JP2002194498A - 耐表面損傷性および耐摩耗性に優れたベイナイト系レールおよびその製造法 - Google Patents

耐表面損傷性および耐摩耗性に優れたベイナイト系レールおよびその製造法

Info

Publication number
JP2002194498A
JP2002194498A JP2000391346A JP2000391346A JP2002194498A JP 2002194498 A JP2002194498 A JP 2002194498A JP 2000391346 A JP2000391346 A JP 2000391346A JP 2000391346 A JP2000391346 A JP 2000391346A JP 2002194498 A JP2002194498 A JP 2002194498A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
rail
bainite
resistance
head
surface damage
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP2000391346A
Other languages
English (en)
Inventor
Masaharu Ueda
正治 上田
Koichi Uchino
耕一 内野
Takehide Senuma
武秀 瀬沼
Kenichi Karimine
健一 狩峰
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Steel Corp
Original Assignee
Nippon Steel Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Steel Corp filed Critical Nippon Steel Corp
Priority to JP2000391346A priority Critical patent/JP2002194498A/ja
Publication of JP2002194498A publication Critical patent/JP2002194498A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Heat Treatment Of Articles (AREA)

Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】現行のパーライト組織レール鋼で問題となって
いたダークスポット損傷等の表面損傷を抑制し、同時
に、耐摩耗性を向上させる。 【解決手段】 質量%で、C:0.15〜0.55%、 Mn:0.10〜
3.00%、 Cr:0.10〜3.00%を含有し、さらに、質量%
で、 Si:0.05〜3.00%、 Al:0.01〜3.00%の1種または
2種を含有し、金属組織がベイナイト組織と残留オース
テナイト組織の混合組織からなり、前記鋼レールの頭部
コーナー部および頭頂部の表面を起点として、少なくと
も深さ20mmまでの範囲の任意の断面において、ベイナ
イト組織中の残留オーステナイト組織の面積率が5〜3
0%、硬さがHv320〜500であり、さらに、前記
範囲以外の任意の断面において、ベイナイト組織中の残
留オーステナイト組織の面積率が5%以下であることを
特徴とする耐表面損傷性および耐摩耗性に優れたベイナ
イト系レール。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、貨物鉄道用レール
に要求される、耐表面損傷性、耐摩耗性を向上させたベ
イナイト系レールに関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、旅客鉄道や貨物鉄道では、輸送効
率の向上を目的として、列車の高速化や貨車の高積載化
が進められている。これにともない主に直線区間のレー
ルにおいては、レール使用環境の苛酷化し、レールと車
輪の繰り返し接触によるダークスポット損傷と呼ばれる
レール頭表面のころがり疲労損傷の発生が増加してい
る。このダークスポット損傷は、従来からのパーライト
組織を呈したレールが使用されている旅客鉄道や貨物鉄
道あ直線区間のレールで発生しやすい特徴を有してい
る。
【0003】本発明者らは、このダークスポット損傷の
発生源であると考えられる、車輸との繰り返し接触によ
って生成するレール頭表面の疲労層(疲労ダメージ層、
集合組織)の形成と金属組織の関係を研究した。その結
果、フェライト相とセメンタイト相の層状構造を成して
いるパーライト組織では、疲労ダメージ層が蓄積し易
く、さらに、集合組織が発達し易いの対して、柔らかな
フェライト組織地に粒状の硬い炭化物が分散したベイナ
イト組織は、疲労ダメージ層が蓄積し難く、さらに、表
面疲労損傷の引き金となる集合組織が発達し難く、結果
としてダークスポット損傷が発生しにくいことが明らか
となった。
【0004】そこで、ベイナイト組織を呈したレールと
して下記に示すような製品および製造法が開発された。 低炭素成分でMn,Cr,Moなどの合金元素を多量
に添加して圧延ままでベイナイト組織を呈する高強度レ
ール(特開平5−271871号公報)。 低炭素成分でMn,Cr,Moなどの合金元素を添加
し、熱間圧延後の高温度の熱を保有するレール、あるい
は高温に加熱されたレールの頭部を加速冷却する高強度
ベイナイトレールの製造法(特開平7−34132号公
報)。
【0005】これらのレールの特徴は、耐表面疲労損傷
性に優れたベイナイト組織を安定に生成させるため、従
来の普通炭素鋼レールと比較して炭素量を低減させると
同時に、Mn,Cr,Moなどの合金元素を多く添加
し、さらに、強度を確保するため適切な熱処理を施した
