JP2002198264A - 電解コンデンサおよび電解コンデンサ内蔵回路基板、並びにそれらの製造方法 - Google Patents

電解コンデンサおよび電解コンデンサ内蔵回路基板、並びにそれらの製造方法

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Yasuhiko Nakada
泰彦 中田
Seiichi Nakatani
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Seigo Shiraishi
誠吾 白石
Hiroyuki Handa
浩之 半田
Akihiro Ishikawa
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 回路基板への埋め込みを行う際にショート発
生や漏れ電流の増大を抑えることが可能な低ESLの電
解コンデンサと、高周波応答および大電流駆動が可能な
電解コンデンサ内蔵回路基板とを提供する。 【解決手段】 電極引き出し部11Aと容量形成部11
Bとを有する陽極用弁金属箔11の表面に誘電体酸化皮
膜層12が設けられ、さらに、固体電解質層13、陰極
用集電体層14が順に設けられる。陽極用弁金属体11
の電極引き出し部11Aおよび容量形成部11Bは、表
面に粗面化層を有しており、かつ、粗面化層の厚み方向
に圧縮されている。さらに、電極端子として機能する電
極引き出し部11Aと陰極用集電体層14とを除く領域
は、モールド材16にてモールドされている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高速な電源回路に
用いられる基板内蔵可能な電解コンデンサおよび電解コ
ンデンサ内蔵回路基板、並びにそれらの製造方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来、コンデンサとしては、アルミニウ
ムやタンタルなどの弁金属を用いた電解コンデンサや、
Ag/PdやNiなどを電極として用い、チタン酸バリ
ウムなどを誘電体として用いた積層セラミックコンデン
サなどが知られている。これらのコンデンサは電源回路
のほとんどに使用されている。近年では特に、CPU駆
動回路やスイッチング電源回路などに対して、低駆動電
圧化、低消費電力化、高周波対応化が要求されているた
め、これに伴って、コンデンサについても大容量化、低
等価直列抵抗(以下、等価直列抵抗をESRと記載す
る。)化、低等価直列インダクタンス(以下、等価直列
インダクタンスをESLと記載する。)化が要求されて
いる。このような要求に対応するため、特に低ESR化
を目的として、電気電導度の高い機能性高分子を電解コ
ンデンサの陰極用固体電解質として用いる技術が検討さ
れ、開発されてきている。
【0003】従来の機能性高分子電解コンデンサの構造
について、図11を用いて説明する。図11は、従来の
機能性高分子電解コンデンサを示した断面図である。図
11において、101は陽極用アルミニウム電極箔、1
02は誘電体酸化皮膜層、103は導電性高分子層、1
04はカーボン層、105はAgペースト層、106,
107はリードフレーム、108はモールド樹脂であ
る。
【0004】陽極用アルミニウム電極箔101は粗面化
処理されており、かつ、表面に誘電体酸化皮膜層102
が形成されている。このように表面に誘電体酸化皮膜層
102が設けられた陽極用アルミニウム電極箔101の
表面に、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアニリン
などからなる導電性高分子層103が形成されている。
さらに、導電性高分子層103の上に、カーボン層10
4とAgペースト層105が順次形成されて、従来のコ
ンデンサ素子が構成されている。この従来のコンデンサ
素子に対して、陽極端子として機能するリードフレーム
106と陰極端子として機能するリードフレーム107
がそれぞれ接合され、さらにモールド樹脂108にてコ
ンデンサ素子が封止されることで、従来の機能性高分子
電解コンデンサが形成されている。
【0005】このような従来の機能性高分子電解コンデ
ンサは、電解質として電解液を使用した電解コンデンサ
(以下、電解液タイプの電解コンデンサという。)より
もESRが低いという特徴があるが、さらなる高容量化
と低ESR化を図るために、上記従来のコンデンサ素子
をAg接着剤を用いて複数積層した構成も提案されてい
る。さらに、上記従来の電解コンデンサにおいては、よ
りESRを下げるために、導電性高分子層103の材料
やカーボン層104、Agペースト層105の材料開発
もなされている。
【0006】また、近年では、MPU電源回路などの高
周波駆動回路に用いるべく、低ESR化に加えて、イン
ダクタンス成分による電圧降下を抑制するために低ES
L化されたコンデンサの開発が必要になってきている。
そのため、ESLの小さい小型の積層セラミックコンデ
ンサや、3端子型や4端子型の電解コンデンサの開発が
なされている。さらに、このようなコンデンサが設けら
れる回路基板に対しては、小型化・薄型化の要求に加え
て、LSIの高周波駆動を可能とすることが要求されて
いる。このような回路基板を実現するためには、短配線
化や短接続化を実現する必要がある。そこで、コンデン
サを回路基板内に埋め込んでLSIのより近くに配置
し、電気配線のインダクタンス成分を低減する開発など
がなされている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前述の
ような構成の従来の機能性高分子電解コンデンサの場
合、陽極端子および陰極端子としてリードフレームが設
けられており、さらにコンデンサ素子のサイズも大きい
ことから、製品のサイズが比較的大きくなってしまう。
そのため、前記従来の機能性高分子電解コンデンサで1
nHよりも小さいESL値を実現することは困難であっ
た。このような理由から、従来の機能性高分子電解コン
デンサは、低ESRであるものの低ESLが実現困難で
あるという理由から、高周波駆動の回路に対して用いら
れるコンデンサとしてはサイズの小さな積層セラミック
コンデンサに対して劣勢であるという問題があった。
【0008】一方、前述のとおり、高周波駆動する回路
の場合、短配線化や短接続化が必要なことから、回路基
板にコンデンサ素子を埋め込む技術の開発がなされてい
る。しかしながら、従来の機能性高分子電解コンデンサ
をそのまま回路基板に埋め込むと、埋め込む際の加圧ス
トレス等によって、粗面化された陽極用弁金属箔(図1
1における陽極用アルミニウム電極箔101のエッチン
グ層)や誘電体(図11における誘電体酸化皮膜層10
2)が破壊し、ショート発生や漏れ電流が大きくなって
しまうという大きな問題があった。このように、従来の
機能性高分子電解コンデンサをそのまま回路基板内に埋
め込んで十分な特性と信頼性を得ることは困難であっ
た。一方、積層セラミックコンデンサを回路基板に埋め
込む場合も、積層セラミックコンデンサが埋め込み時の
加圧ストレス等で割れてしまうという問題が存在してい
た。
【0009】さらに、従来の機能性高分子電解コンデン
サを回路基板内に埋め込む場合、回路配線との接続にも
課題があった。従来のリードフレーム構造の機能性高分
子電解コンデンサを回路配線と接続する際、リードフレ
ームと回路配線とをハンダにより接続するのであるが、
この場合短接続化が図れず、回路の高周波駆動も困難と
なっていた。
【0010】本発明はこれらの問題を解決するために、
回路基板への埋め込みを行う際にショート発生や漏れ電
流の増大を抑えることが可能な低ESLの電解コンデン
サとその製造方法を提供すると共に、高周波応答および
大電流駆動が可能な電解コンデンサ内蔵回路基板とその
製造方法を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、本発明の電解コンデンサは、容量形成部および電
極引き出し部を有する陽極用弁金属体と、前記陽極用弁
金属体の表面に設けられた誘電体酸化皮膜層と、前記誘
電体酸化皮膜層上に設けられた固体電解質層と、 前記
固体電解質層上に設けられた陰極用集電体とを備え、前
記陽極用弁金属体の容量形成部および電極引き出し部
が、表面に粗面化層を有し、かつ、前記粗面化層の厚み
方向に圧縮されていることを特徴とする。
【0012】この電解コンデンサは、粗面化処理後に粗
面化層の厚み方向に圧縮された状態の陽極用弁金属体を
用いて形成されている。このように陽極用弁金属体が予
め圧縮されているため、積層時やモールド時、さらには
回路基板への内蔵時などの加圧ストレスによって生じる
陽極用弁金属体の粗面化層や誘電体酸化皮膜層の破壊を
抑制することができる。従って、回路基板への埋め込み
時等の加圧ストレスによるショート発生や漏れ電流の増
大等を抑えた、信頼性の高い電解コンデンサを得ること
ができる。
【0013】また、陽極用弁金属体を圧縮することでコ
ンデンサ全体の薄型化という効果も得られるので、低E
SL化を実現することができる。さらに、陽極用弁金属
体に設けられた電極引き出し部と陰極用集電体とを接続
端子として用いることが可能であるため、本発明の電解
コンデンサはリードフレームでなく上下面に接続端子を
有する構造とできる。このため、全体のサイズがより小
さくなると共に回路基板に埋め込んだ場合に短接続とな
る。このため、さらなる低ESL化が実現できると共
に、回路基板に内蔵した際に回路の高周波駆動も実現で
きる。
【0014】さらに、本発明の電解コンデンサにおいて
は、電極引き出し部が表面に粗面化層を有し、かつ、前
記粗面化層の厚み方向に圧縮されている。従って、電極
引き出し部と回路配線とを電気的に接続する場合に粗面
化層のバルク抵抗を低下させることができる。従って、
回路配線との電気的接続時の低抵抗化と安定化を実現で
き、回路基板に内蔵した際のESR値の増加を抑制でき
る。
【0015】さらに、本発明の電解コンデンサにおいて
は、前記容量形成部を避けた領域に、全体を厚み方向に
