JP2002198075A - 燃料電池システムの起動制御装置 - Google Patents
燃料電池システムの起動制御装置Info
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Abstract
を抑制する。 【解決手段】 燃料電池システムにおいて、アノードオ
フガス中に消費されずに残された水素を酸化触媒で酸化
して外部に排出する水素処理部を設ける。かかる燃料電
池システムについて、起動が指示された場合に、過去の
履歴に基づいて起動の可否を判定する。比較的短い期間
に起動と停止とが繰り返し実行されている場合には、従
前に未処理のまま排出されていた水素が十分に拡散して
いない可能性があると判断し、システムの起動を禁止す
る。こうすることにより、水素処理部が未暖機のまま起
動操作が繰り返し実行され、未処理の水素が短期間に大
量に放出されることを回避できる。
Description
制御する起動制御装置に関する。
と、カソードに供給された酸素との電気化学反応によっ
て発電する。アノード、カソードに供給されたガスは、
燃料電池内の流路を流れ、発電に使用された後、外部に
排出される。アノードから排出されるガス(以下、アノ
ードオフガスと呼ぶ)中には、発電で消費されなかった
水素が残留している場合がある。水素は可燃性ガスであ
るため、通常、アノードオフガスは燃焼または酸化触媒
による酸化処理を施された上で排出される。
動時には、酸化触媒の暖機が完了しておらず、未処理の
まま水素が排出されることがあった。酸化触媒が未暖機
時に、水素の供給量を低減して水素の排出を防止しよう
とすれば、燃料電池の出力低下、起動処理の長時間化と
いう別の課題を招く。また、この出力低下を補償するた
めに、大容量のバッテリが必要となり、装置の大型化を
招く可能性もある。
の、有毒ガスではない。従って、未処理のまま水素が排
出されたとしても、高濃度にならなければ、ほとんど実
害はない。本願は、かかる観点から、未処理のまま排出
される水素の高濃度化を抑制する技術を提供することを
目的とする。
発明では燃料電池の起動を一定条件下で規制することに
より、上記課題の解決を図った。つまり、本発明では、
燃料電池の起動を制御する起動制御装置において入力
部、履歴記憶部、起動禁止部を備える構成とした。入力
部は、燃料電池の起動および停止に関する指令を入力す
るユニットである。履歴記憶部は、入力された指令の過
去の履歴を記憶するユニットである。起動禁止部は、起
動の指令に対し、この履歴に基づいて所定の条件下で燃
料電池の起動を禁止する。
全体の暖機が完了していない起動時に排出されやすい。
燃料電池が起動され、運転が継続されれば、暖機が進む
につれて未処理の水素の排出量が低減する。かかる場合
には、排出された水素が十分に拡散するため、局所的な
高濃度状態は生じない。これに対し、燃料電池の起動お
よび停止が繰り返し行われる場合には、水素の濃度が高
まりやすい。短期間に起動および停止が繰り返される
と、システムの暖機が進行せず、未処理の水素が排出さ
れやすい状態が継続されるからである。
および停止がどの程度頻繁に行われていたか、つまり、
これらの指令に関する過去の履歴に基づいて判断するこ
とができる。本発明では、指令の履歴に基づいて、所定
の条件下で燃料電池の起動を禁止することにより、水素
の高濃度化を回避することができる。
断を行うのに必要な範囲で記憶すれば足りる。燃料電池
の運転状態を長期間にわたって記憶するものとしてもよ
いし、例えば、前回の運転停止からの経過時間のように
短期間の履歴を記憶するものとしてもよい。過去の履歴
は、ディジタル化されたデータとして記憶するものとし
てもよいし、アナログデータ、例えば、積分回路等にお
ける電圧値の形等で記憶するものとしてもよい。
水素の高濃度化を抑制可能な範囲で実験等によって適宜
設定することができる。
の時間的密度に関するパラメータを履歴として記憶し、
その時間的密度が所定以上の場合に起動を禁止する態様
を採ることができる。時間的密度とは、所定の時間内に
おける起動指令の割合をいう。時間密度が高い程、頻繁
に起動と停止とが繰り返し実行されていることになる。
えば、停止の指令の入力後、起動の指令が入力されるま
