JP2010277822A - X線管装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】安定した導電性を得ることができるX線管装置を提供することを目的とする。
【解決手段】スリップリング20の外周を所定の隙間で保って囲み、カーボンブラシ21を挿入する開口部23aを有した案内リング23を備える。スリップリング20に動圧溝20aを設けることで、スリップリング20と案内リング23との間で、外囲器の絶縁油の液圧に対して動圧が動圧溝20aにより発生する。動圧溝20aは、スリップリング20と案内リング23との間に絶縁油の負圧が生じる構造であるので、カーボンブラシ21とスリップリング20との間の油膜切れを発生させ、結果として安定した導電性を得ることができる。
【選択図】図2

Description

この発明は、医用診断用のX線管装置に係り、特に、陽極が外囲器と一体となって回転する技術に関する。
従来のX線管装置としては、ボールベアリングを用いた回転陽極と、電子放出源としてフィラメントを用いた陰極と、外囲器とを備えた回転陽極型X線管装置がある。これに対し、陽極が外囲器と一体となって回転し、軸中心に設けられた陰極の電子源からの電子ビームを偏向コイルにより偏向させて、陽極のターゲットディスク上の所定位置に焦点を形成する外囲器回転型のX線管装置がある(例えば、特許文献1参照)。かかる回転陽極型や外囲器回転型のX線管装置では、陽極が回転するので、電子ビームがターゲットディスク上の同一位置に集中して衝突することがない。したがって、ターゲットディスク上の同一位置に集中して熱が発生することなく、同一位置に集中して発生した熱によるターゲットディスクの消耗を防止することができる。
また、回転する外囲器の外部にはハウジングが外囲器を取り囲むように配設されており、外囲器とハウジングとの間には冷却用の絶縁油が充填されている。外囲器が高速で回転することにより、陽極で発生した熱を絶縁油に効率的に伝達し、外囲器の回転によるポンプ作用で絶縁油を効率的に循環させることができる。
回転陽極型のX線管装置では、陽極を回転支持する軸受に導電性の潤滑剤を持つ固体潤滑剤軸受を使用しているので、陽極等への高電圧給電については軸受を介して電気を通すことが可能である。それに対して、外囲器回転型のX線管装置では、軸受が外囲器の外部にあるので、高電圧を絶縁するためにハウジング(管容器)内に充填されている絶縁油が必然的に軸受の潤滑剤となる。
なお、外囲器回転型のX線管装置において、陽極を回転させる回転軸を介して陽極等に高電圧を給電する方法として、カーボンブラシおよびスリップリングを用いた給電機構が有効である。具体的には、回転軸にスリップリングを設け、そのスリップリングにカーボンブラシを接触させる。高電圧をカーボンブラシに給電した状態で、回転軸とともにスリップリングが回転しても、スリップリングが回転しながらカーボンブラシに接触するので、外囲器が回転しても給電を行うことが可能である。
米国特許第7,025,502号明細書
しかしながら、外囲器回転型のX線管装置の場合には、次のような問題がある。
すなわち、絶縁油で上述のスリップリングを使用すると、回転軸の回転速度が上がるにつれて、カーボンブラシとスリップリングとの狭い隙間に粘性流体である絶縁油が押し込まれることにより、カーボンブラシとスリップリングとの間に油膜が形成される。この油膜形成により、カーボンブラシがスリップリングから浮き上がる現象が発生する。その結果、導電性が著しく低下して、回転軸への給電が不安定になったり、通電が困難になる。
この発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、安定した導電性を得ることができるX線管装置を提供することを目的とする。
この発明は、このような目的を達成するために、次のような構成をとる。
すなわち、この発明におけるX線管装置は、電子ビームを発生させる陰極と、その陰極からの電子ビームの衝突によりX線を発生させる陽極と、前記陰極および前記陽極を内部に収容する外囲器と、その外囲器とともに冷却用液体を内部に収容する容器とを備え、前記冷却用液体中で前記外囲器が回転することによって陽極が回転する構造の外囲器回転型のX線管装置であって、前記外囲器を回転させる回転軸に設けられたスリップリングと、そのスリップリングに接触可能に構成された導電性ブラシとを備えるとともに、前記スリップリングの外周を所定の隙間で保って囲み、前記導電性ブラシを挿入する開口部を有した案内リングを備え、前記スリップリングおよび前記案内リングの少なくとも一方に動圧溝を設け、前記動圧溝は、前記スリップリングと前記案内リングとの間に前記冷却用液体の負圧が生じる構造であることを特徴とするものである。
