JP2002198687A - 透光性電磁波シールド部材の製造方法 - Google Patents

透光性電磁波シールド部材の製造方法

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JP2002198687A
JP2002198687A JP2000392991A JP2000392991A JP2002198687A JP 2002198687 A JP2002198687 A JP 2002198687A JP 2000392991 A JP2000392991 A JP 2000392991A JP 2000392991 A JP2000392991 A JP 2000392991A JP 2002198687 A JP2002198687 A JP 2002198687A
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electromagnetic wave
pattern
wave shielding
conductive
transparent substrate
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Yasuhiko Kondo
康彦 近藤
Makoto Sugitani
信 杉谷
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Sumitomo Rubber Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 透光性と電磁波のシールド効果との両方に優
れ、しかも基板とシールドパターンとの接着性に優れた
透光性電磁波シールド部材を、簡易な方法でかつ低いコ
ストでもって製造することのできる透光性電磁波シール
ド部材の製造方法を提供する。 【解決手段】 エポキシ樹脂とメラミン樹脂とを含むバ
インダ樹脂に導電性粉末が配合されてなる導電性インキ
組成物を透明基板の表面に印刷した後、こうして得られ
た印刷パターンを130〜300℃に加熱して硬化さ
せ、さらにこうして得られた導電性パターンの表面に、
無電解メッキおよび/または電気メッキによって選択的
に金属層を形成することにより、電磁波シールドパター
ンを形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ブラウン管(CR
T)やプラズマディスプレイパネル(PDP)等の表示
素子に用いられる透光性電磁波シールド部材を製造する
方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、電子、電気機器から放射される電
磁波が人体に与える影響について種々の報告がなされて
おり、それに伴ってCRTやPDP等の表示画面から放
射される電磁波を遮蔽する技術について関心が高まって
いる。CRT等の表示画面を覆って電磁波をシールドす
るための部材としては、例えば、導電性の高い金属粉末
を含有するインキを用いて格子状または縞状のパターン
を透明基板の表面に印刷形成したもの(特開昭62−5
7297号公報、特開平9−283977号公報)等が
知られている。かかる電磁波シールド部材によれば、C
RT等の表示画面の視認性を維持しつつ、当該表示画面
から放射される電磁波をある程度の割合で低減すること
ができるものの、近年、特にPDP用のシールド部材に
ついては厳しい電磁波シールド性能が要求されており、
今後その要求はますます厳しくなることが予想されてい
る。従って、前述の印刷パターンのみからなるシールド
部材では、かかる要求に対応可能な優れたシールド性能
を得ることが困難になりつつある。
【0003】そこで、より一層優れたシールド性能を備
えた電磁波シールド部材を得る方法として、特開平3−
35284号公報には、透明プラスチック基板の表面に
金属薄膜を蒸着等によって形成した後、ケミカルエッチ
ングプロセスによってパターニングする方法が提案され
ている。また、特開平10−41682号公報には、金
属薄膜からなる幾何学模様を、これもケミカルエッチン
グプロセスによって透明基板の表面に設ける方法が、特
開平10−163673号公報には、透明基板の表面に
メッキ触媒を含む透明樹脂塗膜を形成し、その上に無電
解メッキによって銅等の金属薄膜を形成した後、やはり
ケミカルエッチングプロセスによってパターニングする
方法が、それぞれ提案されている。
【0004】これらの方法によれば、非常に微細なパタ
ーンを高い精度でもって形成することができる上、特に
PDP用のシールド部材に要求される厳しい電磁波シー
ルド性能を達成することもできる。しかしながら、ケミ
カルエッチングプロセスにおいては、微細なパターンを
形成するためにフォトリソグラフ法を用いる必要がある
ことから、製造コストが極めて高くなってコスト面での
不利を被る。また、PDP等の大型画面に対応させるた
めには露光装置やエッチング装置を大型化せねばなら
ず、製造設備が非常に高価になる。さらに、透明基板の
表面に一旦形成された金属薄膜のうち、大部分を除去す
る必要があって無駄が多い上、エッチング後の廃液の処
理に時間と手間と費用とがかかるという問題もある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】一方、本発明者らは、
先に、導電性インキ組成物によって形成された印刷パタ
ーン上に、無電解メッキや電気メッキによって選択的に
金属層を形成し、これにより電磁波シールド特性を高め
ることを試みており、既にその効果について優れた結果
を得ている(特許第3017987号、特許第3017
988号)。しかし、例えば無電解メッキを施す際に
は、通常pHが12〜13の極めて強いアルカリ液に基
板を浸漬する必要があり、場合によって、特に基板と印
刷パターンとの密着性が弱い場合にあっては、メッキ液
への浸漬中に印刷パターンが剥離する問題があった。
【0006】このような基板と印刷パターンとの剥離が
生じると、電磁波シールド特性の著しい低下を招くこと
から、強アルカリのメッキ液に対しても十分な接着強度
を維持し得る前記導電性インキ組成物を提供することが
求められていた。そこで、本発明の目的は、上記課題を
