JP2002352757A - 回転陽極型x線管装置 - Google Patents

回転陽極型x線管装置

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JP2002352757A
JP2002352757A JP2001155245A JP2001155245A JP2002352757A JP 2002352757 A JP2002352757 A JP 2002352757A JP 2001155245 A JP2001155245 A JP 2001155245A JP 2001155245 A JP2001155245 A JP 2001155245A JP 2002352757 A JP2002352757 A JP 2002352757A
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ray tube
anode
electron trap
recoil
rotating
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Hideo Abu
秀郎 阿武
Susumu Saito
晋 斎藤
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Toshiba Corp
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Toshiba Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高出力に対応でき装置の大型化を防止できる
反跳電子トラップを有する回転陽極型X線管を備えた回
転陽極型X線管装置を提供すること。 【解決手段】 管容器11と、この管容器11内に収納
された回転陽極型X線管12とを具備し、回転陽極型X
線管12は、陽極ターゲット18が連結された内側回転
体21と、この内側回転体21などとともに陽極ターゲ
ット18を回転可能に支持する回転機構を構成する固定
体23と、陰極15と陽極ターゲット18との間に設け
られた反跳電子トラップ29とを有し、反跳電子トラッ
プ29は固定体23に連結され、かつ、中実に形成され
ている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は回転陽極型X線管
装置に関する。
【0002】
【従来の技術】回転陽極型X線管装置はX線の発生源と
して回転陽極型X線管を用いた装置で、回転陽極型X線
管は、高速で回転する円盤状陽極ターゲットに電子ビー
ムを照射し、陽極ターゲットからX線を放出させる構造
になっている。陽極ターゲットは回転機構によって回転
可能に支持され、回転機構は陽極ターゲットが連結され
た回転体および固定体などから構成されている。回転機
構を構成する回転体と固定体間には軸受が設けられてい
る。
【0003】回転機構の軸受には、ボールベアリングの
ようなころがり軸受、あるいは、軸受面にらせん溝を形
成するとともに、ガリウム(Ga)やガリウムーインジ
ウムー錫(Ga−In−Sn)合金などの液体金属潤滑
剤を軸受間隙に満たした動圧式すべり軸受などが用いら
れている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】回転陽極型X線管の場
合、陰極から放出された電子は、陰極と陽極ターゲット
間の電位勾配によって加速集束され、たとえば120〜
150keVのエネルギーを持って陽極ターゲット上に
X線発生源となる焦点を形成する。高いエネルギーを持
った電子が陽極ターゲット上の焦点に衝突すると、電子
は急速に減速し陽極ターゲットからX線が放出される。
【0005】陽極ターゲットに衝突する電子の運動エネ
ルギーは1%程度のわずかな部分がX線に変換される。
残りのエネルギーは熱に変換され、陽極ターゲットを加
熱させる。陽極ターゲットに対する加熱は、回転陽極型
X線管の高性能化を図るために、電子ビーム出力を大き
くしてX線の放出量を増加させる場合、あるいは、X線
