JP2002198004A - 回転陽極型x線管およびこれを用いた回転陽極型x線管装置 - Google Patents

回転陽極型x線管およびこれを用いた回転陽極型x線管装置

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JP2002198004A
JP2002198004A JP2000394910A JP2000394910A JP2002198004A JP 2002198004 A JP2002198004 A JP 2002198004A JP 2000394910 A JP2000394910 A JP 2000394910A JP 2000394910 A JP2000394910 A JP 2000394910A JP 2002198004 A JP2002198004 A JP 2002198004A
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Hideo Abu
秀郎 阿武
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 温度上昇時における陽極ターゲット上の焦点
位置の移動を少なくし、あるいは、X線管装置の高性能
化を可能とする回転陽極型X線管およびこれを用いた回
転陽極型X線管装置を提供すること。 【解決手段】 陽極ターゲット22と、回転体部分およ
び固定体部分を有し陽極ターゲット22を回転可能に支
持する回転機構26と、電子ビームを照射する陰極21
と、陽極ターゲット22などを収納する真空外囲器14
とを具備した回転陽極型X線管において、回転機構26
の固定体部分の一端および陰極21が陽極ターゲット2
2に対して同じ側で支持され、陽極ターゲット22に対
して固定体部分の一端と反対側に位置する固定体部分の
他端が支持されていない構造になっている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は回転陽極型X線管
およびこれを用いた回転陽極型X線管装置に関する。
【0002】
【従来の技術】回転陽極型X線管装置は、医療用あるい
は工業用の診断装置など各種の用途に使用されている。
回転陽極型X線管装置に組み込まれる回転陽極型X線管
は、高速で回転する陽極ターゲットに向って電子ビーム
を照射し、陽極ターゲットからX線を放射させる構造に
なっている。
【0003】ここで、従来の回転陽極型X線管装置につ
いて図6を参照して説明する。符号61は収容容器で、
その側壁部分にX線を出力する出力窓61aが設けら
れ、また、内部に回転陽極型X線管62が収納されてい
る。収容容器61と回転陽極型X線管62の隙間には、
回転陽極型X線管62が発生した熱を冷却するための絶
縁媒質たとえば絶縁油が満たされている。
【0004】回転陽極型X線管62は外側部分が真空外
囲器63で構成されている。真空外囲器63は径大部分
63aや径小部分63bなどから構成され、径大部分6
3aの側壁部分にX線を出力する出力窓63cが設けら
れている。
【0005】真空外囲器63内の径大部分63aに円盤
状陽極ターゲット64が配置され、陽極ターゲット64
と対向して陰極65が配置されている。陽極ターゲット
64はナット66により回転体67に固定され、陽極タ
ーゲット64上にターゲット層64aが環状に設けられ
ている。回転体67は下端がスラストリング69で封止
され、その内部に固定体68が嵌合されている。固定体
68は、下方部分68aがスラストリング69を貫通
し、真空外囲器63の外側まで伸び、保持部材70によ
って保持されている。
【0006】上記の回転体67および固定体68が対向
する部分に動圧式すべり軸受が形成されている。動圧式
すべり軸受は、軸受間隙を保って対向する少なくとも一
方の面にらせん溝を形成し、軸受間隙やらせん溝に液体
金属潤滑材を充填した構造になっている。
【0007】また、真空外囲器63の径小部分63bを
囲んで、回転磁界を発生するステータコイル71が配置
されている。
【0008】上記の構成において、回転陽極型X線管装
置が動作状態に入る場合、ステータコイル71に電流を
流して回転磁界を発生させる。回転磁界によって、回転
体67が回転し、回転体67の回転で陽極ターゲット6
4が回転する。この状態で、陰極65が放出した電子ビ
ームeをターゲット層64aに衝突させ、ターゲット層
64aからX線を放出させる。X線は、矢印Yで示すよ