解決し、透光性と電磁波のシールド効果との両方に優
れ、しかも基板とシールドパターンとの接着性に優れた
透光性電磁波シールド部材を、簡易な方法でかつ低いコ
ストでもって製造することのできる製造方法を提供する
ことにある。
【0007】
【課題を解決するための手段および発明の効果】本発明
者らは、上記課題を解決するために、導電性インキ組成
物からなる印刷パターン上に無電解メッキや電気メッキ
によって選択的に金属層を形成するという、先に本発明
者らが提案した透光性電磁波シールド部材の製造方法
(特許第3017987号、特許第3017988号)
を基礎としてさらに研究を重ねた。その結果、前記導電
性インキ組成物のバインダ樹脂として特定の樹脂の組み
合わせに係るものを使用し、かつ、所定の条件下で印刷
パターンの形成・硬化を行ったときは、優れた透光性と
電磁波のシールド効果とを両立した透光性電磁波シール
ド部材を簡易な方法でかつ低いコストでもって製造する
ことができるばかりでなく、メッキ処理時における印刷
パターンの剥離を防止して透明基板と印刷パターンとの
接着性を優れたものにすることができるという全く新た
な事実を見出して、本発明を完成するに至った。
【0008】本発明に係る透光性電磁波シールド部材の
製造方法は、エポキシ樹脂とメラミン樹脂とを含むバイ
ンダ樹脂に導電性粉末が配合されてなる導電性インキ組
成物を透明基板の表面に印刷した後、こうして得られた
印刷パターンを130〜300℃で加熱して硬化させ、
さらにこうして得られた導電性パターンの表面に、無電
解メッキおよび/または電気メッキによって選択的に金
属層を形成することにより、電磁波シールドパターンを
形成することを特徴とする。
【0009】上記本発明に係る透光性電磁波シールド部
材の製造方法では、導電性インキ組成物のバインダ樹脂
としてエポキシ樹脂とメラミン樹脂とを用いるととも
に、かかる導電性インキ組成物によって形成された印刷
パターンを130〜300℃に加熱することによって硬
化させていることから、これにより、透明基板とシール
ドパターンとの接着性を極めて優れたものとすることが
できる。また、印刷パターンの表面に無電解メッキや電
気メッキによる金属膜が形成されており、これにより、
たとえパターンの線幅を狭くかつパターンのピッチを広
くしても十分なシールド効果を発揮させることができ
る。このことは、透光性と電磁波のシールド効果との両
方に優れた透光性電磁波シールド部材を得る上で極めて
重要である。
【0010】しかも、電磁波シールドパターンの土台と
なる印刷パターンは印刷法によって形成されたものであ
ることから、当該パターンの形成を簡易にかつ低いコス
トでもって行うことができる。従って、上記本発明の方
法によれば、とりわけPDPへの用途において要求され
る厳しい電磁波シールド性能を達成した電磁波シールド
パターン部材を提供することができる。
【0011】本発明に係る透光性電磁波シールド部材の
製造方法においては、微細なパターンを高い精度でもっ
て形成するという観点から、当該印刷パターンを、最表
面がシリコーンゴムからなる印刷ブランケットを用いた
凹版オフセット印刷によって形成するのが好ましい。ま
た、本発明に係る透光性電磁波シールド部材の製造方法
においては、より一層優れた透光性と電磁波シールド効
果とを備えた透光性電磁波シールド部材を提供するとい
う観点から、印刷パターン(導電性パターン)およびそ
の表面に金属層を形成してなる電磁波シールドパターン
をストライプ状または格子状のパターンとし、透明基板
の表面のうち当該電磁波シールドパターンが形成されて
いる領域の全面積Ssと、電磁波シールドパターンが形
成されていない領域の全面積Skとが式(1) : 1.0≦Sk/Ss≦9.0 (1) を満たし、かつ前記電磁波シールドパターンの線幅が5
〜40μmで、総厚みが1〜50μmとなるようにする
のが好ましい。
【0012】この場合、極めて優れた電磁波のシールド
効果を発揮させつつ、シールド部材の十分な透光性を維
持することができる。なお、一般に、透光性電磁波シー
ルド部材の透明基板には、その縁部に余白が設けられ
る。従って、前記全面積Skの算出にあたっては、場合
に応じて、透明基板の全表面積を基準とするのではな
く、電磁波シールド部材としての有効領域を基準とする
のが好ましい。上記透光性電磁波シールド部材によれ
ば、電磁波シールドパターンの形成領域と非形成領域と
の比Sk/Ssが前記所定の範囲に限定されることによ
って、優れた透光性と電磁波シールド効果とを両立する
ことができるとともに、コントラストについても優れた
特性を示し、CRTやPDP等の表示画面を覆ったとき
にもその視認性を損なうことなく、電磁波を高度に遮蔽
することができる。
【0013】さらに、本発明に係る透光性電磁波シール
ド部材の製造方法においては、(i) 導電性インキ組成物
を構成する導電性粉末が、銀、銅、ニッケル、アルミニ
ウムおよび金からなる群より選ばれる少なくとも1種の
金属からなる金属粉末であること、(ii)無電解メッキお
よび/または電気メッキに用いる金属が、銅、ニッケル
および金からなる群より選ばれる少なくとも1種の金属
であること、および/または(iii) 無電解メッキおよび
/または電気メッキによって形成された金属層の厚みが
0.5〜25μmであることが好ましい。
【0014】導電性粉末として上記例示の金属粉末を用
いることにより、印刷パターンを硬化させてなる導電性
パターンについての導電性をより一層高いものとするこ
とができ、後の工程において導電性パターンの表面にメ
ッキ膜を形成しやすくすることができる。また、メッキ
用金属として上記例示の金属を用いることにより、導電
性パターンの表面に金属層を形成させてなる電磁波シー
ルドパターンについての導電性をより一層高いものとす
ることができ、透光性電磁波シールド部材のシールド性
能についてより一層の向上を図ることができる。さら
に、このことは、前記透光性電磁波シールド部材の透光
性をより一層向上させることにも繋がる。
【0015】
【発明の実施の形態】次に、本発明に係る透光性電磁波
シールド部材の製造方法について詳細に説明する。本発
明に係る透光性電磁波シールド部材の製造方法は、前述