[作用・効果]この発明におけるX線管装置によれば、スリップリングの外周を所定の隙間で保って囲み、導電性ブラシを挿入する開口部を有した案内リングを備える。案内リングは、開口部に導電性ブラシを挿入することにより、スリップリングに対して導電性ブラシが接触可能になるように導電性ブラシを案内する機能を有する。スリップリングおよび案内リングの少なくとも一方に動圧溝を設けることで、スリップリングと案内リングとの間で、外囲器外の冷却用液体の液圧に対して動圧が動圧溝により発生する。動圧溝は、スリップリングと案内リングとの間に冷却用液体の負圧が生じる構造であるので、導電性ブラシとスリップリングとの間の冷却用液体切れを発生させ、結果として安定した導電性を得ることができる。
上述した発明において、溝による導電性ブラシの摩耗を防止するために、導電性ブラシとスリップリングとが接触する接触領域以外の領域に動圧溝を設けるのが好ましい。
負圧が生じる構造の一例は、回転軸をスリップリングとともに回転駆動させる回転駆動手段を備え、スリップリングに動圧溝を設け、開口部を基準としてスリップリングの少なくとも周方向に動圧溝は延びており、開口部を基準とした周方向とは逆方向に回転駆動手段は回転軸を回転駆動させることである。スリップリングに動圧溝を設け、開口部を基準としてスリップリングの少なくとも周方向に動圧溝を延ばすようにしたとき、開口部を基準とした周方向とは逆方向に回転駆動手段は回転軸を回転駆動させることで、開口部の冷却用液体も含めてスリップリングと案内リングとの間にある冷却用液体は、回転駆動による慣性力により、少なくとも周方向に延びた動圧溝に沿って開口部から離れる方向に押し出される。その結果、冷却用液体は案内リングの開口部から側面に排出され、開口部付近の冷却用液体が少なくなり、スリップリングと案内リングとの間に冷却用液体の負圧が生じる。
この発明に係るX線管装置によれば、スリップリングの外周を所定の隙間で保って囲み、導電性ブラシを挿入する開口部を有した案内リングを備え、スリップリングおよび案内リングの少なくとも一方に動圧溝を設けることで、スリップリングと案内リングとの間で、外囲器外の冷却用液体の液圧に対して動圧が動圧溝により発生する。動圧溝は、スリップリングと案内リングとの間に冷却用液体の負圧が生じる構造であるので、導電性ブラシとスリップリングとの間の冷却用液体切れを発生させ、結果として安定した導電性を得ることができる。
実施例に係るX線管装置の概略断面図である。 実施例に係るスリップリング、カーボンブラシおよび案内リングの概略図であり、(a)は概略斜視図、(b)は概略断面図である。 絶縁油の流体の流れを模式的に示したスリップリングでの断面図である。 変形例に係るスリップリング、カーボンブラシおよび案内リングの概略側面図である。
以下、図面を参照してこの発明の実施例を説明する。
図1は、実施例に係るX線管装置の概略断面図である。
図1に示すように、本実施例に係る外囲器回転型のX線管装置1は、真空排気された外囲器2を備えている。この外囲器2内に、高温に加熱され熱電子を放出するフィラメント3と、このフィラメント3を溝の中に取り付けた集束電極4とを収容し、この2つで陰極5を構成する。外囲器2は、この発明における外囲器に相当し、陰極5は、この発明における陰極に相当する。
陰極5と対向位置の外囲器2の端面には陽極6を配設している。陰極5および陽極6には、後述するスリップリング20およびカーボンブラシ21により陰極側回転軸7および陽極側回転軸8を介して、高電圧発生源22から高電圧を印加している。加熱されたフィラメント3から電子ビーム9を発生させる。電子ビーム9は高電圧が作る電界により陽極6に向けて加速する。電子ビーム9は、外囲器2外に設けられた偏向コイル10により偏向され、陽極6のターゲットディスク傾斜部11に衝突し、焦点12を形成し、X線13を発生させる。X線13は外囲器2の放射口14から放射される。回転軸7、8は、この発明における回転軸に相当し、陽極6は、この発明における陽極に相当する。