ものである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、海外の貨物鉄
道では、貨物積載重量が大きいため、旅客鉄道と比べて
レール/車輪の接触面圧や接線カが著しく高い。このた
め、ベイナイト組織ではダークスポット損傷のような表
面疲労損傷の防止は可能であるが、摩耗量の増加によ
り、レール使用寿命が大幅に低下するといった問題があ
った。また同時に、車輪走行面直下のレール頭表面にメ
タルフローが生成し易く、特に接線カの高い緩曲線区間
では、きしみ割れやG.C.(ゲージコーナー)部にフ
レーキングなどの塑性変形起因の表面損傷が発生し易く
なるといった問題があった。
【0007】このような背景から、ベイナイト組織を呈
した鋼レールにおいて、海外の貨物鉄道に耐え得る耐表
面損傷性と耐摩耗性を有したレールの開発が望まれるよ
うになった。すなわち本発明は、海外の貨物鉄道に使用
されるベイナイト鋼レールにおいて、耐表面疲労損傷性
と耐摩耗性を同時に向上させることを目的としたもので
ある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は上記目的を達成
するものであって、その要旨とするところは、 (1)質量%で、 C :0.15〜0.55%、 Mn:0.10〜3.00%、 Cr:0.10〜3.00% を含有し、質量%で、さらに、 Si:0.05〜3.00%、 Al:0.01〜3.00% の1種または2種を含有し、さらに必要に応じて、質量%で、 Mo:0.01〜1.00%、 Ti:0.005〜0.050%、 Ni:0.05〜2.00%、 Cu:0.05〜1.00%、 V :0.01〜0.30%、 Nb:0.01超〜0.05%、 Mg:0.0005〜0.0300%、 Ca:0.0005〜0.0150%、 B :0.0001〜0.0050% の1種または2種を含有し、残部がFeおよび不可避的
不純物からなる鋼レールであって、その金属組織がベイ
ナイト組織と残留オーステナイト組織の混合組織からな
り、さらに、前記鋼レールの頭部コーナー部および頭頂
部の表面を起点として、少なくとも深さ20mmまでの範
囲の任意の断面において、ベイナイト組織中の残留オー
ステナイト組織の面積率が5〜30%、硬さがHv32
0〜500であり、さらに、前記範囲以外の任意の断面
において、ベイナイト組織中の残留オーステナイト組織
の面積率が5%以下であることを特徴とする耐表面損傷
性および耐摩耗性に優れたベイナイト系レール。
【0009】(2)前記(1)に記載の成分を含有する
鋼片をレール形状に熱間圧延した後、熱間圧延ままのA
r1 点以上の温度の鋼レール、あるいは熱処理する目的
でAc1 点+30℃以上の温度に加熱された鋼レールに
おいて、少なくともレール頭部を、オーステナイト域温
度から1〜30℃/secの冷却速度で加速冷却し、前記鋼
レールの頭部の温度が500〜300℃の範囲に達した
時点で加速冷却を停止し、その後、常温まで放冷するこ
とを特徴とする耐表面損傷性および耐摩耗性に優れたベ
イナイト系レールの製造法。
【0010】
【発明の実施の形態】以下に本発明について詳細に説明
する。本発明者らは、ベイナイト組織の耐摩耗性および
耐表面損傷性を向上させる方法を検討した。そこで、同
一硬さのベイナイト鋼とパーライト鋼を用いて、ころが
り摩耗損傷試験を行い、ころがり面の硬さと摩耗特性お
よび疲労損傷特性の関係を調査した。その結果、ベイナ
イト鋼はパーライト鋼と比べて、試験後のころがり面の
硬さが低く、ころがり面の硬さの低いベイナイト鋼は、
パーライト鋼と比べて、摩耗量が多く、塑性変形起因の
表面損傷が発生しやすいことが確認された。これらの結
果から、ベイナイト鋼の耐摩耗性および耐表面損傷性を
向上させるには、ころがり面の硬さ、すなわち、ころが
り面での加工硬化率を上昇させることが重要であること
がわかった。
【0011】そこで、本発明者らは、ベイナイト組織の
ころがり面での加工硬化率を上昇させる方法を検討し
た。その結果、レール頭部において、ベイナイト組織中
に未変態のオーステナイト組織(残留オースナナイト組
織)を残留させることにより、レールと車輪の繰り返し
接触を受けるころがり面では、残留オーステナイト組織
がマルテンサイト組織へ加工誘起変態し、ころがり面の
硬さが増加し、結果的に加工硬化率が大幅に上昇するこ
とが明らかとなった。
【0012】次に、本発明者らは、レール頭部におい
て、強度の高いベイナイト組織と残留オーステナイト組
織を安定的に生成させる添加元素を検討した。その結
果、添加元素としては、ベイナイト組織を安定的に生成
させるCr,Mnの添加に加えて、SiまたはAlの添
加が残留オーステナイト組織の生成には有効であること
を見出した。
【0013】さらに、本発明者らは、残留オーステナイ
ト組織のレール頭部における必要領域とその必要量、さ
らには、ベイナイト組織と残留オーステナイト組織の混
合組織の硬さについて検討した。その結果、残留オース
テナイト組織は、少なくとも車輪と主に接触するレール
頭部外郭表面から一定深さまで必要であり、かつ、一定
量以上生成させることが有効であり、さらに、残留オー
ステナイト組織による耐摩耗性の向上、ベイナイト組織
による耐表面損傷性の向上を図るには、上記混合組織の
硬さにある一定の範囲が存在することを見出した。
【0014】本発明者らは、これらの発明に加えて、上
記発明レール鋼において、ベイナイト組織を安定的に生
成させ、同時に、一定量以上の残留オーステナイト組織
をベイナイト組織中に生成させるためのレール熱処理方
法について検討した。実験の結果、少なくとも、高温度
の熱を保有した鋼レールの頭部を、オーステナイト域温
度からある一定範囲の温度域をある一定範囲の冷却速度
で加速冷却し、その後、常温まで放冷することにより、
レール頭表面から内部までベイナイト組織が安定的に得
られ、同時に、適正量の残留オーステナイト組織がベイ
