JP2002194218A - シリコーン水性エマルジョン組成物および布基材とシリコーンゴム基材との接着方法 - Google Patents

シリコーン水性エマルジョン組成物および布基材とシリコーンゴム基材との接着方法

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JP2002194218A
JP2002194218A JP2000395677A JP2000395677A JP2002194218A JP 2002194218 A JP2002194218 A JP 2002194218A JP 2000395677 A JP2000395677 A JP 2000395677A JP 2000395677 A JP2000395677 A JP 2000395677A JP 2002194218 A JP2002194218 A JP 2002194218A
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aqueous
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JP2000395677A
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Yoshiaki Takezawa
好昭 竹澤
Naomi Kamise
尚美 神瀬
Hiroyoshi Shimozu
弘義 下津
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GE Toshiba Silicones Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 布基材とシリコーンゴム基材との接着に使用
され、布基材への良好な塗布性を有し優れた接着性の得
られるシリコーン水性エマルジョン組成物を提供する。 【解決手段】 (A)(a)分子鎖末端に少なくとも1
つのアルケニル基を有し、分子側鎖にアルケニル基を有
するシロキシ基を0.1モル%以下(シロキシ単位)の
割合で含む第1のポリオルガノシロキサン(平均重合度
100〜150000)70〜100重量%と、(b)分子側鎖
にアルケニル基を有するシロキシ基を1.0〜20モル
%の割合で含む第2のポリオルガノシロキサン(平均重
合度100〜150000)0〜30重量%とからなるシリコー
ンポリマー100重量部と、(B)硬化触媒0.05〜
15重量部と、(C)乳化剤5〜100重量部、および
(D)水50〜500重量部を含有し、布基材とシリコ
ーンゴム基材との接着に使用されることを特徴とするシ
リコーン水性エマルジョン組成物である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、織布、不織布など
の布基材とシリコーンゴム基材との接着に使用され、優
れた接着性の得られるシリコーン水性エマルジョン組成
物、およびそのようなエマルジョン組成物を用いた布基
材とシリコーンゴム基材との接着方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、織布や不織布のような布基材
と板状、シート状などのゴム基材とを接着してなる複合
体が知られており、自動車の内装材、建築物の壁材や床
材、あるいは除塵用敷物(マット)を始めとして各種の
用途に使用されている。特に合成繊維の不織布とゴムシ
ートとの複合体では、繊維の起毛状態や不織布の厚さな
どを変えて、各種の形状のものを生産性よく製造するこ
とができるので、例えば使用後に洗浄して再使用される
用途や使用後にそのまま廃棄処理される用途など、幅広
い用途に対応した製品を提供することができる。
【0003】不織布と組み合わせて使用されるゴム基材
には、天然ゴムを始めとして、イソプレンゴム、ブタジ
エンゴム、ブチルゴム、エチレンプロピレンゴム、EP
DM(エチレン・プロピレン・ジエンゴム)など各種の
ゴムが使用されている。近年、耐熱性、耐候性、耐薬品
性、耐屈曲性などに優れることから、シリコーンゴムの
使用が検討されている。