のように、導電性インキ組成物を透明基板上に印刷して
印刷パターンを形成し、次いで、この印刷パターンを1
30〜300℃で加熱して硬化させ、さらに硬化して得
られた導電性パターンの表面に無電解メッキおよび/ま
たは電気メッキによって金属層を形成して、電磁波シー
ルドパターンを形成することを特徴とする。
【0016】〔印刷パターンの形成および硬化〕 (印刷パターンの形成方法)導電性インキ組成物を印刷
する際の印刷法としては特に限定されるものではなく、
例えばスクリーン印刷法、凸版オフセット印刷法、平版
オフセット印刷法、凹版オフセット印刷法等の、従来公
知の種々の印刷法を用いることができる。中でも、透光
性電磁波シールド部材の製造に際しては、線幅が100
μm以下の極めて微細なパターンを極めて高い精度でも
って形成することが求められていることから、凹版オフ
セット印刷法を採用するのが最も好ましい。
【0017】凹版オフセット印刷法によれば、使用する
インキ組成物の印刷特性や、オフセットブランケット等
の転写体の特性等といった他の要因も影響を及ぼすもの
の、一般に、線幅が100μm以下で厚肉(例えば、膜
厚数μm程度)のパターンを1回の印刷で形成すること
ができ、しかも40インチ程度の透明基板の面内で±1
0μm以下もの極めて高い印刷精度を達成することがで
きる。 (印刷パターンの硬化)透明基板上に印刷された導電性
インキ組成物からなる印刷パターンは、130〜300
℃で加熱され、硬化される。
【0018】印刷パターンの加熱・硬化温度が130℃
を下回ると、PETやガラスといった透明基板と印刷パ
ターンとの密着性が低下して、後に続くメッキ工程にお
いて印刷パターンが剥離する問題を招くおそれがある。
逆に、印刷パターンの加熱温度が300℃を超えるとバ
インダ樹脂の分解や透明基板の熱劣化を生じるおそれが
ある。また、透明基板と印刷パターンとの密着性が低下
して、後に続くメッキ工程において印刷パターンが剥離
する問題を招くおそれもある。
【0019】印刷パターンの加熱・硬化温度は、導電性
インキ組成物に用いられるバインダ樹脂自体の硬化温度
や、透明基板の耐熱温度に応じて適宜設定されるもので
あるが、上記範囲の中でも特に150〜250℃である
のが好ましく、170〜230℃であるのがより好まし
い。 (導電性インキ組成物)本発明で使用する導電性インキ
組成物は、前述のように、エポキシ樹脂とメラミン樹脂
とを含むバインダ樹脂中に導電性粉末を配合したもので
ある。
【0020】(a) バインダ樹脂 導電性インキ組成物を構成するバインダ樹脂には、エポ
キシ樹脂とメラミン樹脂とを含むバインダ樹脂が用いら
れる。ここで、エポキシ樹脂としては特に限定されるも
のではなく、例えばビスフェノールA型、ノボラック
型、臭素化型、脂環式型等の、種々のタイプのものを用
いることができる。
【0021】また、メラミン樹脂としても特に限定され
るものではなく、例えばヘキサメチレンメチロールメラ
ミン、ヘキサメチレンブチロールメラミン等の、種々の
タイプのものを用いることができる。エポキシ樹脂とメ
ラミン樹脂との混合割合については、導電性インキ組成
物の硬化温度等の熱的特性、または粘度などの印刷適性
等に応じて適宜設定すればよく、特に限定されるもので
はないが、一般にエポキシ樹脂100重量部に対してメ
ラミン樹脂を20〜100重量部、好ましくは50〜8
0重量部混合するのが適当である。
【0022】エポキシ樹脂の具体例としては、油化シェ
ルエポキシ(株)製のビスフェノールA型エポキシ樹脂
(商品名エピコート「1001」、同「エピコート82
8」、同「エピコート832」、同「エピコート83
4」)、ノボラック型エポキシ樹脂(商品名「エピコー
ト152」、同「エピコート154」)等が挙げられ
る。メラミン樹脂の具体例としては、住友化学(株)製
のヘキサメトキシメチロールメラミン樹脂(品番「M1
00−C」)、三井化学(株)製の商品名「サイメル3
50」、同「サイメル327」等が挙げられる。
【0023】エポキシ樹脂およびメラミン樹脂以外の樹
脂としては、例えば熱硬化型ポリエステル樹脂、フェノ
ール樹脂、アミノ樹脂、ポリイミド樹脂等の熱硬化性樹
脂を用いることができる。バインダ樹脂の総量に占める
エポキシ樹脂およびメラミン樹脂以外の樹脂の割合は、
印刷パターンと透明基板との接着性を良好なものにする
という観点から、バインダ樹脂の総量に対して50重量
%以下、好ましくは30重量%以下とするのが好まし
い。
【0024】印刷パターンの硬化は、前述のように、1
30〜300℃に加熱することにより行われるが、透明
基板の耐熱性等の関係で硬化温度をできるだけ低くする
ことが望まれる場合には、上記バインダ樹脂中に、パラ
トルエンスルホン酸、アミンでブロックしたパラトルエ
ンスルホン酸、ブロックイソシアネート等の硬化触媒を
添加してもよい。 (b) 導電性粉末 導電性インキ組成物中に配合される導電性粉末として
は、例えば銀、銅、鉄、ニッケル、アルミニウム、金等
の粉末が挙げられる。これらの導電性粉末はそれぞれ1
種単独で使用できる他、2種以上を併用することもでき
る。また、メッキ複合体(例えば銀メッキ銅)や合金体
の粉末としてもよい。上記導電性粉末の中でも、特に導
電性、コスト、耐酸化性(すなわち、絶縁性の高い酸化
物を生成しにくい特性)を考慮すると、銀または銅の粉
末が好適に使用される。
【0025】前記導電性粉末は、印刷パターンの導電性
を高くして、電気メッキによる金属層の形成をより一
層、良好に行うという観点から、一般にその充填密度が
高いほど好ましい。なお、印刷パターンの導電性は、使
用する導電性粉末の体積固有抵抗のみで決まるものでは
なく、パターン中での導電性粉末間の接触抵抗によって
も大きく左右される。例えば、印刷パターンの内部に導
電性粒子が高密度で充填されていても、導電性粉末間の
接触抵抗が大きければ、印刷パターン全体の導電性は低
くなる。それゆえ、導電性粉末としては、球状のもの等
よりも、導電性粉末同士の接触面が大きい鱗片状のもの
を使用するのが好ましい。もっとも、本発明において球
状の導電性粉末の使用が排除されるものではない。
【0026】導電性粉末の粒径は、印刷適性等を考慮す
ると0.01〜10μm程度であるのが好ましく、0.