ナイト組織中に生成することを確認した。
【0015】以上の実験室での検討の結果、合金添加量
の最適化を図り、同時に、レール頭部の熱処理製造条件
の適正化を行うことにより、ある一定範囲の硬さを有す
る耐表面損傷性に有効なベイナイト組織と耐摩耗性に有
効な適正量の残留オーステナイト組織の混合組織を生成
させることが可能となり、レール頭部において、耐表面
損傷性と耐摩耗性を同時に両立させることができる。す
なわち、本発明は、貨物鉄道用レールに要求される、耐
表面損傷性と耐摩耗性を同時に向上させることを目的と
したものである。
【0016】以下に本発明の限定理由について詳細に説
明する。請求項1〜8において、レール鋼の化学成分と
硬さ、ベイナイト組織中の残留オーステナイト組織の面
積率とその必要範囲、および、レール熱処理方法を上記
請求範囲に限定した理由について詳細に説明する。
【0017】(1)レール鋼の化学成分 まず、本発明においてレールの化学成分を上記のように
限定した理由について説明する。Cは、ベイナイト組織
の強度と耐摩耗性を確保し、Ms点、Mf点を下げ、残
留オーステナイト組織は生成しやすくする必須元素であ
るが、0.15%未満では、ベイナイト組織中にフェラ
イト組織が生成し、ベイナイトレールに必要とされる強
度や耐摩耗性を確保することが難しくなる。また、Ms
点、Mf点が十分に下がらず、残留オーステナイト組織
の生成が困難となる。一方、0.55%を超えると、ベ
イナイト組織中にころがり疲労損傷の発生に有害なパー
ライト組織が多く生成しやすくなることや、残留オース
テナイト組織の生成量が多量となり、レールの耐表面損
傷性を低下させるため、C量を0.15〜0.55%に
限定した。
【0018】Mnは、C同様に鋼の焼入性を高め、ベイ
ナイト組織を安定的に生成させるためには欠かせない元
素である。本成分系においては、Mn量が0.10%未
満ではその効果が微弱であり、添加元素の組み合わせに
よっては、添加元素の組み合わせによっては、ベイナイ
ト組織中に耐摩耗性に有害なフェライト組織や耐表面損
傷性に有害なパーライト組織が生成しやすくなる。ま
た、3.00%を超えると、ベイナイト組織の変態速度
が著しく低下し、レールの耐摩耗性および靱性に有害な
マルテンサイト組織が生成し易くなることや、硬いマル
テンサイト組織を起点としてスポーリングやフレーキン
グ等の表面損傷が発生するため、Mn量を0.10〜
3.00%に限定した。
【0019】Crは、ベイナイト組織の基地フェライト
素地への固溶体硬化によりレールの硬度を上昇させ、同
時に、焼入性を高め、ベイナイト組織中の炭化物を微細
に分散させ、強度を確保するために重要な元素である
が、0.10%未満ではその効果が微弱であり、添加元
素の組み合わせによっては、ベイナイト組織を安定的に
得ることが困難となる。また、3.00%を超えると、
ベイナイト組織中にマルテサイト組織が生成しやすく、
レールの靱性や耐摩耗性を低下させることや、硬いマル
テンサイト組織を起点としてスポーリングやフレーキン
グ等の表面損傷が発生するため、Cr量を0.10〜
3.00%に限定した。
【0020】Siは、ベイナイト組織中のフェライト素
地への固溶体硬化によりレールの硬度を上昇させる元素
であり、同時に、残留オーステナイト組織の生成を促進
させる元素であるが、0.05%未満ではその効果が期
待できない。また、3.00%を超えるとレール熱問圧
延時に表面疵が発生し易くなることや、残留オーステナ
イト組織の生成量が増加し、ころがり面の硬さが過剰に
上昇し、レールの耐表面損傷性を低下させるため、Si
量を0.05〜3.00%に限定した。なお、残留オー
ステナイト組織をある一定量生成させ、同時に、熱間圧
延時の表面疵のに割れの発生を抑制するには、Si添加
重を1.20〜2.00%の範囲とすることが最も望ま
しい。
【0021】Alは、残留オーステナイト組織の生成を
促進させる元素であるが、0.01%未満ではその効果
が期待できない。また、3.00%を超えると、鋼中に
固溶させることが困難となり、疲労損傷の起点となる粗
大な酸化物(Al23)が生成し、疲労強度を低下させ
ることや、残留オーステナイト組織の生成量が増加し、
ころがり面の硬さが過剰に上昇し、レールの耐表面損傷
性を低下させるため、Al量を0.01〜3.00%に
限定した。なお、残留オーステナイト組織をある一定量
生成させ、同時に、疲労損傷の起点となる粗大な酸化物
(Al23)の生成を抑制するには、Al添加重を0.
50〜2.00%の範囲とすることが最も望ましい。
【0022】また、上記の成分組成で製造されるレール
は強度、延性、靭性、さらには溶接時の材料劣化を防止
する目的で、Mo,Ti,Ni,Cu,V,Nb,M
g,Ca,Bの元素を必要に応じて1種類または2種以
上を添加する。 Mo:0.01〜1.00%、 Ti:0.005〜0.050%、 Ni:0.05〜2.00%、 Cu:0.05〜1.00%、 V :0.01〜0.30%、 Nb:0.01超〜0.05%、 Mg:0.0005〜0.0300%、 Ca:0.0005〜0.0150%、 B :0.0001〜0.0050%
【0023】ここで、Moはベイナイト組織の安定化と
強度向上、Ti,Niは延性や靭性の向上、Cuは強度
向上、V,Nbは強度向上と溶接熱影響部の軟化抑制、
Mg,Caは延性および靭性の向上、Bはベイナイト組
織の安定化を図ることが主な添加目的である。
【0024】Moは、MnあるいはCrと同様に、ベイ
ナイト変態温度を下げ、ベイナイト変態の安定化および
ベイナイト組織の強化に寄与する元素であるが、0.0
1%未満ではその効果が十分でなく、1.00%を超え
ると、ベイナイト組織の変態速度が著しく低下し、M
n,Crと同様に、レールの耐摩耗性および靱性に有害
なマルテンサイト組織が生成し易くなるため、Mo量を
0.01〜1.00%に限定した。