での経過時間を用いることができる。経過時間が短い
程、時間的密度が高いことを意味する。従って、この経
過時間が所定値以下の場合に起動を禁止すればよい。過
去の履歴としては、この経過時間は、直前の停止指令か
らの経過時間のみを記憶してもよいし、過去一定期間に
おいて、停止指令、起動指令が入力される度に、経過時
間を求め、この変遷または累積値を記憶するものとして
もよい。
は、例えば、所定の期間内における起動の指令の繰り返
し数を用いることができる。繰り返し数が多い程、時間
的密度が高いことを意味する。従って、繰り返し数が所
定値以上の場合に起動を禁止すればよい。繰り返し数を
求める基準となる所定の期間は、予め設定された一定の
期間としてもよいし、燃料電池の運転状態に応じて変動
する期間としてもよい。後者の態様としては、例えば、
システムの暖機が完了して正常に運転が開始された後の
停止指令から起算する方法が挙げられる。より具体的に
は、起動の指令が入力される度に繰り返し数を累積し、
暖機が完了した時点で繰り返し数をリセットして累積を
再開する態様が相当する。
過時間とを併せて用いるものとしてもよい。例えば、上
記繰り返し数に基づいて起動の禁止を判断する基準とな
る所定値を経過時間が短い程、小さく設定することがで
きる。所定値は、経過時間に応じて連続的に低減させて
もよいし、段階的に小さくしてもよい。経過時間が短い
場合には、水素が十分に拡散していないと考えられるた
め、所定値を小さくして起動を禁止しやすくすることに
より、高濃度化を適切に回避することができる。
化処理する酸化処理部を備えている燃料電池に有効活用
することができる。酸化処理としては、例えば、酸化触
媒による酸化反応が挙げられる。このような酸化処理部
を有する燃料電池に本発明を適用する場合、燃料電池の
起動を禁止するための所定の条件は、酸化処理部の酸化
処理能力に関与する物理状態に応じて設定することが好
ましい。未処理の水素が排出される量は、この物理状態
に関与しているからである。物理状態としては、酸化処
理部の温度、圧力などが挙げられる。
ば、酸化処理部の温度が高くなる程、禁止が生じにくく
する態様を挙げることができる。先に例示した繰り返し
数と所定値との大小関係で起動の禁止を判断する場合に
は、この態様は、温度が高くなる程、所定値を大きくす
ることにより実現可能である。また、酸化処理部の温度
が暖機済みと判断される程度に高い場合など、物理状態
が所定の状態にある時には、燃料電池の起動を無条件に
許可する態様を採ってもよい。
態様に関わらず種々の態様で構成可能である。例えば、
上述の起動制御装置と燃料電池とを組み合わせて燃料電
池システムとして構成してもよい。また、燃料電池の起
動制御方法などの態様で構成することも可能である。本
発明は、排出される水素の高濃度化を抑制するという観
点から、定置型の燃料電池システムに、特に有効に活用
できる。
施例に基づき次の項目に分けて説明する。 A.システム構成: B.起動制御処理: C.起動可否判定: D.効果: E1.第1変形例: E2.第2変形例:
燃料電池システムの概略構成を示す説明図である。この
システムは、燃料電池13およびバッテリ14を並列に
接続し、出力端子(図中の+,−)から所定電圧の直流
を出力する。本実施例では、定置型のシステムとして構
成されている。移動体等の電源として搭載されるシステ
ムとして構成しても構わない。
中の水素との電気化学反応によって発電を行う。燃料電
池13には、種々のタイプを適用可能であるが、本実施
例では、固体高分子型を用いるものとした。
13のアノードに供給される。水素供給源10は種々の
構成を適用可能である。例えば、水素ガスを貯蔵する高
圧ボンベ、水素吸蔵合金を利用した貯蔵タンク、および
原料の改質によって水素を生成する改質装置などを利用
することができる。燃料ガスおよび空気の供給は、それ
ぞれバルブ11,12によって調整される。このバルブ
の開度は、後述する制御ユニットによって電磁的に制御
される。
路を流れつつ、発電に利用され、排出口から排出され
る。アノードからの排出ガス、即ちアノードオフガス中
には、発電に消費されない水素が残留している可能性が
あるため、水素処理部15で酸化処理された上で外部に