貫通する導電体ビアをさらに備えて、前記導電体ビアが
前記陽極用弁金属体、固体電解質層、および陰極用集電
体と電気的に絶縁されているように構成することが好ま
しい。
【0016】この電解コンデンサによれば、回路基板に
内蔵した際に電解コンデンサを貫通させて電気配線を設
けることができるので、高密度化と高性能化を図ること
ができる。
【0017】さらに、本発明の電解コンデンサにおいて
は、前記容量形成部における圧縮後の粗面化層の厚さ指
数が0.5以上1.0未満であることが好ましい。ただ
し、圧縮後の粗面化層の厚さ指数とは、圧縮前の粗面化
層の厚みを1としたときの圧縮後の粗面化層の厚みであ
る。
【0018】この電解コンデンサによれば、圧縮によっ
て容量拡大の効果が得られる。
【0019】さらに、本発明の電解コンデンサにおいて
は、前記電極引き出し部における圧縮後の粗面化層の厚
さ指数が0.5以下であることが好ましい。ただし、圧
縮後の粗面化層の厚さ指数とは、上記したとおりであ
る。
【0020】この電解コンデンサによれば、回路基板に
内蔵した場合の接続抵抗をより低抵抗化することができ
る。
【0021】さらに、本発明の電解コンデンサにおいて
は、前記電極引き出し部に、前記電極引き出し部の表面
から露出するように導電性粒子が埋め込まれていること
が好ましい。さらに、前記導電性粒子は、Au粒子、A
g粒子、Cu粒子、Ni粒子、およびC粒子のうちから
選択されることが好ましい。
【0022】この電解コンデンサによれば、電極引き出
し部と回路配線とを電気的に接続する際に、さらなる低
抵抗化と安定化を実現できる。
【0023】さらに、本発明の電解コンデンサにおいて
は、前記陰極用集電体が、その表面から露出するように
炭素粒子が埋め込まれた金属箔からなることが好まし
い。
【0024】この電解コンデンサによれば、陰極用集電
体と固体電解質層との界面抵抗を低下させて、より低E
SR化を実現できる。
【0025】さらに、本発明の電解コンデンサにおいて
は、前記陰極用集電体を、その表面から露出するように
炭素粒子が埋め込まれた金属箔とクラッド層とからなる
クラッド材とすることもできる。
【0026】さらに、本発明の電解コンデンサにおいて
は、前記容量形成部と前記電極引き出し部とが前記陽極
用弁金属体の同一平面に設けられていることが好まし
い。
【0027】この電解コンデンサによれば、回路基板内
に内蔵した場合に電解コンデンサの同一面側から陽極と
陰極の配線を引き出すことができるので、短配線化を実
現できる。これにより、回路の高周波駆動に十分対応で
きるようになる。
【0028】また、本発明の電解コンデンサにおいて
は、前記容量形成部を前記陽極用弁金属体の一方面に設
け、前記電極引き出し部を前記陽極用弁金属体の前記一
方面に対向する他方面に設けることも可能である。
【0029】さらに、本発明の電解コンデンサにおいて
は、前記陽極用弁金属体を弁金属層と金属層とで形成す
る。このとき、前記金属層はCuまたはNiからなるこ
とが好ましい。
【0030】さらに、本発明の電解コンデンサにおいて
は、前記電極引き出し部の所定部分および前記陰極用集
電体の所定部分以外の領域がモールド材にて封止されて
いることが好ましい。さらに、前記電極引き出し部およ
び前記陰極用集電体の少なくとも一方が複数箇所露出し
ているように封止することにより、3端子構造や4端子
構造を実現してさらなる低ESL化を図ることができ
る。
【0031】さらに、本発明の電解コンデンサにおいて
は、前記固体電解質層を、導電性高分子層、導電性接着
剤層、および導電性高分子層がこの順に積層された三層
構造とすることも可能である。
【0032】この電解コンデンサによれば、電解コンデ
ンサとして一体化する際、予め陽極用弁金属体と陰極用
集電体の各々に導電性高分子層を設けておき、両者を導
電性接着剤層を介して積層するとともに積層方向に加圧
することが可能である。このように加圧すれば、各層間
の接触面積を拡大して各層間の界面抵抗を低減すること
ができる。
【0033】また、本発明の電解コンデンサの製造方法
は、上記の目的を達成するために、陽極用弁金属体のう
ち少なくとも容量形成部および電極引き出し部となる領
域の表面を粗面化する工程と、前記陽極用弁金属体の粗
面化された領域を厚み方向に加圧する工程とを含むこと
を特徴とする。
【0034】さらに、本発明の電解コンデンサの製造方
法においては、前記陽極用弁金属体における前記容量形
成部の領域を加圧する際、圧縮後の粗面化層の厚さ指数
が0.5以上1.0未満となるように加圧することが好
ましい。ただし、圧縮後の粗面化層の厚さ指数とは、圧
縮前の粗面化層の厚みを1としたときの圧縮後の粗面化
層の厚みである。
【0035】さらに、本発明の電解コンデンサの製造方
法においては、前記陽極用弁金属体における前記電極引
き出し部の領域を加圧する際、圧縮後の粗面化層の厚さ
指数が0.5以下となるように加圧することが好まし
い。ただし、圧縮後の粗面化層の厚さ指数とは、上記し
たとおりである。
【0036】さらに、本発明の電解コンデンサの製造方
法においては、表面に誘電体酸化皮膜層が形成された状
態の電極引き出し部に導電性粒子を配置して、前記電極
引き出し部に前記導電性粒子を埋め込む方向に前記電極
引き出し部を加圧する工程を含むことも可能である。
【0037】さらに、本発明の電解コンデンサの製造方
法においては、前記陽極用弁金属体の表面を粗面化する
工程後に、誘電体酸化皮膜層を形成する工程、固体電解
質層を形成する工程、および前記陽極用弁金属体の粗面
化された領域を加圧する工程を行い、その後前記誘電体
酸化皮膜層を修復する工程を行うことも可能である。
【0038】これらの方法によれば、回路基板に埋め込
んだときの加圧ストレスの影響を低減できる基板内蔵可
能な低ESLの電解コンデンサを製造することができ
る。
【0039】また、本発明の電解コンデンサ内蔵回路基
板は、本発明の電解コンデンサを内蔵したことを特徴と
する。
【0040】さらに、本発明の電解コンデンサ内蔵回路
基板は、本発明の電解コンデンサが配線層を有する絶縁
材料内に埋め込まれており、陽極用弁金属体の電極引き
出し部および陰極用集電体がそれぞれ前記配線層に接続
されている構成とすることができ、前記絶縁材料として
は無機材料粒子と熱硬化性樹脂とのコンポジット材料を
用いることが好ましい。
【0041】この本発明の電解コンデンサ内蔵回路基板
によれば、高周波応答および大電流駆動が可能な回路基
板を実現することができる。
【0042】また、本発明の電解コンデンサ内蔵回路基
板の製造方法は、未硬化状態の絶縁材料に対して電解コ
ンデンサを加圧しながら埋め込む工程を含み、この加圧
工程における圧力が、前記電解コンデンサの陽極用弁金
属体の容量形成部を加圧する際の圧力よりも小さいこと
特徴とする。
【0043】この方法によれば、電解コンデンサのショ
ート発生や漏れ電流の増大を抑制しながら電解コンデン
サを回路基板内に内蔵することができる。
【0044】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て、図面を用いて詳細に説明する。
【0045】(実施の形態1)図1(a)〜図1(c)
には、本実施の形態の電解コンデンサの概略構成が示さ
れている。図1(a)は断面構成図、図1(b)は上面
図、図1(c)は下面図である。但し、ここでは説明の
便宜上電解コンデンサの上面と下面を決定しているだけ
で、本実施の形態の電解コンデンサの使用時において上
面および下面は特に指定されるものではない。
【0046】図1(a)〜図1(c)において、11は
陽極用弁金属箔、12は誘電体酸化皮膜層、13は固体
電解質層、14は陰極用集電体層、15は炭素粒子、1
6はモールド材である。陽極用弁金属箔11は電解エッ
チングにより表面が粗面化されており、電極引き出し部
11Aと容量形成部11Bとを有している。
【0047】以下に、本実施の形態の電解コンデンサの
構成について、本発明における電解コンデンサの製造方
法の一実施形態と合わせて説明する。
【0048】まず、例えば、純度99.99%のアルミ
ニウム箔に交流電流を印加し、塩酸を主体とする電解液
中で電解エッチングすることにより、アルミニウム箔を
粗面化して陽極用弁金属箔11を作製する。
【0049】次に、陽極用弁金属箔11の容量形成部1
1Bを所定のプレス形状を有するプレス機等により加圧
プレスし、粗面化層を圧縮する。ここで、粗面化層と
は、エッチングにより形成された多数のピットを含む層
のことである。次に、陽極用弁金属箔11の電極引き出
し部11Aを所定のプレス形状を有するプレス機等によ
り加圧プレスし、粗面化層を圧縮する。この時、容量形
成部11Bを加圧プレスする圧力よりも高い圧力でプレ
スすることが好ましい。さらに、加圧プレス前の粗面化
層の厚みに対する加圧プレス後の粗面化層厚みが、容量
形成部11Bは0.5以上であることが好ましく、電極
引き出し部11Aは0.5以下であることが好ましい。
【0050】次に、陽極用弁金属箔11を中性の電解液
中で陽極酸化し、陽極用弁金属箔11の表面に任意の耐
圧を有する誘電体酸化皮膜層12を形成する。次に、モ
ールド材16により、陽極用弁金属箔11の所定の部分
(容量形成部11B以外の部分)をマスキングし、ポリ
ピロール、ポリチオフェン、ポリアニリンなどからなる
導電性高分子を、ドーパントと各モノマーとを含む溶液
を用いて、化学重合あるいは化学重合と電解重合により
形成する。この導電性高分子層が固体電解質層13とな
る。
【0051】一方、陰極用集電体層14としては、Cu
箔やNi箔、あるいはCu箔やNi箔やAl箔の表面
(固体電解質層13と接する面)に炭素粒子15を加圧
プレスなどにより埋め込んだものを用いる。この陰極用
集電体層14の一方の面(固体電解質層13と接する
面)に、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアニリン
などからなる導電性高分子層を、ドーパントと各モノマ
ーとを含む溶液を用いて、電解重合により形成してもよ