【0004】シリコーンゴムとしては、加水分解性の架
橋剤により室温あるいは加熱下で縮合反応により硬化す
る縮合反応型のもの、白金系化合物を触媒とし、室温あ
るいは加熱下で付加反応により硬化する付加反応型のも
の、および過酸化物を触媒とし加熱下でラジカル反応に
より硬化する過酸化物硬化型のものがそれぞれ知られて
いる。特に、強度が必要とされる用途においては、過酸
化物硬化型のシリコーンゴムの使用が好ましいと考えら
れる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、過酸化
物硬化型のシリコーンゴムは、他の硬化型のシリコーン
ゴムと比較して、各種の材料に対する接着性が低いとい
う欠点があった。そのため、接着により不織布のような
布基材との複合体を形成するには、接着性を改善するこ
とが望まれていた。
【0006】また、シリコーンゴムと各種の基材との接
着の向上を目的として、加水分解性シラン化合物を有機
溶剤に配合した各種のプライマー組成物が知られている
(特開昭62−73930号公報参照)が、これらのプ
ライマー組成物においては、加水分解性基を有する化合
物が配合され、かつ揮発性の高い有機溶剤が使用されて
いるので、保管状態などによっては組成物の安定性が十
分でないという問題があった。
【0007】また、このようなプライマー組成物におい
ては、分散媒として有機溶剤が使用されているため、不
織布などに使用した場合には繊維間への浸透が大きくな
り過ぎ、十分な接着性向上の効果が得られないことがあ
った。さらに、不織布の柔軟性やクッション性を変化さ
せてしまうことがあり、改善が望まれていた。
【0008】このように、不織布のような布基材との複
合体の製造においては、過酸化物硬化型のシリコーンゴ
ムを使用することが好ましいと考えられるが、このシリ
コーンゴム基材と不織布との接着性の改善が強く望まれ
ていた。
【0009】本発明は、これらの問題を解決するために
なされたもので、布基材とシリコーンゴム基材との接着
に使用され、布基材への良好な塗布性を有し優れた接着
性の得られるシリコーン水性エマルジョン組成物、およ
びそのようなシリコーン水性エマルジョン組成物を用い
た布基材とシリコーンゴムのシート状基材との接着方法
を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記目的
を達成すべく鋭意検討した結果、分子側鎖にアルケニル
基を持つオルガノシロキシ基を特定の割合で含むシリコ
ーンポリマー(ポリオルガノシロキサン)をベースポリ
マーとして使用し、これに硬化触媒を配合し、乳化剤を
用いて水に乳化して得られるシリコーン水性エマルジョ
ン組成物が、不織布のような布基材とシリコーンゴム基
材との接着において優れた接着性を発揮することを見出
し、本発明を完成するに至った。
【0011】すなわち、本発明のシリコーン水性エマル
ジョン組成物は、請求項1に記載するように、(A)
(a)分子鎖末端に少なくとも1つのアルケニル基を有
し、分子側鎖にアルケニル基を有するシロキシ基をオル
ガノシロキシ単位として0.1モル%以下の割合で含
む、平均重合度が100〜150000の第1のポリオルガノシ
ロキサン70〜100重量%と、(b)分子側鎖にアル
ケニル基を有するシロキシ基をオルガノシロキシ単位と
して1.0〜20モル%の割合で含む、平均重合度が10
0〜150000の第2のポリオルガノシロキサン0〜30重
量%とからなるシリコーンポリマー100重量部と、
(B)硬化触媒0.05〜15重量部と、(C)乳化剤
5〜100重量部、および(D)水50〜500重量部
を含有してなり、布基材とシリコーンゴム基材との接着
に使用されることを特徴とする。
【0012】また、本発明の布基材とシリコーンゴム基
材との接着方法は、請求項8に記載するように、布基材
の少なくとも片面に、請求項1記載のシリコーン水性エ
マルジョン組成物を塗布する工程と、前記布基材の前記
シリコーン水性エマルジョン組成物が塗布された面に、
未硬化のシリコーンゴムコンパウンドからなるシート状
基材を重ねて密着させる工程と、前記シリコーンゴムコ
