JP2002197633A - 磁気記録媒体 - Google Patents

磁気記録媒体

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JP2002197633A
JP2002197633A JP2000391354A JP2000391354A JP2002197633A JP 2002197633 A JP2002197633 A JP 2002197633A JP 2000391354 A JP2000391354 A JP 2000391354A JP 2000391354 A JP2000391354 A JP 2000391354A JP 2002197633 A JP2002197633 A JP 2002197633A
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magnetic
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magnetic layer
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JP2000391354A
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English (en)
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Hitoshi Wakao
仁志 若生
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Sony Corp
Original Assignee
Sony Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】磁気テープの保磁力を高め、媒体ノイズの低減
化を図り、C/N特性の向上を図る。 【解決手段】磁性層2を磁性結晶粒2bが非磁性相2a
によって分離されたグラニュラー構造とし、磁性層を構
成する磁性結晶粒2bをCoおよびCo系合金とし、非
磁性相2aが金属酸化物によって構成されて成るものと
し、非磁性相2aの金属酸化物を構成する金属の室温に
おける酸化反応での自由エネルギー変化量が、Coの酸
化反応での自由エネルギー変化量よりも大きいものとす
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、特にMRヘッドお
よびGMRヘッドに対応した高密度記録の磁気記録媒体
に係わる。
【0002】
【従来の技術】従来より、テープ状の磁気記録媒体とし
ては、例えばポリエチレンテレフタレートフィルムより
なる非磁性支持体上に、酸化物磁性粉末あるいは合金磁
性粉末等の磁性材料を、塩化ビニル−酢酸ビニル重合
体、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂等の有機結合
剤中に分散させた磁性塗料を塗布、乾燥させて作製され
る、いわゆる塗布型の磁気記録媒体が広く知られてい
る。
【0003】これに対して、高密度記録化への要求か
ら、金属あるいはCo−Ni系合金、Co−Cr系合
金、CoO等の強磁性材料を、メッキや真空薄膜形成技
術(真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティ
ング法等)によって、ポリエステルフィルム、ポリアミ
ドフィルム、ポリイミドフィルム等の各種の非磁性支持
体上に直接被着せしめて強磁性金属薄膜よりなる磁性層
を有する、いわゆる金属薄膜型の磁気記録媒体が実用化
されている。
【0004】このような磁気記録媒体は、保磁力、残留
磁化、角形比等に優れ、短波長での電磁変換特性に優れ
るばかりでなく、磁性層の厚さをきわめて薄く形成でき
るため、記録減磁や再生時の厚み損失が小さいこと、磁
性層中に非磁性材である結合剤を混入する必要がないた
め、磁性材料の充填密度を高め、大きな磁化が得られる
ことができる等、数々の利点を有している。
【0005】さらに、この種の磁気記録媒体の電磁変換
特性を向上させ、より大きな出力を得ることができるよ
うにするため、磁気記録媒体の磁性層を形成するに際
し、磁性層を斜めに蒸着する、いわゆる斜方蒸着が提案
され、高画質VTR用、デジタルVTR用の磁気テープ
として実用化されている。
【0006】上述のような利点を有する磁気記録媒体で
あるが、近年のコンピュータの発達に伴い、さらなる大
容量の記録媒体が要求されている。特に、ハードディス
クの内容を磁気テープに記録し、保存するテープストリ
ーマーは、ハードディスクの大容量化に対応して記録容
量を増加させる必要がある。
【0007】上記ハードディスクにおいては、高密度記
録化、小型化、大容量化に対応して、磁気ヘッドについ
て従来の誘導型ヘッドに代わり、磁気抵抗効果型磁気ヘ
ッド(MRヘッド)や、巨大磁気抵抗効果型磁気ヘッド
(GMRヘッド)が適用されるようになってきており、
対応する磁気記録媒体の高密度記録化、低ノイズ特性が
さらに要求されるようになってきている。
【0008】このような磁気記録媒体は、磁性層として
は、CoNiPt,CoNiCrPt,CoCrPt等
のCoPt系合金と、Cr下地との組み合わせによって
高い磁気特性を発揮するCoNiCr、CoCrTa等
のCoCr系合金を用いたものがある。
【0009】磁気テープにおいても、従来のインダクテ
ィブヘッドから、MRヘッドあるいはGMRヘッドに対
応して更なる高密度化の要求が高まってきており、斜め
蒸着により磁性層を形成した磁気テープと、MRヘッド
を組み合わせることにより、1〔Gbit/in2 〕の
