JP2002194480A - 被削性および冷間加工性に優れた鋼、および機械部品 - Google Patents

被削性および冷間加工性に優れた鋼、および機械部品

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JP2002194480A JP2000389306A JP2000389306A JP2002194480A JP 2002194480 A JP2002194480 A JP 2002194480A JP 2000389306 A JP2000389306 A JP 2000389306A JP 2000389306 A JP2000389306 A JP 2000389306A JP 2002194480 A JP2002194480 A JP 2002194480A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 被削性及び冷間加工性に優れた鋼を提供す
る。 【解決手段】 質量%で、Mg:0.0005〜0.0
2%、S:0.003〜0.07%を含有すると共に、
圧延材の縦断面積0.5mm×0.5mm中に存在する硫化物中の
MgとSの原子比が平均で0.01〜0.20であり、
該縦断面積中に存在する長さ50μm以上の硫化物が全
硫化物に占める比率が面積率で10%以下を満足するも
のである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、被削性および冷間
加工性の双方に優れた鋼、及び該鋼を用いて得られる機
械部品に関するものである。本発明の鋼は、冷間鍛造、
冷間圧造、冷間転造等の冷間加工によって所定形状に冷
間加工した後、切削加工により最終仕上げ加工を行う分
野に好適に利用することができる。
【0002】
【従来の技術】冷間加工は、熱間加工に比べて生産性が
高いうえに鋼材の歩留まりも良好なことから、ボルト、
ナット、ねじ等の機械部品や電装部品を効率よく製造す
る為の方法として汎用されている。近年における冷間加
工技術の向上は著しく、ニアネットシェイプ、ネットシ
ェイプ等により、仕上げ切削加工の工程を減らそうとい
う試みがなされている。しかしながら、最終製品の精度
や表面品位に対する要求特性を満足させるには、まだま
だ切削加工に頼らざるを得ないのが現状であり、従っ
て、被削性と冷間加工性の双方に優れた鋼への要求は、
依然高いものがある。
【0003】ここで、被削性の向上に関しては、鋼中に
Sを添加し、MnS等の硫化物を形成させたり、Pbを
添加することが有効であることは良く知られている。と
ころが鋼中にSやPbを添加すると冷間加工性が低下す
るという問題がある。
【0004】そこで上記問題を解決し、硫化物の形態を
制御して冷間加工性の向上を図るべく、本願出願人は種
々提案している。
【0005】例えば特開昭49−58019及び特
開昭50-7717には、Sを0.04〜0.09%含
有し、ZrをZr/S:0.5〜4または0.7〜2.
5の割合で含有する被削性および冷間加工性に優れた鋼
が開示されている。これは、鋼中にSを添加することに
より被削性を改善させると共に、S添加による冷間加工
性の劣化を回復すべくZrを添加し、Zr/Sの比率を
制御するというものである。Zrを添加し、MnS中に
Zrを固溶させ、(Mn,Zr)Sとすることにより硫
化物の変形能が低下し、冷間加工性向上に悪影響を及ぼ
す圧延方向に長く伸びた硫化物が、丸みを帯びた硫化物
となる結果、冷間加工性が向上するのである。
【0006】更に特公昭59−47024は、「細長
く延伸した硫化物系介在物は冷間加工性を阻害する為、
鋼中のS含有量を極力抑えることが有効であるが、反
面、S含有量の減少に伴い被削性は著しく低下する」と
いう実情に鑑み、鋼中の硫化物の組成を、従来のMnS
主体のものから、Caによる脱酸、脱硫後にSを0.0
1〜0.15%添加することにより微細に分散したCa
S、Ca−Mn−S系の高融点硫化物とし、圧延後の加
工時に延伸し難い硫化物とすることにより、鋼中のS量
を著しく低下させることなしに鋼材の異方性を軽減して
冷間加工性の改善を図るものである。即ち、この技術
は、上記またはで用いたZrの代わりにCaを添加
して同様の効果を得ようとするものであり、S及びCa
の強制添加により、硬質酸化物であるAl23を低減せ
しめ、被削性を改善しようというものである。
【0007】この様に本願出願人は、これまでにも、硫
化物形成による被削性向上を図りつつ、該硫化物の形態
を制御して冷間加工性の改善を図るという観点から、鋼
中にZrやCaを添加する技術を開示しているが、本発
明では上記従来技術とは異なり、Mg添加により硫化物
の形態を制御し、被削性と冷間加工性の双方に優れた新
規な鋼を提供しようというものである。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、冷間
加工後に切削加工される鋼に適用される鋼であって、優
れた冷間加工性を保持したまま、被削性を向上すること
のできる鋼を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決し得た本
発明の被削性および冷間加工性に優れた鋼とは、質量%
で(以下、特に断らない限り、「%」とは「質量%」を
意味するものとする)、Mg:0.0005〜0.02
%、S:0.003〜0.07%を含有すると共に、圧
延材の縦断面積(圧延方向と平行な断面)0.5mm×0.5mm
中に存在する硫化物中のMgとSの原子比が平均で0.