ンパウンドからなるシート状基材を加熱硬化させる工程
とを備えたことを特徴とする。
【0013】以下、本発明を詳細に説明する。本発明に
使用される(a)成分の第1のポリオルガノシロキサン
は、分子鎖末端に少なくとも1つのアルケニル基を有す
るとともに、分子側鎖にアルケニル基を持つオルガノシ
ロキシ基をシロキシ単位として0.1モル%以下の割合
で含む、平均重合度が100〜150000のポリオルガノシロ
キサンである。
【0014】(a)成分である第1のポリオルガノシロ
キサンとして、分子鎖末端にアルケニル基を1つも持た
ないポリオルガノシロキサンを使用した場合には、シリ
コーンゴム基材の伸縮などによる接着性の低下が大きく
なる。また、この第1のポリオルガノシロキサンにおい
て、アルケニル基を有するオルガノシロキシ基の含有割
合が0.1モル%(シロキシ単位として)より多いと、
接着性が不十分となり好ましくない。なお、このアルケ
ニル基を有するオルガノシロキシ基の含有割合は、形成
される皮膜の強度の点から、0.001モル%(シロキ
シ単位として)以上とすることが好ましい。
【0015】さらに、本発明の(A)シリコーンポリマ
ーにおいては、(b)第2のポリオルガノシロキサン成
分として、分子側鎖にアルケニル基を有するオルガノシ
ロキシ基をシロキシ単位として1.0〜20モル%の割
合で含む平均重合度が100〜150000のポリオルガノシロ
キサンを、(A)成分全体の30重量%以下の割合で配
合することができる。
【0016】ここで、アルケニル基としては、ビニル
基、アリル(2-プロペニル)基、メタリル基、ヘキセニ
ル基などが挙げられる。また、ケイ素原子に結合したア
ルケニル基以外の有機基としては、置換もしくは非置換
の一価の炭化水素基が挙げられる。このような炭化水素
基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル
基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ヘキサデシル
基、オクタデシル基などのアルキル基、シクロヘキシル
基、シクロペンチル基等のシクロアルキル基、フェニル
基、ナフチル基、キシリル基、トリル基などのアリール
基、ベンジル基、β-フェニルエチル基、メチルベンジ
ル基、ナフチルメチル基などのアラルアルキル基、およ
びこれらの基において水素原子の一部または全部を、ハ
ロゲン原子、シアノ基などで置換したクロロメチル基、
トリフルオロプロピル基、シアノエチル基などが挙げら
れる。
【0017】特に、アルケニル基としてビニル基を含
み、かつ一価の炭化水素基としてメチル基を50モル%
以上、好ましくは80モル%以上含むポリオルガノシロ
キサンの使用が、材料コストおよび製造容易性の点で好
ましい。メチル基の含有量が50モル%未満であると、
ポリメチルシロキサン本来の耐熱性、耐候性、耐薬品
性、耐屈曲性などの優れた特性が失われるおそれがあ
り、また原料コストも高価なものになる場合がある。
【0018】また、これら第1および第2のポリオルガ
ノシロキサンの構造は、実質的に線状であることが好ま
しい。さらに、そのアルケニル基で封鎖された末端以外
の分子鎖末端は、シラノール基、メチル基、トリビニル
シリル基などで封鎖されたものであることが好ましい。
【0019】(a)成分である第1のポリオルガノシロ
キサンの平均重合度および(b)成分である第2のポリ
オルガノシロキサンの平均重合度は、いずれも100〜150
000とし、特に(a)成分では1000〜50000、(b)成分
では200〜50000とすることが好ましい。平均重合度が10
0未満であると、このエマルジョン組成物を布基材にコ
ーティングした場合、形成される皮膜の機械的強度が不
十分となり、実用に供し得ない。また、平均重合度が15
0000を越えると、乳化に不具合が生じるため好ましくな
い。
【0020】本発明に用いられる(B)成分の硬化触媒
は、前記した(A)成分を架橋させることにより組成物
を硬化させるものである。このような硬化触媒として
は、有機過酸化物、過硫酸塩、アゾ化合物などが例示さ
れる。良好な特性が得られることから、特に有機過酸化