記録密度が実現可能になっている。さらに、高感度のG
MRヘッドを再生用磁気ヘッドに適用することによっ
て、さらなる記録密度の向上を図ることができる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
たMRヘッドやGMRヘッド等の特性上重要なこととし
て、ヘッド自体に起因するノイズが従来のインダクティ
ブヘッドに比べ著しく低く、磁気テープの磁性層に起因
するいわゆる媒体ノイズを低減させなければ、高感度の
磁気ヘッドのもつ優れた高密度記録特性を発揮させるこ
とができない。
【0011】上述した点に鑑み、磁気テープの媒体ノイ
ズの低減化を図るため、磁性層の下地層として酸化層を
形成したりしている。
【0012】また、ハードディスクに適用されている磁
性層の組成を磁気テープに応用することも検討されてい
るが、ハードディスクは、作製工程中に熱処理工程を有
するため、一般的に熱可塑性の高分子フィルムを非磁性
支持体とする磁気テープは、高温の熱処理工程に不適当
である。
【0013】そこで、本発明者は鋭意研究の結果、MR
ヘッドやGMRヘッド等の高感度磁気ヘッドに適用する
磁気記録媒体において、工程中に熱処理工程を経ること
なく磁性層の形成を可能とし、高い保磁力を有し媒体ノ
イズの低減化を図った磁気テープ媒体を提案した。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明の磁気記録媒体
は、長尺状の非磁性支持体の一主面に、真空薄膜形成技
術により形成した磁性層を有し、MRヘッドあるいはG
MRヘッドを用いる記録再生システムに対応するもので
ある。磁性層は、磁性結晶粒が非磁性相によって分離さ
れたグラニュラー構造を有し、磁性結晶粒がCoおよび
Co系合金であり、非磁性相が、少なくとも金属酸化物
によって構成されて成るものとする。
【0015】本発明によれば、テープ形状の磁気記録媒
体を構成する磁性層を、磁性結晶粒が非磁性相によって
分離されてなるいわゆるグラニュラー構造に特定したこ
とによって、保磁力の向上および媒体ノイズの低減化が
図られる。
【0016】また、磁性層を構成する磁性結晶粒および
非磁性相を材料的に選定することによって、グラニュラ
ー構造を形成するための熱処理工程を経ることを必要と
せず、グラニュラー構造を有する磁性層を磁気テープの
磁性層として適用することができ、磁気テープにおいて
飛躍的な保磁力の向上およびC/N特性の向上が図られ
る。
【0017】
【発明の実施の形態】本発明の磁気記録媒体は、長尺状
の非磁性支持体の一主面に、真空薄膜形成技術により形
成した磁性層を有し、MRヘッドあるいはGMRヘッド
を用いる記録再生システムに対応するものである。磁性
層は、磁性結晶粒が非磁性相によって分離されたグラニ
ュラー構造を有し、磁性結晶粒がCoおよびその合金で
あり、非磁性相が、少なくとも金属酸化物によって構成
されて成るものとする。
【0018】図1に本発明の磁気記録媒体の概略断面図
を示す。磁気記録媒体100は、長尺形状の非磁性支持
体1の一主面に、グラニュラー構造の磁性層2を有し、
磁性層2上に保護層3が順次形成された構成を有する。
以下、詳細に説明する。
【0019】非磁性支持体1には、通常、磁気テープの
基体として用いられている公知の材料をいずれも適用す
ることができる。例えば、ポリエチレンテレフタレー
ト、ポリエチレンナフタレート、ポリイミド、ポリアミ
ド、ポリエーテルイミド等が挙げられる。
【0020】非磁性支持体1の表面性は、非磁性支持体
1上に、真空薄膜形成技術により磁性層2を形成した場
合に磁性層2の表面性に影響を与え、最終的に得られる
磁気記録媒体100のC/Nや走行耐久性に影響を与え
るので、フィラーを分散させた塗料を塗布して微細な凹
凸を付加し、走行安定性、耐久性の向上を図ることが望
ましい。
【0021】また、非磁性支持体1と後述する磁性層2
との間には、付着力の向上および保磁力の向上を図るた
めにCr等の下地層を形成することが好ましい。
【0022】磁性層2は、例えば、SiO2 、Al2
3 、ZrO2 等の金属酸化物よりなる非磁性相2aを母
材として、内部にCo、およびCo系合金よりなる磁性
結晶粒2bが含有されて成り、磁性結晶粒2bが非磁性
相2aに微細に分散した、いわゆるグラニュラー構造を
有する。
【0023】磁性結晶粒2bを微細に分散させ、かつ非
磁性相2aと明瞭な境界をもって分離させるためには、
磁性結晶粒2bの主成分であるCoと混ざり合わないよ
うにすることが必要である。ハードディスクにおいて
は、非磁性相としてCやAg等が用いられ、磁性結晶粒
と非磁性相との明確な分離を図るために熱処理を行うこ
とが必要とされている。
【0024】これに対し、本発明の磁気記録媒体100
においては、非磁性相2aとして、所定の金属酸化物を
用い、この場合には、酸素との親和力により、媒体に加
熱処理を施さなくても、相分離を実現した。
【0025】このとき、非磁性相2aの金属酸化物を構
成する金属元素は、磁性結晶粒2bのCoよりも酸素に
対して親和性が高いこと、すなわち、成膜時の支持体温
度において酸化反応の自由エネルギー変化量が、Coの
酸化反応の自由エネルギー変化量よりも大きいことが必
要である(自由エネルギー変化については、(社)日本
金属学会編、冶金物理化学を参照。)。
【0026】磁性層2を構成する磁性結晶粒2bのCo
系合金としては、Co−Pt,Co−Nd,Co−S
m,Co−Gd,Co−Tb,Do−Dy,Co−H
o,Co−Er,Co−La,Co−Y,Co−Ce,
Co−Pr,Co−Th,Co−Fe等が挙げられる。
【0027】また、非磁性相2aとなる金属酸化物とし
ては、Ca,Mg,Li,Al,Ti,Si,Mn,C