い。このように導電性高分子層を電解重合により形成し
た陰極用集電体層14を用いる場合には、陽極用弁金属
箔11に設けられた導電性高分子層(固体電解質層1
3)と陰極用集電体層14に設けられた導電性高分子層
とを導電性接着剤(例えば導電性高分子や導電性ペース
ト)により接合してもよい。なお、このような方法にて
形成された電解コンデンサは、結果的に、固体電解質層
13が、陽極用弁金属箔11に設けられた導電性高分子
層、導電性接着剤層、および陰極用集電体層14に設け
られた導電性高分子層からなる三層構造となる。
【0052】また、陰極用集電体層14の形成と固体電
解質層13との接合にかかわるプロセスは上記に限るも
のではない。但し、この接合工程においては、容量形成
部11Bを加圧する際の圧力よりも小さい圧力で陰極用
集電体層14を押さえながら接合する。なお、陰極用集
電体層14は、従来と同じように、カーボン層とAgペ
ースト層とにより形成することも可能である。
【0053】その後、陽極端子と陰極端子となる電極引
き出し部11Aおよび陰極用集電体層14の上面の部分
以外を、シリカなどの無機フィラーを含むエポキシ樹脂
等からなるモールド材16により封止する。
【0054】次に、85℃、80%RHの雰囲気中で、
所定の電圧をかけて、誘電体酸化皮膜層12の欠陥修復
と固体電解質層13の絶縁化処理を行う。その後、乾燥
させることにより、本実施の形態の電解コンデンサが得
られる。
【0055】以上のように、本実施の形態の電解コンデ
ンサは、粗面化処理後に厚み方向に圧縮された状態の陽
極用弁金属箔11を用いて形成されている。このように
陽極用弁金属箔11が予め圧縮されているため、積層時
やモールド時、さらには回路基板への内蔵時などの加圧
ストレスによって生じる陽極用弁金属箔11の粗面化層
や誘電体酸化皮膜12の破壊を抑制することができる。
従って、回路基板への埋め込み時等の加圧ストレスによ
るショート発生や漏れ電流の増大等を抑えた、信頼性の
高い電解コンデンサを得ることができる。
【0056】さらに、陽極用弁金属箔11は、電極引き
出し部11Aと容量形成部11Bとを有している。図2
に、陽極用弁金属箔11の加圧プレス後の粗面化層厚さ
指数(圧縮率)と単位箔厚当たりの容量指数との関係図
が示されている。加圧後の粗面化層の厚さ指数とは、圧
縮前の粗面化層の厚みを1とした時の圧縮後の粗面化層
の厚みである。一方、加圧後の容量指数とは、圧縮前の
単位箔厚当りの容量を1とした時の圧縮後の単位箔厚当
りの容量である。なお、ここでの箔厚とは、粗面化して
いない部分の厚みを含む陽極用弁金属箔11全体の厚さ
のことである。また、容量とは、陽極用弁金属箔11を
加圧した後、誘電体酸化皮膜12を形成した時の同一面
積における電解液中容量である。
【0057】図2に示すように、粗面化層厚さ指数が約
0.5〜1となるように陽極用弁金属箔11における容
量形成部11Bの粗面化層を圧縮すると、単位箔厚当た
りの容量指数が1よりも大きくなることがわかる。すな
わち、圧縮により容量拡大の効果が得られる。さらに、
圧縮することにより陽極用弁金属箔11の薄型化が図れ
るため、電解コンデンサ全体の薄型化という効果も得ら
れ、ESL値を小さくすることができるが、このような
作用効果は、以下に述べる実施の形態2〜実施の形態8
においても得られる。
【0058】一方、電極引き出し部11Aを容量形成部
11Bよりも高い圧力でプレスすることにより、電極引
き出し部11Aを回路配線と電気的に接続する場合に粗
面化層のバルク抵抗を下げることができる。これによ
り、電気的接続の低抵抗化と安定化を実現することがで
きる。従って、本実施の形態の電解コンデンサを回路基
板に内蔵した場合でも、電解コンデンサと回路配線との
接続抵抗により回路基板のESR値が高くなることを防
ぐことができる。また、図2に示すように、粗面化層厚
さ指数が0.5より小さくなると容量指数が大きく低下
する。従って、粗面化層厚さ指数が0.5以下となるよ
うに電極引き出し部11Aを圧縮すれば、接続抵抗をよ
り低抵抗化することができる。このような、粗面化層厚
さ指数が0.5以下となるように電極引き出し部を圧縮
すれば、接続抵抗をより低抵抗化できる作用効果は、以
降に述べる実施の形態2〜実施の形態8についても同様
に奏されることである。
【0059】また、陽極用弁金属箔11はアルミニウム
が好ましいが、タンタル、ニオブなどの弁金属箔であれ
ばこれに限定するものではない。また、粗面化の方法も
直流エッチングなど他の方法でも良い。
【0060】また、陰極用集電体層14としては、固体
電解質層13との界面抵抗の低減(低ESR化)のため
に炭素粒子15を加圧プレス等により埋め込んだCu箔
やNi箔やアルミニウム箔を用いることが好ましく、ハ
ンダ付けが可能なCuまたはNiと炭素粒子15を埋め
込んだアルミニウム箔とのクラッド材でもよい。なお、
陰極用集電体層14は、従来の電解コンデンサのよう
に、カーボン層とAgペースト層で形成したものでも良
い。
【0061】以上のように、本実施の形態の電解コンデ
ンサは、薄型であって、かつ、リードフレームでなく上
下面に接続端子(電極引き出し部11A、陰極用集電体
層14)を有する構造であるため、サイズが小さくなる
と共に回路基板に埋め込んだ場合に短接続となる。この
ため低ESL化が実現でき、さらに回路基板に内蔵した
際に高周波駆動も実現できる。具体的には、陽極用弁金
属箔11Aとして用いられるアルミニウムとしては、厚
さ(圧縮前の厚さ)が40〜150μm程度のものが使
用可能であり、電解コンデンサの厚みも数100μm程
度にすることが可能である。このため、1nH以下のE
SL値の実現が可能となる。
【0062】また、本実施の形態では、電極引き出し部
11Aと陰極用集電体層14とが露出した2端子構造と
なっているが、少なくとも電極引き出し部11Aおよび
陰極用集電体層14の一方について、端子として機能す
る部分が2カ所露出するようにモールド材16にてモー
ルドすることで、3端子構造または4端子構造を実現で
きる。このような構造によれば、陽極用弁金属箔11あ
るいは陰極用集電体層14が回路基板への搭載時に回路
配線として機能するため、さらなる低ESL化が実現で
きる。
【0063】また、陽極用弁金属箔11は予めを加圧さ
れているため、積層時やモールド時、さらには回路基板
への内蔵時などのストレスに強くなり、信頼性の高い電
解コンデンサを得ることができる。
【0064】また、低ESR化に関しては、従来の機能
性高分子電解コンデンサのESRをセラミックコンデン
サ並みに低減することは難しく、機能性高分子やカーボ
ン層、Agペースト層の固有抵抗を下げるだけでは十分
でないという課題があった。このことは、電解液タイプ
のコンデンサと比較した場合、電解液の電導度に対して
機能性高分子が2桁以上も電導度が高いにも関わらず、
電解液タイプの電解コンデンサに対して機能性高分子を
適応してもESRが一桁程度しか下がらないということ
から明らかであり、低ESR化には陰極となる材料間の
界面抵抗を下げる必要がある。この界面抵抗を下げるた
めには加圧して、材料間の接触面積を増やすことが有効
であるが、従来の機能性高分子電解コンデンサは加圧に
より弁金属の粗面化層が変形し、誘電体酸化皮膜層が破
壊されて、ショートの発生あるいは漏れ電流の増大とい
った問題があった。しかし、本実施の形態の電解コンデ
ンサは予め加圧された陽極用弁金属箔11により構成さ
れているので、容量形成部11Bを加圧するときの圧力
以下であれば、陰極用集電体層14接合時に全体を厚み
方向に加圧することが可能である。このように、本実施
の形態の電解コンデンサによれば、陽極用弁金属箔11
や誘電体酸化皮膜層12への加圧によるダメージを最小
限に抑えながら、各層間の界面抵抗を低減して積層セラ
ミックコンデンサ並の低ESRを実現することができ
る。なお、このように接合時に加圧する場合、前述した
ような固体電解質層13を三層構造とする方法を用いて
もよい。
【0065】なお、本実施の形態においては、陽極用弁
金属箔11の粗面化層を圧縮した後で、誘電体酸化皮膜
層12および固体電解質層13を形成し、さらに誘電体
酸化皮膜層12の欠陥修復を行って電解コンデンサを作
製したが、粗面化された陽極用弁金属箔11上に誘電体
酸化皮膜層12および固体電解質層13を形成した後
で、陽極用弁金属箔11の粗面化層を圧縮し、さらに誘
電体酸化皮膜層12の欠陥修復を行ってもよい。この方
法によれば、固体電解質層13形成後に加圧するので、
陽極用弁金属箔11の粗面化層の空間にも固体電解質を
充填することができ、容量を向上させることができる。
【0066】(実施の形態2)図3(a)〜図3(c)
には、本実施の形態の電解コンデンサの概略構成が示さ
れている。図3(a)は断面構成図、図3(b)は上面
図、図3(c)は下面図である。但し、ここでは説明の
便宜上電解コンデンサの上面と下面を決定しているだけ
で、本実施の形態の電解コンデンサの使用時において上
面および下面は特に指定されるものではない。図3
(a)〜図3(c)において、17は導電性粒子であ
る。なお、実施の形態1にて説明した部材と同様の部材
には同じ参照番号を付記しており、ここではそれらの部
材の説明を省略する。
【0067】本実施の形態の電解コンデンサは、実施の
形態1の電解コンデンサとほぼ同じ構成であるが、陽極
用弁金属箔11の電極引き出し部11Aにおいて電極端
子として機能する部分に導電性粒子17が埋め込まれて
いる点で異なる。以下に、本実施の形態における電解コ
ンデンサの製造方法について説明する。
【0068】まず、例えば、純度99.99%のアルミ
ニウム箔に交流電流を印加し、塩酸を主体とする電解液
中で電解エッチングすることにより、アルミニウム箔を
粗面化して陽極用弁金属箔11を作製する。
【0069】次に、陽極用弁金属箔11の容量形成部1
1Bを所定のプレス形状を有するプレス機等により加圧
プレスし、粗面化層を圧縮する。このとき、加圧プレス
前の粗面化層の厚みに対する加圧プレス後の粗面化層厚
みが0.5以上となるようにプレスすることが好まし
