JP2002194221A - 生分解性プラスチック - Google Patents

生分解性プラスチック

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JP2002194221A
JP2002194221A JP2000389897A JP2000389897A JP2002194221A JP 2002194221 A JP2002194221 A JP 2002194221A JP 2000389897 A JP2000389897 A JP 2000389897A JP 2000389897 A JP2000389897 A JP 2000389897A JP 2002194221 A JP2002194221 A JP 2002194221A
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radiation
biodegradable plastic
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Tsutomu Okada
勉 岡田
Makoto Taniguchi
谷口  誠
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    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08GMACROMOLECULAR COMPOUNDS OBTAINED OTHERWISE THAN BY REACTIONS ONLY INVOLVING UNSATURATED CARBON-TO-CARBON BONDS
    • C08G69/00Macromolecular compounds obtained by reactions forming a carboxylic amide link in the main chain of the macromolecule
    • C08G69/02Polyamides derived from amino-carboxylic acids or from polyamines and polycarboxylic acids
    • C08G69/08Polyamides derived from amino-carboxylic acids or from polyamines and polycarboxylic acids derived from amino-carboxylic acids
    • C08G69/10Alpha-amino-carboxylic acids
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08HDERIVATIVES OF NATURAL MACROMOLECULAR COMPOUNDS
    • C08H1/00Macromolecular products derived from proteins

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  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 微生物による生分解時間の短縮を可能にし、
化学修飾の容易化により多様性と用途の拡大を実現でき
る生分解性プラスチックを開発する。 【解決手段】 本発明に係る生分解性プラスチックは、
γ―ポリグルタミン酸又はγ―ポリグルタミン酸塩の放
射線架橋体を主成分とする。放射線照射条件を変える
と、1000万以上の任意の分子量を有する放射線架橋
体からなる生分解性プラスチックを実現できる。また、
この放射線架橋体に水等の溶媒を添加して粘性と展延性
を調整でき、更に添加剤を加えて粘性調整したり、添加
剤物性を生分解性プラスチックに付与することができ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は微生物により分解さ
れる生分解性プラスチックに関し、更に詳細には、γ―
ポリグルタミン酸又はγ―ポリグルタミン酸塩の放射線