r,Na,Zn,K,Zrの酸化物が挙げられる。
【0028】上述した磁性層2は、アルゴンを主成分と
する雰囲気中で放電を起こし、アルゴンイオンでターゲ
ット表面の原子を叩き出すスパッタ法によって形成する
ことができる。
【0029】図2に、磁性層2の成膜を行うマグネトロ
ンRFスパッタ装置400の概略構成図を示す。このマ
グネトロンスパッタ装置400においては、真空ポンプ
432によって、略真空状態となされたチャンバー43
1内に、供給ロール439と、巻き取りロール440と
が設けられ、これら供給ロール439と巻き取りロール
440に、非磁性支持体1が順次走行するようになされ
ている。これら供給ロール439から巻き取りロール4
40に非磁性支持体1が走行する途中には、円筒状の回
転可能な対向電極用キャン435が設けられている。
【0030】なお、供給ロール439と対向電極用キャ
ン435との間、および対向電極用キャン435と巻き
取りロール440との間には、それぞれガイドロール4
41が配置され、非磁性支持体1に所定のテンションを
かけ、非磁性支持体1が円滑に走行するようになされて
いる。
【0031】また、対向電極用キャン435と対向する
位置には、ターゲット436が設けられている。ターゲ
ット436は、磁性層2の形成材料となるものである。
このとき、ターゲット436は、金属磁性材料部436
aと非磁性材料部436bとで構成されており、例えば
CoPt合金よりなる金属磁性材料部436a上に、例
えばSiO2 のチップよりなる非磁性材料部436b
が、均一に配置されている。このとき、金属磁性材料部
436a上における非磁性材料部436bの面積比率
は、例えば5〔%〕程度となるようにする。
【0032】なお、ターゲットは、目的とする磁性層2
の組成によって適宜材料および使用量の変更が可能であ
る。すなわち、例えば金属磁性材料部436aとしてC
o金属を用いて、この上にPt等の磁性層の磁気特性を
高めるための金属のチップおよび非磁性材料部436b
のチップを配置することもできる。
【0033】ターゲット436は、カソード電極を構成
するバッキングプレート437に支持されている。バッ
キングプレート437の裏面には、磁場を形成するマグ
ネット438が配設されている。
【0034】このマグネトロンRFスパッタ装置400
において、磁性層2を形成する場合には、チャンバー4
31内を真空ポンプ432によって、例えば約10
-4〔Pa〕程度に減圧した後、真空ポンプ432側に排
気するバルブ433を調節して排気速度を制御する。一
方においてガス導入管434からArガスを導入して真
空度を例えば1.0〔Pa〕とする。
【0035】そして、ガス導入管434からArガスを
導入するとともに、対向電極用キャン435をアノー
ド、バッキングプレート437をカソードとして、これ
らの間に周波数が13.56〔MHz〕の高周波電源を
用いて、約2〔kW〕の電力を投入する。この際、電力
を効率良く利用するために、入力端子部分のマッチング
ボックスを利用する。
【0036】また、高周波の漏れを防止するために、チ
ャンバー431は金属で構成されているものとする。
【0037】電圧の印加により、Arガスがプラズマ化
し、電離されたイオンがターゲット436に衝突するこ
とにより、ターゲット436の原子がはじき出される。
このとき、バッキングプレート437の裏面に配置され
たマグネット438により、ターゲット436近傍には
磁場が形成されるので、電離されたイオンはターゲット
436近傍に集中することとなる。
【0038】そして、ターゲット436からはじき出さ
れた原子は、矢印方向に繰り出され対向電極用キャン4
35の外周面に沿って走行する非磁性支持体1上に被着
し、磁性層2の形成がなされる。
【0039】このようにして磁性層2が形成された非磁
性支持体1は、巻き取りロール440に巻き取られるよ
うになされている。
【0040】上述のようにして成膜した磁性層2は、磁
性結晶粒が非磁性相によって分離されたグラニュラー構
造を有するものである。図3に、本発明の磁気記録媒体
100の一例の磁性層2の微視的な状態図を示す。図3
においては、透過電子顕微鏡観察(TEM観察)によっ
て得られた磁性層2の表面TEM像に基づき、結晶粒界
に沿って線を引いた模式的な結晶粒像を示す。
【0041】図3において、隣接する磁性結晶粒2b
は、互いに1〔nm〕以上分離しており、磁性結晶粒2
b間には明瞭な非磁性相2aが確認される。磁性結晶粒
2bの形状は、概ね球体、または楕円体であり、磁性結
晶粒2bの高さは、磁性層2の膜厚以下である。
【0042】磁性結晶粒2bとしては、Coを主成分と
する合金が好適であるが、特に高い保磁力を得るために
は、Ptを10%以上30%以下、特に好ましくは、2
0%程度含有させることが望ましい。また、Nd,S
m,Pr等の希土類を含む合金を用いると、更に高い保
磁力が得られる。
【0043】磁気記録媒体10の磁性層2上には、走行
耐久性、および耐蝕性の向上を図るために、所定に材料
により保護層3を形成することが好適である。
【0044】保護層3は、公知の真空成膜技術により形
成することができるが、例えば、炭素化合物をプラズマ
中で分解し、磁性層2上に成膜するCVD法は、耐磨耗
性、耐蝕性、表面被覆率に優れ、平滑な表面形状と高い
電気抵抗率をもつダイヤモンドライクカーボンと呼ばれ
る硬質カーボンを、10nm以下の厚さに安定して成膜
することができる。その他表面にパーフルオロポリエー
テル潤滑剤を塗布し、走行耐久性および耐磨耗性の向上
を図ることが好適である。
【0045】本発明の磁気記録媒体100は、磁性層2
の形成面側とは反対側に、所定の材料によりバック層を