01〜0.20であり、該縦断面積中に存在する長さ5
0μm以上の硫化物が全硫化物に占める比率が面積率で
10%以下を満足するところに要旨を有するものであ
る。ここで、Mgの含有量は下式(1)及び/又は
(2)を満足し、Al:0.001〜0.05%、O:
0.0040%未満(0%を含まない)を含有すること
が推奨される。添加したMgは、酸化物及び硫化物の形
成に用いられるが、酸化物の形成に寄与するMg量を考
慮し、上記式を設定した次第であり、これにより、硫化
物中のMg/Sの原子比を適切に調整することが可能に
なる。 ([S]/150)+0.75×[O]≦[Mg]≦([S]/20)+0.75×[O]…(1) [Mg]≧0.05×[Al] …(2) 式中、[ ]は、各元素の含有量(質量%)を意味す
る。
【0010】本発明鋼は、基本的にC :0.001〜
0.7%、Si:1%以下(0%を含む)、Mn:2%
以下(0%を含む)を含有し、残部:実質的に鉄である
が、更に、P:0.03%以下(0%を含む)、Cr:
1.5%以下(0%を含む)、N:0.002〜0.0
3%を含有するもの;Ca:0.01%以下(0%を含
まない)を含有するもの;B:0.006%以下(0%
を含まない)を含有するもの;Pb:0.1%以下、及
び/又はBi:0.1%以下を含有するものは、いずれ
も本発明の好ましい態様である。
【0011】更に、上記鋼を用いて得られる機械部品も
本発明の範囲内に包含される。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明者らは、被削性と冷間加工
性の双方に優れた新規な鋼を提供すべく、鋭意検討して
きた。基本的には、「鋼中にSを添加し、MnS等の硫
化物を形成させて被削性を向上させると共に、硫化物の
形態を制御して冷間加工性を改善する」という観点に立
ち、特に、Mg添加によって硫化物の形態を制御する方
法について検討を重ねてきた。その結果、硫化物形成に
伴う冷間加工性の低下を防止するには、硫化物中のMg
とSの原子比を所定範囲内に制御することが有効である
こと、更に、硫化物のなかでも特に大きな硫化物(具体
的には長さ50μm以上の硫化物)が冷間加工性に悪影
響を及ぼすことを突き止め、本発明を完成した。
【0013】尚、本発明と同様、Mgに着目して硫化物
の形態制御を図り、被削性と冷間加工性の両立を図る技
術はこれまでにも開示されている。例えば特公昭46
−30935には、被削性改善の目的でMgを添加する
技術が開示されている。また、特公昭52−7405
及び特公昭46−30935には、MgとS,Se、
Teの元素を複合添加することによって鋼中に細かく分
散した快削性介在物が形成され、被削性が向上する旨記
載されている。
【0014】更に最近では、歯車用浸炭用鋼の分野にお
いても、歯元疲労強度及び耐ピッチング性に優れた歯車
を提供する目的で、鋼中にMgを含有する歯車用浸炭用
鋼が提案されている(特開平7−188853及び
特開平7−238342)。これらの公報には、Mg添
加により酸化物系介在物のサイズが微細化されて面疲労
強度が向上すると共に、MnSにMgが複合して(M
n,Mg)Sとなって球状化される為、圧延時の延伸性
が大幅に抑制され、歯車の曲げ疲労強度が顕著に向上す
ることが記載されている。
【0015】しかしながら、上記公報を精査しても、被
削性を向上させつつ冷間加工性の改善を図るには、硫化
物中のMgとSの原子比、および長さ50μm以上の硫
化物を夫々制御することが有用である、という本発明の
最重要ポイントについては開示も示唆もされていない。
上記の如く硫化物を制御する為には、特に、熱間圧延条
件を適切に制御することが重要であるが、従来の製造方
法では、この点に関する配慮が充分なされているとは言
えず、所望の硫化物形態に制御することは極めて困難だ
からである。
【0016】以下、本発明の特性である被削性及び冷却
間加工性について説明する。
【0017】まず、被削性向上についてであるが、本発
明では、Mg添加により、特に工具寿命低下に大きな影
響を及ぼすAl23等の酸化物系介在物の組成を改質
し、更に微細化して無害化させるものであり、この点は
基本的に、上記〜の場合と同様である。通常の鋼は
Al,Siにより脱酸されるが、その結果、鋼中に形成
される酸化物(特にAl23)は非常に硬く、切削加工
時に工具のアブレッシブ摩耗を助長させ、工具寿命を低
下させる。Mgを添加すると、上記酸化物はAl 23
ら、MgO・Al23またはMgOに改質される。この
MgO・Al23またはMgOは、Al23と比べて凝
集し難い為、微細に分散させることが可能である。更
に、これら酸化物を核として硫化物を晶出させ、酸化物
を軟らかい硫化物で包むことにより、より無害化され、
被削性を向上させることができると考えられる。
【0018】次に、本発明の最重要ポイントである冷間
加工性の向上について述べる。これは、本願出願人が先
に開示した前記及びの技術、即ち、CaやZrをM
nS中に固溶させ、(Mn,Ca)Sや(Mn,Zr)
Sとし、硫化物の延伸を抑制する技術と同様の観点から
なされたものであり、CaやZrの代わりにMgを添加
するものである。溶鋼中に添加されたMgは、Al23
等の酸化物組成を改質するのに使用されると共に、その