架橋体を主成分とした動植物に無害で環境負荷の少ない
生分解性プラスチックに関する。
【0002】
【従来の技術】現代の社会では大量のプラスチック製品
が使用されている。その殆どは自然に分解しないので、
廃棄回収された後、焼却場で焼却処分に付されている。
しかし、これらの人工プラスチック材料の殆どは石油か
ら製造されているから、焼却されると、炭酸ガスや水と
共にNOX、SOX、Cl2又が放出され、自然環境に汚
染作用を与えるという矛盾を含んでいる。特に、NOX
やSOXは酸性雨の原因となり、Cl2はダイオキシンな
どの環境汚染物質の原因となる。
【0003】このようなプラスチック製品の中で、生分
解性のプラスチックが注目されている。土中には多種類
の微生物が生息しており、この生分解性プラスチックを
土中に埋設しておくと、これらの微生物によって生分解
性プラスチックは炭酸ガスと水にまで分解される性質を
有する。
【0004】生分解性プラスチックの中に窒素や硫黄そ
の他の原子が含まれていても、微生物が物質代謝のサイ
クルの中で窒素原子や硫黄原子を物質固定するから、N
XやSOXを大気中に放出しない。従って、生分解性プ
ラスチックは極めて安全であり、環境に対する負荷の小
さなクリーンプラスチックである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】従来の生分解性プラス
チックの原料には、例えば、デンプンを原料として化学
合成された脂肪酸ポリエステルや、ポリ乳酸やポリヒド
ロキシカルボン酸などがある。これらの生分解性プラス
チックにより製造されたプラスチック製品は、使用後
に、土中に埋設しておくと微生物が分解してくれるの
で、焼却コストが不要であると共に、環境への負荷が少
ないという特徴を有する。
【0006】しかし、前記脂肪酸ポリエステルは完全に
分解するまでに1〜3年の期間を要し、他の生分解性プ
ラスチックでも半年から1年の分解時間を要するのが通
常であった。分解時間を1ヶ月にまで短縮する研究がな
されているが、現在のところまだ成功した例はない。ま
た、ポリ乳酸やポリヒドロキシカルボン酸は、C・H・
Oの三原子から構成されているため化学修飾が難しく、
種々の誘導体を合成して生分解性プラスチックを多様化
することが困難である。
【0007】従って、本発明は、微生物による生分解時
間の短縮を可能にし、しかも化学修飾の容易化により多
様性と用途の拡大を実現できる生分解性プラスチックを
提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明は、γ―
ポリグルタミン酸又はγ―ポリグルタミン酸塩の放射線
架橋体を主成分とすることを特徴とする生分解性プラス
チックである。
【0009】請求項2の発明は、分子量1000万以上
のγ―ポリグルタミン酸又はγ―ポリグルタミン酸塩の
放射線架橋体を主成分とすることを特徴とする生分解性
プラスチックである。
【0010】請求項3の発明は、分子量1000万以上
のγ―ポリグルタミン酸又はγ―ポリグルタミン酸塩の
放射線架橋体に溶媒を配合して粘性と展延性を付与する
ことを特徴とする生分解性プラスチックである。
【0011】請求項4の発明は、分子量1000万以上
のγ―ポリグルタミン酸又はγ―ポリグルタミン酸塩の
放射線架橋体100重量部に溶媒を10〜500重量部
配合して粘性と展延性を付与した請求項3に記載の生分
解性プラスチックである。
【0012】請求項5の発明は、分子量1000万以上
のγ―ポリグルタミン酸又はγ―ポリグルタミン酸塩の
放射線架橋体に溶媒を配合して粘性を付与し、これに添
加剤を配合して用途特性を与えることを特徴とする生分
解性プラスチックである。
【0013】請求項6の発明は、分子量1000万以上
のγ―ポリグルタミン酸又はγ―ポリグルタミン酸塩の
放射線架橋体40〜100重量部に粘性を付与する溶媒
4〜400重量部と用途特性を与える添加剤を4〜10
00重量部配合する請求項5に記載の生分解性プラスチ
ックである。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明に係るγ―ポリグルタミン
酸は、種々の製造方法により生産されたものが用いられ