1〜5μm程度であるのがより好ましい。導電性粉末の
添加量は、当該導電性インキ組成物の総量に対して60
〜95重量%程度であるのが好ましく、80〜90重量
%程度であるのがより好ましい。導電性粉末の添加量が
上記範囲を下回ると印刷パターンの導電性が低下するた
め、その表面にメッキによる金属層を形成するのが困難
になり、電磁波のシールド効果に優れたパターンを形成
できなくなるおそれが生じる。逆に、導電性粉末の添加
量が上記範囲を超えると、金属粉末同士を結合させるバ
インダ樹脂の結合力が弱まるために、印刷適性が低下す
る等の問題を生じるおそれがある。
【0027】(c) 溶剤 導電性インキ組成物は、上記の各成分を溶剤と混合し、
十分に攪拌して混練することによって調製される。導電
性インキ組成物を構成する溶剤は、前記バインダ樹脂お
よび前記導電性粉末を含む導電性インキ組成物の粘度
を、印刷に適した範囲に調整するものである。かかる溶
剤としては、例えばその沸点が150℃以上であるよう
な従来公知の種々の溶剤が、好適に使用される。溶剤の
沸点が150℃を下回ると、印刷時に乾燥しやすくなっ
て、インキ組成物が経時変化を起こしやすくなるためで
ある。
【0028】かかる溶剤の具体例としては、例えばアル
コール類、アルキルエーテル類が挙げられ、印刷適性や
作業性等を考慮して単独でまたは適宜組み合わせて使用
される。溶剤として高級アルコールを使用する場合は、
インキ組成物の乾燥性や流動性が低下するおそれがある
ため、乾燥性がより一層良好なブチルカルビトール等を
併用すればよい。 (d) インキの粘度 導電性インキ組成物の粘度は特に限定されるものではな
いが、通常、50〜2000ポアズ(P)程度、特に2
00〜1000P程度となるように調整するのが好まし
い。導電性インキ組成物の粘度は、溶剤の種類やその使
用量によって調整することができる。導電性インキ組成
物の粘度が上記範囲を外れると、印刷適性が低下して微
細なパターンを形成できなくなるおそれが生じる。
【0029】(e) 他の成分 導電性インキ組成物には、上記バインダ樹脂および導電
性粉末のほかに、さらにバインダ樹脂中での導電性粉末
の分散を安定化させるための分散剤(具体的には、界面
活性剤など)や、あるいは静電防止剤、消泡剤、酸化防
止剤、滑剤、硬化剤などの助剤を適宜配合することがで
きる。 (透明基板)上記導電性インキ組成物によって、その表
面に印刷パターンが形成される透明基板としては、可視
光線に対する充分な透光性を有するとともに、強アルカ
リであるメッキ液に対して十分な耐性を有するものであ
れば特に限定されるものではなく、例えば樹脂フィルム
・シートが使用可能である。
【0030】前記フィルムやシートを形成する樹脂とし
ては、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)等
のポリエステル類;ポリエチレン、ポリプロピレン、ポ
リスチレン等のポリオレフィン類;ポリ塩化ビニル(P
VC)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)等のビニル
類;ポリエーテルスルホン;ポリメタクリル酸メチル
(PMMA樹脂)等のアクリル樹脂;ポリアミド;ポリ
イミドなどが挙げられる。中でも、可視光線の透過性が
非常に良好でかつ安価であり、導電性インキ組成物の加
熱・硬化時に熱変形等を生じることのない十分な耐熱性
を備えており、しかも耐アルカリ性に優れた樹脂である
PETを使用するのが最も好適である。
【0031】さらに、透光性電磁波シールド部材の製造
時にロール状に巻きつけて連続処理が可能となるよう
に、可撓性・柔軟性を有する素材を透明基板として用い
るのがより好ましい。透明基板の厚みは特に限定されな
いが、電磁波シールド部材の透光性を維持するという観
点からすると薄いほど好ましく、通常は、使用時の形態
(フィルム状、シート状)や必要とされる機械的強度に
応じて0.05〜5mmの範囲で適宜、厚みが設定され
る。
【0032】(ブランケット)印刷パターンの形成を凹
版オフセット印刷によって行う場合において、当該凹版
オフセット印刷に使用されるブランケットとしては、こ
れに限定されるものではないが、最表面がシリコーンゴ
ムからなるものを用いるのが好ましい。中でも、インキ
離型性を示す指標としての表面エネルギーの値が15〜
30dyn/cm程度、特に18〜25dyn/cm程
度であるものがより好ましい。
【0033】かかるブランケットを用いたときは、凹版
から転写されたインキをほぼ100%、透明基板上に転
写することができ、その結果、印刷精度および印刷形成
されたパターンの形状を極めて良好なものとすることが
できる。ブランケットの表面の硬さは、印刷精度を良好
なものにするという観点から、JIS K 6301に
規定されたスプリング式硬さ(JIS A)で表して2
0〜70°程度、特に30〜60°程度とするのが好ま
しい。
【0034】また、ブランケットの表面は、印刷精度を
良好なものにするという観点から、平滑で、その表面の
凹凸等が印刷に影響を及ぼさないことが好ましい。具体
的には、その十点平均粗さが1.0μm以下、特に0.