放出される。水素処理部15には、水素を酸化するのに
適した酸化触媒が担持されている。触媒を用いた一般の
反応と同様、水素処理部15での酸化反応速度は、触媒
の温度に依存する。触媒の温度が比較的低い状態では、
反応速度が比較的低いため、アノードオフガス中の水素
の一部は未処理のまま排出される可能性がある。
3によって制御される。制御ユニット23は、内部にC
PU、RAM,ROMおよび動作の同期をとるためのク
ロック等を備えるマイクロコンピュータとして構成され
ている。制御ユニット23には、制御用に種々の信号が
入出力される。例えば、水素処理部15の内部温度を検
出する温度センサ16からの信号が入力される。また、
ユーザが燃料電池システムの起動および停止を指示する
ための操作回路からの信号が入力される。
停止スイッチ17と、起動するための起動スイッチ18
が設けられている。停止スイッチ17は、操作時に回路
を遮断するよう構成されている。起動スイッチ18は、
操作時に回路を一時的に接続し、その後遮断するよう構
成されている。起動スイッチ18には制御ユニット23
によって制御されるリレー19が並列に設けられてい
る。起動スイッチ18が操作されると、これをトリガー
としてリレー19がオンとなり、起動スイッチ18の接
点が離れた後は、リレー19によってシステムは稼働状
態に維持される。本実施例では、停止スイッチ17,起
動スイッチ18によって指令が入力される場合を例示す
るが、電子的なコマンドを制御ユニット23に入力する
態様を採っても構わない。
0、21とともに、積分回路22が介設されている。積
分回路22は、抵抗RとコンデンサCとの組み合わせで
実現される回路である。スイッチ21をオフにした状態
でスイッチ20をオンにすると、積分回路22の時定数
に従って、コンデンサCの端子電圧が上昇する。制御ユ
ニット23は、スイッチ20がオンになった後の経過時
間を表す信号としてこの端子電圧を入力する。スイッチ
21をオンにすると、コンデンサCは放電され、端子電
圧はリセットされる。制御ユニット23は、次に示す制
御処理によって、この端子電圧を利用してシステムの起
動を制御する。
ンのフローチャートである。起動スイッチ18および停
止スイッチ17の操作に応じて制御ユニット23が実行
する処理である。この処理では、制御ユニット23は、
これらのスイッチからの信号を入力し(ステップS1
0)。操作されたスイッチに応じた処理を行う。
場合には(ステップS12)、操作後の経過時間Tstsp
の計時を開始する(ステップS14)。先に説明した通
り、本実施例では、積分回路22を用いて経過時間Tsts
pの計測が行われる。従って、制御ユニット23は、ス
テップS14の処理として、積分回路22のスイッチ2
0をオンにする。フローチャートへでは別処理として記
載したが、スイッチ20のオンは、停止スイッチ17の
操作と並行して行われる。スイッチ20として、電源が
オフされた状態で回路が閉となるタイプの接点を利用す
れば、この並行動作は比較的容易に実現可能である。こ
の経過時間Tstspは、次に起動スイッチ18が操作され
るまでの過去の履歴を表す情報の一種であり、システム
の起動時に起動可否判定に用いられる。なお、本実施例
では、積分回路22を利用して経過時間Tstspを計時し
ているが、制御ユニット23のクロックを利用して、デ
ィジタル信号として計時を行ってもよい。この場合は、
停止スイッチ17の操作後もバッテリ14等を電源とし
て制御ユニット23を継続的に動作させ続けることが可
能な回路構成としておく必要がある。積分回路22を利
用した構成でも、かかる回路構成を採ることは可能であ
る。但し、実施例の構成を採れば、停止スイッチ17の
操作後の消費電力を、積分回路22に流れ込む微小電力
に抑制することができる利点がある。
場合には(ステップS12)、システムを起動してもよ
い状態にあるか否かの起動可否判定を行う(ステップS
16)。この判定は、経過時間Tstspに基づいて行われ
る。処理内容は、後述する。起動可と判定された場合に
は(ステップS18)、起動処理としてリレー19をオ
ンにするとともに、経過時間Tstspをリセットする(ス
テップS22)。起動不可と判断された場合には(ステ
ップS18)、起動禁止処理として、リレー19をオフ
