JP4795004B2 - ベイナイト系レール - Google Patents
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Description
このダークスポット損傷は、従来からのパーライト組織を呈したレールが使用されている旅客鉄道の高速運転区間のレールで発生しやすいものである。
その結果、フェライト相とセメンタイト相の層状構造を成しているパーライト組織では、疲労ダメージ層が蓄積し易く、さらに、集合組織が発達し易いのに対して、柔らかなフェライト組織地に粒状の硬い炭化物が分散したベイナイト組織では、疲労ダメージ層が蓄積し難く、さらに、表面疲労損傷の引き金となる集合組織が発達し難く、結果としてダークスポット損傷が発生しにくいことが明らかとなった。そこで、ベイナイト組織を呈したレールとして下記に示すような製品および製造法が開発され、旅客鉄道の直線区間のレール寿命を改善している(例えば、特許文献1、2参照。)。
また、特許文献4の開示技術では、ベイナイト組織の生成に有効なMnの添加量を増加させ、さらに、Cr、Moの合金添加量の適正化を図り、電気抵抗の低減を図ったベイナイト組織を呈するレールを提供することができる。
電気抵抗計算値(μΩ・cm)
=10.1+6.1C+13.8Si+6.3Mn+5.2Cr+3.3Mo+17.2P+11.2S+5.0Nb+5.5V+2.5Ni+6.0Cu+2.9Ti+12.0Al−−−−−−−−−式1
Bst=Mo/(Mn+Cr) −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−式2
Beq=C+1/6Si+1/3Mn+1/4Cr+1/3Mo −−−−−−−式3
(但し、式中の元素記号はそれぞれの質量%を表す)
=10.1+6.1C+13.8Si+6.3Mn+5.2Cr+3.3Mo+17.2P+11.2S
+5.0Nb+5.5V+2.5Ni+6.0Cu+2.9Ti+12.0Al−−−−−−−式1
まず、レールの化学成分を上記のように定めた理由について説明する。
Cはベイナイト組織の強度と耐摩耗性を確保するための必須元素である。しかし、C量が0.15%未満では、ベイナイト組織中にフェライト組織が生成し、ベイナイトレールに必要とされる強度や耐摩耗性を確保することが困難となり、塑性変形起因のフレーキング損傷が発生する。また、C量が0.45%を超えると、ベイナイト組織中にパーライト組織が多く生成し、ころがり疲労損傷の一種であるダークスポット損傷が発生することや、ベイナイト変態速度が著しく低下し、レールの靭性に有害なマルテンサイト組織が生成しやすくなるため、C量を0.15〜0.45%に限定した。
Nbは、旧オーステナイト粒界から生成する初析フェライト組織やパーライト組織の生成を抑制し、焼入れ性の増加によりベイナイト組織を安定的に生成させる元素であり、さらに、熱間圧延時の冷却過程で生成したNb炭・窒化物による析出硬化でベイナイト組織の強度を高めると同時に、高温度に加熱する熱処理が行われる際に結晶粒の成長を抑制する作用によりオーステナイト粒を微細化させ、ベイナイト組織の延性や靭性を向上させるのに有効な成分である。しかし、Nb量が0.0050%未満では、上記の効果が期待できない。また、Nb量が0.0500%を超えると、Nbの金属間化合物や粗大析出物(炭化物)が生成し、靭性を低下させることから、Nb量を0.0050〜0.0500%に限定した。
次に、前記(A)において、電気抵抗値(μΩ・cm)を下記の式2で示す計算式で27.0μΩ・cm以下に定めた理由について説明する。
=10.1+6.1C+13.8Si+6.3Mn+5.2Cr+3.3Mo+17.2P+11.2S
+5.0Nb+5.5V+2.5Ni+6.0Cu+2.9Ti+12.0Al−−−−−−−式1
次に、前記(A)において、下記の式2に示すBst値を0.010〜0.500の範囲に限定した理由について説明する。
次に、前記(A)において、下記の式3に示すBeq値を0.72〜1.20の範囲に限定した理由について説明する。
次に、前記(H)において、ベイナイト組織の硬さをHv240〜380の範囲に限定した理由について説明する。
次に、前記(H)において、硬さHv240〜380のベイナイト組織を有する範囲を、頭部コーナー部および頭頂部の該頭部表面を起点として深さ15mmの範囲に限定した理由について説明する。
表2-1、表2-2に本発明レール鋼の化学成分(残部は不可避的不純物およびFe)、電気抵抗計算値(前記式1で算定した。単位:μΩ・cm)、Bst値(前記式2で算定した)、Beq値(前記式3で算定した)、頭部ミクロ組織とその生成比率、レール頭部の硬さを示す。表2-1、表2-2において、頭表部はレール頭頂部の表面下2mmの位置を示し、頭部内部はレール頭頂部の表面下15mmの位置を示す。また、表2-2には、図2に示す方法で行ったころがり疲労損傷試験の結果も併記した。