5μm以下であるのが好ましい。 (印刷パターン)透明基板の表面に形成される電磁波シ
ールドパターンは、ストライプ状または格子状のパター
ンであって、透明基板の表面のうち当該電磁波シールド
パターンが形成されている領域の全面積Ssと、電磁波
シールドパターンが形成されていない領域の全面積Sk
とが式(1) : 1.0≦Sk/Ss≦9.0 (1) を満たし、かつ、前記電磁波シールドパターンの線幅が
5〜40μmで、総厚みが1〜50μmであるのが好ま
しい。この場合、透光性電磁波シールド部材の透光性を
十分に維持しつつ、電磁波シールド性能をより一層優れ
たものにすることができる。
【0035】なお、透光性電磁波シールドパターンの開
口率は、下記式(2) により算出される。 開口率(%)=Sk/(Sk+Ss)×100 …(2) 電磁波シールドパターンの線幅が5μmを下回ると、電
磁波シールドパターンの前段階である印刷パターンを形
成する際に断線が発生しやすくなって、良品を安定して
生産できなくなるおそれがある。逆に、電磁波シールド
パターンの線幅が40μmを超えると、電磁波シールド
部材の透光性が低下するおそれがある。
【0036】電磁波シールドパターンの膜厚(総厚み)
は1〜50μm程度であるのが好ましい。電磁波シール
ドパターンの膜厚(総厚み)が前記範囲を下回ると、断
線等を生じさせることなく原版に忠実な印刷パターンを
形成させることが困難になったり、メッキ膜を当該印刷
パターンに沿って正確に形成させることが困難になった
りする問題を招くおそれがある。逆に、膜厚(総厚み)
が前記範囲を超えると、透光性電磁波シールド部材の透
光性や視認性が低下するおそれが生じる。
【0037】なお、前記開口率は、その値が高いほど、
透光性の指標である可視光線の透過率は向上するが、逆
に電磁波シールド性が低下する。両者の兼ね合いを考慮
すると、開口率は50〜90%の範囲内であるのが好ま
しい。この開口率の範囲と、上記線幅の範囲とをもと
に、透明基板の表面における印刷された領域の全表面積
Ssと、印刷されていない領域の全表面積Skとの比S
k/Ssを求めると、前記のように1.0〜9.0の範
囲内となる。
【0038】〔金属層の形成〕本発明において、透明基
板上に形成された印刷パターン(導電性パターン)の表
面には、さらに無電解メッキおよび/または電気メッキ
によって金属層が形成される。 (無電解メッキ)無電解メッキによって形成される金属
層としては、例えば銅、ニッケル、金等の金属からなる
層が挙げられる。また、金属層の表面が酸化されて導電
性が低下することを考慮して、例えば無電解銅メッキを
施した後、さらにその表面に無電解ニッケルメッキや無
電解金メッキを施すなどして、2種以上の金属からなる
メッキ皮膜を形成してもよい。
【0039】無電解メッキは、透明基板上に印刷パター
ン(導電性パターン)を形成した後、この透明基板を、
メッキの目的金属イオンを含有する無電解メッキ液に浸
漬することによって行なわれる。無電解メッキに使用す
るメッキ液の組成については特に限定されるものではな
く、常法に従って調製することができる。また、透明基
板を無電解メッキ液に浸漬する際の条件は、30〜90
℃の雰囲気下で、30〜60分間程度の範囲で設定する
のが好ましい。
【0040】(電気メッキ)電気メッキによって形成さ
れる金属層としては、例えば銅、ニッケル、金等の金属
からなる層が挙げられる。また、金属層の表面が酸化さ
れて導電性が低下することを考慮して、例えば銅メッキ
を施した後、さらにその表面にニッケルメッキや金メッ
キを施すなどして、2種以上の金属からなるメッキ皮膜
を形成してもよい。
【0041】電気メッキは、透明基板上に印刷パターン
(導電性パターン)を形成した後、この透明基板を電気
メッキ液に浸漬し、次いで、透明基板を陰極とし、メッ
キの目的金属の単体を陽極として、メッキ液中に電流を
かけることによって行なわれる。電気メッキに使用する
メッキ液の組成については特に限定されるものではな
く、常法に従って調製することができる。例えば銅メッ
キを施す際には、メッキ液として硫酸銅水溶液を用いれ
ばよい。
【0042】また、電気メッキを施す際の条件は特に限
定されるものではなく、常法に従って行えばよい。上記
無電解メッキや電気メッキにおいては、印刷パターン
(導電性パターン)が導電性を有するものであることに
起因して、当該パターンの表面にのみ金属層が形成され
る。これに対し、樹脂フィルム・シートからなる透明基
板の表面には金属が析出せず、金属層が形成されない。
したがって、導電性パターンの表面にのみ選択的にメッ
キを施すことができる。
【0043】
【実施例】次に、実施例および比較例を挙げて本発明を
説明する。 実施例1 (i) 透光性電磁波シールド部材の製造 透明基板として厚み100μmのポリエチレンテレフタ
レート(PET)フィルムを用い、当該透明基板上に、
導電性インキ組成物からなる印刷パターンを凹版オフセ
ット印刷法によって形成した。
【0044】前記導電性インキ組成物には、エポキシ−
メラミン樹脂〔油化シェルエポキシ(株)製の品番「1