い。
【0070】次に、陽極用弁金属箔11を中性の電解液
中で陽極酸化し、陽極用弁金属箔11の表面に任意の耐
圧を有する誘電体酸化皮膜層12を形成する。
【0071】次に、陽極用弁金属箔11の電極引き出し
部11Aの下面部分に、導電性粒子17として粒径数μ
mのAu粒子を置き、Au粒子を埋め込む方向に電極引
き出し部11Aを加圧プレスする。この工程により、導
電性粒子17が陽極用弁金属箔11上の誘電体酸化皮膜
層12を破って埋め込まれるため、電極引き出し部11
Aと回路配線とを電気的に接続する際の接続抵抗の低抵
抗化と安定性とを実現することができる。ここで、電極
引き出し部11Aに対するプレスは、導電性粒子17の
脱落を防ぐために、容量形成部11Bに対するプレスよ
りも高い圧力で行うことが必要である。さらに、容量形
成部11Bは、加圧プレス後の粗面化層の厚みを加圧プ
レス前の粗面化層の厚みに対して0.5以下にすること
が望ましく、さらに粗面化層の空間が潰れる程度にプレ
スすることが好ましい。
【0072】次に、モールド材16により、陽極弁金属
箔11の所定の部分(容量形成部11B以外の部分)を
マスキングし、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリア
ニリンなどからなる固体電解質層13を、ドーパントと
各モノマーとを含む溶液を用いて、化学重合あるいは化
学重合と電解重合により形成する。
【0073】以降は、実施の形態1と同様の方法によ
り、薄型で、回路基板に内蔵可能な電解コンデンサを得
る。
【0074】なお、導電性粒子17の材料はAuに限ら
ず、導電性を有する材料であればよいが、固有抵抗が低
く、安定なAu、Ag、Cu、Ni、C等の中から選択
されることが好ましい。
【0075】以上のように、本実施の形態の電解コンデ
ンサは、導電性粒子17を電極引き出し部11Aに埋め
込むことにより、実施の形態1の電解コンデンサにより
得られる効果に加え、回路基板と電気的に接続する際の
接続抵抗のさらなる低抵抗化と安定化とを実現できると
いう効果も得ることができる。
【0076】なお、本実施の形態においても、実施の形
態1の場合と同様に、粗面化された陽極用弁金属箔11
上に誘電体酸化皮膜層12および固体電解質層13を形
成した後で、陽極用弁金属箔11の粗面化層を圧縮し、
さらに誘電体酸化皮膜層12の欠陥修復を行うことも可
能である。
【0077】(実施の形態3)図4には、本実施の形態
の電解コンデンサの断面構成図が示されている。図4に
おいて、21は陽極用弁金属箔である。なお、実施の形
態1,2にて説明した部材と同様の部材には同じ参照番
号を付記しており、ここではそれらの部材の説明を省略
する。
【0078】本実施の形態の電解コンデンサにおける陽
極用弁金属箔21は、実施の形態1,2の陽極用弁金属
箔11と異なり、固体電解質層13および陰極用集電体
層14が形成される一方面のみが粗面化されているが、
その他、使用可能な金属等については陽極用弁金属箔1
1と同じである。また、陽極用弁金属箔21も、陽極用
弁金属箔11と同様、電極引き出し部21Aと容量形成
部21Bとを有している。電極引き出し部21Aの陽極
端子として機能する部分は陽極用弁金属箔21の粗面化
された面に設けられているため、本実施の形態において
は、陽極端子と陰極端子(陰極用集電体層14)とが電
解コンデンサの同一面側(上面側)に配置されているこ
とになる。従って、本実施の形態の電解コンデンサを回
路基板に内蔵した場合に、電解コンデンサの同一面側か
ら陽極と陰極への配線を引き出すことができるので、配
線を短くすることができる。
【0079】以上のように、本実施の形態の電解コンデ
ンサは、実施の形態2の電解コンデンサにより得られる
効果に加え、回路基板に内蔵した際に短配線化を実現し
て、回路の高周波駆動に十分対応可能となるという効果
も得ることができる。
【0080】なお、本実施の形態の電解コンデンサは、
陽極用弁金属箔21を形成する際に一方面のみを粗面化
するが、それ以外の工程については実施の形態2の電解
コンデンサとほぼ同様の方法にて作製することができ
る。また、陽極用弁金属箔21の材質および加圧方法
は、実施の形態1で説明した陽極用弁金属箔11と同じ
である。
【0081】(実施の形態4)図5には、本実施の形態
の電解コンデンサの断面構成図が示されている。図5に
おいて、18は導電体ビアである。なお、実施の形態1
〜3にて説明した部材と同様の部材には同じ参照番号を
付記しており、ここではそれらの部材の説明を省略す
る。
【0082】本実施の形態の電解コンデンサは、実施の
形態3の電解コンデンサとほぼ同じ構成であるが、陽極
用弁金属箔21の容量形成部21B以外の部分に導電体
ビア18が設けられている点で異なる。以下に、本実施
の形態における電解コンデンサの製造方法について説明
する。
【0083】実施の形態3の電解コンデンサを作製し、
次いで、容量形成部21B以外の部分に貫通孔を形成す
る。次に、この貫通孔の内部に、モールド材16を充填
して硬化させる。その後、この貫通孔内のモールド材1
6にビアとなる貫通孔をさらに形成し、この貫通孔内に
導電性ペーストを充填して、導電体ビア18を形成す
る。なお、導電体ビア18は、導電性ペーストに限ら
ず、メッキなどにより形成されたものでもよい。
【0084】以上のように、本実施の形態の電解コンデ
ンサは、導電体ビア18を備えたことにより、実施の形
態3の電解コンデンサにより得られる効果に加え、回路
基板に内蔵した際に電解コンデンサを貫通させて電気配
線を形成し、より高密度化と高性能化が図れるという効
果も得ることができる。
【0085】(実施の形態5)図6(a)〜図6(c)
には、本実施の形態の電解コンデンサの概略構成が示さ
れている。図6(a)は断面構成図、図6(b)は上面
図、図6(c)は下面図である。但し、ここでは説明の
便宜上、電解コンデンサの上面と下面を決定しているだ
けで、本実施の形態の電解コンデンサの使用時において
上面および下面は特に指定されるものではない。図6
(a)〜図6(c)において、31は陽極用弁金属箔で
あり、陽極用弁金属箔31は容量形成部31Bおよび電
極引き出し部31Aを有している。実施の形態1〜4に
て説明した部材と同様の部材には同じ参照番号を付記し
ており、ここではそれらの部材の説明を省略する。
【0086】本実施の形態の電解コンデンサは、実施の
形態1の電解コンデンサとほぼ同じ構成であるが、陽極
用弁金属箔31の容量形成部31B以外の部分に導電体
ビア18が設けられている点で異なる。
【0087】以下に、本実施の形態における電解コンデ
ンサの製造方法について説明する。
【0088】実施の形態1の電解コンデンサを作製し、
次いで、容量形成部31B以外の部分に貫通孔を形成す
る。次に、この貫通孔の内部に、モールド材16を充填
して硬化させる。その後、この貫通孔内のモールド材1
6にビアとなる貫通孔をさらに形成し、この貫通孔内に
導電性ペーストを充填して、導電体ビア18を形成す
る。なお、導電体ビア18は、導電性ペーストに限ら
ず、メッキなどにより形成されたものでもよい。
【0089】本実施の形態の電解コンデンサは導電体ビ
ア18を有しているため、実施の形態3の電解コンデン
サによって得られる効果に加えて、回路基板に内蔵した
場合にコンデンサを貫通して電気配線を形成することが
でき、このため、一層高密度化と高性能化が図れる。
【0090】なお、本実施の形態の電解コンデンサは、
実施の形態2の電解コンデンサを作製した後、上記と同
様な方法で導体ビア18を形成したものでもよい。さら
に、電極引き出し部31Aの面(外部と電気的に接続さ
れる面)上にメッキなどによって金属層を設けてもよ
い。
【0091】(実施の形態6)図7(a)〜図7(c)
には、本実施の形態の電解コンデンサの概略構成が示さ
れている。図7(a)は断面構成図、図7(b)は上面
図、図7(c)は下面図である。但し、ここでは説明の
便宜上、電解コンデンサの上面と下面を決定しているだ
けで、本実施の形態の電解コンデンサの使用時において
上面および下面は特に指定されるものではない。図7
(a)〜図7(c)において、20は陰極用集電体クラ
ッド層であり、41は陽極用弁金属箔である。なお、実
施の形態1〜5にて説明した部材と同様の部材には同じ
参照番号を付記しており、ここではそれらの部材の説明
を省略する。本実施の形態の電解コンデンサは、実施の
形態2の電解コンデンサとほぼ同じ構成であるが、陰極
用集電体クラッド層20が存在すること、および複数端
子構造とするためにモールド材16を電極引き出し部4
1Aが存在する面側にも有する点で異なる。陰極用集電
体クラッド層20として、Cu、Niを用いることによ
り、直接、ハンダ付け可能な電極となり得る。
【0092】以下に、本実施の形態の電解コンデンサの
構成について、本発明における電解コンデンサの製造方
法の一実施形態と合わせて説明する。
【0093】まず、例えば、純度99.99%のアルミ
ニウム箔に交流電流を印加し、塩酸を主体とする電解液
中で電解エッチングすることにより、アルミニウム箔を
粗面化して陽極用弁金属箔41を作製する。
【0094】次に、陽極用弁金属箔41の容量形成部4
1Bを所定のプレス形状を有するプレス機等により加圧
プレスし、粗面化層を圧縮する。このとき、加圧プレス
後の粗面化層厚み指数が0.5以上となるようにプレス
することが好ましい。
【0095】次に、陽極用弁金属箔41を中性の電解液
中で陽極酸化し、陽極用弁金属箔41の表面に任意の耐
圧を有する誘電体酸化皮膜層12を形成する。
【0096】次に、陽極用弁金属箔41の電極引き出し
部41Aの下面部分に、導電性粒子17として粒径数μ
mのAu粒子を置き、Au粒子を埋め込む方向に電極引
き出し部41Aを加圧プレスする。この工程により、導
電性粒子17が陽極用弁金属箔41上の誘電体酸化皮膜
層12を破って埋め込まれるため、電極引き出し部41
Aと回路配線とを電気的に接続する際の接続抵抗の低抵
抗化と安定性とを実現することができる。ここで、電極