を頻繁に放出させる場合、X線を長時間にわたって連続
的に放出させる場合などの障害になっている。
【0006】また、陽極ターゲットに衝突する電子の約
50%が後方に散乱する。後方に散乱した電子(以下、
反跳電子と記す)は、陽極ターゲットの表面から一度遠
ざかる。その後、陰極と陽極間の電位勾配によって陽極
ターゲット側に加速され、反跳電子のほとんどは焦点か
ら離れた陽極ターゲットの表面に再び衝突する。反跳電
子が陽極ターゲットに再衝突すると、陽極ターゲットは
加熱し、あるいは、利用されないX線(以下、焦点外X
線と記す)を放出しX線画像の明瞭度が損なわれる。
【0007】上記したように反跳電子は、陽極ターゲッ
トを加熱するだけで、利用可能なX線の発生に寄与せ
ず、X線管の高性能化を妨げる。
【0008】そこで、反跳電子を捕捉するシールド構造
体を陰極と陽極ターゲット間に配置し、反跳電子による
陽極ターゲットの加熱を減少させる方法がある(米国特
許第4309637号明細書および特表平11−510
955号公報参照)。
【0009】これらの方法の場合、シールド構造体は比
較的薄い金属壁で構成されている。また、シールド構造
体は反跳電子によって衝撃される面と反対側の壁面が冷
却媒体で冷却される構造になっている。そして、反跳電
子の衝撃で発生するシールド構造体の熱は、熱伝導によ
って冷却壁面に伝熱し、ただちに冷却媒体に熱交換され
る。
【0010】上記の方法は、シールド構造体に発生する
熱が冷却媒体による熱交換の能力を上回ると、金属壁の
温度が上昇する。この温度上昇が大きいと金属壁の表面
が溶融する。また、金属壁から真空管内に不所望のガス
を発生させ、耐電圧性能を低下させる。
【0011】そのため、シールド構造体を用いる方法
は、CT装置など高出力のX線撮影装置への適用が困難
になっている。たとえば連続72kWの出力をもつCT
装置に適用する場合、捕捉される反跳電子の割合が80
%と仮定すると、約29kWの熱を冷却媒体に直接伝達
する必要がある。しかし、現状のCT装置の場合、油冷
却装置の最大の冷却性能は10kWに満たないため、シ
ールド構造体の採用が困難になっている。
【0012】また、特開2000−200695号公報
には、反跳電子を捕捉するために、真空外囲器の外面の
一部に、X線透過窓接合用の穴を含んだ形状をもつ熱蓄
積アセンブリを設ける方法が示されている。この熱蓄積
アセンブリは、内部に熱交換チャンバを設け、熱交換チ
ャンバ内に冷却媒体を流して熱蓄積アセンブリを冷却す
る構造である。
【0013】熱蓄積アセンブリを用いる方法は、熱交換
チャンバ内に冷却媒体を流すための冷却媒体導入口をX
線放射窓の近傍に設ける必要があり、管容器とX線管と
の隙間がこれまで以上に広くなる。また、熱交換チャン
バ内に冷却媒体を流すための冷却媒体用通路を追加する
必要があり、管容器の外部に接続される冷却媒体用通路
たとえばホースの数がこれまでよりも多くなる。その結
果、X線管装置全体の構造が大きくなり、X線管装置を
搭載するX線撮影装置なども、X線管装置との干渉を避
ける必要から大型化する。
【0014】この発明は、上記した欠点を解決し、高出
力に対応でき装置の大型化を防止できる反跳電子トラッ
プを有する回転陽極型X線管を備えた回転陽極型X線管
装置を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】この発明は、管容器と、
この管容器内に収納された回転陽極型X線管とを具備
し、前記回転陽極型X線管は、X線出力窓が設けられた
真空外囲器と、この真空外囲器内に配置された陰極と、
この陰極が発生する電子ビームの照射でX線を放出する
陽極ターゲットと、この陽極ターゲットが連結された回
転体と、この回転体とともに前記陽極ターゲットを回転
可能に支持する回転機構を構成する固定体と、前記陰極
と前記陽極ターゲットとの間に設けられた反跳電子トラ
ップとを有する回転陽極型X線管装置において、前記反
跳電子トラップは前記固定体に連結され、かつ、中実に
形成されていることを特徴としている。
【0016】
【発明の実施の形態】本発明の実施形態について図1の