有するものとする。このバック層は所定の潤滑剤を塗布
することによって形成したバックコート層4であっても
よく、あるいは真空薄膜形成プロセスによって形成した
ドライバック層であってもよい。
【0046】次に、本発明の磁気記録媒体に適用する記
録再生装置の一例として、GMRヘッドを用いたヘリカ
ルスキャン磁気記録システムについて説明する。
【0047】例えばGMRヘッドとしては、例えばGM
R素子をシールドで挟み込んだシールド型のGMRヘッ
ド(スピンバルブタイプ、MR抵抗変化率:5%前後)
を用い、これを回転ドラムに搭載して記録再生装置を構
成する。
【0048】磁気記録再生装置に搭載される回転ドラム
装置の一構成例を図4及び図5に示す。なお、図4は回
転ドラム装置60の概略斜視図を示し、図5は回転ドラ
ム装置60を含む磁気テープ送り機構70の概略を示す
平面図である。
【0049】図4に示すように、回転ドラム装置60
は、円筒状の固定ドラム62と、円筒状の回転ドラム6
3と、回転ドラム63を回転駆動するモータ64と、回
転ドラム63に搭載された一対のインダクティブ型磁気
ヘッド65a,65bと、回転ドラム63に搭載された
一対のGMRヘッド66a,66bとを具備している。
【0050】上記固定ドラム62は、回転することなく
保持されるドラムである。この固定ドラム62の側面に
は、磁気記録媒体(磁気テープ)100の走行方向に沿
ってリードガイド部68が形成されている。後述するよ
うに、記録再生時に磁気テープ100は、このリードガ
イド部68に沿って走行する。そして、この固定ドラム
62と中心軸が一致するように、回転ドラム63が配置
されている。
【0051】回転ドラム63は、磁気テープ100に対
する記録再生時に、モータによって所定の回転速度で回
転駆動されるドラムである。この回転ドラム63は、固
定ドラム62と略同径の円筒状に形成されてなり、固定
ドラム62と中心軸が一致するように配置されている。
そして、この回転ドラム63の固定ドラム62の対向す
る側には、一対のインダクティブ型磁気ヘッド65a,
65b及び一対のGMRヘッド66a,66bが搭載さ
れている。
【0052】インダクティブ型磁気ヘッド65a,65
bは、一対の磁気コアが磁気ギャップを介して接合され
るとともに、磁気コアにコイルが巻装されてなる磁気記
録用磁気ヘッドであり、磁気テープ100に対して信号
を記録する際に使用される。そして、これらのインダク
ティブ型磁気ヘッド65a,65bは、回転ドラム63
の中心に対して互いに成す角度が180°となり、それ
らの磁気ギャップ部分が回転ドラム63の外周から突き
出すように、回転ドラム63に搭載されている。なお、
これらのインダクティブ型磁気ヘッド65a,65b
は、磁気テープ100に対してアジマス記録を行うよう
に、アジマス角が互いに逆となるように設定されてい
る。
【0053】一方、GMRヘッド66a,66bは、磁
気テープ100からの信号を検出する感磁素子としてス
ピンバルブ素子を備えた磁気ヘッドである。そして、こ
れらのGMRヘッド66a,66bは、回転ドラム63
の中心に対して互いに成す角度が180°となり、磁気
ギャップ部分が回転ドラムの外周から突き出すように、
回転ドラム63に搭載されている。なお、これらのGM
Rヘッド66a,66bは、磁気テープ100に対して
アジマス記録された信号を再生できるように、アジマス
角が互いに逆となるように設定されている。
【0054】そして、磁気記録再生装置は、このような
回転ドラム装置60に磁気テープ100を摺動させて、
磁気テープ100に対する信号の記録や再生を行う。
【0055】すなわち、記録再生時に磁気テープ100
は、図5に示すように、供給リール71からガイドロー
ラ72、73を経て、回転ドラム装置60に巻き付くよ
うに送られ、この回転ドラム装置60で記録再生がなさ
れる。そして、回転ドラム装置60で記録再生がなされ
た磁気テープ100は、ガイドローラ74、75、キャ
プスタン76、ガイドローラ77を経て、巻き取りロー
ル78へと送られる。すなわち、磁気テープ100は、
キャプスタンモータ79により回転駆動されるキャプス
タン76によって所定の張力及び速度にて送られ、ガイ
ドローラ77を経て巻き取りロール78に巻き取られ
る。
【0056】このとき、回転ドラム33は、図4中の矢
印Aに示すように、モータ64によって回転駆動され
る。一方、磁気テープ100は、固定ドラム62のリー
ドガイド部68に沿って、固定ドラム62及び回転ドラ
ム63に対して斜めに摺動するように送られる。すなわ
ち、磁気テープ100は、テープ走行方向に沿って、図
4中矢印Bに示すようにテープ入口側から固定ドラム6
2及び回転ドラム63の摺接するようにリードガイド部
68に沿って送られ、その後、図4中矢印Cに示すよう
にテープ出口側へと送られる。
【0057】次に、上記回転ドラム63に搭載されるG
MRヘッド66a,66bについて説明する。なお、G
MRヘッド66a,66bは、アジマス角が互いに逆と
なるように設定されている他は、同一の構成を有してい
るので、以下の説明ではこれらのGMRヘッド66a,
66bをまとめてGMRヘッド66と称する。
【0058】GMRヘッド66は、回転ドラム63に搭
載され、ヘリカルスキャン方式によって磁気テープ10
0からの信号を巨大磁気抵抗効果を利用して検出する磁
気ヘッドである。一般にGMRヘッド66は、電磁誘導
を利用して記録再生を行うインダクティブ型磁気ヘッド
や異方性磁気抵抗効果型ヘッドよりも感度が高く再生出
力が大きいので、高密度記録に適している。したがっ
て、より高密度記録化を図った磁気テープに好適であ
る。
【0059】GMRヘッド66の一例として、磁気抵抗