残りはMnS中に固溶することになる。つまり、MnS
が(Mn,Mg)Sに変化するのであるが、この改質効
果により、硫化物(MnS)の延伸が抑制されて球状化
が達成される結果、冷間加工性が向上するのである。
【0019】この様に本願発明における冷間加工性の向
上は、基本的には従来の考え方を踏襲するものである
が、本発明者らが検討を重ねたところ、それだけでは充
分優れた特性を得ることはできず、更に、硫化物中のM
g/S原子比、長さ50μm以上の大きな硫化物を制御
することが必要であることが明らかになった。
【0020】まず、本発明では硫化物中のMg/S原子
比を所定範囲に制御することが必要である。ちなみに鋼
中のMg/S原子比を制御することは従来でも行われて
いた(例えば前記及び)が、本発明は、鋼中のMg
/S原子比ではなく、硫化物中のMg/S原子比を制御
する点で相違する。本発明者らが検討したところ、従来
の様に鋼中のMg/S原子比を制御するだけでは、添加
したMgが全て、冷間加工性向上に有効な(Mn,M
g)Sに全て変化する訳では決してなく、冷間加工性に
悪影響を及ぼすMgO等の酸化物を形成するのに使用さ
れる為、期待した程度の冷間加工性が必ずしも得られな
いことが分かった。そこで本発明者らは発想を変え、冷
間加工性に直接影響を及ぼす硫化物中のMg/S原子比
に着目し、当該原子比を制御できないか、更に検討を重
ねた。その結果、Mgの量を、好ましくは上式(1)及
び/又は(2)を満足する様に制御して添加すれば、硫
化物中のMg/S原子比をうまくコントロールすること
ができることを突き止めた。具体的には、硫化物中のM
g/S原子比を0.01〜0.20とすることが有効で
あることを見出した。
【0021】ここで、硫化物中のMg/S原子比が0.
01未満では所望の効果が得られない。好ましくは0.
03以上、より好ましくは0.05以上である。但し、
上記原子比が0.20を超えると、球状でも大きい硫化
物が生成し易くなり、コスト面でも不利である。好まし
くは0.17以下、より好ましくは0.15以下であ
る。
【0022】尚、Mg添加により硫化物の形態を制御す
るという本発明の趣旨からすれば、理論的には、硫化物
中のMg/S原子比ではなく、硫化物中のMg濃度を特
定する方が適切である。しかしながら、実際にMnS中
のMg濃度を測定しようとすると、MnSサイズの影響
を受け、正確なMg濃度の測定値が得られないのが実情
である。そこで測定困難なMg濃度に代えてMg/Sの
原子比を定めた次第である。
【0023】詳細には、圧延方向と平行な縦断面で切断
し、鏡面を研磨したサンプルについて、光学顕微鏡(倍
率100倍)を用い、0.5mm×0.5mmの視野に
存在する硫化物を50個以上任意に選択し、EPMAに
て組成分析した。同様の操作を合計100視野について
実旋し、その平均値を硫化物中のMg/S原子比とし
た。
【0024】尚、本発明における硫化物とは、MnSの
他、FeS,MgS等、或いはこれらの複合物[(M
n,Fe)S,(Mn,Mg)S,(Mn,Fe,M
g)S等]等が挙げられる。その他、Ca,Zr,RE
M,Ti等を含む硫化物も包含される。尚、Mgは、す
べての硫化物中に含まれる必要はないが、硫化物の特性
を均一化する(硫化物形態制御による被削性及び冷間加
工性の向上効果を有効に発揮させる)という観点からす
れば、できるだけ多くの硫化物中にMg量が同程度に含
まれていることが推奨される。
【0025】この様に硫化物中のMg/S原子比を制御
することにより硫化物を球状化させることができるが、
単に硫化物を球状化するだけでは、所望の冷間加工性向
上効果は得られないことが分かった。従来は、「細長く
圧延した硫化物系介在物は冷間加工性に悪影響を及ぼす
ので、丸みを帯びた硫化物に制御する」という認識のも
と、鋭意検討されてきた。ところが本発明者らの検討結
果によれば、細長く延びた硫化物であっても、サイズが
小さいものは冷間加工性を阻害しないこと;また、硫化
物を球状にしても、サイズが大きいものは冷間加工性を
阻害することが始めて明らかになった。即ち、冷間加工
性に最も寄与するのは、硫化物の形状(細長い形状・球
状形状)ではなく、サイズであることを突き止め、本発
明では、長さ50μm以上の硫化物が全硫化物中に占め
る比率を面積率で10%以下に制御した次第である。逆
に言えば、硫化物が存在していても、長さ50μm未満
の硫化物が90%を超える面積率で存在するものは、優
れた冷間加工性が得られるのである。
【0026】ここで、「長さ」とは、上記縦断面にて観
察される硫化物のうち最大の長さを意味する。従って、
本発明では、長さが50μm以上のものであれば、細長
い形状の硫化物は勿論のこと、球状の硫化物であって
も、当該硫化物が全硫化物中に占める比率が面積率で1
0%以下のものは全て本発明の範囲内に包含される。上
記趣旨からすれば、当該硫化物の面積率は少なければ少
ない程好ましく、0%も本発明の範囲内に包含される。
【0027】ここで、硫化物の面積率は、圧延方向に平
行な縦断面の埋込サンプルを研磨したものについて、光
学顕微鏡(倍率100倍)を用い、一視野当たり0.5
mm×0.5mm、合計100視野を画像解析装置(株
式会社ニレコ製LUZEXF)で測定したデータを基に