断面図を参照して説明する。符号11は管容器で、その
図示右側の側壁部分にX線を出力する出力窓11aが設
けられている。図示左側の側壁部分の上方に、冷却媒体
たとえば絶縁油を導出する第1開口部11bが設けら
れ、下方に絶縁油を導入する第2開口部11cが設けら
れている。
【0017】管容器11内に回転陽極型X線管12が収
納されている。回転陽極型X線管12は外側部分が真空
外囲器13で構成されている。真空外囲器13は、径が
大きい径大部分13aおよび径が小さい径小部分13b
などを有し、全体が筒状に形成されている。径大部分1
3aの前面はほぼ平坦な前壁13cで形成され、径小部
分13bの後面は封止リング13dで封止されている。
径大部分13aの側壁部分にX線を出力する出力窓14
が設けられている。
【0018】真空外囲器13の前壁13c部分に陰極1
5が固定されている。たとえば前壁13cに筒状の支持
リング16が固定され、この支持リング16上端の内側
に折り曲げられた折曲部16a内側の面に支持部材17
が固定され、この支持部材17に陰極15が固定されて
いる。陰極15に対向して円盤状陽極ターゲット18が
配置されている。
【0019】陽極ターゲット18は陰極15側の上面に
X線を放出するターゲット層19が形成されれ、ナット
20によって内側回転体21に固定されている。内側回
転体21は筒状でその外周面に筒状の外側回転体22が
接合されている。
【0020】外側回転体22は、上端部分の一部が内側
回転体21に接合され、その下方部分は内側回転体21
との間に隙間が設けられている。内側回転体21内部の
中心部分に軸方向に空間21aが設けられている。空間
21aは直径の大きい径大部分a1とそれよりも直径の
小さい径小部分a2からなり、径小部分a2に固定体2
3が嵌合している。空間21aの径小部分a2と径大部
分a1の境界に位置する開口部分は封止部材24で封止
され、内側回転体21の図示下端の開口部分はスラスト
リング25で封止されている。
【0021】固定体23は、内側回転体21および外側
回転体22などとともに陽極ターゲット18を回転可能
に支持する回転機構を構成し、その上端23aは封止部
材24を貫通し陽極ターゲット18を越えその上方まで
伸びている。下端23bはスラストリング25および封
止リング13dを貫通し真空外囲器13の外側まで伸び
ている。固定体23にはスラストリング25と隣接する
中間部分に外径が大きい径大部23cが形成されてい
る。径大部23cの図示上面は内側回転体21の段差面
と対向し、径大部23cの図示下面はスラストリング2
5と対向している。固定体23の中心部分に軸方向に穴
26が形成されている。穴26の上端は陽極ターゲット
18の少し上の位置で閉じられ、穴26の下端は固定体
23の図示下端面に開口している。固定体23の下端
は、中央が山形に突出する固定部材27の突出部27a
にたとえば突き当てで支持され、ナット10で締め付け
固定されている。
【0022】固定部材27の周辺部27bは平坦状に広
がり、周辺部27bの一部に絶縁油が通る冷却媒体用透
孔27cが設けられている。固定部材27は壺状の保持
部材28に固定され、保持部材28の外端は管容器11
に固定されている。
【0023】また、固定体23の上端に反跳電子トラッ
プ29がナット30によって固定され、固定体23およ
び反跳電子トラップ29間は、たとえば電気的、熱的あ
るいは機械的に連結している。反跳電子トラップ29は
所定幅の平板状に形成され、陰極15から陽極ターゲッ
ト18に向う電子ビームeの通路部分を越えてその先ま
で伸びている。反跳電子トラップ29は固定体23に固
定されている側の厚さの大きい厚板部29aおよびこの
厚板部28aから外側方向に連続する厚さの小さい薄板
部29bから構成されている。
【0024】厚板部29aの陽極ターゲット18側の面
には、陽極ターゲット18を固定するナット20を避け
それよりも外側の部分が陽極ターゲット18に接近する
向きに段差29dが設けられている。薄板部29bに
は、電子ビームeの通路となる電子ビーム用透孔29c
が設けられている。反跳電子トラップ29は、冷却媒体