うに、真空外囲器63の出力窓63c、および、収容容
器61の出力窓61aを通して外部に出力される。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】従来の回転陽極型X線
管装置は、回転陽極型X線管が動作状態に入ると、回転
体など陽極部分が熱膨張し陽極ターゲットと陰極との間
隔が狭くなる。その結果、電子ビームによって陽極ター
ゲット上に形成されるX線焦点が移動し、たとえば放射
口からみた場合、X線焦点は管軸方向などに移動する。
【0010】X線焦点が移動すると、CT装置のよう
に、異なるタイミングで撮った画像を用いて画像を補正
し、あるいは、画像どうしを合成する合成画像を構成す
る場合に不具合が生じる。
【0011】また、CT装置などでは、通常、X線管の
陰極および陽極の双方に高電圧を印加する、いわゆる中
性点接地が用いられる。この場合、X線管の陰極および
陽極が陽極ターゲットを挟んで反対側に位置している
と、陰極および陽極に高電圧を印加する2つの電圧供給
端子が、それぞれCT装置の前面側と後面側に接続され
る。このため、CT装置の裏面カバーを外すなど、装置
の裏面側にも作業スペースが必要となり、コンパクトな
設計が困難になる。
【0012】また、回転陽極型X線管などの場合、陰極
が放出した電子は、陰極と陽極ターゲット間の電位勾配
によって加速、集束され、たとえば120〜140ke
Vのエネルギーで陽極ターゲットに衝突し、X線発生源
となる焦点を形成する。このとき、高エネルギーの電子
が焦点に衝突して急速に減速し、ターゲット層からX線
が放出する。
【0013】陽極ターゲットに衝突する電子は、運動エ
ネルギーの1%程度のわずかな部分がX線に変換され、
残りは熱に変換される。そのため、陽極ターゲットが加
熱する。この熱は、X線管装置の高性能化、たとえば大
量のX線を放出させるために電子ビーム出力をより増加
させる場合、あるいは、X線をより頻繁に放出させる場
合、X線をより長時間にわたり連続的に放出させる場合
などに障害となる。
【0014】また、陽極ターゲットに衝突した電子は、
その約50%が後方に散乱する。後方に散乱した電子は
陽極ターゲットから遠ざかる。しかし、陰極と陽極間の
電位勾配によって陽極ターゲット側に加速され、そのほ
とんどが陽極ターゲットの焦点から離れた表面に再び衝
突する。
【0015】再衝突した後方散乱電子は陽極ターゲット
を加熱する。また、利用されないX線いわゆる焦点外X
線を放射させ、X線画像の明瞭度が損なわれる。このよ
うに後方散乱電子は、有効なX線の発生に寄与せず、ま
た、陽極ターゲットを加熱させるため、X線管装置を高
性能化する上で障害となっている。
【0016】この発明は、上記の欠点を解決し、温度上
昇時における陽極ターゲット上の焦点位置の移動を少な
くし、あるいは、X線管装置の高性能化を可能とする回
転陽極型X線管およびこれを用いた回転陽極型X線管装
置を提供することを目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】本発明は、陽極ターゲッ
トと、回転体部分および固定体部分を有し前記陽極ター
ゲットを回転可能に支持する回転機構と、前記陽極ター
ゲットに電子ビームを照射する陰極と、前記陽極ターゲ
ットおよび前記回転機構、前記陰極を収納する真空外囲
器とを具備した回転陽極型X線管において、前記回転機
構の固定体部分の一端および前記陰極が前記陽極ターゲ
ットに対して同じ側で支持され、前記陽極ターゲットに
対して前記固定体部分の一端と反対側に位置する前記固
定体部分の他端が支持されていないことを特徴としてい
る。
【0018】また、本発明は、陽極ターゲットと、回転
体部分および固定体部分を有し前記陽極ターゲットを回
転可能に支持する回転機構と、前記陽極ターゲットに電
子ビームを照射する陰極と、前記陽極ターゲットおよび
前記回転機構、前記陰極を収納する真空外囲器と、この
真空外囲器の外に設けられ、前記回転機構の回転体部分
を回転させるステータコイルとを具備した回転陽極型X
線管装置において、前記回転機構の固定体部分の一端お
よび前記陰極が前記陽極ターゲットに対して同じ側で支
持され、前記陽極ターゲットに対して前記固定体部分の
一端と反対側に位置する前記固定体部分の他端が支持さ
れず、かつ、前記ステータコイルは前記陽極ターゲット
を挟んで前記陰極と反対側に位置することを特徴として
いる。
【0019】
【発明の実施の形態】本発明の実施形態について図1を
参照して説明する。