物の使用が好ましい。
【0021】有機過酸化物は、加熱によりそれ自体が分
解してラジカルを発生させることで、(A)成分を架橋
させる。このような有機過酸化物としては、ベンゾイル
パーオキサイド、ビス(p−メチルベンゾイル)パーオ
キサイドのようなアシル系過酸化物、ジ−tert−ブチル
パーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert
−ブチルパーオキシ)ヘキサン、tert−ブチルクミルパ
ーオキサイド、ジクミルパーオキサイドのようなアルキ
ル系過酸化物、tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘ
キソアート、tert−ブチルペルオキシ−3,5,5−ト
リメチルヘキソアート、tert−ブチルパーオキシベンゾ
アートのようなエステル系過酸化物、および1,6−ビ
ス(tert−ブチルパーオキシカルボニルオキシ)ヘキサ
ンのようなカーボネート系過酸化物などが例示される。
これらのうちの1種を用いても良いし、2種以上を併用
しても良い。また、取り扱いの安全性のために、シリコ
ーンオイルに混和してペースト状にしたり、あるいは無
機微粉末に吸着させたりして配合しても良い。このよう
な有機過酸化物としては、比較的低温で硬化し得ること
から、アシル系過酸化物およびエステル系過酸化物の使
用が好ましく、特にビス(p−メチルベンゾイル)パー
オキサイドの使用が望ましい。
【0022】また過硫酸塩としては、過硫酸カリウム、
過硫酸アンモニウムなどが例示され、アゾ化合物として
は、アゾビスジアミノプロパン、2,2’−アゾビスイ
ソブチロニトリルなどが例示される。
【0023】(B)成分の硬化触媒の配合量は、(A)
成分のシリコーンポリマー100重量部に対して、0.
05〜15重量部とし、より好ましくは0.1〜5重量
部とする。硬化触媒の配合量が0.05重量部未満で
は、架橋が不十分となるため良好な接着性が得られず、
反対に15重量部を越えると、得られる硬化皮膜の柔軟
性が低くなり、接着の耐久性が低いものとなる。
【0024】本発明に用いられる(C)成分の乳化剤
は、(A)成分のシリコーンポリマーと(B)成分の硬
化触媒とからなる組成物を乳化して、安定で均質なシリ
コーン水性エマルジョンを形成する働きをする。このよ
うな乳化剤としては、ノニオン系界面活性剤、アニオン
系界面活性剤、カチオン系界面活性剤が挙げられる。
【0025】ノニオン系界面活性剤としては、ポリオキ
シアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレン
アルキルフェノール、ポリオキシアルキレンアルキルエ
ステル、ポリオキシアルキレンソルビタンエステル、ポ
リエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ジ
エチレングリコールトリメチルノナノールのエチレンオ
キサイド付加物などが例示される。
【0026】アニオン系界面活性剤としては、ヘキシル
ベンゼンスルホン酸、オクチルベンゼンスルホン酸、デ
シルベンゼンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン
酸、セチルベンゼンスルホン酸、ミリスチルベンゼンス
ルホン酸のようなアルキルベンゼンスルホン酸、CH
(CHCHO(CO)SOH、CH
(CHCHO(CO)SOH、C
(CH19CH O(CO)SO
H、CH(CHCHO(C
O)SOHのようなポリオキシエチレンモノアルキ
ルエーテルの硫酸エステル、アルキルナフチルスルホン
酸などが例示される。
【0027】カチオン系界面活性剤としては、オクチル
トリメチルアンモニウムヒドロキシド、ドデシルトリメ
チルアンモニウムヒドロキシド、ヘキサデシルトリメチ
ルアンモニウムヒドロキシド、オクチルジメチルベンジ
ルアンモニウムヒドロキシド、デシルジメチルベンジル
アンモニウムヒドロキシド、ジオクタデシルジメチルア
ンモニウムヒドロキシド、牛脂トリメチルアンモニウム
ヒドロキシド、ヤシ油トリメチルアンモニウムヒドロキ