引き出し部41Aに対するプレスは、導電性粒子17の
脱落を防ぐために、容量形成部41Bに対するプレスよ
りも高い圧力で行うことが必要である。さらに、電極引
き出し部41Aは、加圧プレス後の粗面化層の厚みを加
圧プレス前の粗面化層の厚みに対して0.5以下にする
ことが望ましく、さらに粗面化層の空間が潰れる程度に
プレスすることが好ましい。
【0097】次に、モールド材16により、陽極弁金属
箔41の所定の部分(容量形成部41B以外の部分)を
マスキングし、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリア
ニリンなどからなる固体電解質層13を、ドーパントと
各モノマーとを含む溶液を用いて、化学重合あるいは化
学重合と電解重合により形成する。
【0098】一方、陰極側の集電には、Cu箔あるいは
Ni箔(陰極用集電体クラッド層20)とAl箔の表面
に炭素粒子15を加圧プレスなどにより埋め込んだもの
(陰極用集電体層14)とのクラッド材を用いる。この
陰極用集電体層14の一方の面に、ポリピロール、ポリ
チオフェン、ポリアニリンなどからなる導電性高分子層
を、ドーパントと各モノマーとを含む溶液を用いて、電
解重合により形成してもよい。なお、陰極用集電体層1
4は、従来と同じように、カーボン層とAgペースト層
とにより形成することも可能である。また、陰極用集電
体層14と固体電解質層13との接合方法は、実施の形
態1の場合と同じである。従って、実施の形態1の場合
と同様に積層セラミックコンデンサ並の低ESRを実現
できる。
【0099】次いで、陽極端子、陰極端子として機能す
る部分を除いてモールド材16により封止する。このと
き、電極引き出し部41Aが2ヶ所となるように封止す
る。最後に吸湿エージングと乾燥を行って、電解コンデ
ンサを得る。
【0100】本実施の形態の電解コンデンサによれば、
陽極用弁金属箔41の加圧による薄型化と上下面に接続
端子を有することによる低ESL化に加え、2ヶ所の陽
極端子を有する3端子構造として使用できるため、陽極
用弁金属箔41が回路基板への搭載時に回路配線として
も機能することによる低ESL化を実現できる。さら
に、陽極用弁金属箔41が予め加圧されることにより、
回路基板に内蔵する際の耐ストレス性が向上するため、
回路基板への内蔵化が可能な電解コンデンサが実現でき
る。また、本実施の形態の電解コンデンサを用いること
により、高密度化と高性能化が実現された電解コンデン
サ内蔵回路基板を得ることができる。
【0101】なお、本実施の形態の電解コンデンサにお
いて、導電性粒子17の材料はAuに限らず、導電性を
有する材料であればよいが、固有抵抗が低く、安定なA
u、Ag、Cu、Ni、C等の中から選択されることが
好ましい。さらには、本実施の形態の電解コンデンサに
おける電極引き出し部41Aは、導電性粒子17を埋め
込まずに、加圧プレスしたものや、加圧プレス後にメッ
キなどにより、金属層を形成したものであってもよい。
【0102】(実施の形態7)図8には、本実施の形態
の電解コンデンサの断面構成図が示されている。図8に
おいて、51は陽極用弁金属箔、領域51Aは電極引き
出し部、領域51Bは容量形成部、52は誘電体酸化皮
膜層、53は固体電解質層、54はカーボン層、55は
Agペースト層(カーボン層54およびAgペースト層
55は陰極用集電体層として機能する)、56は導電性
粒子である。
【0103】以下に、本実施の形態の電解コンデンサの
構成について、本発明における電解コンデンサの製造方
法の一実施形態と合わせて説明する。
【0104】まず、例えば、純度99.99%のアルミ
ニウム箔に交流電流を印加し、塩酸を主体とする電解液
中で電解エッチングすることにより粗面化し、陽極用弁
金属箔51を作製する。
【0105】次いで、中性の電解液中で陽極酸化して、
陽極用弁金属箔51の表面に任意の耐圧を有する誘電体
酸化皮膜層52を形成する。
【0106】次に、ポリピロール、ポリチオフェン、ポ
リアニリンなどの導電性高分子からなる固体電解質層5
3を、ドーパントと各モノマーとを含む溶液を用いて化
学重合あるいは化学重合と電解重合により誘電体酸化皮
膜層52上に形成する。
【0107】次に、平面プレスあるいはローラプレスに
より粗面化された陽極用弁金属箔51の容量形成部51
Bを厚み方向に加圧し、その後、有機溶媒系の電解液中
で再陽極酸化し、誘電体酸化皮膜層52を修復する。こ
のときの好ましい粗面化層の圧縮率は実施の形態1の場
合と同じである。
【0108】次に、陽極用弁金属箔51の電極引き出し
部51Aの部分に導電性粒子56として、粒径数μmの
Au粒子を置き、電極引き出し部51Aを平面プレスす
る。この時、容量形成部51Bを加圧する圧力よりも高
い圧力で電極引き出し部51Aをプレスする。
【0109】次に,カーボン層54をカーボン分散液中
にディップして形成し、乾燥後、次いで、Agペースト
層55を同様に形成する。これにより、本発明の電解コ
ンデンサを得る。その後、必要に応じて、陽極端子と陰
極端子を別途接続してもよく、また、電極端子となる部
分を除いてシリカなどの無機フィラーを含むエポキシ樹
脂などからなるモールド材により封止してもよい。ま
た、次いで85℃、80%RHの雰囲気中で、所定の電
圧をかけて、誘電体酸化皮膜層52の欠陥修復と固体電
解質層53との絶縁化処理を行ってもよい。
【0110】また、本実施の形態の電解コンデンサの製
造方法において、陽極用弁金属箔51の容量形成部51
Bと電極引き出し部51Aはそれぞれ独立にプレスした
が、容量形成部51Bのプレスの際、同時に電極引き出
し部51Aをプレスし、その後、導電性粒子56などを
電極引き出し部51Aに配置して、容量形成部51Bよ
りも高い圧力で電極引き出し部51Aをプレスしてもよ
い。
【0111】陽極用弁金属箔51はアルミニウムが好ま
しいが、タンタル、ニオブなどの弁金属箔であればこれ
に限定するものではく、粗面化の方法も直流エッチング
など他の方法でも良い。
【0112】また、陰極用集電体層として、界面抵抗の
低減のために炭素粒子を埋め込んだCu箔やNi箔やア
ルミニウム箔を用いてもよい。また、陰極用集電体層と
して、ハンダ付けが可能なCu箔またはNi箔と、炭素
粒子を埋め込んだアルミニウム箔とのクラッド材を用い
てもよい。
【0113】なお、導電性粒子56の材料はAuに限ら
ず、導電性を有する材料であればよいが、固有抵抗が低
く、安定なAu、Ag、Cu、Ni、C等の中から選択
されることが好ましい。
【0114】本実施の形態の電解コンデンサにおいて
は、予め陽極用弁金属箔51に対して加圧しているた
め、積層時やモールド時さらには、回路基板内蔵時の際
のストレスに強くなり、接続抵抗の安定した信頼性の高
いコンデンサを得ることができる。
【0115】さらに、本実施の形態の電解コンデンサ
は、陽極用弁金属箔51を加圧することで薄型化を実現
して低ESL化を実現すると共に、導電性粒子56を電
極引き出し部51Aに埋め込むことにより、回路基板と
電気的に接続する際の接続抵抗の低抵抗化と安定化とを
実現できるという効果も得ることができる。
【0116】(実施の形態8)図9は、本発明の電解コ
ンデンサ内蔵回路基板の一実施形態を示す断面構成図で
ある。図9において、61は図6(a)〜図6(b)に
示した電解コンデンサ、62は半導体チップ、63は回
路配線、64は絶縁材料、65はビア、66はバンプで
ある。
【0117】絶縁材料64は、電解コンデンサ61との
熱膨張率調整や放熱性などから、無機材料粒子と熱硬化
性樹脂とのコンポジット材料が好ましい。
【0118】また、内蔵される電解コンデンサ61は、
貫通する導電体ビアを備えたものでなくても良く、本発
明の電解コンデンサであれば良い。本発明の電解コンデ
ンサ61は低ESRかつ低ESLであり、その製造プロ
セスに加圧履歴を有するため、基板内への内蔵時の積層
加圧ストレスに対して強く、高い信頼性が得られる。
【0119】また、本発明のコンデンサ内蔵回路基板
は、回路基板に電解コンデンサ61を埋め込んでいるの
で、半導体チップ62の直下に電解コンデンサ61を配
置できる。従って、回路配線を短くできるため、高速駆
動する回路基板や電源を実現できる。なお、本発明の電
解コンデンサ内蔵回路基板の製造方法において、基板内
に電解コンデンサ61を加圧積層により内蔵する場合、
加圧積層時の圧力は電解コンデンサ61内の陽極用弁金
属箔を加圧する場合の圧力よりも小さいものである。
【0120】
【実施例】以下、実施例を用いて本発明をさらに詳細に
説明する。
【0121】(実施例1)実施の形態1に示す電解コン
デンサを作製した。
【0122】陽極用弁金属箔11として純度99.99
%、厚さ100μmのアルミニウム箔を用い、濃度10
wt%、液温35℃の塩酸を主体とする電解液中で交流
電流を印加してアルミニウム箔の表面を電解エッチング
し、粗面化した。粗面化層の厚みは40μmであった。
【0123】次に、陽極用弁金属箔11の容量形成部位
11Bを粗面化層の圧縮率が0.8となるように平面プ
レスし、粗面化層を圧縮した。
【0124】次に、電極引き出し部11Aを粗面化層の
圧縮率が0.4になるように平面プレスし、粗面化層を
圧縮した。
【0125】次に液温が60℃で、濃度が5wt%のア
ジピン酸アンモニウムの水溶液を陽極酸化液として、化
成電圧8Vで定電圧化成を行い、陽極用弁金属箔11の
表面に誘電体酸化皮膜層12を形成した。
【0126】次に、陽極用弁金属箔11の5mm角の面
をコンデンサ部(容量形成部11Bに相当する。)とし
て、それ以外の陽極用弁金属箔11の外周をマスキング
した。このとき、エポキシ樹脂のモールド材16を塗布
して硬化させたものをマスク材とした。
【0127】次に、ポリチオフェンモノマーと鉄系酸化
剤とドーパントとを含む溶液を陽極用弁金属箔11の前
記コンデンサ部となる面に滴下し、化学重合により固体
電解質層13を形成した。
【0128】次いで、有機溶媒系の電解液中で再度陽極
酸化を行い、誘電体酸化皮膜層12を修復した。
