位の条件は−0.8Vvs.Ag/Ag
Clとした。このときの電解液に人工海水(千寿製薬
(株)製ニューマリンアートSF)を用いた。また、防
汚効果の確認条件は実施例1と同様に行った。
【0020】実施例4 被防汚導電性基材6、7、8は、チタン板(5Vvs.
Ag/AgCl以下の電位を印加しても塩素が発生しな
い材料で形成したもの)(20×100mm厚さ0.5
mm)を用いた。被防汚導電性基材6,7,8と対にな
る対極9は、アルミニウム(20×100mm厚さ0.
5mm)を用いた。また、以下に示す条件で防汚効果を
確認するために、海洋細菌を被防汚導電性基材に付着さ
せ電位を印加して生菌率を測定した。電位印加条件は、
図2のタイミングチャートにあわせて被防汚導電性基材
の印加電位を0.9Vvs.Ag/AgCl、0.0V
vs.Ag/AgCl、−0.6Vvs.Ag/AgC
lで各電位に対して印加時間を60分とした。また、対
極に印加する電位の条件は−0.4Vvs.Ag/Ag
Clとした。このときの電解液に人工海水(千寿製薬
(株)製ニューマリンアートSF)を用いた。また、防
汚効果の確認条件は実施例1と同様に行った。
Ag/AgCl以下の電位を印加しても塩素が発生しな
い材料で形成したもの)(20×100mm厚さ0.5
mm)を用いた。被防汚導電性基材6,7,8と対にな
る対極9は、アルミニウム(20×100mm厚さ0.
5mm)を用いた。また、以下に示す条件で防汚効果を
確認するために、海洋細菌を被防汚導電性基材に付着さ
せ電位を印加して生菌率を測定した。電位印加条件は、
図2のタイミングチャートにあわせて被防汚導電性基材
の印加電位を0.9Vvs.Ag/AgCl、0.0V
vs.Ag/AgCl、−0.6Vvs.Ag/AgC
lで各電位に対して印加時間を60分とした。また、対
極に印加する電位の条件は−0.4Vvs.Ag/Ag
Clとした。このときの電解液に人工海水(千寿製薬
(株)製ニューマリンアートSF)を用いた。また、防
汚効果の確認条件は実施例1と同様に行った。
【0021】上記実施例1〜4の試験結果を表1に示
す。
す。
【0022】
【表1】
【0023】
【発明の効果】本発明に係る防汚方法は、良好な防汚効
果を奏する。また、対極の劣化も抑制される。
果を奏する。また、対極の劣化も抑制される。
【図1】 電気的ブロック図
【図2】 電位制御の切り替えタイミングチャート
1 電源 2 アンプ 3 アンプ 4 アンプ 5 対極用アンプ 6 被防汚導電性基材 7 被防汚導電性基材 8 被防汚導電性基材 9 対極 10 参照極 11 D/A変換器 12 A/D変換器 13 制御部 a 被防汚導電性基材6の電位制御の切り替えタイミ
ングチャート b 被防汚導電性基材7の電位制御の切り替えタイミ
ングチャート c 被防汚導電性基材8の電位制御の切り替えタイミ
ングチャート d 対極9の電位制御の切り替えタイミングチャート
ングチャート b 被防汚導電性基材7の電位制御の切り替えタイミ
ングチャート c 被防汚導電性基材8の電位制御の切り替えタイミ
ングチャート d 対極9の電位制御の切り替えタイミングチャート
フロントページの続き (72)発明者 瀧本 利宏 埼玉県草加市吉町4−1−8 ぺんてる株 式会社草加工場内 (72)発明者 高橋弘道 埼玉県草加市吉町4−1−8 ぺんてる株 式会社草加工場内 Fターム(参考) 4D061 DA02 DA05 DA09 DB03 EA02 EB01 EB27 EB28 EB30 EB31 EB39 GC14
Claims (1)
- 【請求項1】 被防汚導電性基材と、対極と、基準電極
と、前記被防汚導電性基材及び対極に電位を出力する電
源とからなり、前記被防汚導電性基材と生物との直接電
子移動反応を利用した電気化学的防汚方法において、前
記対極に電位を出力し、且つ、前記被防汚導電性基材
に、この被防汚導電性基材と前記基準電極との電位差が
電気化学的に防汚効果を有する値になるよう電位を出力
する電気化学的防汚方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000400958A JP2002200492A (ja) | 2000-12-28 | 2000-12-28 | 電気化学的防汚方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000400958A JP2002200492A (ja) | 2000-12-28 | 2000-12-28 | 電気化学的防汚方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2002200492A true JP2002200492A (ja) | 2002-07-16 |
Family
ID=18865457
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2000400958A Pending JP2002200492A (ja) | 2000-12-28 | 2000-12-28 | 電気化学的防汚方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2002200492A (ja) |
-
2000
- 2000-12-28 JP JP2000400958A patent/JP2002200492A/ja active Pending
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