シドのような第4級アンモニウムヒドロキシド、および
これらの塩などが例示される。
【0028】本発明においては、安定性の良好なエマル
ジョン組成物が得られることから、ノニオン系界面活性
剤またはカチオン系界面活性剤を使用することが好まし
く、また不織布とシリコーンゴムシートとの接着では良
好な接着性が得られることから、特にノニオン系界面活
性剤の使用が好ましい。
【0029】(C)成分の乳化剤の配合量は、良好な乳
化状態が得られることから、(A)成分のシリコーンポ
リマー100重量部に対して、5〜100重量部とし、
より好ましくは10〜50重量部とする。
【0030】本発明に使用される(D)成分の水は、
(A)成分のシリコーンポリマーと(B)成分の硬化触
媒とからなる組成物を(C)成分の乳化剤により乳化す
る際の分散媒となるものであり、水であれば特に純度な
どは限定されない。水の配合量は、良好な乳化状態が得
られることから、(A)成分のシリコーンポリマー10
0重量部に対して、50〜500重量部とし、より好ま
しくは100〜300重量部とする。
【0031】本発明のシリコーン水性エマルジョン組成
物には、さらに各種の無機粉末や有機樹脂を配合するこ
とができる。特に、エマルジョン組成物の粘度を増加さ
せて塗布性を向上させ、さらに接着性を改善する効果が
あることなどから、シリカ粉末やウレタン樹脂、あるい
はアクリル樹脂を配合することが好ましい。
【0032】シリカ粉末としては、煙霧質シリカ、湿式
シリカ、焼成シリカ、コロイダルシリカなどを使用する
ことができる。これらのシリカ粉末の中でも、配合によ
りエマルジョンに適度な増粘の効果を付与できることか
ら、特にコロイダルシリカの使用が好ましい。コロイダ
ルシリカの市販品としては、スノーテックスシリーズ
(日産化学工業株式会社、商品名)が例示される。
【0033】シリカ粉末を配合する場合には、その配合
量は、(A)成分のシリコーンポリマー100重量部に
対して2〜20重量部の割合とすることが好ましい。す
なわち、エマルジョンの粘度を適切な範囲に調整するた
めに、シリカ粉末の配合量は2重量部以上とすることが
好ましく、また硬化皮膜の柔軟性を適切なものとするた
めに、20重量部以下とすることが好ましい。さらに、
このようなシリカ粉末の表面を予めシランやシロキサン
を用いて処理することにより、エマルジョン組成物の安
定性をより良好なものにすることができる。
【0034】さらに、ウレタン樹脂としては、水分散型
ポリウレタン樹脂あるいはウレタンプレポリマーのどち
らも使用することができる。また、エマルジョンの形成
の際の取り扱いが容易でエマルジョン組成物の安定性が
良好であり、かつ各種の不織布に対して良好な接着性が
得られることから、特に水分散型ポリウレタン樹脂を使
用することが好ましい。このような水分散型ポリウレタ
ン樹脂としては、スパーフレックスE2000(第一工業製
薬株式会社、商品名)、NeoRezシリーズ(ゼネカ
株式会社、商品名)およびDaotanシリーズ(ソル
ーシアジャッパン株式会社、商品名)などが例示され
る。
【0035】このようなウレタン樹脂は、(A)成分の
シリコーンポリマー100重量部に対して、50〜30
0重量部、より好ましくは100〜200重量部の割合
で配合することができる。エマルジョンの粘度を適切な
範囲に調整するために、ウレタン樹脂の配合量は50重
量部以上とすることが好ましく、また硬化皮膜の柔軟性
を適切なものとするために、300重量部以下とするこ
とが好ましい。
【0036】アクリル樹脂としては、アクリル酸または
メタクリル酸のエステルの重合体、あるいはこれらのエ
ステルと共重合可能な重合性単量体とを共重合して得ら
れる共重合体などが例示される。ここで、アクリル酸ま
たはメタクリル酸のエステルとしては、メチルエステ
ル、エチルエステル、プロピルエステル、ヘキシルエス
テル、ラウリルエステル、ステアリルエステル、2−ヒ
ドロキシエチルエステル、グリシジルエステル、ジメチ
ルアミノメチルエステルなどが例示される。特に、メチ
ルエステルやエチルエステルを重合性単量体として得ら
れるアクリル樹脂の使用が好ましい。また、エマルジョ