【0020】符号10は収容容器で、図示の上方および
下方にそれぞれ第1開口10aおよび第2開口10bが
形成され、側壁部分にX線を出力する出力窓10cが設
けられている。また、収容容器10内に、内部を横断す
る形で隔壁11が設けられている。
【0021】隔壁11は、たとえば左右両側に第1およ
び第2の貫通孔11a、11bが形成され、中央の第3
貫通孔11cの部分に金属の固定部材12が配置されて
いる。固定部材12の中央は円錐状に高くなり、その中
心に透孔12aが設けられ、さらに内周部分に図示下方
に突出する突出部12bが形成されている。
【0022】収容容器10内に回転陽極型X線管13が
収納されている。回転陽極型X線管13は外側部分が真
空外囲器14で構成されている。真空外囲器14は、径
が大きい径大部分14aおよび径の小さい径小部分14
bなどほぼ筒状に形成され、径大部分14aの前方およ
び径小部分14bの後方は、たとえばほぼ平坦な前壁1
4cおよび後壁14dで封止されている。また、径大部
分14aの側壁部分にX線を出力する出力窓14eが設
けられている。
【0023】径大部分14aの前方を封止する前壁14
cの中央部に金属製の筒状陽極固定リング16が接合さ
れ、陽極固定リング16の内側に陽極絶縁リング17が
接合されている。陽極絶縁リング17の内側に筒状の陽
極金属リング18が接合されている。前壁14cの部分
に、陽極固定リング16と並んで金属製の陰極固定リン
グ19が接合され、陰極固定リング19の内側に陰極絶
縁リング20が接合されている。この陰極絶縁リング2
0に陰極21が支持固定されている。
【0024】真空外囲器14内の径大部分14aに陰極
21と対向して円盤状陽極ターゲット22が配置されて
いる。陽極ターゲット22はナット24によって回転シ
ャフト25に固定され、上面にターゲット層23が設け
られている。
【0025】回転シャフト25は回転機構26に結合さ
れている。回転機構26は回転体部分および固定体部分
などから構成され、たとえば回転シャフト25を介して
陽極ターゲット22を回転可能に支持している。回転体
部分は、たとえば回転シャフト25が直接接合した中間
円筒27、および、中間円筒27の内側に接合された内
側円筒28、中間円筒27の外側に接合された外側円筒
29の3層構造で構成されている。3層構造の中間円筒
27および内側円筒28、外側円筒29はそれぞれ相違
する材料で形成されている。
【0026】内側円筒28は図示下側を底部とする有底
円筒状で、その上端は陽極ターゲット22中央の空間部
分を通り、陽極ターゲット22よりも上方に伸び、上端
開口はスラストリング30で封止されている。
【0027】内側円筒28の内側に、図示下側を底部と
する有底円筒状の固定体31が嵌合されている。固定体
31の図示上方部分はスラストリング30を貫通して隔
壁11まで伸び、その先端は固定部材12の上方に突出
している。固定体31の中間部分には、外側に広がるフ
ランジ状部分31aが設けられ、フランジ状部分31a
の図示下面は内側円筒28の段部28aと対向し、図示
上面はスラストリング30と対向している。
【0028】固定体31の上方部分は筒状金属部材32
の内面に接合され、筒状金属部材32の外面は陽極金属
リング18に接合されている。金属部材32は内周部分
に環状の突出部31bが設けられ、この突出部31bが
固定体31の突出部31bと気密接合されている。ま
た、固定体31の突出部31bの内側に固定部材12の
突出部12bが嵌合し、その突出部12bが固定体31
の段部と突き当てで接触している。そして、固定部材1
2の外側から固定体31にナット33が嵌め込まれ締め
付けられ、固定体31が固定される。
【0029】上記した回転機構の回転体部分と固定体部
分との対向部分、たとえ固定体31の外周面と内側円筒
28の内周面との間にラジアル方向の動圧式すべり軸受
が形成されている。また、固定体31のフランジ状部分
31aの下面と内側円筒28の段部との間、および、フ
ランジ状部分31aの上面とスラストリング30との間
にスラスト方向の動圧式すべり軸受が形成されている。
動圧式すべり軸受は、たとえば対向する面の一方にらせ
ん溝を形成し、らせん溝や軸受間隙に液体金属潤滑材を
充填して構成される。
【0030】また、固定体31の内部空間にパイプ34
が挿入されている。パイプ34はナット33の空間部分
を貫通しており、パイプ34と第1開口10aを結んで
管35が設けられている。