上記限定成分範囲内で、レール頭部がベイナイト組織であることを特徴とする耐ころがり疲労損傷性に優れた低電気抵抗ベイナイト系レール。
鋼:15〜16:
Cの添加量が上記限定の成分範囲外の比較レール鋼(2本)。
鋼:17〜18:
Siの添加量が上記限定の成分範囲外の比較レール鋼(2本)。
鋼:19〜21:
Mn、Cr、Moの添加量が上記限定の成分範囲外の比較レール鋼(3本)。
鋼:22〜23:
P、Sの添加量が上記限定の成分範囲外の比較レール鋼(2本)。
鋼:24〜25:
Bst値が上記限定の範囲外の比較レール鋼(2本)。
鋼:26〜27:
Beq値が上記限定の範囲外の比較レール鋼(2本)。
[ころがり疲労試験機]
試験片形状:円盤状試験片(外形200mm)
(1)レール材断面形状:60Kレールの1/4モデル
(2)車輪材断面形状:円弧踏面車輪の1/4モデル
真空溶解→圧延・鍛造→熱処理→円盤加工
試験荷重:1.0トン(ラジアル荷重)
雰囲気:乾燥+水潤滑(60cc/min)
回転数:乾燥;100rpm、水潤滑;300rpm
繰返し回数:0〜5000回まで乾燥状態、その後、水潤滑により損傷発生まで。
(損傷が発生しない場合は200万回で試験を中止)
2:頭部コーナー部、
3:車輪試験片、
4:レール円盤試験片、
5:車輪側モーター、
6:レール側モーター、
7:水潤滑装置
Claims (7)
- 質量%で、
C:0.15〜0.45%、Si:0.01〜0.10%未満、
Mn:0.65〜1.80%、Cr:0.20〜1.80%、
Mo:0.01〜0.50%未満、
P:0.025%以下、
S:0.025%以下
を含有し、残部が鉄および不可避不純物からなる鋼レールであって、下記の式1から算定される電気抵抗値が27.0μΩ・cm以下、さらに、下記の式2から算定されるBst値が0.010〜0.500の範囲であり、かつ、下記の式3から算定されるBeq値が0.72〜1.20の範囲であり、かつ、頭頂部およびその少なくとも一方側に位置する頭部コーナー部それぞれの表面を起点として、少なくとも深さ15mmの範囲が硬さHv240〜380であることを特徴とするベイナイト組織を呈したベイナイト系レール。
電気抵抗計算値(μΩ・cm)
=10.1+6.1C+13.8Si+6.3Mn+5.2Cr+3.3Mo+17.2P+11.2S+5.0Nb+5.5V+2.5Ni+6.0Cu+2.9Ti+12.0Al −−−−−式1
Bst=Mo/(Mn+Cr) −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−式2
Beq=C+1/6Si+1/3Mn+1/4Cr+1/3Mo −−−−−−式3
(但し、式中の元素記号はそれぞれの質量%を表す) - 質量%で、さらに、
Nb:0.0050〜0.0500%、
V:0.01〜0.30%
の1種または2種を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなることを特徴とする請求項1に記載のベイナイト系レール。 - 質量%で、さらに、
B:0.0001〜0.0050%
を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなることを特徴とする請求項1〜2のいずれか1項に記載のベイナイト系レール。 - 質量%で、さらに、
Ni:0.05〜1.00%
を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のベイナイト系レール。 - 質量%で、さらに、
Cu:0.05〜1.00%
を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のベイナイト系レール。 - 質量%で、さらに、
Ti:0.0050〜0.0500%
を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のベイナイト系レール。 - 質量%で、さらに、
Al:0.0040〜0.0100%
を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のベイナイト系レール。
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JP2005342849A JP4795004B2 (ja) | 2005-11-28 | 2005-11-28 | ベイナイト系レール |
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