ンの形成において取り扱いが容易になることから、水で
分散可能な組成物を使用することが好ましい。
【0037】このようなアクリル樹脂は、(A)成分の
シリコーンポリマー100重量部に対して、50〜30
0重量部の割合で配合することができる。エマルジョン
の粘度を適切な範囲に調整するために、アクリル樹脂の
配合量は50重量部以上とすることが好ましく、また硬
化皮膜の柔軟性を適切なものとするために、300重量
部以下とすることが好ましい。
【0038】本発明のシリコーン水性エマルジョン組成
物は、(A)成分のシリコーンポリマーと(B)成分の
硬化触媒、および必要に応じてシリカ粉末、ウレタン樹
脂、アクリル樹脂の1種または2種以上を、(C)成分
の乳化剤を用いて(D)水に分散させ乳化させることに
より得られる。乳化処理は、コロイドミル、ホモミキサ
ー、ホモジナイザー、コンビミックス、あるいはサンド
グラインダーなどの乳化分散装置を用いて行うことがで
きる。
【0039】本発明のシリコーン水性エマルジョン組成
物は、織布や不織布のような布基材とシリコーンゴム基
材との接着に使用され、接着性に優れた複合体を得るこ
とができる。
【0040】布基材とシリコーンゴム基材との接着にお
いては、シリコーン水性エマルジョン組成物を布基材に
塗布した後、加熱あるいは室温に放置して乾燥および硬
化させる。ここで、シリコーン水性エマルジョン組成物
の塗布量は、エマルジョン中の固形分の付着量が、5〜
200g/mとなるように塗布することが好ましく、特
に20〜100g/mとなるように塗布することが望ま
しい。また、乾燥条件は、室温から300℃の温度で1
〜30分間乾燥することが好ましく、特に100〜20
0℃の温度で5〜20分間加熱乾燥することが望まし
い。
【0041】布基材とシリコーンゴム基材との接着複合
体は、前記したようにシリコーン水性エマルジョン組成
物により処理された布基材に、シリコーンゴムシートの
ようなシート状基材を密着させ、加圧下に加熱すること
により得ることができる。ここで加熱は、5〜10kg/
cmの面圧下120〜200℃の温度で2〜30分間
行うことが好ましい。
【0042】シート状基材を構成するシリコーンゴムコ
ンパウンドとしては、加水分解性の架橋剤を使用し、室
温あるいは加熱下に縮合反応により硬化する縮合反応型
のものや、白金系化合物を触媒として使用し、室温ある
いは加熱下に付加反応により硬化する付加反応型のも
の、あるいは過酸化物を触媒として加熱下にラジカル反
応により硬化する、いわゆる過酸化物硬化型のもののい
ずれも使用することができる。特に強度の必要とされる
用途においては、得られるシリコーンゴムの強度に優れ
ることから、過酸化物硬化型のシリコーンゴムコンパウ
ンドの使用が好ましい。また、過酸化物硬化型のシリコ
ーンゴムコンパウンドを使用した場合には、本発明のエ
マルジョン組成物による接着性改善の効果が良好に見出
されるという利点がある。
【0043】本発明によれば、不織布のような布基材へ
の良好な塗布性を有し、布基材の特性を損なうことなく
シリコーンゴム基材(シート状基材)との良好な接着が
可能なシリコーンエマルジョン組成物が得られる。そし
て、このようなシリコーン水性エマルジョン組成物を用
いることで、布基材とシリコーンゴムシート状基材との
優れた接着が達成され、接着性などの特性の良好な複合
体が得られる。
【0044】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施例について説
明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるもので
はない。なお、以下の記載において、「部」は全て「重
量部」を示すものとする。
【0045】実施例1〜6 まず、未硬化(未架橋)のシリコーン生ゴムシートを作
製した。すなわち、メチルビニルシロキシ基をシロキシ
単位として0.05モル%含むメチルビニルシリコーン
生ゴム95部と、メチルビニルシロキシ基をシロキシ単
位として8モル%含むメチルビニルシリコーン生ゴム5
部、およびシス−ポリイソプレン5部をニーダーに入
れ、全体を110℃になるまで加熱混練し、シス−ポリ