る。製法としては、例えば微生物による培養方法、化学
合成法などがある。微生物培養法では、バチルス属の菌
株(バチルス・サブチリス F−2−01株)を培養し
て生成される分子量が数十万〜数100万のγ―ポリグ
ルタミン酸が好適である。
【0015】この微生物が産生するγ―ポリグルタミン
酸は、古くより納豆の粘物質の主成分として食されてい
るように、人畜無害な天然物であり、生分解性を有する
という大きな特徴を有する。つまり、このγ―ポリグル
タミン酸は単に生分解性を有するだけでなく、誤って食
べてしまっても害が全く無く、逆に栄養分になるという
点で優れている。
【0016】前記微生物が産生するγ―ポリグルタミン
酸は、枝分れのない直鎖状のγ―ペプチドで、L−グル
タミン酸とD−グルタミン酸の共重合体、即ちヘテロポ
リマーである。このヘテロポリマー構造のγ―ポリグル
タミン酸が本発明に係る生分解性プラスチックの原料と
して最適のものである。
【0017】化学合成されるγ―ポリグルタミン酸に
は、L−グルタミン酸のホモポリマー、D−グルタミン
酸のホモポリマー、これら両ホモポリマーの混合物など
種々の構造のポリマーが生成される。これらの化学合成
されたγ―ポリグルタミン酸も本発明に係る生分解性プ
ラスチックの原料になる。
【0018】また、本発明で用いられるγ―ポリグルタ
ミン酸塩は、γ―ポリグルタミン酸と塩基性化合物の中
和反応により塩として生成される。γ―ポリグルタミン
酸と塩基性化合物を水などの溶媒に室温で溶解させ、加
熱しながら攪拌すると効率的に生成される。塩基性化合
物としては、アルカリ金属やアルカリ土類金属の水酸化
物、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化
マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム等
や、アミンなどの有機性の塩基性化合物がある。
【0019】γ―ポリグルタミン酸と塩基性化合物の反
応条件において、加熱温度は5〜100℃が望ましい。
5度以下では反応が遅くなり、100度を超えると溶媒
の一種である水が沸騰し反応が安定しない場合がある。
また、pHは中性〜塩基性の範囲が好ましく、特にpH
は5〜10の範囲が好ましい。また、γ―ポリグルタミ
ン酸と塩基性化合物の分量は過不足のない化学量論的反
応量が適当である。
【0020】本発明で用いられるγ―ポリグルタミン酸
又はγ―ポリグルタミン酸塩は、分子量が数十万〜数百
万に分布しているものが適当である。微生物産生の場合
には、その分子量は数10万〜数100万に分布してい
る。化学合成の場合でも、数十万以上に重合させたもの
が適当である。原料分子の分子量が小さいと、放射線架
橋体の分子量が小さくなってプラスチックとして不適当
になる。
【0021】本発明では、前記のγ―ポリグルタミン酸
又はγ―ポリグルタミン酸塩を放射線で架橋させて分子
量が1000万以上の架橋体を生成する。γ―ポリグル
タミン酸は(―NH(COOH)CH−CH2−CH2
−CO―)nで表され、添字nが重合度を与える。この
重合度nによって原料として好適な数十万〜数百万の分
子量を与えている。
【0022】このγ―ポリグルタミン酸に放射線を照射
すると、脱水素反応によりCH2がCH−となり、2本
のγ―ポリグルタミン酸の直鎖がCH−HCを介して連
結し、[(―NH(COOH)CH−CH−CH2−C
O―)n]2のように架橋すると考えられている。この架
橋度が更に大きくなると、[(―NH(COOH)CH
−CH2−CH2−CO―)n]mのような分子量の大き
な放射線架橋体が生成される。ここで、mは架橋度を示
し、架橋連結されるγ―ポリグルタミン酸の直鎖の本数
を与える。
【0023】架橋度mを大きくすることによって、γ―
ポリグルタミン酸放射線架橋体の分子量を1000万以
上にする。γ―ポリグルタミン酸はポリペプチド鎖であ
るから、−C−C−の連結により内部に多数の大きな空
間が形成された網目構造となる。この多数の空間に水な
どの溶媒を吸収するため、高吸水性を有する。
【0024】本発明では、γ―ポリグルタミン酸を架橋
させるのに放射線を利用することが特徴である。化学合