算出した。尚、測定は観察した画像を二値化処理して行
った。二値化のレベルはRGBで取り込み、R:125
/180,G:110/180,B:120/180に
調整し、グレーレベルは明るさによって硫化物がマトリ
ックスに対して充分区別できるように、その都度調整し
た。
【0028】次に、本発明を構成する鋼中成分について
説明する。
【0029】Mg:0.0005〜0.02% Mgは、酸化物・硫化物の形態を制御して所望の被削性
及び冷間加工性を得る為に必須の元素である。特に、酸
化物及び硫化物の双方を所望の形態に制御する為には少
なくとも0.0005%以上添加することが必要であ
る。好ましくは0.0010%以上、より好ましくは
0.0015%以上である。但し、過剰に添加しても効
果は飽和してしまい、経済的に無駄であるので、その上
限を0.02%とした。好ましくは0.015%以下、
より好ましくは0.012%以下である。
【0030】S:0.003〜0.07% Sは、被削性向上に必須の元素であり、この様な作用を
有効に発揮させる為には0.003%以上添加すること
が必要である。好ましくは0.005%以上、より好ま
しくは0.008%以上である。但し、過剰に添加する
と冷間加工性が低下するのみならず、「Mg添加による
硫化物形態の適正化」という本願発明の課題を達成する
うえでも、その上限を0.02%とする。好ましくは
0.15%以下、より好ましくは0.12%以下であ
る。
【0031】O:0.0040%未満(0%を含まな
い) Oは酸化物を形成し、該酸化物が硫化物の核となり得る
為、有用な元素であるが、過剰に添加すると被削性が低
下するので、その上限を0.0040%未満とする。好
ましくは0.0020%未満である。
【0032】尚、硫化物中への固溶に必要なMg量は、
硫化物中のS量及びO量によっても変化するので、上式
(1)を満足するMg量を鋼中に添加することが推奨さ
れる。
【0033】Al:0.001〜0.05% Alは脱酸元素として有用であるが、0.001%未満
では、脱酸作用が不充分であり、酸素量の制御が困難で
ある。また、AlはMgと複合酸化物を形成して硫化物
の核となって、硫化物の形態制御に寄与するが、0,0
01%未満では、かかる作用も充分発揮されない。好ま
しくは0.005%以上である。但し、0.05%を超
えると、硬質なアルミナ系酸化物が主に形成され、被削
性が低下するほか、硫化物中のMg量を低下させる等の
不具合が生じる。好ましくは0.045%以下である。
【0034】尚、硫化物中のMg量を低下させないよう
にする為には、上式(2)を満足する様に、Alを鋼中
に含有することが推奨される。
【0035】参考までに、本発明の必須元素である上記
Mn,Sの各添加量と、本発明で特定する要件・特性と
の関係をグラフ化して示す(図1〜8)。
【0036】まず、図1〜5は、後記する実旋例におい
て、Mg添加量を種々変化させたNo.1〜4と、Mg
を含有しないNo.12[これらは、Mgを除く主成分
元素は、同一の狙い(S45C)で溶製したものであ
る]の結果をプロットしたものである。
【0037】このうち図1は、Mg量と、硫化物中のM
g/S原子比との関係をグラフ化したものである。図1
より、Mg添加によりMg/Sの原子比が大きくなり、
0.0005%以上添加すると、所望の原子比に制御で
きることが分かる。
【0038】また、図2は、Mg量と、全硫化物中に占
める長さ50μm以上の硫化物面積率との関係をグラフ
化したものである。図2より、Mg添加によって、所望
とする長さ50μm以上の硫化物面積率は小さくなり、
0.0005%以上添加すると、所望の面積率に制御で
きることが分かる。
【0039】また、図3〜5は、Mg量と割れ発生限界
(冷間加工性の指標)との関係、Mg量とドリル寿命
(被削性の指標の一つ)との関係、Mg量と超硬旋削寿
命(被削性の指標の一つ)との関係を、夫々グラフ化し
たものである。これらの図より、Mg添加によって上記
の諸特性は向上し、Mgを0.0005%以上添加する
と、本発明の目標レベル[割れ発生限界率55%以上、
ドリル寿命(V100)30m/min以上、超硬旋削寿命(T
200)35min以上]をクリアできることが分かる。
【0040】次に、図6〜8は、後記する実旋例におい
て、S添加量を種々変化させたNo.1〜4、5−1、
6−1(全てMg添加鋼)、12〜14(Mg無添加
鋼)[これらは、Sを除く主成分元素は、同一の狙い
(S45C)で溶製したものである]の結果をプロット
したものであり、S量と割れ発生限界との関係(図
6)、S量とドリル寿命との関係(図7)、S量と超硬
旋削寿命との関係(図8)を示夫々示している。
【0041】S量が増えると鋼中の硫化物が増加し、被
削性は向上する反面、冷間加工性が低下することは周知
であるが、上記図6〜8の結果より、Mgを添加した本
発明鋼(No.1〜4、5−1、6−1;図中◆)で
は、Mgを添加しない比較鋼(No.12〜14;図中
◇)とは異なり、冷間加工性を阻害することなく被削性
が向上することが分かる。このことは、S量を概ね同一
にしたときの各供試鋼間で対比すると明瞭でなる。例え
ば、S量が約0.01%と略同一であるがMg添加の有
無が相違するNo.1〜4とNo.12;S量が約0.