【0031】このとき、収容容器10内には、矢印Y1
で示すように、回転陽極型X線管13が発生する熱を冷
却するための冷却媒質用の循環路が形成される。たとえ
ば、外部から管35に導入された冷却媒質たとえば絶縁
油は固定体31内部のパイプ34を往路として流れ、そ
の下端からパイプ34の外側を復路として上方に流れ、
パイプ34とナット33との隙間から隔壁11の上部空
間へと流れ、さらに隔壁11の貫通穴11a、11bか
ら回転陽極型X線管13に沿って流れ、第2開口10b
から導出する循環路である。
【0032】また、真空外囲器12の径小部分12bを
囲んで、回転磁界を発生するステータコイル36が配置
されている。ステータコイル36は、その鉄心部分36
aが収容容器10の突出部10dに支持され、収容容器
10に固定されている。
【0033】上記の構成は、陽極部分たとえば固定体3
1は、金属部材32および陽極金属リング18、陽極絶
縁リング17、陽極固定リング16を介して真空外囲器
14の前壁14cに支持固定されている。この場合、陽
極部分と真空外囲器14間は陽極絶縁リング17で絶縁
され、陰極電圧および陽極電圧にそれぞれ高電圧を印加
するいわゆる中性点接地構造となっている。
【0034】上記した構成において、回転陽極型X線管
装置が動作状態に入る場合、ステータコイル36に電流
を流して回転磁界を発生させる。回転磁界によって、回
転体機構の回転体部分が回転し陽極ターゲット22が回
転する。この状態で、陰極21が放出した電子ビームe
を陽極ターゲット22上のターゲット層23に衝突さ
せ、ターゲット層23からX線を放出させる。X線は、
矢印Y2で示したように、真空外囲器14および収容容
器10に設けられた出力窓14e、10cから外部に出
力される。このとき、陽極ターゲット22で発生した熱
は真空外囲器14を通して絶縁油に伝導され、絶縁油を
介して放散される。
【0035】上記した構成によれば、陽極部分たとえば
回転機構の固定体部分は、筒状金属部材32や陽極金属
リング18、陽極絶縁リング17などを介して真空外囲
器14の前壁14cに固定されている。陰極21も、陰
極絶縁リング20および陰極固定リング19を介して真
空外囲器14の前壁14cに固定されている。また、陽
極ターゲットに対して前壁14cに固定された固定体部
分の一端と反対側に位置する固定体部分の他端はどこに
も支持されず、浮いた構造になっている。
【0036】このように陽極部分および陰極はともに陽
極ターゲット22に対して同じ側、たとえば真空外囲器
14の前壁14cに固定されている。したがって、X線
管が動作状態に入り、回転機構26や陰極21などが熱
膨張しても、両者は同じ方向に伸びるためX線焦点の変
動が抑えられる。
【0037】次に、本発明の他の実施形態について図2
を参照して説明する。図2では、図1に対応する部分に
は同じ符号を付し、重複する説明を一部省略する。
【0038】この実施形態の場合、陽極固定リング16
の内側に陽極絶縁リング17が接合され、陽極絶縁リン
グ17に筒状金属部材32が直接接合され、その筒状金
属部材32の内面に固定体31の上方部分が接合されて
いる。
【0039】また、回転シャフト25が直接接合されて
いる中間円筒27が、陽極ターゲット22の下方部分か
ら上方部分まで、内側円筒28との間に間隙を保って回
転シャフト25の内側を突き抜け、その図示上端が内側
円筒28の外周面に接合されている。
【0040】次に、本発明の他の実施形態について図3
を参照して説明する。図3では、図1に対応する部分に
は同じ符号を付し、重複する説明を一部省略する。
【0041】この実施形態の場合、隔壁11の中央に配
置された固定部材12に管軸に対して傾斜する複数の穴
H1、H2が設けられている。また、隔壁11の図示下
面に、軸方向の筒状の壁40が複数の穴H1、H2の外
側に設けられている。
【0042】また、真空外囲器14の前壁14c部分の
中央に金属製のキャップ状陽極固定リング41が接合さ
れている。固定リング41は筒状部41aや中央開口の
縁に設けられた環状突出部41bなどから構成され、筒
状部41aの内側に筒状の陽極金属リング18が接合さ
れている。固定体31の一部に軸方向に突出する環状突
出部31cが形成され、この環状突出部31cの外周面
に固定リング41の環状突出部41bが接合されてい
る。
【0043】上記した構成の場合、矢印Y3で示すよう
に、絶縁油は収容容器10の下方に位置する第2開口1
0bから導入され、回転陽極型X線管13に沿って進