成により架橋させると、高温が必要となり、このため原
料としてのγ―ポリグルタミン酸が熱変性を受ける。放
射線架橋を利用すると、低温で架橋できるので、γ―ポ
リグルタミン酸を変質させることなく架橋を実現でき
る。従って、放射線架橋によって、変性物を含まないγ
―ポリグルタミン酸架橋体を得ることができる。
【0025】特に、微生物産生のγ―ポリグルタミン酸
は特に熱に弱いから、加熱架橋を採用することが難し
い。納豆の粘性物質がγ―ポリグルタミン酸であること
を考えると、納豆を加熱した場合の熱変性の事情がよく
分かるであろう。従って、本発明では低温架橋を行なう
ため、放射線架橋を利用している点に特徴を有する。
【0026】架橋用の放射線としては、α腺、β線、γ
線、X線、電子線、中性子線、中間子線、イオン線など
が利用できる。この中でも、操作性の良好さからγ線、
X線、電子線が好適である。X線はX線管球又は非管球
式の両者が利用でき、近年普及している電子リングから
放射される放射光も利用できる。電子線はビームエネル
ギーに応じて公知の電子線照射装置が利用できる。
【0027】γ線は放射線源を利用できる点で優れてい
る。γ線源としてはコバルト60、ストロンチウム9
0、ジルコニウム95、セシウム137、セリウム14
1、ルテニウム177等があるが、半減期やエネルギー
の観点からコバルト60やセシウム137が好適であ
る。
【0028】本発明では、γ―ポリグルタミン酸を放射
線架橋することによって、分子量が1000万以上のγ
―ポリグルタミン酸放射線架橋体を生成する。分子量を
1000万以上に架橋すると、γ―ポリグルタミン酸が
プラスチック化し易い特性を有するようになる。分子量
が1000万未満ではプラスチックとしての性質が不安
定になり、プラスチック製品としての安定的使用性に限
界がある。
【0029】γ―ポリグルタミン酸を分子量1000万
以上に架橋するには、γ―ポリグルタミン酸原料に吸収
線量で1〜500kGyの放射線照射が必要で、1kG
y以下では架橋がなかなか進行せず、また500kGy
を超えると架橋が進行し過ぎるため、架橋体の網目構造
によって形成される内部空間が小さくなり、保水性が低
下する。架橋性及び保水性の観点から、吸収線量として
は5〜100kGyが好適である。
【0030】本発明において、γ―ポリグルタミン酸又
はγ―ポリグルタミン酸塩の放射線架橋体をプラスチッ
ク加工できるように粘性を付与するには、これらの放射
線架橋体に溶媒を添加し、この溶媒を吸収させる必要が
ある。この溶媒は、放射線架橋体中に形成されている多
数の内部空間に吸収されて、架橋体を柔軟化し、架橋体
に粘性を付与して、展延性などの加工性能を有するよう
にできる。
【0031】この溶媒としては、γ―ポリグルタミン酸
又はγ―ポリグルタミン酸塩の放射線架橋体と親和性の
ある溶媒であれば何でも使用できる。その中でも、アセ
トン、アルコール等の親水性の有機溶媒や水が有用であ
り、特に安全性や安定性の観点から、水が利用される。
γ―ポリグルタミン酸又はγ―ポリグルタミン酸塩の放
射線架橋体が溶解し得る溶媒が、吸収溶媒として利用で
きる。
【0032】γ―ポリグルタミン酸及びγ―ポリグルタ
ミン酸塩それ自体はアルコールやアセトンなどの有機溶
媒に溶解しない性質を有している。また、γ―ポリグル
タミン酸塩は水に溶解するが、γ―ポリグルタミン酸は
水に溶解しない性質を有する。ところが、これに放射線
架橋を施すと、放射線架橋体の表面が水や、含水アルコ
ール・含水アセトンなどの含水親水性有機溶媒に対して
親和性を有するように改質される。
【0033】本発明は放射線架橋によるγ―ポリグルタ
ミン酸及びγ―ポリグルタミン酸塩の表面改質の特性に
着目してなされたものでもある。即ち、放射線架橋体と
なることによって、γ―ポリグルタミン酸及びγ―ポリ
グルタミン酸塩の両者が、水や含水有機溶媒に親和性を
持つようになる。この表面改質のメカニズムはよく分か
っていないが、本発明はこの事実に基づきなされたもの
である。
【0034】本発明では、分子量1000万以上のγ―
ポリグルタミン酸又はγ―ポリグルタミン酸塩の放射線
架橋体にプラスチック加工可能な粘性を付与するには、