イソプレンが溶解・分散したことを確認した後、加熱を
停止し、表面処理シリカ粉末であるアエロジルR-976
(日本アエロジル株式会社、商品名)50部を入れ、均
一なコンパウンドを得た。次いで、ロールにより、架橋
剤である2,5−ジメチル−2,5−ジ−tert−ブチル
パーオキシヘキサン1部を加えて均一に分散させた。次
いで、8インチ2本ロールを25℃に設定して、30cm
巾のガイドを付け、これを分出しすることにより、5mm
厚の未架橋のシリコーンゴムシートを得た。
【0046】次に、以下に示すようにしてシリコーン水
性エマルジョン組成物A−1を調製した。すなわち、分
子鎖末端にビニル基を有しかつメチルビニルシロキシ基
をシロキシ単位として0.05モル%含むメチルビニル
ポリシロキサンa−1(平均重合度3000)100部と、
有機過酸化物のビス(p−メチルベンゾイル)パーオキ
サイド1部、およびノニオン系界面活性剤のポリオキシ
エチレンラウリルエーテルであるエマルゲン104P(花王
株式会社、商品名)10部とエマルゲン123P(花王株式
会社、商品名)10部をそれぞれ混合し、さらに水12
0部を加えホモミキサーで混合して、実施例1で使用す
るシリコーン水性エマルジョン組成物A−1を得た。
【0047】次に、実施例1で使用したメチルビニルポ
リシロキサンa−1に対して、分子鎖末端にビニル基を
有しメチルビニルシロキシ基をシロキシ単位として1モ
ル%含むメチルビニルポリシロキサンa−2(平均重合
度200)と、同じく分子鎖末端にビニル基を有しメチル
ビニルシロキシ基をシロキシ単位として20モル%含む
メチルビニルポリシロキサンa−3(平均重合度1000
0)を表1に示す組成で加え、さらに同表に示す組成で
シリコーン水性エマルジョン組成物A−1と同様にして
調製し、実施例2〜3で使用するシリコーン水性エマル
ジョン組成物A−2〜A−3をそれぞれ得た。
【0048】また、これらのシリコーン水性エマルジョ
ン組成物A−1〜A−3に対して、表2に示す組成で各
種の添加剤を加え、実施例4〜6で使用するシリコーン
水性エマルジョン組成物A−4〜A−6をそれぞれ調製
した。
【0049】
【表1】
【0050】
【表2】
【0051】次に、メルトブローン法により製造された
オレフィン系極細繊維不織布を使用し、この不織布に5
0g/mの塗布量となるように、前記実施例1〜6で
得られたシリコーン水性エマルジョン組成物A−1〜A
−6をそれぞれローラー塗布した。その後、105℃で
20分間加熱乾燥し、塗布処理された不織布を得た。ま
た、比較のために、同じ不織布に対して塗布処理を行わ
ないもの(比較例1)、ならびに同じ不織布を表2に示
すスノーテックス(シリカ粉末)のみで塗布処理したも
の(比較例2)、水分散型ポリウレタン樹脂であるDa
otanのみで塗布処理したもの(比較例3)、および
水分散型アクリル樹脂のみで塗布処理したもの(比較例
4)をそれぞれ用意した。
【0052】次いで、こうして処理された不織布の処理
面に、前述の方法で作製された未架橋のシリコーンゴム
シートを重ね合わせ、面圧7kg/cmで150℃の温度に
10分間加圧・加熱処理を行った。こうして、シリコーン
ゴムシートの架橋を行い、不織布とシリコーンゴムシー
トとの複合体を得た。
【0053】こうして得られた複合体において、不織布
とシリコーンゴムシートとの接着性を、オートグラフに
よる引き裂き試験値を測定することにより評価した。な
おこの試験では、測定値が9kgf/25mm以上を合格とし、
測定値がこの値に達しないものを不合格とした。評価結
果を表3に示す。
【0054】
【表3】
【0055】表3から、実施例1〜6で得られたシリコ
ーン水性エマルジョン組成物が、不織布とシリコーンゴ
ムシートとの接着性に優れていることがわかった。さら
に、実施例のシリコーン水性エマルジョン組成物は、塗
布により不織布の他の特性を損なうことがない。
【0056】
【発明の効果】本発明によれば、不織布などの布基材に
塗布することにより、その特性を損なうことなくシリコ
ーンゴム基材との良好な接着が可能なシリコーン水性エ
マルジョン組成物を得ることができる。そして、このよ