外囲器2を、ステンレス鋼などの金属で形成する。これにより、高速回転を行う上で、金属を削り加工にすることで1/100mm台の真円精度を出すことができる。また、回転体としての機械的強度を増すことができる。なお、X線13が放射される放射口14を、アルミニウム、チタンなどのX線透過性のよい金属で形成する。なお、外囲器2の陰極5側をセラミックなどの絶縁体で形成し、その部分で陰極5と陽極6とを絶縁する。フィラメント3は、電子源として線状のタングステンコイルやタングステン板等のフィラメントが用いられる。
外囲器2の陰極5側には回転軸7を挿入し、陽極6側にも回転軸8を装着している。陽極6側の回転軸8は回転駆動部15に電気絶縁カップリング16により連結されて回転し、これに伴い外囲器2も回転する。回転駆動部15はモータ等により形成される。回転駆動部15は、この発明における回転駆動手段に相当する。
外囲器2の外部には、外囲器2とともに冷却用の絶縁油17を内部に収容するハウジング18を配設している。また、ハウジング18と外囲器2との間には、外囲器2を取り囲む絶縁容器19を配設している。絶縁容器19は軸受19Aを介して(陰極5側の)回転軸7を保持するとともに、軸受19Bを介して(陽極6側の)回転軸8を保持している。なお、絶縁油17がハウジング18の外部に漏れ出ないようにオイルシール18Aをハウジング18に配設する。このようにオイルシール18Aや軸受19A,19Bを設けることで、ハウジング18や絶縁容器19は回転せずに外囲器2を回転保持することができる。絶縁油17は、この発明における冷却用液体に相当し、ハウジング18は、この発明における容器に相当する。
次に、スリップリング20およびカーボンブラシ21の周辺の具体的な構造について、図1〜図3を参照して説明する。図2は、スリップリング、カーボンブラシおよび案内リングの概略図であり、図2(a)は概略斜視図、図2(b)は概略断面図、図3は、絶縁油の流体の流れを模式的に示したスリップリングでの断面図である。図2、図3では、(陽極6側の)回転軸8に取り付けられたスリップリング20、カーボンブラシ21および案内リング23のみ図示し、(陰極5側の)回転軸7に取り付けられたスリップリング、カーボンブラシおよび案内リングについては図示を省略するとともに、その説明を省略するが、フィラメント電源24用のためにカーボンブラシ21が2つあるのを除けば、(陽極6側の)回転軸8に取り付けられたスリップリング20、カーボンブラシ21および案内リング23と同様の構成であることに留意されたい。
図1、図2に示すように、回転軸8を囲むようにスリップリング20を設けており、スリップリング20の周方向に接触可能に構成されたカーボンブラシ21を備えている。カーボンブラシ21は高電圧発生源22に電気的に接続されており、高電圧発生源22からカーボンブラシ21に給電した状態で、回転軸8とともにスリップリング20が回転しながらカーボンブラシ21に接触することで外囲器2が回転しても給電を行うことが可能である。また、フィラメント電源24は高電圧発生源22に電気的に接続されており、フィラメント電源24は、陰極5側にある2つのカーボンブラシ21のうちの一方に電気的に接続されている。なお、カーボンブラシ21はバネ等の弾性体で形成された支持機構(図示省略)を介して外囲器2によって支持されている。本実施例では導電性ブラシとしてカーボンブラシ21を例に採って説明しているが、カーボン以外の金属で導電性ブラシを形成してもよい。スリップリング20は、この発明におけるスリップリングに相当し、カーボンブラシ21は、この発明における導電性ブラシに相当する。
さらに、スリップリング20に対してカーボンブラシ21が接触可能になるようにカーボンブラシ21を案内する機能を有した案内リング23を備えている。案内リング23は、スリップリング20の外周を所定の隙間を保って囲み、カーボンブラシ21を挿入する開口部23aを有している。案内リング23は、この発明における案内リングに相当し、開口部23aは、この発明における開口部に相当する。
さらに、本実施例では、スリップリング20に動圧溝20aを設けている。溝によるカーボンブラシ21の摩耗を防止するために、図2(b)、図3に示すように、カーボンブラシ21とスリップリング20とが接触する接触領域20A以外の領域20Bに動圧溝20aを設けている。動圧溝20aは、この発明における動圧溝に相当する。