04%と略同一であるがMg添加の有無が相違するN
o.5−1とNo.13;S量が約0.06%と略同一
であるがMg添加の有無が相違するNo.6−1とN
o.14とを夫々比較すると、いずれもMg添加によ
り、冷間加工性、被削性が共に向上している。特に被削
性に関しては、Mgを添加した上記の各供試鋼は、Sが
通常レベルのS45Cベース鋼に、更にSを0.06%
添加したNo.14(S:0.06%,Mg無添加)と
同等またはそれ以上の優れた被削性が得られている。同
様に冷間加工性に関しても、Mgを添加した上記の各供
試鋼は、S45Cベース鋼であるNo.12(S:0.
012%,Mg無添加)と同等またはそれ以上の優れた
冷間加工性が得られた。
【0042】以上、本発明を特徴付けるMg、Sの各成
分について詳述したが、次に、本発明を構成する基本成
分について説明する。
【0043】C:0.001〜0.7% Cは、最終製品の強度を確保する為に必須の元素であ
る。0.001%未満では所望の強度が得られない。好
ましくは0.003%以上である。一方、0.7%を超
えると強度が高過ぎて冷間加工性が大幅に低下する。好
ましくは0.6%以下である。
【0044】Si:1%以下(0%を含む) Siは脱酸剤として有用な元素であり、この様な作用を
有効に発揮させる為には0.005%以上(より好まし
くは0.01%以上)添加することが好ましい。但し、
過剰に添加すると固溶強化により冷間加工性、被削性共
に低下する為、その上限を1%とした。好ましくは0.
7%以下である。
【0045】Mn:2%以下(0%を含む) Mnは、所定の強度を付与すると共に、MnS介在物を
形成し、被削性を向上させる為に有効な元素である。こ
の様な作用を有効に発揮させる為には0.40%以上
(より好ましくは0.50%以上)添加することが好ま
しい。但し、過剰に添加すると強度が高くなり過ぎて冷
間加工性が低下する為、その上限を2%とした。好まし
くは1.6%以下である。
【0046】本発明の鋼は上記成分を基本的に含有する
ものであり、残部:鉄及び不純物であるが、Mg添加に
よる硫化物の形態制御作用を一層有効に発揮させる等の
目的で、更に下記元素を積極的に添加することができ
る。
【0047】Ca:0.01%以下(0%を含まない) Caは硫化物の形態制御に有効な元素であり、この様な
作用を有効に発揮させる為には、0.0005%以上
(より好ましくは0.0010%以上)添加することが
好ましい。但し、過剰に添加してもその効果は飽和して
しまい、経済的に無駄であるので、その上限を0.01
%とした。好ましくは0.008%以下である。
【0048】B:0.006%以下(0%を含まない) Bは、BNを形成し、固溶Nによる時効効果によって冷
間加工時の荷重を低減させるのに有効な元素である。従
って、被削性よりも冷間加工性を重視する場合には積極
的に添加することが好ましく、0.0005%以上(よ
り好ましくは0.0010%以上)添加することが推奨
される。但し、過剰に添加すると熱間延性を低下させる
為、その上限を0.006%とした。好ましくは0.0
05%以下である。
【0049】Pb:0.1%以下(0%を含まない)及
び/又はBi:0.1%以下(0%を含まない) Pb及びBiの低融点金属は、被削性向上に極めて有効
な元素である。従って、冷間加工性よりも被削性が重視
される場合には、夫々、0.005%以上(より好まし
くは0.01%以上)添加することが推奨される。しか
し、過剰に添加すると冷間加工性が低下する為、その上
限を0.1%とした。好ましくは夫々、0.09%以下
である。尚、これらの元素は、単独で使用しても良い
し、両者を併用しても構わない。
【0050】更に本発明では、下記元素を以下の様に制
御することが推奨される。
【0051】P:0.03%以下(0%を含む) Pは鋼の延性を低下させる為、できるだけ少ない方が好
ましい。本発明では不純物レベルで、どうしても含まれ
てしまうP量の上限を0.03%とした。好ましくは
0.02%以下である。
【0052】Cr:1.5%以下(0%を含む) Crは所定の強度を付与するのに有効な元素である。こ
の様な作用を有効に発揮させる為には0.03%以上
(より好ましくは0.05%以上)添加することが好ま
しい。しかし、多量に添加すると硬くなり過ぎて冷間加
工性および被削性に悪影響を及ぼすことから、その上限
を1.5%とした。好ましくは1.2%以下である。
【0053】N:0.002〜0.03% Nは、鋼中に硬い窒化物、炭窒化物を生成して冷間加工
性を阻害する元素であるので、被削性よりも冷間加工性