み、さらに複数の穴H1、H2を通って第1開口10a
から導出される。
【0044】次に、本発明の他の実施形態について図4
を参照して説明する。図4では、図1に対応する部分に
は同じ符号を付し、重複する説明を一部省略する。
【0045】この実施形態の場合、隔壁11およびその
中央に配置された固定部材12を貫通して管軸に平行に
複数の穴H3、H4が設けられている。隔壁11の図示
下面には、複数の穴H3、H4の外側に筒状の壁50が
軸方向に設けられている。この場合、矢印Y1で示すよ
うに、絶縁油は収容容器10の上方に位置する第1開口
10aから導入され、固定体31内部のパイプ34を通
り、さらに複数の穴H3、H4を通って筒状の壁50の
内側を進み、その後、さらに回転陽極型X線管13に沿
って進み、第2開口10bから導出される。
【0046】また、陰極と陽極ターゲットとの間に固定
ターゲット37が配置されている。固定ターゲット37
は、下面が陽極ターゲット22の上面に沿ってほぼ平行
に伸び、陽極ターゲット22の上方全体に広がる傘状部
分37a、および、固定体31を囲む円筒状部分37b
から構成されている。そして、陰極21とターゲット層
23を結ぶ領域、たとえば電子ビームeが進む領域の傘
状部分37aに貫通孔37cが設けられている。
【0047】また、固定体31の外周面の一部に、固定
体31と気密接合した金属製の筒状封止部材38が接合
され、固定ターゲット37の内周面はその一部が封止部
材38および固定体31の外面に接合されている。ま
た、固定ターゲット37の内周面と固定体31との間に
断熱間隙39を設け、固定体31への伝熱を抑制してい
る。
【0048】なお、上記の構成は、陽極部分と真空外囲
器14間は陽極絶縁リング17によって電気的に絶縁さ
れ、いわゆる中性点接地構造となっている。
【0049】上記した構成によれば、陽極部分たとえば
回転機構の固定体31および陰極21が、陽極ターゲッ
ト22に対して同じ側に位置する真空外囲器14の前壁
14cに支持固定されている。したがって、X線管が動
作状態に入り、回転機構26や陰極21などが熱膨張し
ても、両者は同じ方向に伸びるためX線焦点の変動が抑
えられる。
【0050】また、陰極21と陽極ターゲット22との
間に陽極と同じ電位の固定ターゲット37が配置されて
いる。したがって、陽極ターゲット22に衝突する電子
eのうち、後方に散乱される後方散乱電子の大部分は固
定ターゲット37で捕捉される。そのため、後方散乱電
子の陽極ターゲット22への再衝突による陽極ターゲッ
ト22の加熱が防止される。同時に、不要な焦点外X線
の放射がなくなり、X線画像の明瞭度の低下が防止され
る。
【0051】なお、後方散乱電子が固定ターゲット37
を衝撃して発生した熱は、熱伝導により固定ターゲット
37に蓄積され、固定ターゲット37の温度を上昇させ
る。しかし、この熱は、高温となった固定ターゲット3
7の熱輻射作用、および、より好ましくは併用される冷
却媒質への緩やかな熱伝達作用で放散される。たとえ
ば、固定ターゲットに蓄積された熱は、X線の照射が中
断される比較的長時間の期間に緩やかに放散される。
【0052】本発明のもう1つの他の実施形態について
図5を参照して説明する。図5では、図4に対応する部
分には同じ符号を付し、重複する説明を一部省略する。
【0053】この実施形態の場合、固定体31の外周面
に、固定体31と気密接合した筒状の金属封止部材38
が接合され、固定ターゲット37は、円筒状部分37b
の内周面が封止部材38および固定体31の外面に接合
されている。また、外周面は陽極固定リング16に直接
接合されている。なお、固定ターゲット37は、陽極固
定リング16と接合される部分よりも、封止部材38や
固定体31の外面と接合される部分の方が外径が小さく
形成されている。
【0054】上記の構成は、陽極部分たとえば回転機構
の固定体31が、固定ターゲット41および陽極固定リ
ング16を介して真空外囲器14の前壁14cに支持固
定され、同時に電気的にも接続され、いわゆる陽極接地
構造となっている。
【0055】上記した構成の場合も、陽極部分たとえば
回転機構の固定体31および陰極21が、陽極ターゲッ
ト22に対して同じ側に位置する真空外囲器14の前壁
14cに支持固定されている。したがって、X線管が動
作状態に入り、回転機構26や陰極21などが熱膨張し
ても、両者は同じ方向に伸びるためX線焦点の変動が抑
えられる。
【0056】また、陰極21と陽極ターゲット22との