を用いた冷却のための熱交換チャンバたとえば冷却路な
どが内部に設けられておらず、また、固定体23との固
定部分である固定体23が貫通する貫通孔の部分および
電子ビーム用透孔29cの部分を除いて、陰極15側に
位置する面と陽極ターゲット18側に位置する面との間
の厚さ部分が実質的に中実に形成されている。
【0025】固定体23の中心部分の穴26にパイプ3
1が配置されている。パイプ31の図示上方の一端は穴
26の底部の近くに開口し、パイプ31の図示下方の他
端は管32を介して第2開口部11cに接続されてい
る。このとき、矢印Y1で示すような冷却媒体用循環路
が形成される。たとえば第2開口部11cから導入され
た冷却媒体たとえば絶縁油は、管32を経てパイプ31
内を上昇し、パイプ31の外側を下降し、固定部材27
の透孔27cを経て、管容器11と真空外囲器13の隙
間を通り、第1開口部11bから導出される。この間、
絶縁油は真空外囲器13や固定体23などを冷却するま
た、内側回転体21と固定体23の対向部分、たとえば
内側回転体21の内周面と固定体23の外周面との間に
ラジアル方向の動圧式すべり軸受が形成されている。固
定体23の径大部23cの上面と内側回転体21の段差
面との間、および、径大部23cの下面とスラストリン
グ25との間にスラスト方向の動圧式すべり軸受が形成
されている。これら動圧式すべり軸受は、たとえば対向
する一方の面にらせん溝を形成し、らせん溝や軸受間隙
に液体金属潤滑材を充填して構成されている。また、真
空外囲器13の径小部分13bの外側に回転磁界を発生
するステータ33が配置されている。
【0026】上記した構成において、回転陽極型X線管
装置が動作状態に入る場合、ステータ33のコイルに電
流を流して回転磁界を発生させる。回転磁界によって、
内側回転体21および外側回転体22が回転し、これら
と一体に陽極ターゲット18が回転する。この状態で、
陰極15が放出した電子ビームeを陽極ターゲット18
上のターゲット層19に衝突させ、陽極ターゲット18
からX線を放出させる。X線は、矢印Y2で示すよう
に、真空外囲器13の出力窓14および管容器11の出
力窓11aを通して外部に出力される。
【0027】このとき、陽極ターゲット18から後方に
散乱する反跳電子は反跳電子トラップ29で捕捉され
る。反跳電子の捕捉で反跳電子トラップ29の温度が上
昇する。この熱はたとえば熱輻射で真空外囲器13に伝
わり真空外囲器13の外側を流れる絶縁油へと伝導し、
あるいは、固定体23内を循環する絶縁油へと伝導し放
散される。陽極ターゲット18で発生した熱も、反跳電
子トラップ29の熱と同様の方法で放散される。
【0028】上記したように、反跳電子トラップ29は
X線が照射される比較的短時間に高いパワーで加熱され
る。この熱は熱伝導によって反跳電子トラップ29全体
に伝わり蓄積され、反跳電子トラップ29は全体の温度
が上昇する。その後、反跳電子トラップ29の熱は、反
跳電子トラップ29の熱輻射作用や絶縁油への緩やかな
熱伝達作用により、X線照射が中断されている比較的長
時間の間に緩やかに放散される。
【0029】上記した構成によれば、反跳電子の大部分
は反跳電子トラップ29で捕捉される。そのため、反跳
電子の陽極ターゲット18への再衝突が少なくなり、陽
極ターゲット18の加熱が抑制される。また、焦点外X
線の放出も少なくなり、X線画像の明瞭度の低下が防止
される。また、反跳電子トラップ29の出力窓14側の
先端と陽極ターゲット18の外周部が管軸を中心とする
半径方向にほぼ同じ位置にあるため、真空外囲器13が
大きくなることもない。
【0030】また、管容器内や固定体内を流れる絶縁油
によって反跳電子トラップを冷却している。このような
構造は既存であるため、反跳電子トラップを冷却するた
めの流路を新たに設ける必要がなく、X線管装置が大型
化することもない。その結果、高出力に対応可能な反跳
電子トラップを有する回転陽極型X線管が得られ、ま
た、回転陽極型X線管装置の大型化が防止される。
【0031】次に、本発明の他の実施形態について図2