【0025】Tiは、溶解・凝固時に析出したTi炭化
物、Ti窒化物がレール圧延時加熱の高温でも溶解しな
いことを利用して、レール圧延加熱時のオーステナイト
結晶粒の微細化を図り、ベイナイト組織の延性や靱性の
改善に寄与する元素であるが、0.005%未満では、
これらの効果が十分に発揮されず、また、0.050%
を超えて添加すると、粗大な窒化物(TiN)や炭化物
(TiC)が生成し、レールの延性や靱性が低下すると
同時に、レール使用中の疲労損傷の起点となりやすいた
め、Ti量を0.005〜0.050%に限定した。
【0026】Niは、オーステナイトを安定化させる元
素であり、ベイナイト変態温度を下げ、ベイナイト組織
を微細化し、延性や靭性を向上させる効果を有するが、
0.05%未満ではその効果が著しく小さく、また、
2.00%を超えて添加するとベイナイト変態速度が大
きく低下し、レールの耐摩耗性、靭性に有害なマルテン
サイト組織を生成しやすくするため、Ni量を0.05
〜2.00%に限定した。
【0027】Cuは、鋼の靭性を損なわず強度を向上さ
せる元素であり、その効果は0.05〜0.50%の範
囲で最も大きく、また、0.50%を超えると赤熱脆化
を生じやすくなることから、Cu量を0.05〜0.5
0%に限定した。
【0028】Vは、CまたはNと結合して、圧延後の冷
却中にV炭化物、V窒化物を形成し、ベイナイト組織中
のフェライト地に析出することにより、冷却速度の比較
的遅いレール頭部内部の硬度を向上させる元素であると
同時に、Ac1 点以下の温度域に再加熱された熱影響部
において、V炭化物を比較的高温度域で生成させ、溶接
継ぎ宇部熱影響部のベイナイト組織の硬度低下を防止す
るのに有効な成分であるが、0.01%未満ではその効
果が十分に期待できず、0.30%を超えて添加しても
それ以上の効果が期待できないことから、V量を0.0
1〜0.30%に限定した。
【0029】NbはVと同様に、熱間圧延後の冷却課程
で生成したNb炭・窒化物による析出硬化でベイナイト
組織の強度を高めると同時に、Ac1 点以下の温度域に
再加熱された熱影響部において、Nb炭化物を低温度域
から高温度域まで安定的に生成させ、溶接継ぎ宇部熱影
響部のベイナイト組織の硬度低下を防止するのに有効な
成分である。その効果は、0.01%以下ではその効果
が十分に期待できず、また、0.05%を超える過剰な
添加を行うと、Nbの金属開化合物や粗大析出物が生成
してレールの靭性を低下させることから、Nb量を0.
01超〜0.05%に限定した。
【0030】Mgは、O、または、SやAl等と結合し
て微細な酸化物を形成し、レール圧延時の再加熱におい
て、結晶粒の粒成長を抑制し、オーステナイト粒の微細
化を図り、ベイナイト組織の延性や靭性を向上させるの
に有効な元素である。さらに、MgO,MgSがMnS
を微細に分散させ、MnSの周囲にMnの希薄帯を形成
し、ベイナイト変態を促進させ、その結果、ベイナイト
組織を微細化することにより、延性や靭性を向上させる
のに有効な元素である。しかし、0.0005%未満で
はその効果は弱く、0.0300%を超えて添加すると
Mgの粗大酸化物が生成してレール延性や靭性を劣化さ
せるため、Mg量を0.0005〜0.0300%に限
定した。
【0031】Caは、Sとの結合力が強く、CaSとし
て硫化物を形成し、さらに、CaSがMnSを微細に分
散させ、MnSの周囲にMnの希薄帯を形成し、ベイナ
イト変態を促進させ、その結果、ベイナイト組織を微細
化することにより、延性や靭性を向上させるのに有効な
元素である。しかし、0.0005%未満ではその効果
は弱く、0.0150%を超えて添加するとCaの粗大
酸化物が生成してレール延性や靭性を劣化させるため、
Ca量を0.0005〜0.0150%に限定した。
【0032】Bは、旧オーステナイト粒界から生成する
初折フェライト組織や、これにともない変態するパーラ
イト組織の生成を抑制し、ベイナイト組織を安定的に生
成させる元素である。しかし、0.0001%未満では
その効果は弱く、0.0050%を超えて添加すると、
オーステナイト粒界にBの窒化物や炭化物が生成し、逆
に焼入れ性を低下させる、初折フェライト組織やパーラ
イト組織を生成しやすくするため、B量を0.0001
〜0.0050%に限定した。
【0033】(2)レール頭部において、ある一定範囲
の硬さを有したベイナイト組織と面積率5〜30%残留
オーステナイト組織の混合組織が必要な領域について はじめに、レール頭部において、ベイナイト組織と面積
率5〜30%の残留オーステナイト組織の混合組織が必
要な領域を、レール頭部のある一定の領域に限定した理
由について説明する。
【0034】レール頭部において、上記混合組織の存在
する領域が、頭部コーナー部および頭頂部の該頭部表面
を起点として20mm未満では、レール頭部において、耐
表面損傷性および耐摩耗性が必要とされる領域としては
小さく、十分なレール使用寿命の改善効果が得られない
ためである。また、上記混合組織の範囲が、頭部コーナ
ー部および頭頂部の該頭部表面を起点として深さ30mm
以上であれば、寿命改善効果がさらに増し、より望まし
い。
【0035】ここで、図1に本発明の耐表面損傷性およ
び耐摩耗性に優れたレールの頭部断面表面位置の呼称を
示す。レール頭部において1は頭頂部、2は頭部コーナ
ー部であり、頭部コーナー部2の一方は車輪と主に接触
するゲージコーナー(G.C.)部である。ここで、ベ
イナイト組織と面積率5〜30%の残留オーステナイト
組織の混合組織は、少なくとも図中の斜線部に存在すれ
ば、十分なレール使用寿命の改善が図れる。
【0036】(3)レール頭部のベイナイト組織と面積
率5〜30%の残留オーステナイト組織の混合組織の硬
さについて 次に、レール頭部の上記混合組織の硬さをHv320〜
500の範囲に限定した理由について説明する。硬さが
Hv320未満になると、貨物鉄道用レールの頭部に要