本実施例では、動圧溝20aは、いわゆる「にしんの骨」の形状となっており、このような形状を有した軸受のことを、一般的に「ヘリングボーン(herring bone)軸受」とも呼んでいる。通常、ヘリングボーン軸受によって発生する動圧が正圧であるのに対し、本実施例では、油膜の圧力を負圧にするためにヘリングボーン軸受が使用されていることが大きな特徴である。
より具体的に説明すると、図2(b)、図3に示すように、回転軸8やスリップリング20や案内リング23の周方向をAx1とするとともに、回転軸8やスリップリング20や案内リング23の軸方向をAx2とする。また、各方向については正負で区別し、矢印が向いている方向を正(プラス)とするとともに、逆方向を負(マイナス)とする。
開口部23aを基準として、スリップリング20の図中の右半分の動圧溝20aは、周方向Ax1(すなわち+Ax1)に延びているとともに、軸方向Ax2(すなわち+Ax2)にも延びている。一方、開口部23aを基準として、スリップリング20の図中の左半分の動圧溝20aは、周方向Ax1(すなわち+Ax1)に延びているとともに、軸方向Ax2とは逆方向(すなわち−Ax2)にも延びている。したがって、動圧溝20aは、図中の右半分・左半分に関係なく、開口部23aを基準としてスリップリング20の少なくとも周方向Ax1(すなわち+Ax1)に延びている。
このように動圧溝20aが形成されている場合において、図2(b)、図3に示すように、開口部23aを基準とした周方向Ax1とは逆方向(すなわち−Ax1)に回転駆動部15(図1を参照)は回転軸8を回転駆動させる。ここで、図3に示すように、絶縁油17の粒子を円形で図示する。
図3(a)に示すように、開口部23aの絶縁油17も含めてスリップリング20と案内リング23との間にある絶縁油17は、回転駆動による慣性力により、図3(b)、図3(c)と時間が経過すると、少なくとも周方向Ax1(すなわち+Ax1)に延びた動圧溝20aに沿って開口部23aから離れる方向に押し出される。その結果、絶縁油17は案内リング23の開口部23aから側面に排出され、開口部23a付近の絶縁油17が少なくなり、スリップリング20と案内リング23との間に絶縁油17の負圧が生じる。このように負圧にすることで、カーボンブラシ21とスリップリング20との間の油膜切れを発生させ、結果として、回転軸8への給電が安定する、導電が容易になるなど安定した導電性を得ることができる。(陽極6側の)回転軸8に設けられたスリップリング20、カーボンブラシ21および案内リング23の作用・効果のみ説明したが、(陰極5側の)回転軸7に設けられたスリップリング、カーボンブラシおよび案内リングについても回転軸8に設けられたスリップリング20、カーボンブラシ21および案内リング23と同様の作用・効果を奏する。
本実施例に係るX線管装置1によれば、スリップリング20の外周を所定の隙間で保って囲み、導電性ブラシ(本実施例ではカーボンブラシ21)を挿入する開口部23aを有した案内リング23を備える。案内リング23は、開口部23aにカーボンブラシ21を挿入することにより、スリップリング20に対してカーボンブラシ21が接触可能になるようにカーボンブラシ21を案内する機能を有する。スリップリング20および案内リング23の少なくとも一方に動圧溝(本実施例ではスリップリング20に動圧溝20a)を設けることで、スリップリング20と案内リング23との間で、外囲器2の冷却用液体(本実施例では絶縁油17)の液圧に対して動圧が動圧溝20aにより発生する。動圧溝20aは、スリップリング20と案内リング23との間に冷却用液体(絶縁油17)の負圧が生じる構造であるので、カーボンブラシ21とスリップリング20との間の冷却用液体切れ(本実施例では油膜切れ)を発生させ、結果として安定した導電性を得ることができる。本実施例では、好ましくは、溝によるカーボンブラシ21の摩耗を防止するために、カーボンブラシ21とスリップリング20とが接触する接触領域20A以外の領域20Bに動圧溝20aを設けている。
この発明は、上記実施形態に限られることはなく、下記のように変形実施することができる。
(1)非破壊検査機器などの工業用装置やX線診断装置などの医用装置にも適用することができる。