効果感磁部へのセンス電流の通電方向と、磁気記録媒体
からの記録信号磁界の方向が、直交するように選定され
た、いわゆる横型の磁気抵抗効果磁気ヘッドについて、
図6にその概略斜視図を示し、図7に要部の概略斜視図
を示す。
【0060】図6に示すように、GMRヘッド66にお
いては、非磁性の基板81aと非磁性の基板81bとの
間に、薄膜プロセスにより形成されたGMR素子80
が、介在されて成る構成を有する。
【0061】このGMRヘッド66においては、図7の
斜視図に示すように、基板81a上に、磁性体82が形
成され、これの上にAl2 3 等の絶縁層83が被着形
成されて成る。この絶縁層83上に、磁気抵抗効果を有
する感磁部84が形成され、この感磁部84上には、絶
縁層85を介して磁性体86が配置され、次に保護層8
9が形成され、保護層89上に基板81bが形成された
構成を有する。
【0062】感磁部84は、図8にその一例の一部を断
面とした概略斜視図を示すように、磁性体82上に、絶
縁層83を介してスピンバルブ型巨大磁気抵抗効果膜構
造部90を有する構成とする。
【0063】すなわち、感磁部84は、図7および図8
に示すように、アルチック、非磁性フェライト、セラミ
ックス等の基板51a上に、所定の下地膜を介して、磁
性体82、絶縁層(磁気ギャップ層)83、下地層9
1、軟磁性層(磁化自由層)92、非磁性導電層93、
磁性層(磁化固定層)94、反強磁性層95、磁化自由
層92に磁界を加えて安定化させる永久磁石層PM、電
極層88a,88b、保護層96が形成されて成る構成
を有し、フォトリソグラフィにより感磁部84の各層の
幅、および高さが制御されて成るものとする。
【0064】そして、図7に示すように、感磁部84の
両端には、感磁部84にセンス電流iを通電する電極8
8aおよび88bが形成されて成り、これら電極88a
および88b間にセンス電流iが通電される。
【0065】このようにして、感磁部84が、両磁性体
82および86によって挟みこまれて外部と磁気的にシ
ールドされるとともに、この感磁部84の前方端が、媒
体対向面87における両磁性体82および86間の前方
の間隙すなわち磁気ギャップGを通じて、前方に臨むよ
うになされ、この磁気ギャップから、媒体対向面87に
対接しつつ相対的に移行する磁気記録媒体(磁気テー
プ)からの漏洩磁界すなわち記録部からの信号磁界Hs
を感磁部84に導入する。すなわち感磁部84に通じる
センス電流iと直角に信号磁界Hsを導入する。
【0066】感磁部84においては、これに印加された
信号磁界によって生じた抵抗変化をセンス電流によって
電圧変化として検出することによって、信号磁界の検
出、すなわち磁気記録媒体上の記録の再生がなされる。
【0067】図8の例では、絶縁層83上に、下地層9
1と、軟磁性層92と、非磁性導電層93と、磁性層9
4と、この磁性層94と交換結合する反強磁性層95お
よび保護層96が順次例えばスパッタリングによって積
層形成された構成を有する。この反強磁性層95と磁性
層94の交換結合方向は、センス電流iと直角に信号磁
界Hsに沿う方向に選定される。
【0068】下地層91は、例えばTa,Ti,Hf等
の少なくともいずれかより、厚さ5.0〜10.0〔n
m〕の材料膜より成る。
【0069】軟磁性層92は、例えばNiFe,NiF
eCo,NiFe−X等の少なくともいずれかよりな
り、Xは、Ta,Cu,Nb,Zr,Mo,Rh,H
f,Cr等の少なくともいずれかとする、厚さ15.0
〔nm〕以下の材料膜よりなる。
【0070】非磁性導電層93は、Cu,CuNi,C
uAg等の少なくともいずれかの厚さ1.8〜3.0
〔nm〕の材料膜よりなる。
【0071】磁性層94は、NiFe,NiFeCo,
Co,CoFe等の少なくともいずれかの厚さ1.0〜
8.0〔nm〕の材料膜よりなる。
【0072】反強磁性層95は、高保磁力の反強磁性の
FeMn,NiMn,NiO,NiCoO,CoMn等
の少なくともいずれかの膜厚5.0〜80〔nm〕の材
料膜よりなり、一定方向に磁化される。
【0073】また、保護層96は、上述した下地層61
と同様の材料膜によって構成することができる。
【0074】図8で示したスピンバルブ型巨大磁気抵抗
効果膜構成部90は、基板51側に軟磁性層92が配置
された場合であるが、軟磁性層91〜反強磁性層95の
積層構造を図10の場合とその上下を反転させた構成、
すなわち反強磁性層95を、基板81側とする配置構成
とすることもできる。この場合、反強磁性層95として
例えばFeMnのように反強磁性特性を誘発する下地層
を要する場合は、上述の下地層91上に、更に例えばN
iFeもしくはCu膜を配置することが望ましい。
【0075】このスピンバルブ型巨大磁気抵抗効果膜構
造部90によって構成される感磁部84は、外部印加磁
界すなわち磁気記録媒体からの信号磁界に対して高い抵
抗変化、すなわち高感度の磁気抵抗効果を示す。
【0076】このスピンバルブ型巨大磁気抵抗効果膜構
成部90の磁気抵抗効果動作を概略説明する。上述した
ように、磁性層94上には、これとセンス電流iと直角
に交換結合する反強磁性層95が被着形成されているこ
とから、この磁性層94は、その磁化の向きが固定され
た、いわゆるピン層とされる。軟磁性層92は、薄い非
磁性導電層93によって磁性層94と分離されていて、
その磁化の向きが固定されていない、いわゆるフリー層
とされる。
【0077】この状態で、外部磁界、すなわち磁気記録
媒体からの記録情報による信号磁界が印加されると、こ
れによって、フリー層すなわち軟磁性層92が磁化さ
れ、そのスピンが回転する。そして、いま磁化が固定さ
れたピン層すなわち磁性層94のスピンの向きと、フリ