間に陽極部分と同じ電位の固定ターゲット37が配置さ
れている。したがって、陽極ターゲット22に衝突する
電子eのうち後方に散乱される後方散乱電子の大部分は
固定ターゲット37で捕捉される。そのため、後方散乱
電子の陽極ターゲット22への再衝突による陽極ターゲ
ット22の加熱が防止される。さらに、不要な焦点外X
線の放射がなく、X線画像の明瞭度の低下が防止され
る。
【0057】
【発明の効果】本発明によれば、温度上昇時における陽
極ターゲット上の焦点位置の移動を少なくし、あるい
は、X線管装置の高性能化を可能とする回転陽極型X線
管およびこれを用いた回転陽極型X線管装置を実現でき
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態を説明するための概略の断面
図である。
【図2】本発明の他の実施形態を説明するための概略の
断面図である。
【図3】本発明の他の実施形態を説明するための概略の
断面図である。
【図4】本発明の他の実施形態を説明するための概略の
断面図である。
【図5】本発明の他の実施形態を説明するための概略の
断面図である。
【図6】従来例を説明するための概略の断面図である。
【符号の説明】
10…収容容器 11…隔壁 12…固定部材 13…回転陽極型X線管 14…真空外囲器 16…陽極固定リング 17…陽極絶縁リング 18…陽極金属リング 19…陰極固定リング 20…陰極絶縁リング 21…陰極 22…陽極ターゲット 23…ターゲット層 24…ナット 25…回転シャフト 26…回転機構 27…中間円筒 28…内側円筒 29…外側円筒 30…スラストリング 31…固定体 32…筒状金属部材 33…ナット 34…パイプ 35…管 36…ステータコイル

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 陽極ターゲットと、回転体部分および固
    定体部分を有し前記陽極ターゲットを回転可能に支持す
    る回転機構と、前記陽極ターゲットに電子ビームを照射
    する陰極と、前記陽極ターゲットおよび前記回転機構、
    前記陰極を収納する真空外囲器とを具備した回転陽極型
    X線管において、前記回転機構の固定体部分の一端およ
    び前記陰極が前記陽極ターゲットに対して同じ側で支持
    され、前記陽極ターゲットに対して前記固定体部分の一
    端と反対側に位置する前記固定体部分の他端が支持され
    ていないことを特徴とする回転陽極型X線管。
  2. 【請求項2】 回転機構の固定体部分の一端および陰極
    が真空外囲器の一部で支持され、前記固定体部分の他端
    が前記真空外囲器で支持されていない請求項1記載の回
    転陽極型X線管。
  3. 【請求項3】 陰極と陽極ターゲットとの間に固定ター
    ゲットを配置した請求項1記載の回転陽極型X線管。
  4. 【請求項4】 固定体の内部に冷却媒体の通路が形成さ
    れている請求項1記載の回転陽極型X線管。
  5. 【請求項5】 固定体の内部に筒状のパイプが挿入さ
    れ、前記パイプの内側に冷却媒体の往路が形成され、前
    記パイプの外側に冷却媒体の復路が形成されている請求
    項1記載の回転陽極型X線管。
  6. 【請求項6】 陽極ターゲットと、回転体部分および固
    定体部分を有し前記陽極ターゲットを回転可能に支持す
    る回転機構と、前記陽極ターゲットに電子ビームを照射
    する陰極と、前記陽極ターゲットおよび前記回転機構、
    前記陰極を収納する真空外囲器と、この真空外囲器の外
    に設けられ、前記回転機構の回転体部分を回転させるス
    テータコイルとを具備した回転陽極型X線管装置におい
    て、前記回転機構の固定体部分の一端および前記陰極が
    前記陽極ターゲットに対して同じ側で支持され、前記陽
    極ターゲットに対して前記固定体部分の一端と反対側に
    位置する前記固定体部分の他端が支持されず、かつ、前
    記ステータコイルは前記陽極ターゲットを挟んで前記陰
    極と反対側に位置することを特徴とする回転陽極型X線
    管装置。
  7. 【請求項7】 回転機構の固定体部分の一端および陰極
    が真空外囲器の一部で支持されている請求項6記載の回
    転陽極型X線管装置。
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