にする(ステップS20)。経過時間Tstspの値は維持
される。このように、本願では、起動スイッチ18の動
作時に無条件にシステムを起動するのではなく、経過時
間Tstsp等で表される過去の履歴によってはシステムの
起動を禁止することがある。
理ルーチンのフローチャートである。図2中のステップ
S16における処理を詳述したものである。この処理が
開始されると、制御ユニットは、変数Cstを値1だけイ
ンクリメントする(ステップS32)。変数Cstは、起
動スイッチ18の操作回数を示す変数(以下、繰り返し
数と呼ぶ)である。起動可否判定処理ルーチンは起動ス
イッチ18の操作に対応して行われる処理であるから、
このルーチンが実行される度に変数Cstが値1ずつ増加
する。
ない。本実施例では、システムが正常に起動した時点で
変数Cstを0にリセットするものとした。システムの稼
働状態が所定の期間継続した時点で正常に起動したもの
と判断される。この判断は、起動制御処理(図2)では
なく、制御ユニット23がシステムの運転状態を制御す
る別のルーチンで行うものとした。
された後の経過時間Tstspの検出を行う(ステップS3
4)。積分回路22の端子電圧を読み込み、これを予め
用意されたマップまたは関数によって経過時間Tstspに
換算する。経過時間Tstspは、直前に停止スイッチ17
が操作された後、起動スイッチ18が操作されるまでの
時間に相当する。
過時間Tstspに基づいて起動操作の最大許容回数Crefを
求める(ステップS36)。最大許容回数Crefは、図示
する通り、経過時間Tstspのマップとして予め用意され
ている。経過時間Tstspが短い程、最大許容回数Crefは
小さく、経過時間Tstspが増大するにつれて最大許容回
数Crefは段階的に増加する。最大許容回数Crefの設定根
拠は後述する。
過時間Tstsp、繰り返し数Cst、最大許容回数Crefを総合
的に考慮して、システムの起動可否を判断する(ステッ
プS38)。本実施例では、次の条件A,Bの少なくと
も一方を満足する場合に起動を許可し(ステップS4
2)、その他の場合には起動を禁止するものとした(ス
テップS40)。 条件A…経過時間Tstsp>基準時間Tref; 条件B…繰り返し数Cst<最大許容回数Cref;
されないまま排出された水素の拡散性を考慮して設定さ
れた条件である。システムの起動時には、水素処理部1
5の暖機が完了しておらず、未処理の水素が排出される
可能性がある。排出された水素は、時間とともに拡散す
る。従って、システムが停止された後、十分に時間が経
過していれば、システムの再起動によって未処理の水素
が排出されたとしても、水素の濃度は高くならない。基
準時間Trefはこの判断基準となる時間であり、排出され
た水素が十分に拡散したとみなすことができる値に設定
される。この時間は、未暖機時にシステムから排出され
る水素量、システムが使用されている環境等を考慮し
て、実験等によって適切な値を選択すればよい。例え
ば、水素の拡散性が低い室内に設置されたシステムで
は、基準時間Trefを特に大きく設定しておくことが好ま
しい。
る水素量を考慮して設定された条件である。未処理の水
素量は、システムの起動回数に応じて増大すると考えら
れる。従って、短期間の間に起動が繰り返し行われれ
ば、水素が十分に拡散しないまま多量の水素が排出され
ることになる。条件Bは、かかる観点から、起動の繰り
返し数Cstが比較的低い場合、即ち、排出される水素量
が比較的少ないとみなせる場合にのみ、システムの起動
を許可するための条件である。
は、その操作が行われた期間に依存する。一定数の操作
であっても排出された水素が十分に拡散する程の長期間
に亘って行われた場合と、短期間に行われた場合とで
は、起動可否に対する判定は相違する。本実施例では、
かかる観点から、操作の最大許容回数Crefを経過時間Ts
tspのマップで設定している(ステップS36参照)。
経過時間Tstspが短い場合には、短期間に繰り返して操
作が行われていることを意味するから、最大許容回数Cr
efを低くして、繰り返し数に基づく起動の禁止を厳しく
する。経過時間Tstspが長い場合には、長期間に亘って
操作が行われていることを意味するから、最大許容回数