【0129】一方、陰極用集電体層14としては、Ni
箔の片面に炭素粒子15(アセチレンブラック)を加圧
プレスにより埋め込んだものを用いた。
【0130】次に、固体電解質層13が形成された陽極
用弁金属箔11の5mm角のコンデンサ部を残しなが
ら、10mm角にその周囲を切り出した。固体電解質層
13上に導電性高分子を含む導電性溶液を塗布し、固体
電解質層13と陰極用集電体層14とを対向させて積層
した。この時、容量形成部11Bを加圧したときの圧力
以下の圧力をかけ、窒素雰囲気中で加圧した状態のま
ま、陰極用集電体層14と固体電解質層13とを互いに
接合した。
【0131】次に、シート状の無機フィラーを含有する
エポキシ系のモールド材16を外周部に塗布し硬化さ
せ、封止した。
【0132】次に、エージングとして80℃80%RH
の雰囲気中で吸湿させて定電圧を印加し、誘電体酸化皮
膜層12の再修復を行い、乾燥させて電解コンデンサを
得た。但し、エージングを行わなくても本実施例の電解
コンデンサの漏れ電流値は1μA以下であった。
【0133】得られた電解コンデンサの厚みは約250
μmであった。また、容量形成部11Bの粗面化層の圧
縮率が0.8の電解コンデンサにおいて、LCRメータ
による周波数特性から、120Hzの容量は約14.5
μFであった。100kHzでのESRは約10mΩで
あった。また、図10に示した電解コンデンサの厚さと
共振法により測定したESLとの関係から、ESLはお
よそ0.2nHであった。このように、1nH以下と、
積層セラミックコンデンサ並みに低いESL値が得ら
れ、また、同時に低ESR化も実現できた。
【0134】また、この電解コンデンサを、コンポジッ
ト材料を絶縁体層とする回路基板に加圧プロセスを経て
内蔵したところ、漏れ電流約0.4μAと、漏れ電流の
増加もみられず良好であった。
【0135】さらに、これらの回路基板は半導体チップ
の実駆動電圧の安定化に優れ、高周波ノイズの吸収性に
優れたものであった。さらに、電極引き出し部11Aと
同様の条件でプレスした陽極用弁金属箔をAgペースト
で回路配線と接続してその接続抵抗を測定したところ、
抵抗値は数十mΩと低抵抗であった。
【0136】(実施例2)実施の形態2に示す電解コン
デンサを作製した。
【0137】陽極用弁金属箔11として純度99.99
%、厚さ100μmのアルミニウム箔を用い、濃度10
wt%、液温35℃の塩酸を主体とする電解液中で交流
電流を印加してアルミニウム箔の表面を電解エッチング
し、粗面化した。粗面化層の厚みは40μmであった。
【0138】次に、陽極用弁金属箔11の容量形成部1
1Bを粗面化層の圧縮率が0.5となるように平面プレ
スし、粗面化層を圧縮した。
【0139】次に液温が60℃で、濃度が5wt%のア
ジピン酸アンモニウムの水溶液を陽極酸化液として、化
成電圧8Vで定電圧化成を行い、陽極用弁金属箔11の
表面に誘電体酸化皮膜層12を形成した。
【0140】次に、電極引き出し部11Aも導電性粒子
17としてAuを配置し、粗面化層の圧縮率が0.4に
なるように平面プレスし、粗面化層を圧縮した。
【0141】次に、陽極用弁金属箔11の5mm角の面
をコンデンサ部(容量形成部11Bに相当する。)とし
て、それ以外の陽極用弁金属箔11の外周をマスキング
した。このとき、エポキシ樹脂のモールド材16を塗布
して硬化させたものをマスク材とした。
【0142】次に、ポリチオフェンモノマーと鉄系酸化
剤とドーパントとを含む溶液を陽極用弁金属箔11の前
記コンデンサ部となる面に滴下し、化学重合により固体
電解質層13を形成した。
【0143】次いで、有機溶媒系の電解液中で再度陽極
酸化を行い、誘電体酸化皮膜層12を修復した。
【0144】一方、陰極用集電体層14としては、Ni
箔の片面に炭素粒子15(アセチレンブラック)を加圧
プレスにより埋め込んだものを用いた。
【0145】次に、固体電解質層13が形成された陽極
用弁金属箔11の5mm角のコンデンサ部を残しなが
ら、10mm角にその周囲を切り出した。固体電解質層
13上に導電性高分子を含む導電性溶液を塗布し、固体
電解質層13と陰極用集電体層14とを対向させて積層
した。この時、容量形成部11Bを加圧したときの圧力
以下の圧力をかけ、窒素雰囲気中で加圧した状態のま
ま、陰極用集電体層14と固体電解質層13とを互いに
接合した。
【0146】次に、シート状の無機フィラーを含有する
エポキシ系のモールド材16を外周部に塗布し硬化さ
せ、封止した。
【0147】次に、エージングとして80℃80%RH
の雰囲気中で吸湿させて定電圧を印加し、誘電体酸化皮
膜層12の再修復を行い、乾燥させて電解コンデンサを
得た。但し、エージングを行わなくても本実施例の電解
コンデンサの漏れ電流値は1μA以下であった。
【0148】得られた電解コンデンサの厚みは約230
μmであった。また、容量形成部11Bの粗面化層の圧
縮率が0.5の電解コンデンサにおいて、LCRメータ
による周波数特性から、120Hzの容量は約13.0
μFであった。100kHzでのESRは約5mΩであ
り、図10よりESLはおよそ0.19nHであった。
このように、1nH以下と、積層セラミックコンデンサ
並みのESL値が得られ、また、同時に低ESR化が実
現できた。
【0149】また、この電解コンデンサを、コンポジッ
ト材料を絶縁体層とする回路基板に加圧プロセスを経て
内蔵したところ、漏れ電流約0.6μAと、漏れ電流の
増加もみられず良好であった。
【0150】さらに、これらの回路基板は半導体チップ
の実駆動電圧の安定化に優れ、高周波ノイズの吸収性に
優れたものであった。さらに、電極引き出し部11Aと
同様の条件でプレスした陽極用弁金属箔をAgペースト
で回路配線と接続してその接続抵抗を測定したところ、
抵抗値は数十mΩと低抵抗であった。
【0151】なお、この電解コンデンサを、コンポジッ
ト材料を絶縁層とする回路基板に容量形成部11Bのプ
レス圧力よりも高い圧力をかけて内蔵した場合には、漏
れ電流(4V印加時)は数μAとより大きな値を示し
た。
【0152】(実施例3)実施の形態5に示す電解コン
デンサを作製した。
【0153】陽極用弁金属箔31として純度99.99
%、厚さ100μmのアルミニウム箔を用い、濃度10
wt%、液温35℃の塩酸を主体とする電解液中で交流
電流を印加してアルミニウム箔の表面を電解エッチング
し、粗面化した。粗面化層の厚みは40μmであった。
【0154】次に、陽極用弁金属箔31の容量形成部位
31Bを粗面化層の圧縮率が0.8となるように平面プ
レスし、粗面化層を圧縮した。
【0155】次に、電極引き出し部11Aを粗面化層の
圧縮率が0.4になるように平面プレスし、粗面化層を
圧縮した。
【0156】次に液温が60℃で、濃度が5wt%のア
ジピン酸アンモニウムの水溶液を陽極酸化液として、化
成電圧8Vで定電圧化成を行い、陽極用弁金属箔31の
表面に誘電体酸化皮膜層12を形成した。
【0157】次に、陽極用弁金属箔31の5mm角の面
をコンデンサ部(容量形成部31Bに相当する。)とし
て、それ以外の陽極用弁金属箔31の外周をマスキング
した。このとき、エポキシ樹脂のモールド材16を塗布
して硬化させたものをマスク材とした。
【0158】次に、ポリチオフェンモノマーと鉄系酸化
剤とドーパントとを含む溶液を陽極用弁金属箔31の前
記コンデンサ部となる面に滴下し、化学重合により固体
電解質層13を形成した。
【0159】次いで、有機溶媒系の電解液中で再度陽極
酸化を行い、誘電体酸化皮膜層12を修復した。
【0160】一方、陰極用集電体層14としては、Ni
箔の片面に炭素粒子15(アセチレンブラック)を加圧
プレスにより埋め込んだものを用いた。
【0161】次に、固体電解質層13が形成された陽極
用弁金属箔11の5mm角のコンデンサ部を残しなが
ら、10mm角にその周囲を切り出した。固体電解質層
13上に導電性高分子を含む導電性溶液を塗布し、固体
電解質層13と陰極用集電体層14とを対向させて積層
した。この時、容量形成部31Bを加圧したときの圧力
以下の圧力をかけ、窒素雰囲気中で加圧した状態のま
ま、陰極用集電体層14と固体電解質層13とを互いに
接合した。
【0162】次に、シート状の無機フィラーを含有する
エポキシ系のモールド材16を外周部に塗布し硬化さ
せ、封止した。
【0163】次に、メタルパンチング等により、コンデ
ンサ部の外周部分に必要な貫通孔を形成し、この部分の
マスキングを除去した。次いで、陽極端子、陰極端子と
して機能する部分を除いてモールド材16により封止し
た後、モールド材16で埋まった貫通孔形成部に、陽極
用弁金属箔31を露出させない程度の貫通孔をさらに形
成した。次に、形成した貫通孔内にCuペーストをすり
込んで、導電体ビア18を形成した。
【0164】次に、エージングとして80℃80%RH
の雰囲気中で吸湿させて定電圧を印加し、誘電体酸化皮
膜層12の再修復を行い、乾燥させて電解コンデンサを
得た。但し、エージングを行わなくても本実施例の電解
コンデンサの漏れ電流値は1μA以下であった。
【0165】得られた電解コンデンサの厚みは約250
μmであった。また、容量形成部31Bの粗面化層の圧
縮率が0.8の電解コンデンサにおいて、LCRメータ
による周波数特性から、120Hzの容量は約14.5
μFであった。100kHzでのESRは約10mΩで
あり、ESLはおよそ0.2nHであった。このよう
に、1nH以下と、積層セラミックコンデンサ並みに低
いESL値が得られ、また、同時に低ESR化も実現で
きた。
【0166】また、この電解コンデンサを、コンポジッ
ト材料を絶縁体層とする回路基板に加圧プロセスを経て
内蔵したところ、漏れ電流約0.4μAと、漏れ電流の
増加も見られず良好であった。
【0167】さらに、本実施例の電解コンデンサは、導
電体ビア18を有しているため、この電解コンデンサを
内蔵した回路基板は高密度配線が可能で、これらの回路
基板は半導体チップの実駆動電圧の安定化に優れ、高周
波ノイズの吸収性に優れたものであった。また、導電ビ
ア18として、導電ビア18の外周を無電解Niメッキ