ー層すなわち軟磁性層92のスピンの向きとが180°
である場合、感磁部84における抵抗は最大となる。こ
れは、感磁部84の両電極88a,88b間を移行しよ
うとする電子が、非磁性層と互いにスピンの向きを事に
する両磁性体82および86との界面で散乱することに
よる。そして逆に、両磁性体82および86のスピンの
向きが同じとされる場合には、電子の散乱が小となり、
その抵抗は最小となるものである。
【0078】このように、スピンバルブ型巨大磁気抵抗
効果膜構造とする場合は、多層膜構造とし、磁化が固定
されたピン層の構成により、外部磁界によって大きく抵
抗が変化する、すなわち高感度の感磁部を構成すること
ができるものである。
【0079】なお、実際の磁気ヘッドにおいては、感磁
部84すなわちスピンバルブ型巨大磁気抵抗効果膜構造
部90に導入される磁気記録媒体からの信号磁界によっ
て容易に、軟磁性層92(フリー層)のスピンが回転す
ることができるように、軟磁性層92の磁化容易軸方向
は、各層の幅方向すなわちセンス電流方向(信号磁界方
向)を横切る直交方向に設定される。
【0080】次に、本発明の磁気記録媒体100につい
て、具体的な〔実施例〕および〔比較例〕を挙げて説明
するが、本発明の磁気記録媒体は、以下の例に限定され
るものではない。
【0081】〔実施例1〕図1に示した磁気記録媒体1
00の非磁性支持体1として、厚さ6〔μm〕で幅15
0〔μm〕のポリエチレンテレフタレートを用意した。
【0082】次に、非磁性支持体1上に磁性層2を、図
2に示したマグネトロンRFスパッタ装置を用いて形成
した。このとき、マグネトロンRFスパッタ装置内に配
置したターゲットとしては、Co上にPtおよびSiO
2 のチップを配置した。なお、このとき10×10〔m
m〕の大きさのSiO2 チップを、表面における面積比
率で15〔%〕となるように均一に配置するものとし
た。スパッタ条件を以下に示す。
【0083】(スパッタ条件) チャンバー内到達真空度:1.1×10-5〔Pa〕 導入ガス:Arガス、100〔sccm〕 成膜時圧力:1.0〔Pa〕 投入電力:2〔kW〕(周波数13.56〔MHz〕) 成膜時非磁性支持体温度:−20℃ 非磁性支持体送り速度:10〔m/min〕
【0084】上述のようにして磁性層2を形成した後、
バック層を形成し、続いてテープ原反を8〔mm〕幅に
裁断し、磁性層2面側にパーフルオロポリエーテル系潤
滑剤を塗布し、サンプルの磁気テープを作製した。
【0085】なお、サンプルの磁気テープの磁性層の組
成を求めるため、磁性層を硝酸で溶解し、ICP発光分
析を用いて組成分析を行った。また、断面TEMにより
膜厚を測定した。〔実施例1〕のサンプル磁気テープに
おいては、磁性層の組成は、(Co90Pt1090(Si
2 10であり、磁性層の膜厚は15〔nm〕であっ
た。
【0086】〔実施例2〕ターゲットとしてCo上にP
tおよびSiO2 のチップを、チップ数を変化させて配
置し、磁性層の形成を行った。〔実施例2〕のサンプル
磁気テープにおいては、磁性層の組成は、(Co90Pt
1080(SiO2 20であり、磁性層の膜厚は20〔n
m〕であった。その他の製造条件は、〔実施例1〕と同
様としてサンプルの磁気テープを作製した。
【0087】〔実施例3〕ターゲットとしてCo上にP
tおよびZrO2 のチップを配置し、磁性層の形成を行
った。〔実施例3〕のサンプル磁気テープにおいては、
磁性層の組成は、(Co90Pt1080(ZrO2 20
あり、磁性層の膜厚は18〔nm〕であった。その他の
製造条件は、〔実施例1〕と同様としてサンプルの磁気
テープを作製した。
【0088】〔実施例4〕ターゲットとしてCo上にP
tおよびTiO2 のチップを配置し、磁性層の形成を行
った。〔実施例4〕のサンプル磁気テープにおいては、
磁性層の組成は、(Co90Pt1080(TiO2 20
あり磁性層の膜厚は22〔nm〕であった。その他の製
造条件は、〔実施例1〕と同様としてサンプルの磁気テ
ープを作製した。
【0089】〔実施例5〕ターゲットとしてCo上にP
tおよびAl2 3 のチップを配置し、磁性層の形成を
行った。〔実施例5〕のサンプル磁気テープにおいて
は、磁性層の組成は、(Co90Pt1080(Al
2 3 20であり磁性層の膜厚は24〔nm〕であっ
た。その他の製造条件は、〔実施例1〕と同様としてサ
ンプルの磁気テープを作製した。
【0090】〔比較例1〕金属磁性材料としてCoを用
いて、従来公知の真空蒸着法により磁性層を形成した。
蒸着工程における導入酸素量は、0.5〔l/min〕
とし、膜厚を45〔nm〕となるようにラインスピード
を調整して成膜した。磁性層上にはスパッタ法によって
膜厚6〔nm〕のカーボン保護層を形成し、サンプルの
磁気テープを作製した。
【0091】〔比較例2〕ターゲットとしてCo上にP
tおよびCのチップを配置し、磁性層の形成を行った。
〔比較例2〕のサンプル磁気テープにおいては、磁性層
の組成は、(Co90Pt109010であり、磁性層の膜
厚は20〔nm〕であった。しかしながら、TEM観察
によると磁性層は単相の組織構造となっておりグラニュ
ラー構造となっていなかった。その他の製造条件は、
〔実施例1〕と同様としてサンプルの磁気テープを作製
した。
【0092】〔比較例3〕ターゲットとしてCo上にP
tおよびAgのチップを配置し、磁性層の形成を行っ
た。〔比較例3〕のサンプル磁気テープにおいては、磁
性層の組成は、(Co90Pt1090Ag10であり磁性層
の膜厚は20〔nm〕であった。しかしながら、TEM
観察によると磁性層は単相の組織構造となっておりグラ
ニュラー構造となっていなかった。その他の製造条件