放射線架橋体100重量部に対し、溶媒を10〜500
重量部配合する必要がある。10重量部未満では粘性が
低すぎるため加工性が悪く、500重量部を超えると放
射線架橋体が流動性を有して流れるようになり、加工後
の形態を保持できなくなる。特に、放射線架橋体100
重量部に対し溶媒量が25〜300重量部のときにプラ
スチック性が良好である。
【0035】また、本発明では、分子量1000万以上
のγ―ポリグルタミン酸又はγ―ポリグルタミン酸塩の
放射線架橋体に溶媒を配合して粘性を付与し、更にこれ
に添加剤を配合して粘性を調整することが行なわれる。
この添加剤としては、例えばデンプン、ヘミセルロー
ス、キチン等があり、プラスチックの硬度や用途目的に
合った性質を付与できる。
【0036】これらの添加剤を配合する場合には、分子
量1000万以上のγ―ポリグルタミン酸又はγ―ポリ
グルタミン酸塩の放射線架橋体40〜100重量部と粘
性を付与する溶媒4〜400重量部に対し、用途特性を
付与する添加剤を4〜1000重量部配合する。4重量
部未満では粘性調整ができず、1000重量部以上にな
るとプラスチック加工が困難になる。
【0037】本発明において、生分解性プラスチックと
してγ―ポリグルタミン酸又はγ―ポリグルタミン酸塩
の放射線架橋体が使用されるのは、グルタミン酸がアミ
ノ基を有するためである。一般にアミノ基は化学修飾を
受けやすく、多様な誘導体を合成することが可能であ
る。したがって、本発明を利用して、γ―ポリグルタミ
ン酸誘導体又はγ―ポリグルタミン酸塩誘導体の放射線
架橋体を導出することもできる。
【0038】本発明により得られる生分解性プラスチッ
クは、微生物により生分解を受ける点に特徴を有する。
従来の生分解性プラスチックが、土中に埋設してから半
年以上の生分解時間を要していたのに対し、本発明に係
る生分解性プラスチックは土中にて1ヶ月でほぼ完全に
分解される。
【0039】土中における分解のメカニズムについて
は、土中微生物が産生する分解酵素の解明がなかなか進
まず、詳細は現在においても不明な点が多い。しかし、
分解時間については土中埋設実験によって立証される。
本発明者等は、γ―ポリグルタミン酸を分解する微生物
の菌株として、ミロセシウム(Myrothecium sp.)TM
4222を発見し、この菌株が産生するγ―ポリグルタ
ミン酸分解酵素を精製し、その分解効果を確認してい
る。
【0040】しかし、γ―ポリグルタミン酸放射線架橋
体を分解する過程は種々あり、夫々の素過程を分解する
多くの微生物が存在するはずである。これらの分解過程
のミクロ研究はこれから行なわれるものであり、本発明
では分解された事実が確認されただけである。
【0041】この事実から、本発明によって得られる生
分解性プラスチックは、ゴミ袋、苗の袋、手術の縫合
糸、食品包装用袋、食品の食用オブラートなどに利用で
きる。特に、γ―ポリグルタミン酸及びγ―ポリグルタ
ミン酸塩は食用になり、人体に吸収されても安全であ
る。従って、医療用プラスチックとして利用でき、手術
の縫合糸でも抜糸が不要でそのまま人体に分解吸収され
ればよい等画期的な性質を有する。また、キャラメルの
オブラート包装などそのまま食することができる生分解
性プラスチックである等優れた性質を有する。
【0042】
【実施例】[実施例1]γ―ポリグルタミン酸にコバルト
60線源によりガンマ線を20kGy照射して、γ―ポ
リグルタミン酸放射線架橋体を生成した。このγ―ポリ
グルタミン酸放射線架橋体の分子量は1500万と推定
された。この粉末は白色であった。
【0043】このγ―ポリグルタミン酸放射線架橋体
(PGAで表す)の粉末100重量部に対し、蒸留水を
25、50、100、150、200、300重量部だ
け加水して粘性を付与し、6種の生分解性プラスチック
を製造した。この生分解性プラスチックの概観特性は表
1にまとめられている。
【0044】 <表1> 生分解性プラスチック(加水型)の概観特性 試 料 <PGA:水> <概観性状> A 100:25 かなり硬く粘性と展延性が少ない B 100:50 硬くてそのまま原料として使用できる C 100:100 粘性が高くしっかりした物性を示す D 100:150 少し柔らかくなるが、粘性・物性とも良好 E 100:200 少し柔らかくなりくっ付く場合がある F 100:300 柔らか過ぎる