によりを形成後、Cuペーストを充填したものを作製し
た場合にも同等の性能が得られた。
【0168】(実施例4)実施の形態6に示す電解コン
デンサを作製した。
【0169】陽極用弁金属箔41として純度99.99
%、厚さ100μmのアルミニウム箔を用い、濃度10
wt%、液温35℃の塩酸を主体とする電解液中で交流
電流を印加してアルミニウム箔の表面を電解エッチング
し、粗面化した。粗面化層の厚みは40μmであった。
【0170】次に、陽極用弁金属箔41の容量形成部4
1Bを粗面化層の圧縮率が0.5となるように平面プレ
スし、粗面化層を圧縮した。
【0171】次に液温が60℃で、濃度が5wt%のア
ジピン酸アンモニウムの水溶液を陽極酸化液として、化
成電圧8Vで定電圧化成を行い、陽極用弁金属箔41の
表面に誘電体酸化皮膜層12を形成した。
【0172】次に、電極引き出し部41Aは、導電性粒
子17としてAuを配置し、粗面化層の圧縮率が0.4
になるように平面プレスし、粗面化層を圧縮した。
【0173】次に、陽極用弁金属箔41の5mm角の面
をコンデンサ部(容量形成部41Bに相当する。)とし
て、それ以外の陽極用弁金属箔41の外周をマスキング
した。このとき、エポキシ樹脂のモールド材16を塗布
して硬化させたものをマスク材とした。
【0174】次に、ポリチオフェンモノマーと鉄系酸化
剤とドーパントとを含む溶液を陽極用弁金属箔41の前
記コンデンサ部となる面に滴下し、化学重合により固体
電解質層13を形成した。
【0175】次いで、有機溶媒系の電解液中で再度陽極
酸化を行い、誘電体酸化皮膜層12を修復した。
【0176】一方、陰極用集電体層14としては、アル
ミニウム箔の片面に炭素粒子15(アセチレンブラッ
ク)を加圧プレスにより埋め込んだものを用いた。ま
た、クラッド層20としてはCu箔を用いた。
【0177】次に、固体電解質層13が形成された陽極
用弁金属箔41の5mm角のコンデンサ部を残しなが
ら、10mm角にその周囲を切り出した。固体電解質層
13上に導電性高分子を含む導電性溶液を塗布し、固体
電解質層13と陰極用集電体層14とを対向させて積層
した。この時、容量形成部41Bを加圧したときの圧力
以下の圧力をかけ、窒素雰囲気中で加圧した状態のま
ま、陰極用集電体層14と固体電解質層13とを互いに
接合した。
【0178】次に、電極引き出し部41A(陽極端子と
して機能する部分)を2ヶ所設けるように、モールド材
16により封止した。
【0179】次に、エージングとして80℃80%RH
の雰囲気中で吸湿させて定電圧を印加し、誘電体酸化皮
膜層12の再修復を行い、乾燥させて3端子型の電解コ
ンデンサを得た。但し、エージングを行わなくても本実
施例の電解コンデンサの漏れ電流値は1μA以下であっ
た。
【0180】得られた電解コンデンサの厚みは約350
μmであった。また、容量形成部11Bの粗面化層の圧
縮率が0.5の電解コンデンサにおいて、LCRメータ
による周波数特性から、120Hzの容量は約13.0
μFであった。2つの電極引き出し部41Aのうちの一
つを陽極端子として使用し、2端子型の電解コンデンサ
として測定した100kHzでのESRは約5mΩであ
り、ESLは約0.25nHであった。このように、積
層セラミックコンデンサ並みのESR値が得られ、ま
た、同時に低ESL化が実現できた。
【0181】また、この電解コンデンサを、コンポジッ
ト材料を絶縁体層とする回路基板に加圧プロセスを経て
内蔵したところ、その後の容量特性に変化はなく、漏れ
電流約0.3μAと、漏れ電流の増加もみられず良好で
あった。
【0182】さらに、本実施例の電解コンデンサは3端
子構造であるため、基板実装状態では、電解コンデンサ
の陽極に起因するESLは無視できる。このため、この
電解コンデンサを内蔵した回路基板は、半導体チップの
実駆動電圧の安定化に優れ、高周波ノイズの吸収性に優
れたものであった。
【0183】(実施例5)実施の形態7に示す電解コン
デンサを作製した。
【0184】陽極用弁金属箔51として純度99.99
%、厚さ100μmのアルミニウム箔を用い、濃度10
wt%、液温35℃の塩酸を主体とする電解液中で交流
電流を印加してアルミニウム箔の両面を電解エッチング
し、粗面化した。粗面化層の厚みは40μmであった。
【0185】次いで、陽極用弁金属箔51を打ち抜き、
液温が60℃で、濃度が5wt%のアジピン酸アンモニ
ウムの水溶液を陽極酸化液として、化成電圧8Vで定電
圧化成を行い、アルミニウム箔の表面に誘電体酸化皮膜
層52を形成した。
【0186】コンデンサ部(容量形成部51Bに相当す
る。)となる陽極用弁金属箔51の有効部分は3.5m
m角とし、ポリチオフェンモノマーと鉄系酸化剤とドー
パントとを含む溶液を前記コンデンサ部となる面に滴下
し、化学重合により固体電解質層13を薄く形成した。
その後、電解重合により固体電解質層を13を充分形成
した。
【0187】次いで、平面プレスあるいはローラプレス
により、粗面化された陽極用弁金属箔51の容量形成部
51Bをプレスし、その後、有機溶媒系の電解液中で再
陽極酸化し、誘電体酸化皮膜12を修復した。次に、陽
極用弁金属箔51の電極引き出し部51Aの部分に導電
性粒子56としてAu粒子を置き、電極引き出し部51
Aを平面プレスした。
【0188】次に、固体電解質層53上に、カーボン層
54、Agペースト層55をディップと加熱により形成
した。
【0189】以上のように形成された電解コンデンサの
特性は、LCRメータによる周波数特性から、120H
zの容量は約14μFであった。また、100kHzで
のESRは約20mΩであり、低ESR化実現できた。
ESLもリードフレームがない分従来の電解コンデンサ
よりも小さくなるため、回路基板内に内蔵した場合の短
配線化が実現でき、回路基板として優れた特性が得られ
る。また、漏れ電流はおよそ0.6μAであった。
【0190】また、Agペースト層55を介して回路配
線と電気的接続を取るようにした本実施例の電解コンデ
ンサを、コンポジット材料を絶縁体層とする回路基板に
加圧プロセスを経て内蔵したところ、内蔵後の漏れ電流
(4V印加時)は0.6μAであり、内蔵前と変化が見
られなかった。なお、この加圧は、容量形成部51Bの
加圧時の圧力よりも低い圧力で行った。この電解コンデ
ンサ内蔵回路基板は、抵抗による電圧ドロップも小さ
く、優れた高周波応答性と低電圧での駆動安定性を有し
ていた。
【0191】(比較例)図11に示した従来の機能性高
分子電解コンデンサを作製した。
【0192】陽極用アルミニウム電極箔101としては
純度99.99%、厚さ100μmのアルミニウム箔を
用い、濃度10wt%、液温35℃の塩酸を主体とする
電解液中で交流電流を印加してアルミニウム箔の両面を
電解エッチングし、粗面化した。粗面化層の厚みは40
μmであった。
【0193】次に、陽極用アルミニウム電極箔101を
打ち抜き、液温が60℃で、濃度が5wt%のアジピン
酸アンモニウムの水溶液を陽極酸化液として、化成電圧
8Vで定電圧化成を行い、陽極用アルミニウム電極箔1
01の両面に誘電体酸化皮膜層102を形成した。
【0194】次に、コンデンサ部となる陽極用アルミニ
ウム電極箔101の有効部分を3.5mm角とし、この
コンデンサ部となる面にポリチオフェンモノマーと鉄系
酸化剤とドーパントとを含む溶液を滴下し、化学重合に
より導電性高分子層103を薄く形成した。その後、さ
らに電解重合により導電性高分子層103を充分形成し
た。
【0195】次に、導電性高分子層103上に、カーボ
ン層104とAgペースト層105をディップと加熱に
より形成し、リードフレーム106をアルミニウム箔に
溶接し、リードフレーム107をAgペーストにより接
着した後、モールド樹脂108をトランスファー成形に
より形成した。
【0196】最後に、80℃80%RHの雰囲気中で吸
湿させて定電圧を印加し、誘電体酸化皮膜102の再修
復を行った。その後乾燥させて、従来の機能性高分子電
解コンデンサを得た。
【0197】得られた機能性高分子電解コンデンサの特
性は、LCRメータによる周波数特性から、120Hz
の容量が約14μFであった。100kHzでのESR
は約20mΩであり、ESLはおよそ3nH、漏れ電流
はおよそ0.5μAであった。
【0198】また、この従来の機能性高分子電解コンデ
ンサを、コンポジット材料を絶縁体層とする回路基板に
加圧プロセスを経て内蔵したが、その後の漏れ電流(4
V印加時)はすべて数百μAから数mAもあり、ショー
トしているものが多く見られた。
【0199】さらに、モールドしていない状態の機能性
高分子電解コンデンサを、Agペースト層105を介し
て回路配線と電気的接続をとるように同様のコンポジッ
ト基板に内蔵したが、漏れ電流(4V印加時)は数百μ
A以上であり、ほとんどのものがショートした。さら
に、使用した従来の粗面化した陽極用アルミニウム電極
箔101をAgペーストで回路配線と接続し、その接続
抵抗を測定したところ、抵抗値は数Ω〜数十Ωであっ
た。
【0200】このように、実施例1〜5による電解コン
デンサおよびその製造方法によれば、従来の機能性高分
子電解コンデンサと比較して、薄型化を実現するのみな
らず、低ESL化の効果と、低抵抗接続ならびに回路基
板への内蔵が可能な優れた耐ストレス効果が得られるこ
とが確認された。また本実施例による電解コンデンサ内
蔵回路基板は、半導体チップの実駆動電圧の安定化と高
周波ノイズの吸収性に優れた特性効果が得られることも
確認された。
【0201】
【発明の効果】以上に説明したように、本発明によれ
ば、回路基板に埋め込んだ時のストレスの影響を低減で
きる基板内蔵可能な低ESLの電解コンデンサが実現で
き、さらには高周波応答および大電流駆動が可能な電解
コンデンサ内蔵回路基板が実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 (a)は本発明の実施の形態1の電解コンデ
ンサの断面構成図、(b)は前記電解コンデンサの上面
図、(c)は前記電解コンデンサの下面図である。