を参照して説明する。図2では、図1に対応する部分に
同じ符号を付し重複する説明を一部省略する。
【0032】この実施形態は、固定体23に固定された
側から遠い反跳電子トラップ29の先端に、たとえば陽
極ターゲット19側に向ってほぼ直角に折れ曲がる延長
部291が設けられている。延長部291は、たとえば
陽極ターゲット19と真空外囲器13たとえば出力窓1
4との間に位置し、X線の通路となるX線用透孔292
が設けられている。また、延長部291は、X線用透孔
292の部分を除いて、陽極ターゲット19側の面と出
力窓14側の面との間の厚さ部分が中実に形成されてい
る。
【0033】この構成によれば、所望の進行方向から横
方向にずれたX線は反跳電子トラップ29で遮蔽され
る。その結果、出力窓14への照射が防止され出力窓1
4の加熱が抑えられる。
【0034】次に、本発明の他の実施形態について図3
を参照して説明する。図3では、図1に対応する部分に
同じ符号を付し重複する説明を一部省略する。
【0035】この実施形態は、管容器11の前壁13c
に、管軸たとえば固定体23の延長方向に関し陰極15
から遠い側に第1開口部11bおよび第2開口部11c
が設けられている。また、固定体23の一方の端部たと
えば陰極15側の端部が真空外囲器13に固定されてい
る。
【0036】たとえば、真空外囲器13の前壁13c部
分の中央に筒状の第1固定部材41が気密接合され、第
1固定部材41の内側に筒状の支持リング42が固定さ
れている。支持リング42は上端に内側に折り曲げられ
た折曲部42aが設けられ、その折曲部42aの内側に
支持部材43が固定されている。支持部材43の内側に
筒状の第2固定部材44が気密接合され、第2固定部材
44に固定体23が接合されている。
【0037】固定体23には、図示上端面から図示下端
面まで貫通する透孔45が軸方向に形成され、固定体2
3の上端23aは第2固定部材44の内側に接合され、
下端23bは固定部材27に支持されている。固定体2
3に形成された透孔45の図示上端の開口部45aは第
2開口部11cと管46で連結され、図示下端の開口部
45bは管容器11内に開口している。このとき、矢印
Y1で示すように、第2開口部11cから管46、固定
体23の透孔45、固定部材27の媒体用透孔27c、
管容器11と真空外囲器13の隙間、第1開口部11b
をそれぞれ順に結ぶ冷却媒体用循環路が形成される。
【0038】この構成によれば、固定体23の透孔45
が直線状となっているため透孔45内を流れる絶縁油の
流速を早くでき冷却効率が向上する。
【0039】次に、本発明の他の実施形態について図4
を参照して説明する。図4では、図1ないし図3に対応
する部分に同じ符号を付し重複する説明を一部省略す
る。
【0040】この実施形態は、反跳電子トラップ29に
図2で説明した構造が用いられている。また、管容器1
1の第1開口部11bや第2開口部11c、固定体23
の陰極15側の支持構造に、図3の実施形態と同じ構造
が用いられている。
【0041】この構造によれば、所望の進行方向から横
方向にずれたX線の出力窓14への照射が防止され出力
窓14の加熱が抑制される。また、固定体23内の絶縁
油の流速を早くでき、冷却効率が向上する。
【0042】次に、本発明の他の実施形態について、反
跳電子トラップの部分を抜き出した図5を参照して説明
する。図5では、図1に対応する部分に同じ符号を付し
重複する説明を一部省略する。
【0043】この実施形態は、反跳電子トラップ29た
とえば厚板部29aの陰極15側の面に、複数の溝51
がたとえば管軸と同心に円弧状にその幅全体にわたって
形成されている。さらに、溝51の形成された陰極15
側の表面に、放熱効果を高めるための黒化被膜52が形
成されている。また、電子ビーム用透孔29cの近傍た
とえば陽極ターゲット側の電子ビーム用透孔29cを囲
んだ領域53a、および、電子ビーム用透孔29cの内
面53bに、サンドブラスト加工などによるフロスト状
の細かい凹凸が形成されている。この場合、電子ビーム
用透孔29cを囲んだ陽極ターゲット側の面および電子