000」〕80重量部とメチル化メラミン樹脂〔住友化
学(株)製のヘキサメトキシメチロールメラミン樹脂,
品番「M−100C」〕20重量部とを混合してなるバ
インダ樹脂(総量100重量部)に対して、フレーク状
の銀粉末(平均粒径5μm)800重量部、カーボンブ
ラック〔電気化学(株)製のアセチレンブラック,商品
名「デンカブラック」,平均粒径30nm〕5重量部お
よび硬化触媒(パラトルエンスルホン酸)1〜2重量部
を配合し、酢酸ブチルカルビトール(30〜50重量
部)に分散させたものを用いた。
【0045】印刷パターンの形成には、ガラス製の凹版
と、表面ゴム層がシリコーンゴム〔ゴム硬度(JIS
A)が40の常温硬化型付加型シリコーンゴム〕からな
るブランケット(表面粗さ:十点平均粗さ0.1μm)
を用いた。印刷パターンは、その線幅が20μm、ピッ
チが200μmの格子状(正方形)パターンとなるよう
に設定した。こうして得られた印刷パターンを、クリー
ンオーブン中にて130℃で20分間加熱することによ
って硬化させた。こうして得られた導電性パターンの膜
厚は5μmであった。
【0046】次いで、前記導電性パターンが形成された
透明基板を、無電解銅メッキ用のメッキ液〔奥野製薬工
業(株)製の商品名「OPC750化学銅A」〕に23
℃の雰囲気中にて5分間浸漬した。こうして、導電性パ
ターンの表面に厚み1μmの銅被覆層を形成した。さら
に、前記銅被覆層が形成された導電性パターンを電極と
して銅の電気メッキを行い、当該導電性パターンの表面
にさらに膜厚5μmの銅被覆層を形成した。その結果、
導電性パターンと銅被覆層とからなる電磁波シールドパ
ターンの総厚みは11μmとなった。
【0047】また、透明基板の表面(電磁波シールド部
材として用いられる有効領域内)のうち、電磁波シール
ドパターンが形成されている領域の全面積Ssと、電磁
波シールドパターンが形成されていない領域の全面積S
kとの比Sk/Ssは2.27であった。 (ii)パターンの接着性の評価 上記(i) で得られた透光性電磁波シールド部材につい
て、その電磁波シールドパターンを電子顕微鏡で観察し
たところ、透明基板から当該電磁波シールドパターンが
剥離するという現象は観察されなかった。
【0048】(iii) 電磁波シールド効果の評価 上記(i) で得られた透光性電磁波シールド部材を縦20
cm×横20cmに切り出し、クローズセルに挟み込ん
だサンプルとした。このサンプルについて、(社)関西
電子工業振興センターが制定したKEC法に従って、電
磁波の減衰率(dB)を測定した。測定は、周波数0.
1MHz〜1GHzの範囲で行い、シールド効果の指標
として1GHzでの減衰率を示した。評価基準は次のと
おりである。 ××:20dB未満 ×:20dB以上、40dB未満 △:40dB以上、60dB未満 ○:60dB以上、70dB未満 ◎:70dB以上 (iv)透光性の評価 上記(i) で得られた透光性電磁波シールド部材におけ
る、可視光線(波長400〜700nm)の分光透過率
を測定し、測定結果の最低値を基にして、透光性電磁波
シールド部材の透光性を評価した。評価基準は次のとお
りである。 ××:50%未満 ×:50%以上、60%未満 △:60%以上、70%未満 ○:70%以上、80%未満 ◎:80%以上 (v) 視認性の評価 上記(i) で得られた透光性電磁波シールド部材を、その
電磁波シールドパターン側を内側にし、かつ、アクリル
系透明粘着剤を介してPDPパネルの表示画面に接着し
た後、表示画像の視認性を評価した。評価基準は次のと
おりである。 ×:表示画面全面に亘ってムラやメッシュが観察され
た。 △:かすかにムラやメッシュが観察された。 ○:ムラやメッシュは全く観察されなかった。またコン
トラストも十分に高く、良好な画像が得られた。 ◎:ムラやメッシュが全く観察されない上、コントラス
トが極めて高く、極めて良好な画像が得られた。
【0049】上記(iii) 〜(v) の評価結果は、いずれも
◎であった。 実施例2 電気メッキにより形成される金属層を銅に代えてニッケ
ルとしたほかは、実施例1(i) と同様にして透光性電磁
波シールド部材を製造した。こうして得られた透光性電
磁波シールド部材について実施例1(ii)と同様にパター
ンの接着性の評価を行ったところ、実施例1で得られた
ものと同様に、透明基板からパターンが剥離するという
現象を観察することができなかった。
【0050】さらに、実施例1(iii) 〜(v) と同様にし
て電磁波シールド効果、透光性および視認性の評価を行
ったところ、いずれも実施例1と同程度(◎)であると
の結果が得られた。 実施例3 電磁波シールドパターンの線幅を40μm、ピッチを2
50μm(比Sk/Ss=2.89)としたほかは、実
施例1と同様にして透光性電磁波シールド部材を製造し
た。
【0051】こうして得られた透光性電磁波シールド部
材について実施例1(ii)と同様にパターンの接着性の評
価を行ったところ、実施例1で得られたものと同様に、
透明基板からパターンが剥離するという現象を観察する