Crefを高くして、繰り返し数に基づく起動の禁止を緩和
する。最大許容回数Crefは、未暖機時にシステムから排
出される水素量、システムが使用されている環境等を考
慮して、経過時間Tstspごとに実験等によって適切な値
を選択すればよい。もちろん、最大許容回数Crefは、経
過時間Tstspに依存しない一定値を用いても構わない。
れた時間間隔を、直前の停止操作からの経過時間Tstsp
で代表させて最大許容回数Crefを設定している。繰り返
し操作の時間間隔は一定とは限らないことを考慮する
と、比較的長期間に亘る過去の履歴に基づいて最大許容
回数Crefを設定する態様を採ることも望ましい。例え
ば、停止操作から起動操作までの時間間隔を過去の一定
期間、または過去の一定回数だけサンプリングし、この
平均値、合計値等に基づいて最大許容回数Crefを設定す
る方法を採ることができる。一定期間は、予め設定され
た固定の期間としてもよいし、正常運転している状態の
システムが停止された時点を始期としてもよい。
テムによれば、起動操作が繰り返し行われた場合でも、
未処理のまま排出される水素量を抑制し、水素の濃度が
高まることを回避することができる。
図である。スイッチ操作、起動可否判定に用いられる変
数Cst,Crefおよび排出される水素量の時間変化を模式的
に示した。
2,t3,t4において、4回の起動操作が行われた場
合を考える。それぞれ停止操作から起動操作が行われる
までの経過時間は、Tstsp1、Tstsp2、Tstsp3とする。
数Crefの変化を示した。実線で示す通り、起動操作が行
われる度に、繰り返し数Cstは増加する。4回目の起動
操作の後、期間Tdrvが経過した時点で、正常運転に入っ
たと判断され、繰り返し数Cstはリセットされる。
Crefは、経過時間Tstsp1、Tstsp2、Tstsp3に応じて変動
する。1回目の起動時には、最大許容回数Crefは3に設
定され、2回目、3回目は経過時間Tstsp1、Tstsp2が短
いため、それに応じて最大許容回数Crefも低減する。4
回目の起動時には、経過時間Tstsp3が比較的長いため、
最大許容回数Crefは大きくなる。なお、図では、繰り返
し数Cstとの区別を容易にするため、最大許容回数Cref
を下側にずらして示したが、整数値に設定して構わな
い。また、最大許容回数Crefの設定は、説明の便宜上の
ものであり、これに限定されるものではない。繰り返し
数Cstが最大許容回数Crefよりも小さい場合に起動は許
可されるから、1回目および4回目の起動のみが許可さ
れることになる。
示した。1回目の起動によって排出水素量が徐々に増大
する。運転が停止されると、水素量は一定値となる。こ
の間に排出された水素は拡散する。2回目、3回目の起
動時には、システムの起動が禁止されるから、水素は排
出されない。その後、4回目の起動によって再び水素量
は増大する。触媒が暖機され、正常運転に入る頃、水素
は排出されなくなり、水素量は一定値となる。比較例と
してシステムの起動を無条件に許可した場合の水素量を
破線で示した。2回目、3回目の操作でも水素が排出さ
れるため、排出水素量は、非常に多くなる。図4は、排
出される水素の総量のみを示しており、拡散性は考慮さ
れていないが、比較例の起動制御によれば、多量の水素
が短期間に排出されることにより、水素濃度が高くなる
可能性が推測される。これに対し、本実施例の起動制御
によれば、水素の排出量を抑制するとともに、高濃度化
を抑制することができる。
起動可否判定処理ルーチンのフローチャートである。実
施例では、起動操作の過去の履歴、即ち操作の繰り返し
数、停止操作からの経過時間に基づいて起動可否を判定
する場合を例示した。変形例では、水素処理部15の温
度を考慮した判定例を示す。
ト23は、水素処理部15の温度Tempを検出する(ステ
ップS30)。温度Tempは、図1に示した温度センサ1
6によって検出される。そして、この温度Tempが所定の
基準温度Tstを上回っている場合には(ステップS3
1)、無条件でシステムの起動を許可する(ステップS
42)。基準温度Tstは、水素処理部15の暖機が完了
したか否かの判断基準となる温度である。温度Tempが基