を重視する場合には、できるだけ少ない方が好ましい。
但し、被削性向上の観点からすれば、時効効果により鋼
を脆化させる為、有用な元素でもある。本発明では上記
特性を総合的に勘案して、下限を0.002%、上限を
0.03%に定めた。好ましくは0.003%以上、
0.025%以下である。
【0054】上記元素の他、本発明の作用を損なわない
範囲で他の元素を添加することも可能である。例えば、
JIS G 4051に規定される機械構造用炭素鋼鋼材、JIS
G4102に規定されるニッケルクロム鋼鋼材、JIS G 41
03に規定されるニッケルクロムモリブデン鋼鋼材、JIS
G 4104に規定されるクロム鋼鋼材、JIS G 4105に規
定されるクロムモリブデン鋼鋼材、JIS G 4106に規定
される機械構造用マンガン鋼鋼材及びマンガンクロム鋼
鋼材等にも適用することができる。また、ボロン鋼鋼
材、非調質鋼鋼材等にも適用可能である。本発明に用い
られる他の元素の好適添加量は以下の通りである。
【0055】Cu:2.0%以下(0%を含む)、N
i:2.0%以下(0%を含む)、Mo:1.0%以下
(0%を含む) これらの元素はいずれも、所望の強度を確保するのに有
用な元素である。この様な作用を有効に発揮させる為に
は、Cu:0.01%以上、Ni:0.01%以上、M
o:0.01%以上添加することが好ましい。但し、過
剰に添加すると被削性が低下する等の悪影響を及ぼすの
で、用途に応じて、その上限を上記範囲内に適切に制御
することが推奨される。
【0056】Ti:0.3%以下(0%を含む)、V:
0.5%以下(0%を含む)、Nb:0.3%以下(0
%を含む) これらの元素はいずれも、調質後の組織の微細化、強度
・靭性バランスの向上に有効な元素である。また、非調
質鋼においても、強度を大幅に向上し、組織も微細化し
て靭性を向上させるというメリットがある。この様な作
用を有効に発揮させる為には、Ti:0.005%以
上、V:0.005%以上、Nb:0.002%以上添
加することが好ましい。但し、過剰に添加すると逆に悪
影響を及ぼす様になるので、その上限を上記範囲に適切
に制御することが推奨される。
【0057】次に、本発明の最重要ポイントである硫化
物の形態を制御する方法について説明する。
【0058】前述した通り、本発明は、硫化物中のMg
/S原子比を制御すると共に、長さ50μm以上の硫化
物の面積率を制御するところに最重要ポイントが存在す
る。このうち前者(硫化物中のMg/S原子比)は、上
述した通りであるので、後者の「長さ50μm以上の硫
化物を制御する」方法について説明する。
【0059】本発明の如く硫化物のサイズを制御する為
には、特に、熱間圧延条件を適切に制御することが必要
である。具体的には、鋼片の加熱温度を950〜105
0℃とし、圧延終了温度を925℃以上に制御する、と
いう高温圧延を採用するものであり、圧延終了後、85
0〜600℃までの冷却速度は5℃/秒以下に制御する
ことにより、所望の硫化物形態を得ることができる。本
発明の如く圧延条件を高温に制御する方法は、実操業レ
ベルでは現実に採用されていなかったというのが実情で
あるが、本発明では、敢えてこの様な高温圧延を旋すこ
とによって所望の硫化物を形成させ、被削性及び冷間加
工性の飛躍的向上に成功したものである。
【0060】以下、各要件について説明する。
【0061】鋼片の加熱温度:950〜1050℃ 圧延終了温度 :925℃以上 本発明では、鋼片の加熱温度950℃以上、圧延終了温
度925℃以上と高温圧延する。この様に高温加熱する
ことにより所望の硫化物形態が得られる理由は詳細には
不明であるが、以下の様に考えられる。これらの温度が
低いと、硫化物がマトリックスより変形抵抗が小さい
為、より延伸し易くなる。これに対し、上記温度が高温
になると、硫化物とマトリックスの変形抵抗が逆転する
か、または両者の差が小さくなることにより硫化物が延
伸し難くなったものと考えられる。好ましくは、鋼片の
加熱温度:950℃以上(より好ましくは960℃以
上)、圧延終了温度:925℃以上(より好ましくは9
30℃以上)に制御することが推奨される。
【0062】但し、鋼片の加熱温度が1050℃を超え
ると、結晶粒が粗大化して延性が低下する他、生産性が
低下する等の問題がある。好ましくは1040℃以下、
より好ましくは1030℃以下である。
【0063】また、圧延終了温度の上限は特に限定され
ないが、実操業レベルに適用することを考慮すると10
00℃以下(より好ましくは980℃以下)に制御する
ことが推奨される。
【0064】850〜600℃までの冷却速度:5℃/