(2)上述した実施例では、陰極4としてタングステンコイル等のフィラメントのように熱電子放出型を例に採って説明したが、電界によるトンネル効果によって電子ビームを放出させる電界放出型にも適用することができる。
(3)上述した実施例では、冷却用液体として絶縁油17を例に採って説明したが、絶縁油17以外の冷却用液体にも適用することができる。
(4)上述した実施例では、陽極6側の回転軸8は回転駆動部15に連結されて回転したが、陰極5側の回転軸7を回転駆動部に連結して、回転駆動部により回転軸7を回転駆動させてもよい。
(5)上述した実施例では、溝によるカーボンブラシ21の摩耗を防止するために、カーボンブラシ21とスリップリング20とが接触する接触領域20A以外の領域20Bに動圧溝20aを設けたが、摩耗が少ない、摩耗を考慮しない、あるいは摩耗による摩耗粉を集塵する機構を備える場合には、接触領域20Aにも動圧溝20aを設けてもよい。後述する変形例(6)のように、案内リング23に動圧溝を設ける場合においても、実施例のように接触領域以外の領域のみに動圧溝を設けてもよいし、この変形例(6)のように接触領域にも動圧溝を設けてもよい。
(6)上述した実施例では、スリップリング20に動圧溝20aを設けたが、スリップリング20および案内リング23の少なくとも一方に動圧溝を設けるのであれば、案内リング23のみに動圧溝を設けてもよいし、スリップリング20および案内リング23の両方に動圧溝をそれぞれ設けてもよい。案内リング23に動圧溝を設ける一例として、下記変形例(7)において図4を参照して説明する。
(7)上述した実施例と同様に、動圧溝23bは冷却用液体(ここでは絶縁油)の負圧が生じる構造であって、案内リング23の内壁面に設けられている。動圧溝23bは、開口部23aを基準として案内リング23の少なくとも周方向Ax1とは逆方向(すなわち−Ax1)に延びている。開口部23aを基準とした周方向Ax1とは逆方向(すなわち−Ax1)に回転軸8を回転駆動させると、絶縁油は粘性があるので、回転駆動に引っ張られて少なくとも周方向Ax1とは逆方向(すなわち−Ax1)に延びた動圧溝23bに沿って開口部23aから離れる方向に押し出される。その結果、絶縁油は案内リング23の開口部23aから側面に排出され、開口部23a付近の絶縁油が少なくなり、スリップリング20と案内リング23との間に絶縁油の負圧が生じる。
2 … 外囲器
5 … 陰極
7、8 … 回転軸
6 … 陽極
15 … 回転駆動部
17 … 絶縁油
18 … ハウジング
20 … スリップリング
20a … 動圧溝
21 … カーボンブラシ
23 … 案内リング
23a … 開口部
Ax1 … 周方向

Claims (3)

  1. 電子ビームを発生させる陰極と、その陰極からの電子ビームの衝突によりX線を発生させる陽極と、前記陰極および前記陽極を内部に収容する外囲器と、その外囲器とともに冷却用液体を内部に収容する容器とを備え、前記冷却用液体中で前記外囲器が回転することによって陽極が回転する構造の外囲器回転型のX線管装置であって、前記外囲器を回転させる回転軸に設けられたスリップリングと、そのスリップリングに接触可能に構成された導電性ブラシとを備えるとともに、前記スリップリングの外周を所定の隙間で保って囲み、前記導電性ブラシを挿入する開口部を有した案内リングを備え、前記スリップリングおよび前記案内リングの少なくとも一方に動圧溝を設け、前記動圧溝は、前記スリップリングと前記案内リングとの間に前記冷却用液体の負圧が生じる構造であることを特徴とするX線管装置。
  2. 請求項1に記載のX線管装置において、前記導電性ブラシと前記スリップリングとが接触する接触領域以外の領域に前記動圧溝を設けることを特徴とするX線管装置。
  3. 請求項1または請求項2に記載のX線管装置において、前記回転軸を前記スリップリングとともに回転駆動させる回転駆動手段を備え、前記スリップリングに前記動圧溝を設け、前記開口部を基準として前記スリップリングの少なくとも周方向に前記動圧溝は延びており、開口部を基準とした前記周方向とは逆方向に前記回転駆動手段は回転軸を回転駆動させることを特徴とするX線管装置。
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