【0045】PGA100重量部に対し蒸留水25重量
部未満では、硬すぎるためプラスチック加工が困難であ
る。また、PGA100重量部に対し蒸留水300重量
部を超えて加水すると、その自然流動性によってプラス
チックの加工形態を保持できない。従って、プラスチッ
クとして利用できる溶媒の範囲は、PGA100重量部
に対し、25〜300重量部が好適である。
【0046】前述した試料A〜Fの6種について、各1
0gを試薬ビンに入れ、微生物を多量に含有する土や池
の水等を適量封入して、試薬ビンの試料の形態変化を観
察した。30℃の恒温槽に入れ、投入日から目視によっ
て分解されたと判断した日までの日数を分解時間とし
た。各試料に対する分解時間は表2にまとめられてい
る。
【0047】<表2>試料の分解時間 試 料 分解時間 A 42日 B 38日 C 32日 D 29日 E 23日 F 16日
【0048】表2から分かるように、分解時間は生分解
性プラスチックの硬さと関係を有している。硬いほど水
分が不足しているために、微生物による分解が進行し難
い。逆に、柔らかいほど水分が存するため、微生物によ
る分解が進行する。勿論、分解速度は温度にも依存す
る。
【0049】[実施例2]γ―ポリグルタミン酸ナトリウ
ムにコバルト60線源によりガンマ線を40kGy照射
して、γ―ポリグルタミン酸塩放射線架橋体を生成し
た。このγ―ポリグルタミン酸塩放射線架橋体の分子量
は機器測定が困難になるほど大きかったが、約3000
万と推定された。この粉末は濁白色であった。
【0050】このγ―ポリグルタミン酸塩放射線架橋体
(PGAで表す)の粉末100重量部に対し、蒸留水を
25、50、100、150、200、300重量部だ
け加水して粘性を付与し、6種の生分解性プラスチック
を製造した。また、蒸留水150、200、300重量
部の各々に更に添加剤として硫安を10、15、20重
量部だけ溶解させた試料を作成した。硫安は化学肥料で
あり、この生分解性プラスチックが例えば苗袋に利用さ
れた場合に、苗の肥料になることを考慮したものであ
る。生分解性プラスチックの概観特性は表3にまとめら
れている。
【0051】 <表3> 生分解性プラスチック(加水・硫安型)の概観特性 試 料 <PGA:水:硫安> <概観性状> A 100:25 粘性や展延性がほとんどない B 100:50 かなり硬く展延性が少ない C 100:100 やや硬いがそのまま原料使用できる D 100:150 粘性が高くしっかりした物性を示す E 100:200 柔らかくなり粘性が良好である F 100:300 柔らかくなりくっ付く場合がある G 100:150:10 粘性は高いが原料として良好である H 100:200:15 柔らかいが粘性は良好である I 100:300:20 柔らかいがややくっ付き感は低下する
【0052】ガンマ線の吸収線量が増加したため、PG
Aの架橋度が進行している。そのため、溶媒として水を
添加しても、粘性が実施例1よりはやや低下する。ま
た、試料G・H・Iにおいて硫安を添加剤として混入し
たが、硫安水溶液がPGAの内部空間に保水されたと考
えられる。硫安の添加量が少なかったので、プラスチッ
ク全体としての粘性への影響はやや存するものの、それ
ほど重大な粘性増加効果は見られなかった。
【0053】前述した試料A〜Iの9種について、各1
0gを試薬ビンに入れ、微生物を多量に含有する土や池
の水等を適量封入して、試薬ビン内の試料の形態変化を
観察した。30℃の恒温槽に入れ、投入日から目視によ
って分解されたと判断した日までの日数を分解時間とし
た。各試料に対する分解時間は表4にまとめられてい
る。
【0054】<表4>試料の分解時間 試 料 分解時間 A 60日 B 49日 C 45日 D 36日 E 33日 F 28日 G 32日 H 28日 I 24日
【0055】表4から分かるように、放射線架橋度が実
施例1より高くなったので、分解時間はやや長くなって
いる。分解時間は生分解性プラスチックの硬さと関係を
有し、硬いほど水分が不足しているために、微生物によ