秒以下 本発明材は冷間加工に供される為、圧延後の強度は小さ
い方が好ましい。圧延仕上がり温度は圧延後の強度に大
きな影響を及ぼし、圧延仕上がり温度が高いと圧延後の
強度は高くなり易い為、本発明では、圧延後の冷却速度
も制御する必要がある。かかる観点から、本発明では圧
延完了後、850〜600℃までの冷却速度を5℃/秒
以下に定めた。好ましくは4.5℃/秒以下、より好ま
しくは4℃/秒以下である。ここで、圧延温度とは、圧
延中の鋼材の表面温度を放射温度計にて測定した温度の
ことである。
【0065】この様に所望の硫化物形態を得る為には、
上記圧延条件及び圧延後の冷却速度に制御することが必
要であり、その他の要件については特に限定されず、所
望の形態が得られる様、適宜好適な条件を採用すること
ができるが、例えば、圧延開始温度を概ね930℃以
上、粗列圧延終了温度を概ね900℃以上に制御するこ
とが推奨される。
【0066】以下実旋例に基づいて本発明を詳述する。
ただし、下記実旋例は本発明を制限するものではなく、
前・後記の趣旨を逸脱しない範囲で変更実旋することは
全て本発明の技術範囲に包含される。
【0067】
【実旋例】高周波溶解炉を用い、表1に示すS45Cを
ベースとした化学成分の鋼材を溶製し、155mm角の
鋼片を作製した。その後、表2に示す圧延条件で鋼片を
加熱、熱間圧延し、φ50mmの棒鋼とした。
【0068】次に、硫化物の形態を調査すべく、前述の
方法により硫化物中のMg/S原子比、および全硫化物
中に占める長さ50μm以上の硫化物の面積率を測定し
た。
【0069】また、冷間加工性及び被削性の評価方法は
以下の通りである。
【0070】[冷間加工性]圧延材のD/4部よりφ2
0×30mmの試験片(平滑)を作製し、1600tメカニ
カルプレスにより圧縮試験を行い、割れ発生限界を調査
することにより冷間加工性を評価した。尚、この試験方
法は、日本塑性加工学会が「鍛造、塑性加工技術シリー
ズ4」コロナ社、155頁で推奨する内容を参考にした
ものであり、試験片としては、当該頁付図1の1号A
(φ20×30mm)を用い、耐圧板は、同心円溝付き
拘束型耐圧板を使用した。
【0071】割れ発生限界は、各供試材につき、5個ず
つの試験片を加工率2.5%ずつ繰返し加工していき、
全ての試験片表面に割れが発生しない加工率の最大値と
定義した。
【0072】[被削性]被削性の評価は、ハイスドリル
寿命試験及び超硬旋削寿命試験によって行った。各試験
条件は以下の通りである。ハイスドリル試験条件 切削様式 :ドリル 工具 :φ10ストレートドリル SKH51 切削速度 :20〜50(m/min) 送り速度 :0.21(mm/rev) 切削油 :なし(乾式) 穴深さ :30(mm)未貫通 工具寿命判定:工具溶損超硬旋削試験条件 切削様式 :旋削 工具 :P10超硬チップ(コーティングなし) 切削速度 :200(m/min) 送り速度 :0.25(mm/rev) 切込み :1.5(mm) 切削油 :なし(乾式) 工具寿命判定:VB摩耗量0.2(mm) このうちハイスドリル試験は、上記試験条件にて切削速
度を数条件変動させ、溶損までの穴深さの合計が100
cmとなるときの切削速度[V100(m/min)]を算出す
るもので、この値が大きい程被削性に優れることを意味
する。
【0073】また、超硬旋削寿命試験は、上記試験条件
で切削し、逃げ面摩耗幅VB=0.2mmに達するまでの加
工時間[T200(min)]を算出するもので、この値が大
きい程被削性に優れることを意味する。
【0074】これらの結果を表2に併記する。
【0075】尚、割れ発生限界は、No.12(S45
Cベース鋼)の割れ発生限界を基準とし、この基準値と
同程度若しくはそれ以上の場合を「○」、この基準値を
下回る場合を「×」とした。
【0076】また、被削性(ハイスドリル寿命及び超硬
旋削寿命)は、S45Cに、Sを0.06%添加したN
o.14の値を基準とし、この基準値と同程度若しくは
それ以上の場合を「○」、この基準値を下回る場合を
「×」とした。
【0077】
【表1】
【0078】
【表2】
【0079】表より以下の様に考察することができる。
【0080】表1中、No.1〜6、および8〜11
は、本発明で規定する成分組成を満足するものであり、
No.7は、S量が本発明の上限を超える比較例、N
o.12〜14はMgを添加しない比較例である。
【0081】このうちNo.1〜4、5−1、6−1、
8〜11は、本発明で規定する成分組成を満足する鋼
を、本発明で規定する圧延条件で圧延した本発明例であ