求されている基本的な耐摩耗性を確保することが困難と
なり、さらに、緩曲線区間では、頭部のG.C.部にレ
ールと車輸の強い接触によるメタルフローが生成し、こ
れにともないきしみ割れやフレーキングなどの表面損傷
が発生しやすくなるため、レール頭部の硬さをHv32
0以上に限定した。また、硬さがHv500を超える
と、レール頭部の摩耗が極度に抑制され、表面損傷が発
生しやすくなることから、レール頭部の硬さをHv32
0〜500の範囲に限定した。
【0037】(4)レール頭部におけるベイナイト組織
中の残留オーステナイト組織の面積率 次に、レール頭部におけるベイナイト組織中の残留オー
ステナイト組織の面積率をある一定の範囲に限定した理
由について説明する。残留オーステナイト組織の面積率
が5%未満になると、レールと車輸の繰返し接触で加工
誘起変態するマルテンサイト組織の生成量が少なくな
り、加工硬化率が十分に上昇しない。このため、ころが
り面の硬さの増加が不十分となり、貨物鉄道に必要な耐
摩耗性が十分に得られず、さらに、塑性変形起因のフレ
ーキング損傷等も発生し易くなる。また、残留オーステ
ナイト組織の面積率が30%を超えると、レールと車輪
の繰返し接触で加工誘起変態するマルテンサイト組織の
生成量が増加し、加工硬化率が大幅に上昇する。このた
め、ころがり面の硬さが過剰に高くなり、ころがり面の
延性が著しく低下し、スポーリングやフレーキングなど
の表面損傷が発生する。これらの理由により、レール頭
部におけるベイナイト組織中の残留オーステナイト組織
の面積率を5〜30%範囲に限定した。
【0038】(5)それ以外の部位におけるベイナイト
組織中の残留オーステナイト組織の面積率 次に、それ以外の部位における残留オーステナイト組織
の面積率をある一定の範囲に限定した理由について説明
する。上記レール頭部以外の部位において、残留オース
テナイト組織の面積率が5%を超えると、特に、貨車通
過時に大きな応力を受けるレール底部において、残留オ
ーステナイト組織が加工誘起変態し、硬いマルテンサイ
ト組織へと変化する。このため、レールの靭性が著しく
低下する。さらに、レールの底部のみが膨張するため、
軌道狂いが発生し、軌道の保守が煩雑となり、軌道管理
コストが増大する。また、レール柱部においては、偏析
帯に多く存在している水素が、残留オーステナイト組織
に凝集し、水素脆化起因の内部割れが発生しやすくな
る。これら理由により、それ以外の部位におけるベイナ
イト組織中の残留オーステナイト組織の面積率を5%以
下に限定した。
【0039】(6)レールの熱処理製造法 請求項8において、レール製造時の加速冷却前の温度条
件、加速冷却条件を上記のように限定した理由について
詳細に説明する。まず、レール頭部を加速冷却する前の
温度条件について説明する。ベイナイト組織と残留オー
ステナイト組織を安定的に得るためには、少なくともレ
ール頭部全体をオーステナイト化する必要がある。その
温度は、圧延直後のレール頭部においてはAr1 点以上
の温度域であり、また、再加熱されたレール頭部ではA
c1 点+30℃以上の温度域である。なお、温度の上限
は特に規定しないが、あまり高温度にすると液相が現
れ、オーステナイト相が不安定になるため、温度は実質
1450℃が上限となる。
【0040】ここで、上記の「レール頭部」とは、図1
に示すレール頭頂部(符号:1)および頭部コーナー部
(符号:2)を含む図中の斜線部分である。以下に説明
する加速冷却条件は、図1に示すレール頭頂部(符号:
1)および頭部コーナー部(符号:2)の頭部表面から
深さが2〜5mmの範囲で温度の測定を行えば、レール頭
部の少なくとも深さ20mmの範囲を代表させることがで
き、少なくとも図1に示す斜線部分の金属組織や硬さを
制御することができる。
【0041】次に、レール頭部を上記温度域から1〜3
0℃/secの冷却速度で加速冷却し、前記鋼レールの頭部
が500〜300℃に達した時点で加速冷却を停止する
方法において、加速冷却速度、加速冷却停止温度を上記
のように限定した理由について説明する。まず、加速冷
却停止温度までの加速冷却速度を1〜30℃/secの範囲
に限定した理由について説明する。上記成分系において
1℃/sec未満で加速冷却すると、成分系によってはパー
ライト組織が生成し、レール頭部にダークスポット損傷
などの表面損傷が発生する。さらに、高温度域で硬さの
低いベイナイト組織が多く生成し、レールの強度が低下
し、貨物鉄道用レールの頭部に要求されている基本的な
耐摩耗性を確保することが困難となり、さらに、塑性変
形起因のフレーキング損傷等の表面損傷も発生しやすく
なる。また、30℃/secを超えて加速冷却すると、加速
冷却後の放冷域において、レール内部から大きな復熱が
発生する。このため、レール頭部では復熱中の高温度域
でベイナイト変態が始まり、レール頭部の硬さが低下
し、レール頭部において、耐表面損傷性および耐摩耗性
を確保するのに必要な硬さを維持できない。また、耐表
面損傷性および耐摩耗性が必要とされる領域を確保する
ことが困難となる。これら理由により、この加速冷却速
度範囲を1〜30℃/sec範囲に限定した。
【0042】次に、オーステナイト域温度からの加速冷
却停止温度を500〜300℃の範囲に限定した理由に
ついて説明する。本成分系において500℃を超えて冷
却を停止すると、加速冷却直後の高温度域でベイナイト
変態が始まり、硬さの低いベイナイト組織が多く生成
し、貨物鉄道用レールに要求されている基本的な強度や
頭部の耐摩耗性を確保することが困難となる。さらに、
レール頭部において、塑性変形起因のフレーキング損傷
等の表面損傷も発生しやすくなる。また、300℃未満
まで冷却すると、成分系によっては、加速冷却中にマル
テンサイト組織が生成し、レールの靭性が低下する。さ
らに、加速冷却後の放冷域においても、ベイナイト変態
が完了せず、残留した多くのオーステナイト組織がマル