る分解が進行し難いと言える。硫安が含有しても、その
添加量が少ないために、分解時間はそれほど変化しな
い。目視による分解時間測定のため、誤差を考慮する必
要があると思われる。
【0056】
【発明の効果】請求項1の発明によれば、γ―ポリグル
タミン酸又はγ―ポリグルタミン酸塩の放射線架橋体を
主成分とした生分解性プラスチックであるから、人間を
含む生物一般に無毒無害であり、分解時間を短縮できる
と共に、各種の誘導体により多様化が可能な生分解性プ
ラスチックを提供できる。
【0057】請求項2の発明によれば、分子量1000
万以上のγ―ポリグルタミン酸又はγ―ポリグルタミン
酸塩の放射線架橋体を主成分とするから、放射線エネル
ギーを可変にしたり放射線照射時間を変えることによ
り、架橋度を任意に調整でき、プラスチックの硬さや大
きさを自在に調整できる生分解性プラスチックを実現で
きる。しかも、放射線により低温架橋できるから、γ―
ポリグルタミン酸の構造を変質させることが無いため、
不純物の混じらないγ―ポリグルタミン酸架橋体を提供
できる。
【0058】請求項3の発明によれば、分子量1000
万以上のγ―ポリグルタミン酸又はγ―ポリグルタミン
酸塩の放射線架橋体に溶媒を配合して粘性と展延性を付
与するから、溶媒の添加量により粘性と展延性を自在に
調整できる生分解性プラスチックを実現できる。
【0059】請求項4の発明によれば、分子量1000
万以上のγ―ポリグルタミン酸又はγ―ポリグルタミン
酸塩の放射線架橋体100重量部に溶媒を10〜500
重量部配合して粘性と展延性を付与するから、粘性と展
延性を使用目的に応じて具体的に調整できる生分解性プ
ラスチックを提供できる。
【0060】請求項5の発明によれば、分子量1000
万以上のγ―ポリグルタミン酸又はγ―ポリグルタミン
酸塩の放射線架橋体に溶媒を配合して粘性を付与し、こ
れに添加剤を配合して粘性を調整すると同時に用途目的
に合った特性を付与できるから、添加剤により粘性調整
が容易になり、また薬剤性能など添加剤の物性を付与し
た生分解性プラスチックを提供できる。
【0061】請求項6の発明によれば、分子量1000
万以上のγ―ポリグルタミン酸又はγ―ポリグルタミン
酸塩の放射線架橋体40〜100重量部に粘性を付与す
る溶媒4〜400重量部と用途特性を付与する添加剤を
4〜1000重量部配合するから、粘性調整や特定の物
性を具体的に付与できる生分解性プラスチックを実現で
きる。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 γ―ポリグルタミン酸又はγ―ポリグル
    タミン酸塩の放射線架橋体を主成分とすることを特徴と
    する生分解性プラスチック。
  2. 【請求項2】 分子量1000万以上のγ―ポリグルタ
    ミン酸又はγ―ポリグルタミン酸塩の放射線架橋体を主
    成分とすることを特徴とする生分解性プラスチック。
  3. 【請求項3】 分子量1000万以上のγ―ポリグルタ
    ミン酸又はγ―ポリグルタミン酸塩の放射線架橋体に溶
    媒を配合して粘性と展延性を付与することを特徴とする
    生分解性プラスチック。
  4. 【請求項4】 分子量1000万以上のγ―ポリグルタ
    ミン酸又はγ―ポリグルタミン酸塩の放射線架橋体10
    0重量部に溶媒を10〜500重量部配合して粘性と展
    延性を付与した請求項3に記載の生分解性プラスチッ
    ク。
  5. 【請求項5】 分子量1000万以上のγ―ポリグルタ
    ミン酸又はγ―ポリグルタミン酸塩の放射線架橋体に溶
    媒を配合して粘性を付与し、これに添加剤を配合して用
    途特性を与えることを特徴とする生分解性プラスチッ
    ク。
  6. 【請求項6】 分子量1000万以上のγ―ポリグルタ
    ミン酸又はγ―ポリグルタミン酸塩の放射線架橋体40
    〜100重量部に粘性を付与する溶媒4〜400重量部
    と用途特性を与える添加剤を4〜1000重量部配合す
    る請求項5に記載の生分解性プラスチック。
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