るが、所望の硫化物形骸が得られている為、冷間加工性
及び被削性の双方に優れている。
【0082】これに対し、下記供試材は本発明で規定す
るいずれかの要件を満足しない為、冷間加工性、被削性
のいずれかに劣っていた。
【0083】まず、No.5−2は、本発明の成分組成
を満足するNo.5の供試鋼を用いているが、圧延後8
50〜600℃の平均冷却速度が大きい為、硬さが高く
なり過ぎ、割れ発生限界が本発明例であるNo.5−1
に比べ、劣っていた。
【0084】また、No.5−3及びNo.6−2は、
成分組成が本発明の要件を満足するNo.5及び6の鋼
を、夫々、圧延終了温度が本発明の範囲を下回る条件で
圧延した為、長さ50μm以上の硫化物が増加し、割れ
発生限界が低下した。
【0085】No.7は、圧延条件は本発明の要件を満
足しているが、S量が多過ぎる為、所望の硫化物形態制
御を充分行うことができず、冷間加工性が低下した。
【0086】No.12〜14は、Mgを添加しない鋼
を用いた例であり、所望の硫化物形態に制御することが
できず、冷間加工性、被削性のいずれかに劣っていた。
【0087】
【発明の効果】本発明は上記の様に構成されているの
で、被削性と冷間加工性の双方に優れた鋼を効率よく提
供することができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】Mg量と硫化物中のMg/S原子比との関係を
示すグラフである。
【図2】Mg量と、全硫化物中に占める長さ50μm以
上の硫化物面積率との関係を示すグラフである。
【図3】Mg量と、割れ発生限界との関係を示すグラフ
である。
【図4】Mg量と、ドリル寿命との関係を示すグラフで
ある。
【図5】Mg量と、超硬旋削寿命との関係を示すグラフ
である。
【図6】S量と、割れ発生限界との関係を示すグラフで
ある。
【図7】S量と、ドリル寿命との関係を示すグラフであ
る。
【図8】S量と、超硬旋削寿命との関係を示すグラフで
ある。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 新堂 陽介 神戸市西区高塚台1丁目5番5号 株式会 社神戸製鋼所神戸総合技術研究所内 (72)発明者 家口 浩 神戸市西区高塚台1丁目5番5号 株式会 社神戸製鋼所神戸総合技術研究所内 (72)発明者 坂本 浩一 神戸市西区高塚台1丁目5番5号 株式会 社神戸製鋼所神戸総合技術研究所内

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 質量%で、 Mg:0.0005〜0.02%、 S :0.003〜0.07% を含有すると共に、 圧延材の縦断面積0.5mm×0.5mm中に存在する硫化物中の
    MgとSの原子比が平均で0.01〜0.20であり、 該縦断面積中に存在する長さ50μm以上の硫化物が全
    硫化物に占める比率が面積率で10%以下を満足するこ
    とを特徴とする被削性および冷間加工性に優れた鋼。
  2. 【請求項2】 更に、 Al:0.001〜0.05%、 O :0.0040%未満(0%を含まない)を含有す
    ると共に、 Mgの含有量は、下式(1)及び/又は(2)を満足す
    るものである請求項1に記載の鋼。 ([S]/150)+0.75×[O]≦[Mg]≦([S]/20)+0.75×[O]…(1) [Mg]≧0.05×[Al] …(2) 式中、[ ]は、各元素の含有量(質量%)を意味す
    る。
  3. 【請求項3】 更に、 C :0.001〜0.7%、 Si:1%以下(0%を含む)、 Mn:2%以下(0%を含む) を含有するものである請求項2に記載の鋼。
  4. 【請求項4】 更に、 P :0.03%以下(0%を含む)、 Cr:1.5%以下(0%を含む)、 N:0.002〜0.03% を含有するものである請求項2または3に記載の鋼。
  5. 【請求項5】 更に、 Ca:0.01%以下(0%を含まない) を含有するものである請求項2〜4のいずれかに記載の
    鋼。
  6. 【請求項6】 更に、 B :0.006%以下(0%を含まない) を含有するものである請求項2〜5のいずれかに記載の
    鋼。
  7. 【請求項7】 更に、 Pb:0.1%以下、及び/又は Bi:0.1%以下 を含有するものである請求項2〜6のいずれかに記載の
    鋼。
  8. 【請求項8】 請求項1〜7のいずれかに記載の鋼を用
    いて得られる機械部品。
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