テンサイト組織に変態し、レールの靭性が著しく低下す
る。これら理由により、オーステナイト域温度からの加
速冷却停止温度を500〜300℃の範囲に限定した。
【0043】すなわち、本発明において、この熱間圧延
ままのAr1 点以上の温度を保有する鋼レール、あるい
は熱処理する目的でAc1 点+30℃以上の温度に加熱
された鋼レールにおいて、少なくともレール頭部を、そ
れぞれの温度領域から1〜30℃/secの冷却速度で加速
冷却し、前記鋼レールの頭部が500〜300℃に達し
た時点で加速冷却を停止し、その後、引き続き、常温域
まで放冷することによって、高温度域でのベイナイト組
織の生成を抑制し、低温度域でベイナイト変態を安定的
に完遂させ、ある一定範囲の硬さを有したベイナイト組
織と残留オーステナイト組織の混合組織を得ることが可
能となる。
【0044】なお、上記加速冷却は、少なくとも、耐摩
耗性および耐表面損傷性が主に要求され、ベイナイト組
織と残留オーステナイト組織の生成量を正確に制御しな
ければならない、レール頭部について行う。しかし、熱
処理時のレールの曲がりや熱処理後の残留応力を制御す
るには、レール頭部に加えて、レール柱部や底部も同様
な熱処理を行うことが望ましい。
【0045】また、成分系および加速冷却速度の選択に
よっては加速冷却途中の500〜300℃の範囲におい
てベイナイト変態が開始し、その後の放冷領域で変態が
完了し、残留オーステナイト組織との混合組織を成す場
合と、加速冷却直後の放冷領域においてベイナイト変態
が開始し、変態が完了し、残留オーステナイト組織との
混合組織を成す場合がある。しかし、本冷却条件の範囲
においては、いずれのベイナイト組織と残留オーステナ
イト組織の混合組織も耐表面損傷性よ耐摩耗性に優れて
いるため、本発明のベイナイト組織としては、上記の両
方の混合組織を含んでいる。
【0046】加速冷却時の冷却媒体としては、所定の冷
却速度を得るため、空気、ミスト、水・空気混合冷媒、
あるいはこれらの組み合わせ、あるいは、油、熱湯、ポ
リマー+水、ソルトバスヘのレール頭部あるいは全体の
浸漬、等を用いることが望ましい。
【0047】
【実施例】次に、本発明の実施例について説明する。表
1に、本発明レール鋼の化学成分、頭部硬さ、頭部のミ
クロ組織およびその面積率、頭部以外の部位のミクロ組
織およびその面積率、頭部熱処理条件を示す。また、表
1には図2に示す摩耗試験結果、図3に示すころがり疲
労損傷試験機による水潤滑ころがり疲労試験結果も併記
した。
【0048】また、表2に、比較レール鋼の化学成分、
頭部硬さ、頭部のミクロ組織およびその面積率、頭部以
外の部位のミクロ組織およびその面積率、頭部熱処理条
件をを示す。また、表1には図2に示す摩耗試験結果、
図3に示すころがり疲労損傷試験機による水潤滑ころが
り疲労試験結果も併記した。さらに、図4に本発明レー
ル鋼と比較レール鋼(符号:R、符号:S)の残留オー
ステナイト組織の生成比率と摩耗量の関係を示す。ま
た、摩耗試験片は図5に示すレール頭部より採取した。
【0049】なお、レールの構成は以下のとおりであ
る。 ・本発明レール鋼(12本) 符号:A〜L 化学成分が上記限定範囲内であり、その金属組織がベイ
ナイト組織と残留オーステナイト組織の混合組織からな
り、さらに、前記鋼レールの頭部コーナー部および頭頂
部の該頭部表面を起点として、少なくとも深さ20mmま
での範囲において、その硬さがHv320〜500の範
囲で、かつ、ベイナイト組織中の残留オーステナイト組
織の面積率が5〜30%の範囲であり、それ以外の部分
のベイナイト組織中の残留オーステナイト組織の面積率
が5%以下であることを特徴とする耐表面損傷性および
耐摩耗性に優れたベイナイト系レール。
【0050】・比較レール鋼(12本) 符号:M〜X 符号M〜O:現在、旅客鉄道で使用されているパーライ
ト組織の比較レール鋼。 符号P〜S:化学成分が上記限定範囲外である比較レー
ル鋼。 符号T :化学成分は上記限定範囲外であり、かつ、
頭部のベイナイト組織中の残留オーステナイト組織の面
積率が上記限定範囲外である比較レール鋼。 符号U〜X:熱処理条件が上記限定範囲外である比較レ
ール鋼。
【0051】各種試験条件は下記のとおり。 ・摩耗試験条件 試験機 :西原式摩耗試験機(図2参照) 試験片形状 :円盤状試験片(外径:30mm、厚さ:
8mm) 試験片採取位置:レール頭部表面下2mm(図5参照) 試験荷重 :1372N(907MPa) すべり率 :20% 相手材 :パーライト鋼(Hv380) 雰囲気 :大気中 冷 却 :圧搾空気による強制冷却(流量:10
0Nl/min) 繰返し回数 :70万回
【0052】・ころがり疲労試験条件 試験機 :ころがり疲労試験機(図3参照) 試験片形状:円盤状試験片 (レール外径:200mm、レール材断面形状:60Kレ
ールの1/4モデル) (車輪外径 :200mm、車輪材断面形状 :円弧踏面
車輪の1/4モデル) 試験荷重 :1.0トン(ラジアル荷重) 雰囲気 :乾燥+水潤滑(60cc/min) 回転数 :乾燥:100rpm 、水潤滑:300rpm 繰返し回数:0〜5000回まで乾燥状態、その後、水
潤滑により損傷発生および摩耗限界まで(損傷が発生し
ない場合は200万回で試験を中止)。
【0053】表1,2に示すように本発明レール鋼は比
較レール鋼と比べて、Mn,Crの合金元素の適切な選
択によりベイナイト組織とし、さらに、SiまたはAl
の合金元素の添加により、ベイナイト組織中に適正量の
残留オーステナイト組織を生成させることにより、現行
のパーライト組織レール鋼(比較レール鋼、符号:M〜
O)で問題となっていたダークスポット損傷等の表面損
傷の発生を防止し、同時に、図4に示したように残留オ
ーステナイト組織の生成により耐摩耗性も向上させるこ
とができた。
【0054】さらに、頭部熱処理時の加速冷却、加速冷