ことができなかった。さらに、実施例1(iii) 〜(v) と
同様にして電磁波シールド効果、透光性および視認性の
評価を行ったところ、いずれも実施例1と同程度(◎)
であるとの結果が得られた。
【0052】実施例4 導電性インキ組成物として下記の配合によるものを用い
たほかは、実施例1と同様にして透光性電磁波シールド
部材を製造した。前記導電性インキ組成物には、熱硬化
型ポリエステル樹脂(無水トリメリト酸とネオペンチル
グリコールとのエステル,重量平均分子量20000)
50重量部と、ビスフェノールA型エポキシ樹脂〔油化
シェルエポキシ(株)製の品番「1001」〕30重量
部と、メチル化メラミン樹脂(前出の品番「M−100
C」)20重量部とを混合してなるバインダ樹脂(総量
100重量部)に対して、フレーク状の銅粉末(平均粒
径5μm)800重量部、カーボンブラック(前出のア
セチレンブラック,「デンカブラック」)5重量部およ
び硬化触媒(パラトルエンスルホン酸)1〜2重量部を
配合し、酢酸ブチルカルビトール(30〜50重量部)
に分散させたものを用いた。
【0053】こうして得られた透光性電磁波シールド部
材について実施例1(ii)と同様にパターンの接着性の評
価を行ったところ、実施例1で得られたものと同様に、
透明基板からパターンが剥離するという現象を観察する
ことができなかった。さらに、実施例1(iii) 〜(v) と
同様にして電磁波シールド効果、透光性および視認性の
評価を行ったところ、電磁波シールド効果がわずかに低
下したものの、いずれも実施例1と殆ど同程度(◎〜
○)であるとの結果が得られた。
【0054】比較例1 特開平10−163673号公報に記載の実施例1と同
様にして透光性電磁波シールド部材を製造した。すなわ
ち、透明樹脂としてのポリビニルブチラールとパラジウ
ム触媒とを含む塗布液を、透明基板としてのPETフィ
ルムの表面に塗布して乾燥させ、透明樹脂塗膜を形成し
た後、この塗膜上に無電解メッキを施して、PETフィ
ルムの全面に厚み15μmの銅薄膜を形成した。次に、
この銅薄膜上に感光性のエッチングレジストを塗布し、
露光、現像によって、実施例1での印刷パターンと同寸
法、同形状のレジストパターンを形成した。さらに、こ
れを塩化第二鉄液に浸漬して銅薄膜をエッチングするこ
とにより、上記レジストパターンに対応した寸法、形状
を有する電磁波シールドパターンを形成した。こうして
レジストパターンを剥離、除去することにより、透光性
電磁波シールド部材を得た。
【0055】こうして得られた透光性電磁波シールド部
材について実施例1(ii)と同様にパターンの接着性の評
価を行ったところ、透明基板からパターンが剥離すると
いう現象を観察することができなかった。さらに、実施
例1(iii) 〜(v) と同様にして電磁波シールド効果、透
光性および視認性の評価を行ったところ、いずれも実施
例1と同程度(◎)であるとの結果が得られた。
【0056】しかしながら、比較例1では電磁波シール
ドパターンの形成にフォトリソ法を用いたことから、そ
の製造に要したコストが実施例1の5倍程度になるとい
う問題があった。 比較例2 特公平2−48159号公報に記載の実施例1と同様に
して透光性電磁波シールド部材を製造した。すなわち、
透明基板としてのPETフィルムの表面にスクリーン印
刷法によって紫外線硬化型の導電性銀ペーストを印刷し
た後、紫外線の照射によってペーストを硬化させ、線幅
100μm、線間隔1mm、Sk/Ss=4.76、厚
み20μmの電磁波シールドパターンを有する透光性電
磁波シールド部材を得た。
【0057】こうして得られた透光性電磁波シールド部
材について実施例1(ii)と同様にパターンの接着性の評
価を行ったところ、下記式で表される電磁波シールドパ
ターンの剥離率が20%と高い値を示した。
【0058】
【数1】
【0059】また、上記透光性電磁波シールド部材で
は、上記の方法で作成し得る最も微細なパターンとした
ものの、線幅が太すぎ、かつ線間隔が広すぎるために、
特に周波数500MHz以上の範囲での減衰率が20〜
40dB程度と低く、電磁波シールド効果が不十分であ
ることがわかった。可視光線の全波長範囲で分光透過率
は80%を超えており、透光性は良好であることが確認
されたが、電磁波シールドパターンの線幅が太すぎるた
めに視認性が不十分であった。なお、製造に要したコス
トは実施例1の半分程度であった。
【0060】比較例3 無電解メッキおよび電気メッキの処理を行わず、導電性
パターンの表面に金属層を形成しなかったほかは、実施
例4と同様にして透光性電磁波シールド部材を製造し
た。こうして得られた透光性電磁波シールド部材につい
て実施例1(ii)と同様にパターンの接着性の評価を行っ
たところ、上記式で表される電磁波シールドパターンの
剥離率が30%と極めて高い値を示した。
【0061】上記比較例3の電磁波シールド部材は金属
層を有しないため、全周波数範囲での減衰率が20〜4
0dB程度と低く、電磁波シールド効果が極めて不十分
であることがわかった。なお、可視光線の全波長範囲で