ビーム用透孔29cの内面全体を凹凸に形成してもよ
く、電子ビーム用透孔29cの内面の一部だけを凹凸面
に形成してもよい。
【0044】この構成によれば、複数の溝51の形成で
反跳電子トラップ29の表面積が大きくなり、また、黒
化被膜52の形成で、反跳電子トラップ29の熱輻射効
率が向上する。また、フロスト状の凹凸面が設けられて
いるため、反跳電子トラップ29から陽極ターゲット1
9方向に反射する二次散乱電子が少なくなり、陽極ター
ゲット19の加熱が抑えられ、同時に、不要なX線の発
生が抑えられる。
【0045】上記の図1ないし図4の実施形態の場合、
陽極部分と真空外囲器間を電気的に絶縁し、真空外囲器
を接地し、陽極部分に正電圧を印加し陰極に負電圧を印
加するいわゆる中性点接地構造に設定できる。この場
合、反跳電子トラップには陽極部分と同じ大きさの正電
圧が印加される。この構成により、陽極ターゲットに衝
突する電子のうち、後方に散乱される後方散乱電子の大
部分は固定ターゲットで捕捉される。その結果、後方散
乱電子の陽極ターゲットへの再衝突による陽極ターゲッ
トの加熱が防止され、不要な焦点外X線の放射がなくな
り、X線画像の明瞭度の低下が防止される。
【0046】また、陽極部分と真空外囲器間を電気的に
接続し、陽極部分および真空外囲器を接地し陰極に負電
圧を印加するいわゆる陽極接地構造に設定することもで
きる。この場合、反跳電子トラップは陽極部分と同様に
接地される。この場合も、陽極ターゲットに衝突する電
子のうち、後方に散乱される後方散乱電子の大部分は固
定ターゲットで捕捉される。その結果、後方散乱電子の
陽極ターゲットへの再衝突による陽極ターゲットの加熱
が防止され、不要な焦点外X線の放射がなくなり、X線
画像の明瞭度の低下が防止される。
【0047】上記の各実施形態において、反跳電子トラ
ップの電子ビーム用透孔の内面および電子ビーム用透孔
の開口部に連続する両面、たとえば少なくとも電子ビー
ム用透孔の内面の一部を、耐熱性の高い材料たとえばニ
オブ、ニオブ合金、モリブデン、モリブデン合金、タン
タル、タンタル合金、タングステン、タングステン合
金、レニウム、レニウム合金の中の一つを主とする材料
で形成すれば、反跳電子の衝突による反跳電子トラップ
の溶融および反跳電子トラップからの有害なガス発生を
防止できる。また、反跳電子トラップの電子ビーム用透
孔の内面および電子ビーム用透孔周辺の表面、たとえば
少なくとも電子ビーム用透孔の内面の一部を原子番号が
45以下の材料で被覆すれば、反跳電子の衝撃で発生す
る2次散乱電子を低減できる。
【0048】また、反跳電子トラップの一部を銅または
銅合金で形成し、これら銅または銅合金の上に、鉄やニ
ッケルまたはこれらを主成分とする材料を直接または間
接的に接合した構造にすることもできる。この構成の場
合、反跳電子トラップの重量を大きくすることなく、鉄
やニッケルなどの蓄熱機能により反跳電子トラップの蓄
熱容量を増加できる。なお、鉄やニッケルなどの比熱が
大きく有効な蓄熱機能が得られるように、動作時の温度
はこれらの材料のキュリーポイントを100℃以上越え
ない範囲に設定される。
【0049】また、固定体の陰極側の端部を真空外囲器
の一部に固定する場合、真空外囲器との固定位置を管軸
に対して陰極から遠い側に設ければ、陰極に印加される
電圧に起因する放電などを防止できる。
【0050】
【発明の効果】本発明によれば、高出力に対応でき装置
の大型化を防止できる反跳電子トラップを有する回転陽
極型X線管を備えた回転陽極型X線管装置を実現でき
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態を説明するための概略の断面
図である。
【図2】本発明の他の実施形態を説明するための概略の
断面図である。
【図3】本発明の他の実施形態を説明するための概略の
断面図である。
【図4】本発明の他の実施形態を説明するための概略の
断面図である。
【図5】本発明の他の実施形態を説明するための図で、
反跳電子トラップの部分を抜き出して示した概略の断面
図である。
【符号の説明】