却停止温度を適正に選ぶことにより、安定的にベイナイ
ト組織と適正量の残留オーステナイト組織を生成させる
ことができた。
【0055】
【表1】
【0056】
【表2】
【0057】
【発明の効果】以上述べたように、Cr,Mnの添加に
加えて、SiまたはAlの添加量の最適化を図ることに
より、耐表面損傷性に有効なベイナイト組織と耐摩耗性
に有効な適正量の残留オーステナイト組織を生成させる
ことが可能となり、レール頭部において、現行のパーラ
イト組織レール鋼で問題となっていたダークスポット損
傷等の表面損傷を抑制し、同時に、耐摩耗性を向上させ
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】レール頭部断面表面位置の呼称とレール頭部に
おいてベイナイト組と面積率5〜30%残留オーステナ
イト組織の必要範囲を示した図。
【図2】摩耗試験機の概略図。
【図3】ころがり疲労損傷試験機の概要図。
【図4】本発明レール鋼と比較レール鋼(符号:R、符
号:S)の頭部残留オーステナイト組織の生成比率と摩
耗量の関係。
【図5】レール頭部の摩耗試験片採取位置を示した図。
【符号の説明】
1:頭頂部 2:頭部コーナー部 3:レール試験片 4:相手材 5:冷却用ノズル 6:車輪試験片 7:レール円盤試験片 8:モーター(車輪側) 9:モーター(レール側) 10:水潤滑装置
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 瀬沼 武秀 福岡県北九州市戸畑区飛幡町1番1号 新 日本製鐵株式会社八幡製鐵所内 (72)発明者 狩峰 健一 福岡県北九州市戸畑区飛幡町1番1号 新 日本製鐵株式会社八幡製鐵所内 Fターム(参考) 4K042 AA04 BA03 BA04 BA14 CA02 CA03 CA05 CA06 CA08 CA09 CA10 CA12 CA13 DA01 DC02 DE02 DE03 DE05 DE06

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 質量%で、 C :0.15〜0.55%、 Mn:0.10〜3.00%、 Cr:0.10〜3.00% を含有し、さらに、質量%で、 Si:0.05〜3.00%、 Al:0.01〜3.00% の1種または2種を含有し、残部がFeおよび不可避的
    不純物からなる鋼レールであって、その金属組織がベイ
    ナイト組織と残留オーステナイト組織の混合組織からな
    り、さらに、前記鋼レールの頭部コーナー部および頭頂
    部の表面を起点として、少なくとも深さ20mmまでの範
    囲の任意の断面において、ベイナイト組織中の残留オー
    ステナイト組織の面積率が5〜30%、硬さがHv32
    0〜500であり、さらに、前記範囲以外の任意の断面
    において、ベイナイト組織中の残留オーステナイト組織
    の面積率が5%以下であることを特徴とする耐表面損傷
    性および耐摩耗性に優れたベイナイト系レール。
  2. 【請求項2】 質量%で、さらに、 Mo:0.01〜1.00% を含有することを特徴とする請求項1に記載の耐表面損
    傷性および耐摩耗性に優れたベイナイト系レール。
  3. 【請求項3】 質量%で、さらに、 Ti:0.005〜0.050%、 Ni:0.05〜2.00% の1種または2種を含有することを特徴とする請求項1
    または2に記載の耐表面損傷性および耐摩耗性に優れた
    ベイナイト系レール。
  4. 【請求項4】 質量%で、さらに、 Cu:0.05〜1.00% を含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1
    項に記載の耐表面損傷性および耐摩耗性に優れたベイナ
    イト系レール。
  5. 【請求項5】 質量%で、さらに、 V :0.01〜0.30%、 Nb:0.01超〜0.05% の1種または2種を含有することを特徴とする請求項1
    〜4のいずれか1項に記載の耐表面損傷性および耐摩耗
    性に優れたベイナイト系レール。
  6. 【請求項6】 質量%で、さらに、 Mg:0.0005〜0.0300%、 Ca:0.0005〜0.0150% の1種または2種を含有することを特徴とする請求項1
    〜5のいずれか1項に記載の耐表面損傷性および耐摩耗
    性に優れたベイナイト系レール。
  7. 【請求項7】 質量%で、さらに、 B :0.0001〜0.0050% を含有することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1
    項に記載の耐表面損傷性および耐摩耗性に優れたベイナ
    イト系レール。
  8. 【請求項8】 請求項1〜7のいずれか1項に記載の成
    分を含有する鋼片をレール形状に熱闘圧延した後、熱間
    圧延ままのAr1 点以上の温度の鋼レール、あるいは熱
    処理する目的でAc1 点+30℃以上の温度に加熱され
    た鋼レールの少なくともレール頭部を、オーステナイト
    域温度から1〜30℃/secの冷却速度で加速冷却し、前
    記鋼レールの頭部の温度が500〜300℃の範囲に達
    した時点で加速冷却を停止し、その後、常温まで放冷す
    ることを特徴とする耐表面損傷性および耐摩耗性に優れ
    たベイナイト系レールの製造法。