分光透過率が80%を超えることから透光性は良好であ
り、視認性も良好であった。製造に要したコストは実施
例4の7割程度であった。 比較例4 導電性インキ組成物として下記の配合によるものを用い
たほかは、実施例1と同様にして透光性電磁波シールド
部材を製造した。
【0062】前記導電性インキ組成物には、熱硬化型ポ
リエステル樹脂(無水トリメリト酸とネオペンチルグリ
コールとのエステル,重量平均分子量20000)80
重量部と、メチル化メラミン樹脂(前出の品番「M−1
00C」)20重量部とを混合してなるバインダ樹脂
(総量100重量部)に対して、フレーク状の銀粉末
(平均粒径5μm)800重量部、カーボンブラック
(前出のアセチレンブラック,「デンカブラック」)5
重量部および硬化触媒(パラトルエンスルホン酸)1〜
2重量部を配合し、酢酸ブチルカルビトール(30〜5
0重量部)に分散させたものを用いた。かかる導電性イ
ンキ組成物のバインダ樹脂には、エポキシ樹脂が用いら
れていない。
【0063】こうして得られた透光性電磁波シールド部
材について実施例1(ii)と同様にパターンの接着性の評
価を行ったところ、前記式で表される電磁波シールドパ
ターンの剥離率が30%と極めて高い値を示した。さら
に、実施例1(iii) 〜(v) と同様にして電磁波シールド
効果、透光性および視認性の評価を行ったところ、前記
剥離率が高い値を示したことに起因して、電磁波シール
ド効果に著しい低下が観察された。
【0064】以上の結果より明らかなように、エポキシ
樹脂とメラミン樹脂とを含むバインダ樹脂を使用した導
電性インキ組成物により電磁波シールドパターン(印刷
パターン)を形成した実施例1〜4では、いずれもメッ
キ処理によってパターンに剥離が生じることがなく、優
れた電磁波シールド効果と透光性とを両立した電磁波シ
ールド部材を得ることができた。また、実施例1〜4の
透光性電磁波シールド部材は、パターンの土台を印刷法
によって形成していることから比較例1にくらべて製造
コストが極めて低かった。さらに、電磁波シールドパタ
ーンについての比Sk/Ssが所定の範囲に設定されて
いること、ならびに導電性パターンの表面に無電解メッ
キや電気メッキによる金属層を形成していることによっ
て、電磁波シールド効果と透光性とを極めて高いレベル
で両立させることができた。
【0065】これに対し、エポキシ樹脂とメラミン樹脂
とを併用していないバインダ樹脂を使用した比較例4で
は、電磁波シールドパターンと透明基板との接着性を十
分なものとすることができず、その結果、メッキ処理時
にパターンの剥離が生じて、電磁波シールド効果が著し
く低下するという問題が生じた。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】エポキシ樹脂とメラミン樹脂とを含むバイ
    ンダ樹脂に導電性粉末が配合されてなる導電性インキ組
    成物を透明基板の表面に印刷した後、こうして得られた
    印刷パターンを130〜300℃に加熱して硬化させ、
    さらにこうして得られた導電性パターンの表面に、無電
    解メッキおよび/または電気メッキによって選択的に金
    属層を形成することにより、電磁波シールドパターンを
    形成することを特徴とする透光性電磁波シールド部材の
    製造方法。
  2. 【請求項2】前記印刷パターンを、最表面がシリコーン
    ゴムからなる印刷ブランケットを用いた凹版オフセット
    印刷によって形成する請求項1記載の透光性電磁波シー
    ルド部材の製造方法。
  3. 【請求項3】前記電磁波シールドパターンがストライプ
    状または格子状のパターンであって、透明基板の表面の
    うち当該電磁波シールドパターンが形成されている領域
    の全面積Ssと、電磁波シールドパターンが形成されて
    いない領域の全面積Skとが式(1) : 1.0≦Sk/Ss≦9.0 (1) を満たし、かつ、前記電磁波シールドパターンの線幅が
    5〜40μmで、総厚みが1〜50μmである請求項1
    または2記載の透光性電磁波シールド部材の製造方法。
  4. 【請求項4】前記導電性粉末が、銀、銅、ニッケル、ア
    ルミニウムおよび金からなる群より選ばれる少なくとも
    1種の金属からなる金属粉末である請求項1〜3のいず
    れかに記載の透光性電磁波シールド部材の製造方法。
  5. 【請求項5】無電解メッキおよび/または電気メッキに
    用いる金属が、銅、ニッケルおよび金からなる群より選
    ばれる少なくとも1種の金属である請求項1〜4のいず
    れかに記載の透光性電磁波シールド部材の製造方法。
  6. 【請求項6】無電解メッキおよび/または電気メッキに
    よって形成された金属層の厚みが0.5〜25μmであ
    る請求項1〜5のいずれかに記載の透光性電磁波シール
    ド部材の製造方法。
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