は、〔実施例1〕と同様としてサンプルの磁気テープを
作製した。
【0093】〔比較例4〕ターゲットとしてCo上にP
tおよび、酸化自由エネルギー変化量がCoよりも小さ
いPbの酸化物であるPbOのチップを配置し磁性層の
形成を行った。〔比較例4〕のサンプル磁気テープにお
いては、磁性層の組成は、(Co90Pt1090(Pb
O)10であり磁性層の膜厚は20〔nm〕であった。し
かしながら、TEM観察によると磁性層は単相の組織構
造となっておりグラニュラー構造となっていなかった。
その他の製造条件は、〔実施例1〕と同様としてサンプ
ルの磁気テープを作製した。
【0094】〔比較例5〕ターゲットとしてCo上にP
tのチップを配置し磁性層の形成を行った。〔比較例
5〕のサンプル磁気テープにおいては、磁性層の組成
は、Co90Pt 10であり磁性層の膜厚は20〔nm〕で
あった。その他の製造条件は、〔実施例1〕と同様とし
てサンプルの磁気テープを作製した。
【0095】〔比較例6〕ターゲットとしてCo上にP
tおよびCrのチップを配置し磁性層の形成を行った。
〔比較例6〕のサンプル磁気テープにおいては、磁性層
の組成は、Co80Pt 10Cr10であり磁性層の膜厚は2
5〔nm〕であった。その他の製造条件は、〔実施例
1〕と同様としてサンプルの磁気テープを作製した。
【0096】〔比較例7〕金属磁性材料としてCoを用
いて、従来公知の真空蒸着法により磁性層を形成した。
蒸着工程における導入酸素量は、0.5〔l/min〕
とし、膜厚を20〔nm〕となるようにラインスピード
を調整して成膜した。磁性層上にはスパッタ法によって
膜厚6〔nm〕のカーボン保護層を形成し、サンプルの
磁気テープを作製した。
【0097】上記のようにして作製した〔実施例1〕〜
〔実施例5〕および〔比較例1〕〜〔比較例7〕の各サ
ンプルの磁気テープについて、磁気特性および電磁変換
特性を測定した。
【0098】磁気特性に関しては、DMS社製のVSM
model 1660を用いて、飽和磁化〔kA/
m〕、残留磁化〔kA/m〕、および保磁力〔kA/
m〕のそれぞれについての測定を行った。また、電磁変
換特性に関しては、8〔mm〕のサンプルの磁気テープ
を、記録ヘッドおよび再生ヘッド(MRヘッド)を搭載
した直径12〔cm〕の回転ドラムに巻き付けるように
して、回転ドラムを6.8〔cm/s〕のスピードで回
転させ、記録ヘッドを磁気テープに接触させて24〔M
Hz〕の周波数にて単一波記録を行い、記録ヘッドと対
向した位置にあるMRヘッドを磁気テープに接触させて
記録信号の再生を行った。なお、24〔MHz〕の出力
をキャリアー(C)とし、23〔MHz〕での出力と2
5〔MHz〕での出力の平均値をノイズ(N)としてC
/Nを求めた。
【0099】下記〔表1〕に、各サンプル磁気テープの
磁性層の膜厚、飽和磁化、残留磁化、保磁力、およびC
/Nについての測定結果を示す。なお、下記〔表1〕に
おいては、C/Nは〔比較例1〕の値を基準値の0.0
〔dB〕とし、これとの相対値で表した。
【0100】
【表1】
【0101】上記〔表1〕に示すように、磁性層2が、
磁性結晶粒2bが非磁性相2aによって分離されたグラ
ニュラー構造を有し、磁性層を構成する磁性結晶粒2b
がCoおよびCo系合金であり、非磁性相が金属酸化物
によって構成されて成り、非磁性相の金属酸化物を構成
する金属の室温における酸化反応での自由エネルギー変
化量が、Coの酸化反応での自由エネルギー変化量より
も大きいものとした〔実施例1〕〜〔実施例5〕の磁気
テープにおいては、従来の真空蒸着法によって形成した
磁性層を有する〔比較例1〕の磁気テープに比較して、
高い保磁力が得られ、低ノイズ化が図られ、C/N特性
の向上が図られた。
【0102】〔比較例1〕の磁気テープにおいては、上
記のように本発明の〔実施例1〕〜〔実施例5〕の磁気
テープに比較して保磁力が低く、C/N特性についても
劣った結果となった。
【0103】〔比較例2〕の磁気テープは、磁性層は単
相の組織構造となっておりグラニュラー構造となってお
らず、この例においては、保磁力が極めて低く、信号の
記録を行うことができなかった。なお、非磁性相用の材
料としてC(カーボン)を用いて磁性層をグラニュラー
構造とするためには、スパッタ工程後にアニール処理を
行うことが必要であるが、非磁性支持体の材料として熱
可塑性樹脂を用いた磁気テープを作製する場合には、ア
ニール処理は非磁性支持体の熱変形を招来するため、材
料的に不適当である。
【0104】〔比較例3〕の磁気テープにおいても、磁
性層は単相の組織構造となっておりグラニュラー構造と
なっておらず、この例においては、保磁力が極めて低
く、信号の記録を行うことができなかった。なお、非磁
性相用の材料としてAgを用いて磁性層をグラニュラー
構造とするためには、スパッタ工程後にアニール処理を
行うことが必要であるが、非磁性支持体の材料として熱
可塑性樹脂を用いた磁気テープを作製する場合には、ア
ニール処理は非磁性支持体の熱変形を招来するため、材
料的に不適当である。
【0105】〔比較例4〕の磁気テープにおいては、P
bはCoよりも室温における酸化反応での自由エネルギ
ー変化量が小さいため、Coよりも酸化し難く、Coが
先に酸化されてしまい、適切なグラニュラー構造の磁性
層を形成することはできず、、磁性層は単相の組織構造
となってしまった。このため、保磁力が極めて低く、信
号の記録を行うことができなかった。
【0106】〔比較例5〕の磁気テープにおいては、高
い保磁力が得られたが、媒体ノイズが大きく、C/N特
性が劣化した。
【0107】〔比較例6〕の磁気テープにおいても、高
い保磁力が得られたが、媒体ノイズが大きく、C/N特
性が劣化した。