JP2000391346A 2000-12-22 2000-12-22 耐表面損傷性および耐摩耗性に優れたベイナイト系レールおよびその製造法 Withdrawn JP2002194498A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000391346A JP2002194498A (ja) 2000-12-22 2000-12-22 耐表面損傷性および耐摩耗性に優れたベイナイト系レールおよびその製造法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000391346A JP2002194498A (ja) 2000-12-22 2000-12-22 耐表面損傷性および耐摩耗性に優れたベイナイト系レールおよびその製造法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2002194498A true JP2002194498A (ja) 2002-07-10

Family

ID=18857502

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000391346A Withdrawn JP2002194498A (ja) 2000-12-22 2000-12-22 耐表面損傷性および耐摩耗性に優れたベイナイト系レールおよびその製造法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2002194498A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN102534403A (zh) * 2010-12-17 2012-07-04 鞍钢股份有限公司 一种贝氏体热处理钢轨及其热处理方法
CN103993234A (zh) * 2014-04-23 2014-08-20 中建材宁国新马耐磨材料有限公司 一种中碳中铬合金钢耐磨衬板及其制备方法
CN107312976A (zh) * 2017-06-19 2017-11-03 武汉钢铁有限公司 一种贝氏体钢轨及生产方法

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN102534403A (zh) * 2010-12-17 2012-07-04 鞍钢股份有限公司 一种贝氏体热处理钢轨及其热处理方法
CN103993234A (zh) * 2014-04-23 2014-08-20 中建材宁国新马耐磨材料有限公司 一种中碳中铬合金钢耐磨衬板及其制备方法
CN107312976A (zh) * 2017-06-19 2017-11-03 武汉钢铁有限公司 一种贝氏体钢轨及生产方法
CN107312976B (zh) * 2017-06-19 2020-04-07 武汉钢铁有限公司 一种贝氏体钢轨及生产方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US5382307A (en) Process for manufacturing high-strength bainitic steel rails with excellent rolling-contact fatigue resistance
JP4644105B2 (ja) ベイナイト鋼レールの熱処理方法
JPH09316598A (ja) 耐摩耗性および溶接性に優れたパーライト系レールおよびその製造法
JP3513427B2 (ja) 耐摩耗性、耐内部疲労損傷性に優れたパーライト系レールおよびその製造方法
JPH08246100A (ja) 耐摩耗性に優れたパーライト系レールおよびその製造法
JP2004315928A (ja) 耐摩耗性および耐熱き裂性に優れた高炭素鉄道車両用車輪
JP4949144B2 (ja) 耐表面損傷性および耐摩耗性に優れたパーライト系レールおよびその製造方法
JP2000199041A (ja) 耐ころがり疲労損傷性、耐内部疲労損傷性に優れたベイナイト系レ―ル
JPH11152520A (ja) 耐表面損傷性および耐摩耗性に優れた高強度ベイナイト系レールの製造法
JP4598265B2 (ja) パーライト系レールおよびその製造法
JP3631712B2 (ja) 耐表面損傷性および靭性に優れた熱処理パーライト系レールおよびその製造法
JPH08246101A (ja) 耐摩耗性・耐損傷性に優れたパーライト系レールおよびその製造法
JP2000178690A (ja) 耐摩耗性、耐内部疲労損傷性に優れたパ―ライト系レ―ルおよびその製造法
JP2002363698A (ja) 耐ころがり疲労損傷性および耐摩耗性に優れたレールおよびその製造法
JP3522613B2 (ja) 耐ころがり疲労損傷性、耐内部疲労損傷性、溶接継ぎ手特性に優れたベイナイト系レールおよびその製造法
JP4795004B2 (ja) ベイナイト系レール
JPH06248347A (ja) ベイナイト組織を呈し耐表面損傷性に優れた高強度レールの製造法
JP2002194498A (ja) 耐表面損傷性および耐摩耗性に優れたベイナイト系レールおよびその製造法
JP3117916B2 (ja) 耐摩耗性に優れたパーライト系レールの製造法
JP3254051B2 (ja) 耐表面損傷性に優れた高強度ベイナイト鋼レールの製造方法
JP2002363697A (ja) 耐ころがり疲労損傷性および耐破壊性に優れたレールおよびその製造法
JP2003129182A (ja) 耐表面損傷性に優れたパーライト系レールおよびその製造法
JP2002194499A (ja) 耐表面損傷性および耐摩耗性に優れたベイナイト系レールおよびその製造法
JP3950212B2 (ja) 耐摩耗性に優れた高強度パーライト系レールの製造法
JP4214044B2 (ja) 耐摩耗性および延性に優れた高炭素鋼レールの製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A300 Withdrawal of application because of no request for examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300

Effective date: 20080304