うなシリコーン水性エマルジョン組成物を用いること
で、布基材とシリコーンゴム基材との良好な接着が達成
され、接着性などの特性に優れた複合体が得られる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C09J 5/06 C09J 5/06 (72)発明者 下津 弘義 東京都港区六本木六丁目2番31号 ジーイ ー東芝シリコーン株式会社内 Fターム(参考) 4J002 BG014 BG044 BG054 BG074 CH055 CK023 CP141 CP142 DE029 DJ018 EK026 EK036 EK046 EK056 EK086 EN137 EV237 FD018 FD156 FD315 FD317 GJ01 HA07 4J040 EK081 HB41 KA14 KA38 MA12 MB02 MB03 PA30 PA33

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)(a)分子鎖末端に少なくとも1
    つのアルケニル基を有し、分子側鎖にアルケニル基を有
    するシロキシ基をオルガノシロキシ単位として0.1モ
    ル%以下の割合で含む、平均重合度が100〜150000の第
    1のポリオルガノシロキサン70〜100重量%と、
    (b)分子側鎖にアルケニル基を有するシロキシ基をオ
    ルガノシロキシ単位として1.0〜20モル%の割合で
    含む、平均重合度が100〜150000の第2のポリオルガノ
    シロキサン0〜30重量%とからなるシリコーンポリマ
    ー100重量部と、 (B)硬化触媒 0.05〜15重量部と、 (C)乳化剤 5〜100重量部、および (D)水 50〜500重量部を含有してなり、 布基材とシリコーンゴム基材との接着に使用されること
    を特徴とするシリコーン水性エマルジョン組成物。
  2. 【請求項2】 前記(B)硬化触媒が、有機過酸化物で
    あることを特徴とする請求項1記載のシリコーン水性エ
    マルジョン組成物。
  3. 【請求項3】 前記(C)乳化剤が、ノニオン系界面活
    性剤であることを特徴とする請求項1または2記載のシ
    リコーン水性エマルジョン組成物。
  4. 【請求項4】 前記(A)シリコーンポリマー100重
    量部に対して、シリカ粉末を2〜20重量部含有するこ
    とを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載のシ
    リコーン水性エマルジョン組成物。
  5. 【請求項5】 前記シリカ粉末が、コロイダルシリカで
    あることを特徴とする請求項4記載のシリコーン水性エ
    マルジョン組成物。
  6. 【請求項6】 前記(A)シリコーンポリマー100重
    量部に対して、さらにウレタン樹脂を50〜300重量
    部含有することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか
    1項記載のシリコーン水性エマルジョン組成物。
  7. 【請求項7】 前記(A)シリコーンポリマー100重
    量部に対して、さらにアクリル樹脂を50〜300重量
    部含有することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか
    1項記載のシリコーン水性エマルジョン組成物。
  8. 【請求項8】 布基材の少なくとも片面に、請求項1記
    載のシリコーン水性エマルジョン組成物を塗布する工程
    と、 前記布基材の前記シリコーン水性エマルジョン組成物が
    塗布された面に、未硬化のシリコーンゴムコンパウンド
    からなるシート状基材を重ねて密着させる工程と、 前記シリコーンゴムコンパウンドからなるシート状基材
    を加熱硬化させる工程とを備えたことを特徴とする布基
    材とシリコーンゴム基材との接着方法。
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