【0108】〔比較例7〕の磁気テープにおいては、本
発明の〔実施例1〕〜〔実施例5〕の磁気テープに比較
して保磁力が低く、C/N特性についても劣った結果と
なった。
【0109】上述したように、本発明においては、磁性
層2を、磁性結晶粒2bが非磁性相2aによって分離さ
れたグラニュラー構造とし、磁性層を構成する磁性結晶
粒2bがCoおよびCo系合金で、非磁性相が金属酸化
物によって構成されて成るものとしたことによって、特
にテープ形状の磁気記録媒体の保磁力の向上および、媒
体ノイズの低減化が図られ、C/N特性が向上した。
【0110】
【発明の効果】本発明においては、磁性層を、磁性結晶
粒2bが非磁性相2aによって分離されたグラニュラー
構造とし、磁性層を構成する磁性結晶粒2bがCoおよ
びCo系合金で、非磁性相が金属酸化物によって構成さ
れて成るものとしたことによって、特にテープ形状の磁
気記録媒体における保磁力の向上、媒体ノイズ低減化、
および、C/N特性の向上を図ることができた。
【0111】また、本発明においては、グラニュラー構
造である磁性層を構成する磁性結晶粒2b、および非磁
性相2aについて、材料を適切に選定することによっ
て、スパッタ工程後にアニール処理を施すことなくグラ
ニュラー構造を形成することができるので、特に、熱可
塑性樹脂を非磁性支持体として適用する磁気テープにお
いて、飛躍的な保磁力の向上、媒体ノイズ低減化、およ
び、C/N特性の向上を図ることができた。
【0112】また、本発明においては、非磁性相の金属
酸化物を構成する金属の室温での酸化反応における自由
エネルギー変化量を、Coの酸化反応の自由エネルギー
変化量よりも大きいものとすることによって、磁性層形
成時にCoを酸化させず当該金属のみを酸化させること
ができるので、グラニュラー構造を適切に形成すること
ができ、これにより磁気テープ媒体における保磁力の向
上、媒体ノイズ低減化、および、C/N特性の向上を効
果的に図ることができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の磁気記録媒体の概略断面図を示す。
【図2】本発明の磁気記録媒体を構成する磁性層を成膜
するためのマグネトロンRFスパッタ装置の概略図を示
す。
【図3】本発明の磁気記録媒体を構成する磁性層のグラ
ニュラー構造の概略的拡大図を示す。
【図4】本発明の磁気記録媒体に適用するGMRヘッド
を搭載した回転ドラム装置の概略斜視図を示す。
【図5】本発明の磁気記録媒体に対する信号の記録、再
生を行う際の磁気テープ送り機構の概略図を示す。
【図6】本発明の磁気記録媒体に対する信号の再生を行
うGMRヘッドの一例の概略斜視図を示す。
【図7】本発明の磁気記録媒体に対する信号の再生を行
うGMRヘッドの一例の要部の概略斜視図を示す。
【図8】本発明の磁気記録媒体に対する信号の再生を行
うGMRヘッドの一例の要部の、スピンバルブ型巨大磁
気抵抗効果膜構造部の概略斜視図を示す。
【符号の説明】 1 非磁性支持体、2 磁性層、2a 非磁性相、2b
磁性結晶粒、3 保護層、4 バックコート層、60
回転ドラム装置、62 固定ドラム、63回転ドラ
ム、64 モータ、65a,65b インダクティブ型
磁気ヘッド、66a,66b GMRヘッド、68 リ
ードガイド部、70 磁気テープ送り機構、71 供給
ロール、78 巻き取りロール、80 GMR素子、8
1a,81b 基板、82 磁性体、83,85 絶縁
層、86 磁性体、87 媒体対向面、88a,88b
電極、89 保護層、90 スピンバルブ型巨大磁気
抵抗効果膜構造部、91 下地層、92軟磁性層、93
非磁性導電層、94 磁性層、95 反強磁性層、9
6 保護層、100 磁気記録媒体、400 マグネト
ロンRFスパッタ装置、431 チャンバー、432
真空ポンプ、433バルブ、434 ガス導入管、43
5 対向電極用キャン、436 ターゲット、437
バッキングプレート、438 マグネット、439 供
給ロール、440 巻き取りロール、441 ガイドロ
ール

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 長尺状の非磁性支持体の一主面に、真空
    薄膜形成技術により形成されて成る磁性層を有し、 磁気抵抗効果型磁気ヘッド(MRヘッド)あるいは巨大
    磁気抵抗効果型磁気ヘッド(GMRヘッド)を用いる記
    録再生システムに対応する磁気記録媒体であって、 上記磁性層は、磁性結晶粒が非磁性相によって分離され
    たグラニュラー構造を有し、 上記磁性結晶粒がCoおよびCo系合金であり、 上記非磁性相が、少なくとも金属酸化物によって構成さ
    れて成ることを特徴とする磁気記録媒体。
  2. 【請求項2】 上記非磁性相の金属酸化物を構成する金
    属の、室温における酸化反応での自由エネルギー変化量
    が、Coの酸化反応の自由エネルギー変化量よりも大き
    いことを特徴とする請求項1に記載の磁気記録媒体。
  3. 【請求項3】 上記磁性層の磁性結晶粒がCoPt合金
    であり、上記非磁性相がSiO2 、ZrO2 、Ti
    2 、Al2 3 のいずれかであることを特徴とする請
    求項1に記載の磁気記録媒体。
  4. 【請求項4】 上記非磁性支持体と上記磁性層との間に
    Cr下地層が形成されてなることを特徴とする請求項1
    に記載の磁気記録媒体。
  5. 【請求項5】 上記磁性層形成面側とは反対側の主面
    に、バックコート層が形成されてなることを特徴とする
    請求項1に記載の磁気記録媒体。
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