11…管容器 11b…第1開口部 11c…第2開口部 12…回転陽極型X線管 13…真空外囲器 15…陰極 18…陽極ターゲット 19…ターゲット層 21…内側回転体 22…外側回転体 25…スラストリング 29…反跳電子トラップ 29c…電子ビーム用透孔 e…電子ビーム

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 管容器と、この管容器内に収納された回
    転陽極型X線管とを具備し、前記回転陽極型X線管は、
    X線出力窓が設けられた真空外囲器と、この真空外囲器
    内に配置された陰極と、この陰極が発生する電子ビーム
    の照射でX線を放出する陽極ターゲットと、この陽極タ
    ーゲットと一体に回転する回転体と、この回転体ととも
    に前記陽極ターゲットを回転可能に支持する回転機構を
    構成する固定体と、前記陰極と前記陽極ターゲットとの
    間に設けられた反跳電子トラップとを有する回転陽極型
    X線管装置において、前記反跳電子トラップは前記固定
    体に連結され、かつ、中実に形成されていることを特徴
    とする回転陽極型X線管装置。
  2. 【請求項2】 反跳電子トラップに、陽極ターゲットと
    X線出力窓との間に位置する延長部が設けられ、前記延
    長部は一部にX線が通る透孔が設けられ、かつ、中実に
    形成されている請求項1記載の回転陽極型X線管装置。
  3. 【請求項3】 固定体の内部に冷却媒体が流れる冷却用
    通路が設けられている請求項1または請求項2記載の回
    転陽極型X線管装置。
  4. 【請求項4】 反跳電子トラップは、少なくとも一部が
    銅または銅合金の第1部材で形成され、この第1部材上
    に、鉄、ニッケル、またはこれらを主成分とする第2部
    材が直接または間接的に接合されている請求項1乃至請
    求項3のいずれか1つに記載の回転陽極型X線管装置。
  5. 【請求項5】 第2部材は、その温度がキュリーポイン
    トを100℃以上越えない範囲で使用される請求項4記
    載の回転陽極型X線管装置。
  6. 【請求項6】 反跳電子トラップに設けられた電子ビー
    ム用透孔内面の少なくとも一部表面は、ニオブおよびニ
    オブ合金、モリブデン、モリブデン合金、タンタル、タ
    ンタル合金、タングステン、タングステン合金、レニウ
    ム、レニウム合金の1つを含む材料で形成されている請
    求項1乃至請求項5のいずれか1つに記載の回転陽極型
    X線管装置。
  7. 【請求項7】 反跳電子トラップの陰極側に位置する表
    面の少なくとも一部に溝が形成されている請求項1乃至
    請求項6のいずれか1つに記載の回転陽極型X線管装
    置。
  8. 【請求項8】 反跳電子トラップの陰極側に位置する表
    面の少なくとも一部に黒化膜が形成されている請求項1
    乃至請求項7のいずれか1つに記載の回転陽極型X線管
    装置。
  9. 【請求項9】 反跳電子トラップに設けられた電子ビー
    ム用透孔内面の少なくとも一部表面に細かいフロスト状
    の凹凸が形成されている請求項1乃至請求項8のいずれ
    か1つに記載の回転陽極型X線管装置。
  10. 【請求項10】 反跳電子トラップに設けられた電子ビ
    ーム用透孔内面の少なくとも一部表面は原子番号が45
    以下の材料で被覆されている請求項1乃至請求項9のい
    ずれか1つに記載の回転陽極型X線管装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006281130A (ja) * 2005-04-01 2006-10-19 Omron Corp 紫外線照射装置
JP2007184277A (ja) * 2006-01-03 2007-07-19 Alcatel Lucent 高輝度x線ビームを備えるコンパクトな発生源

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