【図2】 粗面化層厚さ指数と容量指数の関係図であ
る。
【図3】 (a)は本発明の実施の形態2の電解コンデ
ンサの断面構成図、(b)は前記電解コンデンサの上面
図、(c)は前記電解コンデンサの下面図である。
【図4】 本発明の実施の形態3の電解コンデンサの断
面構成図である。
【図5】 本発明の実施の形態4の電解コンデンサの断
面構成図である。
【図6】 (a)は本発明の実施の形態5の電解コンデ
ンサの断面構成図、(b)は前記電解コンデンサの上面
図、(c)は前記電解コンデンサの下面図である。
【図7】 (a)は本発明の実施の形態6の電解コンデ
ンサの断面構成図、(b)は前記電解コンデンサの上面
図、(c)は前記電解コンデンサの下面図である。
【図8】 本発明の実施の形態7の電解コンデンサの断
面構成図である。
【図9】 本発明の実施の形態8の電解コンデンサ内蔵
回路基板の断面構成図である。
【図10】 電解コンデンサの厚さとESLとの関係を
示す関係図である。
【図11】 従来の機能性高分子電解コンデンサの断面
構成図である。
【符号の説明】 11 陽極用弁金属箔 11A 電極引き出し部 11B 容量形成部 12 誘電体酸化皮膜層 13 固体電解質層 14 陰極用集電体層 15 炭素粒子 16 モールド材 17 導電性粒子 18 導電体ビア 21 陽極用弁金属箔 21A 電極引き出し部 21B 容量形成部 31 陽極用弁金属箔 31A 電極引き出し部 31B 容量形成部 41 陽極用弁金属箔 41A 電極引き出し部 41B 容量形成部 51 陽極用弁金属箔 51A 電極引き出し部 51B 容量形成部 52 誘電体酸化皮膜層 53 固体電解質層 54 カーボン層 55 Agペースト層 56 導電性粒子 61 電解コンデンサ 62 半導体チップ 63 回路配線 64 絶縁材料 65 ビア 66 バンプ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H01G 9/24 C (72)発明者 中谷 誠一 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 (72)発明者 白石 誠吾 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 (72)発明者 半田 浩之 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 (72)発明者 石川 明洋 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 Fターム(参考) 5E336 AA08 BB03 BB15 BC26 CC32 CC53 GG14 5E346 AA02 AA12 AA15 AA60 BB01 CC08 CC31 FF45 GG40 HH01 HH31

Claims (24)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 容量形成部および電極引き出し部を有す
    る陽極用弁金属体と、 前記陽極用弁金属体の表面に設けられた誘電体酸化皮膜
    層と、 前記誘電体酸化皮膜層上に設けられた固体電解質層と、 前記固体電解質層上に設けられた陰極用集電体とを備
    え、 前記陽極用弁金属体の容量形成部および電極引き出し部
    が、表面に粗面化層を有し、かつ、前記粗面化層の厚み
    方向に圧縮されていることを特徴とする電解コンデン
    サ。
  2. 【請求項2】 前記容量形成部を避けた領域に、全体を
    厚み方向に貫通する導電体ビアをさらに備え、 前記導電体ビアが、前記陽極用弁金属体、固体電解質
    層、および陰極用集電体と電気的に絶縁されていること
    を特徴とする請求項1に記載の電解コンデンサ。
  3. 【請求項3】 前記容量形成部における圧縮後の粗面化
    層の厚さ指数が0.5以上1.0未満であることを特徴
    とする請求項1に記載の電解コンデンサ。ただし、圧縮
    後の粗面化層の厚さ指数とは、圧縮前の粗面化層の厚み
    を1としたときの圧縮後の粗面化層の厚みである。
  4. 【請求項4】 前記電極引き出し部における圧縮後の粗
    面化層の厚さ指数が0.5以下であることを特徴とする
    請求項1に記載の電解コンデンサ。ただし、圧縮後の粗
    面化層の厚さ指数とは、圧縮前の粗面化層の厚みを1と
    したときの圧縮後の粗面化層の厚みである。
  5. 【請求項5】 前記電極引き出し部に、前記電極引き出
    し部の表面から露出するように導電性粒子が埋め込まれ
    ていることを特徴とする請求項1に記載の電解コンデン
    サ。
  6. 【請求項6】 前記導電性粒子は、Au粒子、Ag粒
    子、Cu粒子、Ni粒子、およびC粒子のうちから選択
    されることを特徴とする請求項5に記載の電解コンデン
    サ。
  7. 【請求項7】 前記陰極用集電体が、その表面から露出
    するように炭素粒子が埋め込まれた金属箔からなること
    を特徴とする請求項1に記載の電解コンデンサ。
  8. 【請求項8】 前記陰極用集電体が、その表面から露出
    するように炭素粒子が埋め込まれた金属箔と、クラッド
    層とからなるクラッド材であることを特徴とする請求項
    1に記載の電解コンデンサ。
  9. 【請求項9】 前記容量形成部と前記電極引き出し部と
    が、前記陽極用弁金属体の同一平面に設けられているこ
    とを特徴とする請求項1に記載の電解コンデンサ。
  10. 【請求項10】 前記容量形成部は前記陽極用弁金属体
    の一方面に設けられ、前記電極引き出し部は前記陽極用
    弁金属体の前記一方面に対向する他方面に設けられてい
    ることを特徴とする請求項1に記載の電解コンデンサ。
  11. 【請求項11】 前記陽極用弁金属体が弁金属層と金属
    層とからなることを特徴とする請求項1に記載の電解コ
    ンデンサ。
  12. 【請求項12】 前記金属層はCuまたはNiからなる
    ことを特徴とする請求項11に記載の電解コンデンサ。
  13. 【請求項13】 前記電極引き出し部の所定部分および
    前記陰極用集電体の所定部分以外の領域がモールド材に
    て封止されていることを特徴とする請求項1に記載の電
    解コンデンサ。
  14. 【請求項14】 前記電極引き出し部および前記陰極用
    集電体の少なくとも一方は複数箇所が露出していること
    を特徴とする請求項13に記載の電解コンデンサ。
  15. 【請求項15】 前記固体電解質層が、導電性高分子
    層、導電性接着剤層、および導電性高分子層がこの順に
    積層された三層構造であることを特徴とする請求項1に
    記載の電解コンデンサ。
  16. 【請求項16】 請求項1に記載の電解コンデンサを製
    造する方法であって、 陽極用弁金属体のうち少なくとも容量形成部および電極
    引き出し部となる領域の表面を粗面化する工程と、 前記陽極用弁金属体の粗面化された領域を厚み方向に加
    圧する工程とを含むことを特徴とする電解コンデンサの
    製造方法。
  17. 【請求項17】 前記陽極用弁金属体における前記容量
    形成部の領域を加圧する際、圧縮後の粗面化層の厚さ指
    数が0.5以上1.0未満となるように加圧することを
    特徴とする請求項16に記載の電解コンデンサの製造方
    法。ただし、圧縮後の粗面化層の厚さ指数とは、圧縮前
    の粗面化層の厚みを1としたときの圧縮後の粗面化層の
    厚みである。
  18. 【請求項18】 前記陽極用弁金属体における前記電極
    引き出し部の領域を加圧する際、圧縮後の粗面化層の厚
    さ指数が0.5以下となるように加圧することを特徴と
    する請求項16に記載の電解コンデンサの製造方法。た
    だし、圧縮後の粗面化層の厚さ指数とは、圧縮前の粗面
    化層の厚みを1としたときの圧縮後の粗面化層の厚みで
    ある。
  19. 【請求項19】 さらに、表面に誘電体酸化皮膜層が形
    成された状態の電極引き出し部に導電性粒子を配置し
    て、前記電極引き出し部に前記導電性粒子を埋め込む方
    向に前記電極引き出し部を加圧する工程をさらに含むこ
    とを特徴とする請求項16に記載の電解コンデンサの製
    造方法。
  20. 【請求項20】 前記陽極用弁金属体の表面を粗面化す
    る工程後に、誘電体酸化皮膜層を形成する工程、固体電
    解質層を形成する工程、および前記陽極用弁金属体の粗
    面化された領域を加圧する工程を行い、その後前記誘電
    体酸化皮膜層を修復する工程を行うことを特徴とする請
    求項16に記載の電解コンデンサの製造方法。
  21. 【請求項21】 請求項1に記載の電解コンデンサを内
    蔵したことを特徴とする電解コンデンサ内蔵回路基板。
  22. 【請求項22】 前記電解コンデンサが配線層を有する
    絶縁材料内に埋め込まれており、陽極用弁金属体の電極
    引き出し部および陰極用集電体はそれぞれ前記配線層に
    接続されていることを特徴とする請求項21に記載の電
    解コンデンサ内蔵回路基板。
  23. 【請求項23】 前記絶縁材料は、無機材料粒子と熱硬
    化性樹脂とのコンポジット材料であることを特徴とする
    請求項22に記載の電解コンデンサ内蔵回路基板。
  24. 【請求項24】 請求項21に記載の電解コンデンサ内
    蔵回路基板を製造する方法であって、 未硬化状態の絶縁材料に対して電解コンデンサを加圧し
    ながら埋め込む工程を含み、この加圧工程における圧力
    が、前記電解コンデンサの陽極用弁金属体の容量形成部
    を加圧する際の圧力よりも小さいことを特徴とする電解
    コンデンサ内蔵回路基板の製造方法。
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