準温度Tstを上回っている場合には、水素処理部15で
水素の処理が十分に行われ、未処理の水素が排出される
可能性が低いため、無条件で起動を許可しても差し支え
ないと判断するのである。
実施例と同様の処理により、起動の可否を判定する(ス
テップS32〜S42)。但し、最大許容回数Crefは、
経過時間Tstspの他、温度Tempを考慮して設定される
(ステップS36A)。つまり、図示する通り、変形例
のマップでは、温度Tempもパラメータに含まれる。Temp
1は温度Tempが比較的低い場合のマップであり、Temp2は
温度Tempが比較的高い場合のマップである。温度Tempが
高い程、水素処理部15での水素浄化能力は高いから、
未処理の水素が排出される可能性は低い。従って、温度
Tempが比較的高い場合には、最大許容回数Crefを大きく
設定することにより、システムの起動を禁止する条件を
緩和する。ここでは、Temp1,Temp2の2段階のマップを
例示したが、更に多段階のマップを用意してもよい。基
準温度に対する単一のマップを用意し、このマップから
得られる最大許容回数Crefを、温度Tempに応じて修正す
る態様を採るものとしてもよい。
部15の処理能力を考慮することができる。このため、
システムの起動を不必要に禁止することなく、排出され
る水素量を抑制することができる。
例では、過去の履歴として、操作の繰り返し数等を考慮
して起動可否を判定する場合を例示した。これに対し、
過去における起動時間も含めて起動可否を判定してもよ
い。水素の排出量は、システムが起動状態にある時間に
依存するからである。例えば、過去の一定時間のうち、
システムが起動状態にある時間が占める割合に基づいて
起動可否を判定する態様を採ることができる。この割合
が高い場合には、過去に排出された水素の量が多いと判
断できるため、起動を禁止する。
したが、本発明はこれらの実施例に限定されず、その趣
旨を逸脱しない範囲で種々の構成を採ることができるこ
とはいうまでもない。例えば、以上の制御処理はソフト
ウェアで実現する他、ハードウェア的に実現するものと
してもよい。
示す説明図である。
ある。
ローチャートである。
Claims (7)
- 【請求項1】 燃料電池の起動を制御する起動制御装置
であって、 該燃料電池の起動および停止に関する指令を入力する入
力部と、 該指令の過去の履歴を記憶する履歴記憶部と、 起動の指令に対し、前記履歴に基づいて所定の条件下で
前記燃料電池の起動を禁止する起動禁止部とを備える起
動制御装置。 - 【請求項2】 請求項1記載の起動制御装置であって、 前記履歴記憶部は、前記起動の指令の時間的密度に関す
るパラメータを記憶し、 前記起動禁止部は、該時間的密度が所定以上の場合に起
動を禁止する起動制御装置。 - 【請求項3】 請求項2記載の起動制御装置であって、 前記パラメータは、前記停止の指令の入力後、起動の指
令が入力されるまでの経過時間であり、 前記起動禁止部は、該経過時間が所定値以下の場合に起
動を禁止する起動制御装置。 - 【請求項4】 請求項2記載の起動制御装置であって、 前記パラメータは、所定の期間内における前記起動の指
令の繰り返し数であり、 前記起動禁止部は、該繰り返し数が所定値以上の場合に
起動を禁止する起動制御装置。 - 【請求項5】 請求項4記載の起動制御装置であって、 前記履歴記憶部には、更に、前記停止の指令の入力後、
起動の指令が入力されるまでの経過時間が記憶され、 前記所定値は、該経過時間が短い程、小さく設定される
起動制御装置。 - 【請求項6】 請求項1記載の起動制御装置であって、 前記燃料電池は、アノードオフガス中の水素を酸化処理
する酸化処理部を備えており、 前記所定の条件は、該酸化処理部の酸化処理能力に関与
する物理状態に応じて設定されている起動制御装置。 - 【請求項7】 燃料電池の起動を制御する起動制御方法
であって、 該燃料電池の起動および停止に関する指令を入力する工
程と、 該指令の過去の履歴を記憶する工程と、 起動の指令に対し、前記履歴に基づいて所定の条件下で
前記燃料電池システムの起動を禁止する工程とを備える
起動制御方法。
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